JPH0726082A - ポリプロピレン系樹脂組成物及びこれを用いた振動エネルギー吸収材 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物及びこれを用いた振動エネルギー吸収材

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JPH0726082A
JPH0726082A JP9841094A JP9841094A JPH0726082A JP H0726082 A JPH0726082 A JP H0726082A JP 9841094 A JP9841094 A JP 9841094A JP 9841094 A JP9841094 A JP 9841094A JP H0726082 A JPH0726082 A JP H0726082A
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polypropylene
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Kazuyasu Higashiyama
和康 東山
Masakazu Ozaki
正和 尾崎
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Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 室温付近や、さらには幅広い温度域において
損失係数を高めるポリプロピレン系樹脂組成物及び振動
エネルギー吸収材を提供する。 【構成】 ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して
(1)脂環族飽和炭化水素樹脂10〜50重量部及び
(2)非晶性ポリ−α−オレフィン5〜40重量部を含
んでなるポリプロピレン系樹脂組成物であり、かつ損失
係数(tanδ)のピーク値が0.1以上であり、ピー
ク温度でのヤング率が5×108Pa以上であるポリプ
ロピレン系樹脂組成物及び振動エネルギー吸収材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は各種輸送機器、精密電子
機器、音響機器などの分野において振動を制御すること
により、動作反応速度や測定制度を向上させたり、音質
を改良させる目的で使用される振動エネルギ−吸収性能
の優れたポリプロピレン系樹脂組成物及びこれを用いた
振動エネルギー吸収材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、振動エネルギ−吸収材としてはブ
チルゴムが最もよく使用されている。また、最近ではポ
リノルボルネンや特殊なウレタン系エラストマ−などが
より高性能であることが見い出され注目されている。
【0003】これら振動エネルギ−吸収材の1次評価は
その材料の粘弾性測定により求められる貯蔵弾性率
(E′)と損失係数(tanδ=損失弾性率(E″)/
貯蔵弾性率(E′))でなされる。振動エネルギ−吸収
材として設計するためには損失係数は大きければ大きい
ほど、また貯蔵弾性率は使用される形態によって最適値
が存在する。
【0004】これら2つの因子は通常温度依存性が大き
い。すなわち貯蔵弾性率は温度が高くなるにつれて徐々
に低下し、通常ガラス転移点を超えた温度域から急激に
低下する。また、損失係数はガラス転移点を超えた温度
域で最も高い値を示すがその前後の温度域では低下する
傾向が一般的である。
【0005】従って、従来よりこのような振動エネルギ
−吸収材に求められる基準としては、まず材料が用いら
れる温度域で高い損失係数を有することであった。
【0006】この点、ポリオレフィン系樹脂は結晶性樹
脂であることから、ガラス転移領域における非晶部のミ
クロブラウン運動の寄与が少なく、ポリプロピレンを例
に挙げても、10℃付近で約0.06と非常に低い損失
係数のピーク値を有する。
【0007】一方、ポリオレフィン系樹脂はその優れた
性能/価格比,成形性から産業の様々な分野でフィルム
・シート・モールド等幅広い対応が可能である。特にポ
リプロピレンを始めとする結晶性に富んだポリオレフィ
ン系樹脂は高い剛性を有していることから、各種工業部
品、自動車、家電、OA/FA関係に使用されることが
多い。これらの分野では質感、信頼性、応答速度等の向
上の要請から振動の抑制に関しては強い要望があるにも
かかわらず、前述のように現状では低い損失係数のもの
しか得られていないために、やむをえず使用されてい
る。
【0008】また、ポリオレフィン系樹脂にマイカ・グ
ラファイトに代表される各種充填材を添加することによ
り振動エネルギー吸収性能を付与する試みが多数行われ
ている。しかし、その改善効果は小さい。また、多価カ
ルボン酸エステルに代表される可塑剤を加えた組成物も
多数検討されているが、そういった性能付与は見出され
ておらず、また逆に弾性率の低下により高剛性という特
徴を損なうことになる。さらに、ポリプロピレン系樹脂
に粘着付与剤樹脂やスチレン系,オレフィン系エラスト
マーを添加することによりポリプロピレン系樹脂の力学
的性質を低下させることなく振動エネルギー吸収性能を
付与する試みも行われているが、その性能を発現する温
度が高く、一般に最も使用機会の多いであろう室温付近
での性能向上にはつながっていない。さらには、温度変
化の激しい環境では性能の変化が大きく問題視される。
【0009】よって、高剛性といった特徴を維持させな
がらポリプロピレン系樹脂に振動エネルギー吸収性能を
付与すること、ひいては使用温度域,特に室温付近や、
さらには幅広い温度域において損失係数を高めることが
望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリプロピ
レン系樹脂の有する高剛性という特徴を生かしながら、
優れた振動エネルギ−吸収性能を有するポリプロピレン
系樹脂組成物及びこれを用いた振動エネルギー吸収材を
提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記のような現状に鑑
み、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成
するに至った。すなわち、本発明はポリプロピレン系樹
脂100重量部に対して(1)脂環族飽和炭化水素樹脂
10〜50重量部及び(2)非晶性ポリ−α−オレフィ
ン5〜40重量部を含んでなるポリプロピレン系樹脂組
成物であり、かつ損失係数(tanδ)のピーク値が
0.1以上であり、ピーク温度でのヤング率が5×10
8Pa以上であることを特徴とするポリプロピレン系樹
脂組成物、この組成物にさらに無機充填材5〜300重
量部を含んでなるポリプロピレン系樹脂組成物、及びこ
れらの組成物からなる振動エネルギー吸収材である。
【0012】以下、その詳細について説明する。
【0013】本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂
としては、例えば、ポリプロピレンホモポリマー、エチ
レン−プロピレンランダムコポリマーまたはエチレン−
プロピレンコポリマーなどが挙げられる。特に、そのヤ
ング率は高いものを用いることが好ましく、ガラス転移
領域にて1×109Pa以上を有するポリプロピレン系
樹脂が特に好ましく用いられる。
【0014】一方、本発明で用いる脂環族飽和炭化水素
樹脂はポリプロピレン系樹脂の有する特徴を低下させず
に振動エネルギー吸収性能を付与する目的で加えられる
ものである。ここでいう脂環族飽和炭化水素樹脂とは、
例えば、C9アルキルベンゼン,ビニルトルエン,イン
デンを主成分とした芳香族系炭化水素樹脂を水素添加し
た脂環族系水添石油樹脂、ジシクロペンタジエン系熱重
合物を水素添加したもの、α−ピネン,β−ピネンを主
成分としたテルペン樹脂を水素添加した水添テルペン樹
脂などが挙げられる。好ましくは水素添加率95%以上
の脂環族系水添石油樹脂または水添テルペン樹脂であ
り、このような樹脂を用いることにより本発明のポリプ
ロピレン系樹脂組成物の耐候性・耐熱性が向上する。そ
して、一般に使用されるクマロン・インデン樹脂やフェ
ノール樹脂に代表される芳香族系粘着付与剤樹脂の使用
は好ましくない。また、脂環族飽和炭化水素樹脂の軟化
点・添加量により高損失係数を示す温度は異なるが、1
0〜100℃付近に高損失係数を発現させるために軟化
点は低いものを用いることが好ましい。特に140℃以
下の軟化点のものが好ましく、より好ましくは40℃以
上100℃以下である。この脂環族飽和炭化水素樹脂の
添加量はポリプロピレン系樹脂100重量部に対して1
0〜50重量部、より好ましくは10〜40重量部であ
る。10重量部未満の場合、損失係数を向上させる効果
は低く、50重量部を超えると粘着性が著しくなり、加
工作業性や後工程作業性が損なわれて好ましくない。
【0015】また、本発明で用いる非晶性ポリ−α−オ
レフィンは前述の脂環族飽和炭化水素樹脂を用いて得ら
れる高損失係数の発現する温度域を低下させる、つまり
可塑化する役割を有する。ここでいう非晶性ポリ−α−
オレフィンとはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1
−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−
1−ペンテン、3−メチル−1−ブテンなどのα−オレ
フィンをZiegler−Natta触媒に代表される
触媒の存在下、低圧にて共重合したもので、分子量1千
〜10万程度の非晶性ポリマーである。たとえば、ポリ
プロピレンの製造にて副生するアタクチックポリプロピ
レンや、プロピレンとエチレンの共重合体、プロピレン
とブテン−1との共重合体、プロピレンとエチレンとブ
テン−1の3元共重合体などがある。特に本目的にはブ
テン−1を含む系が好ましく、より好ましくは組成比で
ブテン−1を20%以上含む系である。また、溶融粘度
は500poise(190℃)以下、さらには200
poise(190℃)以下の非晶性ポリ−α−オレフ
ィンが好ましい。500poiseを超えた溶融粘度を
有する場合、室温付近での損失係数を高める効果を発揮
できないことがある。また、室温での硬度と同様の意味
を有する針入度は溶融粘度と同様の理由より10(1/
10mm)以上、さらには12(1/10mm)以上の
非晶性ポリ−α−オレフィンが好ましい。この非晶性ポ
リ−α−オレフィンの添加量はポリプロピレン系樹脂1
00重量部に対して5〜40重量部、好ましくは10〜
30重量部である。5重量部未満の場合、室温付近での
損失係数を高めることがむずかしくなり、40重量部を
越えると粘着性が著しくなり、加工作業性や後工程作業
性が損なわれたり、組成物の剛性が著しく低下して好ま
しくない。振動エネルギー吸収材の設計上最も重要なこ
とは使用される温度域において最も高い損失係数が発現
することである。特に適用範囲の広さからまず室温付近
で損失係数が最大値を示すことが望ましい。その上で、
本発明の樹脂組成物では損失係数のピーク値が0.1以
上であり、そのピーク値を示す温度でのヤング率が5×
108Pa以上であることが必要である。使用温度での
損失係数が0.1未満の場合、その効果は低く、ヤング
率が5×108Pa未満の場合、高剛性とは言い難い。
【0016】本系における脂環族飽和炭化水素樹脂の場
合、40〜100℃の軟化点を有するものがプロピレン
系樹脂の損失係数を向上させる効果が高いが、最大値を
示す温度も高くなってしまい、40℃を超えてしまう場
合が多い。一方、非晶性ポリ−α−オレフィンは可塑剤
として作用するため、損失係数そのものは向上するが、
その最大値は0℃以下に低下してしまい、さらに剛性も
低下することが多い。
【0017】そこで脂環族飽和炭化水素樹脂を加えた上
に非晶性ポリ−α−オレフィンを加えることにより損失
係数の最大値を示す温度を室温付近を含めた任意の温度
に設計することが可能となる。しかも損失係数値・ヤン
グ率を損なわない。
【0018】ポリプロピレン系樹脂に非晶性ポリ−α−
オレフィンを複合化することにより耐衝撃性・ヒートシ
ール性を向上させたり、可塑化する効果は見出されてい
る。また、非晶性ポリ−α−オレフィンそのものにフィ
ラーを非常に多く充填することができる特徴を利用した
高密度遮音材としての効果は見出されている。しかし、
本発明で示したような振動エネルギー吸収性能を向上さ
せる効果は見出されていない。
【0019】さらに本発明の上記の樹脂組成物に無機充
填材をポリプロピレン系樹脂100重量部に対し5〜3
00重量部、さらに好ましくは10〜100重量部添加
することにより樹脂組成物の高損失係数の温度域をより
広げることができる。ここで用いられる無機充填材と
は、従来ポリプロピレン系樹脂に使用されている炭酸カ
ルシウム、タルク、クレー、ガラス繊維、マイカ、カー
ボンブラック、フェライトなどが挙げられる。またその
形状は薄板状が好ましく、すなわちタルク、マイカなど
が特に好ましい。一方、無機充填材の添加量がポリプロ
ピレン系樹脂100重量部に対して300重量部を超え
る場合、組成物加工性を著しく低下し、成形品の表面状
態を荒らすおそれがある。このように所定の範囲の無機
充填材を加えることにより組成物のヤング率が向上し、
振動を抑制する目的に好ましい状態が得られることにな
る。さらに、ポリプロピレン系樹脂,脂環族飽和炭化水
素樹脂,非晶性ポリ−α−オレフィンからなる組成物で
は、その損失係数のピークは室温付近で0.1を上回る
が、無機充填材を加えることにより損失係数のピークを
ほとんど低下させることなく、その周辺の損失係数を向
上させる効果を有する。
【0020】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には
酸化防止剤、難燃剤、滑剤等を性能を極端に低下させな
い程度に添加してもよい。
【0021】本発明によるポリプロピレン系樹脂組成物
を調整する際のブレンド方法においては、通常のオレフ
ィン系樹脂ブレンド装置である2軸押し出し機、単軸押
し出し機、ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダ
ーミキサー等が用いられる。この際、使用するポリプロ
ピレン系樹脂、脂環族飽和炭化水素樹脂、非晶性ポリ−
α−オレフィンの軟化温度または融点以上に加熱可能な
ブレンド装置を用いる。たとえば、ポリプロピレン系樹
脂に脂環族飽和炭化水素樹脂と非晶性ポリ−α−オレフ
ィンをドライブレンドしたものをそのまま2軸押し出し
機で混練押し出してもよいし、ポリプロピレン系樹脂に
高濃度の脂環族飽和炭化水素樹脂と非晶性ポリ−α−オ
レフィンを加えてニーダーで混練して得られるマスター
バッチをポリプロピレン樹脂にブレンドして2軸押し出
し機でさらに混練押し出してもよい。
【0022】これらの方法にて得られる本発明のポリプ
ロピレン系樹脂組成物は、従来のポリオレフィン系樹脂
の成形加工法であるインフレーション加工法、T−ダイ
加工法、押出ラミネーション加工法等の押出成形法、射
出成形法、吹込成形法、真空成形法等の手法により自由
に成型加工できる。
【0023】本発明により得られた振動エネルギ−吸収
材は精密電子機器・精密測定機器等のように振動により
その精度に影響が生じるような機器の支持部材、パッキ
ング・ガスケット等の固定部材、音響機器等の積層部材
やシャ−シなどに使用できるほか、フライホイールやギ
ヤー類にも使用できる。さらに自動車や産業機器などの
振動の激しい部位に直接貼り付けて振動を抑制したり、
精密機器の脚部に用いて床からの振動の伝達を防止する
目的で使用されるほか、ステンレス鋼板やアルミ板等の
金属材料を始めとする木材、無機材料等の他材料と複合
して用いることもできる。
【0024】
【実施例】以下に本発明を実施例を用いて説明するが、
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0025】実施例1 ポリプロピレン(東ソーポリプロJ5040B,東ソー
(株)製)100重量部、軟化点70℃の脂環族飽和炭
化水素樹脂(アルコンP−70,荒川化学工業(株)
製)30重量部、エチレン−プロピレン−ブテン3元共
重合体である非晶性ポリ−α−オレフィン(VESTO
PLAST608,溶融粘度80poise(190
℃),針入度18(1/10mm),ヒュルス製)30
重量部、酸化防止剤(イルガノックス1010,チバガ
イギー製)0.1重量部を2軸混練機(ラボプラストミ
ル,東洋精機(株)製)を用いて190℃にて5分間混
練して目的のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
【0026】実施例2 エチレン−プロピレン−ブテン3元共重合体である非晶
性ポリ−α−オレフィン(VESTOPLAST(商
標)520,溶融粘度200poise(190℃),
針入度15(1/10mm),ヒュルス製)を20重量
部用いた以外は実施例1と同様の操作により目的のポリ
プロピレン系樹脂組成物を得た。
【0027】実施例3 実施例2において、非晶性ポリ−α−オレフィンを10
重量部にした以外は同様の操作により目的のポリプロピ
レン系樹脂組成物を得た。
【0028】実施例4 脂環族飽和炭化水素樹脂を25重量部、プロピレン−ブ
テン共重合体である非晶性ポリ−α−オレフィン(AP
AO−RT(商標)2780,溶融粘度100pois
e(190℃),針入度30(1/10mm),REX
ENE CORP.製)を20重量部用いた以外は実施
例2と同様の操作により目的のポリプロピレン系樹脂組
成物を得た。
【0029】実施例5 軟化点85℃の脂環族飽和炭化水素樹脂(水添テルペン
樹脂、クリアロン(商標)P−85,ヤスハラケミカル
(株)製)を20重量部、非晶性ポリ−α−オレフィン
を15重量部にした以外は実施例2と同様の操作により
目的のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
【0030】実施例6 実施例5において非晶性ポリ−α−オレフィンを10重
量部にした以外は同様の操作により目的のポリプロピレ
ン系樹脂組成物を得た。
【0031】実施例7 脂環族飽和炭化水素樹脂を15重量部、非晶性ポリ−α
−オレフィン(VESTOPLAST(商標)608,
ヒュルス製)を15重量部にした以外は実施例5と同様
の操作により目的のポリプロピレン系樹脂組成物を得
た。
【0032】実施例8 実施例5において脂環族飽和炭化水素樹脂を10重量
部、非晶性ポリ−α−オレフィンを10重量部にした以
外は同様の操作により目的のポリプロピレン系樹脂組成
物を得た。
【0033】実施例9 実施例8において非晶性ポリ−α−オレフィンを20重
量部にした以外は同様の操作により目的のポリプロピレ
ン系樹脂組成物を得た。
【0034】実施例10 実施例1にさらに無機充填材であるマイカ(マスコバイ
トマイカ(商標)4−K,白石工業(株)製)を30重
量部加えた以外は同様の操作により目的のポリプロピレ
ン系樹脂組成物を得た。
【0035】実施例11 脂環族飽和炭化水素樹脂を20重量部、非晶性ポリ−α
−オレフィンを20重量部、無機充填材であるタルク
(クラウンタルク(商標)PP,松村産業(株)製)を
40重量部用いた以外は実施例5と同様の操作により目
的のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
【0036】実施例12 脂環族飽和炭化水素樹脂を15重量部にし、無機充填材
をマイカ(マスコバイトマイカ(商標)C−4000,
白石工業(株)製)30重量部に変更した以外は実施例
11と同様の操作により目的のポリプロピレン系樹脂組
成物を得た。
【0037】実施例13 実施例12において、マイカの種類を変更(クラライト
・マイカ(商標)30−C,(株)クラレ製)した以外
は同様の操作により目的のポリプロピレン系樹脂組成物
を得た。
【0038】実施例14 実施例12において、マイカの種類を変更(マスコバイ
トマイカ(商標)1300,白石工業(株)製)にした
以外は同様の操作により目的のポリプロピレン系樹脂組
成物を得た。
【0039】実施例15 実施例12において、マイカの代わりにタルク(ハイ・
フィラー(商標)#12,松村産業(株)製)を用いた
以外は同様の操作により目的のポリプロピレン系樹脂組
成物を得た。
【0040】実施例16 実施例12において、水添テルペン樹脂の代わりに脂環
族飽和炭化水素樹脂(アルコン(商標)P−70,荒川
化学工業(株)製)を使用した以外は同様の操作により
目的のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
【0041】実施例17 実施例12において、水添テルペン樹脂を10重量部に
変更した以外は同様の操作により目的のポリプロピレン
系樹脂組成物を得た。
【0042】実施例18 水添テルペン樹脂を30重量部、非晶性ポリ−α−オレ
フィンを20重量部に変更した以外は実施例12と同様
の操作により目的のポリプロピレン系樹脂組成物を得
た。
【0043】実施例19 マイカの配合量を100重量部に変更した以外は実施例
12と同様の操作により目的のポリプロピレン樹脂組成
物を得た。
【0044】比較例1 実施例1で用いたポリプロピレンのみを実施例1と全く
同様の操作により混練した。
【0045】比較例2 実施例5で用いたポリプロピレン100重量部と脂環族
飽和炭化水素樹脂30重量部のみを実施例1と同様の操
作により混練した。
【0046】比較例3 実施例2で用いたポリプロピレン100重量部と非晶性
ポリ−α−オレフィン30重量部のみを実施例1と同様
の操作により混練した。
【0047】比較例4 実施例1で用いたポリプロピレン100重量部と実施例
10で用いた無機充填材30重量部のみを実施例1と同
様の操作により混練した。
【0048】比較例5 実施例1において、脂環族飽和炭化水素樹脂の代わりに
石油樹脂(ペトコール(商標)LX,東ソー(株)製)
を用いた以外は全く同様の操作により混練した。
【0049】比較例6 比較例5において、非晶性ポリ−α−オレフィンの代わ
りにスチレン系エラストマー(セプトン(商標)200
3,(株)クラレ製)を用いた以外は同様の操作により
混練した。
【0050】<損失係数(tanδ)の評価>実施例・
比較例で得られた混練物を190℃でプレスし、厚さ1
mmのシートを作製した。このシートを用いて非共振型
強制振動法に基づく測定装置である粘弾性アナライザ−
RSAII(レオメトリックス・ファ−イ−スト社製)
により昇温速度2℃/min、測定周波数10Hzによ
り損失係数の測定を行った。この時の損失係数のピ−ク
値、及びその時の温度,ヤング率,さらに損失係数が
0.1を上回る温度域を表1に示す。比較例2,3にお
いて、損失係数のピーク値は0.1を上回ったものの、
その温度域は室温付近を外れるものであった。
【0051】
【表1】
【0052】<耐熱性の評価>実施例・比較例で得られ
た混練物を190℃でプレスし、厚さ1mmのシートを
作製した。このシートを80℃の恒温槽に500時間静
置し、外観の変化を評価した。その結果を表2に示す。
比較例5,6において、振動エネレギー吸収性能は優れ
るものの、耐熱性がポリプロピレン樹脂を大きく下回る
ものであった。
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によればポリプロピレン樹脂に脂環族飽和炭化水素樹脂
及び非晶性ポリ−α−オレフィンを複合化することによ
り室温付近で高い損失係数を有するポリプロピレン系樹
脂組成物及び振動エネルギ−吸収材が得られる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリプロピレン系樹脂100重量部に対
    して(1)脂環族飽和炭化水素樹脂10〜50重量部及
    び(2)非晶性ポリ−α−オレフィン5〜40重量部を
    含んでなるポリプロピレン系樹脂組成物であり、かつ損
    失係数(tanδ)のピーク値が0.1以上であり、ピ
    ーク温度でのヤング率が5×108Pa以上であること
    を特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ポリプロピレン100重量部に対し、無
    機充填材5〜300重量部を含んでなることを特徴とす
    る請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載のポリプロ
    ピレン系樹脂組成物からなることを特徴とする振動エネ
    ルギー吸収材。
JP9841094A 1993-05-12 1994-05-12 ポリプロピレン系樹脂組成物及びこれを用いた振動エネルギー吸収材 Pending JPH0726082A (ja)

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JP9841094A Pending JPH0726082A (ja) 1993-05-12 1994-05-12 ポリプロピレン系樹脂組成物及びこれを用いた振動エネルギー吸収材

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JP (1) JPH0726082A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1036525A (ja) * 1996-07-19 1998-02-10 Toyobo Co Ltd ポリプロピレン系無延伸フィルム
JP2001323113A (ja) * 2000-05-15 2001-11-20 Tosoh Corp 樹脂組成物

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