JP3316921B2 - 振動エネルギー吸収材 - Google Patents

振動エネルギー吸収材

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は各種輸送機器、精密電子
機器、音響機器などの分野において振動を制御すること
により、動作反応速度や測定制度を向上させたり、音質
を改良させる目的で使用される振動エネルギ−吸収性能
の優れたポリオレフィン系振動エネルギー吸収材に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、振動エネルギ−吸収材としてはブ
チルゴムが最もよく使用されている。また、最近ではポ
リノルボルネンや特殊なウレタン系エラストマ−などが
より高性能であることが見い出され注目されている。
【0003】これら振動エネルギ−吸収材の1次評価は
その材料の粘弾性測定により求められる貯蔵弾性率
(E′)と損失係数(tanδ=損失弾性率(E″)/
貯蔵弾性率(E′))でなされる。振動エネルギ−吸収
材として設計するためには損失係数は大きければ大きい
ほど、また貯蔵弾性率は使用される形態によって最適値
が存在する。
【0004】これら2つの因子は通常温度依存性が大き
い。すなわち貯蔵弾性率は温度が高くなるにつれて徐々
に低下し、通常ガラス転移点を超えた温度域から急激に
低下する。また、損失係数はガラス転移点を超えた温度
域で最も高い値を示すがその前後の温度域では低下する
傾向が一般的である。
【0005】従って、従来よりこのような振動エネルギ
−吸収材に求められる基準としては、まず材料が用いら
れる温度域で高い損失係数を有することであった。
【0006】この点、ポリオレフィン系樹脂は結晶性樹
脂であることから、ガラス転移領域における非晶部のミ
クロブラウン運動の寄与が少なく、ポリプロピレンを例
に挙げても、10℃付近で約0.06と非常に低い損失
係数のピーク値を有する。
【0007】一方、ポリオレフィン系樹脂はその優れた
性能/価格比,成形性から産業の様々な分野でフィルム
・シート・モールド等幅広い対応が可能である。特にポ
リプロピレンを始めとする結晶性に富んだポリオレフィ
ン系樹脂は高い剛性を有していることから、各種工業部
品,自動車,家電,OA/FA関係に使用されることが
多い。これらの分野では質感,信頼性,応答速度等の向
上の要請から振動の抑制に関しては強い要望があるにも
かかわらず、前述のように現状では低い損失係数のもの
しか得られていないために、やむをえず使用されてい
る。
【0008】また、ポリオレフィン系樹脂にマイカ・グ
ラファイトに代表される各種充填材を添加することによ
り振動エネルギー吸収性能を付与する試みが多数行われ
ている。しかし、その改善効果は小さい。また、多価カ
ルボン酸エステルに代表される可塑剤を加えた組成物も
多数検討されているが、そういった性能付与は見出され
ておらず、また逆に弾性率の低下により高剛性という特
徴を損なうことになる。
【0009】よって、高剛性といった特徴を維持させな
がらポリオレフィン系樹脂に振動エネルギー吸収性能を
付与すること、ひいては使用温度域において損失係数を
高めることが望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリプロピ
レン系樹脂の有する高剛性という特徴を生かしながら、
優れた振動エネルギー吸収性能を有するポリオレフィン
系振動エネルギー吸収材を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記のような現状に鑑
み、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成
するに至った。
【0012】すなわち、本発明はガラス転移領域におけ
るヤング率が1×10 8 Pa以上を有するポリプロピレ
ン系樹脂100重量部に対してプロピレン−ブテン−1
共重合体又はエチレン−プロピレン−ブテン−1三元共
重合体10〜50重量部を加えてなる振動エネルギー吸
収材であり、かつ損失係数(tanδ)のピーク値が
0.1以上であり、ピーク温度でのヤング率が5×10
8Pa以上である振動エネルギー吸収材に関する。以
下、その詳細について説明する。
【0013】本発明で用いるポリプロピレン系樹脂と
は、ガラス転移領域におけるヤング率が1×10 8 Pa
以上を有するポリプロピレン系樹脂である。
【0014】一方、本発明で用いるプロピレン−ブテン
−1共重合体又はエチレン−プロピレン−ブテン−1三
元共重合体とは、プロピレンとブテン−1、又は、プロ
ピレンとエチレンとブテン−1とをZiegler−N
atta触媒に代表される触媒の存在下、低圧にて共重
合したもので、分子量1千〜10万程度の非晶性ポリマ
ーである。特に本目的には、より好ましくは組成比でブ
テン−1を20%以上含む系である。また、溶融粘度は
500poise(190℃)以下、さらには200p
oise(190℃)以下のプロピレン−ブテン−1共
重合体又はエチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重
合体が好ましい。500poiseを越えた溶融粘度を
有する場合、室温付近での損失係数を高める効果を発揮
できない。また、室温での硬度と同様の意味を有する針
入度は溶融粘度と同様の理由により10(l/10m
m)以上、さらには12(l/10mm)以上のプロピ
レン−ブテン−1共重合体又はエチレン−プロピレン−
ブテン−1三元共重合体が好ましい。この添加量はガラ
ス転移領域におけるヤング率が1×10 8 Pa以上を有
するポリプロピレン系樹脂100重量部に対して10〜
50重量部、好ましくは10〜40重量部、特に好まし
くは10〜30重量部である。10重量部未満の場合、
損失係数を向上させる効果は低く、50重量部を超える
と粘着性が著しくなり、加工作業性や後工程作業性が損
なわれたり、組成物の剛性が著しく低下して好ましくな
い。
【0015】また、上記の配合組成物は損失係数のピー
ク値が0.1以上であり、そのピーク値を示す温度での
ヤング率が5×108Pa以上のものである。使用温度
での損失係数が0.1未満の場合、その効果は低く、ヤ
ング率が5×108Pa未満の場合、高剛性とは言い難
い。
【0016】ポリオレフィン系樹脂に非晶性ポリ−α−
オレフィンを複合化することにより、耐衝撃性・ヒート
シール性を向上させたり、可塑化する効果は見出されて
いる。また、非晶性ポリ−α−オレフィンそのものにフ
ィラーを非常に多く充填することができる特徴を利用し
た高密度遮音材としての効果は見出されている。しか
し、本発明で示したような振動エネルギー吸収性能を向
上させる効果は見出されておらず、さらに本発明の振動
エネルギー吸収材はポリオレフィン系樹脂の剛性を大き
く損なわない。
【0017】さらには、本発明の振動エネルギー吸収材
には上記物質以外に必要に応じて、炭酸カルシウム、タ
ルク、クレー、シリカ、マイカ、カーボンブラック、ガ
ラス繊維などの無機充填材、さらには酸化防止剤、難燃
剤、滑剤等を性能を極端に低下させない程度に添加して
もよい。
【0018】本発明による振動エネルギー吸収材はガラ
ス転移領域におけるヤング率が1×10 8 Pa以上を有
するポリプロピレン系樹脂にプロピレン−ブテン−1共
重合体又はエチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重
合体をドライブレンドしたものをそのまま成形してもよ
いし、高濃度のプロピレン−ブテン−1共重合体又はエ
チレン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体を含んだ
マスターバッチをガラス転移領域におけるヤング率が1
×10 8 Pa以上を有するポリプロピレン系樹脂にブレ
ンドして成形しても良い。その成形方法は従来のポリオ
レフィン系樹脂の成形加工法であるインフレーション加
工法、T−ダイ加工法、押出ラミネーション加工法等の
押出成形法、射出成形法、吹込成形法、真空成形法等の
手法により自由に成型加工できる。
【0019】本発明により得られた振動エネルギ−吸収
材は精密電子機器・精密測定機器等のように振動により
その精度に影響が生じるような機器の支持部材、パッキ
ング・ガスケット等の固定部材、音響機器等の積層部材
やシャ−シなどに使用できるほか、フライホイールやギ
ヤー類にも使用できる。さらに自動車や産業機器などの
振動の激しい部位に直接貼り付けて振動を抑制したり、
精密機器の脚部に用いて床からの振動の伝達を防止する
目的で使用されるほか、ステンレス鋼板やアルミ板等の
金属材料を始めとする木材、無機材料等の他材料と複合
して用いることもできる。
【0020】
【実施例】以下に本発明を実施例を用いて説明するが、
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0021】実施例1 ポリプロピレン(東ソーポリプロJ5040B,東ソー
(株)製)100重量部、エチレン−プロピレン−ブテ
ン三元共重合体である非晶性ポリ−α−オレフィン(V
ESTOPLAST608,溶融粘度80poise
(190℃),針入度18(l/10mm),ヒュルス
製)10重量部、酸化防止剤(イルガノックス101
0,チバガイギー製)0.2重量部を二軸混練機(ラボ
プラストミル,東洋精機(株)製)を用いて190℃に
て5分間混練して混合物を得た。これを190℃のプレ
ス成形機にて10分間プレスし、30℃にて5分間冷却
プレスを行い目的のシート状振動エネルギー吸収材を得
た。
【0022】実施例2 実施例1において非晶性ポリ−α−オレフィンを20重
量部用いた以外は全く同様の操作により目的のシート状
振動エネルギー吸収材を得た。
【0023】実施例3 実施例1において非晶性ポリ−α−オレフィンを30重
量部用いた以外は全く同様の操作により目的のシート状
振動エネルギー吸収材を得た。
【0024】実施例4 実施例1においてエチレン−プロピレン−ブテン三元共
重合体である非晶性ポリ−α−オレフィン(VESTO
PLAST520,溶融粘度200poise(190
℃),針入度15(l/10mm),ヒュルス製)を2
0重量部用いた以外は全く同様の操作により目的のシー
ト状振動エネルギー吸収材を得た。
【0025】実施例5 実施例1においエチレン−プロピレン−ブテン三元共重
合体である非晶性ポリ−α−オレフィン(VESTOP
LAST828,溶融粘度280poise(190
℃),針入度22(l/10mm),ヒュルス製)を2
0重量部用いた以外は全く同様の操作により目的のシー
ト状振動エネルギー吸収材を得た。
【0026】実施例6 実施例1においてプロピレン−ブテン共重合体である非
晶性ポリ−α−オレフィン(APAO−RT2780,
溶融粘度100poise(190℃),針入度30
(l/10mm),REXENE CORP.製)を2
0重量部用いた以外はまったく同様の操作により目的の
シート状振動エネルギー吸収材を得た。
【0027】実施例7 実施例5においてさらに雲母(マスコバイトマイカ4−
K,白石工業(株)製)30重量部を用いた以外は全く
同様の操作により目的のシート状振動エネルギー吸収材
を得た。
【0028】比較例1 実施例1で用いたポリプロピレンのみを実施例1とまっ
たく同様の操作により加工し、シート状成形物を得た。
【0029】比較例2 実施例7において非晶性ポリ−α−オレフィンを除いた
系を実施例7とまったく同様の操作により加工し、シー
ト状成形物を得た。
【0030】比較例3 実施例1において非晶性ポリ−α−オレフィンを100
重量部用いた以外はまったく同様の操作により加工し、
シート状成形物を得た。なお、得られたシート表面は非
常に粘着性を有する状態であった。
【0031】[損失係数(tanδ)の評価]実施例・
比較例で得られたシ−ト(厚さ1mm)を用いて非共振
型強制振動法に基づく測定装置である粘弾性アナライザ
−RSAII(レオメトリックス・ファ−イ−スト社製)
により昇温速度2℃/min、測定周波数10Hzによ
り損失係数の測定を行った。この時の損失係数のピ−ク
値、及びその時の温度・ヤング率を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によればガラス転移領域におけるヤング率が1×10 8
Pa以上を有するポリプロピレン系樹脂プロピレン−
ブテン−1共重合体又はエチレン−プロピレン−ブテン
−1三元共重合体を複合化することにより高い損失係数
を有した振動エネルギー吸収材が得られる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス転移領域におけるヤング率が1×1
    8 Pa以上を有するポリプロピレン系樹脂100重量
    部に対してプロピレン−ブテン−1共重合体又はエチレ
    ン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体10〜50重
    量部を加えてなる振動エネルギー吸収材であり、かつ損
    失係数(tanδ)のピーク値が0.1以上であり、ピ
    ーク温度でのヤング率が5×108Pa以上である振動
    エネルギー吸収材。
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