JP3654751B2 - ポリオレフィン系樹脂組成物 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に自動車用のエアバックカバー材料等に好適に使用することのできるポリオレフィン系樹脂組成物に関する。更に詳しく述べると、本発明は、通常の自動車内装材料に求められる剛性を有し、かつ−35〜90℃でのエアバック展開試験の展開時において脆性的に破壊しない、自動車のダッシュボード等の一体部分を形成することのできるエアバックカバー材料として好適なポリオレフィン系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン系樹脂は安価でかつ、リサイクル性に優れる樹脂として自動車内装用材料として広く用いられている。しかしながら、エアバックカバー材の用途には、温度−35℃から90℃において確実にエアバックが展開し、かつエアバック展開時にエアバックカバーが開裂部以外に亀裂を生じたり、破片が飛散しないことが要求されており、ポリオレフィン系樹脂の場合、特に低温(−35℃)における展開試験において脆性的に破壊しないこと、すなわち優れた低温特性を有することが最大の課題となっている。しかしながら、これまで、実用性に耐えるポリオレフィン系樹脂の開発は進んでいない。
最近助手席側のエアバックを標準装備として設置する事が設定され、最新の自動車ではダッシュボード中にエアバックカバー(エアバックモジュール用カバー)を組み込むことが要求されるようになった。しかしながら、従来自動車のダッシュボード用に使用されている充填剤含有ポリプロピレンは高い剛性を示すが、低温特性が不足する為、−35℃でのエアバック展開試験条件下での展開時に脆性破壊を示し、不適当なものであった。
【0003】
一方、ポリオレフィン系樹脂の低温特性を改良する方法として、スチレン系ゴム重合体を使用することは公知であり、このゴム重合体を利用したポリオレフィン系材料が−35℃でのエアバック展開試験において延性的に破壊することが、従来のエアバックカバー分野で既に知られている。例えば、特開平8−208896号、特開平8−59895号、特開平8−176368号、特開平8−319383号公報等を参照されたい。
しかしながら、これらの材料は、曲げ弾性率が不足するので、複雑な成形設計を使用せずに、ダッシュボードに組み込まれるエアバックモジュール用カバーに使用することは困難である。
これらの問題を解決する目的で、ポリプロピレンとスチレン系ゴム重合体と無機フィラーからなるエアバック用ブロック共重合体含有組成物が提案されている(特開平8−208896号公報)。しかしながら、ここで提示されている組成物は、剛性及び低温特性の物性バランスは優れるものの、高価なスチレン系エラストマーを多量に使用するため、組成物全体が高価になり、本来ポリオレフィン系樹脂の利点である、低コストでの生産が困難になる。更に、リサイクル性も低下する。また、スチレン系ゴム重合体含量が多いので、結果的に剛性を補う為に無機充填材の添加量を多くするため、組成物の密度が大きくなり、製品が重くなる問題があった。また、ここで提示されている組成物は、流動性が悪く、通常の射出成形機を用いて成形した場合、薄肉化には限界があるなど問題となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、高価でかつリサイクル性に悪影響を与えるスチレン系ゴム重合体の含量をできるだけ制限しながら、自動車のダッシュボード等の一体部品を形成し得る剛性を有し、かつ、−35℃から90℃の温度で現在必要とされる展開動作を示す、比較的安価なポリオレフィン系のエアバックカバーに好適な材料を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、ポリプロピレン成分及び、エチレンと炭素数4個以上のオレフィンとの共重合成分からなる特定のポリプロピレンブロック共重合体(A)の剛性と低温特性(低温での破断伸び)との物性バランスが、ポリプロピレン単独重合体/スチレン系ゴム重合体からなる組成物とほぼ同等の高い水準にあることを見い出した。この知見に基づいて、当該ポリプロピレンブロック共重合体(A)を主成分とし、これにスチレン系ゴム重合体(B)及びタルク(C)を加えたポリオレフィン系樹脂組成物が上記目的を達成しうることを見い出した。
即ち、本発明は、−35℃における引っ張り破断伸び(JIS K6301に準拠)が200%を越えかつ曲げ弾性率が500MPa以上であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物に関するものである。なお、低温における引っ張り破断伸びが200%以上伸びる材料は、その温度におけるエアバック展開テストをクリアーすることが、当該業者の間で知られており、低温特性のパラメーターとして常用されている。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリオレフィン系脂組成物で使用されるポリプロピレンブロック共重合体(A)は、(イ)ポリプロピレンホモポリマー成分(以下、ポリプロピレン成分と言う)と、(ロ)エチレンと、炭素数4個以上のオレフィンとの共重合体成分とからなる。
ポリプロピレン成分(イ)のアイソタクティシティ指数(以下、I.I.という)は95以上で、96以上が好ましく、特に97以上が好適である。I.I.が、95未満の場合、ポリプロピレンの結晶化度が低下し、結果的に本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の剛性が低下するので好ましくない。ここで言うI.I.とは、同位体炭素による核磁気共鳴(13C−NMR)スペクトルにより測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック分率である。その測定法は、A. ambellii, Macromolecules,6: 925 (1973) 、同 8: 687 (1975) 及び同13: 267 (1980)に記載された方法に従った。
【0007】
なお、ポリプロピレン成分の135℃のテトラリン中の固有粘度は、1〜4.5 dl/g、好ましくは、1.5〜4.0dl/gであることが望ましい。固有粘度が1dl/g未満の場合、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の低温特性を低下させ易い。一方、固有粘度が 4.5dl/gを越える場合、ポリオレフィン系樹脂組成物の流動性が低下し、成形性が悪化し易い。
ポリプロピレン成分は、ポリプロピレンブロック共重合体(A)の重量に基づいて、20〜50重量%の量で使用され、更に好ましくは、25〜45重量%の量であり、特に好ましくは、30〜40重量%の量が好適である。ポリプロピレン成分の量が、20重量部未満の場合には、得られるポリオレフィン系樹脂組成物の剛性が低下し、一方、50重量部を超える場合は、低温での展開試験をクリアーするのに必要とされる、低温での破断伸びが低下するので好ましくない。
【0008】
ポリプロピレンブロック共重合体(A)に、ポリプロピレン成分(イ)とともに使用される、エチレンと、炭素数4個以上のオレフィンとの共重合体成分(ロ)は、25℃においてキシレンに不溶の結晶性ポリエチレンを有する40〜95重量%の結晶性成分(I)と、25℃においてキシレンに可溶であり、30〜85重量%のエチレンを含有する5〜60重量%の非晶性成分(II)とから成り、50〜95重量%のエチレンを含有する。
エチレンと炭素数4個以上のオレフィンとの共重合体成分中の結晶性成分(I)の割合は、40〜95重量%であり、45〜90重量%が好ましく、特に50〜85重量%が好適である。結晶成分(I)の割合が40重量%未満の場合は、共重合体成分(ロ)の剛性が不足し、結果的に本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の剛性が低下する。逆に、結晶成分(I)の量が、95重量%を超える場合には、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の低温での破断伸びが低下する。
【0009】
一方、エチレンと、炭素数4個以上のオレフィンとの共重合体成分中の非晶性成分(II)の割合は、5〜60重量%であり、10〜55重量%が好ましく、特に15〜50重量%が好適である。非晶性成分(II)の割合が、5重量%未満の場合は、剛直になりすぎるので、本発明のポリオレフィン樹脂の低温特性が低下し、好ましくない。一方、非晶性成分(II)の量が、60重量%を越えると、本発明のポリオレフィン樹脂の剛性が低下するので、やはり好ましくない。
また、共重合体成分(ロ)におけるエチレンの含有量は、50〜95重量%、好ましくは、55〜85重量%、特に好ましくは、60〜80重量%であることが適当である。エチレンの量が、50重量%よりも少ない場合には、ゴムとしての特性が低下し、結果的に本発明のポリオレフィン系樹脂の低温特性が低下する。一方、この量が、95重量%を越えた場合も、同様にゴムとしての特性が低下し、好ましくない。
【0010】
更に、非晶性成分(II)中のエチレンの占める割合は、30〜85重量%、好ましくは、35〜80重量%、更に好ましくは、40〜75重量%が好適である。エチレン含有量が30〜85重量%を外れると、低温での破断伸びが低下し易い。
なお、非晶成分(II)の135℃のテトラリン中の固有粘度は、好ましくは、1.5 〜10dl/g、特に好ましくない2.0〜5.0dl/gであることが望ましい。固有粘度が1.5 dl/g未満の場合、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の低温特性が低下し易い。一方、10dl/gを越える場合、ポリオレフィン系樹脂組成物の流動性が低下し、成形性が悪化し易い。
本発明において、エチレンと炭素数4個以上のオレフィンとの共重合体成分(ロ)の量は、ポリプロピレンブロック共重合体(A)の重量に基づいて、50〜80重量%、好ましくは、55〜75重量%、特に好ましくは、60〜70重量%が適当である。従って、ポリプロピレン成分(イ)の量は、ポリプロピレンブロック共重合体(A)の重量に基づいて、20〜50重量%、好ましくは、25〜45重量%、特に好ましくは、30〜40重量%が適当である。ポリプロピレンブロック共重合体(A)における、エチレンと、炭素数4個以上のオレフィンとの共重合体成分(ロ)の量が、50〜95重量%の範囲を外れる場合には、剛性と低温での破断伸びとの物性バランスが低下する。
【0011】
ここで、炭素数4個以上のオレフィンは、炭素数4個以上を有する直鎖状又は環状のオレフィンである。直鎖状オレフィンの場合には、炭素数は、好ましくは、4〜10、好ましくは、4〜7が適当である。直鎖状オレフィンとしては、例えば、ブテン−1や、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン等が好適に挙げられる。また、環状オレフィンとしては、例えば、ビニルシクロペンテンや、ビニルシクロヘキセンなどが挙げられる。これらの中でブテン−1は、低温特性と剛性とのバランスが優れ、好適である。
ポリプロピレンブロック共重合体(A)の量は、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の重量に基づいて、60〜95重量%、好ましくは、65〜90重量%、特に好ましくは、70重量〜85重量%が適当である。ポリプロピレンブロック共重合体(A)の量が、60〜95重量%の範囲から外れると、低温特性と剛性とのバランスが崩れるので好ましくない。
【0012】
ポリプロピレンブロック共重合体(A)を製造する方法は、特に制限されないが、例えば、特開昭61−42553号公報に示されるように、まず一段階のポリプロピレンの単独重合段階と、次の、エチレンと炭素数4個以上のオレフィンとの混合物の共重合段階とを含む共重合工程によって容易に得ることが出来る。本発明のポリオレフィン系樹脂組成物で使用されるスチレン系ゴム重合体(B)としては、例えば、室温でゴム弾性体である共重合体であり、部分的に又は完全に水素添加されたものが含まれる。スチレン系ゴム重合体としては、具体的には、スチレン−ブタジエン共重合体の水添物(ランダム共重合体や、ブロック共重合体、グラフト共重合体など含まれる。)が挙げられ、更に具体的には、水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)や、水添スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレン共重合体、水添イソプレン−スチレン共重合体(SEP)、水添スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SEPS)、水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(HSBR)などが挙げられる。中でも、SEBSは低温特性を著しく改善させる効果が高く、好ましい。
【0013】
なお、スチレン系ゴム重合体(B)のスチレン含量は、好ましくは、5〜60重量%、更に好ましくは、10〜50重量であり、もっとも好ましいのは15〜40重量%である。スチレン含量が5重量%未満の場合には、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の剛性が著しく低下し易い。一方、スチレン含量が60重量%を越えると、低温特性を改善させる効果が不足し易い。また、スチレン系ゴム重合体(B)の230℃におけるMFRは、0.1 〜10g/10分、好ましくは、1.0〜8g/10分であることが望ましい。MFRが0.1g/10 分未満の場合、スチレン系ゴム重合体は、ポリプロピレンブロック共重合体(A)との混合が困難となり易く、分散不良を引き起こし易く、低温特性が悪化し易い。一方、MFRが10g/10分を越える場合も、低温特性を改善させる効果が小さくなり易い。
【0014】
スチレン系ゴム重合体(B)は、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の重量に基づいて、5〜25重量%、好ましくは、6〜23重量%、特に好ましくは、8〜20重量%の量で使用することが適当である。スチレン系ゴム重合体の量が5重量%未満の場合、低温特性を改善させる効果が望めない。一方、その量が、25重量%を越えると、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の剛性が低下するばかりか、材料コストが高くなり、不向きである。また、リサイクル性も低下する。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物で使用されるタルク(C)は、通常市販されているものあれば、特に限定されることなく、各種のものを使用することができる。また、タルク(C)は、各種処理剤で表面処理されたものでもよい。このような表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤や、高級脂肪酸、チタネート等の各種処理が挙げられる。
【0015】
タルク(C)は、粒状で存在し、粒径としては、通常、平均粒子径が0.3 〜5μm、好ましくは、0.4 〜3μm、更に好ましくは、0.5 〜2μmであることが適当である。タルクの粒径が0.3 μm未満では、タルクの2次凝集が起こり易く、分散が悪くなり、低温での破断特性が低下し易い。一方、5μmを越えるタルクを使用した場合には、同様にタルクの分散不良が生じ易く、低温での破断伸びが低下し易い。
タルク(C)は、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の重量に基づいて、3〜15重量%、好ましくは、5〜14重量%、特に好ましくは、8〜12重量%の量で使用することが適当である。タルクの割合が3重量%未満の場合、剛性を改善させる効果が乏しい。一方、タルクの量が、15重量%を越えると、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物に対する分散性が悪くなり、低温での破断伸びが著しく低下するだけではなく、比重が増加するので成形体の重量が重くなる。
【0016】
なお、必要に応じて、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、その剛性を更に向上させる目的で、当該技術分野で慣用されている有機系造核剤(D)を用いても良い。このような有機系造核剤(D)としては、当該技術分野において使用されているものであれば、特に制限なく、各種の有機系造核剤を使用することができる。このような有機系造核剤(D)としては、例えば、リン酸エステル金属塩や、カルボン酸の金属塩、ジベンジリデンソルビトール誘導体、フォスフェート金属塩等が好適に挙げられる。具体的には、安息香酸ナトリウムや、アジピン酸アルミニウム、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム塩、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ−(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−p−クロルジベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、カリウムビス−(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウムビス−(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム2,2−メチレンビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム2,2−エチリデン−ビス(4,6−t−ブチルフェニル)フォスフェートなどが挙げられる。このうちナトリウム2,2−メチレンビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートが最も剛性を向上させる効果が高い。これらの添加剤は単独でも、2種類以上併用して用いても良い。
【0017】
有機系造核剤(D)の添加量は、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の100重量部に対して、0.01〜1重量部、好ましくは、0.05〜0.5 重量部、特に好ましくは、0.1 〜0.4 重量部が好適である。有機系造核剤(D)の量が、0.01重量部未満では、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の剛性を向上させる効果が乏しい。一方、この量が、1重量部を越えると、添加量に応じる以上の剛性を向上させる効果が望めないばかりか、分散不良を起易いすいので、低温での伸びが低下し易い。
更に、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、通常慣用されているその他の添加剤、例えば、酸化防止剤や、耐候性安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブッロキング防止剤、防曇剤、顔料などを本発明の目的を損なわない範囲で適宣配合しても良い。
【0018】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、それぞれの成分を独立フィードを用いて溶融混合して得る方法の他、公知の混合方法、例えばリボンブレンダーや、タンブラー、ヘンシェルミキサーなど各種の混合機を用いて各成分を混合し、次にニーダーや、ミキシングロール、バンバリーミキサー、押し出し機などを用いて溶融混合しても得られる。なお、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の成型法は特に限定されないが、例えば、押出成形や、ブロー成形、プレス成形、射出成形などの各種の成型法がある。この中で射出成形が最も好ましい。
成形機及び金型の種類にもよるが通常、射出成形機を用いて、例えば、エアバックカバー成形体を成形する場合、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物のMFRは、3g/10分以上、好ましくは、4g/10分以上、特に好ましくは、5g/10分以上であることが好ましい。上限は、通常、15g/10分が好適である。本発明のポリオレフィン系樹脂組成物のMFRが3g/10分未満の場合には、ウェルドライン、ティアライン等の外観不良や、ひけ、そり等の成形不良が生じ易い。
【0019】
本発明の当該ポリオレフィン系樹脂組成物は、特に、自動車のダッシュボード等の一体部分を形成することのできるエアバックカバー材に好適ではあるが、特に、この用途に制限されるものではない。その他の用途としては、例えば、以下のような工業部品が挙げられる。インストロメントパネル、コンソールボックス、ドアトリム、シートシールド、リアパネル、ステアリングホイールカバー、天井材などの自動車内装材、バンパー、マッドガードなどの自動車外装材、テレビ、ビデオ、ラジオ、エアコン、洗濯機、掃除機、クーラー、コーヒーメーカー、ジャー、電話、コピー機、ファクシミリ等の電機部品及びOA機器のハウジング材、スポーツ器具、家具、机等の表皮材、壁装飾、敷物等の建築関係、及びカメラ用バッグやアタッシュケース等のキャリングバッグなどの表皮材として使用できる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明する。なお、実施例における各物性の測定を以下に示す。
<MFR>JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
<曲げ弾性率>JIS K 7203に準拠し、射出成形によって成形された試験片(厚み6.4mm )を用い、スパン長さ100mm 、荷重速度25mm/分の条件で測定した。測定温度は23℃で行った。なお、実際の自動車の一体部品を形成するためには500MPa以上の剛性を要する。
<−35℃での引っ張り破断伸び>JIS K 6301に準拠し、射出成形によって成形された平板試験片(厚み2.0mm )を、成形時の樹脂の流れ方向(MD方向)及びこれと垂直な方向(TD方向)にJIS K 6301 3号のダンベル形状にそれぞれ打ち抜き、引っ張り速度200mm/分の条件で温度−35℃に管理された恒温槽中で1時間保持した後、標線間(10mm)の伸び(%)を測定した。なお、−35℃展開テストを満足するには、MD及びTDの両方向とも200%以上伸びる必要がある。
<アイゾット衝撃強度>JIS K 7202に準拠し、射出成形によって成形された試験片(厚み3.2mm )を用い、成形後にノッチ加工してノッチ付き衝撃強度を評価した。測定温度は−35℃、−40℃で行った。
<ショアD硬度>プレスシートを作成し、ASTM D2240に準拠し測定した。
【0021】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の主成分であるポリプロピレンブロック共重合体(A)(以下、BPPという)はいずれも、第I段階でプロピレンを単独重合し、第2段階で、エチレンとブテン−1とを共重合することにより得られたものを使用した。
使用したBPP1〜2の性状{ポリプロピレン成分(イ)含量、ポリプロピレン成分のI.I.、エチレン/ブテン−1共重合体成分(ロ)含量、エチレン/ブテン−1共重合体成分中のエチレン含量、エチレン/ブテン−1共重合体成分(ロ)中の(I)キシレン不溶成分含量、(II)キシレン可溶成分中のエチレン含量、(II)キシレン可溶成分のテトラリン135℃中の固有粘度}を表1に示す。また、比較用として、ポリプロピレン成分と、ポリプロピレン/エチレン共重合体とからなるBPP3及びポリプロピレン単独重合体(PP1)の性状について同様に示す。
【0022】
【表1】
Figure 0003654751
スチレン系ゴム重合体(B)として、水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS):シェルジャパン(株)KRATON G 1650、MFR:0.3 (以下、SEBS1という)及びKRATON G 1657、MFR:7(以下、SEBS2という)を用いた。またタルク(C)として、平均粒子径が2.6 μm のもの(以下、タルク1という)を用いた。また、有機系造核剤(D)として、旭電化(株)製:アデカスタブNA−11(以下、核剤1という)を用いた。
実施例1〜6、比較例1〜5
以下の表2に種類及び配合量が示されている各成分に添加剤として、[ペンタエリスリチル−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を0.1 重量部及びトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート0.1 重量部、ステアリン酸カルシウム0.05重量部を配合し、(株)川田製作所製スーパーミキサー(SMV20型)を用いて配合し、(株)神戸製鋼社製同方向2軸押出機(KTX−37型)を用いてシリンダー温度200℃の条件でペレット化した。得られたペレットについてMFRを測定し、これを東芝機械社製射出成形機(IS−170FII)を用いて、温度220℃、金型冷却温度50℃で各試験片を作成した。得られた試験片を相対湿度50%、温度23℃の恒温室に2日間放置後、曲げ弾性率、−35℃での引っ張り破断伸び、−35℃、−40℃でのアイゾット衝撃強度、ショアD硬度をそれぞれ測定した。以上の結果を以下の表2に示す。
【0023】
【表2】
Figure 0003654751
【0024】
【表3】
Figure 0003654751
【0025】
【表4】
Figure 0003654751
【0026】
【表5】
Figure 0003654751
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、高価でありかつリサイクル性に悪影響を与えるスチレン系エラストマーの含量をできるだけ制限しても、自動車の一体部品を形成し得る剛性を有し、かつ−35℃から90℃の温度で現在必要とされる展開動作を示すポリオレフィン系樹脂組成物が得られる。このポリオレフィン系樹脂組成物は、自動車のダッシュボード等の一体部品をかねるエアバックカバー材料に有効である。

Claims (4)

  1. (A)(イ)95以上のアイソタクティシティ指数を有するポリプロピレン成分20〜50重量%と、
    (ロ)25℃においてキシレンに不溶の結晶性ポリエチレンを有する40〜95重量%の結晶性成分(I)と、25℃においてキシレンに可溶であり、30〜85重量%のエチレンを含有する5〜60重量%の非晶性成分(II)とから成り、50〜95重量%のエチレンを含有する、エチレンと、炭素数4個以上のオレフィンとの共重合体成分50〜80重量%と、
    からなるポリプロピレンブロック共重合体 60〜95重量%、
    (B)スチレン系ゴム重合体 5〜25重量%、及び
    (C)タルク 3〜15重量%、
    からなり、前記成分(A)+(B)+(C)=100重量%であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物。
  2. 前記ポリオレフィン系樹脂組成物100重量部に対して、更に、有機系造核剤(D)を0.01〜1重量部含有する請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
  3. −35℃における引っ張り破断伸び(JIS K6301に準拠)が200%を越え、かつ曲げ弾性率が500MPa以上であり、自動車エアバックカバー材料用として使用される請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
  4. 前記炭素数4個以上のオレフィンがブテン−1である請求項1〜3の何れかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
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