JP2015193831A - ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形性が良好で、剛性(引張強さ、引張弾性率)、流れスジ(外観試験)、低温衝撃性及び収縮性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体を提供する。【解決手段】下記条件(A−i)を満足する成分(A)55〜85重量%と、下記条件(B−i)を満足する成分(B)15〜45重量%とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物など。条件(A−i):成分(A)は、プロピレン単独重合体(A1)及びプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体であり、(A2)のα−オレフィンは、炭素原子数が2〜8のα−オレフィン(炭素原子数3を除く)であり、かつ該α−オレフィンの含有量は、0.1〜10重量%である。条件(B−i):成分(B)は、エチレン−α−オレフィンエラストマーである成分(B1)60〜95重量%と、スチレン系エラストマーである成分(B2)5〜40重量%とを含有する。【選択図】なし
Description
本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体に関し、さらに詳しくは、成形性に加え、剛性(引張強さ、引張弾性率)、流れスジ(外観試験)、低温衝撃性(低温衝撃強度)および収縮性(成形収縮率)に優れたポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体に関する。
ポリプロピレン系樹脂組成物は、物性、成形性、リサイクル性及び経済性などに優れた樹脂材料として、その使用分野が拡がり、中でもドアトリム、インストルメントパネル、ピラーなどの自動車部品、テレビ、掃除機などの電気機器部品の分野などでは、ポリプロピレン系樹脂や、ポリプロピレン系樹脂にエラストマー(ゴム)を複合強化した複合ポリプロピレン系樹脂などのポリプロピレン系樹脂組成物が成形性、物性バランス、リサイクル性や経済性などに優れるため、その成形体を含め様々な分野で広く用いられている。
これらの分野においては、益々進むポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体の高機能化、大型化、用途の多様化・複雑化など、とりわけ自動車内装部品分野などにおける高品質化に対応するなどのため、ポリプロピレン系樹脂組成物やその成形体の成形性のほか、高剛性および低温衝撃性に加え、収縮性に優れたポリプロピレン複合材料の開発が望まれている。
これらの分野においては、益々進むポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体の高機能化、大型化、用途の多様化・複雑化など、とりわけ自動車内装部品分野などにおける高品質化に対応するなどのため、ポリプロピレン系樹脂組成物やその成形体の成形性のほか、高剛性および低温衝撃性に加え、収縮性に優れたポリプロピレン複合材料の開発が望まれている。
ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体に、エラストマーを含有させて、該樹脂組成物及びその成形体の衝撃性を向上させることは、広く行われている。例えば、特許文献1には、ポリプロピレン系重合体と水添スチレン系ブロック共重合体を含有させることによって、曲げ弾性率、耐衝撃性(室温)、荷重たわみ温度、発色性及びウェルドラインに優れることが記載されているが、低温衝撃性や収縮性については、何ら検討されておらず、その性能は不十分である。
本発明の課題は、上記従来技術の問題点等に鑑み、成形性が良好であり、剛性(引張強さ、引張弾性率)、流れスジ(外観試験)、低温衝撃性(低温衝撃強度)及び収縮性(成形収縮率)に優れたポリプロピレン系樹脂組成物、及びその成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、特定のプロピレン重合体に、エチレン−α−オレフィンエラストマー及びスチレン系エラストマーを、特定の割合で配合してなるポリプロピレン系樹脂組成物、あるいはそれを用いてなる成形体が上記の課題を解決できることを見出し、これらの知見に基き、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、成分(A)及び(B)の合計100重量%基準で、下記の条件(A−i)を満足する成分(A)55〜85重量%と、下記の条件(B−i)を満足する成分(B)15〜45重量%とを含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
条件(A−i):成分(A)は、下記の条件(A−ii)〜(A−iv)を満足するプロピレン単独重合体(A1)及び下記の条件(A−ii)〜(A−iv)を満足するプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体であり、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)のα−オレフィンは、炭素原子数が2〜8のα−オレフィン(但し、炭素原子数3を除く。)であり、かつ該α−オレフィンの含有量は、0.1〜10重量%である(但し、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)中のプロピレン及びα−オレフィン含有量の合計を100重量%とする。)。
条件(A−ii):重合体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.5〜200g/10分である。
条件(A−iii):DSC法による測定において、重合体は、110〜175℃の範囲に融解ピーク温度(Tm)のピークを示す。
条件(A−iv):重合体のJIS K7161により測定された引張強さが25〜50MPaである。
条件(B−i):成分(B)は、成分(B1)及び(B2)の合計100重量%基準で、下記の条件(B1−i)〜(B1−iii)を満足する成分(B1)60〜95重量%と、下記の条件(B2−i)〜(B2−iii)を満足する成分(B2)5〜40重量%とを含有する。
条件(B1−i):成分(B1)は、エチレン−α−オレフィンエラストマーであって、該α−オレフィンは、炭素原子数が4〜8のα−オレフィンである。
条件(B1−ii):成分(B1)の密度が0.86〜0.92g/cm3である。
条件(B1−iii):成分(B1)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.5〜100g/10分である。
条件(B2−i):成分(B2)がスチレン系エラストマーである。
条件(B2−ii):成分(B2)の密度が0.88〜0.90g/cm3である。
条件(B2−iii):成分(B2)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が3〜15g/10分である。
条件(A−i):成分(A)は、下記の条件(A−ii)〜(A−iv)を満足するプロピレン単独重合体(A1)及び下記の条件(A−ii)〜(A−iv)を満足するプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体であり、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)のα−オレフィンは、炭素原子数が2〜8のα−オレフィン(但し、炭素原子数3を除く。)であり、かつ該α−オレフィンの含有量は、0.1〜10重量%である(但し、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)中のプロピレン及びα−オレフィン含有量の合計を100重量%とする。)。
条件(A−ii):重合体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.5〜200g/10分である。
条件(A−iii):DSC法による測定において、重合体は、110〜175℃の範囲に融解ピーク温度(Tm)のピークを示す。
条件(A−iv):重合体のJIS K7161により測定された引張強さが25〜50MPaである。
条件(B−i):成分(B)は、成分(B1)及び(B2)の合計100重量%基準で、下記の条件(B1−i)〜(B1−iii)を満足する成分(B1)60〜95重量%と、下記の条件(B2−i)〜(B2−iii)を満足する成分(B2)5〜40重量%とを含有する。
条件(B1−i):成分(B1)は、エチレン−α−オレフィンエラストマーであって、該α−オレフィンは、炭素原子数が4〜8のα−オレフィンである。
条件(B1−ii):成分(B1)の密度が0.86〜0.92g/cm3である。
条件(B1−iii):成分(B1)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.5〜100g/10分である。
条件(B2−i):成分(B2)がスチレン系エラストマーである。
条件(B2−ii):成分(B2)の密度が0.88〜0.90g/cm3である。
条件(B2−iii):成分(B2)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が3〜15g/10分である。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、成分(A)は、少なくともその一部にプロピレン単独重合体(A1)を含むポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、成分(A)は、成分(A1)及び(A2)の合計100重量%基準で、プロピレン単独重合体(A1)40〜90重量%と、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)10〜60重量%とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、成分(A)は、成分(A1)及び(A2)の合計100重量%基準で、プロピレン単独重合体(A1)40〜90重量%と、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)10〜60重量%とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明に係るポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなる成形体が提供される。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体は、成形性に加え、剛性(引張強さ、引張弾性率)、流れスジ(外観試験)、低温衝撃性(低温衝撃強度)および収縮性(成形収縮率)に優れている。
そのため、ドアトリム、インストルメントパネル、ピラー類、グローブボックス、コンソールボックス、肘掛け、グリップノブ、各種トリム類、天井部品、ハウジング類、マッドガード、バンパー、フェンダー、バックドア、ファンシュラウドなどの自動車用内外装部品及びエンジンルーム内部品などの自動車部品をはじめ、テレビ、掃除機などの電気機器部品、各種工業部品、便座などの住宅設備機器部品、建材部品などの用途に、好適に用いることができる。
そのため、ドアトリム、インストルメントパネル、ピラー類、グローブボックス、コンソールボックス、肘掛け、グリップノブ、各種トリム類、天井部品、ハウジング類、マッドガード、バンパー、フェンダー、バックドア、ファンシュラウドなどの自動車用内外装部品及びエンジンルーム内部品などの自動車部品をはじめ、テレビ、掃除機などの電気機器部品、各種工業部品、便座などの住宅設備機器部品、建材部品などの用途に、好適に用いることができる。
本発明は、特定の成分(A)55〜85重量%と、エチレン−α−オレフィンエラストマー(以下、単に成分(B1)ともいう。)及びスチレン系エラストマー(以下、単に成分(B2)ともいう。)からなるエラストマー(B)(以下、単に成分(B)ともいう。)15〜45重量%とを、含有してなるポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体に関する。
以下、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物、その製造方法及びその成形体について、各項目毎に、詳細に説明する。
[I]ポリプロピレン系樹脂組成物の構成成分
1.成分(A)
本発明に用いられる成分(A)は、次の下記の条件(A−i)を満足する。
条件(A−i):成分(A)は、下記の条件(A−ii)〜(A−iv)を満足するプロピレン単独重合体(A1)及び下記の条件(A−ii)〜(A−iv)を満足するプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体であり、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)のα−オレフィンは、炭素原子数が2〜8のα−オレフィン(但し、炭素原子数3を除く。)であり、かつ該α−オレフィンの含有量は、0.1〜10重量%である(但し、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)中のプロピレン及びα−オレフィン含有量の合計を100重量%とする。)。
条件(A−ii):重合体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.5〜200g/10分である。
条件(A−iii):DSC法による測定において、重合体は、110〜175℃の範囲に融解ピーク温度(Tm)のピークを示す。
条件(A−iv):重合体のJIS K7161により測定された引張強さが25〜50MPaである。
1.成分(A)
本発明に用いられる成分(A)は、次の下記の条件(A−i)を満足する。
条件(A−i):成分(A)は、下記の条件(A−ii)〜(A−iv)を満足するプロピレン単独重合体(A1)及び下記の条件(A−ii)〜(A−iv)を満足するプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体であり、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)のα−オレフィンは、炭素原子数が2〜8のα−オレフィン(但し、炭素原子数3を除く。)であり、かつ該α−オレフィンの含有量は、0.1〜10重量%である(但し、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)中のプロピレン及びα−オレフィン含有量の合計を100重量%とする。)。
条件(A−ii):重合体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.5〜200g/10分である。
条件(A−iii):DSC法による測定において、重合体は、110〜175℃の範囲に融解ピーク温度(Tm)のピークを示す。
条件(A−iv):重合体のJIS K7161により測定された引張強さが25〜50MPaである。
(1)各要件について
(1−1)条件(A−i)
本発明に用いられる成分(A)は、後述する条件(A−ii)〜(A−iv)を満足するプロピレン単独重合体(A1)(以下、単に成分(A1)と略記することがある)及び後述する条件(A−ii)〜(A−iv)を満足するプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)(以下、単に成分(A2)と略記することがある)からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体であり、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)のα−オレフィンは、炭素原子数が2〜8のα−オレフィン(但し、炭素原子数3を除く。)であり、かつ該α−オレフィンの含有量は、0.1〜10重量%である(但し、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)中のプロピレン及びα−オレフィン含有量の合計を100重量%とする。)。
該α−オレフィンの含有量は、0.2〜8重量%が好ましく、0.3〜5重量%が更に好ましく、0.5〜3重量%が特に好ましい。α−オレフィンの含有量が上記範囲にあると、剛性(引張強さ、引張弾性率)や低温衝撃強度が良好になる。
また、α−オレフィン含有量を所定の範囲に制御するためには、重合槽に供給するプロピレンとα−オレフィンの量比を、適宜調整すればよい。供給比率と得られるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体中のα−オレフィン含量の関係は、当業者に周知の技術事項であり、メタロセン触媒を用いる場合、その種類によって異なるが、供給比率の調整により、必要とするα−オレフィン含有量を有する成分(A2)を製造することができる。
(1−1)条件(A−i)
本発明に用いられる成分(A)は、後述する条件(A−ii)〜(A−iv)を満足するプロピレン単独重合体(A1)(以下、単に成分(A1)と略記することがある)及び後述する条件(A−ii)〜(A−iv)を満足するプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)(以下、単に成分(A2)と略記することがある)からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体であり、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)のα−オレフィンは、炭素原子数が2〜8のα−オレフィン(但し、炭素原子数3を除く。)であり、かつ該α−オレフィンの含有量は、0.1〜10重量%である(但し、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)中のプロピレン及びα−オレフィン含有量の合計を100重量%とする。)。
該α−オレフィンの含有量は、0.2〜8重量%が好ましく、0.3〜5重量%が更に好ましく、0.5〜3重量%が特に好ましい。α−オレフィンの含有量が上記範囲にあると、剛性(引張強さ、引張弾性率)や低温衝撃強度が良好になる。
また、α−オレフィン含有量を所定の範囲に制御するためには、重合槽に供給するプロピレンとα−オレフィンの量比を、適宜調整すればよい。供給比率と得られるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体中のα−オレフィン含量の関係は、当業者に周知の技術事項であり、メタロセン触媒を用いる場合、その種類によって異なるが、供給比率の調整により、必要とするα−オレフィン含有量を有する成分(A2)を製造することができる。
成分(A2)に用いられる炭素原子数3(プロピレン)を除く炭素原子数2〜8のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、1−オクテン等を挙げることができる。
また、プロピレンと共重合させる炭素原子数3(プロピレン)を除く炭素数2〜8のα−オレフィンであるコモノマーは、1種用いてもよいし、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、プロピレンと共重合させる炭素原子数3(プロピレン)を除く炭素数2〜8のα−オレフィンであるコモノマーは、1種用いてもよいし、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)としては、具体的に、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテン−1ランダム共重合体、プロピレン−ペンテン−1ランダム共重合体、プロピレン−ヘキセン−1ランダム共重合体、プロピレン−オクテン−1ランダム共重合体のような二元共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ヘキセン−1ランダム共重合体のような三元共重合体などが挙げられ、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体などが好ましく、物性バランスに優れ、入手が容易なプロピレン−エチレンランダム共重合体が特に好ましい。
また、より高い剛性(引張強さ、引張弾性率)を必要とする場合は、成分(A)は、少なくともその一部にプロピレン単独重合体(A1)を含むことが好ましい。更に、より好ましい態様として、成分(A)は、成分(A1)及び(A2)の合計100重量%基準で、プロピレン単独重合体(A1)40〜90重量%と、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)10〜60重量%、さらに好ましくはプロピレン単独重合体(A1)50〜70重量%と、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)30〜50重量%とを含有することが挙げられる。このような態様とすることにより、より高い剛性(引張強さ、引張弾性率)を保ったまま、良好な低温衝撃強度と成形収縮率を達成することが可能となり、より物性バランスに優れた本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を得ることが可能となる。
(1−2)条件(A−ii):メルトフローレート(MFR)
本発明に用いられる重合体のメルトフローレート(以下、MFRと略記することがある)(230℃、2.16kg荷重)は、0.5〜200g/10分の範囲にあることが必要であり、好ましくは3〜150g/10分、より好ましくは5〜50g/10分の範囲である。重合体のMFRをこの様な範囲とすることにより、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体において、良好な成形性を保つと共に、高い剛性(引張強さ、引張弾性率)や優れた低温衝撃強度を得ることが可能となる。即ち、MFRが0.5g/10分未満であると、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体において、剛性(引張強さ、引張弾性率)や成形性(流動性)が低下する場合がある。一方、MFRが200g/10分を超えると、低温衝撃強度が低下するおそれがある。
また、MFRは、重合体を製造する際に使用する触媒の種類や重合の温度、圧力を変えるか、または、一般的な手法としては、水素等の連鎖移動剤を重合時に添加し、その添加量を調整する方法により、容易に調整することができる。
なお、本明細書において、MFRは、JIS K7210に準拠し、試験温度=230℃、荷重=2.16kgで測定した値である。
また、ここでいう重合体は、条件(A−ii)〜(A−iv)を満足するプロピレン単独重合体(A1)及び条件(A−ii)〜(A−iv)を満足するプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体のことをいう。
本発明に用いられる重合体のメルトフローレート(以下、MFRと略記することがある)(230℃、2.16kg荷重)は、0.5〜200g/10分の範囲にあることが必要であり、好ましくは3〜150g/10分、より好ましくは5〜50g/10分の範囲である。重合体のMFRをこの様な範囲とすることにより、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体において、良好な成形性を保つと共に、高い剛性(引張強さ、引張弾性率)や優れた低温衝撃強度を得ることが可能となる。即ち、MFRが0.5g/10分未満であると、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体において、剛性(引張強さ、引張弾性率)や成形性(流動性)が低下する場合がある。一方、MFRが200g/10分を超えると、低温衝撃強度が低下するおそれがある。
また、MFRは、重合体を製造する際に使用する触媒の種類や重合の温度、圧力を変えるか、または、一般的な手法としては、水素等の連鎖移動剤を重合時に添加し、その添加量を調整する方法により、容易に調整することができる。
なお、本明細書において、MFRは、JIS K7210に準拠し、試験温度=230℃、荷重=2.16kgで測定した値である。
また、ここでいう重合体は、条件(A−ii)〜(A−iv)を満足するプロピレン単独重合体(A1)及び条件(A−ii)〜(A−iv)を満足するプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体のことをいう。
(1−3)条件(A−iii):融解ピーク温度(Tm)
本発明に用いられる重合体は、DSC(示差走査熱量計)法により測定された融解ピーク温度(Tm)のピークを、110℃〜175℃の範囲に示すことが必要である。重合体が、融解ピーク温度(Tm)のピークをこの範囲に示すことにより、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体において、剛性(引張強さ、引張弾性率)と低温衝撃強度を共に良好な範囲とすることができる。即ち、融解ピーク温度(Tm)が110℃未満であると、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体において、剛性(引張強さ、引張弾性率)が低下する場合がある。一方、融解ピーク温度(Tm)175℃を超えると、低温衝撃強度などが低下するおそれがある。
なお、本明細書において、融解ピーク温度(Tm)は、後記する実施例の項に記述する方法により決定されるが、同等の装置を用いて測定、決定することも可能である。
また、融解ピーク温度(Tm)の制御は、例えば、重合体を製造する際に使用する触媒の種類を選択したり、重合体としてプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)を使用する場合は、該プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)製造時の重合槽に供給するプロピレンとα−オレフィンの量比を、適宜調整する等により、可能である。融解ピーク温度(Tm)を、例えば、110℃〜175℃に制御するためには、使用する触媒の種類にも依存するが、α−オレフィン含有量が概ね0.1〜10重量%程度の範囲で調整することにより、所望の融解ピーク温度(Tm)を有する重合体を製造することができる。
本発明に用いられる重合体は、DSC(示差走査熱量計)法により測定された融解ピーク温度(Tm)のピークを、110℃〜175℃の範囲に示すことが必要である。重合体が、融解ピーク温度(Tm)のピークをこの範囲に示すことにより、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体において、剛性(引張強さ、引張弾性率)と低温衝撃強度を共に良好な範囲とすることができる。即ち、融解ピーク温度(Tm)が110℃未満であると、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体において、剛性(引張強さ、引張弾性率)が低下する場合がある。一方、融解ピーク温度(Tm)175℃を超えると、低温衝撃強度などが低下するおそれがある。
なお、本明細書において、融解ピーク温度(Tm)は、後記する実施例の項に記述する方法により決定されるが、同等の装置を用いて測定、決定することも可能である。
また、融解ピーク温度(Tm)の制御は、例えば、重合体を製造する際に使用する触媒の種類を選択したり、重合体としてプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)を使用する場合は、該プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)製造時の重合槽に供給するプロピレンとα−オレフィンの量比を、適宜調整する等により、可能である。融解ピーク温度(Tm)を、例えば、110℃〜175℃に制御するためには、使用する触媒の種類にも依存するが、α−オレフィン含有量が概ね0.1〜10重量%程度の範囲で調整することにより、所望の融解ピーク温度(Tm)を有する重合体を製造することができる。
(1−4)条件(A−iv):引張強さ
重合体のJIS K7161により測定された引張強さは、25〜50MPaの範囲にあることが必要であり、より好ましくは25〜45MPaの範囲である。引張強さをこの様な範囲とすることにより、高い剛性を保ったまま、良好な成形性を達成することが可能となる。即ち、引張強さが25MPa未満であると、剛性が低下する場合が有り、引張強さが45MPaを超えると、流動性(MFR)が低下し、良好な成形性を達成することが困難となるおそれがある。
重合体のJIS K7161により測定された引張強さは、25〜50MPaの範囲にあることが必要であり、より好ましくは25〜45MPaの範囲である。引張強さをこの様な範囲とすることにより、高い剛性を保ったまま、良好な成形性を達成することが可能となる。即ち、引張強さが25MPa未満であると、剛性が低下する場合が有り、引張強さが45MPaを超えると、流動性(MFR)が低下し、良好な成形性を達成することが困難となるおそれがある。
(2)配合量比
本発明に用いられる成分(A)の配合量は、成分(A)及び成分(B)の合計100重量%基準で、55〜85重量%、好ましくは60〜80重量%、さらに好ましくは65〜75重量%である。言い換えると、成分(B)の配合量は、15〜45重量%、好ましくは20〜40重量%、さらに好ましくは25〜35重量%である。
成分(A)の配合量をこの様な範囲とすることにより、本発明のプロピレン系樹脂組成物及びその成形体の、引張強さ、引張弾性率、低温衝撃強度、成形性(MFR)及び成形収縮率を全て良好で、バランスがいいものとすることが可能となる。即ち、成分(A)の配合量が55重量%未満であると、本発明の組成物及びその成形体の剛性(引張強さ、引張弾性率)や成形性および成形収縮率などが悪化するおそれがある。一方、成分(A)の配合量が85重量%を超えると、低温衝撃強度などが低下するおそれがある。
本発明に用いられる成分(A)の配合量は、成分(A)及び成分(B)の合計100重量%基準で、55〜85重量%、好ましくは60〜80重量%、さらに好ましくは65〜75重量%である。言い換えると、成分(B)の配合量は、15〜45重量%、好ましくは20〜40重量%、さらに好ましくは25〜35重量%である。
成分(A)の配合量をこの様な範囲とすることにより、本発明のプロピレン系樹脂組成物及びその成形体の、引張強さ、引張弾性率、低温衝撃強度、成形性(MFR)及び成形収縮率を全て良好で、バランスがいいものとすることが可能となる。即ち、成分(A)の配合量が55重量%未満であると、本発明の組成物及びその成形体の剛性(引張強さ、引張弾性率)や成形性および成形収縮率などが悪化するおそれがある。一方、成分(A)の配合量が85重量%を超えると、低温衝撃強度などが低下するおそれがある。
(3)成分(A)の製造方法
成分(A)の製造方法は、条件(A−i)〜(A−iv)を満足する重合体を得ることができる限り、特に限定されず、公知の製造方法により、製造することができる。
本発明に用いられる成分(A)を得るために用いられる触媒は、特に限定されるものではなく、公知の触媒が使用可能である。例えば、チタン化合物と有機アルミニウムを組み合わせた、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒(例えば、「ポリプロピレンハンドブック」(1998年5月15日 初版第1刷発行)等に記載)、あるいはメタロセン触媒(例えば、特開平5−295022号公報等に記載)が使用できる。
成分(A)の製造方法は、条件(A−i)〜(A−iv)を満足する重合体を得ることができる限り、特に限定されず、公知の製造方法により、製造することができる。
本発明に用いられる成分(A)を得るために用いられる触媒は、特に限定されるものではなく、公知の触媒が使用可能である。例えば、チタン化合物と有機アルミニウムを組み合わせた、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒(例えば、「ポリプロピレンハンドブック」(1998年5月15日 初版第1刷発行)等に記載)、あるいはメタロセン触媒(例えば、特開平5−295022号公報等に記載)が使用できる。
本発明に用いられる成分(A)を得るために用いられる重合プロセスは、特に限定されるものではなく、公知の重合プロセスが使用可能である。例えば、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法等が使用できる。また、バッチ重合法や連続重合法のいずれも用いることができ、所望により、二段及び三段等の複数段の連続重合法を用いてもよい。また、2種以上のプロピレン系重合体を機械的に溶融混練することによっても、製造することができる。
また、成分(A)として使用可能なポリプロピレン樹脂は、種々の製品が多くの会社から市販されており、例えば、日本ポリプロ社製のノバテックシリーズやウィンテックシリーズ等を挙げることができる。これら市販の製品から所望の物性を有する製品を購入し、使用することも、可能である。
また、成分(A)として使用可能なポリプロピレン樹脂は、種々の製品が多くの会社から市販されており、例えば、日本ポリプロ社製のノバテックシリーズやウィンテックシリーズ等を挙げることができる。これら市販の製品から所望の物性を有する製品を購入し、使用することも、可能である。
2.成分(B)
本発明に用いられる成分(B)は、下記の条件(B1−i)〜(B1−iii)を満足する成分(B1)60〜95重量%と、下記の条件(B2−i)〜(B2−iii)を満足する成分(B2)5〜40重量%とを含有する(但し、成分(B1)と成分(B2)との合計を100重量%とする)。
条件(B1−i):成分(B1)は、エチレン−α−オレフィンエラストマーであって、該α−オレフィンは、炭素原子数が4〜8のα−オレフィンである。
条件(B1−ii):成分(B1)の密度が0.86〜0.92g/cm3である。
条件(B1−iii):成分(B1)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.5〜100g/10分である。
条件(B2−i):成分(B2)がスチレン系エラストマーである。
条件(B2−ii):成分(B2)の密度が0.88〜0.90g/cm3である。
条件(B2−iii):成分(B2)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が3〜15g/10分である。
本発明に用いられる成分(B)は、下記の条件(B1−i)〜(B1−iii)を満足する成分(B1)60〜95重量%と、下記の条件(B2−i)〜(B2−iii)を満足する成分(B2)5〜40重量%とを含有する(但し、成分(B1)と成分(B2)との合計を100重量%とする)。
条件(B1−i):成分(B1)は、エチレン−α−オレフィンエラストマーであって、該α−オレフィンは、炭素原子数が4〜8のα−オレフィンである。
条件(B1−ii):成分(B1)の密度が0.86〜0.92g/cm3である。
条件(B1−iii):成分(B1)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.5〜100g/10分である。
条件(B2−i):成分(B2)がスチレン系エラストマーである。
条件(B2−ii):成分(B2)の密度が0.88〜0.90g/cm3である。
条件(B2−iii):成分(B2)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が3〜15g/10分である。
(1)各要件について
(1−1)条件(B1−i)
本発明に用いられる成分(B1)は、エチレン−α−オレフィンエラストマーであり、該α−オレフィンは、炭素原子数が4〜8のα−オレフィンである。
上記エチレン−α−オレフィンエラストマーとしては、例えば、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(EPR)、エチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)、エチレン・ヘキセン共重合体エラストマー(EHR)、エチレン・オクテン共重合体エラストマー(EOR)などのエチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー;エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・ブタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・イソプレン共重合体などのエチレン・α−オレフィン・ジエン三元共重合体エラストマーなどを挙げることができる。
中でも、エチレン・オクテン共重合体エラストマー(EOR)やエチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)を使用すると、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体において、成形収縮率が低く、剛性(引張強さ、引張弾性率)、低温衝撃強度などの性能がより優れ、更に入手も容易で、経済性にも優れることが多いことなどの点から好ましい。
(1−1)条件(B1−i)
本発明に用いられる成分(B1)は、エチレン−α−オレフィンエラストマーであり、該α−オレフィンは、炭素原子数が4〜8のα−オレフィンである。
上記エチレン−α−オレフィンエラストマーとしては、例えば、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(EPR)、エチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)、エチレン・ヘキセン共重合体エラストマー(EHR)、エチレン・オクテン共重合体エラストマー(EOR)などのエチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー;エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・ブタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・イソプレン共重合体などのエチレン・α−オレフィン・ジエン三元共重合体エラストマーなどを挙げることができる。
中でも、エチレン・オクテン共重合体エラストマー(EOR)やエチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)を使用すると、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体において、成形収縮率が低く、剛性(引張強さ、引張弾性率)、低温衝撃強度などの性能がより優れ、更に入手も容易で、経済性にも優れることが多いことなどの点から好ましい。
(1−2)条件(B1−ii):密度
本発明に用いられる成分(B1)は、その密度が0.86〜0.92g/cm3、好ましくは0.86〜0.90g/cm3、さらに好ましくは0.86〜0.875g/cm3の範囲内にある。密度をこの様な範囲とすることにより、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体において、剛性(引張強さ、引張弾性率)と低温衝撃強度を共に良好なものとすることが可能となる。即ち、密度が0.86g/cm3未満であると、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体において、剛性(引張強さ、引張弾性率)が低下する傾向となり、一方、密度が0.92g/cm3を超えると、低温衝撃強度が低下するおそれがある。
本発明に用いられる成分(B1)は、その密度が0.86〜0.92g/cm3、好ましくは0.86〜0.90g/cm3、さらに好ましくは0.86〜0.875g/cm3の範囲内にある。密度をこの様な範囲とすることにより、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体において、剛性(引張強さ、引張弾性率)と低温衝撃強度を共に良好なものとすることが可能となる。即ち、密度が0.86g/cm3未満であると、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体において、剛性(引張強さ、引張弾性率)が低下する傾向となり、一方、密度が0.92g/cm3を超えると、低温衝撃強度が低下するおそれがある。
(1−3)条件(B1−iii):メルトフローレート(MFR)
成分(B1)のMFR(230℃、2.16kg荷重)は、0.5〜100g/10分の範囲であり、好ましくは1.5〜50g/10分、さらに好ましくは2〜15g/10分の範囲である。MFRをこの様な範囲とすることにより、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体において、良好な成形性を保ちつつ、低温衝撃強度を好適な範囲とすることが可能となる。即ち、MFRが0.5g/10分未満であると、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体の成形性(流動性)が低下する傾向となり、一方、MFRが100g/10分を超えると、低温衝撃強度が低下する場合がある。
なお、成分(B1)として使用可能なエチレン−α−オレフィンエラストマーは、種々の製品が多くの会社から市販されており、例えば、ダウ・ケミカル社製のエンゲージシリーズ等を挙げることができる。これら市販の製品から所望の物性を有する製品を購入し、使用することが可能である。
成分(B1)のMFR(230℃、2.16kg荷重)は、0.5〜100g/10分の範囲であり、好ましくは1.5〜50g/10分、さらに好ましくは2〜15g/10分の範囲である。MFRをこの様な範囲とすることにより、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体において、良好な成形性を保ちつつ、低温衝撃強度を好適な範囲とすることが可能となる。即ち、MFRが0.5g/10分未満であると、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体の成形性(流動性)が低下する傾向となり、一方、MFRが100g/10分を超えると、低温衝撃強度が低下する場合がある。
なお、成分(B1)として使用可能なエチレン−α−オレフィンエラストマーは、種々の製品が多くの会社から市販されており、例えば、ダウ・ケミカル社製のエンゲージシリーズ等を挙げることができる。これら市販の製品から所望の物性を有する製品を購入し、使用することが可能である。
(1−4)条件(B2−i):
本発明に用いられる成分(B2)は、スチレン系エラストマーである。
上記スチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体エラストマー(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体エラストマー(SIS)、スチレン−エチレン・ブチレン共重合体エラストマー(SEB)、スチレン−エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(SEP)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体エラストマー(SEBS)、スチレン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体エラストマー(SEBC)、水添スチレン・ブタジエンエラストマー(HSBR)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体エラストマー(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体エラストマー(SEEPS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体エラストマー(SBBS)などを挙げることができる。中でも、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体において、低温衝撃強度が良好となり、入手が容易で、経済性にも優れるという点から、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体エラストマー(SEBS)が好ましい。
本発明に用いられる成分(B2)は、スチレン系エラストマーである。
上記スチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体エラストマー(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体エラストマー(SIS)、スチレン−エチレン・ブチレン共重合体エラストマー(SEB)、スチレン−エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(SEP)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体エラストマー(SEBS)、スチレン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体エラストマー(SEBC)、水添スチレン・ブタジエンエラストマー(HSBR)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体エラストマー(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体エラストマー(SEEPS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体エラストマー(SBBS)などを挙げることができる。中でも、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体において、低温衝撃強度が良好となり、入手が容易で、経済性にも優れるという点から、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体エラストマー(SEBS)が好ましい。
(1−5)条件(B2−ii):密度
本発明に用いられる成分(B2)は、その密度が0.88〜0.90g/cm3の範囲内にある。密度をこの様な範囲とすることにより、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体において、剛性(引張強さ、引張弾性率)と低温衝撃強度を共に良好なものとすることが可能となる。即ち、密度が0.88g/cm3未満であると、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体において、剛性(引張強さ、引張弾性率)が低下する傾向となり、一方、密度が0.90g/cm3を超えると、低温衝撃強度が低下するおそれがある。
本発明に用いられる成分(B2)は、その密度が0.88〜0.90g/cm3の範囲内にある。密度をこの様な範囲とすることにより、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体において、剛性(引張強さ、引張弾性率)と低温衝撃強度を共に良好なものとすることが可能となる。即ち、密度が0.88g/cm3未満であると、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体において、剛性(引張強さ、引張弾性率)が低下する傾向となり、一方、密度が0.90g/cm3を超えると、低温衝撃強度が低下するおそれがある。
(1−6)条件(B2−iii):メルトフローレート(MFR)
成分(B2)のMFR(230℃、2.16kg荷重)は、3〜15g/10分の範囲内であり、好ましくは3.5〜10g/10分、さらに好ましくは4〜5g/10分の範囲内である。MFRをこの様な範囲とすることにより、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体において、良好な成形性を保ちつつ、低温衝撃強度を好適な範囲とすることが可能となる。即ち、MFRが3g/10分未満であると、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体の成形性(流動性)が低下する傾向となり、一方、MFRが100g/10分を超えると、低温衝撃強度が低下する場合がある。
成分(B2)のMFR(230℃、2.16kg荷重)は、3〜15g/10分の範囲内であり、好ましくは3.5〜10g/10分、さらに好ましくは4〜5g/10分の範囲内である。MFRをこの様な範囲とすることにより、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体において、良好な成形性を保ちつつ、低温衝撃強度を好適な範囲とすることが可能となる。即ち、MFRが3g/10分未満であると、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体の成形性(流動性)が低下する傾向となり、一方、MFRが100g/10分を超えると、低温衝撃強度が低下する場合がある。
なお、成分(B2)として使用可能なスチレン系エラストマーは、種々の製品が多くの会社から市販されており、例えば、旭化成社製のタフテックシリーズ等を挙げることができる。これら市販の製品から、所望の物性を有する製品を購入し、使用することが可能である。
(2)配合量比
本発明に用いられる成分(B1)と(B2)の配合量は、成分(B1)及び成分(B2)の合計100重量%基準で、成分(B1)が60〜95重量%、好ましくは65〜85重量%、さらに好ましくは70〜80重量%である。言い換えると、成分(B2)が5〜40重量%、好ましくは15〜35重量%、さらに好ましくは20〜30重量%である。このような態様とすることにより、より高い剛性(引張強さ、引張弾性率)や成形収縮率を保ったまま、良好な低温衝撃強度を達成することが可能となると共に、流れスジ(外観評価)も良好となり、より物性バランスに優れた本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を得ることが可能となる。即ち、成分(B1)の配合量が60重量%未満であると、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体の剛性(引張強さ、引張弾性率)、成形性および収縮率などが悪化するおそれがある。一方、成分(B1)の配合量が95重量%を超えると、流れスジ(外観試験)及び低温衝撃性などが低下する傾向となる。
本発明に用いられる成分(B1)と(B2)の配合量は、成分(B1)及び成分(B2)の合計100重量%基準で、成分(B1)が60〜95重量%、好ましくは65〜85重量%、さらに好ましくは70〜80重量%である。言い換えると、成分(B2)が5〜40重量%、好ましくは15〜35重量%、さらに好ましくは20〜30重量%である。このような態様とすることにより、より高い剛性(引張強さ、引張弾性率)や成形収縮率を保ったまま、良好な低温衝撃強度を達成することが可能となると共に、流れスジ(外観評価)も良好となり、より物性バランスに優れた本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を得ることが可能となる。即ち、成分(B1)の配合量が60重量%未満であると、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体の剛性(引張強さ、引張弾性率)、成形性および収縮率などが悪化するおそれがある。一方、成分(B1)の配合量が95重量%を超えると、流れスジ(外観試験)及び低温衝撃性などが低下する傾向となる。
3.任意添加成分
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物においては、上記成分(A)、成分(B)以外に、さらに必要に応じ、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、たとえば所期の効果をさらに向上させたり、他の性能・効果を付与するため、任意添加成分を配合することができる。任意添加成分の添加量としては、ポリプロピレン系樹脂組成物全体を基準として、0.2〜2.0重量%である。
任意添加成分として具体的には、非イオン系などの帯電防止剤、ヒンダードアミン系などの光安定剤、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤、物理発泡剤などの発泡剤、有機金属塩系などの分散剤、顔料などの着色剤、フェノール系などの酸化防止剤、無機化合物などの中和剤、脂肪酸アミド系などの滑剤、窒素化合物などの金属不活性剤、非イオン系などの界面活性剤、チアゾール系などの抗菌・防黴剤、ハロゲン化合物などの難燃剤、蛍光増白剤、気泡防止(消泡)剤、架橋剤、過酸化物、プロセスオイル(配合油)、ブロッキング防止剤、可塑剤、上記成分(A)以外のポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミドやポリエステルなどの熱可塑性樹脂、タルクなどのフィラー、上記成分(B)以外のエラストマー(ゴム様重合体)、その他添加剤などを挙げることができる。これらの成分は、二種以上併用してもよく、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に、後から添加してもよいし、各成分に添加されていてもよく、それぞれの成分においても二種以上併用してもよい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物においては、上記成分(A)、成分(B)以外に、さらに必要に応じ、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、たとえば所期の効果をさらに向上させたり、他の性能・効果を付与するため、任意添加成分を配合することができる。任意添加成分の添加量としては、ポリプロピレン系樹脂組成物全体を基準として、0.2〜2.0重量%である。
任意添加成分として具体的には、非イオン系などの帯電防止剤、ヒンダードアミン系などの光安定剤、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤、物理発泡剤などの発泡剤、有機金属塩系などの分散剤、顔料などの着色剤、フェノール系などの酸化防止剤、無機化合物などの中和剤、脂肪酸アミド系などの滑剤、窒素化合物などの金属不活性剤、非イオン系などの界面活性剤、チアゾール系などの抗菌・防黴剤、ハロゲン化合物などの難燃剤、蛍光増白剤、気泡防止(消泡)剤、架橋剤、過酸化物、プロセスオイル(配合油)、ブロッキング防止剤、可塑剤、上記成分(A)以外のポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミドやポリエステルなどの熱可塑性樹脂、タルクなどのフィラー、上記成分(B)以外のエラストマー(ゴム様重合体)、その他添加剤などを挙げることができる。これらの成分は、二種以上併用してもよく、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に、後から添加してもよいし、各成分に添加されていてもよく、それぞれの成分においても二種以上併用してもよい。
[II]ポリプロピレン系樹脂組成物の製造
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上記成分(A)、成分(B)、さらに必要に応じ、上記任意添加成分を上記配合割合で配合して、タンブラーミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、スクリューブレンダー、リボンブレンダーなどの公知の方法で混合したり、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダ−プラストグラフ、ニーダー等通常の混練機を用いて混練・造粒することによって製造される。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上記成分(A)、成分(B)、さらに必要に応じ、上記任意添加成分を上記配合割合で配合して、タンブラーミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、スクリューブレンダー、リボンブレンダーなどの公知の方法で混合したり、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダ−プラストグラフ、ニーダー等通常の混練機を用いて混練・造粒することによって製造される。
この場合、各成分の分散を良好にすることができる混練・造粒方法を選択することが望ましく、通常は二軸押出機が用いられる。この混練・造粒の際には、上記各成分の配合物を同時に混練してもよいし、また、性能向上を図るべく、各成分を分割、例えば、先ず成分(A)、成分(B)の一部または全部を混練し、その後に残りの成分を混練・造粒することもできる。
[III]ポリプロピレン系樹脂組成物の成形、用途
1.成形
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の成形は、射出成形(ガス射出成形も含む)または射出圧縮成形(プレスインジェクション、ホットフロースタンピング成形、ガス射出圧縮成形も含む)により行われるのが好ましく、その場合、射出成形や射出圧縮成形の技術と、いわゆる発泡成形技術や膨張成形技術とを組み合わせて所望の成形体を得ることもできる。
ポリプロピレン系樹脂組成物の成形には、また、必要に応じて、中空成形、押出成形、圧縮(プレス)成形、発泡(膨張)成形、シート成形、熱成形、スタンピング成形、粉末成形などの種々の成形法を適用することもでき、それにより所望の成形体を得ることもできる。
1.成形
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の成形は、射出成形(ガス射出成形も含む)または射出圧縮成形(プレスインジェクション、ホットフロースタンピング成形、ガス射出圧縮成形も含む)により行われるのが好ましく、その場合、射出成形や射出圧縮成形の技術と、いわゆる発泡成形技術や膨張成形技術とを組み合わせて所望の成形体を得ることもできる。
ポリプロピレン系樹脂組成物の成形には、また、必要に応じて、中空成形、押出成形、圧縮(プレス)成形、発泡(膨張)成形、シート成形、熱成形、スタンピング成形、粉末成形などの種々の成形法を適用することもでき、それにより所望の成形体を得ることもできる。
2.用途、その他
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、成形性に加え、剛性(引張強さ、引張弾性率)と低温衝撃性および収縮性に優れているため、インストルメントパネル、グローブボックス、コンソールボックス、ドアトリム、肘掛け、グリップノブ、各種トリム類、天井部品、ハウジング類、ピラー類、マッドガード、バンパー、フェンダー、バックドア、ファンシュラウドなどの自動車用内外装及びエンジンルーム内部品をはじめ、テレビ・掃除機などの電気電子機器部品、各種工業部品、便座などの住宅設備機器部品、建材部品などの用途に、好適に用いることができる
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、成形性に加え、剛性(引張強さ、引張弾性率)と低温衝撃性および収縮性に優れているため、インストルメントパネル、グローブボックス、コンソールボックス、ドアトリム、肘掛け、グリップノブ、各種トリム類、天井部品、ハウジング類、ピラー類、マッドガード、バンパー、フェンダー、バックドア、ファンシュラウドなどの自動車用内外装及びエンジンルーム内部品をはじめ、テレビ・掃除機などの電気電子機器部品、各種工業部品、便座などの住宅設備機器部品、建材部品などの用途に、好適に用いることができる
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体が良好な引張強さを有するということは、高い剛性(引張強さ、引張弾性率)を示していることを意味する。その引張強さの測定は、JIS K7161に準拠し、試験温度=23℃にて測定された値で、単位はMPaである。本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体においては、引張強さが15MPaより大きいと、実用に供することが可能であり、良好である。特に、引張強さが20MPaより大きいと好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体が良好な低温衝撃強度を示すということは、低温での使用時に、衝撃によるエネルギーを吸収し、高い衝撃強度を有していることを意味する。その低温衝撃強度の測定は、JIS K7111に準拠し、試験温度=−30℃にて測定した値で、単位はkJ/m2である。本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体においては、低温衝撃強度が3.5kJ/m2より大きいと、実用に供することが可能であり、良好である。特に、低温衝撃強度が4kJ/m2より大きいと、好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体が良好な成形性を示すということは、種々の成形体を容易に製造し得ることを意味する。その成形性の評価は、MFRの測定値によって行われ、JIS K7210に準拠し、試験温度=230℃、荷重=2.16kgで測定した値で、単位はg/10分である。本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体においては、MFRが20g/10分以上であると、実用に供することが可能であり、良好である。特に、MFRが25g/10分より大きいと好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体が良好な成形収縮率を示すということは、種々の成形体を製造する際の製品誤差を小さくすることが可能であることを意味する。その成形収縮率の評価は、以下の実施例に示した方法で行われる。本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体においては、収縮率が1.2%以下であると実用に供することが可能であり、良好である。特に、収縮率が1%以下であると好ましい。
本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例で用いた評価法、分析の各法および材料は、以下の通りである。
なお、実施例で用いた評価法、分析の各法および材料は、以下の通りである。
1.評価方法、分析方法
(1)物性評価用平板状試験片
成形機(東芝機械社製EC20型射出成形機)及び下記の金型を用い、下記条件にて物性評価用平板状試験片を作製し、後述する「引張強さ」及び「低温衝撃強度」の評価に用いた。
・金型=物性評価用平板状試験片(10×80×4t(mm))2個取り。
・成形条件=成形温度220℃、金型温度30℃、射出圧力50MPa、射出時間5秒、冷却時間20秒。
(1)物性評価用平板状試験片
成形機(東芝機械社製EC20型射出成形機)及び下記の金型を用い、下記条件にて物性評価用平板状試験片を作製し、後述する「引張強さ」及び「低温衝撃強度」の評価に用いた。
・金型=物性評価用平板状試験片(10×80×4t(mm))2個取り。
・成形条件=成形温度220℃、金型温度30℃、射出圧力50MPa、射出時間5秒、冷却時間20秒。
(2)引張強さ:
上記(1)で作成した平板状試験片を用い、JIS K7161に準拠し、試験温度=23℃にて測定した。単位はMPaである。
なお、ポリプロピレン系樹脂組成物全体の引張強さについては、以下の評価基準で、判定を行った。
○:20MPaより大きい。
△:15MPaより大きく、20MPa以下。
×:15MP以下。
上記(1)で作成した平板状試験片を用い、JIS K7161に準拠し、試験温度=23℃にて測定した。単位はMPaである。
なお、ポリプロピレン系樹脂組成物全体の引張強さについては、以下の評価基準で、判定を行った。
○:20MPaより大きい。
△:15MPaより大きく、20MPa以下。
×:15MP以下。
(3)引張弾性率: 上記(1)で作成した平板状試験片を用い、JIS K7162に準拠し、試験温度=23℃にて測定した。単位はMPaである。 なお、ポリプロピレン系樹脂組成物全体の引張弾性率については、以下の評価基準で、判定を行った。 ○:1000MPaより大きい。 △:600MPa以上、1000MPa以下。 ×:600MPa未満。
(4)低温衝撃強度(低温(−30℃)シャルピー衝撃強度(ノッチ付)):
上記(1)で作製した平板状試験片を用い、JIS K7111に準拠し、試験温度=−30℃にて測定した。単位はkJ/m2である。
なお、低温衝撃強度については、以下の評価基準で、判定を行った。
◎:破断せず(NB)または4kJ/m2超過。 ○:3.5kJ/m2より大きく、4kJ/m2以下。 △:2.0kJ/m2より大きく、3.5kJ/m2以下。 ×:2.0kJ/m2以下。
上記(1)で作製した平板状試験片を用い、JIS K7111に準拠し、試験温度=−30℃にて測定した。単位はkJ/m2である。
なお、低温衝撃強度については、以下の評価基準で、判定を行った。
◎:破断せず(NB)または4kJ/m2超過。 ○:3.5kJ/m2より大きく、4kJ/m2以下。 △:2.0kJ/m2より大きく、3.5kJ/m2以下。 ×:2.0kJ/m2以下。
(5)メルトフローレート(MFR):
JIS K7210に準拠し、試験温度=230℃、荷重=2.16kgで測定した。
なお、ポリプロピレン系樹脂組成物全体のMFRについては、以下の評価基準で、成形性の判定を行った。
○:25g/10分より大きい。
△:20g/10分以上、25g/10分以下。
×:20g/10分未満。
JIS K7210に準拠し、試験温度=230℃、荷重=2.16kgで測定した。
なお、ポリプロピレン系樹脂組成物全体のMFRについては、以下の評価基準で、成形性の判定を行った。
○:25g/10分より大きい。
△:20g/10分以上、25g/10分以下。
×:20g/10分未満。
(6)成形収縮率:
成形機(東芝機械社製EC20型射出成形機)を用い、成形温度200℃、金型温度30℃、射出圧力60MPaにて試験片(平板状:80×40×2t(mm))を作成した。
得られた上記試験片を23℃で48時間保持し、状態調節を行った後、該試験片の樹脂の流れ方向(MD方向)の標線間距離を測定し、金型に刻印された標線間距離に対する収縮率を測定した。この場合の金型に印された標線間距離は70mmである。
なお、成形収縮率については、以下の評価基準で、判定を行った。
○:1.0%以下。
△:1.0%より大きく、1.2%以下。
×:1.2%より大きい。
成形機(東芝機械社製EC20型射出成形機)を用い、成形温度200℃、金型温度30℃、射出圧力60MPaにて試験片(平板状:80×40×2t(mm))を作成した。
得られた上記試験片を23℃で48時間保持し、状態調節を行った後、該試験片の樹脂の流れ方向(MD方向)の標線間距離を測定し、金型に刻印された標線間距離に対する収縮率を測定した。この場合の金型に印された標線間距離は70mmである。
なお、成形収縮率については、以下の評価基準で、判定を行った。
○:1.0%以下。
△:1.0%より大きく、1.2%以下。
×:1.2%より大きい。
(7)流れスジ(外観試験): 以下の条件にて作成した試験片を用い、流れスジ(外観試験)の評価を行った。 ・成形機=東芝機械社製SE220型射出成形機。 ・試験片=平板状(350×100×2.5t(mm))。 ・ゲートより4mm位置に25mm×15mm×15mmの開孔部有り。また、ゲートより8mm位置に2mm×10mm×2mmの凸部有り。 ・鏡面仕上げ。 ・成形条件=成形温度200℃、金型温度40℃、充填時間1.0s。 なお、評価は、目視で判定し、下記基準に従って、流れスジの目立ち具合を判定した。 ◎:流れスジが認められない、もしくはわずかしか認められず、頗る良好である。 ○:流れスジが多少認められるが、良好で十分に実用可能である。 △:流れスジが認められるが、用途により十分に実用可能である。 ×:流れスジが著しく認められ、実用には不適である。
(8)総合評価
引張強さ、低温衝撃強度、メルトフローレート(MFR)及び成形収縮率の4項目の判定結果に基づき、以下の評価基準で、総合評価を行った。以下の評価のうち、△、○、◎の評価が実用可能なレベルである。
◎:4項目についての評価が全て◎又は○であり、非常に良好である。
○:4項目について×評価が全く無いが、何れかの項目一つだけが△評価である。
△+:4項目について×評価が全く無いが、△評価が2個乃至3個存在する。 △−:4項目について×評価が全く無いが、△評価が4個以上存在する。 ×:4項目について1つ以上の×評価が有り、実用に適していない。
引張強さ、低温衝撃強度、メルトフローレート(MFR)及び成形収縮率の4項目の判定結果に基づき、以下の評価基準で、総合評価を行った。以下の評価のうち、△、○、◎の評価が実用可能なレベルである。
◎:4項目についての評価が全て◎又は○であり、非常に良好である。
○:4項目について×評価が全く無いが、何れかの項目一つだけが△評価である。
△+:4項目について×評価が全く無いが、△評価が2個乃至3個存在する。 △−:4項目について×評価が全く無いが、△評価が4個以上存在する。 ×:4項目について1つ以上の×評価が有り、実用に適していない。
(9)融解ピーク温度(Tm):
セイコー・インスツルメンツ社製DSC6200型を用い、サンプル5.0mgを採り、200℃で5分間保持後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させ、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させて測定した。
セイコー・インスツルメンツ社製DSC6200型を用い、サンプル5.0mgを採り、200℃で5分間保持後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させ、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させて測定した。
(10)エチレン含有量
プロピレン−エチレンランダム共重合体中のエチレン含有量は、プロトン完全デカップリング法により、以下の条件に従って、13C−NMRスペクトルを解析することにより求めた。
・機種:日本電子(株)製 GSX−400(炭素核共鳴周波数100MHz以上)
・溶媒:o−ジクロベンゼン+重ベンゼン(4:1(体積比))
・濃度:100mg/mL
・温度:130℃
・パルス角:90°
・パルス間隔:15秒
・積算回数:5,000回以上
スペクトルの帰属は、例えば、Macromolecules 17,1950 (1984)などを参考に行えばよい。上記条件により測定されたスペクトルの帰属は、下記表1の通りである。表1中Sαα等の記号は、Carmanら(Macromolecules 10,536(1977))の表記法に従い、Pは、メチル炭素、Sは、メチレン炭素、Tは、メチン炭素を、それぞれ表わす。
プロピレン−エチレンランダム共重合体中のエチレン含有量は、プロトン完全デカップリング法により、以下の条件に従って、13C−NMRスペクトルを解析することにより求めた。
・機種:日本電子(株)製 GSX−400(炭素核共鳴周波数100MHz以上)
・溶媒:o−ジクロベンゼン+重ベンゼン(4:1(体積比))
・濃度:100mg/mL
・温度:130℃
・パルス角:90°
・パルス間隔:15秒
・積算回数:5,000回以上
スペクトルの帰属は、例えば、Macromolecules 17,1950 (1984)などを参考に行えばよい。上記条件により測定されたスペクトルの帰属は、下記表1の通りである。表1中Sαα等の記号は、Carmanら(Macromolecules 10,536(1977))の表記法に従い、Pは、メチル炭素、Sは、メチレン炭素、Tは、メチン炭素を、それぞれ表わす。
以下、「P」を共重合体連鎖中のプロピレン単位、「E」をエチレン単位とすると、連鎖中には、PPP、PPE、EPE、PEP、PEE、およびEEEの6種類のトリアッドが存在し得る。Macromolecules 15,1150 (1982)などに記されているように、これらトリアッドの濃度と、スペクトルのピーク強度とは、以下の(1)〜(6)の関係式で結び付けられる。
[PPP]=k×I(Tββ) …(1)
[PPE]=k×I(Tβδ) …(2)
[EPE]=k×I(Tδδ) …(3)
[PEP]=k×I(Sββ) …(4)
[PEE]=k×I(Sβδ) …(5)
[EEE]=k×{I(Sδδ)/2+I(Sγδ)/4} …(6)
ここで[ ]はトリアッドの分率を示し、例えば、[PPP]は、全トリアッド中のPPPトリアッドの分率である。したがって、
[PPP]+[PPE]+[EPE]+[PEP]+[PEE]+[EEE]=1 … (7)
である。
また、kは定数であり、Iはスペクトル強度を示し、例えば、I(Tββ)はTββに帰属される28.7ppmのピークの強度を意味する。
上記(1)〜(7)の関係式を用いることにより、各トリアッドの分率が求まり、さらに下式によりエチレン含有量が求まる。
エチレン含有量(モル%)=([PEP]+[PEE]+[EEE])×100
なお、本発明に係るプロピレンランダム共重合体には、少量のプロピレン異種結合(2,1−結合及び/又は1,3−結合)が含まれ、それにより、表2の微小なピークを生じる。
[PPP]=k×I(Tββ) …(1)
[PPE]=k×I(Tβδ) …(2)
[EPE]=k×I(Tδδ) …(3)
[PEP]=k×I(Sββ) …(4)
[PEE]=k×I(Sβδ) …(5)
[EEE]=k×{I(Sδδ)/2+I(Sγδ)/4} …(6)
ここで[ ]はトリアッドの分率を示し、例えば、[PPP]は、全トリアッド中のPPPトリアッドの分率である。したがって、
[PPP]+[PPE]+[EPE]+[PEP]+[PEE]+[EEE]=1 … (7)
である。
また、kは定数であり、Iはスペクトル強度を示し、例えば、I(Tββ)はTββに帰属される28.7ppmのピークの強度を意味する。
上記(1)〜(7)の関係式を用いることにより、各トリアッドの分率が求まり、さらに下式によりエチレン含有量が求まる。
エチレン含有量(モル%)=([PEP]+[PEE]+[EEE])×100
なお、本発明に係るプロピレンランダム共重合体には、少量のプロピレン異種結合(2,1−結合及び/又は1,3−結合)が含まれ、それにより、表2の微小なピークを生じる。
正確なエチレン含有量を求めるには、これら異種結合に由来するピークも考慮して計算に含める必要があるが、異種結合由来のピークの完全な分離・同定が困難であり、また、異種結合量が少量であることから、プロピレン−エチレンランダム共重合体のエチレン含有量は、実質的に異種結合を含まないチーグラー・ナッタ系触媒で製造された共重合体の解析と同じく式(1)〜(7)の関係式を用いて求めることとする。
エチレン含有量のモル%から重量%への換算は、以下の式を用いて行う。
エチレン含有量(重量%)=(28×X/100)/{28×X/100+42×(1−X/100)}×100
ここで、Xは、モル%表示でのエチレン含有量である。
エチレン含有量のモル%から重量%への換算は、以下の式を用いて行う。
エチレン含有量(重量%)=(28×X/100)/{28×X/100+42×(1−X/100)}×100
ここで、Xは、モル%表示でのエチレン含有量である。
2.材料
(1)成分(A):
(1−1)成分(A1):プロピレン単独重合体
・A1−a:ノバテックPP、MA04A(日本ポリプロ社製)
チーグラー系触媒を用いて製造されたプロピレン単独重合体、メルトフローレート(MFR、230℃、2.16kg荷重)40g/10分、融解ピーク温度(Tm)=166℃、引張強さ:40MPa。
(1)成分(A):
(1−1)成分(A1):プロピレン単独重合体
・A1−a:ノバテックPP、MA04A(日本ポリプロ社製)
チーグラー系触媒を用いて製造されたプロピレン単独重合体、メルトフローレート(MFR、230℃、2.16kg荷重)40g/10分、融解ピーク温度(Tm)=166℃、引張強さ:40MPa。
(1−2)成分(A2):プロピレン−α−オレフィン共重合体
・A2−a:ウィンテックWMG03(日本ポリプロ社製)
メタロセン系触媒を用いて製造された、プロピレン−エチレンランダム共重合体(エチレン濃度:0.9重量%)、メルトフローレート(MFR、230℃、2.16kg荷重)30g/10分、融解ピーク温度(Tm)=142℃、引張強さ:30MPa。
・A2−a:ウィンテックWMG03(日本ポリプロ社製)
メタロセン系触媒を用いて製造された、プロピレン−エチレンランダム共重合体(エチレン濃度:0.9重量%)、メルトフローレート(MFR、230℃、2.16kg荷重)30g/10分、融解ピーク温度(Tm)=142℃、引張強さ:30MPa。
(2)成分(B)
(2−1)成分(B1):エチレン−α−オレフィンエラストマー
・B1−a:エンゲージEG8200(ダウ・ケミカル社製)
エチレン−オクテン共重合エラストマー、メルトフローレート(MFR、230℃、2.16kg荷重)10g/10分、密度0.870g/cm3、形状=ペレット。
(2−1)成分(B1):エチレン−α−オレフィンエラストマー
・B1−a:エンゲージEG8200(ダウ・ケミカル社製)
エチレン−オクテン共重合エラストマー、メルトフローレート(MFR、230℃、2.16kg荷重)10g/10分、密度0.870g/cm3、形状=ペレット。
(2−2)成分(B2):スチレン系エラストマー
・B2−a:タフテックH1062(旭化成社製)
水添スチレン系熱可塑性エラストマー、メルトフローレート(MFR、230℃、2.16kg荷重)4.5g/10分、密度0.89g/cm3、形状=ペレット。
・B2−a:タフテックH1062(旭化成社製)
水添スチレン系熱可塑性エラストマー、メルトフローレート(MFR、230℃、2.16kg荷重)4.5g/10分、密度0.89g/cm3、形状=ペレット。
3.実施例及び比較例
[実施例1〜7及び比較例1〜12]
(1)ポリプロピレン系樹脂組成物の製造及び評価
表3に示す割合の前記成分(A)及び成分(B)と、成分(A)及び成分(B)の合計100重量部当たり、BASF社製「IRGANOX1010」を0.1重量部と、BASF社製「IRGAFOS168」を0.05重量部とを混合し、混練装置(テクノベル社製「KZW−15−MG」型2軸押出機)を用いて、混練条件:温度=200℃、スクリュー回転数=400rpm、吐出量=3kg/Hrにて混練、造粒し、ポリプロピレン系樹脂組成物のペレットを製造した。得られたポリプロピレン系樹脂組成物について、評価を行った。結果を表3に示す。
なお、表3において、各成分の配合量は成分(A)と成分(B)との合計に対する重量%で示した。また、カッコ内の数値は、成分(A)((A1)と(A2)との合計)に対する(A1)及び(A2)の重量%、又は成分(B)((B1)と(B2)との合計)に対する(B1)及び(B2)の重量%を示している。
[実施例1〜7及び比較例1〜12]
(1)ポリプロピレン系樹脂組成物の製造及び評価
表3に示す割合の前記成分(A)及び成分(B)と、成分(A)及び成分(B)の合計100重量部当たり、BASF社製「IRGANOX1010」を0.1重量部と、BASF社製「IRGAFOS168」を0.05重量部とを混合し、混練装置(テクノベル社製「KZW−15−MG」型2軸押出機)を用いて、混練条件:温度=200℃、スクリュー回転数=400rpm、吐出量=3kg/Hrにて混練、造粒し、ポリプロピレン系樹脂組成物のペレットを製造した。得られたポリプロピレン系樹脂組成物について、評価を行った。結果を表3に示す。
なお、表3において、各成分の配合量は成分(A)と成分(B)との合計に対する重量%で示した。また、カッコ内の数値は、成分(A)((A1)と(A2)との合計)に対する(A1)及び(A2)の重量%、又は成分(B)((B1)と(B2)との合計)に対する(B1)及び(B2)の重量%を示している。
4.評価
表3に示す結果から、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体の発明要件を満たしている実施例1〜7は、成形性に加え、剛性(引張強さ、引張弾性率)、流れスジ(外観試験)、低温衝撃性および収縮性に優れている。
このように、全ての評価に於いて良好または実用レベルに達していると判定されるため、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、インストルメントパネル、グローブボックス、コンソールボックス、ドアトリム、肘掛け、グリップノブ、各種トリム類、天井部品、ハウジング類、ピラー類、マッドガード、バンパー、フェンダー、バックドア、ファンシュラウドなどの自動車用内外装及びエンジンルーム内部品をはじめ、テレビ・掃除機などの電気電子機器部品、各種工業部品、便座などの住宅設備機器部品、建材部品などの用途に、好適に用いることができることが明白になっている。
表3に示す結果から、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体の発明要件を満たしている実施例1〜7は、成形性に加え、剛性(引張強さ、引張弾性率)、流れスジ(外観試験)、低温衝撃性および収縮性に優れている。
このように、全ての評価に於いて良好または実用レベルに達していると判定されるため、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、インストルメントパネル、グローブボックス、コンソールボックス、ドアトリム、肘掛け、グリップノブ、各種トリム類、天井部品、ハウジング類、ピラー類、マッドガード、バンパー、フェンダー、バックドア、ファンシュラウドなどの自動車用内外装及びエンジンルーム内部品をはじめ、テレビ・掃除機などの電気電子機器部品、各種工業部品、便座などの住宅設備機器部品、建材部品などの用途に、好適に用いることができることが明白になっている。
一方、上記本発明の特定事項を満たさない比較例において、比較例1〜12に示す組成を持ったポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体は、これらの性能バランスが不良で、少なくとも何れか1つの評価項目で実用できないと、判定されており、実施例1〜7に対して見劣りしている。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体は、成形性に加え、剛性(引張強さ、引張弾性率)、流れスジ(外観試験)、低温衝撃性および収縮性に優れている。そのため、インストルメントパネル、グローブボックス、コンソールボックス、ドアトリム、肘掛け、グリップノブ、各種トリム類、天井部品、ハウジング類、ピラー類、マッドガード、バンパー、フェンダー、バックドア、ファンシュラウドなどの自動車用内外装及びエンジンルーム内部品をはじめ、テレビ・掃除機などの電気電子機器部品、各種工業部品、便座などの住宅設備機器部品、建材部品などの用途に、好適に用いることができる。
Claims (4)
- 成分(A)及び(B)の合計100重量%基準で、下記の条件(A−i)を満足する成分(A)55〜85重量%と、下記の条件(B−i)を満足する成分(B)15〜45重量%とを含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
条件(A−i):成分(A)は、下記の条件(A−ii)〜(A−iv)を満足するプロピレン単独重合体(A1)及び下記の条件(A−ii)〜(A−iv)を満足するプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体であり、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)のα−オレフィンは、炭素原子数が2〜8のα−オレフィン(但し、炭素原子数3を除く。)であり、かつ該α−オレフィンの含有量は、0.1〜10重量%である(但し、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)中のプロピレン及びα−オレフィン含有量の合計を100重量%とする。)。
条件(A−ii):重合体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.5〜200g/10分である。
条件(A−iii):DSC法による測定において、重合体は、110〜175℃の範囲に融解ピーク温度(Tm)のピークを示す。
条件(A−iv):重合体のJIS K7161により測定された引張強さが25〜50MPaである。
条件(B−i):成分(B)は、成分(B1)及び(B2)の合計100重量%基準で、下記の条件(B1−i)〜(B1−iii)を満足する成分(B1)60〜95重量%と、下記の条件(B2−i)〜(B2−iii)を満足する成分(B2)5〜40重量%とを含有する。
条件(B1−i):成分(B1)は、エチレン−α−オレフィンエラストマーであって、該α−オレフィンは、炭素原子数が4〜8のα−オレフィンである。
条件(B1−ii):成分(B1)の密度が0.86〜0.92g/cm3である。
条件(B1−iii):成分(B1)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.5〜100g/10分である。
条件(B2−i):成分(B2)がスチレン系エラストマーである。
条件(B2−ii):成分(B2)の密度が0.88〜0.90g/cm3である。
条件(B2−iii):成分(B2)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が3〜15g/10分である。 - 成分(A)は、少なくともその一部にプロピレン単独重合体(A1)を含む請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- 成分(A)は、成分(A1)及び(A2)の合計100重量%基準で、プロピレン単独重合体(A1)40〜90重量%と、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)10〜60重量%とを含有する請求項2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなる成形体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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