JPH07260575A - 着色材の配合修正方法 - Google Patents

着色材の配合修正方法

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JPH07260575A
JPH07260575A JP6052345A JP5234594A JPH07260575A JP H07260575 A JPH07260575 A JP H07260575A JP 6052345 A JP6052345 A JP 6052345A JP 5234594 A JP5234594 A JP 5234594A JP H07260575 A JPH07260575 A JP H07260575A
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JP6052345A
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Takahisa Shinkawa
貴久 新川
Naoki Kato
直樹 加藤
Yuzuru Takahashi
譲 高橋
Shinichi Hori
慎一 堀
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Sumika Color Co Ltd
Original Assignee
Sumika Color Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明は、上記事情に鑑みて、色合わせ過
程で生じる不良色の的確な修正配合を迅速に得られる着
色材の配合修正方法を提供する。 【構成】 この発明の着色材の配合修正方法では、複数
の着色材の配合により目標色への色合わせを行う過程で
生じる不良色の修正配合を求めるに際し、今回の目標色
と同一または近似する目標色を色合わせするにあたり生
じた過去の不良色の修正配合の中から、今回の不良色の
目標色に対する色変化の傾向が類似する修正配合を選
び、これを参照して今回の不良色の修正配合を求めるよ
うにすることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、着色材の配合修正方
法、すなわち、複数の着色材の配合により目標色への色
合わせを行う過程で生じる不良色を着色材の配合を変え
ることにより解消するための修正配合を求める方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】色付きの樹脂成形品や塗料などの製造工
程、目標色(基準品の色や客先提示の色見本の色)と同
じ色となるように複数の着色材を予め決定しておいた配
合で着色するという色合わせ過程がある。具体的には、
樹脂成形品の場合であれば、複数の顔料(着色材)の配
合による色合わせ過程があり、塗料の場合であれば、複
数の原料塗料(着色材)の配合による色合わせ過程があ
るのである。
【0003】普通、コンピュータを利用した混色結果の
予測(コンピュータ・カラーマッチング)により調色に
必要な複数の着色材の配合を予め求め、この配合に従っ
て色合わせを行う。コンピュータ・カラーマッチングで
求めた配合に従って行うのであるから、適正な色合わせ
が必ず出来てくるはずなのであるが、実際には、顔料や
原料塗料など着色材のロットの違いに起因する特性変動
や計量誤差、あるいは、製造雰囲気や製造装置の変動な
ど様々な要因で目標色と同じ色にならない現象、つま
り、不良色が生じる。
【0004】従来、不良色が生じると、コンピュータで
修正計算を行うが、コンピュータでは現実的な修正計算
が行えない場合もある。例えば、ある着色剤成分を10
%減らそうとした場合、他の成分を10%増加させる計
算結果となり、現実的ではない。そのような場合には、
熟練者が配合と不良色とを睨んで勘により、不良色を解
消する着色材の配合、すなわち、修正配合を決定するよ
うにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、熟練者の勘に
頼る修正は、その都度まちまちであり、不良色が何度か
起きて修正が繰り返されるような場合でも、系統だった
修正の仕方が確立されるわけではなく、毎回、場当たり
的に修正配合を求めているのが現況である。このような
現況では、不良色が生じた場合、的確な修正配合を迅速
に得ることは到底おぼつかない。
【0006】この発明は、上記事情に鑑みて、色合わせ
過程にて不良色が生じた場合、この不良色を解消するた
めの的確な修正配合を迅速に得られる着色材の配合修正
方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、この発明にかかる着色材の配合修正方法は、複数の
着色材の配合により目標色への色合わせを行う過程で生
じる不良色の修正配合を求める方法であって、今回の目
標色と同一または近似する目標色に色合わせするにあた
り生じた過去の不良色の修正配合の中から、今回の不良
色の目標色に対する色変化の傾向が類似する修正配合を
選び、これを参照して今回の不良色の修正配合を求める
ことを構成上の特徴としている。
【0008】以下、この発明の着色材の配合修正方法を
具体的に説明する。まず、コンピュータ・カラーマッチ
ングなどにより予め求めておく着色材の配合に関する説
明を先に行う。このコンピュータ・カラーマッチングで
は、色合わせに適した3〜5種(通常4種)の着色材を
配合したときの混色予測の結果をコンピュータ処理によ
り算出する。算出は別に行う色見本の測色結果と算出さ
れた混色予測の結果の差が、所定値以下になるまで繰り
返し行い、差が所定値以下の場合の配合が予め求める配
合となる。以下、もう少し詳しく説明する。
【0009】−基礎データ− コンピュータ・カラーマッチングを行うに際しては、配
合対象となる着色材それぞれの基礎データ、すなわち、
着色材の吸収係数と必要に応じては加えて着色材の散乱
係数が必要であるが、各着色材毎の基礎データは、通常
の処方に従ってレットダウンなどと呼ばれる試料を作成
して分光器等で測定し予め記憶手段に記憶(登録)して
おき、算出の際に記憶手段より随時に読み出して用いる
ようにする。なお、基礎データとしての散乱係数や吸収
係数は光の波長によって異なるため、可視波長範囲(4
00〜700nm程度)において所定長さの波長間隔で
離散的に測定して得たものである。測定波長位置数は、
16点ないし32点程度である。つまり、基礎データ
は、通常、分光散乱係数であり、分光吸収係数となって
いる。
【0010】−混色予測結果の算出− このようにして、基礎データを準備しておいて、つぎ
に、実際にコンピュータ処理により、着色材配合後の混
色予測の結果を予測算出する。先ず、混合に使う着色材
の組み合わせを決定する。混合は、通常、4種の着色材
(着色材1,着色材2,着色材3,着色材4とする)を
使って行う。
【0011】組み合わせる各着色材の基礎データである
散乱係数S1 〜S4 ,Ss および吸収係数K1 〜K4
Ks を用いるとともに、下記式(1)を用いて演算する
ことにより色合わせ品の着色状態(K/S)を求める。
式(1)はダンカン(Duncan)の式と呼ばれている。勿
論、着色状態(K/S)は、散乱・吸収係数データの取
り込み波長点毎に求めるのであるから、いわば分光着色
状態を求めることになる。なお、C1 〜C4 は各着色材
の配合割合であり、Cs は着色対象基材(例えば原料で
ある樹脂)の割合である。なお、塗料の場合は、着色対
象基材にあたるものがなく普通、Cs =0とする。
【0012】
【数1】
【0013】求めた着色状態 (K/S)と分光反射率R
の間には下記の式(2),(3)の関係があり、この関
係を利用することにより、色合わせ品の分光反射率Ra
を算出する。
【0014】
【数2】
【0015】算出した分光反射率Rに対しサンダーソン
(Saunderson)の式による変換を行って(分光光度計から
得られた状態に相当する)分光反射率Raにしてから、
下記の式(4)〜(6)を用いて三刺激値(Xa,Y
a,Za)を算出することで混色予測結果が得られる。
【0016】
【数3】
【0017】ここに、x(λ)ρ(λ),y(λ)ρ
(λ),z(λ)ρ(λ)は、CIEで定められている
数値である。 −色見本の測色結果の算出− 一方、色見本の分光反射率(サンダーソン変換をしない
状態)を分光光度計を用いて別途測定する。色見本の分
光反射率は、可視波長範囲(400〜700nm)にお
いて基礎データの測定波長位置と同じ波長位置で離散的
に16点、あるいは、32点得る。このようにして得た
分光反射率を使って、上記の式(4)〜(6)により三
刺激値(Xs,Ys,Zs)を算出することで色見本の
測色結果を得るのである。
【0018】−混色予測結果と測色結果の比較演算− 上記で得た三刺激値(Xa,Ya,Za)と三刺激値
(Xs,Ys,Zs)の差(ΔX,ΔY,ΔZ)を出
し、さらに、これから下記の式(7) で示される色差を
求め、色差が所定値以下であれば、その時の配合が求め
る結果である。色差が所定値以下でなければ、C1 〜C
4 を変えて再び計算を繰り返す。判別基準の所定値は、
色や使用着色材によって多少は異なるのであるが、普
通、色差が0.1程度が目安である。
【0019】
【数4】
【0020】1つの組み合わせに対する処理が終われ
ば、着色材の組み合わせを変えて、同様の算出処理を繰
り返す。適当な配合は1つというわけでなく複数ある場
合が普通である。最終的には最も適当と判断される1つ
の配合を選び、必要に応じて経験的な修正をも施して本
配合(基準配合)とする。もちろん、この発明の場合、
本配合は、上のようなコンピュータ・カラーマッチング
によらず、熟練者の勘によっていきなり決定されたもの
でもよい。
【0021】なお、三刺激値を求める際の分光反射率
は、いずれも、分光光度計から得たままのサンダーソン
変換をしない状態のものを用いたが、両者共にサンダー
ソン変換をした状態のものを用いて三刺激値を求めるよ
うにしてもよい。上のようにして得られた本配合で実際
の色合わせ品を試作して適切と判定されたものの色を、
管理基準用の目標色として、色合わせを開始することに
なる。
【0022】以下、理解を容易とするため、図面を参照
するとともに、着色材の本配合STの割合および目標色
を下記の具体的なものとする。図1は、この発明による
着色材の配合修正の決定過程の流れの一例を示すフロー
チャートである。 本配合ST 白色着色材 (酸化チタン)・・・0.
7 黄色着色材 (チタンイエロー)・・・0.2 黒色着色材 (カーボンブラック)・・・0.1 青色着色材 (群青)・・・0.1 目標色 L* ・・・30 a* ・・・40 b* ・・・50 図1にみるように、上記の本配合STに従って、実際の
工程で色合わせを続け、その間に2回の不良色A,Bが
発生したとする。各既知不良色A,Bに対しては、それ
らの色合わせ品について不良色を測っておくとともに、
修正配合を従来の方法により求める。そして、求めた不
良色と修正配合を記憶(登録)しておく。第1回目の既
知不良色Aでは黒着色材10%増しの修正配合となり、
第2回目の既知不良色Bでは白着色材、黄着色材それぞ
れ10%増の修正配合となる。
【0023】−既知不良色A− 目標色とのズレ L* ・・・0.5 a* ・・・0.3 b* ・・・0.5 着色材の修正配合 白色着色材 (酸化チタン)・・・0.7 黄色着色材 (チタンイエロー)・・・0.2 黒色着色材 (カーボンブラック)・・・0.11(+
10%) 青色着色材 (群青)・・・0.1 −既知不良色B− 目標色とのズレ L* ・・・−0.8 a* ・・・ 0.3 b* ・・・−0.6 着色材の修正配合 白色着色材 (酸化チタン)・・・0.77(+10
%) 黄色着色材 (チタンイエロー)・・・0.22(+1
0%) 黒色着色材 (カーボンブラック)・・・0.1 青色着色材 (群青)・・・0.1 L* ,a* ,b* を直交座標とし、本配合STの目標色
のL* ,a* ,b* に原点移動するとともに、既知不良
色A,BそれぞれのL* ,a* ,b* を表示した色図表
を図2に示す。a* ,b* とL* とは独立して表示して
あるが、L* 軸はa* 軸とb* 軸の交点を通り紙面に垂
直に貫く方向に延びるようにして3軸が直交して色空間
を構成することになるから、a* ,b* とL* とは独立
して表示せずに3次元的色図表としてもよい。図の色図
表はL* ,a* ,b* 表色系であり、L* は明度指数で
あって明度に関係し、a* ,b* はクロマティクネス指
数であって彩度および色相に関係する。
【0024】そして、ここで、第3回目の新規不良色C
が発生したとすると、この新規の不良色Cを測定すると
ともに、得られた不良色の記憶(登録)を行う。そし
て、既知不良色A,Bの修正配合のうち目標色に対する
色変化の傾向が類似する修正配合を選ぶ。既知不良色
A,Bの目標色に対する色変化の傾向と、新規不良色C
の目標色に対する色の変化傾向を、それぞれ、比較し
て、色変化の傾向の間に類似性が認められるか否か判定
する。
【0025】新規の不良色と既知の不良色の間の色変化
の傾向の類似の有り・無しを判定するには、例えば、以
下のようにすればよい。図2に示す色図表の上に新規不
良色Cを重ねて表示し、目視で観察する。新規不良色C
の場合がXの位置であれば、既知不良色Bの位置に近い
ため新規不良色Cと既知不良色Bは色変化の傾向に類似
性有りと判定され、既知不良色Bの修正配合が呼び出さ
れ、これと同じような修正、すなわち、同じ程度の白と
黄との着色材の配合変更を施して修正配合が求められ
る。新規不良色Cの場合がYの位置であれば、既知不良
色Aの位置に近いため新規不良色Cと既知不良色Aは色
変化の傾向に類似性有りと判定され、既知不良色Aの修
正配合が呼び出され、これと同じような修正、すなわ
ち、同じ程度の黒の着色材の配合変更を施して修正配合
が求められる。
【0026】つまり、新規不良色Cが、既知不良色Aの
近くに表示された場合には黒着色材10%増し程度の修
正配合で不良色が解消し、既知不良色Bの近くに表示さ
れた場合には白と黄の着色材10%増し程度の修正配合
で不良色が解消することになる。上の説明では、不良色
A〜Cの間では目標色は全て同一であったが、新規不良
色Cでの修正配合と、これを決定する際に参照する修正
配合は完全に同じ目標色である必要なく近似する目標色
であってもよく、近似する目標色の場合について、図3
を参照しながら説明する。
【0027】図3は、本配合STの目標色のL*
* ,b* を原点として、本配合STの目標色STに近
い色の目標色stである本配合stと、この本配合st
での既知不良色aとを表示する色図表である。図3にみ
るように、本配合STの色合わせ過程で生じた新規不良
色Dが図示する位置にくる場合、目標色STと新規不良
色Dの間の色変化(向き・間隔)の傾向が、目標色st
と既知不良色aの間の色変化(向き・間隔)の傾向と類
似しているため、新規不良色Dと既知不良色aが色変化
の傾向に類似性有りと判定されるのである。目標色ST
と目標色stの近似の程度は、色目により異なるが、色
差で3.0以下(ΔE≦3.0)程度が目安となる。
【0028】修正配合は、当然、新規不良色Dにおける
配合に対し、既知不良色aの解消のための修正配合(例
えば黄着色材20%増し)と同じ配合調整(黄着色材2
0%増し)を行うことにより求められることになる。図
2および図3では、本配合STの目標色のL* ,a*
* に原点を平行移動して表す色図表であったが、本配
合STの目標色への原点移動を行わず、原点をL* ,a
* ,b* のいずれもが0である本来の原点のままで表す
ような色図表として色変化の傾向の類似性を判定するよ
うにしてもよいことは言うまでもない。
【0029】修正配合が求められた新規不良色は、図1
にみるように、勿論、新たに既知不良色として蓄積され
ることになる。座標軸はL* ,a* ,b* 表色系に限ら
ず、L* ,u* ,v* 表色系や三刺激値(X,Y,Z)
を用いた表色系、さらには、a* ,b* に対して、メト
リック・クロマC、メトリック色相角Hへ換算し、CI
E1976(Lab)色空間におけるab色度図と呼ば
れる色図表としてもよい。なお、L* ,a* ,b* に限
らず、三刺激値(X,Y,Z)、メトリック・クロマ
C、メトリック色相角Hの間の関係は下記の数式(8)
〜(12)で示される。
【0030】
【数5】
【0031】 但し、a>0 b>0の場合、 0°〜90° a<0 b>0の場合、 90°〜180° a<0 b<0の場合、180°〜270° a>0 b<0の場合、270°〜360°である。 また、今回の不良色との間で色差やL* ,a* ,b*
一定の範囲内にある過去の不良色だけを予め抽出してお
いて、今回の不良色の目標色に対する色変化の傾向が類
似する修正配合を選ぶようにしてもよい。始めから選ば
れないようなものは篩落とされ、余分な判定作業が予め
除かれるため、修正配合がより迅速に得られるようにな
る。ここで言う一定の範囲内の色変化の一例としては、
色の管理幅の1/5以内、具体的には色差で1.0以下
(ΔE≦1.0)という色の管理幅だとΔE≦0.2以
内というものが挙げられる。
【0032】この発明を実施する場合、普通、コンピュ
ータに、目標色と、各既知不良色のL* ,a* ,b*
よび修正配合などを予め記憶手段に記憶しておくととも
に、新規不良色をコンピュータへデータ入力し、データ
処理してTVモニタ上やX−Yレコーダ記録紙上に図2
や図3の色図表を作成し、不良色の目標色に対す色変化
の傾向の比較を行い、登録された既知不良色のうちか
ら、目標色に対する色変化の傾向が新規不良色のそれと
類似している既知不良色を選定し、この選定された既知
不良色の修正配合をコンピュータより引き出して、これ
を参照して修正配合を求めるようにすればよい。
【0033】目標色に原点移動しておくと、TVモニタ
上やX−Yレコーダ記録紙上で座標間隔を拡大した時に
目標色が画面から外れ難くなる等の利点があるし、今回
の不良色との間で色差が一定の範囲内にある過去の不良
色だけを予め抽出しておいて、不良色の目標色に対する
色変化の傾向が類似する修正配合を選ぶようにすると、
全体としてのコンピュータ処理の時間が短くてすむなど
の利点がある。勿論、適当な既知不良色における修正配
合を選定し得ない場合は、従来のようにして修正配合を
求めればよい。なお、新規不良色と修正配合は、次の新
規不良色に対する既知不良色データとして記憶手段に記
憶されることは言うまでもない。
【0034】
【作用】この発明の方法では、色合わせ過程で生じる不
良色の修正配合を求める際に、過去の不良色の中から、
不良色の目標色に対する色変化の傾向が類似するものを
選び、その修正配合を参照して今回の不良色の修正配合
を求めるようにしており、既知の経験が系統的に積み重
ねられて生かされており、熟練者の勘だけに頼る従来の
場合よりも的確な修正配合が経験の浅い者でも迅速に求
められるようになる。
【0035】この発明の方法において、目標色と不良色
とを同じ色図表上に表示しておけば、新規の不良色と既
知の不良色の間の目標色に対する色変化の傾向の類似性
・非類似性が分かりやすくなる。今回の不良色との間で
色差が一定の範囲内にある過去の不良色だけを予め抽出
しておいて、不良色の目標色に対する色変化の傾向が類
似する修正配合を選ぶ場合、類似性が明らかに無い既知
不良色に対する判定作業が省略できる。
【0036】
【実施例】続いて、この発明の実施例について説明す
る。この発明は下記の実施例に限らない。 −実施例1− 実施例1では、樹脂に対し複数の顔料(着色材)を配合
することにより色合わせを行う過程での不良色を解消す
るための着色材の修正配合を求める。
【0037】この色合わせ過程における着色対象はポリ
プロピレン樹脂である。顔料の種類と本配合STおよび
目標色は下記の通りである。 本配合ST 顔料1 酸化チタン・・・0.700 顔料2 チタンイエロー・・・0.055 顔料3 酸化鉄・・・0.005 顔料4 カーボンブラック・・・0.240 目標色 L* ・・・36.23 a* ・・・−0.35 b* ・・・−3.15 また、既知不良色A〜Cの修正配合A〜Cおよび表色値
A〜Cは下記の通りである。
【0038】既知不良色A 修正配合A 顔料1 酸化チタン・・・0.700 顔料2 チタンイエロー・・・0.060(+9.1
%) 顔料3 酸化鉄・・・0.005 顔料4 カーボンブラック・・・0.250(+4.2
%) 表色値A L* ・・・36.89 a* ・・・0.22 b* ・・・−2.23 既知不良色B 修正配合B 顔料1 酸化チタン・・・0.714
(+2%) 顔料2 チタンイエロー・・・0.055 顔料3 酸化鉄・・・0.010(+100%) 顔料4 カーボンブラック・・・0.240 表色値B L* ・・・35.94 a* ・・・−0.80 b* ・・・−3.52 既知不良色C 修正配合C 顔料1 酸化チタン・・・0.735
(+5%) 顔料2 チタンイエロー・・・0.055 顔料3 酸化鉄・・・0.005 顔料4 カーボンブラック・・・0.240 表色値C L* ・・・35.30 a* ・・・−0.67 b* ・・・−3.97 図4は、目標色を原点として不良色A〜Cを表示したL
* ,a* ,b* 表色系の色図表である。
【0039】この発明の効能を知るため、色合わせ過程
で人為的に変動を起こし、新規不良色をいくつか発生さ
せた。これら新規不良色G〜Iは下記の通りであり、図
4に重ねて表示してある。 新規不良色G・・・変動原因は成形温度の差である。 表色値G L* ・・・36.86 a* ・・・0.30 b* ・・・−2.21 新規不良色H・・・変動原因は成形機の差である。
【0040】表色値H L* ・・・35.88 a* ・・・0.14 b* ・・・−3.67 新規不良色I・・・変動原因は着色材のロット差であ
る。 表色値I L* ・・・35.58 a* ・・・−0.57 b* ・・・−3.70 新規不良色G〜Iのうち、新規不良色Gは既知不良色A
の直ぐ近傍にあり、色変化の類似性があるため既知不良
色Aの修正配合を参照し、新規不良色Gの修正配合を直
ちに下記のとおり求めた。
【0041】 修正配合G 顔料1 酸化チタン・・・0.700 顔料2 チタンイエロー・・・0.060(+9.1
%) 顔料3 酸化鉄・・・0.005 顔料4 カーボンブラック・・・0.250(+4.2
%) この修正配合に変更し色合わせを行った結果、色合わせ
品の色は下記のように、目標色に極めて近いものとなっ
た。この発明の有用性がよく分かる。
【0042】修正後の色合わせ品の色J L* ・・・36.19 a* ・・・−0.35 b* ・・・−3.08
【0043】
【発明の効果】この発明の方法では、色合わせ過程で生
じる不良色の修正配合を求めるに際し、過去の不良色の
修正配合の中から適当な修正配合を選び、これを参照し
て今回の不良色の修正配合を求めるようにしており、こ
の結果、既知の経験が系統的に積み重ねられて生かされ
ているため、熟練者の勘だけに頼る従来の場合よりも的
確な修正配合が経験の浅い者でも迅速に求められるか
ら、この発明は非常に有用である。
【0044】この発明の方法において、目標色と不良色
とを同じ色図表上に表示しておけば、新規の不良色と既
知の不良色の間の目標色に対する色変化の傾向の類似性
・非類似性が分かりやすくなるため、的確な修正配合が
より迅速に求められる。この発明の方法において、今回
の不良色との間で色差が一定の範囲内にある過去の不良
色だけを予め抽出しておけば、類似性の明らかに無い既
知不良色に対する判定作業が省略でき、結果として、的
確な修正配合がより迅速に求められるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明での配合修正の決定過程の流れの一例
を示すフローチャートである。
【図2】既知不良色と新規不良色を表示した色図表であ
る。
【図3】既知不良色と新規不良色を表示した色図表であ
る。
【図4】実施例1における既知不良色と新規不良色を表
示した色図表である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀 慎一 兵庫県伊丹市森本1丁目35番地 住化カラ ー株式会社大阪工場内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の着色材の配合により目標色への色
    合わせを行う過程で生じる不良色の修正配合を求める方
    法であって、今回の目標色と同一または近似する目標色
    に色合わせするにあたり生じた過去の不良色の修正配合
    の中から、今回の不良色の目標色に対する色変化の傾向
    が類似する修正配合を選び、これを参照して今回の不良
    色の修正配合を求めるようにすることを特徴とする着色
    材の配合修正方法。
  2. 【請求項2】 目標色と不良色とを同じ色図表上に表示
    しておいて、不良色の目標色に対する色変化の傾向が類
    似する修正配合を選ぶ請求項1記載の着色材の配合修正
    方法。
  3. 【請求項3】 今回の不良色との間で色差が一定の範囲
    内にある過去の不良色だけを予め抽出しておいて、不良
    色の目標色に対する色変化の傾向が類似する修正配合を
    選ぶ請求項1または2記載の着色材の配合修正方法。
JP6052345A 1994-03-23 1994-03-23 着色材の配合修正方法 Pending JPH07260575A (ja)

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JP6052345A JPH07260575A (ja) 1994-03-23 1994-03-23 着色材の配合修正方法

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