JPH07258966A - セルロース繊維布及びその製造方法 - Google Patents

セルロース繊維布及びその製造方法

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JPH07258966A
JPH07258966A JP6046758A JP4675894A JPH07258966A JP H07258966 A JPH07258966 A JP H07258966A JP 6046758 A JP6046758 A JP 6046758A JP 4675894 A JP4675894 A JP 4675894A JP H07258966 A JPH07258966 A JP H07258966A
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acid
cloth
cellulose fiber
heating
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JP6046758A
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English (en)
Inventor
Tsuratake Fujitani
貫剛 藤谷
Yoko Fukuyama
陽子 福山
Hiroyuki Miura
博之 三浦
Yutaka Tsujimoto
裕 辻本
Kazuhisa Honda
和久 本田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shikibo Ltd
New Japan Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shikibo Ltd
New Japan Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、優れた平面保持性やプリーツ性を
有するセルロース繊維布を提供することを目的とする。 【構成】 本発明のセルロース繊維布は、ポリカルボン
酸類をセルロース繊維布に含浸させ、次いで整形処理を
施しながら加熱することにより製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた平面保持性及び
プリーツ性を有するセルロース繊維布及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】木綿を代表とするセルロースは、優れた
吸湿性や肌触り等、多くの利点を有しているために広く
衣料材料として使用されている。しかしながら、洗濯す
ることによって、縫製された布地が著しく変形したり、
着用時に皺が付き易い欠点があり、斯かる改善がセルロ
ースを衣料として使用する場合に求められている。
【0003】而して上記欠点を防止するために、例え
ば、セルロース繊維にホルマリンガスを作用させたり、
尿素ホルマリン樹脂等のホルマリン誘導体を付着させる
方法が採用されている。
【0004】しかしながら、ホルマリンやその誘導体
は、処理後もホルマリンが残存してしまう現象が顕著で
ある。ホルマリンは、その特有な悪臭の他に発ガン性物
質として知られており、繊維処理工程での作業環境ばか
りでなく、製品として消費者にまで影響があるものであ
る。その為、ホルマリンやその誘導体を使用せずに上記
欠点を防止する技術が求められている。
【0005】このような技術として、例えば、ブタンテ
トラカルボン酸をセルロースに含浸させ、エステル架橋
させることにより防皺性を改善する方法が知られている
(米国特許第3,526,048号明細書、Textt
ile Reseach Lournal 1988,
480−485、特表平第3−503072号公報
等)。
【0006】布地着用時の皺は、皺回復度で表され、洗
濯による変形はウォッシュアンドウエア性(W&W性)
で表される。W&W性は洗濯乾燥後、アイロンがけなし
に着用することを目的とした指標で、洗じわの程度をA
ATCC 124−1967に示されるDP指標で表す
基準がよく用いられる。
【0007】本発明者が、ブタンテトラカルボン酸等の
ポリカルボン酸類を含浸させたセルロース繊維を空気浴
で加熱して架橋した布につき防皺性を調べた結果、DP
指標では満足できる結果が示されたものの、さざなみの
ような「小皺」が発生することが確認された。これはD
P指標は大きな皺を判定の基準としており、さざなみの
ような小さな皺は判定の対象になっていないことによる
ものと考えられる。従って、ポリカルボン酸類によって
架橋したセルロース繊維布の場合、DP指標だけでは実
際に洗濯した後の衣料の状態を表しきれず、さざなみの
ような「小皺」を加えて、平面保持性を表すのことが必
要になる。事実、DP指標での大きな皺の判定では、ポ
リカルボン酸類の含浸したセルロース繊維を空気浴で加
熱架橋した布は極めて良好な数値を示すのであるが、こ
の「小皺」を加えた平面保持性では不十分なものとなっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】平面保持性の良好な衣
料であるためには、DP指標及び「小皺」の両者が共に
良好であることが必要であり、本発明は、DP指標及び
「小皺」の両者の優れたセルロース繊維布及びその製造
方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
な要望に応えるため鋭意検討を重ねた結果、セルロース
繊維にポリカルボン酸類を含浸させ、加熱するに当り、
整形処理を施しながら加熱することで著しい平面保持性
の改善がなされることを見い出し、斯かる知見に基づい
て本発明を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明に係るセルロース繊維布の製
造方法は、ポリカルボン酸類をセルロース繊維に含浸さ
せ、整形処理を施しながら加熱することを特徴とするも
のである。
【0011】本発明におけるセルロース繊維は、木綿、
麻、レーヨン及びこれらの繊維を含む混紡繊維の総称で
あり、セルロース繊維布はこのようなセルロース繊維に
よる織物、不織布等である。
【0012】本発明で用いられるポリカルボン酸類とし
ては、公知のポリカルボン酸を広く使用でき、各種の直
鎖状脂肪族ポリカルボン酸、分岐状脂肪族ポリカルボン
酸、脂環族脂肪族ポリカルボン酸、芳香族ポリカルボン
酸等が挙げられ、水酸基、ハロゲン基、カルボニル基、
炭素−炭素二重結合を有していても差し支えない。
【0013】このようなポリカルボン酸類としては、具
体的には、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ア
ジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セ
バチン酸等の直鎖脂肪族ポリカルボン酸、これらポリカ
ルボン酸の分岐脂肪酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽
和二塩基酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソ
フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、テトラヒドロフ
タル酸、ナジック酸等の脂環族二塩基酸、トリカルバリ
ル酸、アコニチン酸、メチルシクロヘキセントリカルボ
ン酸等の三塩基酸、ブタンテトラカルボン酸、シクロペ
ンタンテトラカルボン酸、テトラヒドロフランテトラカ
ルボン酸、メチルテトラヒドロフタル酸とマレイン酸の
エン付加物等の四塩基酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸
等のヒドロキシ脂肪酸、o−、m−又はp−フタル酸、
トリメリット酸、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカ
ルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ジフェニ
ルスルホンテトラカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸
等が例示される。
【0014】これらのポリカルボン酸のうち、トリカル
バリル酸、アコニチン酸、クエン酸、ブタンテトラカル
ボン酸等の水溶性のカルボン酸は作業性が良好であるこ
とから好ましく、特に水溶性で四塩基酸のブタンテトラ
カルボン酸を使用した天然セルロース繊維が最も本発明
の平面保持性に優れている。
【0015】セルロース繊維布中へのポリカルボン酸類
の含浸量は、その種類によって適宜選択できるが、通
常、加工するセルロース布に対して、通常0.1〜50
重量%、好ましくは0.5〜20重量%である。これよ
り低いと本発明の平面保持性が不十分になる傾向が生ず
るし、逆に多く含浸させてもそれに対応する効果が得ら
れず、経済的でない。
【0016】セルロース繊維布中へのポリカルボン酸類
の含浸は、セルロース繊維布をポリカルボン酸類を含有
する処理液中に浸漬することにより行われる。
【0017】本発明では、ポリカルボン酸類を含有する
処理液にポリオール類を配合させておくこともできる。
【0018】このとき使用できるポリオール類として
は、少なくともアルコール性水酸基を2個以上含有する
アルコールであって、例えばアミン、フェノール、アル
コール等の2個以上の活性水素を有する化合物にエチレ
ンオキシド(EO)或いはプロピレンオキシド(PO)
を付加した化合物や付加しなくても上記条件を満たすア
ルコール等が挙げられる。具体的には、以下の(1)〜
(4)の各群に例示される各種のポリオールが例示され
る。
【0019】(1)2個のアルコール性水酸基を含有す
るアルコール:エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジ
オール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナン
ジオール、デカンジオール、ドデカンジオール等の炭素
数2〜12のジオール;ネオペンチルグリコール、メチ
ルペンタンジオール、トリメチルペンタンジオール等の
分岐状ジオール;ポリプロピレングリコ−ル、1,2−
ブチレンオキシドの重合物、ポリ(1,4−ブチレング
リコール)等のポリエーテルアルコール;シクロヘキサ
ンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフ
ェノールA及びそれらの幾何異性体等の脂環式ジオー
ル;ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、ビスフ
ェノールA、ビスフェノールS、フェノールノボラッ
ク、クレゾールノボラック等のフェノール。
【0020】(2)3個以上のアルコール性水酸基を含
有するアルコール:グリセリン、ジグリセリン、トリグ
リセリン、ポリグリセリン、トリメチロールエタン、ト
リメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペン
タエリスリトール等の脂肪族ポリオール;スピログリコ
ール;キシリトール、ソルビトール、マンニトール、エ
リスリトール等の還元糖、キシロース、ソルボース、ア
ラビノース、リボース、エリスロース、ガラクトース、
ソルビタン等の単糖類、ラクトース、ショ糖、マルトー
ス等の二糖類;ポリ酢酸ビニルやエチレン−酢酸ビニル
の鹸化物。
【0021】(3)アミン類、フェノール類、アルコー
ル類等の2個以上の活性水素を有する化合物のアルキレ
ンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド)
付加物:アミン類としては、アンモニア、炭素数1〜2
2のモノアルキルアミン、アルキレンジアミン、アルキ
レントリアミン、アニリン、o−,m−又はp−フェニ
レンジアミン、キシリレンジアミン、ジアミノジフェニ
ルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフ
ェニルエーテル、ジアミノジフェニルケトン、アニリン
とホルマリンの重縮合物等が例示される。フェノール類
としては、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、
ビスフェノールA、ビスフェノールS、フェノールノボ
ラック、クレゾールノボラック等が例示される。当該ア
ルコール類としては、上記(2)及び(3)の群で記載
された各種のポリオールが例示される。
【0022】これらのポリオールの内、一級アルコール
性水酸基を3個以上有する化合物が、平面保持性やプリ
ーツ性を高める点で特に効果的である。また、脂肪族系
ポリオールは、衣料等の製品の風合いを保持する点で効
果的である。更に、アミノ基を含有しない化合物は、加
工時の製品の着色を防止する点で好ましい。
【0023】従って、アルキレンオキシドを付加させる
原料として好ましいアルコールとしては、トリメチロー
ルプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリ
トール及びトリペンタエリスリトールを挙げることがで
きる。
【0024】アルコール性水酸基は、一級アルコールで
あることが好ましい。プロピレンオキシドとエチレンオ
キシドの共付加物を使用する場合は、エチレンオキシド
の付加を最後に行ったポリオールが好ましい。
【0025】ポリオールの分子量は、200〜1000
00の範囲のものが好ましい。分子量が200より少な
いと単独で使用する場合、製造される布が硬くなる傾向
があり、風合いの観点で問題を生ずる。一方、分子量1
00000を超えると熱プレス条件が厳しくなる傾向が
あり生産性の低下や繊維の劣化を引き起こす可能性があ
り、好ましくない。
【0026】これらのポリオールは、単独で又は2種以
上を混合して使用できる。2種以上のポリオールを混合
して用いる場合には、分子量200以下であっても、ポ
リオールに上記活性水素を含有する化合物をそのままで
或いはエチレンオキシドの付加モル数が少ないものを混
合して使用することもできる。
【0027】(4)当該ポリオールと炭素数2〜12の
脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸とのポリエス
テルポリオールや当該ポリオールと当該ポリカルボン酸
を予めエステル化したポリエステルポリオール:この場
合、使用するポリエステルポリオールは架橋ゲル化した
ものは好ましくなく、少なくとも溶媒に可溶、できるな
らば水溶液に可溶なものが好ましい。水に不溶であって
も、界面活性剤の使用で乳化、可溶化できるものは使用
可能である。
【0028】脂肪族ジカルボン酸としては、蓚酸、マロ
ン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン
酸、アゼライン酸、セバチン酸及びそれらの分岐脂肪
酸、マレイン酸、フマル酸等不飽和二塩基酸、ヘキサヒ
ドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒド
ロテレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ナジック酸等
の脂環族二塩基酸等が例示される。また芳香族ジカルボ
ン酸としては、o−,m−又はp−フタル酸、ビフェニ
ルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジ
フェニルエーテルジカルボン酸、ベンゾフェノンジカル
ボン酸、ナフタレンジカルボン酸等が例示される。
【0029】本発明においては、実質的にポリオールを
処理液中で形成し、同様の効果を有するものとして、上
記ポリオールのグリシジルエーテルをも挙げることがで
きる。しかしながら、これらの化合物は極めて微量の残
存であっても、セルロース繊維布は皮膚障害を誘発する
可能性を含むため好ましくない。
【0030】本発明で用いられるポリオール類の使用量
は、セルロース繊維布に対して、通常0.1〜100重
量%、好ましくは1〜50重量%である。0.1重量%
未満の場合には満足できる平面保持性やプリーツ性が得
られ難く、100重量%を越えて使用しても使用した量
に対応する効果が得られず、経済的でない。処理液のポ
リオール濃度は、処理液の絞り率と必要とする担持量よ
り算出した濃度に設定すればよい。
【0031】上記処理液中にはポリオール類の他に、例
えば、ポリエチレンエマルジョン、ジメチルシリコーン
エマルジョン、繊維用変性シリコーン等の公知の繊維柔
軟剤を添加することにより、風合いの改善や持続性を付
与することができる。
【0032】繊維用変性シリコーンとしては、分子中に
少なくとも1つの脂肪族性水酸基、エポキシ基、アミノ
基を含有したジメチルポリシロキサンを基本骨格とした
化合物が挙げられ、一般にはアミノ変性シリコーン、ポ
リエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーンと
称され、販売されている化合物である。アミノ変性シリ
コーンは、種類、配合によっては処理布が着色すること
があり、ポリエーテル変性シリコーンが好ましい。これ
らのシリコーンは原体或はエマルジョン溶液として入手
でき、そのままで使用可能である。
【0033】これらの繊維柔軟剤の使用量は、加工する
天然セルロース繊維布に対して、通常0.01〜50重
量%、好ましくは0.1〜10重量%である。
【0034】ポリカルボン酸類、更に必要に応じてポリ
オール類及びシリコーンを溶解した処理液のpHは、中
和剤(アルカリ又はアルカリ性を示す塩)により調整さ
れることが望ましい。pH領域は1〜6が可能である
が、好ましくは2〜5である。処理液のpHがこれ以上
高くなると防縮効果等の効果が発揮され難くなり、逆に
これより低くなるとセルロースの加水分解により繊維強
度の低下が見られるので、いずれも好ましくない。
【0035】pHの調整に使用される中和剤としては、
例えは水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナト
リウム、過炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、メタホ
ウ酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、硫酸ナトリ
ウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、チオ硫
酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウ
ム、リン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリ
ン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、亜リン酸ナト
リウム、次亜リン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、酢酸
ナトリウム等が例示される。これらの中和剤は、単独で
又は2種以上を組み合わせて使用できる。これら中和剤
の使用量は、ポリカルボン酸類の溶解量や種類にもよる
が、通常処理液濃度として0.1〜10重量%程度使用
される。
【0036】上記処理液を構成する溶媒としては、有機
溶媒も使用できるが、安全、価格を考慮すれば水を溶媒
にするのが好ましい。
【0037】本発明では、以上にようにして調製された
処理液にセルロール繊維布を浸漬して、ポリカルボン酸
類、ポリオール類、柔軟剤等を含浸させる。
【0038】セルロース繊維布に対する上記処理液の含
浸方法としては、浸漬法、パッド法、スプレー法、コー
ティング法等の公知の方法を例示できる。処理液の繊維
に対する浸透速度は充分に速く、浸漬時間、浴温度に特
に制限はない。通常、浸漬時間0.5〜300秒、浴温
は10〜40℃で行われる。本発明では、処理液中に更
に浸透剤を配合しておいてもよい。
【0039】含浸の後、必要ならば絞りを行った後、乾
燥を行う。絞りは加工する製品によって異なり、夫々に
適当な絞り方法、絞り率が採用できる。通常、絞り率は
30〜200%で行うのが好ましい。また乾燥温度は4
0〜150℃、時間は温度に応じて選定すればよい。
【0040】以上の操作によって得られたポリカルボン
酸含浸セルロース繊維布は、整形しながら加熱する(以
下「整形加熱」という。)ことによって、その形態が決
定される。整形加熱は、通常80〜250℃、好ましく
は120〜200℃で行われるのがよい。処理時間は加
熱温度にもよるが、0.1秒〜1時間が好ましい。
【0041】本発明においては、充分な整形加熱によっ
て、エステル架橋を完結させてもよいし、軽微な整形加
熱による処理で得た布を更にオーブンやベーキングマシ
ン等の空気加熱を追加するプロセスを採用しても構わな
い。空気加熱は、通常80〜250℃、好ましくは12
0〜200℃で行われるのがよい。処理時間は加熱温度
にもよるが、0.1秒〜1時間が好ましい。
【0042】上記の加熱条件より穏やかな条件で加熱架
橋されたセルロース繊維では、ポリカルボン酸類の架橋
が不足であるし、厳しすぎる条件では繊維の劣化を引き
起こし、強度低下や繊維黄変を引き起こす傾向があり、
好ましくない。
【0043】整形方法としては、布に荷重を掛けながら
加熱する方法(以下「荷重加熱」という。)や布を延伸
しながら加熱する方法(以下「延伸加熱」という。)等
が挙げられ、特に荷重加熱が望ましい。
【0044】上記荷重加熱においては、布の任意の形態
において行うことができる。例えば、生地のままでもよ
いし、前立て、袖、襟等の部分製品でもよく、ズボン、
スカート等の製品の状態でもよい。一方、延伸加熱にお
いては、生地のままで行われる。
【0045】荷重加熱を行うに当っては公知の機器を広
く使用でき、例えば、アイロン、熱プレス、カレンダー
加工機等を挙げることができる。
【0046】必要な荷重の強さは、加熱する繊維製品の
厚さによって変化するが、少なくとも、加熱時に布が必
要な形、例えば、平面保持を目的とする場合は、布が平
面を形成する荷重が必要であるし、プリーツを目的とす
る場合は、布が完全に折れ曲がることが必要である。通
常、0.1g/cm2 〜50kg/cm2 の荷重を掛け
ることが有効である。この範囲以下では、布が必要な形
を得られないことがあり、逆にこの範囲以上に荷重を加
えても構わないが、荷重加熱に必要な装置設備が過大と
なるので、いずれも好ましくない。
【0047】他の整形方法である延伸法は、布を縦及び
/又は横に引っ張る方法であり、推奨される方法として
は、テンターにより布を横方向に延伸しながら加熱する
方法が挙げられる。
【0048】以上の方法で製造された布は、必要により
水洗、ソーピング、縫製して衣料等の繊維製品に供され
る。軽微な荷重加熱によって製造した布を必要な縫製を
加えて衣料等の繊維製品としたものを、チャンバーやオ
ーブン等の空気浴で架橋を完結させる方法を選択するこ
ともできる。
【0049】
【実施例】以下に実施例を掲げて、本発明を詳しく説明
する。尚、各例において得られた繊維製品の特性は、以
下の方法で評価した。
【0050】平面保持性:30cm×30cmの試験布
を家庭洗濯(103法)とタンブル乾燥を10回繰り返
して得た布を判定用布とした。AATCC試験法124
−1967に準じたDP指標に加えて、さざなみのよう
な「小皺」の程度を5段階で評価した。評点が大きい
程、平面保持性に優れている。
【0051】プリーツ性:プレスした30cm×30c
mのプリーツ布を家庭洗濯(103法)とタンブル乾燥
を10回繰り返して得た布を試験布とし、AATCC試
験法88C−1973に準じ、プリーツ保持性クラス1
〜5段階で判定した。
【0052】実施例1 目付け120g/cm2 の平織り綿100%のシャツ地
を1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸(以下「B
TC」という)12%及びリン酸モノナトリウム塩5%
水溶液を処理液として浸漬し、絞り、60℃で乾燥して
BTC含浸布を得、次いで、この含浸布を熱プレス機に
より、190℃、1kg/cm2 で20秒間荷重加熱し
た。更に、この布を空気オーブン中で170℃、120
秒間加熱して試験布を作成した。
【0053】実施例2 目付け250g/cm2 の綾織り綿100%ユニホーム
素材を使用して、BTC12%、リン酸モノナトリウム
塩5%及び分子量1000のポリエチレングリコール1
0%を溶解した水溶液を処理液として浸漬し、絞り、6
0℃で乾燥した後、熱プレス機により190℃、1kg
/cm2 で120秒間荷重加熱して、試験布を作成し
た。
【0054】実施例3 目付け120g/cm2 の平織り綿100%のシャツ地
をBTC12%、次亜燐酸ナトリウム塩5%及びペンタ
リットのEO(エチレンオキシド)40モル付加物5%
を溶解した水溶液を処理液として浸漬し、絞り、60℃
で乾燥した後、200℃、10kg/cm2 で2秒間の
カレンダー加工機によって荷重加熱した。更に、この布
を空気オーブン中で170℃、120秒間加熱して試験
布を作成した。
【0055】実施例4 目付け120g/cm2 の平織りの混紡(ポリエステル
/綿=50/50)シャツ地を使用して、実施例1と同
様にして、試験布を作成した。
【0056】実施例5 目付け120g/cm2 の平織り混紡(ポリエステル/
綿=30/70)シャツ地を使用し、BTC12%、ペ
ンタリットのPO(プロピレンオキシド)20モルEO
8モル付加物5%及び次亜リン酸ナトリウム塩5%を溶
解した水溶液を処理液として浸漬し、絞り、60℃で乾
燥した後、200℃、10kg/cm2で2秒間のカレ
ンダー加工機によって荷重加熱し、更に、熱プレス機に
よって190℃、90秒間荷重加熱して試験布を得た。
【0057】比較例1 荷重加熱をしない以外は、実施例1と同様の操作を行
い、試験布を得た。
【0058】比較例2 荷重加熱をしない以外は、実施例4と同様の操作を行
い、試験布を得た。
【0059】上記実施例1〜5で得られた試験布及び比
較例1〜2で得られた試験布につき、平面保持性を調べ
た。結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】実施例6 布を2つ折りして熱プレス(荷重加熱)した以外は、実
施例1と同様にして、プレス布を得た。このプリーツ布
のプリーツ性は4.0級であった。尚、未処理布のプリ
ーツ性は1.0級であった。
【0062】比較例3 実施例1と同様にして得たBTC含浸布を空気オーブン
中で170℃、120秒間加熱し、次いで60℃の温水
で洗浄した。次いで、実施例6と同様に布を2つ折りし
て熱プレス(荷重加熱)して、プリーツ布を得た。しか
しながら、このプリーツ布のプリーツ性は1.0級であ
った。尚、未処理布のプリーツ性は1.0級であった。
【0063】実施例7 目付け120g/cm2 の平織り混紡(ポリエステル/
綿=50/50)シャツ地を使用し、BTC12%及び
次亜リン酸ナトリウム塩5%を溶解した水溶液を処理液
として浸漬し、絞り、60℃で乾燥した後、190℃で
90秒間、テンターによって横方向に延伸加熱して試験
布を得た。
【0064】比較例4 オーブン中で整形処理せずに加熱した他は実施例7と同
様に処理した試験布を得た。
【0065】上記実施例7で得られた試験布及び比較例
4で得られた試験布につき、平面保持性を調べた。結果
を表2に示す。
【0066】
【表2】
【0067】
【発明の効果】本発明による方法を適用することによ
り、優れた平面保持性やプリーツ性を有するセルロース
繊維布を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06C 29/00 Z D06M 101:06 (72)発明者 辻本 裕 兵庫県西宮市高須町1丁目1番地 武庫川 団地2号棟918号 (72)発明者 本田 和久 大阪府松原市立部2−5−9

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリカルボン酸をセルロース繊維布に含
    浸させ、次いで整形処理を施しながら加熱することを特
    徴とするセルロース繊維布の製造方法。
  2. 【請求項2】 セルロース繊維布に荷重を掛けることに
    より整形処理を行う請求項1に記載のセルロース繊維布
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 セルロース繊維布を延伸することにより
    整形処理を行う請求項1に記載のセルロース繊維布の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3に記載された方法で製造さ
    れたセルロース繊維布。
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