JPH04163369A - 羊毛繊維若しくは羊毛繊維製品の耐久的形状固定剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、羊毛繊維若しくは羊毛繊維製品の耐久的形状
固定剤に関する。詳細には、羊毛繊維若しくは羊毛ｆ＆
紺製品に対し付与された形状が温湯や水蒸気中に曝され
た場合でも安定に保持することができ、かつ形状固定時
及び形状固定後等における変色、悪臭、羊毛繊維の脆化
を引き起こすことがない羊毛繊維若しくは羊毛繊維製品
の耐久的形状固定剤に関する。

（従来の技術） 従来、羊毛繊維製品ここ付与された折目或は平面的な形
状を永久的にセットできるようここした羊毛繊維製品の
セット方法己こおいて、羊毛繊維内におけるジサルファ
イト結合を開裂させる機能を有する還元性含硫黄有機化
合物を含むセット剤が特公昭３７−３０９９号公報に記
載されている。

すなわち、その内容は、チオグリコール酸アンモニウム
等のヂオール化合物を含むセット剤であり、このセット
剤存在下で羊毛繊維製品を加熱し、羊毛繊維におけるジ
ザルファイド結合を開裂させ、同時に所定の形状に固定
した状態でジサルファイド結合を再結合させる羊毛Ｍｌ
ｉ紺製品のセラＩ・方法が提案された。

また、チオグリコール酸アンモニウムの代わりに、モノ
エタノールアミン重亜硫酸塩やモノエタノールアミン亜
硫酸塩を使用することも提案されている。

（発明が解決しようとする課題） 特公昭３７−３０９９号公報に記載の発明において、羊
毛繊維製品に付与されるセット剤は、チオグリコール酸
アンモニウム等のチオール化合物を含有している。

特公昭３７−３０９９号公報に記載の発明では、チオー
ル化合物として、チオグリコール酸アンモニウム以外に
、メルカプト・エタノール、チオグリセロール、チオ酢
酸、チオサルチル酸、メルカプト・ブチル酸、エチル・
メルカプタン、チオナフトール等を挙げている。

チオグリコール酸アンモニウムは、確かにセット剤とし
て羊毛繊維に対し有効に作用するものの、膨潤によって
繊維の損傷を招くし、染料に対する影響が大きく、繊維
製品の色相に変化を与えることがある。又、鉄などの金
属イオンにより呈色反応を起こす性質があり、容器や繊
維製品の汚れの中の微量の金属の影響を受けて変色し、
繊維製品を変色させるという欠点がある。更に、チオグ
リコール酸アンモニウムは空気との接触により容易に酸
化するため、溶液の安定性がきわめて悪く作業性が悪い
という欠点がある。

又、モノエタノールアミン重亜硫酸塩やモノエタノール
アミン亜硫酸塩を含有する現行の耐久的形状固定剤を用
いて羊毛繊維を還元する場合には、硫化水素、特に亜硫
酸ガス、アンモニア等が少量づつ長期にわたって発生し
悪臭を放つといった欠点がある。この悪臭は乾燥により
一時的には消えるが、水の噴霧により再び臭うようにな
る。又、モノエタノールアミン重亜硫酸塩やモノエタノ
ールアミン亜硫酸塩は強い還元性を有するため、変色を
生じたり、ジサルファイド結合の切断時に羊毛繊維の脆
化を招いていた。

更に、モノエタノールアミン重亜硫酸塩、モノエタノー
ルアミン亜硫酸塩のいずれも、反応時にアミノアクリル
酸残基を生成し、この残基はセットを不十分にするだけ
でなく、この残基の増加が羊毛繊維製品の黄変を招く。

発明者らは、従来、羊毛繊維の形状固定に関しては全く
かえりみられなかった含硫アミノ酸の一つであるシステ
ィンについて詳細な研究を重ねた結果、システィン又は
その誘導体は数多くの獣毛繊維の中でも特に羊毛やモヘ
アに対して極めて優れた還元性能を持っていることを見
いだした。システィン又はその誘導体は、従来のセット
剤に比べて変色や悪臭、繊維素材の脆化などの問題を大
幅に改良するという知見に基づき、本発明を完成した。

本発明は、羊毛繊維若しくは羊毛繊維製品に対し一旦付
与された形状が温湯や水蒸気中に曝された場合でも安定
に保持することができ、かつ形状固定時及び形状固定後
等における変色、悪臭、羊毛繊維の脆化を引き起こすこ
とがない羊毛繊維若しくは羊毛繊維製品の耐久的形状固
定剤を提供することを目的とするものである。

（課題を解決するための手段及び作用）上記目的を達成
するため、本発明にあっては、「羊毛繊維におけるジサ
ルファイド結合を再結合可能な状態で開裂するシスティ
ンまたはシスティン誘導体を主成分とすることを特徴と
する羊毛繊維若しくは羊毛繊維製品の耐久的形状固定剤
」をその要旨とした。

本発明において、羊毛繊維製品は、羊毛繊維のみからな
るものに限られず、羊毛繊維と他の繊維、例えばモヘア
繊維、ポリエステル繊維、セルロース繊維、アクリル繊
維等との混紡、交編織、交撚したものからなるものであ
ってもよい。

耐久的形状固定剤は、羊毛繊維におけるジサルファイド
結合を再結合可能な状態で開裂する機能を有するシステ
ィンまたはシスティン誘導体を主成分としている。

このシスティンとしては、Ｄ−システィン、Ｌ−システ
ィン、これらのラセミ体なとの混合物のいずれてもよい
。

又、システィン誘導体としては、Ｎ−アセチル−し−シ
スティン、Ｎ−カプロイル−Ｌ７−システィン、Ｎ−プ
ロピオニル−し−システィン、Ｎ−バルミトイル−Ｌ−
システィン等のＮ−アシルシスティンまたはこれらの塩
（ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、塩酸塩
等）、有機酸塩（酢酸塩等）、及びエステル類（メチル
、エチル、プロピル等）を挙げることができる。

耐久的形状固定剤の好ましい使用例は、以上挙げたシス
ティン又はシスティン誘導体の羊毛繊維若しくは羊毛繊
維製品への付着量を０．ＩＺｏ、ｘｖ、ｆ、以上１．２
χｏ、ｗ、ｆ、としたものである。システィン又はシス
ティン誘導体の付着量が０．１％ｏ、ｗ、ｆ、ｉこ溝た
ない場合、充分な耐久的形状固定性能を得ることがてき
ないからである。又、付着量が１．２Ｘｏ、ｗ、ｆ、を
超える場合、処理後に、未反応のシスティン又はシステ
ィン誘導体の残存量が多くなるからである。

上記耐久的形状固定剤は、含浸、塗布或は噴霧といった
従来より知られた手法により羊毛繊維若しくは羊毛繊維
製品へ付与されるが、羊毛繊維、羊毛繊維製品に付与さ
れたシスティンまたはシスティン誘導体は、羊毛繊維と
の間で、次式で示すような反応を起こす。

Ｗ−５Ｓ−Ｗ　　＋　　Ｔ−３Ｈ Ｗ−５Ｓ−Ｔ　　＋　　Ｖｔ７−３Ｈ Ｗ−３Ｓ−Ｔ　　　　十　　　Ｔ−５ＨＷ−９Ｈ＋　　
Ｔ−５Ｓ−Ｔ ｗ−ｓｓ−ｗ：　ウールシスチン残基、−５Ｓ−：　ジ
サルファイド結合 Ｔ−５Ｈ：　システィン又はシスティン誘導体、Ｗ−５
Ｈ：　ウールシスティン残基、 Ｔ−ＳＳ−Ｔ：　シスチン又はシスチン誘導体。

上式に示した如く、羊毛繊維若しくは羊毛繊維製品に付
与された耐久的形状固定剤中のシスティン又はシスティ
ン誘導体は、羊毛繊維中のジサルファイド結合（−Ｓ　
Ｓ−）と反応して、ジサルファイド結合（−３Ｓｉを開
裂さぜ、システィン残基を生成し、そのチオール基によ
りセットが効果的に進行する。

又、耐久的形状固定剤中のシスティン又はシスティン誘
導体は、その還元反応機構により、悪臭、変色あるいは
羊毛繊維の脆化がさけられる。

本発明者らの実験によれは、この耐久的形状固定剤に含
まれるシスティン又はシスティン誘導体の羊毛繊維への
高い吸尽性を有し、低濃度で充分な耐久的形状固定性能
を得ることができることが確認された。

又、システィン又はシスティン誘導体の水溶液の温度を
高めることにより、システィン又はシスティン誘導体の
初期の吸尽速度を速めることができることも確認された
。

更に、本発明者らの実験によれは、この耐久的形状固定
剤が羊毛繊維に吸尽されると、上式のような反応が起こ
るが、この耐久的形状固定剤に、界面活性剤、湿潤剤、
膨潤剤等を添加することにより、羊毛繊維への吸尽性は
一層向上し、低濃度で充分な耐久的形状固定性能が得ら
れることが確認された。

界面活性剤を添加した場合、前記耐久的形状固定剤の羊
毛繊維への浸透性を向上させることができる。ノニオン
系界面活性剤としては、例えはポリオキシエチレンアル
キルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等、アニオ
ン系界面活性剤としては、ネオコール系、例えばジアル
キルスルホコハク酸エステルソーダ塩等が好ましい。

又、湿潤剤を添加した場合、羊毛繊維表面に水分を保持
して、前記耐久的形状固定剤の羊毛１＆紺への吸尽性を
向上させることができる。湿潤剤としては、例えばエタ
ノール、プロパツール、ブタノール等の一価アルコール
類、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチ
ルエチレングリコール、２−プロパンジオール、３−ブ
タンジオール等の多価アルコール類が好ましい。

又、膨潤剤を添加した場合、これは羊毛繊維組織の間を
拡張し、前記耐久的形状固定剤の羊毛繊維への吸尽性を
向上させる。膨潤剤としては、モノエタノールアミン、
ジェタノールアミン、トリエタノールアミン等の水溶性
アミン類が好ましい。

以上述べた添加剤は、システィンまたはシスティン誘導
体を含む耐久的形状固定剤中に単独で添加されているも
のに限らず、複数種を組み合わせて添加されたものであ
ってもよい。

次に、上に示した羊毛繊維若しくは羊毛繊維製品の耐久
的形状固定剤の使用方法について説明する。

まず、羊毛繊維若しくは羊毛繊維製品に耐久的形状固定
剤を付与した後、煮絨加工、蒸絨加工、エンボス加工、
撚り止め加工、クリンプ加工、しわ付は加工など従来よ
り知られた方法により、羊毛繊維、羊毛繊維製品に対し
、所定の形状を付与する。

次いで、必要に応じて水洗いあるいは乾燥等の後処理な
施腰　羊毛繊維若しくは羊毛繊維製品の耐久的形状固定
処理を完了するのである。

尚、上記羊毛繊維若しくは羊毛繊維製品の耐久的形状固
定処理後の羊毛繊維内にチオール基が残存している場合
には、羊毛繊維若しくは羊毛繊維製品の形状保持に弊害
が生じることがある。この弊害は、羊毛繊維、羊毛繊維
製品を酸化後処理をすることによって解消することがで
き、更に耐久的形状固定性能が向上する。酸化剤として
は、過酸化水素、臭素酸カリ等が好ましい。

（実施例） 以下、本発明の羊毛繊維若しくは羊毛繊維製品の耐久的
形状固定剤について、実施例に従い更に詳しく説明する
。

実ＪＬ例」− 耐久的形状固定剤として、２０ｇ／ＩのＬ−システィン
にＩｇ／ｌのノニオン系界面活性剤、５ｇ／Ｉのエチレ
ングリコールを加えて水溶液を調整した。この水溶液に
羊毛繊維を含む織物を浸漬した。

この後、織物をマングルで絞り、加熱シリンダーと当該
シリンダー周面に圧接せしめた気密性の無端ベルトとの
間に挟み、水蒸気を噴射しつつ、加熱プレスし、その後
急冷し、織物をフラットな形状に固定した。

この結果、上記の如く形状固定された織物にあっては、
十分な表面平滑性と防しわ性とが得られた。

実Ｊ１覧２ 耐久的形状固定剤として、ｌｏｇ／　ｌのＬ−システィ
ンとｌｏｇ／　ｌのＮ−アセチル−Ｌ−システィンに２
ｇ／ｌのノニオン系界面活性剤、５ｇ／ｌのエチレング
リコールを加えた水溶液を調製した。

この水溶液を１．５ｋｇ／ｃｍ２の圧縮空気を利用して
ハンドスプレィガンにより羊毛繊維を含む織物に噴霧し
、織物重量の４０％ｏ、ｗ、ｆ、の付着量となるように
する。

この織物の片面にエンボス布を積層し、これを加熱シリ
ンダーと該シリンダー周面に圧接せしめた気密性の無端
ベルトとの間に挟み、水蒸気を噴射しつつ、加熱プレス
し乾燥する。

このようにして織物表面にエンボス布の凹凸形状を転写
した。

得られた織物は、温湯或いは水蒸気中に曝されても消失
しない十分な形状安定性を有するものであった。

寛愉■ユ 耐久的形状固定剤として５ｇ／ｌのＬ−システィン、５
８／ＩのＬ−システィン−メチルエステル、１　ｇ／ｌ
のノニオン界面活性剤を加えた水溶液を調製した。

この水溶液を羊毛繊維を含む糸のチーズ染色後に後処理
剤として染色機内に投入し、５分間循環する。

次いて、絞り率６０％に脱水し、９４℃で乾燥すること
により糸の撚り止めを行った。

この結果、強撚糸等による織物の針路及びカーリング、
又は編み立て製品の針路を防止できた。

（発明の効果） 上記構成を採ったことにより、本発明の羊毛繊維若しく
は羊毛繊維製品の耐久的形状固定剤にあっては、羊毛繊
維若しくは羊毛ｆ＆維調製品対し付与された形状が温湯
や水蒸気中に曝された場合でも安定に保持することがで
きる。

又、この耐久的形状固定剤に含まれるシスティン又はシ
スティン誘導体は、その還元反応機構ここより、悪臭、
変色あるいは羊毛繊維の脆化及び黄変をさけることがで
きる。

更に、この耐久的形状固定剤を、煮絨、蒸絨、撚り止め
等に用いることにより従来より高い形状固定処理性能を
得ることがてきる。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 羊毛繊維におけるジサルファイド結合を再結合可能な状
   態で開裂するシステインまたはシステイン誘導体を主成
   分とすることを特徴とする羊毛繊維若しくは羊毛繊維製
   品の耐久的形状固定剤。