JPH07258342A - 耐塩水性ラテックス - Google Patents

耐塩水性ラテックス

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JPH07258342A
JPH07258342A JP6050540A JP5054094A JPH07258342A JP H07258342 A JPH07258342 A JP H07258342A JP 6050540 A JP6050540 A JP 6050540A JP 5054094 A JP5054094 A JP 5054094A JP H07258342 A JPH07258342 A JP H07258342A
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JP
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monomer
group
water
salt
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JP6050540A
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Kuniyoshi Ogura
邦由 小椋
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F220/00Copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and only one being terminated by only one carboxyl radical or a salt, anhydride ester, amide, imide or nitrile thereof
    • C08F220/02Monocarboxylic acids having less than ten carbon atoms; Derivatives thereof
    • C08F220/10Esters
    • C08F220/34Esters containing nitrogen, e.g. N,N-dimethylaminoethyl (meth)acrylate

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  • Organic Chemistry (AREA)
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  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電解質水溶液中で安定なラテックスを提供す
る。 【構成】 ツビッターイオン性官能基を有するラジカル
重合性単量体(A)と少なくとも1種以上のエチレン系
不飽和単量体(B)の乳化重合により得られる耐塩水性
の優れたラテックス。また、水溶性のラジカル重合性単
量体(C)を共重合することもできる。 【効果】 電解質水溶液、特に高濃度の電解質水溶液、
あるいは多価金属塩水溶液中で優れた分散安定性を示す
ため、該電解質水溶液中でラテックスを扱い、且つ安定
性が求められる場合には絶大な使用効果を発揮する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ツビッターイオン性官
能基を有するラジカル重合性単量体を乳化剤とした、乳
化重合により得られる耐塩水性ラテックスに関する。こ
のラテックスは電解質水溶液、特に多価金属塩水溶液あ
るいは高濃度の電解質水溶液中で凝集せず安定に分散す
るため、ラテックスを該条件下で使用するに際し特に有
用である。
【0002】
【従来の技術】一般にラテックス微粒子は、特定濃度以
上の塩類の添加によってその分散安定性が著しく悪化
し、凝集、沈殿あるいは浮遊してしまうため、塩類存在
下でのラテックスの使用は大きく制限される。従って、
該条件下での工業的応用が妨げられる。
【0003】ラテックスに耐塩水性を付与するための方
法としては、非イオン性の、界面活性剤あるいは単量体
を、乳化剤として用いた乳化重合による方法が挙げられ
る。この様な方法で得たラテックスは、主に乳化剤親水
性基の水和層による立体反発により安定化されると考え
られ、ある程度の耐塩水性が得られる。
【0004】しかし、この様なラテックスは数重量%ま
での低濃度の電解質水溶液に対しては安定でも、より高
い電解質濃度では凝集、沈殿あるいは浮遊してしまうた
め、高濃度の電解質水溶液中でのラテックスの使用に対
しては有効な手段とはなり得ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は上記の様な
問題点を克服するために、電解質水溶液に対して優れた
分散安定性を有するラテックスについて鋭意検討した結
果、本発明に到達したものである。電解質水溶液、特に
高濃度の電解質水溶液、及び多価金属塩水溶液に対して
優れた分散安定性を有するラテックスを開発する事は、
これまでラテックスを使用する事ができなかった分野へ
の応用が可能となり、極めて優れた使用効果を発揮す
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、化6(但し、
Rは炭素数1から10の直鎖状もしくは分枝状のアルキ
レン基または置換もしくは無置換のフェニレン基、Xは
COO- またはSO3 - を示す)に示すツビッターイオ
ン性官能基を有するラジカル重合性単量体(A)と、該
単量体と共重合し得る少なくとも1種以上のエチレン系
不飽和単量体(B)と、必要に応じて単量体(A)以外
の水溶性のラジカル重合性単量体(C)との乳化重合に
より得られる耐塩水性ラテックスによって達成でき、電
解質水溶液に対して優れた分散安定性を有する耐塩水性
のラテックスを提供することができる。ここで、電解質
とは水その他の溶媒に溶解してその溶液がイオン電導を
行うような物質であり、電解質水溶液とはその様な物質
が1種類以上溶解した水溶液を言う。
【0007】
【化6】
【0008】以下、本発明を詳述する。まず、ツビッタ
ーイオン性官能基を有するラジカル重合性単量体(A)
とは、化6に示す如く同一単量体単位中にアニオン性基
とカチオン性基の両者を併せ有する両イオン性の単量体
を言い、かかる単量体は1種以上が採用される。ツビッ
ターイオン性官能基とは化6に示すようにアニオン性基
としてカルボキシル基、スルホン酸基から選ばれるイオ
ン性基を有し、カチオン性基として4級アンモニウム基
を有した官能基であり、単量体(A)は分子中にこの様
な官能基を有したラジカル重合性の単量体である。
【0009】かかる単量体(A)としては、以下に示す
化7から化10(但し、R1 は水素原子またはメチル
基、R2 は炭素数0から6の直鎖状もしくは分枝状のア
ルキレン基または置換もしくは無置換のフェニレン基、
3 及びR4 はそれぞれ独立に炭素数1から6の直鎖状
もしくは分枝状のアルキル基もしくはヒドロキシアルキ
ル基または置換もしくは無置換のフェニル基、R5 は炭
素数1から10の直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基
もしくはヒドロキシアルキレン基または置換もしくは無
置換のフェニレン基、R6 は炭素数1から6の直鎖状も
しくは分枝状のアルキレン基もしくはヒドロキシアルキ
レン基または置換もしくは無置換のフェニレン基、Xは
−COO- または−SO3 - 、Yはエステル基アミド基
または置換もしくは無置換のフェニレン基、Zは−O−
または−NH−を示す)で例示される単量体が本発明に
おいて好適に採用される。
【0010】
【化7】
【0011】
【化8】
【0012】
【化9】
【0013】
【化10】
【0014】本発明における単量体(A)は、一般にス
ルホベタイン型単量体、及びベタイン型単量体として知
られており、その重合体の溶液物性に関して数多くの報
告が有る。例えばスルホベタイン型ポリマーに関して
は、POLYMER,1978,Vol.19,115
7.、POLYMER,1984,Vol.25,25
4.等の文献が挙げられる。
【0015】多くの場合、スルホベタイン型単量体は対
応する3級アミン型単量体とスルトン類との反応によっ
て合成される。例えば、ジメチルアミノエチルメタクリ
レートと1,3−プロパンスルトンをジメチルホルムア
ミド中、30℃で7日間反応させることによって、ジメ
チル−(2−メタクリロイルオキシエチル)−1−(3
−スルホプロピル)アンモニウム内部塩が合成できる。
また、1−ビニルイミダゾ−ルと1,4−ブタンスルト
ンから1−ビニル−3−(4−スルホブチル)イミダゾ
リウム内部塩が合成できる。一方、3級アミン型単量体
にアルデヒドまたはケトン類と酸性亜硫酸ナトリウムと
の縮合物を反応せしめる、あるいは3級アミン型単量体
とハロアルカンスルホン酸との反応、さらに水酸基を有
する4級アンモニウム型単量体の硫酸エステル化反応に
よってもスルホベタイン型単量体を合成することができ
る。
【0016】その他、1−ビニル−3−(3−スルホプ
ロピル)イミダゾリウム内部塩、1−ビニル−2−メチ
ル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウム内部
塩、1−ビニル−2−メチル−3−(4−スルホブチ
ル)イミダゾリウム内部塩、1−ビニル−3−(2−ス
ルホベンジル)イミダゾリウム内部塩、2−ビニル−1
−(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩、2−メ
チル−5−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジ
ニウム内部塩、4−ビニル−1−(3−スルホプロピ
ル)ピリジニウム内部塩、ジエチル−(2−メタクリロ
イルオキシエチル)−1−(3−スルホプロピル)アン
モニウム内部塩、3−{3−[2−(メタクリロイルオ
キシ)エトキシカルボニル]ピリジニオ}プロパンスル
ホネ−ト内部塩、ジメチル−(2−アクリロイルオキシ
エチル)−1−(3−スルホプロピル)アンモニウム内
部塩、ジメチル−(3−アクリルアミノプロピル)−1
−(3−スルホプロピル)アンモニウム内部塩等のスル
ホベタイン型単量体が本発明における単量体(A)とし
て好適に使用することができる。
【0017】一方、ベタイン型単量体は、対応する3級
アミン型単量体とβ−プロピオラクトン等の環状エステ
ル化合物との反応、3級アミン型単量体とモノクロロ酢
酸ナトリウム等のモノハロアルキルカルボン酸塩との反
応、あるいは3級アミン型単量体とモノブロモ酪酸エチ
ル等のモノハロアルキルカルボン酸アルキルエステルと
の反応の後、エステル基の加水分解により合成する等の
方法がある。例えば、ジメチルアミノプロピルアクリル
アミドとモノクロロ酢酸ナトリウムをメタノール中で反
応させることによって、N,N−ジメチル−N−カルボ
キシメチル−3−アクリルアミドプロピルアンモニウム
内部塩が合成できる。
【0018】その他、N,N−ジメチル−N−カルボキ
シエチル−3−アクリルアミドプロピルアンモニウム内
部塩、N,N−ジメチル−N−カルボキシメチル−2−
メタクリロイルオキシエチルアンモニウム内部塩、N,
N−ジメチル−N−カルボキシエチル−2−メタクリロ
イルオキシエチルアンモニウム内部塩、N,N−ジメチ
ル−N−カルボキシメチル−2−アクリロイルオキシエ
チルアンモニウム内部塩、N,N−ジメチル−N−カル
ボキシエチル−2−アクリロイルオキシエチルアンモニ
ウム内部塩等のベタイン型単量体が本発明における単量
体(A)として好適に使用することができる。
【0019】ツビッターイオン性官能基を有するラジカ
ル重合性単量体(A)を好ましくは単量体総重量に対し
て重合時の仕込み組成が1重量%〜40重量%の範囲内
で含有させて重合することによって、本発明の課題であ
る電解質水溶液に対して安定なラテックスが得られる。
単量体(A)が1重量%未満では十分な電解質水溶液に
対する安定性が得られないため、単量体(A)の仕込み
組成は1重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上で
あることが望ましい。単量体(A)の仕込み組成が40
重量%を超えると、重合体の親水性が強く製膜後のフィ
ルム物性が悪化する可能性があり、また、比較的高価な
単量体(A)の使用量が増えることはコスト面で問題と
なる可能性があるため望ましくなく、さらに好ましくは
20重量%以下であることが望ましい。
【0020】単量体(A)を必須成分として、単量体
(A)と共重合し得る少なくとも1種以上のエチレン系
不飽和単量体(B)の乳化重合によって本発明の耐塩水
性ラテックスを得ることができる。本発明の乳化重合は
一般にソープフリー乳化重合として知られており、界面
活性剤の代わりに親水性単量体を乳化剤とした乳化重合
系である。単量体(B)は、水性媒体中において単量体
(A)と共重合しラテックスを形成するものならばどの
様な単量体でもよいが、一般には水にあまり溶解しない
疎水性の単量体が用いられる。また、ラテックスの使用
目的、用途に応じて単量体(B)1種類以上を適宜組み
合わせて使用することができる。
【0021】かかる単量体(B)としては例えば、スチ
レン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ジ
ビニルベンゼン等のスチレン誘導体、メチルメタクリレ
ート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレ
ート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリ
レート、グリシジルメタクリレート等のメタクリレート
誘導体、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イ
ソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イ
ソブチルアクリレート、グリシジルアクリレート等のア
クリレート誘導体、ブタジエン、イソプレン、クロロプ
レン等のジエン化合物、塩化ビニル、塩化ビニリデン等
のハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデン、酢酸ビ
ニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアン
化ビニリデン等が挙げられるが、もちろんこれらの単量
体に限定されるものではない。
【0022】本発明において、乳化剤として用いられる
単量体(A)と共に水溶性のラジカル重合性単量体
(C)を乳化剤として併用することができる。すなわ
ち、生成ラテックスの分散安定性、放置安定性、攪拌安
定性、希釈安定性、凍結安定性等の性能を向上させるた
め、成膜後のフィルム物性を向上させるため、高価な単
量体(A)の使用量を減らすため、あるいは単量体
(A)と単量体(B)との共重合反応性が低く、乳化重
合が円滑に進行しない場合に共重合性を向上させるため
の第3成分の単量体として使用する等の理由により、水
溶性のラジカル重合性単量体(C)を使用することは、
塩水安定性を妨げない範囲内においては何ら問題はな
い。また、単量体(C)を使用する必要が無い場合は使
用しなくともよい。
【0023】単量体(C)は、水溶性であるために親水
性の官能基を分子中に有していなければならない。親水
性の官能基としてはカルボキシル基、スルホン酸基、リ
ン酸基、アミド基、水酸基、ポリエーテル基、1級2級
及び3級アミノ基、4級アンモニウム塩基等がある。
尚、ここでいう水溶性とは、これらの単量体が25℃の
水に対して50重量%以上溶解するものを指す。
【0024】この様な親水性の官能基を有する水溶性の
ラジカル重合性単量体(C)としては例えば、アクリル
酸及びその塩、メタクリル酸及びその塩、イタコン酸及
びその塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−置
換アルキルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレ
ート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエ
チルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレー
ト、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ヒドロキシプロ
ピルアクリルアミド、ビニルスルホン酸及びその塩、メ
タアリルスルホン酸及びその塩、スチレンスルホン酸及
びその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンス
ルホン酸及びその塩、2−メタクリロイルオキシエタン
スルホン酸及びその塩、モノ(2−アクリロイルオキシ
エチル)アシッドホスフェート、モノ(2−メタクリロ
イルオキシエチル)アシッドホスフェート、3−メタク
リルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩、2−メ
タクリロイルオキシエチルジメチルアミン及びその塩、
3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム
クロライド、N−ビニル−2−ピロリドン、ポリエチレ
ングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメ
タクリレート等が挙げられ、これら単量体を1種または
2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0025】特に、単量体(C)としてカルボン酸基及
びその塩、スルホン酸基及びその塩を有するものから選
ばれた単量体を用いることにより、他の水溶性単量体
(C)よりも優れた安定性を有するラテックスを得るこ
とができる。
【0026】かかる単量体(C)としてはアクリル酸及
びその塩、メタクリル酸及びその塩、スチレンスルホン
酸及びその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸及びその塩、2−メタクリロイルオキシエ
タンスルホン酸及びその塩等が挙げられる。
【0027】単量体(C)の重合時の含有量はラテック
スの電解質水溶液に対する安定性を維持し、且つラテッ
クスが安定に生成しさえすれば特に制限は無いが、好ま
しくは40重量%以下、また、単量体(A)と単量体
(C)の重合時の含有量の総量は50重量%以下である
ことが好ましい。
【0028】本発明の耐塩水性ラテックスは従来より行
われている、通常の界面活性剤を用いず水溶性単量体を
乳化剤としたソープフリー乳化重合法を用いて調製する
ことができる。すなわち、重合媒体として水性媒体を用
い、水溶性単量体と疎水性単量体を水溶性ラジカル重合
開始剤により重合する乳化重合方法が採用される。ここ
で、水性媒体とは純水及び無機塩等の水溶性物質が溶解
した水溶液を表す。
【0029】水溶性ラジカル重合開始剤としては例え
ば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の酸化剤、
及びこれら酸化剤と酸性亜硫酸ナトリウム等の還元剤と
の組み合わせからなるレドックス系開始剤、アゾビスシ
アノ吉草酸等の水溶性アゾビス系開始剤等が挙げられ
る。水溶性ラジカル重合開始剤の使用量は単量体総重量
に対して0.1重量%〜5重量%、好ましくは0.3重
量%〜1.5重量%の範囲内であることが望ましい。重
合操作は水性媒体中に各単量体、開始剤を混合し、攪拌
下必要に応じて温度制御を行う。この時、各単量体、開
始剤は予め全量を加えておいてもよいが、必要に応じて
単量体、開始剤を時間的に変化して添加する連続多段重
合法や断続多段重合法も採用することができる。重合温
度は使用する単量体、開始剤の種類に応じて適宜設定す
ればよい。
【0030】
【作用】本発明のラテックスが、電解質水溶液に対して
優れた安定性を有する理由は十分に解明するに至ってい
ないが、概ね次の様であろうと考えられる。すなわち、
ツビッターイオン性官能基を有するラジカル重合性単量
体(A)の単独重合体が純水には溶解せず一定濃度以上
の電解質水溶液に溶解し、さらに電解質濃度の増加と共
にポリマー鎖が伸長する傾向にあることから、主にツビ
ッターイオン性官能基を有する共重合体を保護層とする
ポリマー微粒子間の立体反発によって電解質水溶液中で
安定化されるものと考えられる。
【0031】
【実施例】以下、実施例に従って本発明を具体的に説明
するが、本発明の範囲はこれら実施例にのみ限定される
ものではない。
【0032】本実施例においてツビッターイオン性官能
基を有するラジカル重合性単量体(A)として、ジメチ
ル−(2−メタクリロイルオキシエチル)−1−(3−
スルホプロピル)アンモニウム内部塩(以下、DMPS
と略す)、ジメチル−(3−アクリルアミノプロピル)
−1−(3−スルホプロピル)アンモニウム内部塩(D
PPS)、1−ビニル−3−(3−スルホプロピル)イ
ミダゾリウム内部塩(VIPS)、4−ビニル−1−
(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩(VPP
S)をPOLYMER,1977,Vol.18,10
58.に記載の方法と同様にして、各単量体の対応する
3級アミン型単量体とプロパンスルトンから合成した。
粗生成物をメタノール/酢酸エチルで数回再沈精製し、
真空乾燥して単量体を得た。また、ベタイン型単量体と
して、N−3−アクリルアミドプロピルカルボキシベタ
イン(APCB)をN−3−ジメチルアミノプロピルア
クリルアミドとモノクロロ酢酸ナトリウムをメタノール
中、65℃で反応させることにより合成した。
【0033】本実施例においてエチレン系不飽和単量体
(B)として、メチルメタクリレート(MMA)、メチ
ルアクリレート(MA)、スチレン(St)、酢酸ビニ
ル(VAc)を使用した。また、水溶性のラジカル重合
性単量体(C)として、メタクリル酸(MAA)、アク
リル酸(AA)、スチレンスルホン酸ナトリウム(SS
Na)を使用した。ラジカル重合開始剤は過硫酸アンモ
ニウム(APS)と重亜硫酸ナトリウム(SBS)から
なるレドックス系開始剤を使用した。
【0034】重合操作は以下の手順に従って行った。冷
却管、温度計、攪拌装置を備えた500mlのセパラブ
ルフラスコに80gの蒸留水を入れ、55℃の恒温槽に
設置した。総単量体重量に対し1重量%のAPSと所定
量の単量体(A)及び場合によっては単量体(C)を溶
解し、攪拌下に単量体(B)を加えた(総単量体濃度=
20重量%)。攪拌回転数を約350rpmに保ち、A
PSの1.5倍モル量のSBSの30重量%水溶液を加
えた。2時間後、恒温槽の水温を65℃に上げ、さらに
3時間攪拌しラテックスを得た。重合率はラテックスを
乾燥し、固形分から概算した。ラテックス粒子の粒子径
は大塚電子(株)製電気泳動光散乱光度計ELS−80
0を用いて測定した。重合時の各単量体の仕込み組成、
及び重合率、重量平均粒子径を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【比較例】また、比較例として単量体(A)を含まな
い、MMA(単量体B)とMAA(単量体C)からなる
ラテックスも同様の条件で重合した。尚、表中のNo.
1〜No.19は本願発明のラテックス、No.20、
21は比較例のラテックスである。
【0037】塩水安定性の評価は、得られた各ラテック
ス5mlと各種電解質水溶液25mlを混合した後静置
し、24時間後の混合液の状態を目視により判定した。
電解質水溶液としては、10%Na2 SO4 、10%C
aCl2 、58%NaSCN、鋼板防錆被覆用クロメー
ト液(クロメート液、組成:三酸化クロム=20重量
%、リン酸=5重量%、コロイダルシリカ=2.5重量
%、ケイフッ化バリウム=1重量%)を用いた。結果を
表2に示す。尚、表中の塩水安定性の評価記号の意味は
以下のとうりである。 ○:安定(凝集無し) △:一部凝集物有り ×:凝集
【0038】No.1のラテックスは単量体(A)の仕
込み組成が少ないものであり、重合率が低く、実用的に
採用し難いラテックスであるが、高濃度の電解質水溶液
に対してはともかく、10%Na2 SO4 と10%Ca
Cl2 に対しては安定であった。No.2のラテックス
は単量体(A)の仕込み組成が比較的少ないものであ
り、高濃度の電解質水溶液に対しては若干の凝集が認め
られるものの、比較例に較べ、十分な高濃度の電解質水
溶液に対する安定性を有していた。
【0039】No.3〜5、7、10〜19は各電解質
水溶液に対して非常に優れた分散安定性を示した。特に
58%NaSCNという非常に高濃度の電解質水溶液に
対しても安定であることは驚異的でさえあり、この様な
環境下でラテックスを扱う場合に有用である。No.6
は高濃度の電解質水溶液に対して凝集が認められるケー
スもあったが、多価金属塩水溶液に対しては許容できる
安定性を有していた。また、No.8、No.9は高濃
度の電解質水溶液に対して若干の凝集が認められたが、
その他の電解質水溶液に対しては安定であった。
【0040】比較例であるNo.20、21は低濃度の
電解質水溶液に対してはある程度の耐塩水性を示すもの
の、高濃度の電解質水溶液、及び多価金属塩水溶液に対
しては凝集してしまうため、安定化効果は無い。このこ
とから、単量体(A)の存在により高度の耐塩水性が発
現することが明確である。
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】以上説明した本発明の耐塩水性ラテック
スは、特に高濃度の電解質水溶液や多価金属塩水溶液中
で優れた分散安定性を有するため、該水溶液中でラテッ
クスを使用する場合に絶大な使用効果を発揮する。従っ
て、本発明の耐塩水性ラテックスはこの様な環境下での
ラテックスの工業的応用に対し、有効な開発の方策を与
えるものである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ツビッターイオン性官能基(化1)を有
    するラジカル重合性単量体(A)と、該単量体と共重合
    し得る少なくとも1種以上のエチレン系不飽和単量体
    (B)と、必要に応じて単量体(A)以外の水溶性のラ
    ジカル重合性単量体(C)との乳化重合により得られる
    耐塩水性ラテックス(但し、Rは炭素数1から10の直
    鎖状もしくは分枝状のアルキレン基または置換もしくは
    無置換のフェニレン基、XはCOO- またはSO3 -
    示す)。 【化1】
  2. 【請求項2】 単量体(A)が、化2〜5(但し、R1
    は水素原子またはメチル基、R2 は炭素数0から6の直
    鎖状もしくは分枝状のアルキレン基または置換もしくは
    無置換のフェニレン基、R3 及びR4 はそれぞれ独立に
    炭素数1から6の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基も
    しくはヒドロキシアルキル基または置換もしくは無置換
    のフェニル基、R5 は炭素数1から10の直鎖状もしく
    は分枝状のアルキレン基もしくはヒドロキシアルキレン
    基または置換もしくは無置換のフェニレン基、R6 は炭
    素数1から6の直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基も
    しくはヒドロキシアルキレン基または置換もしくは無置
    換のフェニレン基、Xは−COO- または−SO3 -
    Yはエステル基アミド基または置換もしくは無置換のフ
    ェニレン基、Zは−O−または−NH−を示す)で示さ
    れる単量体から選ばれる1種以上の単量体であることを
    特徴とする請求項1記載の耐塩水性ラテックス。 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】
  3. 【請求項3】 水溶性のラジカル重合性単量体(C)の
    1種以上を必須成分とした請求項1または2記載の耐塩
    水性ラテックス。
  4. 【請求項4】 全単量体中、単量体(A)の含有量が1
    重量%〜40重量%であることを特徴とする請求項1〜
    3いずれかに記載の耐塩水性ラテックス。
  5. 【請求項5】 水溶性のラジカル重合性単量体(C)
    が、カルボン酸基及びその塩、スルホン酸基及びその塩
    を有する単量体から選ばれる事を特徴とする請求項1〜
    4いずれかに記載の耐塩水性ラテックス。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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