JPH07258246A - ピペロナールの製造法 - Google Patents
ピペロナールの製造法Info
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- JPH07258246A JPH07258246A JP4866994A JP4866994A JPH07258246A JP H07258246 A JPH07258246 A JP H07258246A JP 4866994 A JP4866994 A JP 4866994A JP 4866994 A JP4866994 A JP 4866994A JP H07258246 A JPH07258246 A JP H07258246A
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Abstract
3,4−メチレンジオキシマンデル酸から高収率で製造
できる。 【構成】 本発明は、水及び有機溶媒からなる混合溶媒
の存在下、硫酸を存在させて、3,4−メチレンジオキ
シマンデル酸を硝酸で酸化することを特徴とするピペロ
ナールの製造法に関する。 【効果】 本発明により、ニトロ化物を増加させること
なく、ピペロナールを高収率で製造することができる。
Description
キシマンデル酸を硝酸で酸化してピペロナール(ヘリオ
トロピン)を高収率で製造する方法に関する。ピペロナ
ールはヘリオトロープ系香料の調合基材であり、一般化
粧品香料として広く利用されるほか、医薬、農薬の合成
原料や金属メッキの光沢剤として非常に有用な化合物で
ある。
ル酸を硝酸で酸化してピペロナールを製造する方法とし
ては、安息香酸銀−ヨウ素錯塩を存在させて希硝酸で酸
化する方法(P.S.Raman Current S
cience,1958,27,22参照)や、100
℃までの反応温度で硝酸で酸化する方法(Perfu−
mer & Flavorist,14,13(198
9)参照)が知られている。しかしながら、これらの方
法は、いずれもピペロナールの収率が余り高くなく、し
かも3,4−メチレンジオキシマンデル酸に対して当量
の硝酸を使用するために後述するような副反応が促進さ
れるという問題を有している。更に、前者の方法では高
価な反応試剤を使用するという問題、後者の方法では1
00℃で硝酸の濃度を厳密に低濃度に調節しなければ8
3%の収率でピペロナールを得ることができない、即
ち、反応の制御が容易ではないという問題も存在してい
る。
させて硝酸で酸化する方法が開示されているが、この方
法は、塩酸を使用することにより反応速度を上げると共
に硝酸の使用量も低減させているものの、ピペロナール
の収率は高くない上に(収率79%)、塩酸により反応
器の腐食が著しくなって設備費がかさみ、工業的に満足
できる方法ではない。
酸で酸化する場合には、前記のように硝酸の濃度及び使
用量によって種々の問題が生じてくるが、中でも副反応
は次のように大きな問題である。周知のように、3,4
−メチレンジオキシマンデル酸は1,2−メチレンジオ
キシベンゼンとグリオキシル酸を反応させることによっ
て合成されるが、このとき、生成した3,4−メチレン
ジオキシマンデル酸の結晶中に未反応の1,2−メチレ
ンジオキシベンゼンが取り込まれやすい。混入した1,
2−メチレンジオキシベンゼンを除くには煩雑な操作を
必要としこれを完全に除去することは容易ではないの
で、しばしば1,2−メチレンジオキシベンゼンが3,
4−メチレンジオキシマンデル酸の硝酸酸化の工程に持
ち込まれて、ニトロ化を受けやすい1,2−メチレンジ
オキシベンゼンがニトロ化されることになる。その結
果、生成する1,2−メチレンジオキシベンゼンのニト
ロ化物は製品の品質を著しく低下させるので、ニトロ化
は3,4−メチレンジオキシマンデル酸の硝酸酸化にお
いて特に抑制しなければならない副反応になっている。
チレンジオキシマンデル酸を硝酸で酸化してピペロナー
ルを製造する方法において、副反応、特にニトロ化を抑
制して、高収率でピペロナールを製造することができる
工業的に好適なピペロナールの製造法を提供することを
目的とするものである。
題を解決するために鋭意研究した結果、驚くべきことに
有機溶媒を含む反応系中に硫酸を存在させることによっ
て、硝酸を使用するにも拘わらず、ニトロ化を抑制し
て、高収率でピペロナールを製造できることを見出し
て、本発明を到達した。即ち、本発明は、水及び有機溶
媒からなる混合溶媒の存在下、硫酸を存在させて、3,
4−メチレンジオキシマンデル酸を硝酸で酸化すること
を特徴とするピペロナールの製造法に関する。
発明で使用される3,4−メチレンジオキシマンデル酸
としては、例えば、カテコールから誘導される1,2−
メチレンジオキシベンゼンとグリオキシル酸とを反応さ
せる公知の方法によって製造されるものが挙げられる。
このとき、3,4−メチレンジオキシマンデル酸の中に
は、未反応の1,2−メチレンジオキシベンゼンが少量
(約3モル%程度)含まれていても差し支えなく、1,
2−メチレンジオキシベンゼンのニトロ化物の副生を製
品の品質上問題のない程度に抑えることができる。
メチレンジオキシマンデル酸1モルに対して、通常0.
01〜10モル、好ましくは0.5〜3モルである。硫
酸の使用量が多すぎると副反応(ピペロニル酸の生成な
ど)が進んで、ピペロナールの選択率を低下させると共
に、製品の品質も低下させることになる。なお、硫酸
は、副反応を抑えるために、通常、水で希釈されたもの
を使用することが好ましい。
メチレンジオキシマンデル酸1モルに対して、通常0.
66〜0.9モル、好ましくは0.66〜0.85モル
である。硝酸の使用量が多すぎると副反応(ピペロニル
酸の生成など)が進んで、ピペロナールの選択率を低下
させると共に、製品の品質も低下させる。また、この使
用量が少ないと反応が完結しない。なお、硝酸は、濃硝
酸(61〜65重量%硝酸)でも水で希釈された硝酸で
も必要量を反応系に存在させることができれば、いずれ
の形態であっても差し支えないが、硝酸を滴下して反応
を行う場合、反応時間を短縮するために濃硝酸を使用す
ることが好ましい。
化及びニトロ化に対して安定で水と混合しにくい有機溶
媒が挙げられる。具体的には、例えば、トルエン、キシ
レン、エチルベンゼン、クロロベンゼン等の芳香族炭化
水素類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、
n−デカン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シ
クロヘプタン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素、ジ
イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル
類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、クロロホ
ルム、四塩化炭素等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類が挙
げられるが、中でもトルエン、キシレン、エチルベンゼ
ンが最も好ましい。
より、副反応を抑えてピペロナールの収率を向上させる
ことができ、また、生成物のピペロナールを有機溶媒中
に移行させて、反応後はそのまま分液操作を行うか又は
反応溶媒と同じ有機溶媒を添加して抽出操作を行って、
生成物の分離精製を容易にすることができる。なお、有
機溶媒は、水に対して、通常0.1〜10、好ましくは
0.2〜5の容量比で使用され、水及び有機溶媒からな
る反応溶媒は3,4−メチレンジオキシマンデル酸1g
に対して通常0.1〜10ml、好ましくは1〜5ml
使用される。
0℃、好ましくは30〜60℃の反応温度で、例えば、
3,4−メチレンジオキシマンデル酸、硫酸、水及び有
機溶媒の懸濁液に、攪拌下、前記硝酸をゆっくり滴下す
ることによって行われる。硝酸の滴下速度を調節するこ
とによって反応温度及び反応速度を調節できるが、この
滴下速度は反応温度が上記の範囲に維持できれば特に限
定されるものではなく、通常1〜2時間で滴下を終了す
ることができる。なお、反応の雰囲気は特に限定されな
いが、通常、窒素又はアルゴン等の不活性ガスの雰囲気
がよい。
機溶媒中に生成させることができる。目的のピペロナー
ルは、例えば、この有機層と水層の分離及び必要に応じ
て反応に用いた有機溶媒による水層中のピペロナールの
抽出も行った後、蒸留及び/又はメタノール等による再
結晶など公知の方法によって精製される。
に説明する。 実施例1 反応器(500ml用容ガラス製四つ口フラスコ)に、
アルゴン気流中、0℃で水123.4g、97重量%硫
酸55g(0.54mol)、3,4−メチレンオキシ
マンデル酸45.6g(0.23mol)及びトルエン
75mlを入れて混合した。混合液を50℃に加温した
後、攪拌しながら、61重量%硝酸15.8g(0.1
5mol)を2時間で滴下して反応を行った。このと
き、反応温度は54℃まで上昇した。硝酸の滴下を終え
てガスの発生が認められなくなった後、更にこの温度で
30分攪拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却
し、トルエン(抽出溶媒)75mlを加えて生成したピ
ペロナールをトルエン層に完全に移行させた。次いで、
トルエン層と水層を分離し、トルエン層はn−ペンタデ
カンを内標としてガスクロマトグラフィーで、水層はベ
ラトロールを内標として液体クロマトグラフィーでそれ
ぞれ分析した。その結果、トルエン層にはピペロナール
33.2g(3,4−メチレンジオキシマンデル酸に対
する収率:96%)が、水層にはピペロニル酸0.1g
(3,4−メチレンジオキシマンデル酸に対する収率:
0.3%)が含まれていた。また、3,4−メチレンジ
オキシマンデル酸の転化率は100%で、3,4−メチ
レンジオキシマンデル酸に対するピペロナール及びピペ
ロニル酸の選択率はそれぞれ96%、0.3%であっ
た。なお、収率、転化率及び選択率はそれぞれモル換算
で求めた。
えたことのほかは、実施例1と同様に反応を行った。そ
の結果を表1に示す。
は、実施例1と同様に反応を行った。その結果を表1に
示す。
えたことのほかは、実施例1と同様に反応を行った。そ
の結果を表1に示す。
たことのほかは、実施例1と同様に反応を行った。その
結果を表1に示す。
有機溶媒75mlに変えたことのほかは、実施例1と同
様に反応を行った。その結果を表2に示す。
ったことのほかは、実施例1と同様に反応を行った。そ
の結果を表2に示す。
シマンデル酸及びトルエン(反応溶媒)と共に反応器に
1,2−メチレンジオキシベンゼン1g(0.007m
ol)を入れて混合したことのほかは、実施例1と同様
に反応を行った。その結果を表3に示す。
シマンデル酸及びトルエン(反応溶媒)と共に反応器に
1,2−メチレンジオキシベンゼン1g(0.007m
ol)を入れて混合したことのほかは、実施例4と同様
に反応を行った。その結果を表3に示す。
は、実施例14と同様に反応を行った。その結果を表3
に示す。
かったことのほかは、実施例14と同様に反応を行っ
た。その結果を表3に示す。
させて、3,4−メチレンジオキシマンデル酸を硝酸で
酸化する方法により、高収率で、しかも硫酸を使用する
にも拘わらず3,4−メチレンジオキシマンデル酸に同
伴する1,2−メチレンジオキシベンゼンのニトロ化を
促進させることなく、ピペロナールを製造することがで
きる。また、安価な試剤を使用し、反応の制御も容易で
あり、更に反応器の腐食もないことから、経済性のある
優れたピペロナールの製造法を提供することができる。
Claims (1)
- 【請求項1】 水及び有機溶媒からなる混合溶媒の存在
下、硫酸を存在させて、3,4−メチレンジオキシマン
デル酸を硝酸で酸化することを特徴とするピペロナール
の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04866994A JP3282357B2 (ja) | 1994-03-18 | 1994-03-18 | ピペロナールの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04866994A JP3282357B2 (ja) | 1994-03-18 | 1994-03-18 | ピペロナールの製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07258246A true JPH07258246A (ja) | 1995-10-09 |
JP3282357B2 JP3282357B2 (ja) | 2002-05-13 |
Family
ID=12809745
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP04866994A Expired - Fee Related JP3282357B2 (ja) | 1994-03-18 | 1994-03-18 | ピペロナールの製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3282357B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106349208A (zh) * | 2016-08-25 | 2017-01-25 | 宿迁市万和泰化工有限公司 | 一种洋茉莉醛的制备方法 |
CN104744425B (zh) * | 2013-12-28 | 2019-04-23 | 浙江九洲药业股份有限公司 | 一种胡椒醛的制备方法 |
-
1994
- 1994-03-18 JP JP04866994A patent/JP3282357B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN104744425B (zh) * | 2013-12-28 | 2019-04-23 | 浙江九洲药业股份有限公司 | 一种胡椒醛的制备方法 |
CN106349208A (zh) * | 2016-08-25 | 2017-01-25 | 宿迁市万和泰化工有限公司 | 一种洋茉莉醛的制备方法 |
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