JPH07252339A - 高反応性変性フェノール樹脂の製造方法、該樹脂を含有する成形粉、電気・電子部品用材料及び半導体封止材 - Google Patents

高反応性変性フェノール樹脂の製造方法、該樹脂を含有する成形粉、電気・電子部品用材料及び半導体封止材

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JPH07252339A
JPH07252339A JP7022339A JP2233995A JPH07252339A JP H07252339 A JPH07252339 A JP H07252339A JP 7022339 A JP7022339 A JP 7022339A JP 2233995 A JP2233995 A JP 2233995A JP H07252339 A JPH07252339 A JP H07252339A
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phenolic resin
resin
highly reactive
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JP7022339A
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Masahiro Tsumura
雅洋 津村
Masao Tajima
正夫 田嶋
Hiromi Miyashita
宏美 宮下
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Kashima Oil Co Ltd
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Kashima Oil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 石油系重質油類またはピッチ類とホルム
アルデヒド重合物とフェノール類とを酸触媒の存在下に
重縮合させて変性フェノール樹脂を調製し、次いで該変
性フェノール樹脂を酸触媒の存在下でフェノール類で低
分子化する、高反応性変性フェノール樹脂の製造方法。
高反応性変性フェノール樹脂(a)を含む成形粉又
は成形品。 成形粉を含む電気・電子部品用材料又は
半導体封止材。 【効果】 低分子化されているので樹脂溶融粘度が低
く、かつエポキシ樹脂との反応性が著しく改善され、成
形性が良好でかつ機械的特性が高い成形品が得られる。
しかも、実質的に酸を含まないために金属に対する腐食
性はなく、かつエポキシ樹脂を含むことができるので、
耐熱性、成形性が良好で、寸法安定性等機械的特性が優
れた成形品を製造できる成形粉、特に電気・電子部品用
材料、半導体封止材を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フェノール類で低分子
化した高反応性変性フェノール樹脂の製造方法、それか
らの成形粉及びそれからのエポキシ樹脂含有成形粉並び
に電気・電子部品用材料と半導体封止材に関するもので
ある。より詳細には、本発明の新規な高反応性変性フェ
ノール樹脂は、樹脂溶融粘度が低くて成形性に優れ、か
つエポキシ樹脂などと高反応性であって、電気絶縁性、
耐熱性、耐湿性及び耐腐食性にも優れており、そして寸
法安定性、強度等の機械的特性にも優れているので、成
形粉、電気・電子部品用材料、半導体封止材等の広い分
野の用途に適するものである。
【0002】
【従来の技術】フェノール樹脂系成形体は機械的性質が
優れており、古くから広く用いられているが、耐光性、
耐アルカリ性がやや低く、水分あるいはアルコールを吸
収して寸法および電気抵抗が変化し易く、耐熱性、特に
高温時の耐酸化性がやや低い問題がある。
【0003】このような問題を解決するために、フェノ
ール樹脂自体の種々の変性が検討されている。特に、
光、化学薬品、酸化等による変化に耐性を付与するため
に、油脂、ロジンあるいは中性の芳香族化合物を用いた
変性により、光、化学薬品等による劣化又は酸化等に対
する耐性を向上させた変性フェノール樹脂が数多く提案
されている。
【0004】例えば、特開昭61−235413号公報
では、フェノール変性芳香族炭化水素樹脂の反応成分を
選択することによって、耐熱性に優れたフェノール系樹
脂が得られることが開示されている。しかしながら、こ
の方法で得られたフェノール樹脂は、これを用いて成形
体を製造する場合、硬化が遅く樹脂を高温下で長時間維
持しなければ硬化しないという欠点があった。
【0005】その後、本発明者らは、安価な原料である
石油系重質油類またはピッチ類を変性剤として用い、特
殊な製造条件を選択することにより、従来のフェノール
樹脂では得られない耐熱性、耐酸化性、機械的強度の優
れた成形材料として有用な新規な変性フェノール樹脂が
提供できることを見出した(特開平2−274714号
公報)。また、特開平4−145116号公報には、こ
のような変性フェノール樹脂を製造するに当たり、原料
化合物を重縮合させて得た粗製変性フェノール樹脂に、
中和処理、水洗処理及び/又は抽出処理を施して粗製変
性フェノール樹脂中に残存した酸を中和・除去すること
により、該樹脂に接触する金属製装置等を腐食させる恐
れがない変性フェノール樹脂を提供できることが開示さ
れている。
【0006】しかしながら、該公報に開示の方法による
と、粗製変性フェノール樹脂中に残存する酸は、具体的
には、アミン類を用いた中和処理と水洗処理により中和
・除去されているが、これにより得られた変性フェノー
ル樹脂には中和物が残存し易く、厳しい耐熱性、耐腐食
性などを要求される製品、例えば電気・電子部品用材料
及び半導体封止材としてはまだ不十分なのが現状であ
る。そこで、特願平5−40646号では、上記粗製変
性フェノール樹脂を特定の抽出溶媒による抽出処理等で
精製することにより、酸不含変性フェノール樹脂を提供
でき、これをエポキシ樹脂とブレンドすることにより優
れた耐熱性及び耐湿性、耐金属腐食性を持つ成形材料が
得られることを開示している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の変性フェノール樹脂は、樹脂溶融粘度が高く、複雑な
形状を有する成形品を迅速にかつ大量に生産するのに適
さないと言う課題がある他、これをエポキシ樹脂とブレ
ンドした場合にエポキシ樹脂との反応性面で必ずしも充
分でなく、耐熱性、寸法安定性及び強度等の機械的特性
のより一層の向上が望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を種々検討した結果、変性フェノール樹脂を酸触媒の存
在下で再度フェノール類と反応させて低分子化すること
により、樹脂溶融粘度が低くかつエポキシ樹脂との反応
性が著しく向上した新規な高反応性変性フェノール樹脂
を提供できることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0009】さらに、本発明者等は、この新規な高反応
性変性フェノール樹脂を抽出溶媒及び/又は水洗浄にて
酸触媒などを除去することにより、樹脂溶融粘度が低く
かつエポキシ樹脂との反応性が高い他、実質的に酸不含
の高反応性変性フェノール樹脂を提供できることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は: (A)石油系重質油類またはピッチ類とホルムアル
デヒド重合物とフェノール類とを、酸触媒の存在下に重
縮合させることを含む変性フェノール樹脂を調製する重
縮合工程と、(B)得られた変性フェノール樹脂を酸触
媒の存在下でフェノール類で低分子化することを含む低
分子化工程からなる、高反応性変性フェノール樹脂の製
造方法を提供する。また、
【0011】 重縮合工程(A)において、石油系重
質油類またはピッチ類1モルに対してホルムアルデヒド
重合物がホルムアルデヒド換算比で1〜15モルの割合
で含有する混合物を酸触媒の存在下で加熱攪拌し、かつ
加熱攪拌中の前記混合物に、石油系重質油類またはピッ
チ類1モルに対して0.3〜5モルの割合となる量まで
フェノール類を逐次添加する点にも特徴を有する。ま
た、 重縮合工程(A)において、得られた粗変性フェノ
ール樹脂を、(i)炭素数10以下の脂肪族炭化水素及
び炭素数10以下の脂環式炭化水素からなる群から選択
された少なくとも1種の溶媒で処理し、未反応成分含有
溶媒可溶成分を除去・精製し、次いで精製変性フェノー
ル樹脂を低分子化工程(B)に処する点にも特徴を有す
る。また、
【0012】 重縮合工程(A)において、得られた
粗変性フェノール樹脂を、(ii)重縮合工程(A)に
用いた酸触媒の溶解度が0.1以下であり、かつ酸不含
変性フェノール樹脂の大部分を溶解しうる抽出溶媒で処
理し、触媒残渣を除去して精製し、次いで精製変性フェ
ノール樹脂を低分子化工程(B)に処する点にも特徴を
有する。また、 低分子工程において、変性フェノール樹脂100重
量部に対してフェノール類の添加量が10重量部以上で
あり、酸触媒の使用量が0.1〜15重量部である点に
も特徴を有する。 低分子化工程(B)において、架橋剤が実質的に存
在しない条件下でフェノール類で低分子化を行う点にも
特徴を有する。また、 該高反応性変性フェノール樹脂(a)を抽出溶媒及
び/又は水洗浄により処理する点にも特徴を有する。ま
た、 〜のいずれかに記載の方法により得られた高反
応性変性フェノール樹脂(a)を含む成形粉を提供す
る。さらに、 前記高反応性変性フェノール樹脂(a)とエポキシ
樹脂(b)とを含む成形粉にも特徴を有する。また、 10. さらに、(c)無機フィラーを含有する成形粉に
も特徴を有する。また、 11. さらに、(d)硬化剤及び/又は硬化促進剤を含
有する成形粉にも特徴を有する。また、 12. 前記高反応性変性フェノール樹脂(a)とエポキ
シ樹脂(b)が10/90〜90/10(重量部)の割
合で混合される成形粉にも特徴を有する。また、 13. 〜11のいずれかに記載の成形粉を成形して得ら
れた成形品を提供する。さらに、
【0013】14. 〜12のいずれかに記載の成形粉を
用いる電気・電子部品用材料を提供する。さらに、 15. 〜12のいずれかに記載の成形粉を用いる半導体
封止材を提供する。
【0014】以下、本発明を詳細に説明する。なお、本
明細書において、本発明に係わるフェノール類で低分子
化された変性フェノール樹脂を「高反応性変性フェノー
ル樹脂」と称し、また重縮合反応により得られた反応生
成物を粗変性フェノール樹脂と称し、さらに精製工程
(i) 及び/又は(ii)を経て不純物のないものを単
に「変性フェノール樹脂」又は「精製変性フェノール樹
脂」と称する。本発明に係る高反応性変性フェノール樹
脂(a)の製造方法は、基本的には特定の重縮合工程で
得られた変性フェノール樹脂を、特定条件下でフェノー
ル類での低分子化工程により低分子化することからな
る。
【0015】(I)粗変性フェノール樹脂の製造: 反応原料 本発明に用いる反応原料は、以下に示す石油系重質油類
またはピッチ類、フェノール類及びホルムアルデヒド重
合物である。従って、これらを酸触媒の存在下に重縮合
させることになる。
【0016】(イ)反応原料の石油系重質油類またはピ
ッチ類は、原油の蒸留残油、水添分解残油、接触分解残
油、ナフサ又はLPGの熱分解残油及びこれら残油の減
圧蒸留物、溶剤抽出によるエキストラクト或いは熱処理
物として得られるものである。これらの中からfa値及
びHa値の適当なものを選んで使用することが好まし
い。例えば、石油系重質油類またはピッチ類は、その芳
香族炭化水素分率fa値が0.40〜0.95、好まし
くは0.5〜0.8及び芳香環水素量Ha値が20〜8
0%、好ましくは25〜60%であることが望ましい。
なお、該芳香族炭化水素分率fa値及び芳香環水素量H
a値は下記の式に基いて算出される。
【0017】
【数1】 (fa値は13C−NMRによって求めることが出来、H
a値は1 H−NMRによって求めることが出来る。)
【0018】原料の石油系重質油類またはピッチ類原料
のfa値が0.4未満であると、芳香族分が少なくなる
ため、得られる変性フェノール樹脂の性能の改質効果、
特に耐熱性、耐酸化性の改質効果が小さくなる傾向があ
る。また、fa値が0.95より大きい石油系重質油類
またはピッチ類の場合には、芳香環水素とホルムアルデ
ヒドとの反応性が低下するため、フェノール樹脂の改質
効果が低下する傾向がある。
【0019】原料の石油系重質油類またはピッチ類のH
a値が20%未満であると、ホルムアルデヒドと反応す
る芳香環水素分が少なくなり、反応性が低下するため、
フェノール樹脂の性能の改質効果が低下する傾向があ
る。Ha値が80%より大きい石油系重質油類またはピ
ッチ類を原料とした場合には、変性フェノール樹脂の強
度が低くなる傾向を示す。
【0020】また、本発明に用いられる石油系重質油類
またはピッチ類は、それを構成する芳香族炭化水素の縮
合環数は特に限定されないが、2〜4環の縮合多環芳香
族炭化水素で主に構成されることが好ましい。石油系重
質油類またはピッチ類が5環以上の縮合多環芳香族炭化
水素を多く含む場合、その沸点が一般的に高く、例えば
450℃を超える沸点となることもあるため、原料の沸
点にバラツキが大きくなり、狭い沸点範囲のものを集め
難く、結果的に製品の品質が安定し難くなる。また、石
油系重質油類またはピッチ類が主に単環芳香族炭化水素
である場合には、ホルムアルデヒドとの反応性が低いた
め、得られたフェノール樹脂の性能の改質効果が小さく
なる傾向がある。
【0021】(ロ)原料のホルムアルデヒド重合物は、
パラホルムアルデヒド、ポリオキシメチレン(特に、オ
リゴマー)等の線状重合物およびトリオキサン等の環状
重合物である。石油系重質油類またはピッチ類(イ)と
ホルムアルデヒド重合物(ロ)の混合比は、ホルムアル
デヒド換算のホルムアルデヒド重合物の換算モル数が、
石油系重質油類またはピッチ類の平均分子量より算出さ
れる値1モルに対して1〜15であって、好ましくは2
〜12、さらに好ましくは3〜11となることを要す
る。
【0022】この混合比が1未満の場合には、得られる
変性フェノール樹脂の硬化体の強度が低いので好ましく
ない。一方、この混合比が15より大きい場合には、得
られる硬化体の性能、収量ともに殆ど変わらなくなるの
で、ホルムアルデヒド重合物をこれ以上多く使用するこ
とは無駄と考えられる。また、過剰のホルムアルデヒド
重合物は、後述する低分子化工程において、変性フェノ
ール樹脂の低分子化を阻害する恐れがある。
【0023】(ハ)本発明で重縮合工程(A)で用いる
フェノール類としては、具体的にはフェノール、クレゾ
ール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ヒドロ
キノン、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのフ
ェノール系化合物を挙げることができる。これらは単独
で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。この
ようなフェノール類は、フェノール類のモル数が、前記
石油系重質油類またはピッチ類の平均分子量より算出さ
れた値1モルに対して0.3〜5、好ましくは0.5〜
3の割合となる量まで、上記原料混合物に添加される。
【0024】この添加量が0.3未満の場合には、石油
系重質油類またはピッチ類とホルムアルデヒドとの反応
性がフェノール類とホルムアルデヒドとの反応性より劣
ることから、充分な架橋密度に至らず、硬化体の強度が
一般のフェノール樹脂に比べて低くなることがある。特
に、耐衝撃性が低く脆い欠点を示す傾向がある。一方、
フェノール類の添加量が5を越える場合には、フェノー
ル樹脂の変性による改質効果が小さくなる傾向がある。
【0025】(ニ) 粗変性フェノール樹脂を製造する
のに用いる酸触媒として、ブレンステッド酸もしくはル
イス酸が使用できるが、好ましくはブレンステッド酸が
用いられる。ブレンステッド酸としては、トルエンスル
ホン酸、キシレンスルホン酸、塩酸、硫酸、ギ酸等が使
用出来るが、p−トルエンスルホン酸、塩酸が特に優れ
ている。酸触媒の使用量は、製造原料である石油系重質
油類またはピッチ類とホルムアルデヒド重合物及びフェ
ノール類の合計量に対して0.1〜30重量%、好まし
くは1〜20重量%である。酸触媒の使用量が少ない場
合には反応時間が長くなる傾向があり、また、反応温度
を高くしないと反応が不充分になる傾向がある。一方、
酸触媒の使用量が多くなってもその割には反応速度が速
くならず、コスト的に不利になることがある。
【0026】 製造条件など (イ)反応形式など 以上説明した反応原料及び酸触媒を用いて粗変性フェノ
ール樹脂を製造するには、例えば石油系重質油類または
ピッチ類とホルムアルデヒド重合物とを酸触媒の存在下
で加熱攪拌し、加熱攪拌中に該混合物に、フェノール類
を上記−(ハ)に示された割合となるまで逐次添加し
て、これら原料を重縮合させることが好ましい。これら
フェノール類は滴下等の方法によって、反応混合物の全
量に対して0.05〜5重量%/分、好ましくは0.1
〜2重量%/分の速度によって逐次添加することが望ま
しい。添加する速度が0.05重量%/分未満の場合に
は、添加に要する時間が長すぎ、コストが上昇する。一
方、添加する速度が5重量%/分を越える場合には、添
加したフェノール類が遊離ホルムアルデヒドと急速に反
応するため、均一な混合物ないしは共縮合物を生成し難
くなる。
【0027】このような不均一性が生じる原因は、ホル
ムアルデヒドに対する反応性が石油系重質油類またはピ
ッチ類に比べフェノール類の方が著しく大きいためであ
り、初期のフェノール類の濃度を低く保たないと、ホル
ムアルデヒドがフェノール類もしくは反応により生成し
たフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合物と選択的
に反応し、系に難溶化するためではないかと推定され
る。或いは、ホルムアルデヒドがフェノール類もしくは
反応により生成したフェノール類とホルムアルデヒドの
縮合物との反応に先に消費されてしまい、石油系重質油
類またはピッチ類もしくは反応により生成した石油系重
質油類またはピッチ類とホルムアルデヒドとの縮合物
が、さらにホルムアルデヒドと反応することが出来ず、
反応系から分離するためではないかと推定される。
【0028】粗変性フェノール樹脂の製造に当たり、フ
ェノール類を添加開始する時期は特に限定されないが、
残存する遊離ホルムアルデヒド量から推定したホルムア
ルデヒド反応率が実質的に0%(石油系重質油類または
ピッチ類とホルムアルデヒドとの反応が実質的に進行し
ていない時点)である状態から、70%以下、好ましく
は50%以下である時点でフェノール類を逐次添加を開
始することが望ましい。ホルムアルデヒドの反応率が7
0%を越えると、フェノール類と反応するホルムアルデ
ヒドの量が少なくなるため、得られる変性フェノール樹
脂の性能が著しく低下する傾向がある。
【0029】(ロ)反応条件については、以下の通りで
ある。石油系重質油類またはピッチ類、ホルムアルデヒ
ド重合物の混合物の酸触媒の存在下での加熱攪拌は、原
料組成、フェノール類の添加速度、得られる変性フェノ
ール樹脂の性状等を考慮してその反応温度、反応時間が
選択される。なお、反応温度、反応時間は互いに相関す
る要素であるので一義的には定められないが、一般には
反応温度は50〜160℃、好ましくは60〜120℃
であり、反応時間は0.5〜10時間、好ましくは1〜
5時間である。
【0030】粗変性フェノール樹脂の製造に当たり、反
応を回分式で行う場合に一段階で行うことが可能であ
り、一段階の実施が好ましい。また連続式で行う場合に
は、従来の変性フェノール樹脂に用いられている、2種
以上の反応生成物を一定量ずつ連続混合するような制御
の難しい装置を使用する必要がなく、中間部に完全混合
型の反応容器を置き、その中に添加するフェノール類を
一定量ずつ送り込むようにすればよい。このような装置
は比較的安価であり、操作性は良好である。
【0031】粗変性フェノール樹脂の製造に当たり、溶
媒を用いなくても行うことができるが、適当な溶媒を用
いて反応混合物(反応系)の粘度を低下させ、均一な反
応が起こるようにしても良い。このような溶媒としては
特に限定されないが、例えばベンゼン、トルエン、キシ
レンのような芳香族炭化水素;クロルベンゼンのような
ハロゲン化芳香族炭化水素;ニトロベンゼンのようなニ
トロ化芳香族炭化水素;ニトロエタン、ニトロプロパン
のようなニトロ化脂肪族炭化水素;パークレン、トリク
レン、四塩化炭素のようなハロゲン化脂肪族炭化水素等
を挙げることができる。
【0032】 製造された粗変性フェノール樹脂は、
後述する低分子化工程(B)に用いる。低分子化工程
(B)では、該粗変性フェノール樹脂はホルムアルデヒ
ド重合物及び他の架橋剤の実質的に不存在下でかつ酸触
媒の存在下でフェノール類と反応して低分子化するもの
である。従って、この反応では、粗変性フェノール樹脂
がフェノール類で低分子化するように設定することが重
要である。
【0033】ところで、(A)工程の重縮合反応では、
その反応生成物である粗変性フェノール樹脂は、変性フ
ェノール樹脂に加えて、酸触媒、未反応物及び反応溶媒
等が残存する可能性があり、これらは低分子化反応時の
反応条件及び反応に関与する原料、触媒等の量に影響を
及ぼす。例えば、低分子化工程(B)に用いられる変性
フェノール樹脂に酸触媒を用いる場合には、該工程で添
加される酸触媒の量に影響を及ぼす。また、特に、変性
フェノール樹脂が、未反応成分として架橋剤であるホル
ムアルデヒド重合物を多量に含む場合には、変性フェノ
ール樹脂、ホルムアルデヒド重合物及びフェノール類の
重縮合反応が先行して低分子化が阻害される恐れがあ
る。
【0034】従って、変性フェノール樹脂とフェノール
類との反応によって変性フェノール樹脂が効率的に低分
子化するように低分子化での反応条件を好適に設定する
には、低分子化工程(B)で用いられる変性フェノール
樹脂が、低分子化反応を阻害するような量の酸触媒及び
ホルムアルデヒド重合物等の未反応物或いは反応溶媒等
を含まないようにすることが必要である。このような純
粋な変性フェノール樹脂は、上記重縮合反応での原料、
酸触媒及び反応溶媒の使用量、又は重縮合反応条件を適
宜選択して反応混合物中に過剰な未反応成分、酸触媒及
び反応溶媒等が残存しないようにするか、或いは生成粗
変性フェノール樹脂を適宜精製することによって、未反
応成分、酸触媒及び反応溶媒等を除去することにより調
製することができる。以下、粗変性フェノール樹脂の精
製について説明する。
【0035】 粗変性フェノール樹脂の精製工程(純
粋な変性フェノール樹脂の製造) 上記重縮合工程の後に、粗変性フェノール樹脂に以下の
精製工程を任意の順序または場合によっては同時に施す
ことが、変性フェノール樹脂をフェノール類で低分子化
させるのに必要である。 (i)未反応成分等を除去する精製工程 原料の石油系重質油またはピッチ類に含まれている反応
性が低く、未反応又は不十分にしか反応していない成分
及び反応時に用いた反応溶媒が除去される。
【0036】具体的には、重縮合工程で得られた反応混
合物である粗変性フェノール樹脂を、加熱反応終了後の
任意の時期に、炭素数10以下の脂肪族或いは脂環式炭
化水素、或いはこれらの炭化水素の混合物中に投入し、
可溶な成分を除去することにより、溶媒に可溶な未反応
成分等の除去と樹脂の析出操作とを行うことにより、精
製された変性フェノール樹脂を製造する。このような炭
化水素の具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、シクロヘキサンなどの脂肪族又は脂環式炭化水素が
挙げられ、特にn−ヘキサンが好ましい。
【0037】(ii) 酸等の触媒残渣を除去する工程 この工程において、反応混合物中に残存する酸等の触媒
残渣及び架橋剤としてのホルムアルデヒド重合物が除去
され、実質的に酸及び架橋剤を含まない変性フェノール
樹脂が得られる。このような触媒残渣が変性フェノール
樹脂中に残存すると、この酸触媒残渣を考慮して低分子
化工程で用いる酸触媒の量を設定する必要があり、反応
条件の制御が困難となる。酸等の触媒残渣を除去するに
は、重合時に用いた酸触媒の溶解度が0.1以下、好ま
しくは0.07以下で難溶であるが、大部分の変性フェ
ノール樹脂を溶解する抽出溶媒を用いて酸触媒残渣の抽
出処理を行うことが必要である。
【0038】該抽出溶媒としては、上記特性を有する限
り特に制限されないが、例えばベンゼン、トルエン、キ
シレンなどの芳香族炭化水素類が好ましく、より好まし
くはトルエンである。該抽出処理後の実質的に酸を含ま
ない変性フェノール樹脂は通常溶媒に溶解したワニスで
ある。ワニス状変性フェノール樹脂は、これが最終製品
である場合には、次の低分子化工程(B)の原料として
そのまま用いても良く、または再度変性フェノール樹脂
が不溶の溶媒、例えばn−ヘキサン等に投入し、析出さ
せて粉末状の変性フェノール樹脂として用いても良い。
【0039】上記抽出処理(ii)の際の温度などの条
件については特に制限されないが、常法に従って行えば
良く、また、具体的には抽出溶媒に変性フェノール樹脂
を投入するか、或いは逆に変性フェノール樹脂に抽出溶
媒を投入して行えば良く、操作的に簡便である。
【0040】(iii)その他の事項 本発明の精製工程において、工程(i)及び(ii)は
任意の順序で行うことができるが、工程(ii)後の変
性フェノール樹脂はワニス状であるため、その後の低分
子化工程の操作性の観点から例えばn−ヘキサン等の不
溶媒中に投入し再析出させ、粉末状の形態で低分子化工
程に用いることが望ましい。勿論、上記抽出処理(i
i)だけでも酸などの触媒残渣の実質的な除去が可能で
あるが、所望により、抽出処理に続いて通常の中和処理
や水洗処理を行っても良い。
【0041】ここで、中和処理としては、抽出処理(i
i)後の変性フェノール樹脂に塩基性物質を添加するこ
とを挙げることができる。該塩基性物質として、例えば
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウ
ム、水酸化マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土
類金属の水酸化物;アンモニア、ジエチレントリアミ
ン、トリエチレンテトラミン、アニリン、フェニレンジ
アミンなどを挙げることができる。未反応成分等の精製
処理(i)を行った後に、抽出処理(ii)を行った場
合には、得られるワニス状変性フェノール樹脂をそのま
ま次の低分子化工程(B)の原料として用いることがで
き、この方法が製造コストの観点から好ましい。
【0042】(2) 高反応性変性フェノール樹脂の製造: 高反応性変性フェノール樹脂の製造工程〔低分子化
工程(B)〕 本発明の新規な高反応性変性フェノール樹脂の製造方法
は、このような変性フェノール樹脂をそのまま、或いは
前記工程で精製した後に、ホルムアルデヒド重合物及
び他の架橋剤の不存在下で、所定量の酸触媒の存在下で
フェノール類と反応させて低分子化させる。
【0043】すなわち、該フェノール樹脂中に存在する
アセタール結合及び/又はメチレンエーテル結合などの
一部が酸触媒の作用によって切断・解離されて低分子化
し、かつその解離末端部にフェノール類が結合して、フ
ェノール含有量を増加させるめ、樹脂溶融粘度が低く、
かつエポキシ樹脂との反応性に優れた、高反応性変性フ
ェノール樹脂が得られていると考えられる。このため
に、酸触媒の種類やその量や反応温度など及び/又は反
応溶媒の種類や量等の反応条件を選択することが肝要で
あるが、上記変性フェノール樹脂の低分子化及びエポキ
シ樹脂との反応活性の向上が実現できる範囲であれば、
特に制限されない。
【0044】従って、例えば、低分子化に用いられるフ
ェノール類及び酸触媒としては、前記重縮合工程(A)
で例示された化合物を挙げることができる。また、本発
明の低分子化工程(B)では、フェノール類の添加量
は、変性フェノール樹脂の100重量部に対し、0.1
重量部以上、好ましくは10重量部以上、より好ましく
は15〜250重量部、更に好ましくは20〜200重
量部、特に20〜100重量部の量で用いることが望ま
しい。低分子化反応は、フェノール類が10重量部以上
あれば、所望の効果を得るのに十分な程度に進行する。
しかし、過剰のフェノール類を用いると、多量の未反応
フェノール類が残るため、後処理に要するコストを増加
させてしまう。
【0045】酸触媒の使用量は、変性フェノール樹脂の
100重量部に対し、0.1〜15重量部、好ましくは
0.2〜10重量部の量で用いられることが望ましい。
なお、反応溶媒は使用しても使用しなくとも良い。使用
される反応溶媒は、上記低分子化反応を阻害しない限り
特に制限されないが、例えば粗変性フェノール樹脂の製
造(A)時に用いられた溶媒、及びテトラヒドロフラ
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ア
セトン等のケトン類溶媒等も使用できる。該溶媒の使用
量は変性フェノール樹脂の100重量部に対し、好まし
くは0〜300重量%である。反応温度としては50〜
120℃、好ましくは65〜120℃であり、反応時間
としては15分〜3.0時間、好ましくは30分〜2.
0時間が望ましい。
【0046】 高反応性変性フェノール樹脂の後処理 (i) このようにして得られた高反応性変性フェノール
樹脂は種々の用途に供することができるが、該樹脂中に
未反応成分や酸触媒などが残存する可能性があるので、
粗変性フェルール樹脂の精製工程(I)−の項に記載
の溶媒等を使用して、同様の方法で或いは他の溶媒を用
いて精製処理し、フェノール類等の未反応成分や酸触媒
などを除去することが望ましい。このような高反応性変
性フェノール樹脂の精製に好ましく用いられる溶媒とし
ては、例えばトルエン及び/又はトルエンとエチルアル
コール、メチルアルコール等のアルコール類、トルエン
とアセトン、、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン等のケトン類及びトルエンとテトラヒドロフラン
等のエーテル類の混合溶媒等を挙げることができる。さ
らに、必要に応じて蒸留水及びイソプロピルアルコール
の混合液で水洗処理することが望ましい。
【0047】(ii)上記のようにして、該高反応性変
性フェノール樹脂は、未反応成分や酸触媒などを除去し
た後、抽出溶媒を脱溶媒するか、又は炭素数10以下の
脂肪族若しくは脂環式炭化水素或いはこれらの混合溶媒
で処理して樹脂を析出して成形粉の状態で使用できる。
このような炭化水素溶媒としては粗変性フェノール樹脂
の精製工程の(i)項に記載の溶媒が挙げられ、特にn
−ヘキサンが好ましい。
【0048】 高反応性変性フェノール樹脂の特徴 (i) 高反応性変性フェノール樹脂は変性フェノール樹
脂と比較して以下の点に特徴がある。 (イ) 数平均分子量が低下し、数平均分子量として3
00〜800の分子量を持ち、(ロ) エポキシ樹脂と
の反応性が向上(ゲル化時間で判断;短いほど反応性が
高い)、(ハ) 樹脂溶融粘度の低下。従って、該高反
応性変性フェノール樹脂は樹脂溶融粘度が低いために成
形性に優れ、かつエポキシ樹脂との反応性が高いため、
エポキシ樹脂と組み合わせて、寸法安定性、強度等の機
械的特性に優れた変性フェノール樹脂材料、成形粉を提
供することができる。
【0049】また、該高反応性変性フェノール樹脂は、
前記に示された後処理により樹脂中に残存する酸触
媒、未反応物及び反応溶媒等を除去したので、実質的に
酸を含まないため金属に対する腐食性を持たず、かつエ
ポキシ樹脂との反応性が向上しているため耐熱性、寸法
安定性が向上した高反応性変性フェノール樹脂とするこ
とができる。なお、ここで「実質的に酸を含まない」と
は、酸等が全く残存しないか、或いは極く少量が残存し
たとしても金属に対する腐食性を有意義に示さないこと
を意味する。
【0050】(ii) 本発明の高反応性変性フェノー
ル樹脂(a)は、エポキシ樹脂(b)をブレンドするこ
とができ、その組成物はエポキシ樹脂(b)を含んでい
るので成形収縮が小さく、耐熱性、耐摩耗性、耐薬品
性、電気絶縁性に優れており、さらに必要に応じて硬化
剤及び/又は硬化促進剤をも配合できる。
【0051】以下、本発明の高反応性変性フェノール樹
脂(a)と必要に応じて配合できる各種添加剤について
説明する。 高反応性変性フェノール樹脂(a)に対する各種添
加剤について (i) エポキシ樹脂(b)について:エポキシ樹脂
(b)としては、一般に成形収縮が小さく、耐熱性、耐
摩粍性、耐薬品性、電気絶縁性に優れたもので、硬化剤
及び/又は硬化促進剤と組合せて用いられることが多
い。エポキシ樹脂(b)としては、例えばグリシジルエ
ーテル型、グリシジルエステル型、グリシジルアミン
型、混合型、ビフェニル型、脂環式型のエポキシ樹脂等
を挙げることができる。
【0052】さらに具体的には、グリシジルエーテル型
(フェノール系)としては、ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラブロ
モビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラフェニロー
ルエタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポ
キシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂な
どが;
【0053】グリシジルエーテル型(アルコール系)と
しては、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、水
添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂などが;グリシジ
ルエステル型としては、ヘキサヒドロ無水フタル酸型エ
ポキシ樹脂、ダイマー酸型エポキシ樹脂等が;グリシジ
ルアミン型としては、ジアミノジフェニルメタン型エポ
キシ樹脂、イソシアヌル酸型エポキシ樹脂、ヒダントイ
ン酸型エポキシ樹脂等が;
【0054】混合型としては、p−アミノフェノール型
エポキシ樹脂、p−オキシ安息香酸型エポキシ樹脂など
が挙げられる。上記エポキシ樹脂のうち、ビスフェノー
ルA型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹
脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル
型エポキシ樹脂が好ましい。上記エポキシ樹脂を2種以
上組み合わせたものも用いることができる。
【0055】高反応性変性フェノール樹脂(a)とエポ
キシ樹脂(b)との配合割合は特に制限されないが、高
反応性変性フェノール樹脂(a)とエポキシ樹脂(b)
の合計を100重量部として、10/90〜90/10
(重量部)であることが好ましく、より好ましくは20
/80〜80/20(重量部)である。ここで、高反応
性変性フェノール樹脂(a)の重量割合が10重量部未
満では、得られる成形体の耐熱性、耐湿性の向上効果が
十分でなく、90重量部を超えると、成形温度が高くな
る傾向を示す。
【0056】(ii) 無機フィラー(c)について 本発明では、更に無機フィラー(c)を配合することに
より、特に得られた成形品の強度、寸法安定性等を向上
させることができる。無機フィラー(c)としては、従
来無機系充填剤や補強性繊維など種々の無機フィラーを
用いることができるが、例えばガラス繊維、炭素繊維、
ホスファー繊維、ホウ素繊維などの補強性繊維;水酸化
アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水和金属酸化
物;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の金属炭酸
塩;硼酸マグネシウム等の金属硼酸塩;シリカ、雲母、
溶融シリカなどの無機充填剤などを挙げることができ
る。無機フィラー(c)の配合割合は特に制限されない
が、例えば高反応性変性フェノール樹脂100重量部に
対して20〜800重量部、好ましくは50〜600重
量部の量で用いるのが望ましい。
【0057】(iii) 硬化剤及び硬化促進剤(d)
について 上記高反応性変性フェノール樹脂(a)に硬化剤及び/
又は硬化促進剤(d)を添加することが望ましい。硬化
剤及び/又は硬化促進剤(d)として種々のものを用い
ることができる。硬化剤としては、例えば、環状アミン
類、脂肪族アミン類、ポリアミド類、芳香族ポリアミン
類及び酸無水物等を挙げることができる。
【0058】具体的には、例えば環状アミン類として
は、ヘキサメチレンテトラミンなど;脂肪族アミン類と
しては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミ
ン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピ
ルアミン、N−アミノエチルピペラジン、イソホロンジ
アミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシ
ル)メタン、メンタンジアミン等;
【0059】ポリアミド類としては植物油脂肪酸(ダイ
マー又はトリマー酸)、脂肪族ポリアミン縮合物等;芳
香族ポリアミン類としては、m−フェニレンジアミン、
4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジア
ミノジフェニルスルホン、m−キシリレンジアミン等;
酸無水物類としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水
フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリッ
ト酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノン無水テトラ
カルボン酸、無水クロレンド酸、ドデシニル無水コハク
酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメ
チレンテトラヒドロ無水フタル酸等を挙げることができ
る。
【0060】硬化促進剤としては、1,8−ジアザビシ
クロ(5,4,0)ウンデセン−7などのジアザビシク
ロアルケン及びその誘導体;トリエチレンジアミン、ベ
ンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチ
ルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)
フェノール等の三級アミン類;2−メチルイミダゾー
ル、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニ
ルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾー
ル、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール
類;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィ
ン、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類;テ
トラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等
のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート;2−
エチル−4−メチルイミダノール・テトラフェニルボレ
ート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート
などのテトラフェニルボロン塩、三フッ化ホウ素−アミ
ン錯体等のルイス酸及びトリス(ジメチルアミノメチ
ル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、ジシアンジ
アミド、アジピン酸ジヒドラジド等のルイス塩基、その
他ポリメルカプタン、ポリサルファイド等を挙げること
ができる。また、これら硬化剤及び硬化促進剤を単独で
用いても、2種以上を組み合わせても良い。
【0061】(iv) その他の添加剤(e)について また、本発明では、必要に応じて種々の添加剤、例えば
シリコーン、ワックス類などの内部離型剤、カップリン
グ剤、難燃剤、光安定剤、酸化防止剤、顔料、増量剤な
どを添加することができる。
【0062】 高反応性変性フェノール樹脂の用途面
について (i)成形粉について 本発明の高反応性変性フェノール樹脂は、未反応成分や
酸触媒などを除去した後、高反応性変性フェノール樹脂
(a)中の抽出溶媒を脱溶媒するか、又は炭素数10以
下の脂肪族若しくは脂環式炭化水素或いはこれらの混合
溶媒で処理して樹脂を粉末状に析出し、その後種々の加
工を施して成形粉(コンパウンド)の状態で使用でき
る。
【0063】従って、本発明では、高反応性変性フェノ
ール樹脂(a)に、エポキシ樹脂(b)と、必要に応じ
て無機フィラー(c)、硬化剤及び/又は硬化促進剤
(d)並びに各種添加剤(e)を混合することにより、
成形粉(コンパウンド)を調製できる。また、この成形
粉を所定の成形機により成形することにより成形品とす
ることができる。特に、上記混合順序は特に制限されな
いが、例えば高反応性変性フェノール樹脂(a)とエポ
キシ樹脂(b)を予め混練し、硬化剤及び/又は硬化促
進剤(d)を加え良く混合した後、必要に応じて無機フ
ィラー(c)やその他の添加剤(e)を添加混合し、成
形粉(コンパウンド)とすることができる。
【0064】具体的には、このような成形粉は以下の手
順で調製することが望ましい。高反応性変性フェノール
樹脂(a)とエポキシ樹脂(b)とを自動乳鉢で室温で
混合攪拌する。この混合物に硬化剤及び/又は硬化促進
剤(d)やワックスなどの添加剤を加え、さらに無機フ
ィラー(c)を添加混合する。さらに、80〜90℃に
調整された熱ロール機で3〜10分混合した後、室温に
戻し粉砕し、コンパウンドとする。なお、この場合、無
機フィラー(c)及び他の添加剤等の添加は、別途高反
応変性フェノール樹脂(a)とエポキシ樹脂(b)との
混合後に行われているが、任意の時期に行うことができ
る。
【0065】(ii) 成形品の製造について このようにして得られた本発明に係る成形粉から成形品
を成形するには、それ自体公知の成形手段、例えば圧縮
成形、射出成形、押出成形、トランスファー成形、注型
成形などを適用できる。特に、樹脂の溶融粘度を低下さ
せたことにより、半導体封止材の成形法として主流とな
っている低圧トランスファー成形に適している。例え
ば、トランスファー成形で成形品を得る場合、成形温度
50〜250℃、好ましくは120〜200℃、射出圧
5〜300kgf/cm2 、好ましくは20〜200k
gf/cm2 、型締圧10〜300kgf/cm2 、好
ましくは50〜250kgf/cm2 、成形時間0.5
〜20分、好ましくは1〜10分である。本発明の場
合、常法に従って成形した後、得られた成形品を100
〜300℃、好ましくは150〜250℃で0〜36時
間、好ましくは0.5〜24時間程度の加熱処理による
ポストキュアを行うことが望ましい。この処理により本
発明の成形品の耐熱性を一層向上させることができる。
【0066】(iii) 成形品の特性 本発明の成形品は、例えば以下のように優れた物性を有
するものである。 曲げ強度 室温 8〜22kgf/mm2 150℃ 3〜14kgf/mm2 曲げ弾性率 室温 400〜1800kgf/m
2 150℃ 40〜1500kgf/mm2
【0067】 ガラス転移点(℃) 120〜260℃ 熱変形温度 190〜300℃以上 吸水率 常態 0.08〜0.13重量% 煮沸 0.12〜0.17重量% 絶縁抵抗 常態 1.8×1014〜5.0 ×1014Ω 煮沸 3.0×1013〜2.0 ×1014Ω
【0068】本発明に係わる高反応性変性フェノール樹
脂は、エポキシ樹脂との反応性を向上させたので、成形
性や得られた成形品等の寸法安定性等の機械的特性及び
熱安定性が改善される。また、エポキシ樹脂とブレンド
したので優れた耐熱性、耐湿性、電気絶縁特性を有し、
かつ実質的に酸を含まないので金属部材に対して耐腐食
性を有する他、無機フィラーを添加したので成形品の機
械的強度、電気絶縁性等をさらに向上できる。従って、
本発明の高反応性変性フェノール樹脂を含む成形品は、
寸法安定性、耐熱性、成形性、電気絶縁性、機械的強度
等に極めて厳しい規格が要求される絶縁材、シール材等
の電気・電子部品用材料として有用であり、また耐熱
性、高集積化による応力損傷対策としての寸法安定性及
び吸湿性等の向上が要求される半導体封止材として有用
である。
【0069】
【実施例】以下に、本発明は実施例によりさらに詳細か
つ具体的に説明されるが、これらは本発明の範囲を制限
するものでない。以下において、部は特に断りのない限
り全て重量基準であるものとする。なお、反応原料とし
て使用する原料油の性状を表1に示す。これらの原料油
は、減圧軽油の流動接触分解(FCC)で得た塔底油を
蒸留して得たものである。
【0070】
【表1】
【0071】また、以下の実施例において測定された数
平均分子量、エポキシ樹脂との反応性(ゲル化時間で判
断:短い程反応性が高い)及び樹脂溶融粘度は、以下の
装置及び測定方法で測定した。 <数平均分子量>(株)コロナ電気社製、117形蒸気
圧浸透法分子量測定装置 <粘度測定>ICI社製、ICIコーンプレート粘度計 <ゲル化時間>JIS K6910に準拠し、170℃
で測定する。
【0072】<高反応性変性フェノール樹脂の合成> (実施例1)表1に示す原料油334g、パラホルムア
ルデヒド370g、p−トルエンスルホン酸1水和物1
37g及びp−キシレン678.5gをガラス製反応器
に仕込み、攪拌しながら95℃まで昇温した。95℃で
1時間保持後、フェノール209gを1.3g/分の滴
下速度で滴下し、フェノールの滴下終了後、さらに15
分間攪拌反応させた。次に、反応混合物を3,300g
のn−ヘキサンに注ぎ込み、反応生成物を析出させ、濾
過して未反応成分及び反応溶媒を除去した。1,600
gのn−ヘキサンで析出物を洗浄後、真空乾燥し酸含み
の粗変性フェノール樹脂を得た。この樹脂を10倍重量
のトルエン(トルエンに対するp−トルエンスルホン酸
1水和物の溶解度は、0.01以下)に溶解し、p−ト
ルエンスルホン酸1水和物を主成分とする不溶分(未反
応のパラホルムアルデヒドも含まれる)を濾過した。得
られた樹脂トルエン溶液を樹脂濃度が50重量%になる
まで濃縮し、ワニス状の変性フェノール樹脂を得た。さ
らに微量のトリエチレンテトラミンを加えて中和した。
この変性フェノール樹脂ワニスを3.3倍重量のn−ヘ
キサンに注ぎ込み、樹脂を析出させ、濾過した。その
後、真空乾燥して粉末状の(酸不含の)変性フェノール
樹脂(比較品)580gを得た。
【0073】得られた同樹脂(比較品)の数平均分子量
及び150℃での粘度を測定しその結果を表2に示し
た。得られた変性フェノール樹脂100gとフェノール
88g、p−トルエンスルホン酸1g及びp−キシレン
100gを1Lガラス製反応器に仕込み、250〜35
0rpmの速度で攪拌させながら95℃まで昇温し、9
5℃で60分保持反応して反応生成物を得た。上記反応
生成物を反応生成物の2倍重量部のトルエンに投入し、
不溶分を濾過して得られた樹脂トルエン溶液を蒸留水と
イソプロピルアルコール混合物で水洗処理して、未反応
のフェノール類及び残存している酸を除去した後、エバ
ポレーターでトルエンを除去し、更に真空乾燥して13
0gの粉末状の高反応性変性フェノール樹脂(発明品
1)を得た。
【0074】さらに、表2に記載した条件以外は上記と
同様の操作を行い、表2に示す収量の粉末状の高反応性
変性フェノール樹脂(発明品2〜4)を得た。また、粉
末状の変性フェノール樹脂を、上記の重縮合工程で調製
されたワニス状変性フェノール樹脂(樹脂濃度50重量
%)に変更し、かつ低分子化工程での反応条件を、表2
の発明品5に変更した以外、同様にして粉末状高反応性
変性フェノール樹脂(発明品5)を調製した。得られた
高反応性変性フェノール樹脂(発明品1〜5)の数平均
分子量及び150℃での粘度を測定し、その結果を低分
子化工程での反応条件、抽出溶媒及び収量とともに表2
に示した。
【0075】
【表2】
【0076】(実施例2)実施例1と同様の重縮合工程
によりワニス状変性フェノール樹脂を得た。この変性フ
ェノール樹脂を表3に記載した反応条件以外は実施例1
と同様の低分子工程で処理した。得られた生成物をその
2倍重量部のトルエン/メチルアルコール混合溶液(混
合比6/4及び9/1)に溶解し、得られた樹脂トルエ
ン/メチルアルコール溶液を蒸留水とイソプロピルアル
コール混合溶液で水洗処理して酸及び未反応のフェノー
ル類を抽出除去した。抽出後の樹脂溶液から、エバポレ
ーターでトルエン/メチルアルコール混合液を除去し、
更に真空乾燥して粉末状高反応性変性フェノール樹脂
(発明品6)を得た。
【0077】また、ワニス状変性フェノール樹脂の代わ
りに、実施例1で得られた粉末状変性フェノール樹脂を
用い、低分子工程での反応条件、抽出溶媒等を表3に示
すように変更した以外、発明品6の場合と同様にして粉
末状高反応性変性フェノール樹脂(発明品7〜10)を
得た。得られた高反応性変性フェノール樹脂(発明品6
〜10)の数平均分子量及び150℃での粘度を測定
し、その結果を低分子化工程での反応条件、抽出溶媒及
び収量とともに表3に示した。
【0078】
【表3】 <高反応性変性フェノール樹脂からの成形品の製造>
【0079】(実施例3)実施例1〜2で得られた高反
応性変性フェノール樹脂(発明品1〜9)40重量部及
びビフェニル型エポキシ樹脂〔油化シェルエポキシ
(株)製、商品名YX4000H〕60重量部を自動乳
鉢を用いて室温で混合攪拌した後、硬化促進剤として2
−エチル−4−メチルイミダゾール〔和光製薬(株)
製、1級〕2.04重量部を添加混合して、硬化性樹脂
含有混合物を得た。該混合物のゲル化時間を測定し、そ
の結果を表6に示した。
【0080】該硬化性樹脂含有混合物に、さらにカルナ
バワックス0.82重量部を添加混合した後、無機フィ
ラーとして熔融シリカ〔(株)龍森製、CRS102−
RD8〕308.6重量部を添加混合した。得られた混
合物を80〜90℃に調整された熱ロール機で3〜10
分混合し、室温まで戻し、粉砕してコンパウンド(成形
粉)を得た。この成形粉の組成を表4に示す。該成形粉
を175℃、90秒の条件でトランスファー成形し、さ
らに175℃、6時間ポストキュアすることにより成形
品を得た。得られた成形品の物性(ガラス転移点及び線
膨張係数)を測定し、その結果を表6に示した。
【0081】(実施例4)実施例2で得られた発明品1
0を38重量部、エポキシ樹脂としてビフェニル型エポ
キシ樹脂〔油化シェルエポキシ(株)製、商品名YX4
000H〕62重量部、無機フィラーとして熔融シリカ
〔(株)龍森製、CRS102−RD8〕305.5重
量部、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン〔関東
化学(株)製〕1.01重量部の表4に記載の組成とし
た以外、実施例3と同様の操作で成形粉を作製した。表
6に記載した175℃、90分の条件でトランスファー
成形し、さらに175℃、6時間ポストキュアすること
により成形品を得た。該硬化性樹脂含有混合物のゲル化
時間及び得られた成形品の物性(ガラス転移点及び線膨
張係数)を測定し、その結果を表6に示した。
【0082】(比較例1)実施例1で得られた(酸不
含)の変性フェノール樹脂(比較品)を実施例3と同様
の操作で硬化性樹脂含有混合物、成形粉及び成形品を製
造した。得られた硬化性樹脂含有混合物のゲル化時間、
成形品の物性(ガラス転移点及び線膨張係数)を測定
し、その結果を表6に示した。
【0083】(実施例5)実施例1で得られた発明品1
を用い、エポキシ樹脂としてビフェニル型エポキシ樹脂
〔油化シェルエポキシ(株)製、商品名YX4000
H〕、フィラーとして熔融シリカ「龍森(株)製、商品
名CRS1102−RD8」を用いて、表4に記載した
組成とした以外は実施例3と同様の操作で成形粉を作製
し、表6に記載した条件でトランスファー成形し、その
後表6に記載の条件でポストキュアして成形品を得た。
硬化性樹脂含有混合物のゲル化時間及び得られた成形体
の物性を測定し、その結果を表6に示した。
【0084】(実施例6)実施例2で得られた発明品7
を用い、エポキシ樹脂としてビフェニル型エポキシ樹脂
〔油化シェルエポキシ(株)製、商品名YX4000
H〕、フィラーとして熔融シリカ〔龍森(株)製、商品
名CRS1102−RD8〕を用いて、表5に記載した
組成とした以外は実施例3と同様の操作で成形粉を作製
し、表7に記載した条件でトランスファー成形し、その
後表7に記載の条件でポストキュアして成形品を得た。
硬化性樹脂含有混合物のゲル化時間及び得られた成形品
の物性を測定し、その結果を表7に示した。
【0085】(実施例7)実施例2で得られた発明品7
を用い、エポキシ樹脂としてビフェニル型エポキシ樹脂
〔油化シェルエポキシ(株)製、商品名YX4000
H〕、フィラーとして熔融シリカ〔龍森(株)製、商品
名CRS1102−RD8〕を用いて、表5に記載した
組成とした以外は実施例3と同様の操作で成形粉を作製
し、表7に記載した条件でトランスファー成形し、その
後表7に記載の200℃、6時間の条件でポストキュア
して成形品を得た。硬化性樹脂含有混合物のゲル化時間
及び得られた成形体の物性を測定し、その結果を表7に
示した。
【0086】(比較例2)変性フェノール樹脂を発明品
7から実施例1で得られた比較品に代え、表5に記載し
た組成とした以外は実施例7と同様の操作で成形粉を作
製し、表7に記載した条件でトランスファー成形し、そ
の後表7に記載の200℃、6時間の条件でポストキュ
アして成形体を得た。硬化性樹脂含有混合物のゲル化時
間及び得られた成形品の物性を測定し、その結果を表7
に示した。
【0087】(実施例8)実施例2で得られた発明品7
〜9を用い、エポキシ樹脂としてオルソクレゾールノボ
ラック型エポキシ樹脂〔日本化薬(株)製、商品名EO
CN4400H〕、フィラーとして熔融シリカ〔龍森
(株)製、商品名CRS1102−RD8〕を用いて、
表7に記載した組成とした以外は実施例3と同様の操作
で成形粉を作製し、表7に記載した条件でトランスファ
ー成形し、その後表7に記載の条件でポストキュアして
成形品を得た。硬化性樹脂含有混合物のゲル化時間及び
得られた成形品の物性を測定し、その結果を表7に示し
た。
【0088】(実施例9)実施例2で得られた発明品1
0を用い、エポキシ樹脂としてオルソクレゾールノボラ
ック型エポキシ樹脂〔日本化薬(株)製、商品名EOC
N4400H〕、フィラーとして熔融シリカ〔龍森
(株)製、商品名CRS1102−RD8〕、硬化促進
剤としてトリフェニルホスフィン〔関東化学(株)製〕
を用いて、表5に記載した組成とした以外は実施例3と
同様の操作で成形粉を作製し、表7に記載した条件でト
ランスファー成形し、その後表7に記載の条件でポスト
キュアして成形品を得た。硬化性樹脂含有混合物のゲル
化時間及び得られた成形品の物性を測定し、その結果を
表7に示した。
【0089】(比較例3)変性フェノール樹脂を発明品
7から実施例1で得られた比較品に代え、表5に記載し
た組成とした以外は実施例8と同様の操作で成形品を作
製し、表7に記載した条件でトランスファー成形し、そ
の後表7に記載の条件でポストキュアして成形体を得
た。硬化性樹脂含有混合物のゲル化時間及び得られた成
形品の物性を測定し、その結果を表7に示した。
【0090】(実施例10)実施例2で得られた発明品
7を用い、表5に記載した組成とした以外は実施例3と
同様の操作で成形粉を作製し、表7に記載した条件でト
ランスファー成形し、その後表7に記載の200℃、6
時間の条件でポストキュアして成形体を得た。硬化性樹
脂含有混合物のゲル化時間及び得られた成形品の物性を
測定し、その結果を表7に示した。
【0091】(比較例4)変性フェノール樹脂を発明品
7から実施例1で得られた比較品に代え、表5に記載し
た組成とした以外は実施例10と同様の操作で成形粉を
作製し、表7に記載した条件でトランスファー成形し、
その後表7に記載の200℃、6時間の条件でポストキ
ュアして成形品を得た。硬化性樹脂含有混合物のゲル化
時間及び得られた成形品の物性を測定し、その結果を表
7に示した。
【0092】(実施例11)実施例2で得られた発明品
7を用い、エポキシ樹脂として日本チバガイギー〔株)
製、商品名アダルダイト MY9512(グリシジルア
ミン型4官能性エポキシ樹脂)〕、フィラーとしてガラ
ス繊維〔ユニチカユーエムグラス(株)製、商品名ショ
ートファイバーES−30T〕を用いて、表5に記載し
た組成とした以外は実施例3と同様の操作で成形粉を作
成し、表7に記載した条件でトランスファー成形し、そ
の後表7に記載の条件でポストキュアして成形品を得
た。硬化性樹脂含有混合物のゲル化時間及び得られた成
形品の特性を測定し、その結果を表7に示した。
【0093】(比較例5)変性フェノール樹脂を発明品
7から実施例1で得られた比較品に代え、表5に記載し
た組成とした以外は実施例11と同様の操作で成形粉を
作製し、表7に記載した条件でトランスファー成形し、
その後表7に記載の条件でポストキュアして成形品を得
た。硬化性樹脂含有混合物のゲル化時間及び得られた成
形品の物性を測定し、その結果を表7に示した。
【0094】
【表4】
【0095】
【表5】
【0096】*1:YX4000Hは油化シェルエポキ
シ(株)製の商品名であり、ビフェニル型エポキシ樹脂
である。EOCN4400Hは日本化薬(株)製の商品
名であり、オルソ−クレゾールノボラック型エポキシ樹
脂である。MY9512は日本チバガイギー(株)製の
商品名であり、グリシジルアミン型4官能性エポキシ樹
脂である。
【0097】*2:熔融シリカは龍森(株)製の商品名
CRS1102−RD8である。GFはユニチカユーエ
ムグラス(株)製のガラス繊維の商品名であり、ショー
トファイバーES−30Tである。 *3:2E4MZは2−エチル−4−メチルイミダゾー
ルの略字であり、和光純薬(1級)株式会社製の硬化促
進剤である。 *4:TPPはトリフェニルホスフィンの略字であり、
関東化学(株)製の硬化促進剤である。
【0098】
【表6】
【0099】
【表7】
【0100】*5 測定方式:動的粘弾性法 測定機器:(株)レオロジー、DVE RHEOSPECTOLER DVE-
4V型 荷重方式:引張法 測定周波数:10Hz 昇温速度:5℃/分 動的測定変位:±5+10-4cm 試験片:幅4mm、厚さ1mm、スパン30mm
【0101】*6 測定機器:(株)リガク、TAS−
2000システム TMAS140C型 昇温速度:5℃/分 試験片長:10mm 測定温度範囲:50℃〜100℃
【0102】
【発明の効果】以上述べたとおり、本発明の高反応性変
性フェノール樹脂は、フェノール類で低分子化されてい
るので樹脂溶融粘度が低く、かつエポキシ樹脂との反応
性が著しく改善されており、従って成形性が良好でかつ
機械的特性が高い成形品が得られる。しかも、本発明の
高反応性変性フェノール樹脂は、実質的に酸を含まない
ために金属に対する腐食性はなく、かつエポキシ樹脂を
含むことができるので、耐熱性、成形性が良好で、寸法
安定性等機械的特性が優れた成形品を製造できる成形粉
を提供でき、特に電気・電子部品用材料等や半導体封止
材を提供できる。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)石油系重質油類またはピッチ類と
    ホルムアルデヒド重合物とフェノール類とを、酸触媒の
    存在下に重縮合させることを含む変性フェノール樹脂を
    調製する重縮合工程と、 (B)得られた変性フェノール樹脂を酸触媒の存在下で
    フェノール類で低分子化することを含む低分子化工程か
    らなることを特徴とする、高反応性変性フェノール樹脂
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 重縮合工程(A)において、石油系重質
    油類またはピッチ類1モルに対してホルムアルデヒド重
    合物がホルムアルデヒド換算比で1〜15モルの割合で
    含有する混合物を酸触媒の存在下で加熱攪拌し、かつ加
    熱攪拌中の前記混合物に、石油系重質油類またはピッチ
    類1モルに対して0.3〜5モルの割合となる量までフ
    ェノール類を逐次添加することを特徴とする、請求項1
    記載の高反応性変性フェノール樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 重縮合工程(A)において、得られた粗
    変性フェノール樹脂を、(i)炭素数10以下の脂肪族
    炭化水素及び炭素数10以下の脂環式炭化水素からなる
    群から選択された少なくとも1種の溶媒で処理し、未反
    応成分含有溶媒可溶成分を除去・精製し、次いで精製変
    性フェノール樹脂を低分子化工程(B)に処することを
    特徴とする、請求項1又は2記載の高反応性変性フェノ
    ール樹脂の製造方法。
  4. 【請求項4】 重縮合工程(A)において、得られた粗
    変性フェノール樹脂を、(ii)重縮合工程(A)に用
    いた酸触媒の溶解度が0.1以下であり、かつ酸不含変
    性フェノール樹脂の大部分を溶解しうる抽出溶媒で処理
    し、触媒残渣を除去して精製し、次いで精製変性フェノ
    ール樹脂を低分子化工程(B)に処することを特徴とす
    る、請求項1〜3のいずれかに記載の高反応性変性フェ
    ノール樹脂の製造方法。
  5. 【請求項5】 低分子化工程(B)において、変性フェ
    ノール樹脂100重量部に対してフェノール類の添加量
    が10重量部以上であり、酸触媒の使用量が0.1〜1
    5重量部であることを特徴とする、請求項1〜4のいず
    れかに記載の高反応性変性フェノール樹脂の製造方法。
  6. 【請求項6】 低分子化工程(B)において、架橋剤が
    実質的に存在しない条件下でフェノール類で低分子化を
    行うことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載
    の高反応性変性フェノール樹脂の製造方法。
  7. 【請求項7】 低分子化工程(B)において、得られた
    粗高反応性変性フェノール樹脂を抽出溶媒及び/又は水
    洗浄により処理・精製することを特徴とする、請求項1
    〜6のいずれかに記載の高反応性変性フェノール樹脂の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の方法に
    より得られた高反応性変性フェノール樹脂(a)を含む
    ことを特徴とする成形粉。
  9. 【請求項9】 前記高反応性変性フェノール樹脂(a)
    とエポキシ樹脂(b)とを含むことを特徴とする請求項
    8記載の成形粉。
  10. 【請求項10】 さらに、(c)無機フィラーを含有す
    ることを特徴とする請求項8又は9記載の成形粉。
  11. 【請求項11】 さらに、(d)硬化剤及び/又は硬化
    促進剤を含有することを特徴とする請求項8〜10のい
    ずれかに記載の成形粉。
  12. 【請求項12】 前記高反応性変性フェノール樹脂
    (a)とエポキシ樹脂(b)が10/90〜90/10
    (重量部)の割合で混合されることを特徴とする請求項
    8〜11のいずれかに記載の成形粉。
  13. 【請求項13】 請求項8〜12のいずれかに記載の成
    形粉を成形して得られたことを特徴とする成形品。
  14. 【請求項14】 請求項8〜12のいずれかに記載の成
    形粉を用いることを特徴とする電気・電子部品用材料。
  15. 【請求項15】 請求項8〜12のいずれかに記載の成
    形粉を用いることを特徴とする半導体封止材。
JP7022339A 1994-01-27 1995-01-18 高反応性変性フェノール樹脂の製造方法、該樹脂を含有する成形粉、電気・電子部品用材料及び半導体封止材 Pending JPH07252339A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6320013B1 (en) 1998-12-10 2001-11-20 Kashima Oil Co., Ltd. Process for producing modified phenolic resin
JP2003055423A (ja) * 2001-08-20 2003-02-26 Nippon Steel Chem Co Ltd 芳香族オリゴマー及びその製造方法
KR100612996B1 (ko) * 2004-02-17 2006-08-14 주식회사 엘지화학 도장성이 우수한 난연 열가소성 수지 조성물과 그 제조방법
JP2007314684A (ja) * 2006-05-26 2007-12-06 Dainippon Ink & Chem Inc 熱硬化性樹脂組成物及び摩擦材
JP2008081707A (ja) * 2006-09-29 2008-04-10 Sumitomo Bakelite Co Ltd 変性フェノール樹脂及びその製造方法

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