JP3452608B2 - 酸不含変性フェノール樹脂の製造方法 - Google Patents

酸不含変性フェノール樹脂の製造方法

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JP3452608B2 JP17091493A JP17091493A JP3452608B2 JP 3452608 B2 JP3452608 B2 JP 3452608B2 JP 17091493 A JP17091493 A JP 17091493A JP 17091493 A JP17091493 A JP 17091493A JP 3452608 B2 JP3452608 B2 JP 3452608B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気・電子部品材料及
び半導体用封止材として有用な新規な特に低分子量成分
の含有量が少ない酸不含変性フェノール樹脂の製造方法
に関するものである。また詳細には、本発明は、特定の
複数の精製工程からなる溶媒抽出処理を施すことによ
り、低分子量成分の含有量が相対的に少なくかつ酸不含
の変性フェノール樹脂の製造方法に関するものである。
【0002】さらに、より詳細には、本発明の新規な酸
不含変性フェノール樹脂は、精製工程において、変性フ
ェノール樹脂の芳香族炭化水素溶液に対して、濃度の異
なる2種の特定の抽出溶媒による複数の精製工程の適用
により、未反応成分を含め低分子量成分を十分に抽出除
去できたので、特に寸法安定性、耐熱性、成形性等に極
めて厳しい規格の要求される電気・電子部品材料及び半
導体用封止材として好適な変性フェノール樹脂を提供す
る。
【0003】
【従来の技術】フェノール樹脂系成形体は機械的性質が
優れており、古くから単独若しくはエポキシ樹脂等他の
樹脂と混合され広く用いられているが、耐光性、耐アル
カリ性がやや低く、水分あるいはアルコールを吸収して
寸法および電気抵抗が変化し易く、耐熱性、特に高温時
の耐酸化性がやや低い問題がある。そのために、フェノ
ール樹脂自体の種々の変性が検討されている。特に、
光、化学薬品、酸化等による変化に耐性を付与するため
に、油脂、ロジンなどを用いた変性に興味がもたれてお
り、特に、フェノール変性芳香族炭化水素樹脂の反応成
分の選択により耐熱性に優れたフェノール系樹脂を得る
試みも知られているが、成形体を得るのに硬化が遅く、
高温、長時間を要する欠点がある(特開昭61−235
413号公報)。
【0004】その後、本発明者等は、安価な原料である
石油系重質油類またはピッチ類を変性剤として用いて、
従来のフェノール樹脂では得られない耐熱性、耐酸化
性、機械的強度の発現性に優れた変性フェノール樹脂を
見出した(特開平2−274714号公報)。
【0005】さらに、重縮合生成物をアミン類を用いた
中和処理と水洗処理により残存酸を減少させ、装置等の
金属の腐食の恐れがない変性フェノール樹脂をも提供し
たが(特開平4−145116号公報)、その場合でも
変性フェノール樹脂中に残存酸の中和物が残存する可能
性があった。そのため、重縮合後の生成物を特定の抽出
溶媒により抽出処理することにより、酸不含の変性フェ
ノール樹脂を提供できることを見出したが(特願平5−
40646号)、エポキシ樹脂等他の樹脂と混合して成
形体を製造するに当たり、樹脂との反応性及び成形体の
耐熱性、寸法安定性においてまだ十分なものではなかっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、他の樹脂との
混合により成形体を作製するに当たり、樹脂との反応性
及び耐熱性、寸法安定性に優れた変性フェノール樹脂の
開発が要望されていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
種々検討した結果、エポキシ樹脂等との混合により成形
体を作製するに当たり、該変性フェノール樹脂の分子量
分布が、その成形体の物性に影響すること、すなわち該
変性フェノール樹脂の分子量分布のうち、低分子量成分
側が相対的に少ないほうが、エポキシ樹脂等との反応性
及び成形体の物性(特に、耐熱性、寸法安定性等)の発
現性に優れることより、低分子量成分含有量が10%以
下の変性フェノール樹脂が好適であることを見出した。
さらに、本発明者は、該変性フェノール樹脂を製造する
に当たり、特に低分子量成分の含有量を少なくするた
め、製造工程の中、精製工程の任意の段階で、変性フェ
ノール樹脂の芳香族炭化水素溶液に対して、濃度の異な
る2種の特定の抽出溶媒による複数の精製工程の適用に
より、目的とする低分子量成分の量が少ない酸不含変性
フェノール樹脂が提供できることを見出し、本発明を完
成するに至った。即ち、本発明は:
【0008】 石油系重質油類またはピッチ類1モル
に対して、ホルムアルデヒド重合物をホルムアルデヒド
換算のモル数が1〜15になるように混合し、酸触媒の
存在下に加熱攪拌しながら、フェノール類を該石油系重
質油類またはピッチ類1モルに対して0.3〜5モルの
割合で逐次添加し、重縮合させて変性フェノール樹脂を
生成した後に、下記(a)〜(c)の精製工程を任意の
順序で施して、GPC測定による下記式(I)に従って得
られた低分子量成分含有量が10%以下である酸不含変
性フェノール樹脂の製造方法を提供する。また、
【数2】 (a)変性フェノール樹脂の芳香族炭化水素溶液を、前
記溶液中の芳香族炭化水素1重量部に対して4.9〜
6.6重量部の量の炭素数10以下の脂肪族若しくは脂
環式炭化水素抽出溶媒中へ投入し攪拌することにより、
前記変性フェノール樹脂を析出させ回収し、未反応成分
を除去する工程、 (b)酸触媒の溶解度が0.1以下で難溶であるが、大
部分の変性フェノール樹脂を溶解する溶剤に溶解するこ
とにより、触媒残渣を析出させて分離し除去する工程、 (c)変性フェノール樹脂の芳香族炭化水素溶液の樹脂
濃度を15〜30重量%に調整し、次いで前記溶液を、
前記溶液中の芳香族炭化水素1重量部に対して0.6〜
2.4重量部の量の脂肪族炭化水素又はアルコール類抽
出溶媒中へ投入し攪拌することにより、酸不含変性フェ
ノール樹脂中の低分子量成分を上澄み中に溶解させて除
去し、前記低分子量成分以外の変性フェノール樹脂成分
を析出させて回収する工程。 (c)工程において、変性フェノール樹脂溶液中の
芳香族炭化水素と抽出溶媒との組合せがトルエン−メタ
ノール又はトルエンーn−ヘキサンの組合せである点に
も特徴を有する。また、
【0009】 前記精製工程が、変性フェノール樹脂
の芳香族炭化水素溶液の樹脂濃度を15〜30重量%に
調整し、次いで前記溶液を、前記溶液中の芳香族炭化水
素1重量部に対して0.6〜2.4重量部の量の脂肪族
炭化水素又はアルコール類抽出溶媒中へ投入し攪拌する
ことにより、酸不含変性フェノール樹脂中の低分子量成
分を上澄み中に溶解させて除去し、前記低分子量成分以
外の変性フェノール樹脂成分を析出させて回収する工程
(c)、その後に、酸触媒の溶解度が0.1以下で難溶
であるが、大部分の変性フェノール樹脂を溶解する溶剤
に溶解することにより、触媒残渣を析出させて分離し除
去する工程(b)、更に、変性フェノール樹脂の芳香族
炭化水素溶液を、前記溶液中の芳香族炭化水素1重量部
に対して4.9〜6.6重量部の量の炭素数10以下の
脂肪族若しくは脂環式炭化水素抽出溶媒中へ投入し攪拌
することにより、前記変性フェノール樹脂を析出させ回
収し、未反応成分を除去する工程(a)を順に施すこと
からなる点にも特徴を有する。また、 前記精製工程
が、変性フェノール樹脂の芳香族炭化水素溶液を、前記
溶液中の芳香族炭化水素1重量部に対して4.9〜6.
6重量部の量の炭素数10以下の脂肪族若しくは脂環式
炭化水素抽出溶媒中へ投入し攪拌することにより、前記
変性フェノール樹脂を析出させ回収し、未反応成分を除
去する工程(a)、その後に、酸触媒の溶解度が0.1
以下で難溶であるが、大部分の変性フェノール樹脂を溶
解する溶剤に溶解することにより、触媒残渣を析出させ
て分離し除去する工程(b)、変性フェノール樹脂の芳
香族炭化水素溶液の樹脂濃度を15〜30重量%に調整
し、次いで前記溶液を、前記溶液中の芳香族炭化水素1
重量部に対して0.6〜2.4重量部の量の脂肪族炭化
水素又はアルコール類抽出溶媒中へ投入し攪拌 すること
により、酸不含変性フェノール樹脂中の低分子量成分を
上澄み中に溶解させて除去し、前記低分子量成分以外の
変性フェノール樹脂成分を析出させて回収する工程
(c)を順に施すことからなる点にも特徴を有する。ま
た、
【0010】 前記精製工程が、変性フェノール樹脂
の芳香族炭化水素溶液を、前記溶液中の芳香族炭化水素
1重量部に対して4.9〜6.6重量部の量の炭素数1
0以下の脂肪族若しくは脂環式炭化水素抽出溶媒中へ投
入し攪拌することにより、前記変性フェノール樹脂を析
出させ回収し、未反応成分を除去する工程(a)、その
後に、酸触媒の溶解度が0.1以下で難溶であるが、大
部分の変性フェノール樹脂を溶解する溶剤に溶解するこ
とにより、触媒残渣を析出させて分離し除去する工程
(b)、再度、変性フェノール樹脂の芳香族炭化水素溶
液を、前記溶液中の芳香族炭化水素1重量部に対して
4.9〜6.6重量部の量の炭素数10以下の脂肪族若
しくは脂環式炭化水素抽出溶媒中へ投入し攪拌すること
により、前記変性フェノール樹脂を析出させ回収し、
反応成分を除去する工程(a)、最後に、変性フェノー
ル樹脂の芳香族炭化水素溶液の樹脂濃度を15〜30重
量%に調整し、次いで前記溶液を、前記溶液中の芳香族
炭化水素1重量部に対して0.6〜2.4重量部の量の
脂肪族炭化水素又はアルコール類抽出溶媒中へ投入し攪
拌することにより、酸不含変性フェノール樹脂中の低分
子量成分を上澄み中に溶解させて除去し、前記低分子量
成分以外の変性フェノール樹脂成分を析出させて回収す
工程(c)を順に施すことからなる点にも特徴を有す
る。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて、得られた新規な変性フェノール樹脂を特徴づけ
る要素の意味及びその測定方法は下記の通りである。 分子量分布: 分子量分布は、GPC(ゲルパーミュエーションクロマ
トグラフィー)によって測定される。 測定条件; カラム:東ソー(株)、G3000H8 (カラム長60
cm)+G2000H8 (カラム長60cm)、カラム
温度40℃ 検出器:示差屈折率計、検出温度 40℃ 溶離液:クロロホルム、流量1.0ml/分 試料液:濃度20mg/ml−クロロホルム、注入量1
00μl
【0012】 低分子量成分含有量: 低分子量成分含有量(%)は、上記GPCの測定結果よ
り以下の式(I)にて算出:
【数3】 注)なお、式(I)において、リテンションタイム30分
以降に流出する成分はポリスチレン標準試料における換
算分子量として600以下のものである。
【0013】(I)変性フェノール樹脂原料の製造 本発明に用いる変性フェノール樹脂は以下の方法により
製造されることが好ましい。変性フェノール樹脂の製造
原料としては、石油系重質油類またはピッチ類を用いる
ことを要する。該石油系重質油類またはピッチ類は、そ
の芳香族炭化水素分率fa値および芳香環水素量Ha値
は、次の式(2) に示すものを用いることが望ましい。
【数4】 (fa値は13C−NMRによって求めることができ、H
a値は1 H−NMRによって求めることができる。)
【0014】原料の石油系重質油類またはピッチ類のf
a値が小さくなると、芳香族分が少なくなるため、得ら
れる変性フェノール樹脂の性能の改質効果、特に耐熱
性、耐酸化性の改質効果が小さくなる傾向がある。特
に、fa値が0.4未満の場合には、この改質効果が極
めて小さくなるので望ましくない。また、fa値が0.
95より大きい石油系重質油類またはピッチ類の場合に
は、芳香環水素とホルムアルデヒドとの反応性が低くな
るので望ましくない。従って、fa値は0.4〜0.9
5が好ましく、より好ましくは0.5〜0.8である。
【0015】原料の石油系重質油類またはピッチ類のH
a値が小さくなると、ホルムアルデヒドと反応する芳香
環水素分が少なくなり、反応性が乏しくなるため、フェ
ノール樹脂の性能の改質効果が乏しくなるので望ましく
ない。Ha値として実用性があるのは20%以上と考え
られる。 Ha値が80%より大きい石油系重質油類ま
たはピッチ類を原料とした場合には、変性フェノール樹
脂の強度が低くなる傾向を示すので望ましくない。従っ
て、Ha値は20〜80%が好ましく、より好ましくは
25〜60%である。原料の石油系重質油類またはピッ
チ類において、その縮合環数は特に限定されないが、好
ましくは主として2〜4環の縮合多環芳香族炭化水素で
ある。5環以上の縮合多環芳香族炭化水素の場合には、
沸点が殆どの場合に450℃を超えるため、狭い沸点範
囲のものを集め難く、品質が安定しない問題がある。ま
た、主に単環芳香族炭化水素である場合には、ホルムア
ルデヒドとの反応性が低いため、フェノール樹脂の性能
の改質効果が小さい問題がある。
【0016】原料の石油系重質油類またはピッチ類は、
原油の蒸留残油、水添分解残油、接触分解残油、ナフサ
またはLPGの熱分解残油およびこれら残油の減圧蒸留
物、溶剤抽出によるエキストラクト或いは熱処理物とし
て得られるものである。これらの中からfa値およびH
a値の適当なものを選んで使用するのが好ましい。本発
明の変性フェノール樹脂の製造原料の一つであるホルム
アルデヒド重合物とは、パラホルムアルデヒド、ポリオ
キシメチレン(特に、オリゴマー)のような線状重合物
およびトリオキサンのような環状重合物である。石油系
重質油類またはピッチ類とホルムアルデヒド重合物の混
合比は、石油系重質油類またはピッチ類の平均分子量よ
り計算される平均モル数1モルに対するホルムアルデヒ
ド換算のホルムアルデヒド重合物のモル数として、1〜
15であることを要する。この混合比が1未満の場合に
は、得られる変性フェノール樹脂の硬化体の強度が低い
ので好ましくない。一方、15より大きい場合には、得
られる硬化体の性能、収量ともに殆ど変わらなくなるの
で、ホルムアルデヒド重合物をこれ以上多く使用するこ
とは無駄と考えられる。
【0017】本発明の変性フェノール樹脂の原料である
石油系重質油類またはピッチ類に対するホルムアルデヒ
ド重合物の混合モル比は、好ましくは2〜12である。
本発明の新規な変性フェノール樹脂を製造するのに用い
る酸触媒として、ブレンステッド酸もしくはルイス酸が
使用できるが、好ましくはブレンステッド酸が用いられ
る。ブレンステッド酸としては、トルエンスルホン酸、
キシレンスルホン酸、塩酸、硫酸、ギ酸等が使用出来る
が、p−トルエンスルホン酸、塩酸が特に優れている。
【0018】酸触媒の使用量は、製造原料である石油系
重質油類またはピッチ類とホルムアルデヒド重合物及び
フェノール類の合計量に対して0.1〜30重量%が望
ましく、より好ましくは1〜20重量%である。酸触媒
の使用量が少ない場合には反応時間が長くなる傾向があ
り、また、反応温度を高くしないと反応が不充分になる
傾向がある。一方、酸触媒の使用量が多くなってもその
割には反応速度が速くならず、コスト的に不利になるこ
とがある。
【0019】本発明の新規な変性フェノール樹脂の原料
であるフェノール類は、好ましくはフェノール、クレゾ
ール、キシレノール、レゾルシン、ビスフェノールA、
ビスフェノールFの群から選ばれた1種もしくは2種以
上のフェノール系化合物である。フェノール類は滴下等
の方法により少量ずつ添加し混合する。添加する速度
は、反応混合物の全重量に対して0.05〜5重量%/
分であり、好ましくは0.1〜2重量%/分である。
【0020】添加する速度が0.05重量%/分未満の
場合には、添加に要する時間が長すぎ、コストが上昇す
るので好ましくない。一方、添加する速度が5重量%/
分を越える場合には、添加したフェノール類が遊離ホル
ムアルデヒドと急速に反応するため、均一な混合物ない
しは共縮合物を生成し難くなるので好ましくない。この
ような不均一性が生じる原因は、ホルムアルデヒドに対
する反応性が石油系重質油類またはピッチ類に比べフェ
ノール類の方が著しく大きいためであり、初期のフェノ
ール類の濃度を低く保たないと、ホルムアルデヒドがフ
ェノール類もしくは反応により生成したフェノール類と
ホルムアルデヒドとの縮合物と選択的に反応し、系に難
溶化するためではないかと推定される。或いは、ホルム
アルデヒドがフェノール類もしくは反応により生成した
フェノール類とホルムアルデヒドの縮合物との反応に先
に消費されてしまい、石油系重質油類またはピッチ類も
しくは反応により生成した石油系重質油類またはピッチ
類とホルムアルデヒドとの縮合物が、さらにホルムアル
デヒドと反応することが出来ず、反応系から分離するた
めではないかと推定される。
【0021】本発明の変性フェノール樹脂の製造に当た
り、フェノール類を添加開始する時期は特に限定されな
いが、残存する遊離ホルムアルデヒド量から推定したホ
ルムアルデヒドの反応率が70%以下、好ましくは50
%以下である時点でフェノール類を添加する。添加開始
時期は、石油系重質油類またはピッチ類とホルムアルデ
ヒドとの反応が実質的に進行していない時点であっても
良い。ホルムアルデヒドの反応率が70%を越えると、
フェノール類と反応するホルムアルデヒドの量が少なく
なるため、生成した樹脂の性能が著しく低下する。
【0022】フェノール類の添加量は、石油系重質油類
またはピッチ類の平均分子量より計算される平均モル数
1モルに対するフェノール類のモル数として、0.3〜
5であることを要する。この添加量が0.3未満の場合
には、石油系重質油類またはピッチ類とホルムアルデヒ
ドとの反応性が、フェノール類とホルムアルデヒドとの
反応性より劣ることから、充分な架橋密度に至らず、硬
化体の強度が一般のフェノール樹脂に比べて低くなる問
題がある。特に、耐衝撃性が低く脆い欠点を示す。一
方、フェノール類の添加量が5を越える場合には、フェ
ノール樹脂の変性による改質効果が小さくて、好ましく
ない。本発明におけるフェノール類の添加量は、好まし
くは0.5〜3である。
【0023】反応温度は50〜160℃、好ましくは6
0〜120℃である。反応温度は、原料組成、反応時
間、生成する樹脂の性状等を考慮して決定する。反応時
間は0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間である。
反応時間は、原料組成、反応温度、フェノール類の添加
速度、生成する樹脂の性状等を考慮して決定する。本発
明の変性フェノール樹脂の製造に当たり、反応を回分式
で行う場合に一段階で行うことが可能であり、一段階の
実施が好ましい。また連続式で行う場合には、従来の変
性フェノール樹脂に用いられている、2種以上の反応生
成物を一定量ずつ連続混合するような制御の難しい装置
を使用する必要がなく、中間部に完全混合型の反応容器
を置き、その中に添加するフェノール類を一定量ずつ送
り込むようにすればよい。このような装置は比較的安価
であり、操作性は良好である。
【0024】本発明の変性フェノール樹脂の製造に当た
り、反応の際に溶媒を使用することができる。なお、反
自体は無溶媒でも行うことが出来るが、その場合には
反応の均一性に留意する必要がある。溶媒の使用により
反応系の粘度が下がり、反応の均一性が改良される。
溶媒としては特に限定されないが、ベンゼン、トルエ
ン、キシレンのような芳香族炭化水素使用できる。
【0025】(2) 変性フェノール樹脂の精製工程 本発明は、上記重縮合工程により変性フェノール樹脂を
製造した後に、該変性フェノール樹脂を以下の(a)〜
(c)の精製工程を任意の順序で施すことが、酸不含で
かつGPC測定による下記式(I)に従って得られた低分
子量成分含有量を10%以下とするのに必要である。
【数5】 (a)変性フェノール樹脂の芳香族炭化水素溶液を、前
記溶液中の芳香族炭化水素1重量部に対して4.9〜
6.6重量部の量の炭素数10以下の脂肪族若しくは脂
環式炭化水素抽出溶媒中へ投入し攪拌することにより、
前記変性フェノール樹脂を析出させ回収し、未反応成分
を除去する工程、 (b)酸触媒の溶解度が0.1以下で難溶であるが、大
部分の変性フェノール樹脂を溶解する溶剤に溶解するこ
とにより、触媒残渣を析出させて分離し除去する工程、 (c)変性フェノール樹脂の前記芳香族炭化水素溶液
樹脂濃度を15〜30重量%に調整し、次いで前記溶液
を、前記溶液中の芳香族炭化水素1重量部に対して0.
6〜2.4重量部の量の脂肪族炭化水素又はアルコール
抽出溶媒中へ投入し攪拌することにより、酸不含変性
フェノール樹脂中の低分子量成分を上澄み中に溶解させ
て除去し、前記低分子量成分以外の変性フェノール樹脂
成分を析出させて回収する工程。すなわち、
【0026】(a)高い比率の特定の抽出溶媒、即ち脂
肪族若しくは脂環式炭化水素による未反応成分等の除去
と樹脂の析出工程;原料の石油系重質油類またはピッチ
類に含まれている反応性が低く、未反応成分又は不十分
にしか反応していない成分(低分子量成分)、及び反応
時に用いた溶媒を除去しておく必要がある。具体的に
は、加熱反応終了後の任意の時期に、反応生成物である
変性フェノール樹脂の芳香族炭化水素溶液を、前記溶液
中の芳香族炭化水素1重量部に対して4.9〜6.6重
量部の量の炭素数10以下の脂肪族若しくは脂環式炭化
水素抽出溶媒中に投入し攪拌することにより、該溶媒に
可溶な未反応成分等の除去と変性フェノール樹脂の析出
操作とを行うことにより、精製された変性フェノール樹
脂原料を製造する。このような脂肪族若しくは脂環式
化水素抽出溶媒の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘ
プタン、シクロヘキサンなどが挙げられ、特にn−ヘキ
サンが好ましい。
【0027】(b)酸触媒に難溶で変性フェノール樹脂
に可溶の抽出溶媒による残存する酸等の触媒残渣の抽出
除去工程;上記変性フェノール樹脂は、そのまま成形材
料等に使用すると、変性フェノール樹脂中に酸等の触媒
残渣が残留するため、金属腐食性が大きく、耐熱性、耐
湿性に劣ることになるので、変性フェノール樹脂中から
酸等の触媒残渣を除去して酸不含とすることが必要であ
る。すなわち、酸等の触媒残渣を除去するには、酸触媒
の溶解度が0.1以下で難溶であるが、大部分の変性フ
ェノール樹脂を溶解する抽出溶媒を用いて抽出処理を行
うことが必要である。該抽出溶媒としては、酸触媒の溶
解度が0.1以下で難溶であるが、大部分の変性フェノ
ール樹脂を溶解する溶媒なら特に制限されないが、例え
ばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素
類が好ましく、より好ましくはトルエンである。
【0028】勿論、上記抽出処理だけでも酸等触媒残渣
の実質的な除去が可能であるが、もし必要なら、抽出処
理に続いて通常の中和処理や水洗処理を行っても良い。
ここで、中和処理としては、例えば水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウ
ム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物;ア
ンモニア、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラ
ミン、アニリン、フェニレンジアミンなどの種々の塩基
性物質を挙げることができる。上記抽出処理の際の温度
などの条件については特に制限されないが、常法に従っ
て行えば良く、また、具体的には抽出溶媒に変性フェノ
ール樹脂を投入するか、或いは逆に変性フェノール樹脂
に抽出溶媒を投入して行えば良く、操作的に簡便であ
る。上記抽出処理後に、抽出溶液に微量の酸触媒などが
残存する恐れのある場合には、上記中和処理を行うこと
が好ましい。
【0029】(c)低い比率の特定の抽出溶媒、即ち脂
肪族炭化水素又はアルコール類による未反応成分と低分
子量成分の抽出除去処理;本発明では、変性フェノール
樹脂の芳香族炭化水素溶液の樹脂濃度を15〜3 0重量
%に調整し、次いで前記溶液を、前記溶液中の芳香族炭
化水素1重量部に対して0.6〜2.4重量部の量の
肪族炭化水素又はアルコール類抽出溶媒中へ投入し攪拌
することにより、酸不含変性フェノール樹脂中の低分子
量成分を上澄み中に溶解させて除去し、前記低分子量成
分以外の変性フェノール樹脂成分を析出させて回収する
ものである。この場合、上記の特定の抽出溶媒による抽
出処理を施す必要がある。すなわち、本発明に使用する
特定の抽出溶媒(脂肪族炭化水素又はアルコール類)
は、芳香族炭化水素溶媒1重量部に対して0.6〜2.
4重量部の低い比率で施すことが好ましい。
【0030】また、変性フェノール樹脂の芳香族炭化水
素溶液中の芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエ
ン、キシレンなどが好ましく、トルエンがより好まし
い。また、未反応成分と低分子量成分の抽出除去に用い
る抽出溶媒としては、脂肪族炭化水素、例えばペンタ
ン、n−ヘキサン、ヘプタン等が好ましく、n−ヘキサ
ンがより好ましく、アルコール類、例えば、メタノー
ル、エタノール、イソプロピルアルコールが好ましく、
メタノールがより好ましい。従って、芳香族炭化水素溶
媒と抽出溶媒との組合せとしてはトルエン−n−ヘキサ
ン、トルエン−メタノールの組合せが好ましい。
【0031】ここで、上記精製工程(c) における温度等
の条件については特に制限されないが、常法に従って行
えば良く、通常室温での操作を採用できる。好適には、
上記(c)工程は、上記変性フェノール樹脂の芳香族炭
化水素溶液の樹脂濃度を15〜30重量%に調整し、次
いで前記溶液を、前記溶液中の芳香族炭化水素溶媒1重
量部に対して0.6〜2.4重量部の脂肪族炭化水素又
はアルコール類抽出溶媒の溶液中に投入攪拌した後、濾
過し、所定の低分子量成分を抽出除去真空乾燥して、
GPC測定による下記式(I)に従って得られた低分子量
成分含有量が10%以下の新規変性フェノール樹脂を得
ることができる。
【数6】
【0032】本発明の複数の精製工程による抽出処理
は、任意の順序で行うことができるが、好ましくは(A)
変性フェノール樹脂の芳香族炭化水素溶液の樹脂濃度を
15〜30重量%に調整し、次いで前記溶液を、前記溶
液中の芳香族炭化水素1重量部に対して0.6〜2.4
重量部の量の脂肪族炭化水素又はアルコール類抽出溶媒
中へ投入し攪拌することにより、酸不含変性フェノール
樹脂中の低分子量成分を上澄み中に溶解させて除去し、
前記低分子量成分以外の変性フェノール樹脂成分を析出
させて回収する工程(c)、その後に、酸触媒の溶解度
が0.1以下で難溶であるが、大部分の変性フェノール
樹脂を溶解する溶剤に溶解することにより、触媒残渣
析出させて分離し除去する工程(b)、更に、変性フェ
ノール樹脂の芳香族炭化水素溶液を、前記溶液中の芳香
族炭化水素1重量部に対して4.9〜6.6重量部の量
炭素数10以下の脂肪族若しくは脂環式炭化水素抽出
溶媒中へ投入し攪拌することにより、前記変性フェノー
ル樹脂を析出させ回収し、未反応成分を除去する工程
(a)を順に施すか、
【0033】(B) 変性フェノール樹脂の重合後に直ち
に、該変性フェノール樹脂の芳香族炭化水素溶液を、前
記溶液中の芳香族炭化水素1重量部に対して4.9〜
6.6重量部の量の炭素数10以下の脂肪族若しくは脂
環式炭化水素抽出溶媒中へ投入し攪拌することにより、
前記変性フェノール樹脂を析出させ回収し、未反応成分
を除去する工程(a)、その後に、酸触媒の溶解度が
0.1以下で難溶であるが、大部分の変性フェノール樹
脂を溶解する溶剤に溶解することにより、触媒残渣を析
出させて分離し除去する工程(b)、変性フェノール樹
脂の芳香族炭化水素溶液の樹脂濃度を15〜30重量%
に調整し、次いで前記溶液を、前記溶液中の芳香族炭化
水素1重量部に対して0.6〜2.4重量部の量の脂肪
族炭化水素又はアルコール類抽出溶媒中へ投入し攪拌す
ることにより、酸不含変性フェノール樹脂中の低分子量
成分を上澄み中に溶解させて除去し、前記低分子量成分
以外の変性フェノール樹脂成分を析出させて回収する
程(c)を順に施すか、
【0034】(C) 変性フェノール樹脂の芳香族炭化水素
溶液を、前記溶液中の芳香族炭化水素1重量部に対して
4.9〜6.6重量部の量の炭素数10以下の脂肪族若
しくは脂環式炭化水素抽出溶媒中へ投入し攪拌すること
により、前記変性フェノール樹脂を析出させ回収し、
反応成分を除去する工程(a)、その後に、酸触媒の溶
解度が0.1以下で難溶であるが、大部分の変性フェノ
ール樹脂を溶解する溶剤に溶解することにより、触媒残
を析出させて分離し除去する工程(b)、再度、変性
フェノール樹脂の芳香族炭化水素溶液を、前記溶液中の
芳香族炭化水素1重量部に対して4.9〜6.6重量部
の量の炭素数10以下の脂肪族若しくは脂環式炭化水素
抽出溶媒中へ投入し攪拌することにより、前記変性フェ
ノール樹脂を析出させ回収し、未反応成分を除去する
程(a)、最後に、変性フェノール樹脂の芳香族炭化水
素溶液の樹脂濃度を15〜30重量%に調整し、次いで
前記溶液を、前記溶液中の芳香族炭化水素1重量部に対
して0.6〜2.4重量部の量の脂肪族炭化水素又はア
ルコール類抽出溶媒中へ投入し攪拌することにより、酸
不含変性フェノール樹脂中の低分子量成分を上澄み中に
溶解させて除去し、前記低分子量成分以外の変性フェノ
ール樹脂成分を析出させて回収する工程(c)を順に施
等の方法を採用するのが良い。特に、上記(A) の仕方
が経済性などの理由から最も好ましい。
【0035】(3) 新規変性フェノール樹脂の特徴 本発明の新規な変性フェノール樹脂は、(イ)酸不含で
あり、(ロ)GPCで測定されるポリスチレン換算分子
量600以下の低分子量成分含有量が10%以下、好ま
しくは8%以下である。これによって、エポキシ樹脂等
と混合し成形体を作製する際に、低分子量成分含有量の
多い変性フェノール樹脂と較べて、エポキシ樹脂等との
反応性が向上し、また作製された成形体の物性も、耐熱
性面、寸法安定性面で顕著に物性が向上する傾向が見ら
れた。
【0036】本発明の新規な変性フェノール樹脂を規定
する要素において、 (イ)酸不含とは、上記特定の溶剤抽出処理により酸等
の触媒残渣が除去され、酸等が全く残存しないか或いは
極少量が残ったとしても金属に対する腐食性も有意義に
示さない程度に酸等が実質的に不含となっていることを
意味する。 (ロ)GPCで測定されるポリスチレン換算分子量60
0以下の低分子量成分の含有量が10%以上では、エポ
キシ樹脂等との反応性及びエポキシ樹脂等との混合で作
製した成形体の耐熱性、寸法安定性の向上が不十分であ
った。なお、低分子量成分を抽出除去する割合について
は、低分子量成分を抽出除去することにより、樹脂の収
率も低下するので、作製する成形体の要求性状とコスト
面の両方を勘案し適宜選択される。 (ハ)エポキシ樹脂等との反応性は、ゲル化時間(ゾル
からゲルに変化する時間;JIS-K 6910に準じて測定) に
て判断でき、ゲル化時間が短い程エポキシ樹脂等との反
応性が高く好ましい。 (ニ)成形体の物性のうち耐熱性は、ガラス転移点(ガ
ラス状態の物質の多くの物理的性質が、急激に変化する
温度;下記測定方法による)にて判断でき、この温度が
高い程耐熱性に優れる。 (ホ)また、寸法安定性は、線膨張係数(固体材料の温
度上昇による長さの増加率;下記測定方法による)にて
判断でき、この値が低い程寸法安定性に優れる。
【0037】<ガラス転移点測定方法> 測定方式:動的粘弾性法 測定機器:(株)レオロジー、DVE RHEOSPECTOLER DVE-
V4型 荷重方式:引張法 測定周波数:10Hz 昇温速度:5℃/分 動的測定変位:±5×10-4cm 試験片:幅4mm、厚さ1mm、スパン30mm <線膨張係数測定方法> 測定機器:(株)リガク、TAS-200 システム TMA 8140C
型 昇温速度:5℃/分 試験片長:10mm 測定温度範囲:50℃〜100℃
【0038】(4) 本発明の新規な変性フェノール樹脂
の有用性:本発明の新規な変性フェノール樹脂は、上述
のように酸を実質的に含んでいないので金属に対する腐
食性がなく、また主に平均分子量600以下の低分子量
成分が抽出除去されていて分子量分布が狭いので、エポ
キシ樹脂等との混合にて作製する成形体の成形性、耐熱
性、寸法安定性が、低分子量成分の多い変性フェノール
樹脂と比較して一層に向上し、しかも電気絶縁性、耐湿
性に優れているので、熱気や湿度を極端に嫌う電気・電
子部品用材料等や半導体封止材等に特に有用である。従
って、本発明の新規な変性フェノール樹脂は、成形材
料、電子・電気材料及び半導体用封止材として特に有用
である。
【0039】(5) 本発明の新規な変性フェノール樹脂と
混合される成分の代表例について: エポキシ樹脂: 本発明の新規な変性フェノール樹脂と混合して用いられ
る樹脂の代表であるエポキシ樹脂は、一般に成形収縮が
小さく、耐熱性、耐摩粍性、耐薬品性、電気絶縁性に優
れたもので、硬化剤と組合せて用いられる。エポキシ樹
脂は、例えばグリシジルエーテル型、グリシジルエステ
ル型、グリシジルアミン型、混合型、脂環式型のエポキ
シ樹脂等を挙げることができる。さらに具体的には、グ
リシジルエーテル型(フェノール系)としては、ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹
脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラブロモビ
スフェノールA型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエ
タン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ
樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂など
が; グリシジルエーテル型(アルコール系)としては、ポリ
プロピレングリコール型エポキシ樹脂、水添加ビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂など; グリシジルエステル型としては、ヘキサヒドロ無水フタ
ル酸型エポキシ樹脂、ダイマー酸型エポキシ樹脂等が; グリシジルアミン型としては、ジアミノジフェニルメタ
ン型エポキシ樹脂、イソシアヌル酸型エポキシ樹脂、ヒ
ダントイン酸型エポキシ樹脂等が; 混合型としては、p−アミノフェノール型エポキシ樹
脂、p−オキシ安息香酸型エポキシ樹脂などが挙げられ
る。上記エポキシ樹脂のうち、ビスフェノールA型エポ
キシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルアミ
ン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹
脂が好ましい。上記エポキシ樹脂を2種以上組み合わせ
たものも用いることができる。
【0040】本発明の新規な変性フェノール樹脂とエポ
キシ樹脂との混合割合は特に制限されないが、本発明の
目的に合致させるためには、変性フェノール樹脂とエポ
キシ樹脂の合計を100重量部として、10/90〜9
0/10(重量部)であることが好ましく、より好まし
くは20/80〜80/20(重量部)である。ここ
で、本発明の新規な変性フェノール樹脂の重量割合が1
0重量部未満では、得られる成形体の耐熱性、耐湿性の
向上効果が十分でなく、90重量部を超えると、成形温
度が高くなり好ましくない。
【0041】 硬化剤: 上記樹脂ベースに硬化剤を添加することが望ましい。硬
化剤としては種々のものを挙げることができ、目的に応
じて適宜選定することができる。例えば、環状アミン類
としてヘキサメチレンテトラミンなど; 脂肪族アミン類としてジエチレントリアミン、トリエチ
レンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチル
アミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラン、
イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシ
クロヘキシル)メタン、メンタンジアミン等; ポリアミド類としては植物油脂肪酸(ダイマー又はトリ
マー酸)、脂肪族ポリアミン縮合物等; 芳香族ポリアミン類としては、m−フェニレンジアミ
ン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−
ジアミノジフェニルスルホン、m−キシリレンジアミン
等; 酸無水物類としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水
フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリッ
ト酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノン無水テトラ
カルボン酸、無水クロレンド酸、ドデニル無水コハク
酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメ
チレンテトラヒドロ無水フタル酸等を挙げることができ
る。触媒性硬化剤としては、三フッ化ホウ素−アミン錯
体等のルイス酸及びトリス(ジメチルアミノメチル)フ
ェノール、ベンジルジメチルアミン、2−エチル−4−
メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダ
ゾール、ジシアンジアミド、アジピン酸ジヒドラジド等
のルイス塩基、その他ポリメルカプタン、ポリサルファ
イド等がある。また、これらを2種以上組合せて用いる
こともできる。
【0042】 無機フィラー: 本発明では、得られた成形体の強度や寸法安定性などの
諸物性を高めるために、無機フィラーを配合することが
可能である。本発明に用いることができる無機フィラー
としては、無機系充填材や補強性繊維など任意の無機フ
ィラーを用いることができるが、例えばガラス繊維、炭
素繊維、ホスファー繊維、ホウ素繊維などの補強性繊
維;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水和
金属酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の金
属炭酸塩;硼酸マグネシウム等の金属硼酸塩;シリカ、
雲母などの無機充填材などを挙げることができる。無機
フィラーの配合割合は特に制限されないが、変性フェノ
ール樹脂100重量部に対して一般に20〜600重量
部が望ましい。
【0043】 その他の添加剤: また、本発明の新規な変性フェノール樹脂には、必要に
応じて種々の添加剤、例えばシリコーン、ワックス類な
どの内部離型剤、カップリング剤、難燃剤、光安定剤、
酸化防止剤、顔料、増量剤などを添加することができ
る。
【0044】(6) 混合及び成形操作: また、本発明の新規な変性フェノール樹脂とエポキシ樹
脂等とを含む成形材料を得るには特に制限されないが、
一般には新規な変性フェノール樹脂をエポキシ樹脂等と
予め混練した上、硬化剤を加え良く混合した後、必要に
応じて無機フィラーやその他の添加剤を添加混合して、
微粉状の成形粉(コンパウンド)とすることが好ましい
が、無機フィラーやその他の添加剤の添加時期は任意の
時期に行いうる。本発明の新規なエポキシ樹脂等を含有
する変性フェノール樹脂成形材料を成形するには、それ
自体公知の成形手段、例えば圧縮成形、射出成形、押出
成形、トランスファー成形などを適用できる。例えば、
トランスファー成形で成形体を得る場合、成形温度12
0〜180℃、射出圧20〜300kgf/cm2 、型
締圧50〜250kgf/cm2 、成形時間1〜10分
である。
【0045】本発明の場合、常法に従って成形した後、
得られた成形体を150〜300℃で0.5〜24時間
程度の加熱処理によるポストキュアを行うことが望まし
い。この処理により本発明の方法で得られた新規なエポ
キシ樹脂等を含有する変性フェノール樹脂の成形体はそ
の耐熱性が一層向上させることができる。特に、本発明
の新規な変性フェノール樹脂成形材料はエポキシ樹脂と
混合して半導体封止材として用いる場合、半導体封止材
の成形法として主流になっている低圧トランスファー成
形に適しているのみならず、従来の材料に比較して耐熱
性、耐湿性、寸法安定性、加工性、成形性に優れた半導
体封止材を与えることができる。
【0046】
【作用】本発明の方法によると、変性フェノール樹脂に
対して特定の複数の精製工程からなる溶媒抽出処理を施
すことにより、低分子量成分の含有量が相対的に少なく
かつ酸不含の変性フェノール樹脂が製造できる。また、
本発明の方法によると、主に低分子量成分を抽出除去し
たので、特に寸法安定性、耐熱性、成形性等に極めて厳
しい規格の要求される電気・電子部品材料及び半導体用
封止材として好適なエポキシ樹脂含有フェノール樹脂成
形材料等が提供できる利点がある。すなわち、本発明の
方法で得られた新規な変性フェノール樹脂をエポキシ樹
脂等と混合して成形体を作製する場合において、該変性
フェノール樹脂の分子量分布のうち、低分子量成分側が
相対的に少ないほうがエポキシ樹脂等との反応性に優
れ、かつ成形体の物性(特に、耐熱性、寸法安定性等)
の発現性に優れ、特に低分子量成分の含有量が10%以
下のものにおいて効果が著しい。要するに、本発明の方
法によると、得られた新規な変性フェノール樹脂は、低
分子量成分の多い樹脂に較べてその寸法安定性、成形
性、耐熱性を高めることができ、しかも耐湿性、耐金属
腐食性等をも向上させることができ、電気・電子部品材
料や半導体用封止材として従来の材料に代わる優れた特
性を示すことが分かった。更に、本発明の方法で得られ
た酸不含変性フェノール樹脂は、無機フィラーを配合す
ることにより、機械的物性、電気絶縁性にも優れた成形
材料を提供できる。
【0047】
【実施例】本発明は、下記の実施例により具体的に説明
されるが、これらは本発明の範囲を制限しない。 (実施例1)(精製工程は請求項4に対応) 表1に示す原料油334g、パラホルムアルデヒド37
0g、p−トルエンスルホン酸1水和物137g、及び
p−キシレン678.5gをガラス製反応器に仕込み、
攪拌しながら95℃まで昇温した。95℃で1時間保持
後、フェノール209gを1.3g/分の滴下速度で滴
下し、フェノールの滴下終了後、さらに15分間攪拌し
て反応させた。次に、反応混合物を3,300gのn−
ヘキサンに注ぎ込み(n−ヘキサン抽出溶媒の対p−キ
シレン比は4.87)、反応生成物を析出させ、濾過し
て、未反応成分及び反応溶媒を除去した〔(a) 工程〕。
1,600gのn−ヘキサンで析出物を洗浄後、真空乾
燥し、酸含有の変性フェノール樹脂を得た。この樹脂を
10倍重量のトルエン(トルエンに対するp−トルエン
スルホン酸1水和物の溶解度は0.01以下)に溶解
し、p−トルエンスルホン酸1水和物を主成分とする
媒残差不溶分を濾過した〔 (b)工程〕。得られた樹脂ト
ルエン溶液を樹脂濃度が50重量%になるまで濃縮し、
さらに微量のトリエチレンテトラミンを加えて中和し酸
不含変性フェノール樹脂トルエン溶液を得た。この溶液
にトルエンを添加混合し、表2に示した樹脂濃度及び溶
液量の異なる5種類の樹脂トルエン溶液を作製した。そ
して、同溶液の全量を表2に示した抽出溶剤中に投入攪
拌後、濾過し、低分子量成分を抽出除去した〔(c) 工
〕。その際の抽出溶剤の対トルエン比を表2に示し
。濾紙上の析出物を真空乾燥し、表2に示した新規変
性フェノール樹脂(発明品1〜5)を得た。
【0048】得られた新規変性フェノール樹脂(発明品
1〜5)のGPCを下記の条件で測定し、低分子量成分
含有量を算出した結果を表4に示した。また、代表例と
して発明品2のGPC測定結果を図1に示した。さら
に、得られた新規変性フェノール樹脂(発明品1〜5)
とビフェニル型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ
(株)製;商品名 YX−4000)を下記の方法でコ
ンパウンド(成形材料)を作製後、175℃、90秒の
条件でトランスファー成形し、さらに175℃、6時間
ポストキュアすることにより成形体を得た。その物性も
表4に示した。ゲル化時間はコンパウンド作製において
フィラーを添加する前のものを試料とし、JIS K6
910に準拠し、170℃で測定した。その結果も表4
に示した。
【0049】
【表1】
【表2】
【0050】<GPC測定条件> カラム:東ソー(株)、G3000H8 ( カラム長60
cm)+G2000H8 (カラム長60cm)、カラム
温度40℃ 検出器:示差屈折率計、検出温度 40℃ 溶離液:クロロホルム、流量1.0ml/分 試料液:濃度20mg/ml−クロロホルム、注入量1
00μl <樹脂中の低分子量成分含量算出法> 樹脂中の低分子量成分含有量は下式(I)により算出す
る。
【数7】
【0051】<コンパウンド作製法> 変性フェノール樹脂100重量部とエポキシ樹脂80重
量部を120℃で溶融混合し、冷却後粉砕する。該粉砕
混合物に2−エチル−4−メチル−イミダゾール(和光
純薬(株)製、1級)3.67重量部、カルナバワック
ス1.48重量部を添加混合し、さらにフィラーとして
溶融シリカ(龍森(株)製、商品名 CRS1102−
RD8)555.5重量部を添加混合し、コンパウンド
とした。
【0052】(比較例) 実施例1と同様の操作を行い、混合溶媒で処理する前の
酸不含変性フエノール樹脂の濃度50重量%のトルエン
溶液を得た〔(a) 工程− (b)工程〕。この樹脂トルエン
溶液を3.3倍重量のn−ヘキサンに注ぎ込み(n−ヘ
キサン抽出溶媒の対トルエン比は6.60)、樹脂を析
出させ、濾過した〔(a) 工程〕。その後、真空乾燥し、
酸不含変性フェノール樹脂(比較品)580g得た。得
られた酸不含変性フェノール樹脂のGPCを実施例1と
同じ条件で測定した結果を図2に示した。このGPC測
定結果から実施例1と同様の計算式で樹脂中の低分子量
成分含量を求めたところ、表4に示すように14.1%
であった。さらに、得られた酸不含変性フェノール樹脂
(比較品)を使用し、実施例1と同様にしてコンパウン
ドの作製及び成形体の成形を行い、ゲル化時間と成形後
の物性を測定した。その結果を表4に示した。
【0053】(実施例2)(精製工程は請求項3に対
応) 実施例1と同様に反応操作を行った後、反応混合物にト
ルエン850gを添加混合し、60℃まで冷却した。そ
の混合物を全量n−ヘキサン3,300g中に注ぎ込み
〔n−ヘキサン抽出溶媒の対(p−キシレン+トルエ
ン)比は2.16〕、攪拌後濾過し、未反応成分および
樹脂中の低分子量成分を抽出除去した〔(c) 工程〕。濾
紙上の抽出物を1,600gのn−ヘキサンで洗浄後、
真空乾燥し、酸含有の新規変性フェノール樹脂を得た。
この樹脂を10倍重量のトルエンに溶解し、p−トルエ
ンスルホン酸1水和物を主成分とする不溶分を濾過した
〔 (b)工程〕。得られた樹脂トルエン溶液を樹脂濃度が
50重量%になるまで濃縮し、さらに微量のトリエチレ
ンテトラミンを加えて中和した。この樹脂トルエン溶液
を3.3倍重量のn−ヘキサンに注ぎ込み(n−ヘキサ
ン抽出溶媒の対トルエン比は6.60)、樹脂を析出さ
せ、濾過した〔(a) 工程〕。その後、真空乾燥し、新規
変性フェノール樹脂(発明品6)490gを得た。さら
に、実施例1と同様にして、低分子量成分含有量、ゲル
化時間、成形体の物性を測定した。その結果を表4に示
した。
【0054】(実施例3)(精製工程は請求項5に対
応) 比較例で得られた酸不含変性フェノール樹脂〔(a) 工程
− (b)工程−(a) 工程〕をトルエンに溶解し、表3に示
した樹脂濃度および溶液量の異なる2種類の樹脂トルエ
ン溶液を作製した。そして同溶液全量を表3に示した
溶剤中に投入攪拌後、濾過し、低分子量成分を抽出除
去した〔(c) 工程〕。その際の抽出溶剤の対トルエン比
を表3に示した。濾紙上の析出物を真空乾燥し、表3に
示した重量の新規変性フェノール樹脂(発明品7,8)
を得た。さらに、実施例1と同様にして操作を行い
分子量成分含有量、ゲル化時間、成形体の物性を測定し
た。その結果を表4に示した。
【0055】
【表3】
【表4】
【0056】*1; ガラス転移点測定方法 測定方式:動的粘弾性法 測定機器:(株)レオロジー、DVE RHEOSPECTOLER DVE-
V4型 荷重方式:引張法 測定周波数:10Hz 昇温速度:5℃/分 動的測定変位:±5×10-4cm 試験片:幅4mm、厚さ1mm、スパン30mm *2; 線膨張係数測定方法 測定機器:(株)リガク、TAS-200 システム TMA 8140C
型 昇温速度:5℃/分 試験片長:10mm 測定温度範囲:50℃〜100℃
【0057】
【発明の効果】以上述べたとおり、本発明の方法による
と、得られた新規な変性フェノール樹脂が以下の優れた
性能を有する。 酸を含んでいないので、金属等に対
する腐食の恐れがない。 低分子量成分含有量が少な
いので、耐熱性、成形性、寸法安定性に優れる。 無
機フィラーを配合すると、特に機械的強度に優れた成形
材料を提供する。 良好な電気絶縁性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明品2のGPCによる分子量分布を示すグラ
フである。
【図2】比較品である酸不含のフェノール樹脂のGPC
による分子量分布を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武田 春彦 茨城県鹿島郡神栖町東和田4番地 鹿島 石油株式会社鹿島製油所内 (56)参考文献 特開 平6−228257(JP,A) 特開 平2−229823(JP,A) 特開 平2−60915(JP,A) 特開 昭64−14229(JP,A) 特開 平5−16276(JP,A) 特開 平4−348933(JP,A) 特開 平4−250034(JP,A) 特開 平4−145116(JP,A) 特開 平4−142359(JP,A) 特開 平2−274714(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 8/00 - 8/38 C08G 10/00 - 10/06 C08G 14/00 - 14/14 WPI/L(QUESTEL)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石油系重質油類またはピッチ類1モルに
    対して、ホルムアルデヒド重合物をホルムアルデヒド換
    算のモル数が1〜15になるように混合し、酸触媒の存
    在下に加熱攪拌しながら、フェノール類を該石油系重質
    油類またはピッチ類1モルに対して0.3〜5モルの割
    合で逐次添加し、重縮合させて変性フェノール樹脂を生
    成した後に、 下記(a)〜(c)の精製工程を任意の順序で施すこと
    を特徴とする、GPC測定による下記式(I)に従って得
    られた低分子量成分含有量が10%以下であることを特
    徴とする酸不含変性フェノール樹脂の製造方法。 【数1】 (a)変性フェノール樹脂の芳香族炭化水素溶液を、前
    記溶液中の芳香族炭化水素1重量部に対して4.9〜
    6.6重量部の量の炭素数10以下の脂肪族若しくは脂
    環式炭化水素抽出溶媒中へ投入し攪拌することにより、
    前記変性フェノール樹脂を析出させ回収し、未反応成分
    を除去する工程、 (b)酸触媒の溶解度が0.1以下で難溶であるが、大
    部分の変性フェノール樹脂を溶解する溶剤に溶解するこ
    とにより、触媒残渣を析出させて分離し除去する工程、 (c)変性フェノール樹脂の芳香族炭化水素溶液の樹脂
    濃度を15〜30重量%に調整し、次いで前記溶液を、
    前記溶液中の芳香族炭化水素1重量部に対して0.6〜
    2.4重量部の量の脂肪族炭化水素又はアルコール類
    出溶媒中へ投入 し攪拌することにより、酸不含変性フェ
    ノール樹脂中の低分子量成分を上澄み中に溶解させて除
    去し、前記低分子量成分以外の変性フェノール樹脂成分
    を析出させて回収する工程。
  2. 【請求項2】 (c)工程において、変性フェノール樹
    脂溶液中の芳香族炭化水素と抽出溶媒との組合せがトル
    エン−メタノール又はトルエンーn−ヘキサンの組合せ
    であることを特徴とする、請求項1記載の酸不含変性フ
    ェノール樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記精製工程が、変性フェノール樹脂の
    芳香族炭化水素溶液の樹脂濃度を15〜30重量%に調
    整し、次いで前記溶液を、前記溶液中の芳香族炭化水素
    1重量部に対して0.6〜2.4重量部の量の脂肪族炭
    化水素又はアルコール類抽出溶媒中へ投入し攪拌するこ
    とにより、酸不含変性フェノール樹脂中の低分子量成分
    を上澄み中に溶解させて除去し、前記低分子量成分以外
    の変性フェノール樹脂成分を析出させて回収する工程
    (c)、その後に、 酸触媒の溶解度が0.1以下で難溶である
    が、大部分の変性フェノール樹脂を溶解する溶剤に溶解
    することにより、触媒残渣を析出させて分離し除去する
    工程(b)、 更に、変性フェノール樹脂の芳香族炭化水素溶液を、前
    記溶液中の芳香族炭化水素1重量部に対して4.9〜
    6.6重量部の量の炭素数10以下の脂肪族若しくは脂
    環式炭化水素抽出溶媒中へ投入し攪拌することにより、
    前記変性フェノール樹脂を析出させ回収し、未反応成分
    を除去する工程(a)を順に施すことからなることを特
    徴とする、請求項1記載の酸不含変性フェノール樹脂の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 前記精製工程が、変性フェノール樹脂の
    芳香族炭化水素溶液を、前記溶液中の芳香族炭化水素1
    重量部に対して4.9〜6.6重量部の量の炭素数10
    以下の脂肪族若しくは脂環式炭化水素抽出溶媒中へ投入
    し攪拌することにより、前記変性フェノール樹脂を析出
    させ回収し、未反応成分を除去する工程(a)、 その後に、酸触媒の溶解度が0.1以下で難溶である
    が、大部分の変性フェノール樹脂を溶解する溶剤に溶解
    することにより、触媒残渣を析出させて分離し除去する
    工程(b)、変性フェノール樹脂の芳香族炭化水素溶液 の樹脂濃度を
    15〜30重量%に調整し、次いで前記溶液を、前記溶
    液中の芳香族炭化水素1重量部に対して0.6〜2.4
    重量部の量の脂肪族炭化水素又はアルコール類中へ投入
    し攪拌することにより、酸不含変性フェノール樹脂中の
    低分子量成分を上澄み中に溶解させて除去し、前記低分
    子量成分以外の変性フェノール樹脂成分を析出させて回
    収する工程(c)を順に施すことからなることを特徴と
    する、請求項1記載の酸不含変性フェノール樹脂の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 前記精製工程が、変性フェノール樹脂の
    芳香族炭化水素溶液を、前記溶液中の芳香族炭化水素1
    重量部に対して4.9〜6.6重量部の量の炭素数10
    以下の脂肪族若しくは脂環式炭化水素抽出溶媒中へ投入
    し攪拌することにより、前記変性フェノール樹脂を析出
    させ回収し、未反応成分を除去する工程(a)、 その後に、酸触媒の溶解度が0.1以下で難溶である
    が、大部分の変性フェノール樹脂を溶解する溶剤に溶解
    することにより、触媒残渣を析出させて分離し除去する
    工程(b)、 再度、変性フェノール樹脂の芳香族炭化水素溶液を、前
    記溶液中の芳香族炭化水素1重量部に対して4.9〜
    6.6重量部の量の炭素数10以下の脂肪族若しくは脂
    環式炭化水素抽出溶媒中へ投入し攪拌することにより、
    前記変性フェノール樹脂を析出させ回収し、未反応成分
    を除去する工程(a)、 最後に、変性フェノール樹脂の芳香族炭化水素溶液の樹
    脂濃度を15〜30重量%に調整し、次いで前記溶液
    を、前記溶液中の芳香族炭化水素1重量部に対して0.
    6〜2.4重量部の量の脂肪族炭化水素又はアルコール
    抽出溶媒中へ投入し攪拌することにより、酸不含変性
    フェノール樹脂中の低分子量成分を上澄み中に溶解させ
    て除去し、前記低分子量成分以外の変性フェノール樹脂
    成分を析出させて回収する工程(c)を順に施すことか
    らなることを特徴とする、請求項1記載の酸不含変性フ
    ェノール樹脂の製造方法。
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