JPH09216927A - 高反応性低粘度変性フェノール樹脂の製造方法、及び該樹脂を含有する成形材料、電気・電子部品用材料および半導体封止材 - Google Patents

高反応性低粘度変性フェノール樹脂の製造方法、及び該樹脂を含有する成形材料、電気・電子部品用材料および半導体封止材

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JPH09216927A
JPH09216927A JP8024173A JP2417396A JPH09216927A JP H09216927 A JPH09216927 A JP H09216927A JP 8024173 A JP8024173 A JP 8024173A JP 2417396 A JP2417396 A JP 2417396A JP H09216927 A JPH09216927 A JP H09216927A
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resin
modified phenolic
phenolic resin
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viscosity
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Masao Tajima
嶋 正 夫 田
Hiromi Miyashita
下 宏 美 宮
Shin Hasegawa
慎 長谷川
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Kashima Oil Co Ltd
Original Assignee
Kashima Oil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】石油系重質油類またはピッチ類、ホルムア
ルデヒド重合物およびフェノール類を、酸触媒の存在下
に重縮合させて変性フェノール樹脂を調製する重縮合工
程と、この変性フェノール樹脂を、酸触媒の存在下、1
20℃を越えて200℃以下の温度にてフェノール類と
反応させて低分子化する低分子化工程とを含む高反応性
低粘度変性フェノール樹脂を製造する方法。 【効果】この方法で得られた高反応性低粘度変性フェノ
ール樹脂は、エポキシ樹脂との反応性が高いばかりでな
く、特に樹脂溶融粘度が低く、エポキシ樹脂と組み合わ
せた場合に、成形性が良好で、かつ吸湿性が著しく低い
成形材料とすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、溶融樹脂粘度が非常に低
く、かつエポキシ樹脂と組み合わせることで、成形性に
優れるとともに、特に吸湿性が低いために、吸湿による
寸法の変化がなく寸法安定性が向上した成形材料となる
変性フェノール樹脂を提供できる高反応性低粘度変性フ
ェノール樹脂の製造方法、およびこの方法で得られる高
反応性低粘度変性フェノール樹脂とエポキシ樹脂とを含
む変性フェノール樹脂成形材料、電気・電子部品用材料
および半導体封止材に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】フェノール樹脂系成形体は機械的
特性が優れており、古くから単独又はエポキシ樹脂等他
の樹脂と混合して広く用いられているが、耐光性、耐ア
ルカリ性がやや低く、水分あるいはアルコールを吸収し
て寸法および電気抵抗が変化し易く、耐熱性、特に高温
時の耐酸化性が低いという問題があった。
【0003】そこで、このような問題を解決する方法と
して、フェノール樹脂の様々な変性が検討されている。
例えば、油脂、ロジンあるいは中性の芳香族化合物を用
いた変性により、光、化学薬品等による劣化または酸化
などに対する耐性を向上させた変性フェノール樹脂が数
多く提案されている。
【0004】例えば、特開昭61−235413号公報
では、フェノール変性芳香族炭化水素樹脂の反応成分を
選択することによって、耐熱性の優れたフェノール系樹
脂が得られることが開示されている。しかしながら、こ
の方法で得られたフェノール系樹脂は、これを用いて成
形体を製造した場合、樹脂を高温下で長時間維持しなけ
れば硬化しないという欠点があった。
【0005】特開平2−274714号公報には、安価
な原料である石油系重質油類またはピッチ類を変性材料
として用い、特殊な反応条件を選択することにより、従
来のフェノール樹脂では得られない耐熱性、耐酸化性お
よび機械的強度を有し、成形材料として有用な変性フェ
ノール樹脂を提供し得ることが開示されている。
【0006】さらに、特開平4−145116号公報に
は、このような変性フェノール樹脂を製造する場合、原
料化合物を重縮合させて得た粗製変性フェノール樹脂
に、中和処理、水洗処理および/または抽出処理を施し
て、粗製変性フェノール樹脂に残存する酸を中和・除去
することにより、この樹脂に接触する金属製部材を腐食
させることのない変性フェノール樹脂を提供し得ること
が開示されている。
【0007】この変性フェノール樹脂の製造方法では、
粗製変性フェノール樹脂中に残存する酸は、具体的に
は、アミン類を用いた中和処理および水洗処理によって
中和・除去されている。しかし、このような中和処理お
よび水洗処理からなる精製工程で得られた変性フェノー
ル樹脂は、樹脂中に中和物が残存し易く、厳しい耐熱
性、耐腐食性を要求される製品に用いられる成形材料、
例えば電気・電子部品用成形材料および半導体封止材料
としては、未だ不十分であった。
【0008】特開平6−228157号公報では、粗製
変性フェノール樹脂を、特殊な抽出処理を含む精製工程
にて精製することにより、実質的に酸を含まない変性フ
ェノール樹脂を提供できることが教示されている。この
ような精製工程で得られた実質的に酸を含まない変性フ
ェノール樹脂は、エポキシ樹脂と組み合わせることによ
り、優れた耐熱性および耐湿性を有するとともに、金属
に対する腐食性を有さない成形材料を提供できる。
【0009】しかしながら、これらの変性フェノール樹
脂は、樹脂溶融粘度が高く、複雑な形状を有する成形品
を迅速かつ大量に生産するのに適さないという問題があ
る他、エポキシ樹脂と組み合わせた場合の耐熱性、およ
び寸法安定性、強度などの機械的特性の更なる向上が望
まれていた。
【0010】そこで、本発明者等は、変性フェノール樹
脂を、酸触媒の存在下でフェノール類と反応させて低分
子化することによって、樹脂溶融粘度が低くかつエポキ
シ樹脂との反応性が向上した高反応性変性フェノール樹
脂を製造する方法を提案した(特開平7−252339
号公報参照)。
【0011】この変性フェノール樹脂の製造方法におけ
る低分子化工程では、変性フェノール樹脂分子中に存在
するアセタール結合及び/又はメチレンエーテル結合が
切断・解離されて低分子化し、かつこの解離末端部にフ
ェノール類が結合してフェノール含有量を増加させると
考えられている。したがって、この低分子化反応は、変
性フェノール樹脂分子中のアセタール結合及び/又はメ
チレンエーテル結合を切断・解離すると予測される温
度、即ち50〜120℃で行なわれていた。
【0012】このようにして得られた高反応性変性フェ
ノール樹脂は、比較的低粘度であり、エポキシ樹脂と組
合わせることで、耐熱性および成形性が良好で、かつ耐
寸法安定性等の機械的強度にも優れた成形材料を提供す
ることが可能である。
【0013】しかし、上記の方法で得られた高反応性変
性フェノール樹脂は、従来の変性フェノール樹脂と比較
すれば著しく低い粘度を有しているものの、未だ充分に
低い粘度を有しておらず、特に半導体封止材等の用途で
は、エポキシ樹脂との高い反応性を維持したまま、低粘
度化することによって成形性をさらに向上させることが
望まれていた。
【0014】ところで、樹脂成形材料は、吸湿すると膨
潤し、寸法安定性が低下する傾向がある。さらに、樹脂
成形材料を金属との複合材料、例えば電気・電子部品の
樹脂部分、特に半導体封止材などに用いる場合、樹脂パ
ッケージに吸湿された水分は高温でのハンダ実装時に急
激に気化し、樹脂パッケージのふくれやクラック等をひ
き起こす他、吸湿した樹脂部分による金属部分の腐食等
で、製品の寿命及び信頼性に大きな影響を与える。した
がって、上記高反応性変性フェノール樹脂を用いた樹脂
成形材料にあっても、成形材料の吸湿を嫌うこれらの用
途では、吸湿性をさらに低減させることを要請されてい
た。
【0015】本発明者等は、このような現状に鑑み種々
研究・検討した結果、重縮合反応で得られた反応生成物
を、そのまま、あるいは精製した後に、ホルムアルデヒ
ド重合物および他の架橋剤の不存在下かつ酸触媒の存在
下で、特定の温度条件下にてフェノール類と反応させて
低分子化させることにより、エポキシ樹脂との高い反応
性を維持したまま、従来の低分子化反応では得られなか
ったより低粘度の変性フェノール樹脂が得られ、かつこ
の変性フェノール樹脂とエポキシ樹脂とを組み合わせた
成形材料がさらに低い吸湿性を有することを見出し、本
発明を完成した。
【0016】
【発明の目的】本発明は、上述したような従来技術の問
題点を解決するために成されたものであり、エポキシ樹
脂との反応性が高いばかりでなく、特に樹脂溶融粘度が
低く、エポキシ樹脂と組み合わせた場合に、成形性が良
好で、かつ吸湿性の低い成形材料となる変性フェノール
樹脂を製造することが可能な高反応性低粘度変性フェノ
ール樹脂の製造方法を提供することを目的としている。
【0017】また、本発明は、樹脂溶融粘度が低く、か
つエポキシ樹脂との反応性が高いことに加えて、実質的
に酸を含まないために腐食性を有さない変性フェノール
樹脂を製造することが可能な高反応性低粘度変性フェノ
ール樹脂の製造方法を提供することを目的としている。
【0018】さらに、本発明は、本発明の方法で得ら
れ、かつ150℃での樹脂溶融粘度が0.2〜3.0ポ
イズである高反応性低粘度変性フェノール樹脂と、エポ
キシ樹脂とを含み、成形性が良好で、吸湿性が低い成形
品を製造できる成形材料、特に電気・電子部品用材料及
び半導体封止材を提供することを目的としている。
【0019】
【発明の概要】本発明に係る高反応性低粘度変性フェノ
ール樹脂の製造方法は、石油系重質油類またはピッチ類
と、ホルムアルデヒド重合物と、フェノール類とを、酸
触媒の存在下に重縮合させて変性フェノール樹脂を調製
する重縮合工程と、得られた変性フェノール樹脂を、架
橋剤としてのホルムアルデヒド重合物が実質的に存在し
ない条件において、酸触媒の存在下で、120℃を越え
て200℃以下、好ましくは140℃〜180℃の温度
にてフェノール類と反応させて低分子化する低分子化工
程とを含むことを特徴としている。
【0020】本発明に係る高反応性低粘度変性フェノー
ル樹脂の製造方法では、前記重縮合工程において、前記
石油系重質油類またはピッチ類と前記ホルムアルデヒド
重合物とを、該ホルムアルデヒド重合物のホルムアルデ
ヒド換算モル数が、該石油系重質油類またはピッチ類1
モルに対して1〜15の割合となるように含む混合物を
酸触媒の存在下に加熱攪拌し、加熱攪拌中の前記混合物
に、前記フェノール類を、該フェノール類のモル数が前
記石油系重質油類またはピッチ類1モルに対して0.3
〜5の割合となる量まで逐次添加して、これら原料を縮
重合させることが好ましい。
【0021】また、本発明では、前記重縮合工程で得ら
れた変性フェノール樹脂を、(i) 炭素数10以下の脂肪
族炭化水素および炭素数10以下の脂環式炭化水素から
なる群から選択される少なくとも一種の化合物を含む溶
媒での処理、および/または(ii)前記重縮合工程で用い
た酸触媒の溶解度が0.1以下であり、かつ変性フェノ
ール樹脂の大部分を溶解し得る抽出溶媒での処理によ
り、未反応成分を含む溶媒可溶成分および/または触媒
残渣及び架橋剤としてのホルムアルデヒド重合物を抽出
除去して精製した後、前記低分子化工程に用いることに
より、重縮合工程での酸触媒残渣およびホルムアルデヒ
ド重合物が、低分子化工程に同伴されるのを有効に防止
することができる。
【0022】本発明に係る変性フェノール樹脂成形材料
は、(A)上述の方法により得られ、かつ150℃での
樹脂溶融粘度が0.2〜3.0ポイズの高反応性低粘度
変性フェノール樹脂と、(B)エポキシ樹脂とを含むこ
とを特徴としている。この変性フェノール樹脂材料は、
これら樹脂成分(A)および(B)に加えて、さらに
(C)硬化剤および/または硬化促進剤、(D)無機フ
ィラーを含んでいてもよい。
【0023】また、本発明に係る変性フェノール樹脂成
形材料は、前記高反応性低粘度変性フェノール樹脂
(A)およびエポキシ樹脂(B)が、10/90〜90
/10(重量部)の割合で含まれることが好ましい。
【0024】本発明に係る電気・電子部品用材料は、上
記高反応性低粘度変性フェノール樹脂成形材料を成形し
て得られることを特徴としている。さらに、本発明に係
る半導体封止材は、上記高反応性低粘度変性フェノール
樹脂成形材料からなることを特徴としている。
【0025】
【発明の具体的説明】以下、本発明をさらに具体的に説
明する。本発明に係る高反応性低粘度変性フェノール樹
脂の製造方法は、特定の重縮合工程で得られた変性フェ
ノール樹脂を、特定条件下、特に従来と比較して高い温
度条件下での低分子化工程で低分子化して高反応性低粘
度変性フェノール樹脂を製造している。
【0026】本発明における重縮合工程では、さらに詳
しくは、石油系重質油類またはピッチ類と、ホルムアル
デヒド重合物と、フェノール類とを、酸触媒の存在下に
重縮合させられる。
【0027】この重縮合反応で原料として用いられる石
油系重質油類またはピッチ類は、原油の蒸留残油、水添
分解残油、接触分解残油、ナフサまたはLPGの熱分解
残油およびこれら残油の減圧蒸留物、溶剤抽出によるエ
キストラクト或いは熱処理物として得られるものであ
る。これらの中から芳香族炭化水素分率fa値および芳
香環水素量Ha値の適当なものを選んで使用するのが好
ましい。
【0028】例えば、石油系重質油類またはピッチ類
は、0.40〜0.95、好ましくは0.5〜0.8の
fa値と、20〜80%好ましくは25〜60%のHa
値とを有することが望ましい。
【0029】なお、芳香族炭化水素分率fa値および芳
香環水素量Ha値は、各々石油系重質油類またはピッチ
類の13C−NMR測定によるデータ、および 1H−NM
Rによるデータから、下記式に基づいて算出される。
【0030】
【数1】
【0031】原料の石油系重質油類またはピッチ類のf
a値が0.4より小さくなると、芳香族分が少なくなる
ため、得られる変性フェノール樹脂の性能の改質効果、
特に耐熱性、耐酸化性の改質効果が小さくなる傾向があ
る。
【0032】また、fa値が0.95より大きい石油系
重質油類またはピッチ類の場合には、芳香環炭素とホル
ムアルデヒドとの反応性が低くなる傾向がある。原料の
石油系重質油類またはピッチ類のHa値が20%より小
さくなると、ホルムアルデヒドと反応する芳香環水素分
が少なくなり、反応性が低下するため、フェノール樹脂
の性能の改質効果が低下する傾向がある。
【0033】Ha値が80%より大きい石油系重質油類
またはピッチ類を原料とした場合には、変性フェノール
樹脂の強度が低くなる傾向を示す。また、本発明で用い
られる石油系重質油類またはピッチ類は、これを構成す
る芳香族炭化水素の縮合環数は特に限定されないが、2
〜4環の縮合多環芳香族炭化水素で主に構成されること
が好ましい。石油系重質油類またはピッチ類が、5環以
上の縮合多環芳香族炭化水素を多く含む場合、この縮合
多環芳香族炭化水素が一般的に沸点が高く、例えば45
0℃を越える沸点となることもあるため、原料の沸点に
ばらつきが大きくなり、狭い沸点範囲のものを集め難
く、結果的に製品の品質が安定し難くなる。また、石油
系重質油類またはピッチ類が、主に単環芳香族炭化水素
である場合には、ホルムアルデヒドとの反応性が低いた
め、得られたフェノール樹脂の改質効果が小さくなる傾
向がある。
【0034】本発明で石油系重質油類またはピッチ類と
ともに原料として用いられるホルムアルデヒド重合物
は、架橋剤として作用する。このようなホルムアルデヒ
ド重合物としては、具体的には、パラホルムアルデヒ
ド、ポリオキシメチレン(特に、オリゴマー)などの線
状重合物、トリオキサンなどの環状重合物を挙げること
ができる。
【0035】本発明の重縮合工程において、このような
石油系重質油類またはピッチ類と、ホルムアルデヒド重
合物とは、ホルムアルデヒド重合物のホルムアルデヒド
換算モル数が、該石油系重質油類またはピッチ類の平均
分子量から算出した値1モルに対して1〜15、好まし
くは2〜12、さらに好ましくは3〜11の割合となる
ように混合される。
【0036】石油系重質油類またはピッチ類に対する、
ホルムアルデヒド重合物の混合割合が、1未満の場合に
は、得られる変性フェノール樹脂の硬化体の強度が低い
ので好ましくない。一方、15より大きい場合には、得
られる硬化体の性能、収量ともに殆ど変わらなくなるの
で、ホルムアルデヒド重合物をこれ以上多く使用するこ
とは無駄と考えられる。また、過剰のホルムアルデヒド
重合物は、後述する低分子化工程において、変性フェノ
ール樹脂の低分子化を阻害する恐れがある。
【0037】さらに、重縮合工程で原料として用いられ
るフェノール類としては、具体的には、フェノール、ク
レゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ヒ
ドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールFなど
のフェノール系化合物を挙げることができる。これら
は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いても
よい。
【0038】このようなフェノール類は、フェノール類
のモル数が、前記石油系重質油類またはピッチ類の平均
分子量から算出された値1モルに対して0.3〜5、好
ましくは0.5〜3の割合となる量まで、上記原料混合
物に添加される。
【0039】この添加量が0.3未満の場合には、石油
系重質油類またはピッチ類とホルムアルデヒドとの反応
性が、フェノール類とホルムアルデヒドとの反応性より
劣ることから、充分な架橋密度に至らず、硬化体の強度
が一般のフェノール樹脂に比べて低くなることがある。
特に、耐衝撃性が低く脆い欠点を示す傾向がある。一
方、フェノール類の添加量が5を越える場合には、フェ
ノール樹脂の変性による改質効果が小さくなる傾向があ
る。
【0040】本発明における重縮合工程では、石油重質
油類またはピッチ類、ホルムアルデヒド重合物およびフ
ェノール類を重縮合させるために酸触媒が用いられてい
る。このような酸触媒としては、ブレンステッド酸もし
くはルイス酸が使用できるが、好ましくはブレンステッ
ド酸が用いられる。ブレンステッド酸としては、トルエ
ンスルホン酸、キシレンスルホン酸、塩酸、硫酸、ギ酸
等が使用できるが、p-トルエンスルホン酸、塩酸が特に
好ましい。
【0041】酸触媒は、石油系重質油類またはピッチ類
と、ホルムアルデヒド重合物及びフェノール類の合計重
量に対して、0.1〜30重量%、好ましくは1〜20
重量%の量で用いられることが好ましい。
【0042】酸触媒の使用量が少ない場合には反応時間
が長くなる傾向があり、また、反応温度を高くしないと
反応が不充分になる傾向がある。一方、酸触媒の使用量
が多くなってもその割には反応速度が速くならず、コス
ト的に不利になることがある。
【0043】以上説明した原料および酸触媒を用いた重
縮合工程は、例えば、石油系重質油類またはピッチ類と
ホルムアルデヒド重合物とを上述の割合となるように含
む混合物を酸触媒の存在下に加熱攪拌し、加熱攪拌中の
この混合物に、フェノール類を、上記割合となる量まで
逐次添加して、これら原料を縮重合させることが好まし
い。
【0044】フェノール類は、滴下等の方法によって、
反応混合物の全量に対して0.05〜5重量%/分、好
ましくは0.1〜2重量%/分の速度によって逐次添加
することが望ましい。
【0045】添加する速度が0.05重量%/分未満の
場合には、添加に要する時間が長すぎ、コストが上昇す
る。一方、添加する速度が5重量%/分を越える場合に
は、添加したフェノール類が遊離ホルムアルデヒドと急
速に反応するため、均一な混合物ないしは共縮合物を生
成し難くなる。
【0046】このような不均一性が生じる原因は、ホル
ムアルデヒドに対する反応性が石油系重質油類またはピ
ッチ類に比べフェノール類の方が著しく大きいためであ
り、初期のフェノール類の濃度を低く保たないと、ホル
ムアルデヒドがフェノール類もしくは反応により生成し
たフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合物と選択的
に反応し、系に難溶化するためではないかと推定され
る。
【0047】本発明における重縮合工程では、石油系重
質油類またはピッチ類、およびホルムアルデヒド重合物
の混合物へのフェノール類の添加時期は特に限定されな
いが、残存する遊離ホルムアルデヒド量から推定したホ
ルムアルデヒド反応率が実質的に0%である状態から、
70%以下、好ましくは50%以下である時点で、フェ
ノール類逐次添加を開始することが望ましい。
【0048】ホルムアルデヒド反応率が、70%を越え
ると、添加したフェノール類と反応するホルムアルデヒ
ドの量が少なくなり、得られる変性フェノール樹脂の性
能が低下する傾向がある。
【0049】石油系重質油類またはピッチ類、およびホ
ルムアルデヒド重合物の混合物の酸触媒の存在下での加
熱攪拌は、原料組成、フェノール類の添加速度、得られ
る樹脂の性状等に合わせてその反応温度および反応時間
を選択される。なお、反応温度および反応時間も、互い
に影響しあう条件であることは言うまでもない。このよ
うな原料混合物の酸触媒の存在下での加熱攪拌は、例え
ば、50〜160℃、好ましくは60〜120℃の温度
で、0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間行われる
ことが望ましい。
【0050】本発明の変性フェノール樹脂の製造に当た
り、反応を回分式で行う場合に一段階で行うことが可能
であり、一段階の実施が好ましい。また連続式で行う場
合には、従来の変性フェノール樹脂に用いられている、
2種以上の反応生成物を一定量ずつ連続混合するような
制御の難しい装置を使用する必要がなく、中間部に完全
混合型の反応容器を置き、その中に添加するフェノール
類を一定量ずつ送り込むようにすればよい。このような
装置は比較的安価であり、操作性は良好である。
【0051】本発明では、このような石油系重質油類ま
たはピッチ類、ホルムアルデヒド重合物、およびフェノ
ール類の重縮合反応は、溶媒を用いなくても行なうこと
ができるが、適当な溶媒を用いて反応混合物(反応系)
の粘度を低下させ、均一な反応が起こるようにしてもよ
い。
【0052】このような溶媒としては、例えば、ベンゼ
ン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素;クロ
ルベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水素;ニトロ
ベンゼンのようなニトロ化芳香族炭化水素;ニトロエタ
ン、ニトロプロパンのようなニトロ化脂肪族炭化水素;
パークレン、トリクレン、四塩化炭素のようなハロゲン
化脂肪族炭化水素を挙げることができる。
【0053】本発明に係る高反応性低粘度変性フェノー
ル樹脂の製造方法では、以上説明した重縮合反応で得ら
れた変性フェノール樹脂を、後述する低分子化工程で用
いている。低分子化工程では、この変性フェノール樹脂
は、ホルムアルデヒド重合物および他の架橋剤の不存在
下かつ酸触媒の存在下、特定の温度条件下にてフェノー
ル類と反応して低分子化する。このような低分子化工程
では、他の反応条件や、原料および触媒の量は、変性フ
ェノール樹脂と、フェノール類との反応によって、この
変性フェノール樹脂が所望の粘度を有するように設定さ
れる。
【0054】ところで、上述した重縮合反応の反応混合
物は、変性フェノール樹脂に加えて、酸触媒、未反応
物、低分子成分および反応溶媒等が残存する可能性があ
り、これらは、低分子化反応時の反応条件、および反応
に関与する原料、触媒等の量に影響を及ぼす。例えば、
低分子化工程で用いられる変性フェノール樹脂が、酸触
媒を含む場合には、該工程で添加される酸触媒の量に影
響を及ぼす。また特に、変性フェノール樹脂が、未反応
成分として、架橋剤であるホルムアルデヒド重合物を多
量に含む場合には、変性フェノール樹脂、ホルムアルデ
ヒド重合物およびフェノール類の重縮合反応が先行して
低分子化が阻害される恐れがある。
【0055】したがって、変性フェノール樹脂と、フェ
ノール類との反応によって変性フェノール樹脂が効率的
に低分子化するように低分子化工程での反応条件を好適
に設定するには、低分子化工程で用いられる変性フェノ
ール樹脂が、低分子化反応を阻害するような量の酸触媒
および未反応物、あるいは反応溶媒等を含まないように
すること、特に、酸触媒、ホルムアルデデヒド重合物を
含まないようにすることが好ましい。
【0056】このような変性フェノール樹脂は、上記重
縮合反応での原料、酸触媒および反応溶媒の使用量、あ
るいは重縮合反応条件を適宜選択して反応混合物中に過
剰な未反応成分、酸触媒および反応溶媒等が残存しない
ようにするか、あるいは重縮合反応で得られた反応混合
物を適宜精製することによって、未反応成分、低分子成
分、酸触媒および反応溶媒等を除去することによって調
製することができる。
【0057】反応混合物、即ち酸触媒、未反応物、低分
子成分および反応溶媒を含む粗製の変性フェノール樹脂
の精製方法としては、例えば、(i)反応混合物を、特
定の溶媒で処理・析出させて、未反応成分を含む溶媒可
溶成分を除去する精製処理、(ii)前記反応混合物を、
特定の溶媒に溶解させて、触媒残渣及び架橋剤としての
ホルムアルデヒド重合物を除去する精製処理とを挙げる
ことができる。
【0058】上記の精製処理(i)では、原料として用
いられる石油系重質油類またはピッチ類に含まれる成分
の内、反応性が低く、反応生成物中に未反応の状態、あ
るいは反応が不充分な状態で残存する成分、また反応時
に適宜用いられた反応溶媒とが除去される。
【0059】このような精製処理(i)は、重縮合工程
で得られた反応混合物を、任意の時期に、炭素数10以
下の脂肪族炭化水素および炭素数10以下の脂環式炭化
水素からなる群から選択される少なくとも一種の化合物
を含む溶媒に投入し、樹脂主成分を析出させ、該溶媒に
可溶な成分、即ち未反応および低反応で残存する成分、
および重縮合反応時の反応溶媒などを除去することによ
って行なわれる。
【0060】このような炭化水素溶媒としては、例え
ば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンな
どの脂肪族又は脂環式炭化水素が挙げられ、特にn-ヘキ
サンが好ましい。
【0061】また、上記の精製処理(ii)では、反応混
合物中に残存する酸等の触媒残渣及び架橋剤としてのホ
ルムアルデヒド重合物が除去され、実質的に酸及び架橋
剤を含まない変性フェノール樹脂が得られる。このよう
な触媒残渣が変性フェノール樹脂中に残存すると、この
酸触媒残渣を考慮して低分子化工程で用いる酸触媒の量
を設定する必要があり、反応条件の制御が困難となる。
【0062】このような精製処理(ii)は、反応混合物
を、前記重縮合工程で用いた酸触媒の溶解度が0.1以
下であり、かつ変性フェノール樹脂の大部分を溶解し得
る抽出溶媒で処理し、触媒残渣及び架橋剤としてのホル
ムアルデヒド重合物を除去することによって行なわれ
る。
【0063】このような溶媒は、上記特性を有する限り
特に限定されないが、例えばベンゼン、トルエン、キシ
レンなどの芳香族炭化水素類を好ましい例として挙げる
ことができ、この内、特にトルエンが好ましい。
【0064】また、本発明では、精製処理(ii)は、そ
の温度等の条件を特に限定されず、溶媒の上記特性が充
分に発揮される条件で行なえばよい。また、精製処理
(ii)は、反応混合物を溶媒に投入しても、反応混合物
に溶媒を加えてもよく、容易かつ簡便に行なうことがで
きる。
【0065】このような精製処理(ii)後の実質的に酸
を含まない変性フェノール樹脂は、通常溶媒に溶解した
ワニス状である。ワニス状変性フェノール樹脂は、これ
が最終精製品である場合には、次段の低分子化工程の原
料としてそのまま用いてもよく、再度変性フェノール樹
脂が不溶の溶媒、例えばn−ヘキサン等に投入し、析出
させて粉末状の変性フェノール樹脂として用いてもよ
い。
【0066】また、精製処理(ii)により、反応生成物
中に残存する触媒残渣のほとんどが除去されるが、所望
により、精製処理(ii)後の変性フェノール樹脂に、中
和処理および/または水洗処理を施して、樹脂中の酸等
の触媒残渣を更に除去してもよい。
【0067】中和処理としては、精製処理(ii)後の変
性フェノール樹脂への塩基性物質の添加を挙げることが
でき、このような塩基性物質としては、例えば水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化
マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の水
酸化物;アンモニア、ジエチレントリアミン、トリエチ
レンテトラミン、アニリンおよびフェニレンジアミンな
どを挙げることができる。
【0068】本発明で適用し得る精製工程において、こ
のような精製処理(i)および(ii)は、任意の順序で
行なうことができる。しかしながら、精製処理(ii)後
の変性フェノール樹脂は、ワニス状であるため、変性フ
ェノール樹脂が不溶の溶媒、例えばn-ヘキサン中に投入
して再析出させ、粉末状の変性フェノール樹脂を採取す
ることが、低分子化工程で用いる場合の操作性の観点か
らは望ましい。
【0069】また、精製処理(i)を行った後に、精製
処理(ii)を行った場合には、得られるワニス状変性フ
ェノール樹脂をそのまま次段の低分子化工程の原料とし
て用いることができ、この方法は製造コストの観点から
好ましい。
【0070】本発明に係る高反応性低粘度変性フェノー
ル樹脂の製造方法では、このような変性フェノール樹
脂、すなわち重縮合工程で得られた反応生成物を、その
まま、あるいは精製した後に、ホルムアルデヒド重合物
および他の架橋剤の不存在下で酸触媒の存在下、120
℃を越えて200℃以下、好ましくは140℃以上18
0℃以下の温度にてフェノール類と反応させて低分子化
させている。この反応温度を200℃を越える値とする
と、得られる樹脂を成形材料に使用した場合、耐熱性
(Tg)が低下傾向になるので好ましくない。
【0071】このような温度範囲で行なわれる低分子化
反応では、変性フェノール樹脂は、分子中に存在するメ
チレン結合が切断・解離されて低分子化し、かつこの解
離末端部には遊離のフェノール類が結合して変性フェノ
ール樹脂のフェノール含有量を増加させていると考えら
れている。
【0072】なお、このような低分子化工程で用いられ
る原料および酸触媒の量、種類および組合せ、あるいは
反応温度以外の反応条件は、上記変性フェノール樹脂の
低粘度化およびエポキシ樹脂との反応性の向上が実現で
きる範囲内であれば、特に限定されない。
【0073】例えば、低分子化工程で用いられるフェノ
ール類および酸触媒としては、上記重縮合工程で例示さ
れた化合物を挙げることができる。また、本発明の低分
子化工程では、フェノール類は、変性フェノール樹脂1
00重量部に対し、100重量部以上、好ましくは10
0〜250重量部、更に好ましくは100〜200重量
部の量で用いることが望ましい。低分子化反応は、フェ
ノール類が100重量部以上あれば、所望の効果を得る
のに充分な程度進行する。しかし、過剰なフェノール類
を用いると、多量の未反応フェノール類が残るため、後
処理に必要なコストを増加させてしまう。
【0074】酸触媒は、変性フェノール樹脂の重量10
0重量部に対し、0.1〜15重量部、好ましくは0.
2〜10重量部の量で用いられることが望ましい。ま
た、低分子化工程において、反応溶媒は、使用しても、
使用しなくとも良い。使用される反応溶媒は、上記低分
子化反応を阻害しない限り特に限定されないが、例え
ば、重縮合反応時に用いられた溶媒、およびアルコール
類、具体的にはメチルアルコール、エチルアルコール、
ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアル
コール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシ
ルアルコールなどを挙げることができる。このような溶
媒は、変性フェノール樹脂100重量部に対し、好まし
くは0〜300重量部の量で用いられる。
【0075】反応温度は、特定の反応温度以上、通常1
20〜200℃、好ましくは140〜180℃である。
また、反応時間は特に限定されず、例えば15分間〜
2.0時間、好ましくは30分間〜2.0時間である。
【0076】以上説明した低分子化工程で得られた高反
応性低粘度変性フェノール樹脂は、重縮合工程で得られ
た変性フェノール樹脂と比較して、(a)数平均分子量
が低下し、かつ特に(c)樹脂溶融粘度が低下してい
る。
【0077】具体的には、本発明の方法によれば、数平
均分子量が350〜450、特に350〜400であ
り、温度150℃で測定した樹脂溶融粘度が、0.2〜
3.0ポイズ、特に0.2〜2.0ポイズの高反応性低
粘度変性フェノール樹脂を得ることができる。
【0078】このような高反応性低粘度変性フェノール
樹脂は、樹脂溶融粘度が低いために成形性に優れ、かつ
エポキシ樹脂との反応性が高いため、エポキシ樹脂を組
み合わせて、寸法安定性、強度などの機械的特性に優れ
るとともに、特に吸湿性の低い変性フェノール樹脂成形
材料を提供することができる。
【0079】ところで、上述したように、本発明者等
は、特開平7−252339号で、120℃以下の温度
条件下で行なわれ、樹脂分子中のアセタール結合および
/またはメチレンエーテル結合の解離反応が起こる低分
子化工程を開示している。
【0080】しかしながら、本発明における低分子化工
程では、より高い温度によって反応が行なわれ、従来法
では得られなかったさらに低粘度の、すなわち0.2〜
3.0ポイズの高反応性変性フェノール樹脂を得ること
ができる。これは、低分子化反応をより高い温度によっ
て行なうことにより、従来とは異なる部位、すなわち変
性フェノール樹脂分子中のメチレン結合が切断・解離さ
れることに起因すると考えられる。
【0081】また、本発明の方法で得られた高反応性低
粘度変性フェノール樹脂は、後述するように、エポキシ
樹脂と組み合わせて成形材料とした場合に、特に低い吸
湿性を示すことが判明した。このような成形材料は、樹
脂部分の吸湿による金属部分の腐食、寸法安定性の低下
等を嫌う製品に好適に使用できる。
【0082】このような低分子化工程で得られた高反応
性低粘度変性フェノール樹脂は、種々の用途にそのまま
供することもできるが、該樹脂中に未反応成分や酸触媒
などが残存する可能性がある。したがって、変性フェノ
ール樹脂の上記精製処理(i)および(ii)で挙げられ
た溶媒を使用して同様の方法で、あるいは他の溶媒を用
いて精製処理して、未反応成分や酸触媒などを除去する
ことが望ましい。このような高反応性低粘度変性フェノ
ール樹脂の精製に好ましく用いられる溶媒としては、例
えばトルエン;トルエンと、エチルアルコール、メチル
アルコール等のアルコール類との混合溶媒;およびトル
エンと、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類との混合
溶媒等を挙げることができる。
【0083】また、高反応性低粘度変性フェノール樹脂
は、このような溶媒を使用してフェノール類等の未反応
成分や酸触媒などを抽出した後、必要に応じて蒸留水及
びイソプロピルアルコールの混合液で水洗処理すること
が望ましい。
【0084】さらに、高反応性低粘度変性フェノール樹
脂は、未反応成分や酸触媒などを除去した後、抽出溶媒
を脱溶媒するか、又は炭素数10以下の脂肪族若しくは
脂環式炭化水素或いはこれらの混合溶媒で処理して樹脂
を析出することが好ましい。このような炭化水素溶媒と
しては変性フェノール樹脂の精製処理(i)に記載の溶
媒を挙げることができ、特にn-ヘキサンが好ましい。
【0085】このような精製処理を施して、樹脂中に残
存し得る酸触媒、未反応物および反応溶媒等を除去する
ことにより、実質的に酸を含まないため金属に対する腐
食性を有さず、かつエポキシ樹脂との反応性が向上して
いるため耐熱性、および寸法安定性が向上した高反応性
低粘度変性フェノール樹脂とすることができる。なお、
本明細書において「実質的に酸を含まない」とは、酸等
が全く残存しないか、あるいは極少量が残存したとして
も金属に対する腐食性を有意に示さないことを意味す
る。
【0086】本発明に係る変性フェノール樹脂成形材料
は、本発明に係る方法により得られ、かつ樹脂溶融粘度
が0.2〜3.0ポイズ、好ましくは0.2〜2.0ポ
イズの高反応性低粘度変性フェノール樹脂(A)ととも
に、(B)エポキシ樹脂とを含んでいる。エポキシ樹脂
は、成形収縮が小さく、耐熱性、耐磨耗性、耐薬品性、
電気絶縁性に優れており、必要に応じて(C)硬化剤お
よび/または硬化促進剤と組み合わせて用いられる。
【0087】このようなエポキシ樹脂としては、例え
ば、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、グ
リシジルアミン型、混合型および脂環式型等のエポキシ
樹脂を挙げることができる。
【0088】さらに具体的には、グリシジルエーテル型
(フェノール系)としては、ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF
型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポ
キシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、
フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o-クレゾールノ
ボラック型エポキシ樹脂などが;グリシジルエーテル型
(アルコール系)としては、ポリプロピレングリコール
型エポキシ樹脂、水添加ビスフェノールA型エポキシ樹
脂などが;グリシジルエステル型としては、ヘキサヒド
ロ無水フタル酸型エポキシ樹脂、ダイマー酸型エポキシ
樹脂などが;グリシジルアミン型としては、ジアミノジ
フェニルメタン型エポキシ樹脂、イソシアヌル酸型エポ
キシ樹脂、ヒダントイン酸型エポキシ樹脂などが;混合
型としては、p-アミノフェノール型エポキシ樹脂、p-オ
キシ安息香酸型エポキシ樹脂などが挙げられる。上記エ
ポキシ樹脂のうち、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、
ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキ
シ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂が好まし
い。上記エポキシ樹脂を2種以上組み合わせたものも用
いることができる。
【0089】本発明において、高反応性低粘度変性フェ
ノール樹脂とエポキシ樹脂との混合割合(A)/(B)
は、例えば、変性フェノール樹脂とエポキシ樹脂の合計
を100重量部として、10/90〜90/10(重量
部)とすることが好ましい。
【0090】また、本発明の変性フェノール樹脂成形材
料で用いられる(C)硬化剤および/または硬化促進剤
としては、エポキシ樹脂の硬化に用いられる種々の硬化
剤および硬化促進剤を用いることができる。また、硬化
剤としては、例えば、環状アミン類、脂肪族アミン類、
ポリアミド類、芳香族ポリアミン類および酸無水物など
を挙げることができる。
【0091】具体的には、例えば、環状アミン類として
は、ヘキサメチレンテトラミンなど;脂肪族アミン類と
しては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミ
ン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピ
ルアミン、N-アミノエチルピペラミン、イソホロンジア
ミン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタ
ン、メンタンジアミン等を挙げることができる。
【0092】ポリアミド類としては、植物油脂肪酸(ダ
イマー又はトリマー酸)、脂肪族ポリアミン縮合物等;
芳香族ポリアミン類としては、m-フェニレンジアミン、
4,4'- ジアミノジフェニルメタン、4,4'- ジアミノジフ
ェニルスルホン、m-キシリレンジアミン等を挙げること
ができる。
【0093】また、酸無水物類としては、無水フタル
酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタ
ル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベン
ゾフェノン無水テトラカルボン酸、無水クロレンド酸、
ドデシニル無水コハク酸、メチルテトラヒドロ無水フタ
ル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸
等を挙げることができる。
【0094】硬化促進剤としては、1,8-ジアザビシクロ
(5,4,0)ウンデセン-7などのジアザビシクロアルケンお
よびその誘導体、トリエチレンジアミン、ベンジルジメ
チルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエ
タノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール
等の三級アミン類、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4
-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フ
ェニル-4-メチルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダ
ゾールなどのイミダゾール類、トリブチルホスフィン、
メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン
などの有機ホスフィン類、テトラフェニルホスホニウム
・テトラフェニルボレートなどのテトラ置換ホスホニウ
ム・テトラ置換ボレート、2-エチル-4-メチルイミダゾ
ール・テトラフェニルボレート、N-メチルモルホリン・
テトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン
塩、三フッ化ホウ素−アミン錯体等のルイス酸、ジシア
ンジアミド、アジピン酸ジヒドラジドなどのルイス塩
基、その他ポリメルカプタン、ポリサルファイドなどを
挙げることができる。これら硬化剤および硬化促進剤
は、単独で用いても、2種以上を組合せて用いてもよ
い。
【0095】このような高反応性低粘度変性フェノール
樹脂(A)およびエポキシ樹脂(B)を含む成形材料
は、低い吸湿性を示す。これは、従来の高反応性変性フ
ェノール樹脂と比較しても、さらに低い吸湿率である。
このような成形材料は、樹脂部分の吸湿による金属部分
の腐食、寸法安定性の低下等を嫌う製品、たとえば電気
・電子部品、半導体封止材等に好適に使用できる。
【0096】本発明に係る変性フェノール樹脂成形材料
は、上記(A)高反応性低粘度変性フェノール樹脂、
(B)エポキシ樹脂、および必要に応じて用いる(C)
硬化剤および/または硬化促進剤に加えて、さらに
(D)無機フィラーを含んでいてもよい。
【0097】樹脂成形材料に(D)無機フィラーを加え
ることにより、得られた成形体の強度、寸法安定性等を
さらに向上させることができる。このような(D)無機
フィラーとしては、プラスチック材料に無機充填材ある
いは補強材として使用し得る種々の無機フィラーを用い
ることができ、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ホスフ
ァー繊維、ホウ素繊維などの補強性繊維;水酸化アルミ
ニウム、水酸化マグネシウム等の水和金属酸化物;炭酸
マグネシウム、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩;硼酸マ
グネシウム等の金属硼酸塩;シリカ、雲母、熔融シリカ
などの無機充填材などを挙げることができる。
【0098】このような(D)無機フィラーの配合量
は、特に限定されないが、例えば、高反応性低粘度変性
フェノール樹脂100重量部に対して、20〜800重
量部、好ましくは50〜600重量部の量で用いられ
る。
【0099】また、本発明に係る変性フェノール樹脂成
形材料は、必要に応じて、さらに添加剤を含んでいても
よく、このような添加剤としては、例えば、シリコー
ン、ワックス類などの内部離型剤、カップリング剤、難
燃剤、光安定剤、酸化防止剤、顔料、増量剤などを挙げ
ることができる。
【0100】以上説明した本発明に係る変性フェノール
樹脂成形材料は、(A)高反応性低粘度変性フェノール
樹脂および(B)エポキシ樹脂と、必要に応じて(C)
硬化剤および/または硬化促進剤、(D)無機フィラー
および各種添加剤とを混合して調製され、成形体の製造
に適用される。
【0101】本発明では、(A)高反応性低粘度変性フ
ェノール樹脂および(B)エポキシ樹脂と、(C)硬化
剤等の任意成分との混合順序は、特に制限されないが、
例えば、高反応性低粘度変性フェノール樹脂と、エポキ
シ樹脂とを混練し、硬化剤(硬化促進剤)を加えてさら
に良く混合した後、必要に応じて無機フィラーおよび他
の添加剤等を加えて混合し、微粉状の成形粉(コンパウ
ンド)とすることができる。
【0102】具体的には、このようなコンパウンドは、
以下の手順にて調製することができる。 高反応性低粘度変性フェノール樹脂とエポキシ樹脂
を自動乳鉢を用いて室温で混合攪拌する。
【0103】 攪拌混合物に硬化剤およびまたは硬化
促進剤、ワックス等の他の添加剤を添加混合する。 無機充填材を添加混合する。
【0104】 さらに、80℃〜90℃に調整された
熱ロール機で3〜10分混合した後、室温に戻して粉砕
し、コンパウンドとする。なお、この場合、無機フィラ
ーおよび他の添加剤等の添加は、別途高反応性低粘度変
性フェノール樹脂とエポキシ樹脂との混合後に行なわれ
ているが、任意の時期に行なうこともできる。
【0105】このような本発明に係る変性フェノール樹
脂成形材料は、従来公知の様々な樹脂成形手段によって
成形体とすることでき、このような成形手段としては、
例えば、圧縮成形、射出成形、押出成形、トランスファ
ー成形および注型成形などを挙げることができる。
【0106】さらに具体的には、本発明に係る変性フェ
ノール樹脂成形材料を用い、トランスファー成形によっ
て成形体を製造する場合には、成形温度120〜200
℃、射出圧5〜300Kgf/cm2 、好ましくは20
〜300Kgf/cm2 、型締圧50〜250Kgf/
cm2 および成形時間1〜10分の成形条件が望まし
い。
【0107】また、成形された成形体は、150〜30
0℃の温度で、0.5〜24時間加熱することにより、
ポストキュアを行なうことが望ましい。ポストキュアを
成形体に施すことにより、成形体の耐熱性をさらに向上
させることができる。
【0108】本発明に係る変性フェノール樹脂材料を成
形して得られた成形体は、上述したように、耐湿性に優
れる他、耐熱性、電気絶縁性および機械的強度にも優れ
ており、例えば、以下のような物性を有する。
【0109】 曲げ強度 室温 8〜22kgf/mm2 150℃ 3〜14kgf/mm2 曲げ弾性率 室温 400〜2000kgf/mm2 150℃ 40〜1500kgf/mm2 ガラス転移温度(℃) 120〜260℃ 熱変形温度 190〜300℃以上 絶縁抵抗 常態 1.8×1014〜5.0×1014Ω 煮沸 3.0×1013〜2.0×1014Ω 本発明に係る変性フェノール樹脂成形材料は、変性フェ
ノール樹脂とエポキシ樹脂との反応性を向上させたた
め、これから得られる成形体の寸法安定性等の機械的特
性および熱安定性が改善される他、用いる高反応性低粘
度変性フェノール樹脂が低粘度であるために特に成形性
が良好で、かつ吸湿性が著しく低いという特性を有して
いる。また、本発明に係る変性フェノール樹脂成形材料
では、実質的に酸を含まない変性フェノール樹脂を用い
ればさらに金属部材に対する腐食性を低減できる他、無
機フィラーを加えることにより、成形体の機械的強度、
電気絶縁性等をさらに向上させることもできる。
【0110】したがって、この変性フェノール樹脂成形
体は、吸湿性を嫌い、かつ寸法安定性、耐熱性および成
形性等に極めて厳しい規格を要求されるプリント基板、
絶縁材、シール材等の電気・電子部品用材料として有用
であり、また耐熱性、高集積化による応力損傷対策とし
ての寸法安定性及び低吸湿性等が特に要求される半導体
封止材としては特に有利である。
【0111】
【発明の効果】本発明に係る高反応性低粘度変性フェノ
ール樹脂の製造方法によれば、上述した重縮合工程およ
び低分子化工程によって変性フェノール樹脂を製造して
いるため、エポキシ樹脂との反応性が高い他、特に樹脂
溶融粘度が低減された変性フェノール樹脂を製造できる
高反応性低粘度変性フェノール樹脂を提供することが可
能である。
【0112】また、本発明に係る高反応性低粘度変性フ
ェノール樹脂の製造方法によれば、上記低分子化工程で
得られた高反応性低粘度変性フェノール樹脂を、さらに
精製処理して未反応成分や酸触媒などを除去することに
より、樹脂溶融粘度が著しく低く、かつエポキシ樹脂と
の反応性が高いことに加えて、実質的に酸を含まないた
めにさらに腐食性を有さない高反応性低粘度変性フェノ
ール樹脂を製造することが可能である。
【0113】本発明に係る変性フェノール樹脂成形材料
は、本発明の方法で得られた高反応性低粘度変性フェノ
ール樹脂と、エポキシ樹脂とを含み、特に低い吸湿性を
有し、耐熱性および成形性が良好で、かつ寸法安定性等
の機械的特性にも優れた成形品を製造できる成形材料、
特に電気・電子部品用材料及び半導体封止材を提供する
ことができる。
【0114】
【実施例】以下、実施例により、本発明を更に具体的に
説明するが、これら実施例は本発明の範囲を制限するも
のでない。
【0115】また、以下の実施例において、部は特に断
りのない限り全て重量基準であるものとする。なお、反
応原料として使用する原料油の性状を表1に示す。これ
らの原料油は、減圧軽油の流動接触分解(FCC)で得
た塔底油を蒸留して得たものである。
【0116】
【表1】
【0117】また、以下の実施例において測定された数
平均分子量、エポキシ樹脂との反応性(ゲル化時間で判
断;短いほど反応性が高い)および樹脂溶融粘度は、以
下の装置または測定方法で測定した。
【0118】<数平均分子量>(株)コロナ電気社製、
117形蒸気圧浸透法分子量測定装置 <粘度測定>ICI社製、ICIコーンプレート粘度計 <ゲル化時間>JIS K6910に準拠し、170℃
で測定する。
【0119】<ガラス転移温度> 測定方式:動的粘弾性法 測定機器:(株)レオロジー、DVE RHEOSPECTOLER DVE-
4V型 荷重方式:引張法 測定周波数:10Hz 昇温速度:5℃/分 動的測定変位:±5+10-4cm 試験片:幅4mm、厚さ1mm、スパン30mm
【0120】
【実施例1】 (重縮合工程)表1に示す原料油334g、パラホルム
アルデヒド370g、p-トルエンスルホン酸1水和物1
37g及びp-キシレン678.5gをガラス製反応器に
仕込み、攪拌しながら95℃まで昇温した。95℃で1
時間保持後、フェノール209gを1.3g/分の滴下
速度で滴下し、フェノールの滴下終了後、さらに15分
間攪拌反応させた。次に、反応混合物を3,300gの
n-ヘキサンに注ぎ込み、反応生成物を析出させ、濾過し
て未反応成分及び反応溶媒を除去した。1,600gの
n-ヘキサンで析出物を洗浄後、真空乾燥し酸含みの粗変
性フェノール樹脂を得た。
【0121】この樹脂を10倍重量のトルエンに溶解
し、p-トルエンスルホン酸1水和物を主成分とする不溶
分を濾過した。得られた樹脂トルエン溶液を樹脂濃度が
50重量%になるまで濃縮し、ワニス状の変性フェノー
ル樹脂を得た。さらに微量のトリエチレンテトラミンを
加えて中和し、この変性フェノール樹脂ワニスを3.3
倍重量のn-ヘキサンに注ぎ込み、樹脂を析出させ、濾過
した。その後、真空乾燥して粉末状の変性フェノール樹
脂580gを得た。 (低分子化工程)得られた粉末状変性フェノール樹脂1
00gとフェノール150gおよびp-トルエンスルホン
酸5gを1リットルガラス製反応器に仕込み、250〜
350rpmの速度で攪拌させながら140℃まで昇温
し、140℃で90分保持反応して反応生成物を得た。
【0122】上記反応生成物を、400mlのトルエン
/メチルイソブチルケトン(混合比7/3)混合溶媒に
投入して溶解し、得られた樹脂混合溶媒溶液を蒸留水で
水洗して酸を除去した後、エバポレーターで混合溶媒を
除去して195gの高反応性低粘度変性フェノール樹脂
を得た。
【0123】得られた高反応性低粘度変性フェノール樹
脂の数平均分子量及び150℃での粘度を測定した。そ
の結果を、反応温度等の低分子化反応条件とともに、表
2に示した。
【0124】
【実施例2〜3】低分子化工程での反応条件を、表2に
示すように変更した以外は、実施例1と同様の操作を行
ない、表2に示す収量の各高反応性低粘度変性フェノー
ル樹脂を得た。
【0125】得られた高反応性低粘度変性フェノール樹
脂の数平均分子量及び150℃での粘度を測定し、その
結果を表2に示した。
【0126】
【実施例4】実施例1の重縮合工程で得られた粉末状変
性フェノール樹脂100gとo−クレゾール200gお
よびp-トルエンスルホン酸5gを1リットルガラス製反
応器に仕込み、250〜350rpmの速度で攪拌させ
ながら160℃まで昇温し、160℃で90分保持反応
して反応生成物を得た。
【0127】上記反応生成物を、400mlのトルエン
/メチルイソブチルケトン(混合比7/3)混合溶媒に
投入して溶解し、得られた樹脂混合溶媒溶液を蒸留水で
水洗して酸を除去した後、エバポレーターで混合溶媒を
除去して195gのクレゾール系の高反応性低粘度変性
フェノール樹脂を得た。
【0128】得られた高反応性低粘度変性フェノール樹
脂の数平均分子量及び150℃での粘度を測定し、その
結果を表2に示した。
【0129】
【実施例5】実施例1の重縮合工程で得られたワニス状
変性フェノール樹脂(樹脂含有量50%)200gとフ
ェノール200gおよびp-トルエンスルホン酸5gを1
リットルガラス製反応器に仕込み、250〜350rp
mの速度で攪拌させながら160℃まで昇温し、160
℃で90分保持反応して反応生成物を得た。
【0130】上記反応生成物を、400mlのトルエン
/メチルイソブチルケトン(混合比7/3)混合溶媒に
投入して溶解し、得られた樹脂混合溶媒溶液を蒸留水で
水洗して酸を除去した後、エバポレーターで混合溶媒を
除去して200gの高反応性低粘度変性フェノール樹脂
を得た。
【0131】得られた高反応性低粘度変性フェノール樹
脂の数平均分子量及び150℃での粘度を測定し、その
結果を表2に示した。
【0132】
【比較例1】実施例1の重縮合工程で得られた粉末状変
性フェノール樹脂100gとフェノール200gおよび
p-トルエンスルホン酸5gを1リットルガラス製反応器
に仕込み、250〜350rpmの速度で攪拌させなが
ら95℃まで昇温し、95℃で60分保持反応して反応
生成物を得た。
【0133】上記反応生成物を、400mlのトルエン
/メチルイソブチルケトン(混合比7/3)に投入して
溶解し、この樹脂混合溶媒溶液を蒸留水で水洗して酸を
抽出除去した後、エバポレーターで混合溶媒を除去して
175gの変性フェノール樹脂を得た。
【0134】得られた変性フェノール樹脂の数平均分子
量及び150℃での粘度を測定し、その結果を表2に示
した。
【0135】
【実施例6】実施例2で得られた高反応性低粘度変性フ
ェノール樹脂9.25重量部と、ビフェニル型エポキシ
樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、商品名YX400
0H)15.15重量部を自動乳鉢を用いて室温で混合
攪拌した後、攪拌混合物に硬化触媒としてトリフェニル
ホスフィン(TPP)0.25重量部を添加混合して、硬
化促進剤含有樹脂混合物を得た。
【0136】この含有樹脂混合物のゲル化時間を測定
し、表3に示した。また、得られたコンパウンドに、さ
らにカルナバワックス0.25重量部を添加し混合した
後、無機フィラーとしてカーボンブラック0.20重量
部および熔融シリカ((株)龍森製、CRS1102−
GT200T)75重量部を添加混合した。得られた混
合物を、80℃〜90℃に調整された熱ロール機で3〜
10分さらに混合した後、室温まで冷却し、粉砕してコ
ンパウンド(成形材料)を得た。このコンパウンドの配
合組成を表3に示す。
【0137】得られたコンパウンドを、175℃、90
秒の条件でトランスファー成形し、さらに175℃、6
時間ポストキュアすることにより成形体を得た。得られ
た成形体の成形直後のショアー硬度、ガラス転移点、曲
げ特性および吸湿率を測定し、その結果を表3に示し
た。
【0138】
【実施例7〜9】実施例2で得られた高反応性低粘度変
性フェノール樹脂に換えて、実施例3〜5で得られた高
反応性低粘度変性フェノール樹脂を各々用い、かつ変性
フェノール樹脂およびエポキシ樹脂の配合比を表3に示
す値とした以外は、実施例6と同様にして、硬化促進剤
含有樹脂混合物、コンパウンドおよび成形体を製造し
た。
【0139】得られた硬化促進剤含有樹脂混合物のゲル
化時間、成形体の物性(成形直後のショアー硬度、ガラ
ス転移点、曲げ特性および吸湿率)を測定し、その結果
を表3に示した。
【0140】
【比較例2】実施例2で得られた高反応性低粘度変性フ
ェノール樹脂に換えて、比較例1で得られた変性フェノ
ール樹脂を用いた以外は、実施例6と同様の操作で硬化
促進剤含有樹脂混合物、コンパウンド及び成形体を製造
した。
【0141】得られた硬化促進剤含有樹脂混合物のゲル
化時間、成形体の物性(成形直後のショアー硬度、ガラ
ス転移点、曲げ特性および吸湿率)を測定し、その結果
を表3に示した。
【0142】
【実施例10】実施例1で得られた高反応性低粘度変性
フェノール樹脂9.19重量部と、オルソ−クレゾール
ノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、商品名
ECON1020)15.11重量部を自動乳鉢を用い
て室温で混合攪拌した後、攪拌混合物に硬化促進剤とし
てトリフェニルホスフィン(TPP)0.25重量部を添
加混合して、硬化促進剤含有樹脂混合物を得た。
【0143】この硬化促進剤含有樹脂混合物のゲル化時
間を測定し、表4に示した。また、得られた硬化促進剤
含有樹脂混合物に、さらにカルナバワックス0.25重
量部を添加し混合した後、無機フィラーとしてカーボン
ブラック0.20重量部および熔融シリカ((株)龍森
製、CRS1102−GT200T)75重量部を添加
混合した。得られた混合物を、80℃〜90℃に調整さ
れた熱ロール機で3〜10分さらに混合した後、室温ま
で冷却し、粉砕してコンパウンド(成形材料)を得た。
このコンパウンドの配合組成を表4に示す。
【0144】得られたコンパウンドを、175℃、90
秒の条件でトランスファー成形し、さらに175℃、6
時間ポストキュアすることにより成形体を得た。得られ
た成形体のショアー硬度、ガラス転移点、曲げ特性およ
び吸湿率を測定し、その結果を表4に示した。
【0145】
【実施例11〜13】実施例1で得られた高反応性低粘
度変性フェノール樹脂に換えて、実施例2、4および5
で得られた高反応性低粘度変性フェノール樹脂を各々用
い、かつ高反応性低粘度変性フェノール樹脂およびエポ
キシ樹脂の配合比を表3に示す値とした以外は、実施例
10と同様にして、硬化促進剤含有樹脂混合物、コンパ
ウンドおよび成形体を製造した。
【0146】得られた硬化促進剤含有樹脂混合物のゲル
化時間、成形体の物性(成形直後のショアー硬度、ガラ
ス転移点、曲げ特性および吸湿率)を測定し、その結果
を表4に示した。
【0147】
【比較例3】実施例1で得られた高反応性低粘度変性フ
ェノール樹脂に換えて、比較例1で得られた変性フェノ
ール樹脂を用いた以外は、実施例10と同様の操作で硬
化促進剤含有樹脂混合物、コンパウンド及び成形体を製
造した。
【0148】得られた硬化促進剤含有樹脂混合物のゲル
化時間、成形体の物性(成形直後のショアー硬度、ガラ
ス転移点、曲げ特性および吸湿率)を測定し、その結果
を表4に示した。
【0149】
【表2】
【0150】
【表3】
【0151】
【表4】
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 23/31

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石油系重質油類またはピッチ類と、ホル
    ムアルデヒド重合物と、フェノール類とを、酸触媒の存
    在下に重縮合させて変性フェノール樹脂を調製する重縮
    合工程と、 得られた変性フェノール樹脂を、酸触媒の存在下、12
    0℃を越えかつ200℃以下の温度にて、フェノール類
    と反応させて低分子化する低分子化工程とを含むことを
    特徴とする高反応性低粘度変性フェノール樹脂の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記重縮合工程において、前記石油系重
    質油類またはピッチ類と前記ホルムアルデヒド重合物と
    を、該ホルムアルデヒド重合物のホルムアルデヒド換算
    モル数が、該石油系重質油類またはピッチ類1モルに対
    して1〜15の割合となるように含む混合物を酸触媒の
    存在下に加熱攪拌し、 加熱攪拌中の前記混合物に、前記フェノール類を、該フ
    ェノール類のモル数が前記石油系重質油類またはピッチ
    類1モルに対して0.3〜5の割合となる量まで逐次添
    加して、これら原料を縮重合させて変性フェノール樹脂
    を調製することを特徴とする請求項1に記載の高反応性
    低粘度変性フェノール樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記重縮合工程で得られた変性フェノー
    ル樹脂を、(i) 炭素数10以下の脂肪族炭化水素および
    炭素数10以下の脂環式炭化水素からなる群から選択さ
    れる少なくとも一種の化合物を含む溶媒で処理し、未反
    応成分を含む溶媒可溶成分を除去して精製し、及び/又
    は(ii)前記重縮合工程に用いた酸触媒の溶解度が0.1
    以下であり、かつ変性フェノール樹脂の大部分を溶解し
    得る抽出溶媒で処理し、触媒残渣及び架橋剤としてのホ
    ルムアルデヒド重合物を除去して精製し、 得られた精製変性フェノール樹脂を、前記低分子化工程
    で用いることを特徴とする請求項1または2に記載の高
    反応性低粘度変性フェノール樹脂の製造方法。
  4. 【請求項4】 (A)請求項1〜3の何れか1項に記載
    の方法により得られ、かつ150℃での樹脂溶融粘度
    が、0.2〜3.0ポイズである高反応性低粘度変性フ
    ェノール樹脂と、(B)エポキシ樹脂とを含むことから
    なることを特徴とする変性フェノール樹脂成形材料。
  5. 【請求項5】 さらに(C)硬化剤および/または硬化
    促進剤、(D)無機フィラーを含有することを特徴とす
    る請求項4記載の変性フェノール樹脂成形材料。
  6. 【請求項6】 前記高反応性低粘度変性フェノール樹脂
    (A)およびエポキシ樹脂(B)が、10/90〜90
    /10(重量部)の割合で混合されることを特徴とす
    る、請求項4または5に記載の変性フェノール樹脂成形
    材料。
  7. 【請求項7】 請求項4〜6のいずれかに記載の変性フ
    ェノール樹脂成形材料を成形して得られることを特徴と
    する電気・電子部品用材料。
  8. 【請求項8】 請求項4〜6のいずれかに記載の変性フ
    ェノール樹脂成形材料からなることを特徴とする半導体
    封止材。
JP8024173A 1996-02-09 1996-02-09 高反応性低粘度変性フェノール樹脂の製造方法、及び該樹脂を含有する成形材料、電気・電子部品用材料および半導体封止材 Pending JPH09216927A (ja)

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TW086101320A TW400359B (en) 1996-02-09 1997-02-04 Process for producing highly reactive low-viscosity modified phenolic resins
KR1019970003658A KR100219298B1 (ko) 1996-02-09 1997-02-06 고반응성 저점도의 변형된 페놀 수지의 제조방법
EP97101965A EP0789042B1 (en) 1996-02-09 1997-02-07 Process for producing highly reactive low-viscosity modified phenolic resins
DE69712545T DE69712545T2 (de) 1996-02-09 1997-02-07 Verfahren zur Herstellung von hochreaktiven niedrigviskosen modifizierten Phenolharzen
US08/797,631 US5792826A (en) 1996-02-09 1997-02-07 Process for producing highly reactive low-viscosity modified phenolic resins
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6320013B1 (en) 1998-12-10 2001-11-20 Kashima Oil Co., Ltd. Process for producing modified phenolic resin
WO2008075802A1 (en) * 2006-12-18 2008-06-26 Lg Electronics Inc. Electronic parts

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