JPH07247477A - 被覆性組成物、それらから製造した研磨物品、およびその製造および使用方法 - Google Patents

被覆性組成物、それらから製造した研磨物品、およびその製造および使用方法

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JPH07247477A
JPH07247477A JP6286527A JP28652794A JPH07247477A JP H07247477 A JPH07247477 A JP H07247477A JP 6286527 A JP6286527 A JP 6286527A JP 28652794 A JP28652794 A JP 28652794A JP H07247477 A JPH07247477 A JP H07247477A
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Thomas P Klun
トーマス・ポール・クラン
Louis D Hibbard
ルイス・デイビッド・ハイバード
Kathryn M Spurgeon
キャサリン・マリオン・スプールジェオン
Scott R Culler
スコット・リチャード・カラー
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は研磨物品の製造に有用な被覆性組成
物を提供する。特に、本発明はフリーラジカル硬化性組
成物、特にそれらに着色研磨剤粒子および/または着色
剤を含むものを含有する被覆性組成物を用いて製造する
研磨物品を提供する。 【構成】 本発明は研磨剤粒子;フリーラジカル重合可
能な組成物;および光開始剤系;を組合せることを特徴
とする、研磨物品の製造に使用するのに適する被覆性組
成物であって、その光開始剤系がα-開裂を介して開裂
する化合物を含み、その化合物が約395nm〜約500nmの範
囲のUV/可視スペクトルの少なくともある部分におい
て、約4〜約400リットル/モルcmの範囲の希釈メタノー
ル溶液中のモル吸光係数を有する被覆性組成物に関す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は研磨物品の製造に有用な
被覆性組成物に関する。特に、本発明はフリーラジカル
硬化性組成物、特にそれらに着色研磨剤粒子および/ま
たは着色剤を含むものを含有する被覆性組成物を用いて
製造する研磨物品に関する。
【0002】
【従来の技術】3種の通常の研磨物品は、被覆研磨材、
接着研磨材および不織研磨材である。被覆研磨材は、研
磨剤粒子をバインダー、通常は大型ループ乾燥機内で硬
化した熱硬化性バインダーを用いて接着した支持体から
成る。その支持体は、例えば、紙、布、フィルム、バル
カンファイバーおよびそれに類するもの、またはこれら
材料の1種以上の組合せまたはそれらの処理したものか
ら選択されてもよい。研磨剤粒子は通常、フリント、ざ
くろ石、酸化アルミニウム、アルミナジルコニア、セラ
ミック酸化アルミニウム、ダイアモンド、炭化ケイ素
(緑色または黒色のどちらか)、立方晶窒化ホウ素およ
びそれに類するものから選択される。接着研磨材では、
樹脂および研磨剤粒子から成るスラリーを調製する。そ
のスラリーを金型に入れ、通常は熱および圧力を用いて
樹脂を硬化し、研磨剤粒子を共に保持し、3次元の目的
物を作製する。接着研磨材の例として、研削ホイール、
ホーニングスティック、ドレッサースティックおよびシ
ャープニングスティックが挙げられる。不織研磨材は、
接触点でバインダーにより結合された繊維の目の荒い(o
pen)、ロフティな(lofty)、3次元ウェブから成る。こ
れには、研磨剤粒子を含んでも含まなくてもよい。
【0003】前述の研磨物品は、バインダー先駆物質と
しての別の重合性組成物を用いて製造してもよく、その
場合重合は、例えば過酸化物の熱分解、放射線(粒子ま
たは非粒子)または両方の組合せを含む様々な方法によ
り開始されてもよい。生長反応段階での鎖状キャリアー
は、イオン性であっても、フリーラジカルを有してもよ
い。
【0004】別の重合性組成物、特にフリーラジカル重
合性組成物は、研磨物品の製造に有用である。フリーラ
ジカル重合性組成物は、被覆研磨材の製造での大型ルー
プ熱硬化乾燥機の必要性をかなり縮小または完全に排除
する。しかし、これら物品の研磨性能は硬化条件、例え
ば非粒子放射線の波長、製造される物品のタイプおよび
構造、用いた光開始系の化合物、研磨物品の色等に大き
く依存する。
【0005】例えば、多数の研磨物品の色があり、放射
線硬化に最も適したそれら研磨物品は、切削に最も有用
な研磨物品を提供し得ない。これに反して、暗色のそれ
ら研磨物品(例えば褐色の熱処理酸化アルミニウム)は
放射線を、有用な研磨物品を得るのに必要な硬化度を得
るように、透過させない。
【0006】更に、研磨物品を、ウェブプロセス、即ち
ロールに巻いた大型シート状構造(しばしば「ウェブス
(webs)」と表現される)を用いて製造するなら、硬化度
は硬化する被膜の暴露時間および厚さに依存する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、研磨材業者間
では、高生産速度で有用な研磨物品を製造する、研磨粒
子(特に着色研磨粒子)、フリーラジカル硬化性組成物
および光開始剤系から成る被覆性組成物(即ち、従来の
手段、例えばナイフコーターにより被覆を可能とする粘
度を有する組成物)に対する要求がある。
【0008】コール(Caul)等の米国特許第4,588,419号
には、アクリレートエポキシ樹脂および熱硬化性樹脂の
組合せにより製造した被覆研磨材が開示されている。そ
の樹脂には、炭酸カルシウム充填材および沈殿防止剤を
含んでいてもよく、好ましい沈殿防止剤は明らかにヒュ
ームドシリカである。ピーパー(Pieper)等の米国特許第
5,152,917号には、本発明に有用である技術を用いて構
造化した研磨材の製造が開示されている。しかし、ピー
パー(Pieper)等およびコール(Caul)等は、本発明に有用
である光開始剤系の使用またはそれらの使用が、どのよ
うにより有用な研磨物品またはより高生産速度を提供し
得るかを開示していない。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明により、光開始剤
系を含む新しい被覆組成物およびそれらを用いて製造し
た研磨物品を提供する。驚くべきことに、前述の範囲内
のモル吸光係数を有する化合物を含む光開始剤系を、従
来のフリーラジカル硬化性組成物に加えることにより、
被覆組成物のより速い硬化を可能とする(被覆組成物の
より速いウェブ速度およびより良好な硬化度を可能とす
る)。更に、その研磨製品は、以下の本明細書中の実施
例に例示したように、既知の光開始剤を用いて製造した
物品以上に改良した性能を示す。
【0010】従って、本発明のある態様は、(a)研磨剤
粒子;(b)フリーラジカル重合可能な組成物;および(c)
光開始剤系;を組合せることを特徴とする、研磨物品の
製造に使用するのに適する被覆性組成物であって、該光
開始剤系がα-開裂を介して開裂する化合物を含み、該
化合物が約395nm〜約500nmの範囲のUV/可視スペクトル
の少なくともある部分において、約4〜約400リットル/
モルcmの範囲の希釈メタノール溶液中のモル吸光係数を
有する被覆性組成物である。
【0011】本明細書中において、モル吸光係数を議論
する際には「約4リットル/モル-cm」の語により4±1
を表し、紫外/可視スペクトルを議論する際には「約395
nm」の語により395±5を表す。本明細書中において、モ
ル吸光係数を議論する際には「希釈メタノール溶液中の
モル吸光係数」の語により周囲温度(約20℃)でのメタノ
ールの約1.0〜10ミリモル溶液内での吸光係数を表す。
【0012】特に好ましい被覆組成物は、光開始剤系の
化合物がα-アミノアセトフェノン、特にニューヨーク
州アーズレイ(Ardsley)のチバガイギー(Ciba-Geigy)社
から商品名「イルガキュア(Irgacure)369」で市販の2-
ベンジル-2-N,N-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェ
ニル)-1-ブタノンであるようなものである。
【0013】本発明に有用な光開始剤系が(約395nm〜
約500nmの範囲のUV/可視スペクトルの少なくともある部
分において、約4〜約400リットル/モルcmの範囲の希釈
メタノール溶液中のモル吸光係数を有するα-開裂化合
物に加えて)a)非-α-開裂光開始剤;b)二分子光開始
剤;c)約4リットル/モルcm以下の希釈メタノール溶液
中のモル吸光係数を有する単分子α-開裂光開始剤;お
よびd)約4004リットル/モルcm以上の希釈メタノール溶
液中のモル吸光係数を有する単分子α-開裂光開始剤;
から成る群から選択される光開始剤をも含有してもよ
い。
【0014】本明細書中において、本発明の組成物を記
載するのに用いる場合は、「被覆組成物(coatable comp
osition)」の語により、フリーラジカル重合性組成物内
に分散した研磨粒子および光開始剤系を含有する組成物
を表す。その語により、従来の被覆装置、例えばナイフ
コーターによって被覆し得る組成物を含むことを意味す
る。その語はまた、例えば熱および/または剪断力を加
えて被覆性と成り得る組成物を含むことも意味する。
【0015】「フリーラジカル重合性組成物」には、フ
リーラジカルにより重合が開始し生長するモノマー状お
よびオリゴマー状化合物および樹脂を含み、「重合性(p
olymerizable)」および「重合した(polymerized)」樹脂
には鎖生長反応および架橋反応の両方によって生成した
樹脂を含むことを意味する。これらの化合物または樹脂
は、少なくとも1つのエチレンの不飽和基を有するもの
を含む。
【0016】「分散体(dispersion)」および「分散した
(dispersed)」は、均一または均質な分散体を意味する
必要はないが、フリーラジカル重合性組成物内の研磨粒
子および光開始剤系両方の均一分散体が好ましい。
【0017】本明細書中において、「光開始剤系」の語
は、フリーラジカル重合にかなり有害な影響を与える
(または完全に終わらせる)材料を除外することを意味
する。「光開始剤系」の語は、イオン発生化合物も除外
するが、「被覆性組成物」の語は、イオン発生化合物を
除外せず、本発明の被覆性組成物の重要な成分と相溶性
である熱硬化性樹脂、充填材、希釈剤等を除外しない。
本発明の特定の場合において、このことにより、本発明
の被覆性組成物は好ましくは、水を5重量%以下、より
好ましくは1重量%以下の量で含み、および最も好まし
くは水を含まないことを意味する。
【0018】「バインダー先駆物質」が未硬化組成物を
意味するのに対して、「バインダー」の語により、硬化
組成物を意味する。「硬化生成物」はバインダーを含有
する生成物を意味する。
【0019】本発明に関連して、「研磨物品の製造に用
いるのに適する」の句は、被覆、接着および不織研磨材
の場合、本発明の被覆性組成物は、組成物を連続的に撹
拌することなしに、それらを支持体上または金型内に被
覆、スプレー、塗布または注入し得る流動特性を有する
ことを意味する。
【0020】ある本発明の使用に好ましいフリーラジカ
ル重合性組成物は、アクリレートイソシアヌレートモノ
マーおよび/またはオリゴマーを含むものである。本明
細書中において、「樹脂」の語はモノマーおよびオリゴ
マーを包含する。
【0021】本発明の他の態様として、本発明の被覆性
組成物を用いて製造した研磨物品があり、その物品は光
開始剤系を含有するフリーラジカル重合性組成物から誘
導したバインダーにより接着した多数の研磨粒子から成
り、その光開始剤系は前述のモル吸光係数を有する化合
物を含有する。本発明の他の態様では、本発明の被覆性
組成物内に含まれる研磨粒子は顔料によってる暗着色さ
れていてもよく、即ちそれらは非白色および不透明であ
ってもよい。
【0022】本発明の他の態様として、研磨材被膜を有
する支持体から成るタイプの被覆研磨材であって、研磨
材被膜が本発明の被覆性組成物から誘導される被覆研磨
材がある。本明細書中において、「被覆した(coated)」
研磨材の語により、支持体に接着した研磨材被膜から成
る物品を意味する。本発明の被覆研磨材の好ましい研磨
材被膜には、酸化アルミニウム研磨粒子を含有し、すべ
ての重量%は該被覆性組成物の総乾燥重量をベースとし
て、その光開始剤系は研磨材組成物の約0.1〜約10重量
%から成り、その研磨粒子は約50〜約85重量%から成
り、更なる重合性樹脂が約10〜約45重量%から成る。
【0023】本発明の他の態様として、(a)支持体材料
を本発明の被覆性研磨組成物で被覆すること;および
(b)(a)の被覆支持体を、被覆性組成物内のフリーラジカ
ル重合性樹脂を硬化するのに十分なだけ、約395nm〜約5
00nmの範囲のUV/可視スペクトルの少なくともある部分
に露光すること;の段階から成る被覆研磨材の製造方法
がある。
【0024】この方法の変法として、(a)支持体材料を
メイク被膜バインダー先駆物質で被覆すること;(b)研
磨粒子をメイク被膜先駆物質に適用すること;(c)メイ
ク被膜先駆物質を少なくとも一部分は硬化して、第1中
間物品を製造するのに充分な条件にメイク被膜先駆物質
を暴露すること;(d)サイズ被膜先駆物質を第1中間物
品上に適用して、第2中間物品を製造すること;(e)サ
イズ被膜を硬化および要すればメイク被膜先駆物質をよ
り完全に硬化し、研磨物品を製造するのに充分な条件に
第2中間物品を暴露すること;から成る被覆研磨材の製
造方法であって、該メイクまたはサイズ被膜先駆物質の
少なくとも一方がフリーラジカル硬化性組成物および光
開始剤系を含有し、該光開始剤系が、α-開裂を介して
開裂する化合物を含有し、前述のようなモル吸光係数を
有し、暴露することの少なくとも1つに該物品をUV/可
視スペクトルの少なくともある部分に暴露することを含
む被覆研磨材の製造方法がある。
【0025】本発明の更に他の態様には、1)本発明の被
覆性組成物を3次元パターンを有する製造道具上に被覆
すること;2)2つの主要表面を有する支持体の主要表面
を被覆性組成物と接触し、その被覆性組成物が支持体の
少なくとも1つの主要表面を湿潤させ、その結果第1中
間物品を製造すること;3)被覆性組成物を、被覆性組成
物内のフリーラジカル重合性樹脂を少なくとも一部分を
硬化し第2中間物品を製造するのに十分なだけ、約395n
m〜約500nmの範囲のUV/可視スペクトルの少なくともあ
る部分の放射線を放射する線源に暴露すること;および
4)第2中間物品を製造道具から除去し、研磨物品を提供
すること;から成る研磨物品の製造方法がある。
【0026】本発明の他の態様として、(a)表面および
裏面を有する支持体;(b)支持体の表面上に存在するメ
イク被膜;(c)該メイク被膜によって支持体に接着した
多数の研磨剤粒子;および該研磨剤粒子上に存在するサ
イズ被膜;から成る被覆研磨材であって、該メイク被膜
またはサイズ被膜の少なくとも一方が、前述の付加重合
性樹脂および光開始剤系を含有する被覆性組成物の硬化
生成物である被覆研磨材がある。
【0027】不織研磨物品も本発明の範囲内であり、接
触点でバインダーによって結合された繊維の目の荒い、
ロフティな(lofty)、3次元網目から成り、そのバイン
ダーは本発明の被覆性組成物から誘導される。
【0028】本発明の他の有用性および態様を、以下の
好ましい態様の説明に記述する。
【0029】本発明は被覆性組成物、それを用いて製造
した研磨物品、および研磨物品の製造および使用方法に
関し、該物品は既知の研磨物品と同等またはそれ以上に
改良された性能特性を有する。
【0030】被覆研磨材において、「バインダー」の語
はどんな被膜を表していてもよい。不織研磨材におい
て、バインダーは、研磨粒子を多孔性でロフティな繊維
状ウェブの繊維に接合し、そして同一または異なるバイ
ンダーがその繊維をそれらの接触する点で接合する。
【0031】(光開始剤系)本発明に有用な光開始剤系
を、フリーラジカル重合性樹脂および研磨粒子から成る
従来の(即ち、既知の)バインダー先駆物質、および要
すれば既知の光開始剤系と組合せる。
【0032】本発明のその組成物に有用な光開始剤系
は、1)α-開裂により開裂し、2)約395nm〜約500nmの範
囲のUV/可視スペクトルの少なくともある部分において
約4〜約400リットル/モルcmの範囲の希釈メタノール溶
液中のモル吸光係数を有する化合物を含むことを必要と
する。
【0033】光開始剤のモル吸光係数は、溶媒の濃度お
よびタイプにより変化し得る。本発明の目的に対して、
光開始剤のUV/可視スペクトルデータが必要なモル吸光
係数を有し、光開始剤の例が、本発明に有用な光開始剤
系の狭い部分を含有し得るこの範囲外のモル吸光係数を
有することを、実施例の部分の表I〜表VIIIに示す。こ
れらの表には、370nm〜500nmの範囲の波長での種々の光
開始剤のモル吸光係数を示す。どんな所定の波長での光
開始剤のモル吸光係数の差も、異なる溶媒中のスペクト
ルを測定することによって簡単に観察し得るので、単一
溶媒、メタノールをすべての光開始剤のスペクトルの測
定に使用した。また、1つの目的は0〜400リットル/モ
ルcmの範囲のモル吸光係数を正確に測定することである
ので、その溶液濃度を約1.0〜10ミリモルとし、測定誤
差を減少した。本発明の目的に対して、「希釈メタノー
ル溶液」の語は、前記の特定濃度範囲内の光開始剤系の
メタノール溶液を表す。(モル吸光係数が容易に10,000
〜50,000となり得る光開始剤の吸収の最大での情報を収
集するために、より低い濃度のメタノール溶液でさえ適
当であろう。)
【0034】本明細書中で用いる「光開始剤(photoinit
iator)」「α-開裂(cleavage)光開始剤」「増感剤(sens
itizer)」「二分子(bimolecular)光開始剤系(system)」
「芳香族ケトン/共開始剤(aromatic ketone/coinitiato
r)系」の語および、種々の開始剤化合物および系は、K.
ダイエットライカー(Dietliker)の「ケミストリー・アン
ド・テクノロジー・オブ・UV・アンド・EB・フォーミュレーシ
ョン・フォー・コーティングス、インクス、アンド・ペイ
ンツ(Chemistry and Technology of UV and EB Formula
tion for Coatings、Inks、and Paints)」第III巻、115
〜324頁(1991年)、SITAテクノロジー(Technology)社よ
り出版に定義されている。光開始剤は単に、放射線を照
射することによりフリーラジカルを発生し得る化合物で
ある。「α-開裂光開始(photoinitiation)」の語は実際
に、フリーラジカルを生成する反応を表す。通常、α-
開裂光開始剤は(照射により)カルボニル基およびカル
ボニル基の「α」位置の炭素、リンまたは硫黄原子の間
の位置で、均一開裂を行う。「二分子光開始剤系」は、
ハロゲンドナーと反応するカルボキシル基を有する化合
物を含有する開始剤系(本明細書中では「共開始剤」と
表す)であり、カルボニル基がアルコールに還元される
生成物を生じる。「芳香族ケトン/共開始剤系」は、カ
ルボニル基を有する化合物が芳香族ケトンである1種の
光開始剤系である。この系のある例として、ベンゾフェ
ノン誘導体/アミン系があり、空気の存在下で本発明の
被覆性組成物を硬化するのに特に有用である。他の有用
な二分子光開始剤系には、1,2-ジケトン/共開始剤系
(例えば、ショウノウキノン/4-N,N-ジメチルアミノエ
チルベンゾエート)およびケトクマリン/共開始剤系が
挙げられる。
【0035】二分子光開始剤系の場合で放射線を吸収す
る種は、このような関係においては時には増感剤と呼
ぶ。しかし、「増感剤」の語は本明細書中では、エネル
ギーを化学反応なしにその励起状態から他の分子へ伝達
する化合物だけを表す。増感剤は一般に光開始剤化合物
より長波長での光を吸収し、そのエネルギーを光開始剤
に伝達する。増感剤は、約300nm〜約1000nm、より好ま
しくは約400nm〜約700nmおよび最も好ましくは約395nm
〜約500nmの波長の範囲内のどこででも光吸収し得るべ
きである。好ましい増感剤の例として、チオキサントン
誘導体がある。その増感剤は、通常または好ましくは約
50重量%以下の光開始剤系を含有する。
【0036】好ましくは、本発明の被覆性組成物は、α
-アミノアセトフェノンを必須成分として含有するもの
である。好ましいα-アミノアセトフェノン類の例とし
て、2-ベンジル-2-N,N-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリ
ノフェニル)-ブタン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエチ
ルチオ)フェニル]-2-メチル-2-モルホリノプロパン-1-
オン、1-(4-メルカプトフェニル)-2-メチル-2-モルホリ
ノプロパン-1-オン、1-(4-アリルチオフェニル)-2-メチ
ル-2-モルホリノプロパン-1-オン、1-[4-(2-メトキシ
カルボニルエチルチオ)-フェニル]-2-メチル-2-モルホ
リノプロパン-1-オン、1-[4-(ジメチルアミノメチルチ
オ)-フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-メチ
ル-1-[4-(メチルスルフィニル)-フェニル]-2-モルホ
リノプロパン-1-オン、および2-メチル-1-[4-(メチル
チオ)-フェニル]-2-ピペリジノプロパン-1-オン、およ
び米国特許第5,145,885号の段落7〜11に開示の他のも
のが挙げられる。
【0037】本発明のその他の好ましい被覆性組成物
は、α-アミノアセトフェノンが2-メチル-1-[4-(メチ
ルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-プロパン-1-オ
ン、および更にチオキサントンを含有する光開始剤系で
あるものである。好ましいチオキサントン類には、2-イ
ソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、
2-ドデシルチオキサントン、1-メトキシカルボニルチオ
キサントン、2-エトキシカルボニルチオキサントン、3-
(2-メトキシエトキシカルボニル)-チオキサントン、4-
ブトキシカルボニルチオキサントン、3-ブトキシカルボ
ニル-7-メチルチオキサントン、1-シアノ-3-クロロチオ
キサントン、2-モルホリノメチルチオキサントン、およ
び米国特許第5,145,885号の段落17に開示の他のキサン
トン類であるものである。特に好ましくは、2-イソプロ
ピルチオキサントンである。
【0038】本発明の範囲内の更なる他の好ましい被覆
性組成物は、光開始剤系の化合物が、好ましくは酸化モ
ノアシルホスフィン類および酸化ジアシルホスフィン類
から成る群から選択される酸化アシルホスフィンであ
る。本発明に有用な酸化アシルホスフィン類には、酸化
ジベンジル-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィ
ン、酸化ビス(2-フェニルエチル)-(2,6-ジクロロベンゾ
イル)-ホスフィン、酸化ビス(2-フェニルプロピル)-(2,
6-ジメトキシベンゾイル)-ホスフィン、酸化ビス(2-フ
ェニルプロピル)-(2,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフ
ィン、酸化ブチル-(2-メチル-2-フェニルブチリル)-ホ
スフィン、6-(2,6-ジクロロベンゾイル)-6-ホスファビ
シクロ[2.1.1]ヘキサン-6-オキシド、酸化ビス(2,4,6
-トリメチルベンゾイル)-2-フェニルプロピルホスフィ
ン、酸化ビス(メチルチオ-2-フェニルブチリル)-シクロ
ヘキシルホスフィン、酸化ジフェニル-2,4,6-トリメチ
ルベンゾイルホスフィン、および1991年2月20日公開の
欧州特許出願第0413657A2号(その記載をここに挿入す
る)に開示の他のものが挙げられる。本発明の特に好ま
しい被覆性組成物は、第1化合物が酸化ジフェニル-2,
4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンであるものであ
る。
【0039】好適な増感剤には、ケトン類、クマリン染
料(例えば、ケトクマリン類)、キサンテン染料、アク
リジン染料、チアゾール染料および米国特許第4,735,63
2号第4段落、第30行〜第5段落、第11行に例示の他の
もののような化合物が挙げられる。好ましい1,2-ジケト
ンはショウノウキノンである。
【0040】本発明の被覆性組成物には、二分子光開始
剤と組合せた増感剤を含有していてもよい。例えば、α
-ベンジル-2-N,N-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェ
ニル)-ブタン-1-オンをイソプロピルチオキサントンを
用いて増感してもよく、そしてその組成物にはベンゾフ
ェノン/アミン系を含んでいてもよい。
【0041】その樹脂系の一部がカチオン硬化し得、ま
たは塩化物ラジカルを生じるハロメチル-s-トリアジン
類であるなら、スルホニウム塩またはヨードニウム塩に
シクロペンタジエニル鉄(II)アレーン+XF6-塩を含む
ことも、本発明の範囲内であると考えられる。そのよう
な開始剤およびそれに類するものが、ダイエットライカ
ー(Dietliker)329〜478頁に開示され、それらを増感剤
との結合にも使用し得る。
【0042】本発明に有用な光開始剤系には、(約395n
m〜約500nmの範囲のUV/可視スペクトルの少なくともあ
る部分において、約4〜約400リットル/モルcmの範囲の
希釈メタノール溶液中のモル吸光係数を有するα-開裂
化合物に加えて)オックスマン(Oxman)等の米国特許第
4,735,632号に開示の3成分の光開始剤を含有し、その
光開始剤系には光化学的に有効量の(i)ジアリールヨー
ドニウム塩、(ii)300〜1000nmの範囲内のどこでも光を
吸収し、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリ
アジンを増感し得る増感剤、および(iii)増感剤とは異
なり、 0<EOX(ドナー)≦EOX(p-ジメトキシベンゼン) の関係を有する電子ドナー化合物;を含有する。
【0043】本発明の被覆性組成物は好ましくは、被覆
性組成物の総重量をベースとして、必須成分としての約
0.1〜約10重量%の光開始剤系(より好ましくは約0.1〜
約2重量%);約50〜約85重量%の研磨粒子;および約
10〜約45重量%のフリーラジカル重合性樹脂;から成
る。
【0044】約395nm〜約500nmの範囲のUV/可視スペク
トルの少なくともある部分における希釈メタノール溶液
中のモル吸光係数が、約4〜約400リットル/モルcmの範
囲となる他の光開始剤を、被覆性組成物に依存して、本
発明の被覆性組成物と組合せてもよい。放射線または熱
に暴露することによりフリーラジカルを生じる有用な従
来の開始剤の例として、約395nm〜約500nmの範囲のUV/
可視スペクトルの少なくともある部分において約4〜約
400リットル/モルcmの範囲の希釈メタノール溶液中のモ
ル吸光係数を有する、有機過酸化物、アゾ化合物、キノ
ン類、ベンゾフェノン類、ニトロソ化合物、ハロゲン化
アクリル類、ヒドロゾン類、メルカプト化合物、ピリリ
ウム化合物、トリアクリルイミダゾール類、ビスイミダ
ゾール類、クロロアルキルトリアジン類、ベンゾインエ
ーテル類、ベンジルケタール類、アセトフェノン誘導
体、およびそれらの混合物が挙げられる。可視線を照射
するとフリーラジカルを生じる従来の光開始剤の例が、
米国特許第4,735,632号に開示されている。
【0045】酸源を生じて付加重合性樹脂の重合を開始
するカチオン光開始剤を、本発明の被覆性組成物と組合
せて使用してもよい。カチオン光開始剤には、オニウム
カチオンを有する塩、および金属またはメタロイドのハ
ロゲン含有錯体アニオンを含み得る。他の有用なカチオ
ン光開始剤には、有機金属錯体カチオン、および金属ま
たはメタロイドのハロゲン含有錯体アニオンを含み得、
それらは更に米国特許第4,751,138号に開示されてい
る。更なる他の有用なカチオン光開始剤は、有機金属塩
およびオニウム塩であり、米国特許第4,985,340号およ
び1989年3月8日公開の欧州特許出願第306,161号および
同306,162号に開示されている。更なる他の有用なカチ
オン光開始剤には、金属が周期律表のIVB、VBN、VIB、V
IIBVおよびIIIB族元素から選択される有機金属錯体のイ
オン性塩を含み、そのような塩は(1984年5月30日公開
の)欧州特許出願第109,581号に開示されている。
【0046】(重合性樹脂)本発明に有用な重合性樹脂
は、研磨剤業者間で一般的に用いられるものから選択さ
れてもよい。研磨物品の所望の用途用に所望の特性を有
する研磨物品を製造し得るように、その樹脂を選択すべ
きである。所望の特性には、例えば強靭性、耐熱性、バ
インダーの支持体への良好な接着性、高切削量、および
それに類するものを含んでもよい。ある場合には、ワー
クピースが滑らかな表面仕上を有することも望ましい。
【0047】本発明の実施に有用な付加重合性樹脂に
は、放射線照射により開始し得るそれらの樹脂、光開始
剤、熱開始剤、またはこれらの組合せがある。好適な線
源には、紫外線、赤外線および可視光を発するものを含
む。
【0048】付加重合性樹脂は、フリーラジカル機構ま
たはイオン性機構により重合する。フリーラジカルまた
はイオンを、光開始剤または熱開始剤をその樹脂に加え
ることにより発生してもよい。光開始剤だけを使用する
場合、またはそれに非粒子放射線、例えば紫外線または
可視光を照射する場合、光開始剤はフリーラジカルを発
生する。そのフリーラジカルはその樹脂の重合を開始す
る。
【0049】本発明のバインダー先駆物質に用いる典型
的および好ましい付加重合性樹脂の例として:エチレン
不飽和のポリマー、オリゴマーおよびモノマー、例えば
少なくとも1つのアクリレート側基を有するイソシアヌ
レート樹脂のようなアクリル酸樹脂(イソシアヌル酸ト
リス(ヒドロキシエチル)のトリアクリレートが1例であ
る)、アクリレートウレタン樹脂、アクリレートエポキ
シ樹脂、および少なくとも1つのアクリレート側基を有
するイソシアネート誘導体が挙げられる。前記樹脂の混
合物も使用し得ると解されるべきである。「アクリレー
ト(acrylated)」の語により、モノアクリレート、モノ
メタクリレート、マルチアクリレートおよびマルチメタ
クリレートモノマー、オリゴマーおよびポリマーが挙げ
られることを表す。低分子量アクリル酸樹脂はある好ま
しい種類の反応性希釈剤である。本発明の用途に好まし
いアクリル酸反応性希釈剤は通常、約100〜約500の範囲
の分子量を有し、ジアクリル酸エチレングリコール、ジ
メタクリル酸エチレングリコール、アクリル酸テトラヒ
ドロフルフリル、トリアクリル酸ペンタエリトリトール
ジアクリル酸ヘキサンジオール、ジアクリル酸トリエチ
レングリコール、トリアクリル酸トリメチロールプロパ
ン、トリアクリル酸グリセロール、トリメタクリル酸ペ
ンタエリトリトール、テトラアクリル酸ペンタエリトリ
トールおよびテトラメタクリル酸ペンタエリトリトール
が挙げられる。メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸
エチルを使用してもよい。本発明の化合物には付加重合
性モノマー類、例えばスチレン、ジビニルベンゼン、ビ
ニルトルエン、アクリルアミド類およびそれに類するも
のも含んでもよい。
【0050】好適な低分子量希釈化合物と組合せるな
ら、室温で固形のモノマー類を使用し得るという記載に
は注目すべきである。このことは、室温で固形の1つの
特に好ましい樹脂、イソシアヌル酸トリス(ヒドロキシ
エチル)のトリアクリレート(「TATHEIC」)を用いる場
合である。このモノマーを用いる場合、粘度を低減する
「重合性樹脂」には、そのモノマーと反応してもしなく
てもよいが、好ましくはそのモノマーと反応性の化合物
(そしてその結果重要な他のモノマーとなる)が挙げら
れる。室温で固形のアクリレートモノマー用のある好ま
しい低分子量希釈剤は、トリアクリル酸トリメチロール
プロパン(「TMPTA」)であるが;その重合性樹脂が既
に室温(即ち、約25℃)で液状の場合、これらのような希
釈剤はより正しく反応性希釈剤として表される。TATHEI
Cを用いるなら、本発明のスラリーまたは分散体中の重
合性樹脂としてTATHEIC/TMPTAの組合せが考えられる。T
ATHEIC:TMPTAの重量比は、約1:3〜約3:1、より好
ましくは約1:2.5〜約2.5:1、最も好ましくは約1:2.3
3の範囲であってもよい。
【0051】本発明のスラリーおよび分散体内に、希釈
剤を用いてもよい。本明細書中で用いるように、「希釈
剤(diluent)」の語は、それらを加えたバインダー先駆
物質の粘度を低減してもしなくてもよい低分子量(500以
下)有機材料を表す。希釈剤はその樹脂と反応性を有し
ても、不活性であってもよい。
【0052】イソシアヌル酸アクリレートオリゴマー樹
脂は現在、好ましい付加重合性樹脂である。本発明に有
用なイソシアヌル酸樹脂には、少なくとも1つのアクリ
レート側基を有するものが挙げられ、それらは米国特許
第4,652,274号に開示されている。前述のように、ある
特に好ましいイソシアヌル酸材料はTMPTAと組合せたTAT
HEICである。アクリレートウレタンオリゴマー樹脂は好
ましくは、低分子量(500以下)アクリル酸樹脂(例え
ば、2-ヒドロキシエチルアクリレート)でエステル化し
た、ヒドロキシ末端のアクリル酸エステル類、イソシア
ヌル酸伸長ポリエステルまたはポリエーテルポリオール
類である。好ましいアクリレートウレタンオリゴマー樹
脂の数平均分子量は、約300〜約10,000、より好ましく
は約400〜約7,000の範囲である。市販のアクリレートウ
レタンオリゴマー樹脂の例として、商品名「ユービタン
(UVITHANE)782」(モートン・チオコール・ケミカル(Mort
on Thiokol Chemical)から市販)および「CMD 6600」、
「CMD 8400」および「CMD 8805」(ラッドキュア・スペ
シャルティーズ(Radcure Specialties)から市販)で販
売されているものがある。
【0053】アクリレートエポキシオリゴマー樹脂はエ
ポキシ樹脂のアクリル酸エステル類、例えばビスフェノ
ール-Aエポキシ樹脂のジアクリル酸エステル類である。
市販のアクリレートエポキシオリゴマー樹脂の例とし
て、ラッドキュア・スペシャルティーズ(Radcure Specia
lties)から市販の商品名「CMD 3500」、「CMD 3600」お
よび「CMD 3700」で公知のものがある。
【0054】要すれば、非放射線硬化性樹脂、例えばフ
ェノール樹脂、ユリアアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、
ウレタン樹脂、メラミン樹脂およびそれらの組合せから
選択される加熱硬化性樹脂を、光開始剤系に有害である
かもしれない濃度で存在する間は、本発明の被覆性組成
物に使用してもよい。
【0055】要すれば、有用な市販のフェノール樹脂の
例として、オクシデンタル・ケミカルズ(Occidental Che
micals)社からの商品名「デューレッツ(Durez)」および
「バーカム(Varcum)」;モンサント(Monsanto)からの
「レジノックス(Resinox)」;およびアッシュランド・ケ
ミカル(Ashland Chemical)社からの「アロフェン(Arofe
ne)」および「アロタップ(Arotap)」;で公知のものが
挙げられる。
【0056】本発明に有用なウレタン類には、米国特許
第4,933,373号に開示のものが挙げられ、それらは短鎖
の活性化水素機能モノマー、例えばトリメチロールプロ
パンモノアリルエーテル、エタノールアミン、およびそ
れに類するもの;長鎖の活性化水素機能ジエンプレポリ
マー、例えばアトケム(Atochem)社から商品名「Polybd
R-45HT」で市販のヒドロキシ末端ポリブタジエン;ポイ
ソシアネートおよび架橋開始剤である。好適な架橋開始
剤は、有機過酸化物、例えば過酸化ベンゾイルおよびそ
れに類するものがある。必須ではないが、ウレタン触
媒、例えば米国特許第4,202,957号に開示のものを用い
てもよい。
【0057】エポキシ樹脂はオキシラン(エポキシ)環を
有し、開環により重合される。エチレン不飽和結合の不
足するエポキシ樹脂は、光開始剤を使用することが必要
である。これら樹脂は、その骨格および置換基の性質に
より、大きく異なり得る。例えば、その骨格は、エポキ
シ樹脂、および室温でオキシラン環と反応性を有する
(または反応性を有するようになり得る)活性化水素原
子をもたないどんな基もなり得る置換基と、一般に会合
するどんな種類に属してもよい。適当な置換基の代表例
として、ハロゲン類、エステル基、エーテル基、スルホ
ン酸基、シロキサン基、ニトロ基およびリン酸基が挙げ
られる。エチレン不飽和結合の不足する好ましいエポキ
シ樹脂の例として、2,2-ビス[4-(2,3-エポキシプロポ
キシ)フェニル]プロパン(ビスフェノールAジグリシジ
ルエーテル)およびシェル・ケミカル(Shell Chemical)社
から販売の商品名「Epon 828」および「Epon 1001F」、
ダウ・ケミカル(Dow Chemical)社から販売の商品名「DER
-331」、「DER-332」および「DER-334」で市販の材料が
挙げられる。他の好適なエチレン不飽和結合の不足する
好ましいエポキシ樹脂には、フェノールホルムアルデヒ
ドノボラック樹脂のグリシジルエーテル類(例えば、ダ
ウ・ケミカル(Dow Chemical)社から市販の「DER-431」お
よび「DER-438」)が挙げられる。
【0058】他の有用な反応性希釈剤には、モノアリ
ル、ポリアリル、およびポリメタリルエステル類および
カルボン酸のアミド類(例えば、フタル酸ジアリル、ア
ジピン酸ジアリルおよびN,N-ジアリルアジパミド);イ
ソシアヌル酸トリス(2-アクリロイル-オキシエチル)、
1,3,5-トリ(2-メタクリルオキシエチル)-s-トリアジ
ン、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、N-メチル
アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-ビニ
ルピロリドンおよびN-ビニルピペリドンが挙げられる。
【0059】本明細書中に記載の光開始剤系によって光
開始されない重合性樹脂を、本発明の物品、例えば被覆
性および不織研磨物品に使用してもよいと解されるべき
である。
【0060】(硬化条件)本発明の被覆性組成物の硬化
条件の詳細な例を実施例部分に示す。用いる放射線には
約395nm〜約500nmの範囲の「UV/可視」スペクトルの少
なくともある部分を含むことが本発明の目的には好まし
い。UV(紫外)線は約200〜約400nm、好ましくは約250〜
約400nmの範囲内の波長を有する電磁線を表す。可視線
は約400〜約800nm、好ましくは約400〜約550nmの範囲内
の波長を有する電磁線を表す。
【0061】フリーラジカルおよび他の付加重合性樹脂
は、開始剤、例えば光開始剤および/または放射線エネ
ルギーを必要とする。好ましくは、光開始剤および放射
線エネルギーを同時に使用する。
【0062】加熱硬化性樹脂、例えばフェノール樹脂お
よびユリアホルムアルデヒド樹脂、および非フリーラジ
カル付加重合性樹脂は本発明の被覆性組成物内に存在
し、付加重合速度は一般に温度と共に増加するので被覆
性速度は同時におよび/または伴って放射線エネルギー
および熱エネルギーに暴露されてもよい。熱エネルギー
に対して、その温度は通常および好ましくは約50〜約25
0℃の範囲であり、滞留時間は約15〜約16時間の範囲で
ある(より長い滞留時間にはより低い温度が必要)。熱
の不在下のフリーラジカル付加重合において、すべての
エチレン不飽和モノマーをより完全に重合するために、
UVまたは可視線を単独で照射する間、UVまたは可視線レ
ベルは少なくとも約100ミリジュール/cm2、より好まし
くは約100〜約700ミリジュール/cm2、特に好ましくは約
400〜約600ミリジュール/cm2の範囲であるべきである。
必要な総エネルギー量は、第1に樹脂接着剤化合物、第
2にバインダー先駆物質の厚さおよび光学濃度に依存す
る。
【0063】(研磨物品のラッピングおよび製造方法)
本発明の被覆性組成物を用いる発明の研磨物品の製造の
必須段階は、本明細書中で「スラリー(slurry)」とも表
している被覆性組成物を調製することである。そのスラ
リーを、どんな好適な混合技術によっても、どんな希釈
剤でも含む、フリーラジカル重合性樹脂、研磨粒子、光
開始剤系および光学添加剤を組合せることによって作製
する。混合技術の例として、低剪断および高剪断混合が
挙げられ、高剪断混合が好ましい。超音波エネルギー
を、その混合方法と組合せて用い、研磨材スラリーの粘
度を低下してもよい。通常、使用される研磨粒子および
研削補助剤は、徐々にバインダー先駆物質に加えてい
く。スラリー内の気泡量は、混合および/または被覆段
階の間に(または、混合および被覆段階の間に)減圧す
ることにより低減し得る。ある場合には、一般に30〜70
℃の範囲で加熱し、スラリー粘度を低下することが好ま
しい。そのスラリーは、スラリーをうまく被覆し得る流
動学的特性を有し、研磨粒子および他の光学粒子材料、
例えば研削補助剤粒子がスラリーの外部には保持されな
いことが重要である。
【0064】そのスラリーを少なくとも支持体の表面に
被覆する。この被覆は、グラビア被覆、ナイフ被覆、吹
付被覆、転写被覆、真空しごき被覆、しごき(die)被覆
およびそれに類するもののようなどんな従来の方法によ
っても行い得る。
【0065】スラリーを支持体に被覆した後、そのスラ
リーを、約395nm〜約500nmの範囲のUV/可視スペクトル
の少なくともある部分に放射線を発する線源、および他
の光学エネルギー源に暴露し、重合を開始し、バインダ
ー先駆物質を硬化し、そして研磨複合材を作製する。得
られた研磨物品は一般に、すぐに使用し得る準備ができ
ている。しかし、ある場合には、他のプロセス、例えば
加湿または屈曲がなお必要となるかもしれない。その研
磨物品はどんな所望の形状、例えば円錐形、エンドレス
ベルト、シート、ディスク、およびそれに類するものに
も加工し、その研磨物品を使用し得る。
【0066】ラッピング研磨材、例えば図1および図2
に示したものは1種の研磨物品である。その図に関し
て、図1は、少なくとも支持体表面17と接合した研磨材
被膜16を有する支持体11を有する本発明の範囲内のラッ
ピング研磨物品10の(拡大)図である。研磨材被膜16に
は、多数の研磨粒子13、バインダー14および光学的な研
削補助剤15の均質混合物から成る。そのバインダー14
は、研磨材被膜16を支持体11の表面17に接着もする。研
磨粒子は本質的に、バインダーおよび研削補助剤の混合
物全体に均一に分散している。
【0067】図1に示したラッピング研磨物品の態様
は、本発明の範囲内である被覆性組成物を支持体上に前
述のどんな適する方法により被覆することによって製造
してもよく、より粗いまたは異なった表面を形成しても
よいと解される。次いで、その組成物を、用いた樹脂に
依存して約395nm〜約500nmの範囲のUV/可視スペクトル
の少なくともある部分に放射線を発する線源、および他
の光学エネルギー源に暴露し、バインダー先駆物質を硬
化し、そして研磨複合材を作製する。更に、被覆性組成
物をスクリーンを通して支持体に適用し、パターン付研
磨材表面を形成し得る。
【0068】ある場合には、その研磨材被膜は図2に示
す正確に形作られた研磨複合材として存在することが好
ましい。この種の研磨物品を製造するためには、一般に
生産用具が必要である。
【0069】その生産用具は多数のキャビティーを有す
る。これらキャビティーは本質的に研磨複合材の逆の形
状であり、その研磨複合材の形状を形成する。キャビテ
ィーの寸法を選択することにより、所望の形状および寸
法の研磨複合材を提供する。キャビティーの形状または
寸法を正確に作製しないときには、得られる生産用具に
より所望の寸法の研磨複合材は得られない。
【0070】そのキャビティーは隣接するキャビティー
間に間隙を有するドット状パターンで存在するか、また
はキャビティー互いに接合し得る。キャビティーが互い
に接合していることが好ましい。更に、キャビティー形
状は、支持体からの研磨複合材の断面積が減少するよう
に選択される。
【0071】その生産用具は、ベルト、シート、連続シ
ートまたはウェブ、グラビアロールのような被覆ロー
ル、被覆ロール上に搭載したスリーブ、またはダイであ
ってもよい。その生産用具は、金属(例えば、ニッケ
ル)、合金またはプラスチック製であってもよい。金属
生産用具を、彫刻(engraving)、ホッビング、電鋳(elec
troforming)、ダイアモンド旋削(turning)およびそれに
類するもののようなどんな従来の技術によって製造して
もよい。金属生産用具のある好ましい技術はダイアモン
ド旋削である。
【0072】シート状の熱可塑性生産用具は、原型金属
用具から複製を作製し得る。原型用具は、所望の生産用
具の形状とは逆のパターンを有する。原型用具は、その
金属生産用具と同様の方法で作製し得る。その原型用具
は好ましくは金属、例えばプラスチック原型上に電気め
っきした銅製であり、後者はダイアモンド旋削により作
製する。熱可塑性シート材料を加熱しても、要すれば熱
可塑性材料が2ついっしょにプレスすることにより原型
用具パターンにエンボス加工されるように原型用具と共
に加熱してもよい。熱可塑性材料を原型用具上に押出し
ても、注型してもよい。両方の場合、熱可塑性材料をそ
の溶融流れ温度以下まで冷却し、生産用具を作製する。
好ましい熱可塑性生産用具材料の例として、ポリエステ
ル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレ
ン、ポリエチレンおよびそれらの組合せが挙げられる。
熱可塑性生産用具を用いるなら、その用具を変形するか
もしれない過剰の熱が発生しないように注意すべきであ
る。
【0073】生産用具には、生産用具からの研磨物品の
剥離をより容易にする剥離被膜を含んでいてもよい。金
属生産用具用のそのような剥離被膜の例として、硬質カ
ーバイド、窒化物またはホウ化物被膜が挙げられる。熱
可塑性樹脂用剥離被膜の例として、シリコーン類および
フルオロケミカル類、どちらかを熱可塑性プラスチック
に融合または含浸したもの、または熱可塑性プラスチッ
クにオーバーレイしたものが挙げられる。
【0074】特に図2には、多数の正確に形作られた研
磨複合材22が境界25により分離されている支持体21を有
する研磨物品態様20を拡大断面図として示した。その境
界または複合材形状に付随した境界は、結果として他の
隣接した研磨複合材からある程度分離されているある研
磨複合材となる。個々の研磨複合材を形成するために、
研磨複合材の形状を形成する境界の一部分は互いに分離
されてなければならない。図2に示した物品内で、支持
体に最も近接した基材または研磨複合材の1部は、その
近隣の研磨複合材と接触し得ることを示す。(「近隣の
(neighboring)」は「隣接した(adjacent)」を表す必要
はないことを示す。)研磨複合材22は、要すれば研削補
助剤粒子26を含むバインダー23内に、分散された多数の
研磨粒子24を含有する。他の研磨複合材が互いの間にに
空間を有する一方、研磨複合材のいくらかが接触してい
る支持体と、接着した研磨複合材の組合せを有すること
も本発明の範囲内である。
【0075】図2に示すようなラッピング研磨物品のあ
る好ましい製造方法は、前述の好適な技術の1つを用い
て適用した本発明の範囲内の被覆性組成物を、少なくと
も支持体の片面に最初に被覆することである。ある好ま
しい支持体21はポリマーフィルム、例えばエチレンアク
リル酸コポリマープライマーを含むポリエステルフィル
ムである。第2に、スラリー被覆支持体をパターン付生
産用具の外側面と接触させる。そのスラリーはそのパタ
ーン付面を湿潤させ、中間物品を作製する。第3に、ス
ラリーを、スラリー内の樹脂を少なくとも部分的に硬化
またはゲル化し、中間物品を生産用具の外側面から除去
する前述のように、約395nm〜約500nmの範囲のUV/可視
スペクトルの少なくともある部分の放射線、および他の
光学エネルギー源に暴露する。第4に、中間物品を生産
用具から除去する。その4段階を好ましくは連続的に行
う。
【0076】更に、そのスラリーを最初に、図3および
図4に示した方法で生産用具に適用してもよい。図3で
は、支持体41は巻出ステーション42を出て、同時に生産
用具46が巻出ステーション45を出る。生産用具46、を被
覆ステーション44でスラリーを被覆する。スラリーを加
熱および/または被覆前に超音波処理し、粘度低下する
ことができる。被覆ステーションはどんな従来の被覆方
法、例えばナイフ被覆、流し(curtain)被覆、しごき被
覆、ドロップしごき被覆または真空しごき被覆であって
もよい。被覆の間に気泡の発生が最少となるべきであ
る。好ましい被覆技術は、例えば米国特許第3,594,865
号、同4,959,265号および同5,077,870号に開示の真空流
れ支持ダイ(vacuum fluid bearing die)である。生産用
具を被覆した後、支持体およびスラリーをどんな方法に
よってでも接触させ、そのスラリーが支持体の表面を湿
潤させる。図3において、スラリーを、接触ニップロー
ル47で支持体の「表(front)」面と接触させる。接触ニ
ップロール47は得られた構造を支持ドラム43に押付け接
触させる。約395nm〜約500nmの範囲のUV/可視スペクト
ルの少なくともある部分に放射線を発するエネルギー源
48、および他の光学エネルギー源は、少なくとも部分的
にバインダー先駆物質を硬化するのに充分な量のエネル
ギーをスラリーに伝達する。「部分的硬化(partial cur
e)」の語により、バインダー先駆物質が硬化したスラリ
ーが生産用具から剥離するような状態まで重合している
ことを表す。一旦、生産用具から剥離すれば、そのバイ
ンダー先駆物質を適当なエネルギー源によってより完全
に硬化してもよい。この後、その生産用具をマンドレル
49に再巻取し、生産用具を再利用し得る。更に、研磨物
品120をマンドレル121に巻取る。バインダー先駆物質を
部分的に硬化するなら、次いで、そのバインダー先駆物
質をエネルギー源、好ましくはUV/可視放射線および熱
エネルギーの組合せに暴露することにより、更に完全に
硬化し得る。
【0077】更に、本発明の被覆性組成物を、支持体上
に被覆し得、そして生産用具のキャビティー内には被覆
し得ない。次いで、スラリー被覆支持体を生産用具と接
触させ、そのスラリーを生産用具のキャビティーに流し
込む。研磨物品を製造する残りの手順は、前述のものと
同様である。
【0078】他の方法を図4に示している。支持体51は
巻出ステーション52を出て、スラリー54を被覆ステーシ
ョン53で生産用具55のキャビティー内に被覆する。その
スラリーをその用具上に、前述の多くの技術の内のどの
1つを用いて、被覆してもよい。更に、スラリーを加熱
および/または被覆前に超音波処理し、粘度低下するこ
とができる。被覆の間に気泡の発生が最少となるべきで
ある。次いで、研磨スラリーを含む支持体および生産用
具をニップロール56により接触させ、そのスラリーが支
持体の表面を湿潤させる。次いで、そのスラリーを、約
395nm〜約500nmの範囲のUV/可視スペクトルの少なくと
もある部分に放射線を発するエネルギー源57、および他
の光学エネルギー源に暴露することにより、少なくとも
部分的に硬化する。この少なくとも部分的な硬化後、そ
のスラリーは支持体と接合または接着した研磨複合材59
に加工される。得られた研磨物品をニップロール58で生
産用具から剥離し、再巻付ステーション60で巻き取る。
この方法では、好ましい支持体はポリエステルフィルム
である。
【0079】後者の方法では、スラリーを更に直接、支
持体の表面に被覆してもよい。次いで、スラリー被覆支
持体を生産用具に接触させ、そのスラリーが生産用具の
キャビティー内を湿潤させる。研磨物品を製造する残り
の手順は、前述のものと同様である。
【0080】フリーラジカル重合性樹脂を、約395nm〜
約500nmの範囲のUV/可視スペクトルの少なくともある部
分の放射線エネルギーにより硬化することが好ましい。
その放射線エネルギーは、生産用具がその放射線エネル
ギーをあまり吸収しない限りは、生産用具を通して伝達
し得る。更に、放射線エネルギー源により、生産用具を
あまり分解すべきではない。
【0081】パターン付用具をスラリーで被覆する方法
のそれぞれにおいて、スラリーが、パターン付表面のく
ぼみまたはキャビティーにスラリーを充填し得る粘度を
有するなら、それが最も有用である。
【0082】生産用具のパターンが本発明の研磨物品に
パターンを提供するので、これらの方法は「構造化した
(structured)」研磨物品の製造に特に有用である。構造
化した研磨物品は、バインダー内に分布した研磨粒子を
含有する複合材が精密な形状を有する研磨物品である。
【0083】ある場合には、その形状を形成している境
界線は平面である。平面を有する形状に関して、少なく
とも3平面がある。所定の形状の平面数は、所望の形態
に依存して変化し得、例えばその平面数は3から20以上
の範囲となり得る。一般に、3〜10平面、好ましくは3
〜6平面である。これら平面が交差して所望の形状を形
成し、これら平面が交差する角度がその形状寸法を決定
する。
【0084】研磨複合材形状はどんな形状であってもよ
いが、幾何学的形状、例えば長方形、円錐形、半円形、
円形、三角形、正方形、六角形、ピラミッド形、八角形
およびそれに類するものが好ましい。好ましい形状はピ
ラミッド形および切頭ピラミッド形であり、そのベース
は3または4面のどちらかである。その支持体からの研
磨複合材の断面積が減少することも好ましい。この変動
表面積により、使用時に研磨複合材が摩耗する際に不均
一圧力となる。加えて、研磨物品の製造時に、この変動
表面積により、生産用具から研磨複合材を剥離するのが
容易になる。一般に、cm2当たり少なくとも5個の独立
した研磨複合材が存在する。ある場合には、cm2当たり
少なくとも500個の独立した研磨複合材が存在し得る。
【0085】これら方法に従って研磨物品を製造する更
なる段階が、米国特許第5,152,917号および1993年1月14
日出願の米国特許出願第08/004,929号(スパージヨン(S
purgeon)等)に更に開示されている。不規則な形状の研
磨複合材を、1993年9月13日出願の米国係属特許出願第0
8/120,300号に開示の工具および方法によって製造し得
る。本発明のこの態様では、少なくとも10%、好ましく
は少なくとも30%、より好ましくは少なくとも50%、お
よび最も好ましくは少なくとも60%の研磨複合材が、異
なった寸法の隣接する研磨複合材を有する。これら異な
る寸法は、研磨複合材形状、平面境界間の角度または研
磨複合材の寸法に関係する。近隣の研磨複合材がこれら
異なる寸法となることにより、研磨または精錬するワー
クピースを比較的細かい表面仕上にする研磨物品とな
る。
【0086】(本発明の他の研磨物品の製造方法)本発
明は、被覆研磨物品、および研磨粒子を含むまたは含ま
ない本発明の被覆性組成物を用いて製造した研磨物品の
製造方法に関する。
【0087】研磨粒子を用いない組成物を使用する本発
明のある方法では、含浸剤被膜先駆物質を部分的に硬化
(「予備硬化(precured)」)した後、支持体を含浸剤被
膜先駆物質を用いて、どんな従来の技術、例えば浸漬(d
ip)被覆またはロール被覆によって含浸させてもよい。
【0088】含浸剤被膜先駆物質を部分的に硬化した
後、本発明の被覆性組成物を、支持体の「裏(back)」
側(接着した研磨粒子を含まない支持体側)に適用し裏
面被膜を形成しても、支持体の「表(front)」側(接
着した研磨粒子を含む支持体側)に適用しプレサイズ(p
resize)被膜を形成してもどちらでもよい。これら被膜
を多くの従来の技術の内のどんな1つ、例えばロール被
覆、しごき被覆またはナイフ被覆によって適用してもよ
い。次いで、表面および/または裏面被覆支持体を、前
述のようなUV/可視スペクトルの少なくともある部分お
よび要すれば他のエネルギー源に暴露し、プレサイズ被
膜およびバックサイズ(back size)被膜内の重合性樹脂
を少なくとも部分的に硬化またはゲル化する。
【0089】更に、メイク(make)被膜先駆物質を支持体
に適用し、多くの方法の内のどんな1つ、例えば静電塗
装(projection)、ドロップ被覆およびそれに類するもの
によりメイク被膜先駆物質上に研磨粒子を突出させ得
る。次いで、メイク被膜先駆物質を部分的に硬化または
固化する条件に暴露し、サイズ被膜先駆物質を適用し得
る。
【0090】前記2種の態様それぞれに対して、サイズ
被膜先駆物質を、どんな前記の従来技術によってでも研
磨粒子上に適用し、そして部分的または完全硬化する条
件に暴露する。また、1種以上のスーパーサイズ(super
size)被膜先駆物質をどんな従来技術によってサイズ被
膜上に適用してもよい。それぞれの被膜は、適用前に完
全硬化、部分的硬化または乾燥してもよい。最後の被膜
先駆物質を適用した後に、要すれば、残ったどんな部分
的硬化または乾燥した被膜も完全硬化する。
【0091】これら方法では、メイク被膜先駆物質、サ
イズ被膜先駆物質およびスーパーサイズ先駆物質組成物
は、被覆研磨材業者間で通常用いられるバインダー先駆
物質材料(例えば、レゾールフェノール樹脂)を含有し
てもよく、(約395nm〜約500nmの範囲のUV/可視スペク
トルの少なくともある部分において、約4〜約400リッ
トル/モルcmの範囲の希釈メタノール溶液中のモル吸光
係数を有するα-開裂化合物を含有する光開始剤系を含
む)研磨粒子を全く含有しない組成物を含有してもよ
い。その組成物をどのような被膜にも用いるなら、エネ
ルギー源は前述のようなUV/可視放射線を放射しなけれ
ばならない。
【0092】(被覆研磨材用支持体材料)その支持体と
して、被覆研磨材の製造で支持体として通常用いられる
かなり多くの様々な材料、例えば紙、布、フィルム、バ
ルカンファイバー、織物および不織材料、およびそれに
類するもの、または2種以上のこれら材料の組合せまた
はそれらの処理した変種がある。研磨物品の所望の用途
によって支持体材料を選択する。支持体の強度は使用時
の引き剥がしまたは他の損傷に耐えるのに十分であるべ
きであり、支持体の厚さおよび平滑性は用途に対して所
望の厚さおよび平滑性を提供し得るべきである。本発明
の被覆性組成物または他のバインダーの支持体への接着
性も、通常使用時の個々の研磨粒子または研磨材被膜の
かなりのシェリング(shelling)を防止するのに十分でな
ければならない。ある用途では、支持体が防水性である
ことも好ましい。支持体の厚さは、その用途に対する所
望の強度を提供するのに十分でなければならない;しか
しながら、被覆研磨材製品の所望の可撓性に悪影響を与
えるほど厚くてはならない。ラッピング被覆研磨材用と
して、ある好ましい支持体はポリエステルフィルムのよ
うなポリマーフィルムであり、そしてそのフィルムをあ
る材料、例えばエチレンアクリル酸コポリマーで下塗り
し、本発明のスラリーまたは分散体および得られた研磨
複合材のフィルムへの接着性を増大する。UV/可視放射
線が透過する支持体を使用することは好ましいかもしれ
ない。
【0093】織物支持体の場合には、本発明の被覆性組
成物の適用前に、支持体の隙間に少なくとも1種の被膜
を充填することが時には好ましい。この目的に使用した
被膜は、支持体のどのようなまたは何の表面に、その被
膜を適用したかによって、前述のように含浸剤裏面被膜
または含浸剤プレサイズ被膜と呼ばれる。
【0094】その支持体は、2層以上の同様または異な
る支持体材料のどちらかを積層することにより作製した
支持体のラミネートから成ってもよい。例えば、その支
持体はより剛性の、より硬質の基材、例えば金属板に積
層し、硬質基材上に保持された研磨材被膜を有する被覆
研磨物品を製造する。
【0095】研磨材被膜を有する支持体表面には、感圧
接着剤または1組のフックおよび環状取付システムから
なってもよく、その研磨物品をバックアップパッド(bac
k-uppad)に固定し得る。この目的に適する感圧接着剤の
例として、ゴムベース接着剤、アクリレートベース接着
剤、およびシリコーンベース接着剤が挙げられる。
【0096】(研磨粒子)各研磨粒子は研磨材業者間で
通常用いられるものから選択されるが、その研磨粒子
(大きさおよび組成)は研磨物品の所望の用途により選
択する。適当な研磨粒子の選択において、特性、例えば
光吸収、硬度、所望のワークピースとの適合性、粒子
径、ワークピースとの反応性、および熱伝導性を考慮す
る。本発明の重要な態様として、暗色すぎて付加重合性
バインダー系には有用でないと以前には考えられていた
研磨粒子を現在、非常に実質的な重量百分率で使用し得
ることがある。このことは、通常、同グレードの白色酸
化アルミニウムより高切削量を可能とする暗色の鉱物、
例えば褐色熱処理酸化アルミニウムとして非常に重要で
ある。(黒色炭化ケイ素を、ほんの少量またはより淡色
の研磨粒子、例えば緑色炭化ケイ素を組合せてである
が、本発明のその組成物に使用し得る。)
【0097】本発明に有用な研磨粒子の組成物は、天然
研磨剤および人造研磨剤の2組に分けることができる。
有用な天然研磨剤の例として:ダイヤモンド、コランダ
ム、エメリー粉、ざくろ石(オフレッド(off-red)
色)、ブーアストン、チャート、石英、砂岩、玉髄、フ
リント、ケイ岩、シリカ、長石、軽石およびタルクが挙
げられる。人造研磨剤の例として:炭化ホウ素、立方晶
窒化ホウ素、溶融アルミナ、セラミック酸化アルミニウ
ム、熱処理酸化アルミニウム(褐色およびダークグレー
の両方)、アルミナジルコニア、ガラス、炭化ケイ素
(少量の黒色は許容され得るが、好ましくは緑色)、酸
化鉄、炭化タンタル、酸化セリウム、酸化錫、炭化チタ
ン、合成ダイヤモンド、二酸化マンガン、酸化ジルコニ
ウム、窒化ケイ素が挙げられる。
【0098】本発明に有用な研磨粒子は、通常および好
ましくは約0.1〜約1500μm、より好ましくは約0.1〜約1
300μmの範囲の粒子径を有する。本発明に用いる研磨粒
子は少なくとも8、より好ましくは9以上のモース(Mo
h's)硬度を有することが好ましいが、特定用途に対して
は8以下のモース硬度を有する粒子を使用し得る。
【0099】「研磨粒子(abrasive particle)」の語に
は、各研磨粒子の凝集物を含む。研磨剤凝集物は、多数
の研磨粒子をバインダーを用いて共に接合し、特定の粒
子構造を有し得るより大きな研磨粒子を形成するとき
に、形成される。研磨剤凝集物を形成する多くの粒子は
1種以上の研磨粒子をから成り、用いるバインダーは凝
集物を支持体と接合するのに用いるバインダーと同様で
あっても異なっていてもよい。
【0100】精密形状の研磨粒子を用いてもよい。これ
ら精密形状の研磨粒子を:研磨粒子およびバインダー先
駆物質から成るスラリーを用いて構造化研磨物品の製造
用として本明細書中に記載したものと同様にして、構造
化用具を被覆すること;バインダー先駆物質を硬化する
こと;および得られた複合材を、用具を約20,000Hzで操
作する超音波ホーン(horn)に暴露することによって、用
具から分離すること;により実質的に作製する。
【0101】(任意のバインダー先駆物質添加剤)研磨
粒子を有するまたは全く含まないのどちらかの本発明の
被覆性組成物、およびそのような硬化バインダーは、要
すれば研磨材業者間で公知の添加剤、例えば繊維、滑
剤、湿潤剤、界面活性剤、顔料、染料、可塑剤、沈殿防
止剤、充填材(研削補助剤を含む)、レオロジー改質
剤、カップリング剤およびそれに類するものを含有して
もよい。これら材料の量は、バインダーの所望の性質お
よび製造する研磨物品の最終用途に依存する。
【0102】A.充填材多くの研削補助剤 研磨物品を製造するのに用いるバインダーには、好まし
くは充填材を含有していてもよい。充填材は通常、樹脂
中に分散した有機または無機粒子であり、バインダー先
駆物質またはその硬化バインダーの特性のどちらか、ま
たは両方を改良し得、また単純にコスト低下するのに用
いられ得る。
【0103】少なくともある範囲以上の充填材の添加す
ることにより、通常、硬化バインダーの硬度および靭性
が増大する。その充填材は、通常および好ましくは、約
1〜約100μm、好ましくは約5〜約50μm、および最も
好ましくは約10〜約25μmの範囲の平均粒径を有する無
機粒子である。更に、その充填材は好ましくは1.5〜4.5
0の範囲の比重を有し、充填材の平均粒子径は好ましく
は、その物品の極限用途に依存して、研磨粒子の平均粒
子径以下である。
【0104】本発明に有用な非反応性充填材の例とし
て、金属カーボネート類、例えば炭酸カルシウム(白
亜、方解石、泥灰岩、トラバーチン、大理石または石灰
石の形の)、炭酸カルシウムマグネシウム、炭酸ナトリ
ウムおよび炭酸マグネシウム;シリカ類、例えば石英、
ガラスビーズ、ガラスバブルおよびガラス繊維;シリケ
ート類、例えばタルク、クレー、長石、マイカ、ケイ酸
カルシウム、メタケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナ
トリウムおよびケイ酸ナトリウム;金属スルフェート
類、例えば硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸ナトリ
ウム、硫酸アルミニウムナトリウムおよび硫酸アルミニ
ウム;石膏;ひる石;木粉;アルミニウム三水和物;カ
ーボンブラック;金属酸化物類、例えば酸化カルシウム
(石灰)、酸化アルミニウム、二酸化チタン、アルミナ
水和物、アルミナ一水和物;および金属スルフィット
類、例えば亜硫酸カルシウムが挙げられる。
【0105】一般に、充填材は、研磨材により活性化さ
れた研削表面に関して、実質的に不活性または非反応性
である材料を含有する無機粒子材料である。しかし時に
は、研磨材業者間で研削補助剤として表される活性(即
ち、反応性)充填材を使用する。これら充填材は使用時
に研削表面と有用に相互作用する。特に、研削補助剤
は、1)研磨粒子および研磨されるワークピースとの間の
摩擦を小さくし、2)研磨粒子の「キャッピング(cappin
g)」を防止、即ち金属粒子が研磨粒子の上部に溶接され
るのを防止し、3)研磨粒子およびワークピース間の界面
温度を低下し、または4)必要研削力を減少する;と当業
者間で考えられている。
【0106】研削補助剤には広く様々な異種材料が包含
され、無機物または有機物をベースとし得る。本発明に
有用な研削補助剤の化合物群の例として、ワックス類、
有機ハロゲン化合物、ハロゲン化物塩類および金属類お
よびそれらの合金が挙げられる。有機ハロゲン化合物は
通常、研磨中に分解し、ハロゲン酸または気体ハロゲン
化合物を発生する。そのような材料の例として、塩素化
ワックス類、例えばテトラクロロナフタレン、ペンタク
ロロナフタレン;およびポリ塩化ビニルが挙げられる。
ハロゲン化物塩類の例として、塩化ナトリウム、カリウ
ム氷晶石、ナトリウム氷晶石、アンモニウム氷晶石、テ
トラフルオロホウ酸カリウム、テトラフルオロホウ酸ナ
トリウム、フッ化ケイ素、塩化カリウム、塩化マグネシ
ウムが挙げられる。金属類の例として、錫、鉛、ビスマ
スネコバルト、アンチモン、カドミウム、鉄およびチタ
ンが挙げられる。他の種々のものから成る研削補助剤と
して、硫黄、有機硫黄化合物、グラファイトおよび金属
硫化物が挙げられる。研削補助剤の前記の例は、研削補
助剤の代表例であり、すべての研削補助剤を包含する意
ではない。
【0107】研削補助剤を好ましくは、バインダー先駆
物質溶液の総重量に対して約0.1〜約10乾燥重量%、よ
り好ましくは約0.5〜約5.0重量%の範囲で、本発明のス
ラリーおよびバインダー先駆物質分散体に使用する。非
反応性充填材を使用するのなら、それらを50乾燥重量%
まで使用し得る。
【0108】前記のものの内、ある種のクレーは、本発
明の被覆性組成物から作製したバインダーの制御浸蝕(e
rosion)を示す傾向があり、それはラッピング被覆研磨
材に特に重要である。
【0109】B.レオロジー改質剤 レオロジー改質剤粒子を本発明の被覆性組成物に加えて
もよく、それは組成物粘度を低下する作用を有し、バイ
ンダー先駆物質内の研磨材および/または充填材粒子の
沈降速度を低下する。平均粒径が好ましくは研磨剤また
は充填材粒子の平均粒径より小さい改質剤粒子の添加に
より、被覆性組成物の粘度を低下し、研磨剤または充填
材粒子を懸濁液中に撹拌せずに長時間保持する。
【0110】好ましくは、改質剤粒子の平均粒径は、約
100mμ以下、より好ましくは約50mμ以下である。各改
質剤粒子の粒径は、被覆性組成物中の研磨材および/ま
たは充填材粒子の平均粒径に依存して、約1〜約100m
μ、より好ましくは約10〜約25mμの範囲であってもよ
い。
【0111】好ましい充填材には、シリカ粒子、例えば
ニュージャージ州リッジフィールド・パーク(Ridgefield
Park)のデグサ(Degussa)社から商品名「OX-50」、「R-
812」および「P-820」で市販のものが挙げられ、第1の
ものは平均粒径40mμ、表面積50m2/gの非晶質シリカで
あり、第2のものは平均粒径7mμおよび表面積260m2/g
のヒュームドシリカであり、第3のものは平均粒径15m
μおよび表面積100m2/gの沈降シリカである。
【0112】非晶質シリカ粒子は、用いるなら、少なく
とも90%純度、より好ましくは少なくとも95%純度およ
び最も好ましくは少なくとも99%純度のものが好まし
い。主要な不純物は主に他の金属酸化物、例えば酸化ア
ルミニウム、酸化鉄および二酸化チタンである。非晶質
シリカ粒子は球状である傾向があり、2.1〜2.5g/cm2
範囲の密度を有する。
【0113】改質剤粒子は、用いるなら、約0.01〜約30
乾燥重量%、より好ましくは約0.05〜約10重量%および
最も好ましくは約0.5〜約5.0重量%の範囲で被覆性組成
物内に存在することが好ましい。
【0114】C.カップリング剤 更に粘度低下の必要があるなら、本発明の被覆性組成物
にはカップリング剤、例えばデワルド(DeWald)の米国特
許第4,871,376号に開示のもの(その記載をここに挿入
する)を含有していてもよい。カップリング剤は、無機
粒子および有機バインダー、または支持体の間のより強
い結合を形成ために機能してもよい。
【0115】本発明の使用に適することが明らかとなっ
たカップリング剤の例として、ユニオン・カーバイド(Un
ion Carbide)社から商品名「A-174」で市販の化合物γ-
メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランがある。
他の適するカップリング剤は、ジルコアルミネート類お
よびチタネート類である。シラン、チタネートおよびジ
ルコアルミネートカップリング剤の使用を示す更なる例
が、米国特許第4,871,376号に開示されている。
【0116】カップリング剤は、含まれるなら、通常お
よび好ましくは被覆性組成物の総乾燥重量の約0.1〜約
3.0乾燥重量%の範囲である。
【0117】D.染料、顔料および着色剤 本発明の被覆性組成物は着色研磨物品、例えば着色ラッ
ピング研磨物品の製造に特に適している。ある染料は
(前述の)増感剤として有用であるが、他のものは主に
美的用途に用いられる。
【0118】本発明の研磨物品の含有物として適するお
よび好ましい化合物は、有機染料素材化合物、無機顔料
およびポリマー着色剤である。本発明に有用な好適な無
機顔料には、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化ク
ロム、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、金属フェライトおよび
これらの混合物が挙げられる。好適な有機染料素材に
は、フタロシアニングリーンおよびフタロシアニンブル
ーのような化合物が挙げられる。
【0119】好適なポリマー着色剤には、すべてサウス
キャロライナ州スパルタンバーグ(Spartanburg)ミリケ
ン・リサーチ(Milliken Research)社から市販の「リアク
チント・ブルー(Reactint Blue)X17AB」、「リアクチン
ト・イエロー(Reactint Yellow)X15」、「リアクチント・
レッド(Reactint Red)X52」および「リアクチント・オレ
ンジ(Reactint Orange)X38」の商品名で公知のものが挙
げられる。これらのポリマー着色剤は、樹脂中の反応性
種および着色剤の間の共有結合の形成による、樹脂中へ
の導入に適している。それらは以下の一般式: R-(ポリマー成分-X)n (式中、Rは有機染料素材基であり;ポリマー成分は、
ポリアルキレンオキシド類およびポリアルキレンオキシ
ドのコポリマーから選択され、そのポリマー成分のアル
キレン種が2個以上の炭素原子を含有し、そのようなポ
リマー成分が約44〜約1500、より好ましくは約80〜約80
0の範囲の平均分子量を有し;nは1〜約6の整数であ
り;およびXは-OH、-NH2および-SHから選択され
る。)の構造を有しする。この一般式の範囲内の化合物
が米国特許第4,284,729号に詳細に開示されている。そ
の米国特許第4,284,729号には熱硬化性樹脂中でのそれ
らの使用が開示されているが、米国特許第4,812,141号
熱可塑性樹脂系でのそれらの使用が開示されている。
【0120】有機染料素材基Rは、最終研磨製品の所望
の色および特性に広範囲に依存して、大きく変化しても
よい。好ましくは、本発明の使用に対して、有機染料素
材基Rをニトロソ;ニトロ;モノアゾ、ジアゾおよびト
リアゾを含むアゾ;ジアリールメタン;トリアリールメ
タン;キサンテン;アクリデン;メチン;チアゾール;
インタミン;アジン;オキサジン;またはアントラキノ
ン染料素材基から選択してもよい。特に有用なものはア
ゾ、アントラキノン大きくトリジアリールメタン染料素
材基である。
【0121】前記一般式の範囲内の着色剤のポリマー成
分は、得られる着色剤を液状にするどんな好適なポリマ
ー成分であってもよい。その染料素材基と結合し得るポ
リマー成分の典型例としてポリマーエポキシ樹脂、例え
ば酸化ポリアルキレンおよびそれらのコポリマーがあ
る。液状着色剤を提供する典型的酸化ポリアルキレン類
およびそれらのコポリマーには、酸化ポリエチレン;酸
化ポリプロピレン;酸化ポリブテン;酸化ポリエチレ
ン、酸化ポリプロピレンおよび酸化ポリブテンのコポリ
マー;およびブロックコポリマーを含む他のコポリマー
があり、大多数のそのポリマー成分は、酸化ポリエチレ
ン、酸化ポリプロピレンおよび/または酸化ポリブテン
である。そのようなポリマー成分は約44〜約1500、より
好ましくは約80〜約800の範囲の平均分子量を有しても
よい。
【0122】商品名「リアクチント(Reactint)」で公知
の前述のポリマー着色剤は、Xとして-OHを有する。
そのような着色剤に対して、「ヒドロキシル価(hydroxy
l number)」を以下の式: ヒドロキシル価 = 56,000/(ヒドロキシル当量) (式中、「ヒドロキシル当量(hydroxyl eq. wt.)」はそ
のポリマー着色剤のヒドロキシル当量である。)により
表され、更にその着色剤を特徴付け得る。本発明の実施
例に使用する着色剤は以下のヒドロキシル価を有する。 ポリマー着色剤 ヒドロキシル価 リアクチント・ブルー(Reactint Blue)X17AB 210 リアクチント・イエロー(Reactint Yellow)X15 84 リアクチント・レッド(Reactint Red)X52 150 リアクチント・オレンジ(Reactint Orange)X38 105
【0123】使用し得る染料、顔料および/または着色
剤の量および種類は、存在する特定の樹脂、光開始剤系
および他の添加剤によって変化し得る。所望の量および
種類は、物品の用途によっても変化し得る。商品名「リ
アクチント(Reactint)」で公知のポリマー着色剤を、40
μm白色酸化アルミニウム(69部);商品名「OX-50」で公
知の非晶質シリカ(1部);商品名「A-174」で公知のカ
ップリング剤(1部);樹脂(50部のTATHEIC、50部のTMP
TAおよび1部の光開始剤の混合物29部);から成るスラ
リーに使用するなら、商品名「リアクチント・ブルー(Re
actint Blue)X17AB」で公知のサウスキャロライナ州ス
パルタンバーグ(Spartanburg)ミリケン・リサーチ(Milli
ken Research)社から市販の青色着色剤の典型的な量
は、約0.3部である。この量は0.1〜約2部の範囲である
と予想される。
【0124】(接合研磨材)接合研磨材を作製するため
に、本発明のスラリーを、本質的に重合性樹脂、研磨粒
子および光開始剤系から成るように調製した。要すれ
ば、カップリング剤をそのスラリーに導入し、そのスラ
リーを金型に注入してもよい。シランカップリング剤を
用いるなら、金型の内面を離型剤で被覆する必要はない
かもしれない。しかし要すれば、離型剤材料、例えば商
品名「IMSシリコン・スプレー・パーティング・エイジェン
ト(Silicon Spray Parting Agent)」no.S-512で公知の
離型剤を金型のその面に被覆し、そのスラリーにさらし
てもよい。更に、その金型は、ポリテトラフルオロエチ
レンまたはそれに類するもののような材料製の非粘着(n
on-stick)表面を有してもよい。
【0125】次いで、そのスラリーを選択した金型に注
入し、実質的に前述の硬化条件にさらす。一旦その樹脂
を硬化すれば、得られる接合研磨材を金型から剥離す
る。
【0126】(不織研磨物品)不織研磨物品は、バイン
ダーによって接触する点で接合した繊維の目の荒い、ロ
フティーな(lofty)、3次元ウェブから成る。そのよう
な構造を有するバインダーは本発明の被覆性組成物を用
いて作製し得、またそのバインダーは多くの好適な技
術、例えばロール被覆、スプレー被覆およびそれに類す
るもののいずれによっても適用し得る。研磨粒子はその
繊維に接着していても、していなくてもよい。不織研磨
物品用の不織ウェブ支持体の製造方法が、米国特許第3,
688,453号(レガシー(Legacy等))に開示されている。
【0127】(ワークピース表面の研磨方法)本発明の
他の態様は、特定の金属表面の研磨方法に関する。この
方法には、金属表面を有するワークピースを本発明の研
磨物品に摩擦接触させることを含む。「研磨すること(a
brading)」の語により、金属ワークピースの一部を研磨
物品により切削または除去することを表す。更に、その
ワークピース表面に付随する表面仕上は、このプロセス
の間に、通常および好ましくは微細にする。ある典型的
な表面仕上測定値はRaであり;Raは一般にミクロイン
チまたはマイクロメーター単位で測定した計算表面仕上
である。その表面仕上をプロフィールメーター、例えば
商品名「パーソメーター(Perthometer)M4P」(オハイオ
州シンシナティー(Cincinnati)のマーゼインプルーフ(M
ahrseinpruef)社から市販)および「サートロニック(Su
rtronic)3」(テイラー・ホブソン(Taylor Hobson)社製
造、およびニューヨーク州イースト・メドー(East Meado
w)のマウスマー・エクイプメント・カンパニー(Mausmer E
quipment Company)から市販)で公知のものによって測
定し得る。
【0128】金属ワークピースはどんな種類の金属、例
えば軟鋼、ステンレス鋼、チタン、合金、新種の合金お
よびそれに類するものであってもよい。そのワークピー
スは平坦であってもよく、それに付随する形状または輪
郭を有してもよい。
【0129】その用途によって、研磨界面での力は約0.
1〜1000kg以上の範囲となり得る。一般にこの範囲は、
1〜500kgの研磨界面での力である。また、その用途に
よって、研磨時に液体が存在してもよい。この液体は水
および/または有機化合物であってもよい。典型的有機
化合物の例として、滑剤、油、乳化有機化合物、切削
液、石鹸およびそれに類するものが挙げられる。これら
液体は他の添加物、脱泡剤、脱脂剤、腐蝕防止剤または
それに類するものを含有してもよい。その研磨物品は使
用時に研磨界面で振動し得る。ある場合には、この振動
により研磨するワークピースの表面がより細かくなる。
【0130】本発明の研磨物品を手で使用しても、機械
と連結して使用してもよい。研磨物品の少なくとも1つ
または両方とワークピースは、研削時にもう一方と関連
して動く。その研磨物品を、ベルト、テープロール、デ
ィスク、シートおよびそれに類するものに加工し得る。
ベルト用途では、研磨シートの2つの自由末端を接合
し、添え継ぎ(splice)を形成する。本出願人の1993年7
月8日公開の特許協力条約係属出願第9312911号に開示の
添え継ぎなしのベルト状物を用いることも本発明の範囲
内である。一般に、エンドレス研磨ベルトは、少なくと
も1つのアイドラーロールおよび定盤(platen)または接
触ホイールを通過する。その定盤または接触ホイールの
硬度を調整して、所望の切削速度およびワークピース表
面仕上を得る。その研磨ベルト速度は、所望の切削速度
および表面仕上に依存する。そのベルト寸法は、幅約5
〜1,000mmおよび長さ約5〜10,000mmの範囲である。研
磨テープは連続長さの研磨物品である。それらの幅は約
1〜1,000mm、一般に5〜250mmの範囲である。通常、そ
の研磨テープは巻出され、テープをワークピースに押し
付ける支持パッドを通過し、そして巻返される。研磨テ
ープを研磨界面を通過して連続的に供給し、割送りし得
る。研磨ディスクは直径が約50〜1,000mmの範囲であ
る。通常、研磨ディスクを、ある取付手段によりバック
アップパッドに固定する。これらの研磨ディスクは、10
0〜20,000rpm、通常1,000〜15,000rpmで回転し得る。
【0131】試験方法 試験方法I:仕上特性試験(Ra) 仕上特性を通常用いる統計学的パラメータ「Ra」によ
り測定し、それは平均表面粗さの測定値である。Ra
刊行物「アン・イントロダクション・ツー・サーフェイス・
テクスチャー・アンド・パート・ゲオメトリー(An Introdu
ction to SurfaceTexture and Part Geometry)」内で、
ミクロインチ単位の引掻深さの算術平均として定義され
ている。理想的な場合は、Ra値が低いと同時に、多量
の材料がワークピースから除去される場合である。
【0132】試験方法II:ロボット(robot)ベルト試験 硬化研磨物品をエンドレスベルト(7.6cm幅×335cm長)に
加工し、その切削性能を一定荷重面グラインダーにより
測定する。秤量したおよそ2.5cm×5cm×18cmの1018軟鋼
ワークピースを試料ホルダーに載せ、そのワークピース
を装置に直角に、(直径約36cmで85ショアーAジュロメ
ーターの硬度を有する)鋸歯状のゴム製接触ホイールに
面する2.5cm×18cmの面に、1つのランドに1つ配置す
る。エンドレスベルトをゴム製接触ホイール上に配置
し、ベルトの研磨表面がワークピースに接触する。その
ワークピースが18cmのパス(path)を毎分20サイクルの速
度で往復運動し、一方で、約2050m/分の速度で回転する
ベルトをワークピースに接触して、4.5kgの荷重を保持
したばね荷重プランジャーによって動かした。研磨時間
1分経過後に初期切削量を測定し、ワークピースを取り
外し、再秤量して除去された素材量を決定する。その手
順を、次のワークピースを試料ホルダーに載せ、次の研
磨サイクルを始める1分の間をおいて繰り返す。その試
験の終点は20回の完全な研磨サイクルであり、その最終
切削量データはその20回目研磨サイクルにより測定した
切削量である。
【0133】試験方法III:スライド・アクション・ディス
ク・テスト(slide action disc test) その研磨物品の17.8cm(7インチ)直径のディスクを面取
りしたアルミニウムバックアップパッドに載せ、1018軟
鋼ワークピースの1.25cm×18cmの面を研磨するのに用い
る。バックアップパッドの面取りしたエッジを覆うディ
スクの部分がワークピースと接触すると同時に、そのデ
ィスクを5,500rpmで回転させ、ディスクに関しては7°
の角度で、約6kgの荷重で保持する。ワークピースは研
磨試験の間にディスクの下を後および前に移動し、時間
内にワークピースの全表面と接触する。ワークピースを
1分の間をおいて取り換え、最後のワークピースの切削
量が1g以下となるまで試験を続ける。その初期切削量
は研磨の最初の1分間に除去した金属の量である。同様
に、最終切削量は最後の1分間に除去した金属の量であ
り、総切削量は試験の間中に除去した金属の量の合計で
ある。切削量データは、他に表示がなければ、4枚のデ
ィスクの平均である。
【0134】試験方法IV:シーファー(Schiefer)切削試
験 研磨物品をディスク(12.7cm直径)に加工し、感圧接着
剤により発泡体バックアップパッドに固定する。研磨デ
ィスク/バックアップパッドのアセンブリーをシーファ
ー(Schiefer)試験機に取付け、その研磨ディスクを用い
てポリ(メチルメタクリレート)製のワークピースを研磨
する。4.5kgの荷重を研磨ディスクに負荷し、すべての
試験を多量の水存在下で行う。その試験の終点は、研磨
ディスクの500回転またはサイクルである。ポリ(メチル
メタクリレート)ワークピースを試験の前後に秤量し、
ディスクにより研磨した材料の量を決定する。
【0135】試験方法V:ディスク切削試験 ディスク切削試験は切削または研磨した押抜き刃の量お
よび砥粒/ウェブ損失量を測定する。不織研磨材の17.8c
m直径のディスクを#917ディスク・パッド・ホルダー(Dis
c Pad Holder)(3M社から市販)に載せ、そのホルダ
ーを試験装置の駆動部の直角に搭載する。標準位置から
3枚の等間隔に配置した押抜き刃(6.5cm間隔)から成
る試験ディスクへ角度7°傾いたワークピースを、押抜
き刃の鈍角エッジがその試験ディスクに突き当たるよう
に取付ける。研磨ディスクを4580rpmの速度で回転し、
5.6kgの一定荷重をワークピースに負荷しながら21秒間
でワークピースを通過する。ワークピースおよび試験デ
ィスクの両方を試験前後に秤量し、ワークピースから研
削または研磨した金属の量、および損失した研磨材/ウ
ェブの量をそれぞれ決定した。
【0136】
【実施例】以下の非限定的実施例により、更に本発明を
説明する。実施例内のすべての部数、百分率、比率およ
びそれに類するものは、他に表示しない限り重量であ
る。以下の実施例で製造および使用する研磨物品を「研
磨物品の一般的製造方法」に従って製造し、その研磨物
品を前述の試験方法に従って試験方法した。
【0137】(構造化研磨物品の一般的製造方法)本発
明の被覆性組成物を使用する実施例の研磨物品を、概し
て本出願人の米国特許第5,152,917号(ピーパー(Piepe
r)等)に従って製造した。各場合に用いたスラリーをピ
ラミッド形パターンを有する生産用具上に被覆し、スラ
リーをその用具に充填した。そのピラミッド形は、底面
が互いに突き合せるように配置されていた。実施例に用
いた生産用具の突起の寸法および形状に関するより正確
な説明を以下に示した。このパターンは概して図2に示
した(ピーパー(Pieper)等の図1)。
【0138】次に、エチレンアクリル酸コポリマープラ
イマーを有するポリエステルフィルムを生産用具にロー
ラーによりプレスし、そのスラリーはポリエステルフィ
ルムの表面を湿潤した。紫外および/または可視光をポ
リエステルフィルムを通過して、そのスラリーへ透過し
た。その光はスラリーに含まれる放射線硬化性樹脂の重
合を開始し、そのスラリーをポリエステルフィルム支持
体にに接着している研磨複合材に加工した。用いた紫外
線源は実施例で明らかにする。最後に、そのポリエステ
ルフィルム/研磨複合材を生産用具から分離し、構造化
研磨材を得た。
【0139】(対照UVスペクトルデータ)本発明の種々
のα-開裂光開始剤、および本発明の範囲外の2種の比
較のα-開裂光開始剤の370〜500nmの一部のUVスペクト
ルデータを、以下の表I〜VIIIに示した。標準スペクト
ル1および2(表IおよびII)および比較のスペクトル
1および2(表IIIおよびIV)により、測定した2つの
濃度で、試験した各光開始剤のモル吸光係数は実質的に
は変化せず、ベール(Beer)の法則に従うことを示した。
本発明の範囲内の光開始剤系の定義には、明らかに標準
スペクトルに示したすべての光開始剤を含み、比較の光
開始剤スペクトル1〜3(表II、IVおよびVII)、2,2-
ジメチル-1,2-ジフェニルエタノン(商品名イルガキュ
ア(Irgacure)651で公知)および2,2-ジメチル-2-ヒドロ
キシ-1-フェニル-エタノン(商品名ダロカー(Darocur)1
173で公知)を除く。
【0140】
【表1】
【0141】
【表2】
【0142】
【表3】
【0143】
【表4】
【0144】
【表5】
【0145】
【表6】
【0146】
【表7】
【0147】
【表8】
【0148】(実施例1〜19)種々の光開始剤系の硬化
速度は、その光開始剤系を、40μmの白色酸化アルミニ
ウム(マサチューセッツ州ウェストフィールド(Westfie
ld)のミクロ・アブレイシブ(Micro Abrasive)社から市
販)および光硬化性樹脂系の70:30混合物から成るスラ
リーに導入することにより決定した。その樹脂系は、AP
C(コネチカット州ダンバリー(Danbury)のユニオン・カ
ーバイド(Union Carbide)社から市販の3-(トリメチルオ
キシシリル)-プロピルメタクリレートの加水分解したも
の、0.5部);および50部のトリメチロールプロパント
リアクリレート(TMPTA、ペンシルバニア州エクストン
(Exton)のサートマー(Sartomer)社から市販)、50部の
トリス-(2-アクリロールエチル)イソシアヌレート(TAT
HEIC、同様にサートマー(Sartomer)社から市販)および
1〜2.5部の表1に示した光開始剤系から成る混合物29.
5部;から成る。そのスラリーを直径4mmの石英管に入
れ、その管を定盤にテープで貼り、定盤を光源から5.1c
m(2インチ)の距離で約3m/分(10フィート/分)〜約54m/
分(175フィート/分)の速度で光源下で移動した。この検
討に用いた光源は、メリーランド州ロックビル(Rockvil
le)のフュージョン・システムズ(FusionSystems)社から
市販の、表示「H」、「V」、「D」および「Q」を有
する25.4cm(10インチ)の600ワット/2.54cmの光電球であ
った。その石英管を照射後割って開け、スラリーをペー
パークリップで調べ硬化したかどうか確認した。表2に
は、研磨スラリーが様々な電球を用いてちょうど硬化し
た時の光源および最大速度を示した。(用いた4mm直径
管は、通常用いるものまたは使用可能な研磨材を製造す
るのに必要なものより非常に大きな厚さを示した。)
【0149】(比較例C1〜C31)多くの従来の光開始
剤系を本発明の光開始剤系の代わりに用いた以外は、実
施例1〜19の方法を繰り返した。表3には試験した様々
な組成物を示し、表4にはこれら組成物の最大硬化速度
を示した。
【0150】
【表9】
【0151】
【表10】
【0152】1ダロカー(Darocur)4265、ニューヨーク州
ホーソーン(Hawthorne)のチバガイギー(CIBA-GEIGY)社
から市販の、2-ヒドロキシ-2-メチルフェニルプロパン-
1-オンおよび2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホ
スフィンオキシドの50:50混合物。2 イルガキュア(Irgacure)907、チバガイギー(CIBA-GEIG
Y)社から市販の、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニ
ル]-2(4-モルホリニル)-プロパン-1-オン。3 イルガキュア(Irgacure)369、チバガイギー(CIBA-GEIG
Y)社から市販の、2-ベンジル-2-N,N-ジメチルアミノ-1-
(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン。4 ニューヨーク州ニューヨーク(New York)のビドルソー
ヤー(Biddle-Sawyer)社から市販のイソプロピルチオキ
サントン。5 ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)のアルド
リッチ・ケミカル(Aldrich Chemical)社から市販のエチ
ル p-(ジメチルアミノ)ベンゾエート。6 コネチカット州ストラットフォード(Stratford)のハン
プフォード・リサーチ(Hamoford Research)社から市販の
ショウノウキノン。7 クリベーロ(Crivello)、J.V.のAnn.Rev.Mater.Sci.198
3頁、第13巻、1973年に開示のように調製したジフェニ
ルヨードニウムPF6塩。8 K.ワカバヤシ(Wakabayashi)、M.ツノダ(Tsunoda)およ
びY.スズキ(Suzki)の、ビュレッチン・オブ・ザ・ケミカル
・ソサイエティー・オブ・ジャパン(Bulletin of theChemi
cal Society of Japan)、第42巻、2924〜2931頁、1969
年に開示のように調製したトリス(トリクロロメチル)ト
リアジン。
【0153】
【表11】
【0154】
【表12】
【0155】
【表13】
【0156】
【表14】
【0157】(表3の脚注) 1.イルガキュア(Irgacure)651、ニューヨーク州ホー
ソーン(Hawthorne)のチバガイギー(CIBA-GEIGY)社から
市販の、2,2-ジメチル-1,2-ジフェニルエタノン。 2.イルガキュア(Irgacure)261、チバガイギー(CIBA-G
EIGY)社から市販の、(η6-メチルエチルベンゼン)
(η5-シクロペンタジエニル)鉄(II)ヘキサフルオロホ
スフェート。 3.イルガキュア(Irgacure)500、チバガイギー(CIBA-G
EIGY)社から市販の1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニ
ルケトンおよびベンゾフェノンの50:50混合物。 4.イルガキュア(Irgacure)784、チバガイギー(CIBA-G
EIGY)社から市販の、ビス(ペンタフルオロフェニル)チ
タノセン。 5.ニューヨーク州ニューヨーク(New York)のビドルソ
ーヤー(Biddle-Sawyer)社から市販のイソプロピルチオ
キサントン。 6.ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)のア
ルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemical)社から市販の
エチル p-(ジメチルアミノ)ベンゾエート。 7.コネチカット州ストラットフォード(Stratford)の
ハンプフォード・リサーチ(Hamoford Research)社から市
販のショウノウキノン。 8.クリベーロ(Crivello)、J.V.のAnn.Rev.Mater.Sci.
1983頁、第13巻、1973年に開示のように調製したジフェ
ニルヨードニウムPF6塩。 9.K.ワカバヤシ(Wakabayashi)、M.ツノダ(Tsunoda)お
よびY.スズキ(Suzki)の、ビュレッチン・オブ・ザ・ケミカ
ル・ソサイエティー・オブ・ジャパン(Bulletin ofthe Che
mical Society of Japan)、第42巻、2924〜2931頁、196
9年に開示のように調製したトリス(トリクロロメチル)
トリアジン。 10.アルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemical)社から
市販の過酸化メチルエチルケトン。 11.イリノイ州シカゴ(Chicago)のアクゾ・ケミカル(Acz
o Chemical)社から市販の、t-アミルペルベンゾエー
ト。 12.ケイパート(Keipert)K.の米国特許第5,059,701号に
開示のように調製した(η6-キシレン)(η5-シクロペ
ンタジエニル)鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート。 13.
【化1】 (ボンハム(Bonham)等の米国特許第3,987,037号に、開
示のように調製した化合物。) 14.
【化2】 同上
【0158】表4 最大硬化速度(m/分)
【0159】
【表15】
【0160】実施例1〜19には、商品名「イルガキュ
ア(Irgacure)369」で公知の光開始剤を使用するもの
(実施例12、14、15、17および19)は、「V」電球を用
いてより高ウェブ速度(38m/分以上)で硬化するのに特に
有効であった。「Q」電球を用いて硬化する際に妥当な
ウェブ速度が可能であるが、イソプロピルキサントン(I
TX)およびイルガキュア(Irgacure)369(実施例13、16、
および18)を含有する光開始剤系は、「V」電球を用い
て、ITXのない開始剤系と比較して低下したウェブ速度
だけで硬化することを示した。
【0161】(実施例20〜26)実施例12の組成物を使用
して、研磨物品を製造した。そのスラリーを、米国特許
第5,152,917号(ピーパー(Pieper)等)の実施例15〜16
に開示のプロセスにより真空コーターダイを用いて、非
対称の四角形ピラミッド状パターンを有するニッケル生
産用具上に押出した。生産用具のパターンは、長さ各0.
89mmで、互いに接触したそのピラミッドの底面のエッジ
を有する。ピラミッドの頂部は、底面の水平面上0.53mm
であり、ピラミッドの各面が異なった寸法を有しピラミ
ッド底面と異なった角度をとる位置とピラミッド底面の
反対の角を2等分する2本の線の交差点と垂直な標準位
置から分かれ出る。その面の底面との角度は7.9°、56.
8°、30.9°および46.9°であった。
【0162】スラリーを生産用具上に押出した後すぐ
に、真空ダイコーターを減圧してまたはせずに、ミシガ
ン州ミッドランド(Midland)のダウ・ケミカル(Dow Chemi
cal)社から市販の商品名「プライマコー(Primacor)333
0」で公知のエチレンアクリル酸コポリマープライマー
を有するある面を被覆したクリアーな127μm(5ミル)厚
のポリ(エチレンテレフタレート)(PET)フィルムを生産
用具と接触してプレスし(スラリーの下塗りした側)、
得られた構造を窒素不活性ウェブプロセッサー(process
or)内で所定の時間2つの300ワット/2.54cm「H」電球
に暴露した。前述のロボット研削試験で測定したような
研磨物品の切削性能を表5に示した。
【0163】(比較例C32〜C33)100部のTATHEIC/TMP
TA当たり商品名「イルガキュア(Irgacure)369」で公知
の光開始剤1部の代わりに、100部のTATHEIC/TMPTA当た
り商品名「イルガキュア(Irgacure)651」で公知の光開
始剤2部を用いる以外は、実施例20〜26の方法に従って
実施例12の組成物を用いて研磨物品を製造した。前述の
ロボット研削試験で測定したような研磨物品の切削性能
を表5に示した。この性能評価の最も顕著な態様は、4.
6m/分で硬化した時の6.5gから7.3m/分で硬化した時の1.
4gに減少した比較研磨物品の切削量に比較して、本発明
の研磨物品ではウェブ硬化速度が約3.1m/分から9.1m/分
に上昇する際に切削量が単調に8.0gから6.3gに減少す
る、初期切削性能にある。
【0164】
【表16】
【0165】(実施例27〜29)研磨物品を、40μmの白
色酸化アルミニウムの一部の代わりに、表6に示すよう
に、非晶質シリカ充填材(ニュージャージ州リッジフィ
ールド・パーク(Ridgefield Park)のデグサ(Degussa)社
から市販の商品名「OX-50」で公知)および/または氷晶
石(マサチューセッツ州ノース・グラフトン(North Graf
ton)のワシントン・ミルズ(Washington Mills)から市販
の研削補助剤)を用いた以外は、実施例20〜26のベース
スラリー組成物から製造した。その研磨物品を、実施例
20〜26で使用した生産用具と同様のパターンを有する平
坦な生産用具にスラリーのビーズを注入すること;一片
の127μm(5ミル)厚さのPETフィルム(実施例20〜26で
用いたのものと同様のフィルム)の下塗面を、その生産
用具に接触するように配置すること、および;そのPET
フィルムの裏面をプラスチックブレードで押して、閉じ
込められた気泡をその積層構造から排除すると同時に、
その用具上にスラリーをひろげることにより製造した。
このように作製したサンドイッチ構造を上側に面したPE
Tフィルムで金属定盤に巻き、そのパターンを、600ワッ
ト/2.54cm「V」電球を有する窒素不活性ウェブプロセ
ッサーに、光源からの距離5.1cm(2インチ)および表6
に示したウェブ速度で通過させた。その物品の研磨性能
を、前述のスライド・アクション・ディスク・テスト(試
験方法III)および表6に示した物品の性能データを用
いて特徴付けた。
【0166】(比較例C34〜C36)研磨物品を、比較例C3
2〜C33のスラリー内で40μmの白色酸化アルミニウムの
一部の代わりに、表6に示すように、商品名「OX-50」
で公知の非晶質シリカ充填材(ニュージャージ州リッジ
フィールド・パーク(Ridgefield Park)のデグサ(Deguss
a)社製、平均粒径40mμ、表面積50m2/g)および/または
氷晶石(研削補助剤)を用いた以外は、実施例27〜29の
方法に従って製造した。その物品の研磨性能を、前述の
スライド・アクション・ディスク・テストを用いて特徴付
けた。その物品の性能データを表6に示した。
【0167】
【表17】
【0168】本発明の組成物から製造した研磨物品によ
って、同様のベース組成物を有するが異なる光開始剤を
用いた研磨物品より高い初期および総切削量を示した。
【0169】(実施例30〜31)TATHEIC/TMPTA/イルガキ
ュア(Irgacure)369(50/50/2)の混合物から成る混合物32
g;100部のテトラヒドロフルフリルアクリレート(サー
トマー(Sartomer)から市販)および2部の2-ベンジル-2
-N,N-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタ
ン-1-オン(「イルガキュア(Irgacure)369」)から成る
混合物40.98g;および144.5gの白色酸化アルミニウム
(イリノイ州エルムハースト(Elmhurst)のフジミ(Fujim
i)から市販の「WA 2000」/23.5gのクレー(コネチカッ
ト州ノーウォーク(Norwalk)のR.T.バンダービルト(Vand
erbilt)から市販の「ピアレス(Peerless)#4」)/2.0g
の3-メチルアクリロイルプロピルトリメトキシシラン
(コネチカット州ダンバリー(Danbury)のユニオン・カー
バイド(Union Carbide)社から市販の商品名「A-174」で
公知)から成る混合物170g;を組合せて、均一な混合物
になるまで混合することにより調製したスラリーを得
た。米国特許第5,152,917号(ピーパー(Pieper)等)に
開示の方法に従って、このスラリーから研磨物品を製造
した。そのニッケル製生産用具は、約128.5μm長のベー
スエッジおよび約143μm長であるその他のエッジの内の
2つを有し、ベースエッジが互いと接触して隣接する非
対称の三角形ピラミッド状パターンを有した。そのピラ
ミッドの高さはやく63.5μmであった。その構造に用い
たPETフィルムは約130μm厚であり、約20μm厚のエチレ
ンアクリル酸コポリマープライマーを下塗りした片面を
有する。接着剤スラリーのビーズを生産用具に導入する
こと、用具側面を下塗りしたPETフィルムを研磨材スラ
リー上に配置すること、およびプラスチックブレードを
用いて用具上の研磨材スラリーを押し、その用具の構造
化パターンを湿潤させスラリーで充填することによって
サンドイッチ構造を製造した。このように作製したサン
ドイッチ構造を上側に面したPETフィルムで金属パター
ンに巻き、そのパターンをウェブプロセッサーに2回通
過させ、研磨物品を製造した。そのウェブプロセッサー
は、600ワット/2.54cm「V」電球(実施例30)または600
ワット/2.54cm「D」電球(実施例31)を有し、そのウェ
ブは光源からの距離5.1cm(2インチ)およびウェブ速度
約60m/分であった。その物品の研磨性能を、前述のシー
ファー切削試験および表7に示したその物品の性能デー
タを用いて特徴付けた。切削データは2枚のディスクの
平均である。
【0170】(実施例32〜33)50部のTATHEIC、50部のT
MPTAおよび2部の光開始剤2-メチル-1-[4-(メチルチ
オ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン(商品名
「イルガキュア(Irgacure)907」で公知)の混合物から
成る混合物32g;100部のテトラヒドロフルフリル(THF)
アクリレートおよび2部の「イルガキュア(Irgacure)90
7」から成る混合物40.98g;および144.5gの白色酸化ア
ルミニウム「WA 2000」、23.5gのクレー(「ピアレス(P
eerless)#4」)、2.0gのγ-メチルアクリロイルプロピ
ルトリメトキシシランカップリング剤(商品名「A-17
4」で公知(ユニオン・カーバイド(Union Carbide)社))
から成る混合物170g;から成る混合物を組合せて、均一
な混合物になるまで混合することによりスラリーを調製
した以外は実施例30〜31の方法を用いた。実施例33を
「D」電球を用いて硬化する一方、実施例32を「V」電
球を用いて硬化した。2枚のディスクの平均であるその
研磨物品の研磨性能データを、表7に示した。
【0171】(実施例34〜35)50部のTATHEIC、50部のT
MPTAおよび、2部の「イルガキュア(Irgacure)907」で
公知の光開始剤および1部のITXから成る3部の光開始
剤系32g;100部のテトラヒドロフルフリル(THF)アクリ
レート、および2部の「イルガキュア(Irgacure)907」
で公知の光開始剤および1部のITXから成る3部の光開
始剤系から成る混合物40.98g;および144.5gの白色酸化
アルミニウム「WA 2000」、23.5gのクレー(「ピアレス
(Peerless)#4」)、2.0gのγ-メチルアクリロイルプロ
ピルトリメトキシシランカップリング剤(商品名「A-17
4」で公知(ユニオン・カーバイド(Union Carbide)社))
から成る混合物170g;から成る混合物を組合せて、均一
な混合物になるまで混合することによりスラリーを調製
した以外は実施例30〜31の方法を用いた。実施例35を
「D」電球を用いて硬化する一方、実施例34を「V」電
球を用いて硬化した。2枚のディスクの平均であるその
研磨物品の研磨性能データを、表7に示した。
【0172】(比較例C37〜C38)50部のTATHEIC、50部
のTMPTAおよび、2部の(商品名「イルガキュア(Irgacu
re)651」で公知の)光開始剤2,2-ジメチル-1,2-ジフェ
ニルエタノン32g;100部のテトラヒドロフルフリル(TH
F)アクリレート、および2部の(「イルガキュア(Irgac
ure)651」で公知の)光開始剤から成る混合物40.98g;
および144.5gの白色酸化アルミニウム「WA 2000」、23.
5gのクレー(「ピアレス(Peerless)#4」)、2.0gの商
品名「A-174」(ユニオン・カーバイド(Union Carbide)
社)で公知のγ-メチルアクリロイルプロピルトリメトキ
シシランカップリング剤から成る混合物170g;から成る
混合物を組合せて、均一な混合物になるまで混合するこ
とによりスラリーを調製した以外は実施例30〜31の方法
を用いた。比較例C38を「D」電球を用いて硬化する一
方、実施例C37を「V」電球を用いて硬化した。2枚の
ディスクの平均であるその研磨物品のシーファー切削試
験を用いた研磨性能データを、表7に示した。
【0173】
【表18】
【0174】表7のデータにより、商品名「イルガキュ
ア(Irgacure)651」で公知の光開始剤(比較例37〜38)
が剥離するのに十分硬化を進行させ得ないのに対して、
本発明の光開始剤系(実施例30〜35)は少なくともフィ
ルム支持体/研磨複合材が生産用具から剥離し得るのに
十分硬化し得ることを示す。光開始剤系および電球種類
の最適な組合せは、「D」電球を用いた、ITXを組合せ
た商品名「イルガキュア(Irgacure)651」で公知の光開
始剤から成る系であった。
【0175】(実施例36〜40)被覆研磨物品を、従来の
光硬化被覆研磨製品の製造に用いたものと同様のメイク
被膜/サイズ被膜法を用いて製造した。その物品を、予
めエチレンアクリル酸コポリマープライマーを下塗りし
たPETフィルム(76μm厚)上にメイク被膜を被覆すること
によって製造した。そのメイク被膜をPETフィルムに適
用した後すぐに、P-120溶融酸化アルミニウム研磨グリ
ット(grit)(約120μmの平均粒径を有する、オーストリ
アのトライバッハ-アルソーテン(Treibach-Althoten)の
トライバッヘル・ケミーシェ・ベルケ(Treibacher Chemis
che Werke)AGから市販の商品名「F#K」で公知)を静電
的にメイク被膜に突出させ、そのウェブを300ワット/2.
54cmのフュージョン・システム(Fusion System)の紫外線
「V」ランプを有する窒素不活性ウェブプロセッサーを
通過させることにより、得られた構造を硬化した。その
ウェブを速度約4.5m/分でプロセッサーを通過させた。
次いで、サイズ被膜をその硬化構造にロールコーターを
用いて被覆し、その構造を2分間ウェブプロセッサーを
速度6.1m/分で通過させ、サイズ被覆を硬化した。被覆
研磨物品を硬化した後、それらを104℃で45分間加熱
し、プライマーを活性化した。すべての場合、サイズ被
膜が50/50重量%の炭酸カルシウム/バインダーの混合物
から成る一方、メイク被膜は35/50重量%の炭酸カルシ
ウム充填材/バインダーの混合物から成る。バインダー
組成を表8に記載し、研磨物品のメイク被膜/研磨グリ
ット充填/サイズ被膜の構造および前述のロボット研削
試験により決定した研磨性能データを表9に示した。加
えて、1分間の初期切削の後、10分後、および研磨20分
後、表面仕上Raを測定した。
【0176】
【表19】
【0177】
【表20】
【0178】(実施例41〜42)50部のネオペンチルグリ
コールジアクリレート、50部のTMPTA、および1部の商
品名「イルガキュア(Irgacure)651」で公知の光開始剤
の混合物から成る、光硬化樹脂系をベースとしたサイズ
被膜を有する3次元不織研磨ディスクを製造した。米国
特許第3,688,453号(レガシー(Legacy)等)に開示のよ
うに製造した無サイズウェブから切断した4枚の17.8cm
(7インチ)直径の無サイズ(unsized)ディスクそれぞれ
の上にベンゾフェノン(0.5g)およびN,N-ジメチルエチ
ルベンゾエート(0.5g)を加えたディスクを、サイズ被膜
樹脂25gのスプレー被覆により製造した。実施例42のデ
ィスクを同様のプロセッサーを約30.5m/分(100フィート
/分)の速度で2回通過して硬化したのに対して、ディス
クを電球から5.1cm離して約7.6m/分(25フィート/分)の
速度で、実施例41のディスクを600ワット/2.54cmのフュ
ージョン・システム(Fusion System)の紫外線「V」ラン
プを有する窒素不活性ウェブプロセッサーを2回通過さ
せることにより硬化した。光硬化の次に、そのディスク
を循環通気オーブン内121℃で20分間硬化し、表10に示
したサイズ被覆付加物を得た。不織研磨物品の研磨性能
を、前述のディスク切削試験を用いて特徴付けた。切削
量データを表10に示した。
【0179】(比較例C39〜C40)比較の3次元不織研磨
ディスクを、商品名「イルガキュア(Irgacure)651」で
公知の光開始剤を商品名「イルガキュア(Irgacure)36
9」で公知の光開始剤の代わりにサイズ被膜樹脂配合に
用いた以外は、実施例41〜42の方法に従って製造した。
比較例C40のディスクをウェブプロセッサーに約30.5m/
分(100フィート/分)の速度で2回通過して硬化したのに
対して、比較例C39のディスクを約7.6m/分(25フィート/
分)の速度でウェブプロセッサーを2回通過させること
により硬化した。
【0180】
【表21】
【0181】実施例41〜42および比較例C39〜C40によ
り、有用な不織研磨材を、約395nm〜約500nmの範囲のUV
/可視スペクトルの少なくともある部分において、約4
〜約400リットル/モルcmの範囲の希釈メタノール溶液中
のモル吸光係数を有する化合物を含有する光開始剤系を
用いて製造し得ることを示した。
【0182】以下の例には、バインダーおよびバインダ
ーの支持体への接着剤の硬化度への異なるランプ、硬化
速度、ポリマー着色剤および光開始剤系の影響を示し
た。
【0183】(比較例C41a)比較例C41aは、40μmの白
色酸化アルミニウム(69部)、商品名「OX-50」で公知の
非晶質シリカ(1部)、商品名「A-174」で公知のカップ
リング剤(1部)、樹脂(50部のTATHEIC、50部のTMPTAお
よび、1部の商品名「ダロカー(Darocur)1173」で公知
の光開始剤から成る混合物29部)のスラリーから成る。
この被覆組成物を、約1.06μm長のベースエッジおよび
約1.18μm長であるその他のエッジの内の2つを有し、
ベースエッジが互いと接触して隣接する、高さ0.53mmの
非対称の三角形ピラミッド状パターンを有したポリプロ
ピレン生産用具を用いた以外は実施例30〜31の方法に従
って被覆した。光源および硬化速度を後述のように変化
させたことを除いて、被膜および硬化条件は概して実施
例30〜31と同様とした。
【0184】比較例C41bを、サウスキャロライナ州スパ
ルタンバーグ(Spartanburg)のミリケン(Milliken)社か
ら市販の商品名「リアクチント・ブルー(Reactint Blue)
X17AB」で公知の青色ポリマー着色剤0.3部をスラリーに
加えた以外は比較例C41aの方法に従って製造した。
【0185】比較例C41cを、ミリケン(Milliken)社から
市販の商品名「リアクチント・イエロー(Reactint Yello
w)X15」で公知の黄色ポリマー着色剤0.3部をスラリーに
加えた以外は比較例C41aの方法に従って製造した。
【0186】比較例C41dを、ミリケン(Milliken)社から
市販の商品名「リアクチント・レッド(Reactint Red)X5
2」で公知の赤色ポリマー着色剤0.3部をスラリーに加え
た以外は比較例C41aの方法に従って製造した。
【0187】比較例C41eを、ミリケン(Milliken)社から
市販の商品名「リアクチント・オレンジ(Reactint Orang
e)X38」で公知のオレンジ色ポリマー着色剤0.3部をスラ
リーに加えた以外は比較例C41aの方法に従って製造し
た。
【0188】(比較例C42a〜C42e)比較例C42aを、樹脂
が50部のTATHEIC、50部のTMPTAおよび、1部の商品名
「イルガキュア(Irgacure)651」で公知の光開始剤から
成る混合物である以外は比較例C42aの方法に従って製造
した。
【0189】比較例C42bを、商品名「リアクチント・ブ
ルー(Reactint Blue)X17AB」で公知の青色ポリマー着色
剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例C42aの方法に
従って製造した。
【0190】比較例C42cを、商品名「リアクチント・イ
エロー(Reactint Yellow)X15」で公知の黄色ポリマー着
色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例C42aの方法
に従って製造した。
【0191】比較例C42dを、商品名「リアクチント・レ
ッド(Reactint Red)X52」で公知の赤色ポリマー着色剤
0.3部をスラリーに加えた以外は比較例C42aの方法に従
って製造した。
【0192】比較例C42eを、商品名「リアクチント・オ
レンジ(Reactint Orange)X38」で公知のオレンジ色ポリ
マー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例C42a
の方法に従って製造した。
【0193】(比較例43a〜43e)比較例43aを、樹脂が5
0部のTATHEIC、50部のTMPTA、1.0部の商品名「イルガキ
ュア(Irgacure)907」で公知の光開始剤、および0.5部の
ITXから成る混合物である以外は比較例C41aの方法に従
って製造した。
【0194】比較例43bを、商品名「リアクチント・ブル
ー(Reactint Blue)X17AB」で公知の青色ポリマー着色剤
0.3部をスラリーに加えた以外は比較例43aの方法に従っ
て製造した。
【0195】比較例43cを、商品名「リアクチント・イエ
ロー(Reactint Yellow)X15」で公知の黄色ポリマー着色
剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例43aの方法に従
って製造した。
【0196】比較例43dを、商品名「リアクチント・レッ
ド(Reactint Red)X52」で公知の赤色ポリマー着色剤0.3
部をスラリーに加えた以外は比較例43aの方法に従って
製造した。
【0197】比較例43eを、商品名「リアクチント・オレ
ンジ(Reactint Orange)X38」で公知のオレンジ色ポリマ
ー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例43aの方
法に従って製造した。
【0198】(比較例44a〜44e)比較例44aを、樹脂が5
0部のTATHEIC、50部のTMPTAおよび、1部の商品名「イ
ルガキュア(Irgacure)4265」で公知の光開始剤から成る
混合物である以外は比較例C41aの方法に従って製造し
た。
【0199】比較例44bを、商品名「リアクチント・ブル
ー(Reactint Blue)X17AB」で公知の青色ポリマー着色剤
0.3部をスラリーに加えた以外は比較例44aの方法に従っ
て製造した。
【0200】比較例44cを、商品名「リアクチント・イエ
ロー(Reactint Yellow)X15」で公知の黄色ポリマー着色
剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例44aの方法に従
って製造した。
【0201】比較例44dを、商品名「リアクチント・レッ
ド(Reactint Red)X52」で公知の赤色ポリマー着色剤0.3
部をスラリーに加えた以外は比較例44aの方法に従って
製造した。
【0202】比較例44eを、商品名「リアクチント・オレ
ンジ(Reactint Orange)X38」で公知のオレンジ色ポリマ
ー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例44aの方
法に従って製造した。
【0203】(比較例45a〜45e)比較例45aを、樹脂が5
0部のTATHEIC、50部のTMPTAおよび、1部の商品名「イ
ルガキュア(Irgacure)369」で公知の光開始剤から成る
混合物である以外は比較例C41aの方法に従って製造し
た。
【0204】比較例45bを、商品名「リアクチント・ブル
ー(Reactint Blue)X17AB」で公知の青色ポリマー着色剤
0.3部をスラリーに加えた以外は比較例45aの方法に従っ
て製造した。
【0205】比較例45cを、商品名「リアクチント・イエ
ロー(Reactint Yellow)X15」で公知の黄色ポリマー着色
剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例45aの方法に従
って製造した。
【0206】比較例45dを、商品名「リアクチント・レッ
ド(Reactint Red)X52」で公知の赤色ポリマー着色剤0.3
部をスラリーに加えた以外は比較例45aの方法に従って
製造した。
【0207】比較例45eを、商品名「リアクチント・オレ
ンジ(Reactint Orange)X38」で公知のオレンジ色ポリマ
ー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例45aの方
法に従って製造した。
【0208】(比較例46a〜46e)比較例46aを、樹脂が5
0部のTATHEIC、50部のTMPTAおよび、1部のジフェニル
2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド(TPO)
から成る混合物である以外は比較例C41aの方法に従って
製造した。
【0209】比較例46bを、商品名「リアクチント・ブル
ー(Reactint Blue)X17AB」で公知の青色ポリマー着色剤
0.3部をスラリーに加えた以外は比較例46aの方法に従っ
て製造した。
【0210】比較例46cを、商品名「リアクチント・イエ
ロー(Reactint Yellow)X15」で公知の黄色ポリマー着色
剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例46aの方法に従
って製造した。
【0211】比較例46dを、商品名「リアクチント・レッ
ド(Reactint Red)X52」で公知の赤色ポリマー着色剤0.3
部をスラリーに加えた以外は比較例46aの方法に従って
製造した。
【0212】比較例46eを、商品名「リアクチント・オレ
ンジ(Reactint Orange)X38」で公知のオレンジ色ポリマ
ー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例46aの方
法に従って製造した。
【0213】バインダー先駆物質を、用具/スラリー/支
持体のラミネートを600ワット/2.54cm「V」電球、600
ワット/2.54cm「H」電球または600ワット/2.54cm
「D」電球および15.2m/分(50フィート/分)、30.5m/分
(100フィート/分)または61m/分(200フィート/分)のウェ
ブ速度を用いた9種の条件を通過させることにより、硬
化した。全スラリーはウェブ速度15.2m/分で初期に硬化
し、その硬化速度での硬化または接着性値を評価し、後
述の等級の最も低い値を示すなら、より高ウェブ速度で
の次の硬化は進行しない。
【0214】光源下を通過させるのに続いて、各試料の
硬化を、手袋をはめた指または舌圧子で硬化スラリーを
こすって、汚れ(smearing)を起こすかどうかにより定性
的に調べた。その硬化性を1〜3の値に割り当て、1の
値はかなりの汚れおよび硬化不良を示し、2の値は多少
の汚れおよび中間の硬化を示し、3の値は汚れがなく良
好な硬化性を示す。同様に、バインダーの支持体への接
着性を、その組成物構造を屈曲したときの、その組成物
の生産用具からの剥離および次の硬化スラリーの支持体
への接着性をを初期に観察することにより、定性的に調
べた。その接着性を1〜5の値に割り当て、1の値は
「硬化スラリー」の大部分が生産用具と接着しているこ
とを示し、2の値は「硬化スラリー」が生産用具と接着
している多少の面積があることを示し、3の値は、屈曲
したときに大きな面積の「硬化スラリー」が支持体から
剥がれることにより明らかなように、生産用具との接着
力を示さないが支持体と若干の接着力を示す、4の値
は、屈曲したときに生産用具との接着力を示さず小さな
面積の「硬化スラリー」が支持体から剥がれ、5の値
は、屈曲したときに生産用具との接着力、および「硬化
スラリー」の損失を示さない。
【0215】必ずしも全試料が全ウェブ速度で硬化する
とは限らないことを反映する分散、一般化された線形モ
デルを用いることによる分散、より高等級(>3)の影
響はであるという仮定で、主要な影響および二方向への
影響のみを見ることによる分散の不完全な分析を収集さ
れたデータから実行し、その結果(6試料の平均)を以
下の表11〜14に示した。
【0216】
【表22】
【0217】
【表23】
【0218】
【表24】
【0219】
【表25】
【0220】表11〜14のデータにより以下の傾向を示し
た。 1) 実施例43〜46の硬化スラリーは比較例C41〜C42の硬
化スラリーより全硬化条件下で良好な接着性を示し; 2) 「V」電球を用いて硬化したスラリーの接着性に関
して、実施例43〜46の硬化スラリーは比較例C41〜C42の
硬化スラリーより非常に高接着性を示した。 3) 実施例43〜46の硬化スラリーは比較例C41〜C42の硬
化スラリーより全硬化条件下で良好な「硬化」を示し; 4) 「V」電球を用いて硬化したスラリーの「硬化」に
関して、実施例43〜46の「硬化」は比較例C41〜C42の
「硬化」より非常に高硬化度であった。
【0221】(実施例47〜50および比較例C47)これら
の例により、被覆能力および異なる鉱物種(色)を有す
る本発明の硬化組成物を説明し、その物品の切削性能を
説明した。
【0222】実施例47〜50にはそれぞれ、研磨剤鉱物
(表15に示した種類)20.7kg、商品名「OX-50」で公知
の非晶質シリカ0.3kg、商品名「A-174」で公知のカップ
リング剤0.3kg、樹脂(70部のTMPTA、30部のTATHEICお
よび、1部の商品名「イルガキュア(Irgacure)369」で
公知の光開始剤)8.7kgから成る被覆性組成物を用い
た。これら被覆組成物を、約1.06mm長のベースエッジお
よび約1.18mm長であるその他のエッジの内の2つを有
し、ベースエッジが互いと接触して隣接する、高さ0.53
mmの非対称の三角形ピラミッド状パターンを有した7ミ
ル(0.179mm)厚のダイヤモンドグレードのポリプロピレ
ン生産用具上に被覆した。その被覆性組成物を高剪断混
合機で混合し、ポリプロピレン用具上にナイフ被覆し
た。実施例47〜50および比較例C47のそれぞれに用いた
支持体は、フェノール/ラテックスのプレサイズ樹脂を
処理したレーヨンクロス支持体であった。その用具マン
ドレル(その製品を硬化し、クロス支持体に加工する位
置を)45℃に加熱した。600ワット/2.54cmの「V」フュ
ージョン・システムズ(Fusion Systems)ランプを、送り
速度50〜75フィート/分でその組成物を硬化するそれぞ
れの場合に用いた。その製品を112℃で14時間ポストキ
ュアし、フェノールプレサイズをより完全に硬化した。
【0223】各実施例に用いた研磨剤の種類および切削
量データを表15に示した。すべて65ショアー(Shore)Aジ
ュロメーターのゴム接触ホイールを有する、1018ステン
レス鋼および4150工具鋼に対してはベルトを1750rpmで
回転させ、304ステンレス鋼に対してはベルトを1500rpm
で回転させた以外は、研磨には試験方法IIを用いた。黄
銅の研磨の場合、5ショアー(Shore)Aジュロメーターで
ゴム接触ホイールと接触して、ベルトを1500rpmで回転
させ、黄銅を10分間だけ研磨し、終点までは研磨しなか
った。実施例47〜50および比較例C47のすべてに対して
初期の読みは(1分後よりはむしろ)30秒後に取得し、
その終点は試験ベルトの切削量が比較例C47のベルトの
初期切削量の1/3になった時、または黄銅以外のすべて
のワークピースではベルトが燃焼するまでとした。
【0224】表15のデータから、着色鉱物類に比較し
て、UV照射により付加重合性樹脂を容易に硬化する白色
酸化アルミニウムに比較して着色鉱物を用いると、異な
る金属支持体で切削性能が改善されることが明らかとな
った。光開始剤「イルガキュア(Irgacure)369」を用い
たときの有用性がその証拠である。
【0225】
【表26】
【0226】(実施例51および比較例C51)この組の実
施例により、本発明の組成物および物品内の研磨粒子と
して緑色炭化ケイ素を使用することの有用性を示した。
【0227】実施例51および比較例C51には、研磨剤鉱
物(表16に示した種類)3900g、商品名「OX-50」で公知
の非晶質シリカ60g、商品名「A-174」で公知のカップリ
ング剤60g、および樹脂(70部のTMPTA、30部のTATHEIC
および、1部の商品名「イルガキュア(Irgacure)369」
で公知の光開始剤)1980gから成る被覆性組成物を用い
た。これら覆組成物を、約1.06mm長のベースエッジおよ
び約1.18mm長であるその他のエッジの内の2つを有し、
ベースエッジが互いと接触して隣接する、高さ0.53mmの
非対称の三角形ピラミッド状パターンを有した14ミル
(0.358mm)厚の可変ピッチのポリプロピレン生産用具上
に被覆した。その被覆性組成物を高剪断混合機で混合
し、ポリプロピレン用具上にナイフ被覆した。実施例51
および比較例C51のそれぞれに用いた支持体は、フェノ
ール/ラテックスのプレサイズ樹脂を処理したレーヨン
クロス支持体であった。その用具マンドレル(その製品
を硬化し、クロス支持体に加工する位置を)45℃に加熱
した。600ワット/2.54cmの「V」フュージョン・システ
ムズ(Fusion Systems)ランプを、送り速度50〜75フィー
ト/分でその組成物を硬化するそれぞれの場合に用い
た。その製品を112℃で14時間ポストキュアし、フェノ
ールプレサイズをより完全に硬化した。
【0228】各例に用いた研磨剤の種類および切削量デ
ータを表16に示した。チタンワークピースを用い、分離
ゴム接触ホイールは65ショアー(Shore)Aジュロメーター
であり、ベルトを825rpmで回転させた以外は、研磨には
試験方法IIを用いた。実施例51および比較例C51の両方
に対して初期の読みは(1分後よりはむしろ)30秒後に
取得し、実施例51の総切削量の終点は、試験ベルトの切
削量が比較例C51のベルトの初期切削量の1/3になった時
とした。
【0229】各例に用いた研磨剤の種類および切削量デ
ータを表16に示した。表16のデータから、熱処理酸化ア
ルミニウム(褐色)を用いた商品名「3M-ite」グレード
311Eで公知の標準メイク/サイズ被覆研磨剤に比較し
て、研磨鉱物として緑色炭化ケイ素を用いると、超硬質
金属(チタン)で切削性能が改善されることが明らかとな
った。
【0230】 表16 実施例 鉱物種 初期切削量(g) 総切削量(g) 51 P-400 GSC1 0.85 8.9 C51 P-400 311E2 0.9 6.6 1.平均粒径22.1μmの緑色炭化ケイ素。 2.独国ベルリン(Berlin)のスターク(Starck)GmbH &
Co.から商品名「F7TX」で市販のP-320グレード(平均粒
径34.3μm)の熱処理酸化アルミニウム(グレー)を用いて
いる、3Mから商品名「トリマイト(Tri-M-ite)」グレ
ード201Eで市販の、レーヨン支持体上に被覆したフェノ
ールのメイク/サイズ構造を用いた標準被覆研磨剤。
【0231】(実施例52)この例により、α-開裂によ
り開裂し、本明細書中に記載のモル吸光係数を有する化
合物を必須成分として成る光開始剤系を用いて達成し得
る「硬化度(depthof cure)」を説明した。
【0232】実施例52には、研磨剤鉱物(平均粒径116
μmを有するP-120グレードの熱処理酸化アルミニウム
(褐色))4080g、商品名「OX-50」で公知の非晶質シリカ
120g、商品名「A-174」で公知のカップリング剤60g、KB
F4研磨補助剤300g、および樹脂(70部のTMPTA、30部のT
ATHEICおよび、1部の商品名「イルガキュア(Irgacure)
369」で公知の光開始剤)1440gから成る被覆性組成物を
用いた。この被覆組成物を、約1.41mm長のベースエッジ
および約1.57mm長であるその他のエッジの内の2つを有
し、ベースエッジが互いと接触して隣接する、高さ0.71
1mmの非対称の三角形ピラミッド状パターンを有した28
ミル(0.711mm)厚のポリプロピレン生産用具上に被覆し
た。その被覆性組成物を高剪断混合機で混合し、ポリプ
ロピレン用具上にナイフ被覆した。用いた支持体は、被
覆性組成物を受容する側にエチレンアクリル酸コポリマ
ーの0.8ミル(0.02mm)被膜を下塗りし、その組成物およ
び得られた研磨複合材のそのフィルムへの接着性を促進
した5ミル(0.127mm)厚のポリエチレンテレフタレート
(PET)フィルムであった。1つの600ワット/2.54cmの
「V」フュージョン・システムズ(Fusion Systems)ラン
プを用いて、ウェブ速度100フィート/分(30.5m/分)でそ
の組成物を硬化した。その硬化複合材を20,000Hz超音波
ホーンに暴露し、各精密形状研磨粒子をPETフィルムか
ら分離することにより、長さ28ミル(0.711mm)の精密形
状の粒子を得た。この例により、暗色研磨粒子を用いる
際に、28ミル(0.711mm)までの厚さを「イルガキュア(Ir
gacure)369」のような開始剤を含む光開始剤系を用いて
硬化し得ることを示した。
【0233】(比較例C53〜C58)これら例により、α-
開裂を介して開裂し、約395nm〜約500nmの範囲のUV/可
視スペクトルの少なくともある部分において、約4〜約
400リットル/モルcmの範囲の希釈メタノール溶液中のモ
ル吸光係数を有する化合物を含有しない光開始剤系の使
用することによって、好ましい(即ち、厚い)研磨製品
を製造し得ないことを示した。
【0234】比較例C53〜C58には、研磨剤鉱物(平均粒
径約40μmを有するP-300グレードの熱処理酸化アルミニ
ウム(グレー))70g、商品名「A-174」で公知のカップリ
ング剤0.5g、および樹脂(50部のTMPTA、50部のTATHEIC
および、2部の商品名「イルガキュア(Irgacure)651」
で公知の光開始剤)29.5gから成る被覆性組成物を用い
た。比較例C53〜C58は、その被覆組成物を2層のPETフ
ィルム間に挟みナイフコーターのギャップを設定し、
7、14または21ミル(それぞれ0.178、0.355および0.533
mm)いずれかの組成物厚さとすることによって、得られ
た。1つの600ワット/2.54cmの「D」フュージョン・シ
ステムズ(Fusion Systems)ランプを用いて、その組成物
を硬化した。表17に詳細を記載したように、2種の異な
るウェブ速度;100および25フィート/分(それぞれ30.5
および7.63m/分)を用いた。
【0235】表17のデータは、商品名「イルガキュア(I
rgacure)651」で公知の光開始剤によって被覆性組成物
を、高ウェブ速度または最も好ましい研磨物品を製造す
る厚さでは硬化し得ないことを示した。硬化したたった
1つの組成物/厚さ/ウェブ速度の組合せは比較例C55の
ものであった。ウェブ速度は45〜60m/分のオーダーであ
ることが好ましい。
【0236】
【表27】
【0237】(実施例59〜60および比較例C59)これら
例は、暗色研磨鉱物を用いて7ミル(0.179mm)〜14ミル
(0.358mm)の厚さの場合の構造化研磨物品の304ステンレ
ス鋼による向上した切削性能を示した。
【0238】実施例59〜60および比較例C59には、研磨
剤鉱物(表18に示した種類)2940g、商品名「OX-50」で
公知の非晶質シリカ60g、商品名「A-174」で公知のカッ
プリング剤60g、KBF4研磨補助剤1200g、および樹脂(70
部のTMPTA、30部のTATHEICおよび、1部の商品名「イル
ガキュア(Irgacure)369」で公知の光開始剤)1740gから
成る被覆性組成物を用いた。これら覆組成物を7ミル
(0.179mm)または14ミル(0.358mm)厚のポリプロピレン生
産用具上に被覆し、前者は約1.06mm長のベースエッジお
よび約1.18mm長であるその他のエッジの内の2つを有
し、ベースエッジが互いと接触して隣接する、高さ0.53
mmの非対称の三角形ピラミッド状パターンを有し、後者
は可変ピッチ構造を有した。その被覆性組成物をそれぞ
れ高剪断混合機で混合し、ポリプロピレン用具上にナイ
フ被覆した。実施例59〜60および比較例C59のそれぞれ
に用いた支持体は、フェノール/ラテックスのプレサイ
ズ樹脂を処理したレーヨンクロス支持体であった。その
用具マンドレル(その製品を硬化し、クロス支持体に加
工する位置)を45℃に加熱した。1つの600ワット/2.54
cmの「V」フュージョン・システムズ(Fusion Systems)
ランプを、送り速度50フィート/分でその組成物を硬化
するそれぞれの場合に用いた。その製品を112℃で14時
間ポストキュアし、フェノールプレサイズをより完全に
硬化した。
【0239】各例に用いた研磨剤の種類および304ステ
ンレス鋼の切削に対する切削量データを表18に示した。
ベルトを1500rpmで回転させ、65ショアー(Shore)Aジュ
ロメーターのゴム接触ホイールを用いた以外は、研磨に
は試験方法IIを用いた。実施例59〜60および比較例C59
のすべてに対して初期の読みは(1分後よりはむしろ)
30秒後に取得し、総切削量の終点は、試験ベルトの切削
量が比較例C59のベルトの初期切削量の1/3になった時と
した。
【0240】 表18 実施例No. 用具形態* 研磨粒子** 初期切削量(g) 総切削量(g) 59 1 P-320(F7TX) 9.7 135.4 C59 − P-320(F7TX) 6.25 68.9 60 2 P-320(F7TX) 10.3 110.9 * 「1」は実施例51に用いたものと同様の用具を表し;
「2」は実施例47〜50に用いたものと同様の用具を表
す。 **表15脚注2を参照。
【0241】切削性能に関して実施例59および60の表18
のデータを比較例C59のデータと比較し得る一方、硬化
度に関して実施例59および60の表18のデータを比較例C5
3〜C58のデータと比較し得る。約4〜約400リットル/モ
ルcmの範囲の希釈メタノール溶液中のモル吸光係数を有
する少なくとも1種の化合物を含む光開始剤系を用いる
ことにより、硬化度を大きく改善し得る事がわかった。
このことは言い換えると、高い形態の研磨剤(実施例60
は7ミルの形態を用いる一方、実施例59は14ミル形態を
使用した。)を使用する際の304ステンレス鋼による良
好な切削性能であり、比較例C59の研磨剤より実施例59
および60両方の方が性能が優れるということである。光
開始剤イルガキュア(Irgacure)369およびそれに類似の
光開始剤を使用することの有用性が、その証拠である。
【0242】(実施例61)この例に用いた被覆性組成物
は、研磨粒子として4080gの熱処理酸化アルミニウムの
代わりに、ざくろ石(赤褐色)4320gとして用い;樹脂を1
440gの代わりに1680g使用し;KBF4研磨補助剤を用いな
い;以外は、実施例52に用いたものと同様とした。被覆
性組成物を硬化し、用具から剥離し、PETフィルムに転
写し、その後、実施例52で説明した超音波ホーンを用い
て、その粒子をそのフィルムから分離した。
【0243】本発明のデータにより、増加したウェブ速
度および暗色鉱物を相対的に厚い構造(28ミルまたは約
0.711mmまで)に使用し得るので、本発明の研磨物品お
よびその製造方法は、有用で、新しく、不明白であるこ
とを示した。従って、以前は白色酸化アルミニウムだけ
を使用していたのに対して、より有効な暗色鉱物を使用
し得る。
【0244】本発明の特許請求の範囲から逸脱すること
なく本発明の様々な修正および変更が当業者間で明らか
であり、本発明は本明細書中に列挙した態様に不当に限
定されるものではないと解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の研磨物品態様の拡大断面図である。
【図2】 本発明の他の研磨物品態様の拡大断面図であ
る。
【図3】 図2の研磨物品を製造するプロセスの経路図
である。
【図4】 図2の研磨物品を製造する他のプロセスの経
路図である。
【符号の説明】
10 … ラッピング研磨物品 11、21、41、51 … 支持体 13、24 … 研磨粒子 14、23 … バインダー 15、26 … 研削補助剤 16 … 研磨材被膜 17 … 支持体表面 20、120 … 研磨物品 22、59 … 研磨複合材 25 … 境界 42、45、52 … 巻出ステーション 43 … 支持ドラム 44、53 … 被覆ステーション 46、55 … 生産用具 47、56、58 … 接触ニップロール 48、57 … エネルギー源 49、121 … マンドレル 54 … スラリー 60 … 再巻付ステーション
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ルイス・デイビッド・ハイバード アメリカ合衆国55144−1000ミネソタ州セ ント・ポール、スリーエム・センター(番 地の表示なし) (72)発明者 キャサリン・マリオン・スプールジェオン アメリカ合衆国55144−1000ミネソタ州セ ント・ポール、スリーエム・センター(番 地の表示なし) (72)発明者 スコット・リチャード・カラー アメリカ合衆国55144−1000ミネソタ州セ ント・ポール、スリーエム・センター(番 地の表示なし)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)研磨剤粒子;(b)フリーラジカル重合
    可能な組成物;および(c)光開始剤系;を組合せること
    を特徴とする、研磨物品の製造に使用するのに適する被
    覆性組成物であって、該光開始剤系がα-開裂を介して
    開裂する化合物を含み、該化合物が約395nm〜約500nmの
    範囲のUV/可視スペクトルの少なくともある部分におい
    て、約4〜約400リットル/モルcmの範囲の希釈メタノー
    ル溶液中のモル吸光係数を有する被覆性組成物。
  2. 【請求項2】 該化合物がα-アミノアセトフェノンで
    ある請求項1記載の被覆性組成物。
  3. 【請求項3】 該光開始剤系が更に、a)非-α-開裂光開
    始剤;b)二分子光開始剤;c)約4リットル/モルcm以下
    の希釈メタノール溶液中のモル吸光係数を有する単分子
    α-開裂光開始剤;およびd)約4004リットル/モルcm以
    上の希釈メタノール溶液中のモル吸光係数を有する単分
    子α-開裂光開始剤;から成る群から選択される光開始
    剤を含有する請求項1記載の被覆性組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の被覆性組成物の硬化生成
    物を含む研磨物品であって、バインダーにより互いに接
    着した多数の研磨剤粒子を含有し、該バインダーが光開
    始したフリーラジカル重合した樹脂を含有し、該フリー
    ラジカル重合した樹脂が光開始剤系により開始され、該
    光開始剤系が、α-開裂を介して開裂し、約395nm〜約50
    0nmの範囲のUV/可視スペクトルの少なくともある部分に
    おいて約4〜約400リットル/モルcmの範囲の希釈メタノ
    ール溶液中のモル吸光係数を有する化合物を含有する研
    磨物品。
  5. 【請求項5】 (a)表面および裏面を有する支持体;(b)
    支持体の表面上に存在するメイク(make)被膜;(c)該メ
    イク被膜によって支持体に接着した多数の研磨剤粒子;
    および該研磨剤粒子上に存在するサイズ(size)被膜;か
    ら成る被覆研磨材であって、該メイク被膜またはサイズ
    被膜の少なくとも一方が、請求項1記載のフリーラジカ
    ル硬化性組成物および光開始剤系の組合せにより特徴づ
    けられる被覆性組成物の硬化生成物である被覆研磨材。
JP6286527A 1993-11-22 1994-11-21 被覆性組成物、それらから製造した研磨物品、およびその製造および使用方法 Pending JPH07247477A (ja)

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