JPH0724632A - 丸鋸台金の製造方法 - Google Patents
丸鋸台金の製造方法Info
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- JPH0724632A JPH0724632A JP19307293A JP19307293A JPH0724632A JP H0724632 A JPH0724632 A JP H0724632A JP 19307293 A JP19307293 A JP 19307293A JP 19307293 A JP19307293 A JP 19307293A JP H0724632 A JPH0724632 A JP H0724632A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 レーザー切断による歯切りによって歯底に耐
疲労破壊特性を向上するに必要な強度もしくは硬度を付
与する 【構成】 C:0.20〜1.20%、Si:0.10
〜0.70%、Mn:0.50〜2.00%、Cr:
1.00%以下、Ni:2.00%以下、Mo:1.0
0%以下、V:0.20%以下、Nb:0.50%以
下、Ti:0.010%以下を含有し、残部がFeおよ
び不可避的不純物からなる鋼板を用い、丸鋸台金2を製
造する方法において、鋼板を粗切断したのち熱処理して
高強度化し、ついで外周をレーザー切断して歯1切りを
行う。 【効果】 高周波焼入れ等のコストのかかる工程を経る
ことなく、歯底の耐疲労破壊特性を飛躍的に向上でき
る。
疲労破壊特性を向上するに必要な強度もしくは硬度を付
与する 【構成】 C:0.20〜1.20%、Si:0.10
〜0.70%、Mn:0.50〜2.00%、Cr:
1.00%以下、Ni:2.00%以下、Mo:1.0
0%以下、V:0.20%以下、Nb:0.50%以
下、Ti:0.010%以下を含有し、残部がFeおよ
び不可避的不純物からなる鋼板を用い、丸鋸台金2を製
造する方法において、鋼板を粗切断したのち熱処理して
高強度化し、ついで外周をレーザー切断して歯1切りを
行う。 【効果】 高周波焼入れ等のコストのかかる工程を経る
ことなく、歯底の耐疲労破壊特性を飛躍的に向上でき
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、チップソー等の丸鋸
台金の重要な要素である歯底の耐疲労強度を上昇できる
丸鋸台金の製造方法に関する。
台金の重要な要素である歯底の耐疲労強度を上昇できる
丸鋸台金の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】丸鋸としては、木材切断用と金属切断用
の二種類があり、素材としては、従来刃部の耐摩耗性向
上を目的としてJIS G4401 SK5を主体に
JISG4404 SKS5,SKS51等の炭素工具
鋼、合金工具鋼等が使用されていたが、工具全体をこれ
ら工具鋼で製造すると耐摩耗性が充分でないことが多か
った。このため、最近では、寿命の向上を目的として炭
素鋼、低合金鋼等を台金部に用い、この台金に超硬合金
等の硬質焼結体からなる刃先を電子ビーム溶接あるいは
ろう付により接合し、研削処理を施したチップソーが一
般的である。
の二種類があり、素材としては、従来刃部の耐摩耗性向
上を目的としてJIS G4401 SK5を主体に
JISG4404 SKS5,SKS51等の炭素工具
鋼、合金工具鋼等が使用されていたが、工具全体をこれ
ら工具鋼で製造すると耐摩耗性が充分でないことが多か
った。このため、最近では、寿命の向上を目的として炭
素鋼、低合金鋼等を台金部に用い、この台金に超硬合金
等の硬質焼結体からなる刃先を電子ビーム溶接あるいは
ろう付により接合し、研削処理を施したチップソーが一
般的である。
【0003】チップソー等の丸鋸台金は、熱間圧延また
は冷間圧延された鋼板を条取りしたのち、図5に示すと
おり、プレス打ち抜き、機械切削、レーザー切断等によ
って歯11切りして必要な寸法に成形し、次いで連続熱
処理炉において750〜900℃で1〜30分間加熱
し、油槽もしくは水槽で冷却を行って焼入れを施し、所
定の硬度を得るために100〜500℃で30分ないし
2時間の焼戻しを行い、あるいは焼入れ焼戻しの簡略化
のために、750〜900℃で1〜30分過熱したの
ち、100〜500℃に保持された塩浴炉で30〜12
0分オーステンパーを行っている。この状態での丸鋸台
金12の歯底13の硬度は、丸鋸台金12全体と同一で
あり、疲労強度向上に対して有効な対策は施されていな
い。しかるのち超硬チップ14を歯11先にろう付け
し、研削したのち出荷されている。このため、歯底13
に耐疲労破壊に起因するクラック15が発生する。上記
のとおり従来の丸鋸台金の製造工程では、ベイナイト鋼
板等のすでに熱処理の施された高強度鋼板を使用するこ
とは不可能であり、丸鋸台金にとって最も重要な歯底の
耐疲労破壊特性を向上させることができない。
は冷間圧延された鋼板を条取りしたのち、図5に示すと
おり、プレス打ち抜き、機械切削、レーザー切断等によ
って歯11切りして必要な寸法に成形し、次いで連続熱
処理炉において750〜900℃で1〜30分間加熱
し、油槽もしくは水槽で冷却を行って焼入れを施し、所
定の硬度を得るために100〜500℃で30分ないし
2時間の焼戻しを行い、あるいは焼入れ焼戻しの簡略化
のために、750〜900℃で1〜30分過熱したの
ち、100〜500℃に保持された塩浴炉で30〜12
0分オーステンパーを行っている。この状態での丸鋸台
金12の歯底13の硬度は、丸鋸台金12全体と同一で
あり、疲労強度向上に対して有効な対策は施されていな
い。しかるのち超硬チップ14を歯11先にろう付け
し、研削したのち出荷されている。このため、歯底13
に耐疲労破壊に起因するクラック15が発生する。上記
のとおり従来の丸鋸台金の製造工程では、ベイナイト鋼
板等のすでに熱処理の施された高強度鋼板を使用するこ
とは不可能であり、丸鋸台金にとって最も重要な歯底の
耐疲労破壊特性を向上させることができない。
【0004】近年、レーザー切断技術の発達は、焼入
れ、焼戻しまたはオーステンパー等の熱処理済みの高強
度材でも歯切り等の精密切断が可能となったが、レーザ
ー切断後の表側と裏側の熱影響部の深度の差や、レーザ
ー切断面の表面粗度の低下が耐疲労破壊性を低下させる
ことから、実用化されるまでに至っていない。C:0.
3〜0.6%、Cr:0.8〜2.94%、Mo:0.
3〜2.0%、Ni:0.1〜1.0%、V:0.1〜
0.8%、Si:1.5%以下、Mn:1.5%以下を
含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる高速度鋼
工具用シャンク材または胴材、またはC:0.3〜0.
6%、Cr:0.8〜2.94%、Mo:0.3〜2.
0%、Ni:0.1〜1.0%、V:0.1〜0.8
%、Si:1.5%以下、Mn:1.5%以下、Nb:
0.02〜0.30%を含み、残部Feおよび不可避的
不純物からなる高速度鋼工具用シャンク材または胴材
(特公昭61−12022号公報)、C:0.5〜1.
0%、V:0.1〜0.5%、残部がFeと不可避的不
純物からなる鋼材より構成され、焼入れ温度:810〜
830℃、焼戻し温度540〜560℃の熱処理条件を
満足する金属切断用丸鋸(特開昭62−161937号
公報)等が提案されている。
れ、焼戻しまたはオーステンパー等の熱処理済みの高強
度材でも歯切り等の精密切断が可能となったが、レーザ
ー切断後の表側と裏側の熱影響部の深度の差や、レーザ
ー切断面の表面粗度の低下が耐疲労破壊性を低下させる
ことから、実用化されるまでに至っていない。C:0.
3〜0.6%、Cr:0.8〜2.94%、Mo:0.
3〜2.0%、Ni:0.1〜1.0%、V:0.1〜
0.8%、Si:1.5%以下、Mn:1.5%以下を
含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる高速度鋼
工具用シャンク材または胴材、またはC:0.3〜0.
6%、Cr:0.8〜2.94%、Mo:0.3〜2.
0%、Ni:0.1〜1.0%、V:0.1〜0.8
%、Si:1.5%以下、Mn:1.5%以下、Nb:
0.02〜0.30%を含み、残部Feおよび不可避的
不純物からなる高速度鋼工具用シャンク材または胴材
(特公昭61−12022号公報)、C:0.5〜1.
0%、V:0.1〜0.5%、残部がFeと不可避的不
純物からなる鋼材より構成され、焼入れ温度:810〜
830℃、焼戻し温度540〜560℃の熱処理条件を
満足する金属切断用丸鋸(特開昭62−161937号
公報)等が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記特公昭61−12
022号公報ならびに特開昭62−161937号公報
に開示の技術は、いずれも台金用鋼材の組成を特徴とす
るもので、台金の歯底の硬度を他の部分の強度より向上
させる手段については、なんら述べられていない。
022号公報ならびに特開昭62−161937号公報
に開示の技術は、いずれも台金用鋼材の組成を特徴とす
るもので、台金の歯底の硬度を他の部分の強度より向上
させる手段については、なんら述べられていない。
【0006】この発明の目的は、丸鋸台金の最も重要な
歯底の耐疲労破壊特性を上げるため、高周波焼入れ等の
コストのかかる工程を加えることなく、レーザー切断に
よる歯切りによって歯底に耐疲労破壊特性を向上するに
必要な強度もしくは硬度を向上できる丸鋸台金の製造方
法を提供することにある。
歯底の耐疲労破壊特性を上げるため、高周波焼入れ等の
コストのかかる工程を加えることなく、レーザー切断に
よる歯切りによって歯底に耐疲労破壊特性を向上するに
必要な強度もしくは硬度を向上できる丸鋸台金の製造方
法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく種々試験検討を重ねた。その結果、丸鋸台
金の素材を条取りしたのち、焼入れ焼戻しによる硬さ調
整と平坦矯正のされた鋼板を、レーザー切断により歯切
りを行うことによって、高周波焼入れ等のコストのかか
る工程を加えることなく、歯底に耐疲労破壊特性を向上
するに必要な強度もしくは硬度を向上できることを究明
し、この発明に到達した。
を達成すべく種々試験検討を重ねた。その結果、丸鋸台
金の素材を条取りしたのち、焼入れ焼戻しによる硬さ調
整と平坦矯正のされた鋼板を、レーザー切断により歯切
りを行うことによって、高周波焼入れ等のコストのかか
る工程を加えることなく、歯底に耐疲労破壊特性を向上
するに必要な強度もしくは硬度を向上できることを究明
し、この発明に到達した。
【0008】すなわちこの発明は、C:0.20〜1.
20%、Si:0.10〜0.70%、Mn:0.50
〜2.00%、Cr:1.00%以下、Ni:2.00
%以下、Mo:1.00%以下、V:0.20%以下、
Nb:0.50%以下、Ti:0.010%以下を含有
し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼板を用
い、丸鋸台金を製造する方法において、鋼板を粗切断し
たのち熱処理して高強度化し、ついで外周をレーザー切
断して歯切りを行うことを特徴とする丸鋸台金の製造方
法である。
20%、Si:0.10〜0.70%、Mn:0.50
〜2.00%、Cr:1.00%以下、Ni:2.00
%以下、Mo:1.00%以下、V:0.20%以下、
Nb:0.50%以下、Ti:0.010%以下を含有
し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼板を用
い、丸鋸台金を製造する方法において、鋼板を粗切断し
たのち熱処理して高強度化し、ついで外周をレーザー切
断して歯切りを行うことを特徴とする丸鋸台金の製造方
法である。
【0009】
【作用】この発明においては、C:0.20〜1.20
%、Si:0.10〜0.70%、Mn:0.50〜
2.00%、Cr:1.00%以下、Ni:2.00%
以下、Mo:1.00%以下、V:0.20%以下、N
b:0.50%以下、Ti:0.010%以下を含有
し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼板を用
い、丸鋸台金を製造する方法において、鋼板を粗切断し
たのち熱処理して高強度化し、ついで外周をレーザー切
断して歯切りを行うから、レーザー切断による歯切り時
の熱によって、歯表面から100μm程度の深さで表面
硬度が上昇し、高周波焼入れ等のコストのかかる工程を
加えることなく、耐疲労破壊特性が向上するのである。
%、Si:0.10〜0.70%、Mn:0.50〜
2.00%、Cr:1.00%以下、Ni:2.00%
以下、Mo:1.00%以下、V:0.20%以下、N
b:0.50%以下、Ti:0.010%以下を含有
し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼板を用
い、丸鋸台金を製造する方法において、鋼板を粗切断し
たのち熱処理して高強度化し、ついで外周をレーザー切
断して歯切りを行うから、レーザー切断による歯切り時
の熱によって、歯表面から100μm程度の深さで表面
硬度が上昇し、高周波焼入れ等のコストのかかる工程を
加えることなく、耐疲労破壊特性が向上するのである。
【0010】この発明において、レーザー切断による歯
切りの工程を、焼入れ焼戻し熱処理して高強度化した後
としたのは、レーザー切断の工程が熱間圧延もしくは冷
間圧延された鋼板を条取りした後のプレス打抜き、もし
くは機械切削による歯切りの工程であれば、単なる成形
方法の代替でしかなく、必ずしもコスト的にも安価とは
いい難い。また、レーザー切断による歯切り後、所定の
強度、硬度を得るために熱処理を行うと、歯底は丸鋸台
金全体と同一の硬度になり、歯底の耐疲労破壊特性を向
上させることは不可能となるから、レーザー切断による
歯切りの工程を丸鋸台金の所定の強度、硬度を得るため
の熱処理の後とした。
切りの工程を、焼入れ焼戻し熱処理して高強度化した後
としたのは、レーザー切断の工程が熱間圧延もしくは冷
間圧延された鋼板を条取りした後のプレス打抜き、もし
くは機械切削による歯切りの工程であれば、単なる成形
方法の代替でしかなく、必ずしもコスト的にも安価とは
いい難い。また、レーザー切断による歯切り後、所定の
強度、硬度を得るために熱処理を行うと、歯底は丸鋸台
金全体と同一の硬度になり、歯底の耐疲労破壊特性を向
上させることは不可能となるから、レーザー切断による
歯切りの工程を丸鋸台金の所定の強度、硬度を得るため
の熱処理の後とした。
【0011】これを模式図で示すと、図1および図2に
示すとおりである。図1はこの発明による丸鋸の平面
図、図2は図1において矢印で示した歯底部分を断面か
ら見た場合の硬度分布を示すもので、(a)図は板厚方
向の高硬度の部分の断面図、(b)図は板厚と直行する
方向の歯底からの距離と硬さとの関係を示すグラフであ
る。図1において、1は丸鋸台金2の周囲にレーザー切
断により形成した歯、3は歯1の先端にろう付けした超
硬チップである。図2に示すとおり、板厚方向および板
厚と直行する方向に厚さ100μm程度の高硬度の部分
が生じている。丸鋸での切断の際には、この高硬度化し
た部分を表面として、繰り返しの応力が掛かる。耐疲労
破壊特性を高めるには、表面硬度を上げればよいことは
周知の事実であり、このことがこの発明による方法によ
って丸鋸台金を製造すれば、耐疲労破壊特性が向上する
理由である。
示すとおりである。図1はこの発明による丸鋸の平面
図、図2は図1において矢印で示した歯底部分を断面か
ら見た場合の硬度分布を示すもので、(a)図は板厚方
向の高硬度の部分の断面図、(b)図は板厚と直行する
方向の歯底からの距離と硬さとの関係を示すグラフであ
る。図1において、1は丸鋸台金2の周囲にレーザー切
断により形成した歯、3は歯1の先端にろう付けした超
硬チップである。図2に示すとおり、板厚方向および板
厚と直行する方向に厚さ100μm程度の高硬度の部分
が生じている。丸鋸での切断の際には、この高硬度化し
た部分を表面として、繰り返しの応力が掛かる。耐疲労
破壊特性を高めるには、表面硬度を上げればよいことは
周知の事実であり、このことがこの発明による方法によ
って丸鋸台金を製造すれば、耐疲労破壊特性が向上する
理由である。
【0012】以下にこの発明の台金用鋼板の成分を限定
した理由を説明する。Cは焼入れ、焼戻し後の台金の強
度に影響を与える元素で、焼戻し後の強度を増大させる
には一定量以上が必要となる。この発明における台金で
は、焼入れ、焼戻し後の硬度を使用に耐える剛性を維持
する必要から、最低0.20%以上必要である。一方、
上限は、焼入れ、焼戻し後の靭性を向上させることおよ
び熱処理後の成形性を考慮して1.20%とした。Si
は脱酸剤として製鋼段階において鋼中に添加されるほ
か、焼入れ、焼戻し段階での焼戻し軟化抵抗を増すにも
有効な元素であるが、0.10%以下ではその効果が十
分でなく、また、0.70%を超えて添加するとフェラ
イト中に固溶しその硬度を増大せしめて成形性を劣化さ
せるので、0.10〜0.70%とした。Mnは焼入
れ、焼戻し段階での焼入れ性と焼戻し軟化抵抗を増大さ
せるのに有効な元素で、さらに鋼中のSをMnSとして
固定し、焼入れ、焼戻し後の靭性を向上させるが、焼戻
し軟化抵抗を大きくするためには0.50%以上が必要
である。しかし、2.00%を超えると焼入れ、焼戻し
後の靭性を劣化させるので、0.50〜2.00%とし
た。
した理由を説明する。Cは焼入れ、焼戻し後の台金の強
度に影響を与える元素で、焼戻し後の強度を増大させる
には一定量以上が必要となる。この発明における台金で
は、焼入れ、焼戻し後の硬度を使用に耐える剛性を維持
する必要から、最低0.20%以上必要である。一方、
上限は、焼入れ、焼戻し後の靭性を向上させることおよ
び熱処理後の成形性を考慮して1.20%とした。Si
は脱酸剤として製鋼段階において鋼中に添加されるほ
か、焼入れ、焼戻し段階での焼戻し軟化抵抗を増すにも
有効な元素であるが、0.10%以下ではその効果が十
分でなく、また、0.70%を超えて添加するとフェラ
イト中に固溶しその硬度を増大せしめて成形性を劣化さ
せるので、0.10〜0.70%とした。Mnは焼入
れ、焼戻し段階での焼入れ性と焼戻し軟化抵抗を増大さ
せるのに有効な元素で、さらに鋼中のSをMnSとして
固定し、焼入れ、焼戻し後の靭性を向上させるが、焼戻
し軟化抵抗を大きくするためには0.50%以上が必要
である。しかし、2.00%を超えると焼入れ、焼戻し
後の靭性を劣化させるので、0.50〜2.00%とし
た。
【0013】上記の各成分に加え、Cr、Ni、Mo、
V、NbおよびTiは、必要に応じて添加することがで
きる。CrはMnと同様に焼入れ、焼戻し段階での焼入
れ性と焼戻し軟化抵抗を増大させるのに有効な元素であ
り、Cr含有鋼は焼戻し温度を高めに設定できるから、
靭性を向上させる効果を有するが、0.10%未満では
十分な効果が得られず、1.00%を超えるとこの効果
が飽和し、コストの上昇を招くだけでなく、セメンタイ
ト中に固溶して焼入れ処理での加熱時におけるセメンタ
イトの分解を阻害する場合があるので、0.10〜1.
00%が好ましい。Niは焼入れ、焼戻し段階でのマト
リックス強度を増大させる効果があり、また、焼入れの
際の加熱時にオーステナイト粒の成長を抑制し、耐疲労
特性を向上させる元素であるが、0.50%未満ではそ
の効果が十分でなく、2.00%を超えると効果が飽和
し、コストの上昇を招くだけでなく、固溶軟化により強
度が低下する場合があるので、0.50〜2.00%が
好ましい。MoはCrと同様に焼入れ、焼戻し段階での
焼戻し軟化抵抗を著しく増大させるのに有効な元素であ
り、焼戻し温度を高めに設定でき、靭性を向上させるこ
とができるが、0.10%未満では十分な効果が得られ
ず、1.00%を超えるとこの効果が飽和し、コストの
上昇を招くので、0.10〜1.00%が好ましい。V
は微細な炭化物を析出させるのに有効な元素であるが、
0.02%未満ではその効果が十分でなく、また、0.
20%を超えると効果が飽和し、コストの上昇を招くの
で、0.02〜0.20%が好ましい。NbはNと結合
して窒化物を形成する元素で、オーステナイト粒の成長
を抑制し、耐疲労特性を向上させるが、0.01%未満
ではその効果が十分でなく、また、0.50%を超える
と効果が飽和し、コストの上昇を招くので、0.01〜
0.50%が好ましい。TiはTiNb(CN)を形成
させる元素であるが、0.005%未満ではその効果が
十分でなく、0.10%を超えるとTiN等の析出物を
形成し、靭性劣化を招くほか、コストの上昇を招くの
で、0.005〜0.10%が好ましい。
V、NbおよびTiは、必要に応じて添加することがで
きる。CrはMnと同様に焼入れ、焼戻し段階での焼入
れ性と焼戻し軟化抵抗を増大させるのに有効な元素であ
り、Cr含有鋼は焼戻し温度を高めに設定できるから、
靭性を向上させる効果を有するが、0.10%未満では
十分な効果が得られず、1.00%を超えるとこの効果
が飽和し、コストの上昇を招くだけでなく、セメンタイ
ト中に固溶して焼入れ処理での加熱時におけるセメンタ
イトの分解を阻害する場合があるので、0.10〜1.
00%が好ましい。Niは焼入れ、焼戻し段階でのマト
リックス強度を増大させる効果があり、また、焼入れの
際の加熱時にオーステナイト粒の成長を抑制し、耐疲労
特性を向上させる元素であるが、0.50%未満ではそ
の効果が十分でなく、2.00%を超えると効果が飽和
し、コストの上昇を招くだけでなく、固溶軟化により強
度が低下する場合があるので、0.50〜2.00%が
好ましい。MoはCrと同様に焼入れ、焼戻し段階での
焼戻し軟化抵抗を著しく増大させるのに有効な元素であ
り、焼戻し温度を高めに設定でき、靭性を向上させるこ
とができるが、0.10%未満では十分な効果が得られ
ず、1.00%を超えるとこの効果が飽和し、コストの
上昇を招くので、0.10〜1.00%が好ましい。V
は微細な炭化物を析出させるのに有効な元素であるが、
0.02%未満ではその効果が十分でなく、また、0.
20%を超えると効果が飽和し、コストの上昇を招くの
で、0.02〜0.20%が好ましい。NbはNと結合
して窒化物を形成する元素で、オーステナイト粒の成長
を抑制し、耐疲労特性を向上させるが、0.01%未満
ではその効果が十分でなく、また、0.50%を超える
と効果が飽和し、コストの上昇を招くので、0.01〜
0.50%が好ましい。TiはTiNb(CN)を形成
させる元素であるが、0.005%未満ではその効果が
十分でなく、0.10%を超えるとTiN等の析出物を
形成し、靭性劣化を招くほか、コストの上昇を招くの
で、0.005〜0.10%が好ましい。
【0014】
【実施例】 実施例1 表1に示す化学成分の板厚2.2mmの丸鋸台金の各素
材を用い、図3に示す従来の製造方法と図4に示す本発
明方法に基づいてチップ付丸鋸を製造した。得られた各
チップ付丸鋸を用い、板厚15mmのベニヤ板をトータ
ル切断面積が27m2となるまで実際に切断したのち、
各チップ付丸鋸の歯底に生じたクラックの数を比較調査
した。その結果を表2に示す。
材を用い、図3に示す従来の製造方法と図4に示す本発
明方法に基づいてチップ付丸鋸を製造した。得られた各
チップ付丸鋸を用い、板厚15mmのベニヤ板をトータ
ル切断面積が27m2となるまで実際に切断したのち、
各チップ付丸鋸の歯底に生じたクラックの数を比較調査
した。その結果を表2に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】表2に示すとおり、レーザー切断による歯
切り後焼入れ焼戻しした従来法に比較し、焼入れ焼戻し
後レーザー切断による歯切りを行った本発明法の場合
は、切断面積27m2で歯底クラック発生数が2/3な
いし1/7に減少しており、その効果は明白である。な
お、破面は共に疲労破壊の特徴である貝殻模様を呈して
いた。
切り後焼入れ焼戻しした従来法に比較し、焼入れ焼戻し
後レーザー切断による歯切りを行った本発明法の場合
は、切断面積27m2で歯底クラック発生数が2/3な
いし1/7に減少しており、その効果は明白である。な
お、破面は共に疲労破壊の特徴である貝殻模様を呈して
いた。
【0018】
【発明の効果】以上述べたとおり、この発明方法によれ
ば、高周波焼入れ等のコストのかかる工程を経ることな
く、丸鋸台金として基本的に不可欠な歯底の耐疲労破壊
特性を飛躍的に向上できる。
ば、高周波焼入れ等のコストのかかる工程を経ることな
く、丸鋸台金として基本的に不可欠な歯底の耐疲労破壊
特性を飛躍的に向上できる。
【図1】この発明方法による丸鋸の平面図である。
【図2】図1の矢印で示した歯底部分を断面から見た場
合の硬度分布を示すもので、(a)図は板厚方向の高硬
度の部分の断面図、(b)図は板厚と直行する方向の歯
底からの距離と硬さとの関係を示すグラフである。
合の硬度分布を示すもので、(a)図は板厚方向の高硬
度の部分の断面図、(b)図は板厚と直行する方向の歯
底からの距離と硬さとの関係を示すグラフである。
【図3】実施例における従来法の丸鋸台金と丸鋸の製造
工程の系統図である。
工程の系統図である。
【図4】実施例における本発明法の丸鋸台金と丸鋸の製
造工程の系統図である。
造工程の系統図である。
【図5】従来の丸鋸の説明図である。
1、11 歯 2、12 丸鋸台金 3、14 超硬チップ 13 歯底 15 クラック
Claims (1)
- 【請求項1】 C:0.20〜1.20%、Si:0.
10〜0.70%、Mn:0.50〜2.00%、C
r:1.00%以下、Ni:2.00%以下、Mo:
1.00%以下、V:0.20%以下、Nb:0.50
%以下、Ti:0.010%以下を含有し、残部がFe
および不可避的不純物からなる鋼板を用い、丸鋸台金を
製造する方法において、鋼板を粗切断したのち熱処理し
て高強度化し、ついで外周をレーザー切断して歯切りを
行うことを特徴とする丸鋸台金の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19307293A JPH0724632A (ja) | 1993-07-07 | 1993-07-07 | 丸鋸台金の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19307293A JPH0724632A (ja) | 1993-07-07 | 1993-07-07 | 丸鋸台金の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0724632A true JPH0724632A (ja) | 1995-01-27 |
Family
ID=16301743
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19307293A Pending JPH0724632A (ja) | 1993-07-07 | 1993-07-07 | 丸鋸台金の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0724632A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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1993
- 1993-07-07 JP JP19307293A patent/JPH0724632A/ja active Pending
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