JPH04371524A - 鋸刃台金用高強度鋼板の製造法 - Google Patents
鋸刃台金用高強度鋼板の製造法Info
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- JPH04371524A JPH04371524A JP17431191A JP17431191A JPH04371524A JP H04371524 A JPH04371524 A JP H04371524A JP 17431191 A JP17431191 A JP 17431191A JP 17431191 A JP17431191 A JP 17431191A JP H04371524 A JPH04371524 A JP H04371524A
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Abstract
(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。
め要約のデータは記録されません。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は、チップソーやバンド
ソー等の鋸刃の台金用に適した高強度、高靭性を有する
鋼板の製造法に関する。
ソー等の鋸刃の台金用に適した高強度、高靭性を有する
鋼板の製造法に関する。
【０００２】
【従来の技術】図１に示すとおり、チップソーやバンド
ソー等の鋸刃１の刃先２には、切削性、耐摩耗性、高強
度が要求されるため、超硬合金等のチップ３がろう付け
されている。このようなチップを取付ける鋸刃１の台金
４には、高強度、高靭性、耐摩耗性等が要求される。こ
のため、従来台金用としては、通常ＪＩＳＳＫ５、ＳＫ
Ｓ５、ＳＫＳ５１等の高炭素工具鋼または高炭素合金工
具鋼が熱処理したのち使用されている。しかしながらこ
の種の高炭素鋼の熱処理は、技術的にも非常に難しく、
また、油、塩等の使用により作業環境が悪化するという
問題がある。
ソー等の鋸刃１の刃先２には、切削性、耐摩耗性、高強
度が要求されるため、超硬合金等のチップ３がろう付け
されている。このようなチップを取付ける鋸刃１の台金
４には、高強度、高靭性、耐摩耗性等が要求される。こ
のため、従来台金用としては、通常ＪＩＳＳＫ５、ＳＫ
Ｓ５、ＳＫＳ５１等の高炭素工具鋼または高炭素合金工
具鋼が熱処理したのち使用されている。しかしながらこ
の種の高炭素鋼の熱処理は、技術的にも非常に難しく、
また、油、塩等の使用により作業環境が悪化するという
問題がある。
【０００３】鋸刃の台金の製造工程は、熱間圧延または
冷間圧延された鋼板を、条取りしたのち、プレス打抜き
、レーザーカットその他の方法で必要な寸法に成形する
。ついで連続熱処理炉において７５０〜９００℃で１〜
３０分間加熱し、油槽もしくは水槽にて冷却を行って焼
入れを施したのち、所定の硬度を得るために１００〜５
００℃で３０分〜２時間の焼戻しを行っている。あるい
は焼入れ焼戻しを簡略化するために７５０〜９００℃で
１〜３０分間加熱したのち、１００〜５００℃に保持さ
れた塩浴炉で３０分〜２時間直接焼戻しを行っている。 成形された台金の寸法矯正は、焼戻し時に行うことが多
いが、プレスクエンチ等も用いられている。硬さ調整、
寸法矯正の施された台金は、必要によっては表面研削等
を行ったのち、超硬合金等のチップをろう付けし、塗装
を行った後出荷される。
冷間圧延された鋼板を、条取りしたのち、プレス打抜き
、レーザーカットその他の方法で必要な寸法に成形する
。ついで連続熱処理炉において７５０〜９００℃で１〜
３０分間加熱し、油槽もしくは水槽にて冷却を行って焼
入れを施したのち、所定の硬度を得るために１００〜５
００℃で３０分〜２時間の焼戻しを行っている。あるい
は焼入れ焼戻しを簡略化するために７５０〜９００℃で
１〜３０分間加熱したのち、１００〜５００℃に保持さ
れた塩浴炉で３０分〜２時間直接焼戻しを行っている。 成形された台金の寸法矯正は、焼戻し時に行うことが多
いが、プレスクエンチ等も用いられている。硬さ調整、
寸法矯正の施された台金は、必要によっては表面研削等
を行ったのち、超硬合金等のチップをろう付けし、塗装
を行った後出荷される。
【０００４】このような高靭性、耐摩耗性鋼の製造方法
としては、熱間および冷間圧延によって製造したＣ：０
．４５〜１．５％の中高炭素鋼あるいはＣｒ、Ｍｏ、Ｎ
ｉ、Ｗ等の合金元素を０．２〜３．０％含むＣ：０．４
５〜１．５％の中高炭素鋼を、加熱、均熱、一時冷却、
サイクル急速加熱、冷却の各帯域を順次直列に有する連
続焼鈍炉を連続的に通過せしめ、各帯域で所定条件で焼
入れ、焼戻しを行う方法（特開昭５８−１６７７２８号
公報）、重量％で、Ｃ：０．４０〜０．６０％、Ｓｉ：
０．８０〜１．７０％、Ｍｎ：０．４０〜０．８０％、
Ｃｒ：０．６０〜２．００％、Ｎｂ：０．０１〜０．１
０％、Ａｌ：０．２０〜１．００％、残部がＦｅおよび
不可避的不純物からなる耐摩耗鋼（特公昭６１−２３２
５８号公報）、あるいは、Ｃ：０．５０〜１．００％、
Ｓｉ：０．５０％以下、Ｍｎ：０．６０〜１．５０％、
Ｐ：０．０２０％以下、Ｍｏ：０．１５〜０．５０％、
Ｍｏ／Ｐ≧１０、ｓｏｌＡｌ：０．０２０〜０．０６０
％を含み、残部は実質的にＦｅよりなる鋼を、７８０〜
８６０℃で焼入れし、２００〜４５０℃で焼戻す方法（
特開昭６２−１３９８１１号公報）等多くの提案が行わ
れている。
としては、熱間および冷間圧延によって製造したＣ：０
．４５〜１．５％の中高炭素鋼あるいはＣｒ、Ｍｏ、Ｎ
ｉ、Ｗ等の合金元素を０．２〜３．０％含むＣ：０．４
５〜１．５％の中高炭素鋼を、加熱、均熱、一時冷却、
サイクル急速加熱、冷却の各帯域を順次直列に有する連
続焼鈍炉を連続的に通過せしめ、各帯域で所定条件で焼
入れ、焼戻しを行う方法（特開昭５８−１６７７２８号
公報）、重量％で、Ｃ：０．４０〜０．６０％、Ｓｉ：
０．８０〜１．７０％、Ｍｎ：０．４０〜０．８０％、
Ｃｒ：０．６０〜２．００％、Ｎｂ：０．０１〜０．１
０％、Ａｌ：０．２０〜１．００％、残部がＦｅおよび
不可避的不純物からなる耐摩耗鋼（特公昭６１−２３２
５８号公報）、あるいは、Ｃ：０．５０〜１．００％、
Ｓｉ：０．５０％以下、Ｍｎ：０．６０〜１．５０％、
Ｐ：０．０２０％以下、Ｍｏ：０．１５〜０．５０％、
Ｍｏ／Ｐ≧１０、ｓｏｌＡｌ：０．０２０〜０．０６０
％を含み、残部は実質的にＦｅよりなる鋼を、７８０〜
８６０℃で焼入れし、２００〜４５０℃で焼戻す方法（
特開昭６２−１３９８１１号公報）等多くの提案が行わ
れている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のＪＩＳ
ＳＫ５、ＳＫＳ５、ＳＫＳ５１等の高炭素鋼等を焼入れ
、焼戻しする方法は、焼入れ時の冷却媒体が油が主体で
あり、一部塩浴等があるが、これら媒体の維持には慎重
を要し、また当然劣化するので廃却、入替が必要であり
、しかも作業環境が非常に悪いという欠点がある。さら
にこれら高炭素鋼等は、低合金入りであり、その製造は
かなり困難で、コスト的にも高価となる。
ＳＫ５、ＳＫＳ５、ＳＫＳ５１等の高炭素鋼等を焼入れ
、焼戻しする方法は、焼入れ時の冷却媒体が油が主体で
あり、一部塩浴等があるが、これら媒体の維持には慎重
を要し、また当然劣化するので廃却、入替が必要であり
、しかも作業環境が非常に悪いという欠点がある。さら
にこれら高炭素鋼等は、低合金入りであり、その製造は
かなり困難で、コスト的にも高価となる。
【０００６】また、特開昭５８−１６７７２８号公報、
特公昭６１−２３２８１１号公報および特開昭６２−１
３９８１１号公報の鋼は、いずれもＣ：０．４０〜１．
００％の高炭素鋼であるため、高強度と耐摩耗性を得る
ための焼入れ時に焼き割れが発生し易く、しかも、十分
な靭性を付与するためには焼戻し処理を必要とする。
特公昭６１−２３２８１１号公報および特開昭６２−１
３９８１１号公報の鋼は、いずれもＣ：０．４０〜１．
００％の高炭素鋼であるため、高強度と耐摩耗性を得る
ための焼入れ時に焼き割れが発生し易く、しかも、十分
な靭性を付与するためには焼戻し処理を必要とする。
【０００７】この発明の目的は、焼入れ時に油、塩浴等
を使用することなく、空冷によって焼入れでき、しかも
焼入れ時の焼き割れがなく、寸法精度に優れた鋸刃台金
用高強度鋼板の製造法を提供することにある。
を使用することなく、空冷によって焼入れでき、しかも
焼入れ時の焼き割れがなく、寸法精度に優れた鋸刃台金
用高強度鋼板の製造法を提供することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく種々試験研究を行った。その結果、炭素含
有量を０．１５〜０．４０重量％と低い値とすることに
より焼き割れを防止すると共に、Ｓｉ、Ｍｎ、その他の
合金元素を添加することによって必要な強度、耐摩耗性
、靭性を確保することにより、油、塩浴等を使用せず空
冷によって焼入れできることを究明し、この発明に到達
した。
を達成すべく種々試験研究を行った。その結果、炭素含
有量を０．１５〜０．４０重量％と低い値とすることに
より焼き割れを防止すると共に、Ｓｉ、Ｍｎ、その他の
合金元素を添加することによって必要な強度、耐摩耗性
、靭性を確保することにより、油、塩浴等を使用せず空
冷によって焼入れできることを究明し、この発明に到達
した。
【０００９】すなわちこの発明は、重量％で、Ｃ：０．
１５〜０．４０％、Ｓｉ：０．１０〜０．７０％、Ｍｎ
：１．００〜２．７０％、Ｃｒ：０．５０〜２．５０％
、Ｐ≦０．０２５％、Ｓ≦０．０１５％、ｓｏｌＡｌ：
０．０１〜０．０５％を含み、必要に応じてＭｏ：０．
０５〜０．５０％、Ｖ：０．０２〜０．１０％、Ｎｉ：
０．２０〜２．５０％、Ｔｉ：０．０２〜０．１０％、
Ｎｂ：０．０２〜１．００％、Ｂ：０．０００５〜０．
００５０％を含有し、残部がＦｅと不可避的不純物から
なる熱延鋼板または冷延鋼板を、鋸刃台金用に加工した
のち、８５０〜１０５０℃に加熱して０．５〜３０分保
持したのち空冷し、ついで５０〜３５０℃の温度で１〜
３０分保持したのち放冷するのである。
１５〜０．４０％、Ｓｉ：０．１０〜０．７０％、Ｍｎ
：１．００〜２．７０％、Ｃｒ：０．５０〜２．５０％
、Ｐ≦０．０２５％、Ｓ≦０．０１５％、ｓｏｌＡｌ：
０．０１〜０．０５％を含み、必要に応じてＭｏ：０．
０５〜０．５０％、Ｖ：０．０２〜０．１０％、Ｎｉ：
０．２０〜２．５０％、Ｔｉ：０．０２〜０．１０％、
Ｎｂ：０．０２〜１．００％、Ｂ：０．０００５〜０．
００５０％を含有し、残部がＦｅと不可避的不純物から
なる熱延鋼板または冷延鋼板を、鋸刃台金用に加工した
のち、８５０〜１０５０℃に加熱して０．５〜３０分保
持したのち空冷し、ついで５０〜３５０℃の温度で１〜
３０分保持したのち放冷するのである。
【００１０】また、重量％で、Ｃ：０．１５〜０．４０
％、Ｓｉ：０．１０〜０．７０％、Ｍｎ：１．００〜２
．７０％、Ｃｒ：０．５０〜２．５０％、Ｐ≦０．０２
５％、Ｓ≦０．０１５％、ｓｏｌＡｌ：０．０１〜０．
０５％を含み、必要に応じてＭｏ：０．０５〜０．５０
％、Ｖ：０．０２〜０．１０％、Ｎｉ：０．２０〜２．
５０％、Ｔｉ：０．０２〜０．１０％、Ｎｂ：０．０２
〜１．００％、Ｂ：０．０００５〜０．００５０％を含
有し、残部がＦｅと不可避的不純物からなる熱延鋼板ま
たは冷延鋼板を、鋸刃台金用に加工したのち、８５０〜
１０５０℃に加熱して０．５〜３０分保持したのち空冷
途中で定盤等による寸法矯正を行い、ついで５０〜３５
０℃の温度で１〜３０分保持したのち放冷するのである
。
％、Ｓｉ：０．１０〜０．７０％、Ｍｎ：１．００〜２
．７０％、Ｃｒ：０．５０〜２．５０％、Ｐ≦０．０２
５％、Ｓ≦０．０１５％、ｓｏｌＡｌ：０．０１〜０．
０５％を含み、必要に応じてＭｏ：０．０５〜０．５０
％、Ｖ：０．０２〜０．１０％、Ｎｉ：０．２０〜２．
５０％、Ｔｉ：０．０２〜０．１０％、Ｎｂ：０．０２
〜１．００％、Ｂ：０．０００５〜０．００５０％を含
有し、残部がＦｅと不可避的不純物からなる熱延鋼板ま
たは冷延鋼板を、鋸刃台金用に加工したのち、８５０〜
１０５０℃に加熱して０．５〜３０分保持したのち空冷
途中で定盤等による寸法矯正を行い、ついで５０〜３５
０℃の温度で１〜３０分保持したのち放冷するのである
。
【００１１】
【作用】この発明において、成分組成を限定した理由は
、次のとおりである。Ｃは、硬度を安価に得るために必
須の元素であるが、０．１５重量％以下では鋸刃台金用
として必要なＨＲＣ３８以上の硬さを熱処理で得ること
ができない。また、０．４０重量％を超えると、焼入れ
のままで硬度が高過ぎ、置き割れが生じるばかりでなく
、熱処理後の靭性も劣化する。このため、Ｃ含有量は０
．１５〜０．４０重量％とした。Ｓｉは、脱酸に必要な
元素であるが、０．１０重量％未満では脱酸が不十分で
、靭性を確保することができず、また、０．７０重量％
を超えると逆に靭性が劣化し、耐衝撃性が悪化する。 このため、Ｓｉ含有量は０．１０〜０．７０重量％とし
た。Ｍｎは、焼入れ性改善に必要な元素であるが、１．
００重量％未満では焼入れ性改善効果が不十分で、逆に
２．７０重量％を超えると製鋼時のスラブ製造において
欠陥が生じ易くなり、熱処理後に靭性が低下する。この
ため、Ｍｎ含有量は１．００〜２．７０重量％とした。
、次のとおりである。Ｃは、硬度を安価に得るために必
須の元素であるが、０．１５重量％以下では鋸刃台金用
として必要なＨＲＣ３８以上の硬さを熱処理で得ること
ができない。また、０．４０重量％を超えると、焼入れ
のままで硬度が高過ぎ、置き割れが生じるばかりでなく
、熱処理後の靭性も劣化する。このため、Ｃ含有量は０
．１５〜０．４０重量％とした。Ｓｉは、脱酸に必要な
元素であるが、０．１０重量％未満では脱酸が不十分で
、靭性を確保することができず、また、０．７０重量％
を超えると逆に靭性が劣化し、耐衝撃性が悪化する。 このため、Ｓｉ含有量は０．１０〜０．７０重量％とし
た。Ｍｎは、焼入れ性改善に必要な元素であるが、１．
００重量％未満では焼入れ性改善効果が不十分で、逆に
２．７０重量％を超えると製鋼時のスラブ製造において
欠陥が生じ易くなり、熱処理後に靭性が低下する。この
ため、Ｍｎ含有量は１．００〜２．７０重量％とした。
【００１２】Ｃｒは、焼入れ性の改善、靭性改善および
冷延鋼板製造の箱焼鈍時の脱炭防止効果を有するが、０
．５０重量％未満ではこれらの効果が不十分で、２．５
０重量％を超えると高価となる。このため、Ｃｒ含有量
は０．５０〜２．５０重量％とした。Ｐは、鋼中の代表
的不純物で、０．０２５重量％を超えると焼き割れや熱
処理後の靭性が劣化する。このため、Ｐ含有量は０．０
２５重量％以下とした。Ｓは、Ｐと同様鋼中の代表的不
純物で、０．０１５重量％を超えると焼き割れや熱処理
後の靭性が劣化する。このため、Ｓ含有量は０．０１５
重量％以下とした。ｓｏｌＡｌは、Ｓｉと同様脱酸に必
要な元素であるが、０．０１重量％未満では脱酸が不十
分で、靭性を確保することができず、また、０．０５重
量％を超えると逆に靭性が劣化し、耐衝撃性が悪化する
。このため、ｓｏｌＡｌ含有量は０．０１〜０．０５重
量％とした。
冷延鋼板製造の箱焼鈍時の脱炭防止効果を有するが、０
．５０重量％未満ではこれらの効果が不十分で、２．５
０重量％を超えると高価となる。このため、Ｃｒ含有量
は０．５０〜２．５０重量％とした。Ｐは、鋼中の代表
的不純物で、０．０２５重量％を超えると焼き割れや熱
処理後の靭性が劣化する。このため、Ｐ含有量は０．０
２５重量％以下とした。Ｓは、Ｐと同様鋼中の代表的不
純物で、０．０１５重量％を超えると焼き割れや熱処理
後の靭性が劣化する。このため、Ｓ含有量は０．０１５
重量％以下とした。ｓｏｌＡｌは、Ｓｉと同様脱酸に必
要な元素であるが、０．０１重量％未満では脱酸が不十
分で、靭性を確保することができず、また、０．０５重
量％を超えると逆に靭性が劣化し、耐衝撃性が悪化する
。このため、ｓｏｌＡｌ含有量は０．０１〜０．０５重
量％とした。
【００１３】Ｍｏは、Ｃｒと同様焼入れ性改善、靭性改
善ならびに焼戻し軟化抵抗上昇に有効であるが、０．０
５重量％未満では効果が不十分で、０．５０重量％を超
えると靭性の向上効果が飽和し経済上好ましくない。Ｖ
は、高温焼戻し軟化抵抗が大きい元素であるが、０．０
２重量％未満では十分な効果が得られず、また、０．１
０重量％を超えると高価となり経済的に不利である。Ｎ
ｉは、焼入れ性、靭性改善に有効な元素で、０．２０重
量％未満では焼入れ、靭性改善効果が不十分で、また、
２．５０重量％を超えても有効であるが、経済上好まし
くない。ＴｉおよびＮｂは、焼入れ時の結晶粒粗大化防
止効果、鋸刃台金切出し時にレーザーカット等を用いる
際の靭性改善に効果を有するが、下限未満では上記効果
が不十分で、また、上限を超えると靭性が劣化する。Ｂ
は、焼入れ性改善に有効な元素で、０．０００５重量％
未満では焼入れ性改善効果が不十分で、また、０．００
５０重量％を超えると靭性が劣化する。
善ならびに焼戻し軟化抵抗上昇に有効であるが、０．０
５重量％未満では効果が不十分で、０．５０重量％を超
えると靭性の向上効果が飽和し経済上好ましくない。Ｖ
は、高温焼戻し軟化抵抗が大きい元素であるが、０．０
２重量％未満では十分な効果が得られず、また、０．１
０重量％を超えると高価となり経済的に不利である。Ｎ
ｉは、焼入れ性、靭性改善に有効な元素で、０．２０重
量％未満では焼入れ、靭性改善効果が不十分で、また、
２．５０重量％を超えても有効であるが、経済上好まし
くない。ＴｉおよびＮｂは、焼入れ時の結晶粒粗大化防
止効果、鋸刃台金切出し時にレーザーカット等を用いる
際の靭性改善に効果を有するが、下限未満では上記効果
が不十分で、また、上限を超えると靭性が劣化する。Ｂ
は、焼入れ性改善に有効な元素で、０．０００５重量％
未満では焼入れ性改善効果が不十分で、また、０．００
５０重量％を超えると靭性が劣化する。
【００１４】また、この発明において、焼入れ温度を８
５０〜１０５０℃としたのは、８５０℃未満では焼入れ
のためのオーステナイト化が十分でなく、また、１０５
０℃を超えるとオーステナイト粒の粗大化が生じ、靭性
が劣化するからである。焼入れ時間を０．５〜３０分と
したのは、０．５分未満の加熱では台金全体を均熱する
ことができず、機械的性質が不均一となる、また、３０
分を超えると１０５０℃近い加熱温度では結晶粒の粗大
化が生じ、靭性が劣化するばかりでなく、焼き割れが生
じ易くなるからである。この発明における空冷とは、水
、油等を使用しないで冷却媒体として空気を利用する全
ての冷却をいう。また、焼戻し条件を５０〜３５０℃で
１〜３０分としたのは、低温短時間では十分な靭性が確
保できず、高温長時間では十分な硬度が得られないから
である。この発明において、空冷途中での定盤等による
寸法矯正は、３００℃以上の温度で行うのが好ましい。 その理由は、３００℃未満では長時間もしくは多数の繰
返しが必要となり、処理中の割れの危険性が大きいから
である。さらにこの発明の鋼板は、高強度、耐摩耗性が
要求され、靭性すなわち耐衝撃性を余り要求されない用
途向けについては、８５０〜１０５０℃に加熱して０．
５〜３０分保持したのち空冷し、そのまま放冷するのみ
で、焼戻し処理を施さなくても十分な高強度、耐摩耗性
を有する。
５０〜１０５０℃としたのは、８５０℃未満では焼入れ
のためのオーステナイト化が十分でなく、また、１０５
０℃を超えるとオーステナイト粒の粗大化が生じ、靭性
が劣化するからである。焼入れ時間を０．５〜３０分と
したのは、０．５分未満の加熱では台金全体を均熱する
ことができず、機械的性質が不均一となる、また、３０
分を超えると１０５０℃近い加熱温度では結晶粒の粗大
化が生じ、靭性が劣化するばかりでなく、焼き割れが生
じ易くなるからである。この発明における空冷とは、水
、油等を使用しないで冷却媒体として空気を利用する全
ての冷却をいう。また、焼戻し条件を５０〜３５０℃で
１〜３０分としたのは、低温短時間では十分な靭性が確
保できず、高温長時間では十分な硬度が得られないから
である。この発明において、空冷途中での定盤等による
寸法矯正は、３００℃以上の温度で行うのが好ましい。 その理由は、３００℃未満では長時間もしくは多数の繰
返しが必要となり、処理中の割れの危険性が大きいから
である。さらにこの発明の鋼板は、高強度、耐摩耗性が
要求され、靭性すなわち耐衝撃性を余り要求されない用
途向けについては、８５０〜１０５０℃に加熱して０．
５〜３０分保持したのち空冷し、そのまま放冷するのみ
で、焼戻し処理を施さなくても十分な高強度、耐摩耗性
を有する。
【００１５】この発明においては、重量％で、Ｃ：０．
１５〜０．４０％、Ｓｉ：０．１０〜０．７０％、Ｍｎ
：１．００〜２．７０％、Ｃｒ：０．５０〜２．５０％
、Ｐ≦０．０２５％、Ｓ≦０．０１５％、ｓｏｌＡｌ：
０．０１〜０．０５％を含み、必要に応じてＭｏ：０．
０５％、Ｖ：０．０２〜０．１０％、Ｎｉ：０．２０〜
２．５０％、Ｔｉ：０．０２〜０．１０％、Ｎｂ：０．
０２〜１．００％、Ｂ：０．０００５〜０．００５０％
を含有し、残部がＦｅと不可避的不純物からなる熱延鋼
板または冷延鋼板を使用することによって、油、塩浴等
によることなく空冷で十分に焼入れが可能となり、従来
の油、塩等を使用する場合の管理に関する相当量の作業
工程を省略することができると共に、焼き割れを防止す
ることができる。
１５〜０．４０％、Ｓｉ：０．１０〜０．７０％、Ｍｎ
：１．００〜２．７０％、Ｃｒ：０．５０〜２．５０％
、Ｐ≦０．０２５％、Ｓ≦０．０１５％、ｓｏｌＡｌ：
０．０１〜０．０５％を含み、必要に応じてＭｏ：０．
０５％、Ｖ：０．０２〜０．１０％、Ｎｉ：０．２０〜
２．５０％、Ｔｉ：０．０２〜０．１０％、Ｎｂ：０．
０２〜１．００％、Ｂ：０．０００５〜０．００５０％
を含有し、残部がＦｅと不可避的不純物からなる熱延鋼
板または冷延鋼板を使用することによって、油、塩浴等
によることなく空冷で十分に焼入れが可能となり、従来
の油、塩等を使用する場合の管理に関する相当量の作業
工程を省略することができると共に、焼き割れを防止す
ることができる。
【００１６】また、この発明においては、空冷途中で定
盤等により寸法矯正を行うことにより、機械的矯正での
長時間もしくは多数の繰返し矯正の必要がなく、また、
処理中の割れの危険性を排除でき、容易に所定の寸法精
度を得ることができる。
盤等により寸法矯正を行うことにより、機械的矯正での
長時間もしくは多数の繰返し矯正の必要がなく、また、
処理中の割れの危険性を排除でき、容易に所定の寸法精
度を得ることができる。
【００１７】
実施例１
転炉で表１に示す成分組成の本発明鋼Ａ、Ｂ、Ｃ、Ｄと
比較鋼Ｅ、Ｆ、Ｇ、Ｈを溶製し、連続鋳造法によりスラ
ブとしたのち、熱間圧延により厚さ３ｍｍ、板幅１０３
０ｍｍのコイルとなし、その後レーザーカットにより直
径４００ｍｍのチップソー用台金に加工し、連続熱処理
炉により表２に示す条件で加熱、空冷、焼戻しを行って
チップソー用台金を製造した。得られた各鋼板の鋼成分
、焼入れ温度、焼戻し温度の耐衝撃性、耐摩耗性に及ぼ
す影響を調べるため、硬さ試験を実施した。その結果を
表２に併記する。
比較鋼Ｅ、Ｆ、Ｇ、Ｈを溶製し、連続鋳造法によりスラ
ブとしたのち、熱間圧延により厚さ３ｍｍ、板幅１０３
０ｍｍのコイルとなし、その後レーザーカットにより直
径４００ｍｍのチップソー用台金に加工し、連続熱処理
炉により表２に示す条件で加熱、空冷、焼戻しを行って
チップソー用台金を製造した。得られた各鋼板の鋼成分
、焼入れ温度、焼戻し温度の耐衝撃性、耐摩耗性に及ぼ
す影響を調べるため、硬さ試験を実施した。その結果を
表２に併記する。
【００１８】
【表１】
【００１９】
【表２】
【００２０】表２に示すとおり、比較例のＣの高いＥ鋼
は焼入れのままで硬度が高すぎ、置き割れが生じ、Ｍｎ
の低いＦ鋼は硬さが低く、Ｐが高いＧ鋼は衝撃値が低く
、また焼入れ温度の低いＨ鋼は焼入れが十分でなく、比
較例の鋼はいずれもチップソー用台金として要求される
硬さ（ＨＲＣ：３８〜５３）を有していない。これに対
し本発明のＡ〜Ｄ鋼はいずれもチップソー用台金として
要求される硬さを有し、優れた耐衝撃性、耐摩耗性を示
している。
は焼入れのままで硬度が高すぎ、置き割れが生じ、Ｍｎ
の低いＦ鋼は硬さが低く、Ｐが高いＧ鋼は衝撃値が低く
、また焼入れ温度の低いＨ鋼は焼入れが十分でなく、比
較例の鋼はいずれもチップソー用台金として要求される
硬さ（ＨＲＣ：３８〜５３）を有していない。これに対
し本発明のＡ〜Ｄ鋼はいずれもチップソー用台金として
要求される硬さを有し、優れた耐衝撃性、耐摩耗性を示
している。
【００２１】実施例２
前記実施例１の表１に示すＡ〜Ｈ鋼を連続鋳造法により
スラブとしたのち、熱間圧延により厚さ３ｍｍ、板幅１
０３０ｍｍのコイルとなし、このコイルを箱焼鈍したの
ち、冷間圧延により厚さ１．６ｍｍ、板幅１０００ｍｍ
となし、最終の箱焼鈍を行ったのち、プレス打抜きによ
り直径２５０ｍｍのチップソー用台金に加工した。得ら
れた各台金を連続熱処理炉により表３に示す条件で加熱
、空冷、焼戻しを行って得たチップソー用台金のそれぞ
れについて、硬さ試験を実施した。その結果を表３に併
記した。
スラブとしたのち、熱間圧延により厚さ３ｍｍ、板幅１
０３０ｍｍのコイルとなし、このコイルを箱焼鈍したの
ち、冷間圧延により厚さ１．６ｍｍ、板幅１０００ｍｍ
となし、最終の箱焼鈍を行ったのち、プレス打抜きによ
り直径２５０ｍｍのチップソー用台金に加工した。得ら
れた各台金を連続熱処理炉により表３に示す条件で加熱
、空冷、焼戻しを行って得たチップソー用台金のそれぞ
れについて、硬さ試験を実施した。その結果を表３に併
記した。
【００２２】
【表３】
【００２３】表３に示すとおり、比較例のＣの高いＥ鋼
は焼入れのままで硬度が高すぎ、置き割れが生じ、Ｍｎ
の低いＦ鋼は硬さが低く、Ｐが高いＧ鋼は衝撃値が低く
、また焼入れ温度の低いＨ鋼は焼入れが十分でなく、比
較例の鋼はいずれもチップソー用台金として要求される
硬さ（ＨＲＣ：３８〜５３）を有していない。これに対
し本発明のＡ〜Ｄ鋼はいずれもチップソー用台金として
要求される硬さを有し、優れた耐衝撃性、耐摩耗性を示
している。
は焼入れのままで硬度が高すぎ、置き割れが生じ、Ｍｎ
の低いＦ鋼は硬さが低く、Ｐが高いＧ鋼は衝撃値が低く
、また焼入れ温度の低いＨ鋼は焼入れが十分でなく、比
較例の鋼はいずれもチップソー用台金として要求される
硬さ（ＨＲＣ：３８〜５３）を有していない。これに対
し本発明のＡ〜Ｄ鋼はいずれもチップソー用台金として
要求される硬さを有し、優れた耐衝撃性、耐摩耗性を示
している。
【００２４】
【発明の効果】以上述べたとおり、この発明方法によれ
ば、空冷で焼入れでき、焼入れ歪の少ない成分組成を選
択し、さらに空冷中に歪矯正を行うことによって、鋸刃
用台金として要求される耐摩耗性、耐衝撃性ならびに所
定の寸法精度を得ることができ、従来の油、塩浴等が不
要となり、作業環境を改善できるばかりでなく、これら
の管理に要する作業工程を省略することができる。
ば、空冷で焼入れでき、焼入れ歪の少ない成分組成を選
択し、さらに空冷中に歪矯正を行うことによって、鋸刃
用台金として要求される耐摩耗性、耐衝撃性ならびに所
定の寸法精度を得ることができ、従来の油、塩浴等が不
要となり、作業環境を改善できるばかりでなく、これら
の管理に要する作業工程を省略することができる。
【図１】チップソーの鋸刃を示す概略説明図である。
１ 鋸刃
２ 刃先
３ チップ
４ 台金
Claims (2)
- 【請求項１】 重量％で、Ｃ：０．１５〜０．４０％
、Ｓｉ：０．１０〜０．７０％、Ｍｎ：１．００〜２．
７０％、Ｃｒ：０．５０〜２．５０％、Ｐ≦０．０２５
％、Ｓ≦０．０１５％、ｓｏｌＡｌ：０．０１〜０．０
５％を含み、必要に応じてＭｏ：０．０５〜０．５０％
、Ｖ：０．０２〜０．１０％、Ｎｉ：０．２０〜２．５
０％、Ｔｉ：０．０２〜０．１０％、Ｎｂ：０．０２〜
１．００％、Ｂ：０．０００５〜０．００５０％を含有
し、残部がＦｅと不可避的不純物からなる熱延鋼板また
は冷延鋼板を、鋸刃台金用に加工したのち、８５０〜１
０５０℃に加熱して０．５〜３０分保持したのち空冷し
、ついで５０〜３５０℃の温度で１〜３０分保持したの
ち放冷することを特徴とする鋸刃台金用高強度鋼板の製
造法。 - 【請求項２】 重量％で、Ｃ：０．１５〜０．４０％
、Ｓｉ：０．１０〜０．７０％、Ｍｎ：１．００〜２．
７０％、Ｃｒ：０．５０〜２．５０％、Ｐ≦０．０２５
％、Ｓ≦０．０１５％、ｓｏｌＡｌ：０．０１〜０．０
５％を含み、必要に応じてＭｏ：０．０５〜０．５０％
、Ｖ：０．０２〜０．１０％、Ｎｉ：０．２０〜２．５
０％、Ｔｉ：０．０２〜０．１０％、Ｎｂ：０．０２〜
１．００％、Ｂ：０．０００５〜０．００５０％を含有
し、残部がＦｅと不可避的不純物からなる熱延鋼板また
は冷延鋼板を、鋸刃台金用に加工したのち、８５０〜１
０５０℃に加熱して０．５〜３０分保持したのち空冷途
中で定盤等による寸法矯正を行い、ついで５０〜３５０
℃の温度で１〜３０分保持したのち放冷することを特徴
とする鋸刃台金用高強度鋼板の製造法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP17431191A JPH04371524A (ja) | 1991-06-18 | 1991-06-18 | 鋸刃台金用高強度鋼板の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP17431191A JPH04371524A (ja) | 1991-06-18 | 1991-06-18 | 鋸刃台金用高強度鋼板の製造法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH04371524A true JPH04371524A (ja) | 1992-12-24 |
Family
ID=15976438
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP17431191A Pending JPH04371524A (ja) | 1991-06-18 | 1991-06-18 | 鋸刃台金用高強度鋼板の製造法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH04371524A (ja) |
Cited By (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN102337466A (zh) * | 2010-07-16 | 2012-02-01 | 厦门劲华机械有限公司 | 一种高强度耐磨铲刀刃及其生产方法 |
| KR20120088663A (ko) * | 2009-09-24 | 2012-08-08 | 에이티아이 프로퍼티즈, 인코퍼레이티드 | 합금 물품들에서 평탄도 편차를 감소시키기 위한 공정 |
| CN103014546A (zh) * | 2012-11-26 | 2013-04-03 | 吴高峰 | 一种合金钢 |
| CN109576457A (zh) * | 2018-12-19 | 2019-04-05 | 中钢集团邢台机械轧辊有限公司 | 一种剪刃的热处理方法 |
| CN109837459A (zh) * | 2017-11-28 | 2019-06-04 | 杰富意钢铁株式会社 | 高强度钢带的制造方法 |
| CN110484805A (zh) * | 2019-08-30 | 2019-11-22 | 武汉钢铁有限公司 | 一种局部强化的刀板型钢及其生产方法 |
| CN110640216A (zh) * | 2019-08-14 | 2020-01-03 | 杭州博野精密工具有限公司 | 冷锯圆锯片制造工艺 |
-
1991
- 1991-06-18 JP JP17431191A patent/JPH04371524A/ja active Pending
Cited By (10)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR20120088663A (ko) * | 2009-09-24 | 2012-08-08 | 에이티아이 프로퍼티즈, 인코퍼레이티드 | 합금 물품들에서 평탄도 편차를 감소시키기 위한 공정 |
| JP2013505836A (ja) * | 2009-09-24 | 2013-02-21 | エイティーアイ・プロパティーズ・インコーポレーテッド | 合金物品における平坦度の誤差を低減させるプロセス |
| US9822422B2 (en) | 2009-09-24 | 2017-11-21 | Ati Properties Llc | Processes for reducing flatness deviations in alloy articles |
| US10260120B2 (en) | 2009-09-24 | 2019-04-16 | Ati Properties Llc | Processes for reducing flatness deviations in alloy articles |
| CN102337466A (zh) * | 2010-07-16 | 2012-02-01 | 厦门劲华机械有限公司 | 一种高强度耐磨铲刀刃及其生产方法 |
| CN103014546A (zh) * | 2012-11-26 | 2013-04-03 | 吴高峰 | 一种合金钢 |
| CN109837459A (zh) * | 2017-11-28 | 2019-06-04 | 杰富意钢铁株式会社 | 高强度钢带的制造方法 |
| CN109576457A (zh) * | 2018-12-19 | 2019-04-05 | 中钢集团邢台机械轧辊有限公司 | 一种剪刃的热处理方法 |
| CN110640216A (zh) * | 2019-08-14 | 2020-01-03 | 杭州博野精密工具有限公司 | 冷锯圆锯片制造工艺 |
| CN110484805A (zh) * | 2019-08-30 | 2019-11-22 | 武汉钢铁有限公司 | 一种局部强化的刀板型钢及其生产方法 |
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