JP3371952B2 - 酸洗工程を省略できる軟質な加工用高炭素鋼板の製造法 - Google Patents

酸洗工程を省略できる軟質な加工用高炭素鋼板の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車あるいはそ
の他の工業製品の部品製造に使用する酸洗工程を省略で
きる軟質な加工用高炭素鋼板の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車あるいはその他の工業製品
の部品製造は、棒鋼、条鋼から熱間鍛造ののち、仕上研
削し、次いで熱処理を施して製造していた。例えば、自
動車のオートマティックトランスミッションの部品であ
るポールパーキング等の10mm程度の厚みを有する部品
は、棒鋼、条鋼から熱間鍛造ののち、研削、熱処理(単
なる焼入れ・焼戻しあるいは浸炭、窒化等の熱処理)を
施して製造していた。
【0003】近年の製造メーカにおいては、コスト削減の観
点から、製造工程の見直しが進められている。製造工程
合理化の流れは、上記の部品製造も薄板からの精密打ち
抜きおよび熱処理(特に浸炭焼入れ)という工程での製造
も検討され、あるいは一部で実用化しているが、部品製
造に供する薄板に起因する様々な問題が生じている。
【0004】例えば、板厚6.0mm以上の熱延鋼帯は、我が国
の製鉄業界ではコイル酸洗できる設備が殆どないため、
スケールの付着した熱間圧延のままの状態で、精密打ち
抜きを行う場合がある。このような状態での精密打ち抜
きは、表面の付着スケールによって金型の摩耗が激し
く、あるいは金型に疵が入り易く、製造上非常に問題が
多い。
【0005】また、6.0mm以上の板厚になると、我が国の製
鉄業界ではコイル酸洗できる設備が殆どないため、ショ
ットブラスト処理により脱スケールを行う場合がある。
しかし、ショットブラスト処理による脱スケールは、ス
ケールが若干残存したり、ショット粒が鋼板上に残留す
ることによって、打ち抜き加工時にプレス金型の摩耗が
激しい。通常の連続酸洗処理に比較し、ショットブラス
ト処理による脱スケールは非常にコストが高くなる。
【0006】さらに、6.0mm以上の板厚になると、切板とし
たのち、バッチ酸洗を行う方法も採用できる。この場
合、切板としたのち、バッチ酸洗を行ない、次いで焼鈍
を施すことが可能となる。しかし、切板でのバッチ酸洗
および焼鈍を行うと、バッチ処理のため酸洗コストが非
常に高くなるとともに、コイル形状での打ち抜き加工が
できないため、加工の能率も非常に悪化する。
【0007】精密打ち抜き加工により製造する部品は、一般
的に複雑な形状のものが多いため、打ち抜き金型の製作
あるいは補修は非常に高価であり、全工程のコストに占
める金型の製作および補修のための費用は非常に大きな
割合となる。そのため、このような精密打ち抜き加工に
より製造する部品向けの用途には、金型の摩耗が少な
い、つまり軟質な材料が所望されている。
【0008】精密打ち抜き加工用鋼板およびその製造方法と
しては、C:0.05〜0.18%、Si:0.40%以下、Mn:0.60〜1.20
%、Cr:0.80%以下、B:0.0005〜0.005%、Al:0.080%以下を
含み、必要に応じTi:0.05%以下を含有し、残部がFeおよ
び不可避的不純物からなる精密打ち抜き加工用鋼板、ま
たは前記組成の鋼の鋼片を、1100℃以上に加熱し、これ
を熱間圧延工程において仕上温度780〜930℃および巻取
温度510〜720℃の温度制御下で熱間圧延する精密打ち抜
き加工用鋼板の製造方法(特開昭58-104160号公報)、C:
0.30〜0.70%、Si:0.01〜0.50%、Mn:0.50〜2.00%、P:0.0
3%以下、S:0.003〜0.05%、soL.Al:0.07%以下、Cr:0.05
〜0.50%、N:0.01%以下を含み、必要に応じNi、Cu、Mo、
Ti、B、Caのうち少なくとも1種以上を含有し、残部がFe
および不可避的不純物からなり、組織がフェライトおよ
びパーライトの混合組織からなる打ち抜き加工性に優れ
た高炭素熱延鋼板、または前記組成の鋼を、Ar3変態点
以上の仕上温度で熱間圧延し、その後巻取温度までの平
均冷却速度を20〜70℃/secとして冷却したのち、530〜6
70℃で巻取る打ち抜き加工性に優れた高炭素熱延鋼板の
製造方法(特開平8-337843号公報)が提案されている。
【0009】また、C:0.2〜1.3%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.05〜
2.0%、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Al:0.01〜0.2%、N:
0.05%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物か
らなる高炭素鋼素材を、1000〜1300℃の温度に加熱後、
Ar3変態点以上950℃以下の温度範囲で圧下率50%以上の
粗圧延を施し、次いで圧延終了温度が600℃以上で、か
つ600℃以上Ar1変態点未満の温度範囲で圧下率10%以上3
0%未満で仕上圧延し、その際、仕上圧延機の少なくとも
最終スタンドについては摩耗係数μが0.15以上の条件下
で圧延を行い、引続き450〜700℃の温度範囲で巻取り、
さらに500〜740℃の温度範囲で10sec〜8Hr保持する焼鈍
を行う打ち抜き加工性に優れた高炭素熱延鋼板の製造方
法(特開平8-269541号公報)が提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記特開昭58-104160
号公報や特開平8-337843号公報に開示の鋼板は、フェラ
イトおよびパーライトの混合組織であるため、精密打ち
抜きを行う際、金型の摩耗が大きく、金型手入れのコス
トが増大するので、部品の製造コストが非常に高くなる
という欠点を有している。
【0011】また、特開平8-269541号公報に開示の方法は、
精密打ち抜きを行う際に打ち抜き端面(剪断面)に割れの
生じる可能性が大きい。またこの方法の焼鈍処理では、
母材の表面脱炭が通常の浸炭処理では回復できないほど
大きくなる可能性がある。
【0012】本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解
消し、現状の設備では連続酸洗が不可能な板厚6.0m
m以上の鋼板の軟質化を図り、自動車あるいはその他の
工業製品の部品製造に使用できる加工用高炭素鋼板の
造法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
の問題点を克服し、自動車等の部品の新しい製造工程に
対応できる鋼材を得るための研究開発を鋭意推進した。
その結果、化学成分、特にCrの活用および焼鈍方法を最
適化することによって、熱間圧延のままの状態で炭化物
の球状化焼鈍を行えるとの知見を得た。Crの添加によっ
て、熱間圧延時に生成する表面スケールが焼鈍時に還元
されて箔状となり易くなるため、スリット加工等の素材
加工工程において容易に除去することができる。その結
果、酸洗を行うことなく軟質な精密打ち抜き用の鋼板を
製造することが可能であると判った。また、Crの添加に
よって表層部の浸炭が抑制されるため、焼鈍が容易とな
るとの知見を得た。
【0014】
【0015】
【0016】本発明の酸洗工程を省略できる軟質な加工用高
炭素鋼板の製造方法は、C:0.10〜0.50%、Si:0.5%以下、
Mn:0.50〜1.50%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、sol.Al:
0.03〜0.10%、N:0.01%以下およびCr:0.50〜1.50%を含
み、必要に応じMo:0.1〜1.0%、Ni:0.1〜2.0%のうちの1
種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物
よりなる鋼のスラブを、通常の条件で熱間圧延して得た
熱延鋼帯を、600℃以上AC1変態点以下の温度範囲で、か
つ、下記式(1)で得た指数Zの範囲を18以上21以下とする
焼鈍を施すことを特徴とする。 Z={T×(20+Log t)}/1000……式(1) ただし、T:焼鈍温度(K)、t:焼鈍温度保持時間(Hr)
【0017】このように、化学成分を規定した鋼のスラブ
を、通常の条件で熱間圧延して得た熱延鋼板を、600℃
以上AC1変態点以下の温度範囲で、かつ、前記式(1)で得
た指数Zの範囲を18以上21以下とする焼鈍を施すことに
よって、酸洗を行うことなく、軟質でかつ焼鈍後の還元
スケール除去性に優れた精密打ち抜き用の鋼板を製造す
ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明において、鋼板の化学成分
を規定したのは、下記の理由による。Cは、鋼の強度お
よび焼入れ性を高めるために有効な元素であるが、0.1%
未満では材料の芯部の硬度が不足し、0.5%を超えると焼
鈍後の硬度が高くなり、精密打ち抜き性が悪化するた
め、0.1〜0.5%とした。
【0019】Siは、焼入れ性の向上のみならず脱酸にも有用
な元素であるが、0.5%を超えると鋼板の硬度上昇をきた
し、経済的にも不利となるので、0.5%以下とした。
【0020】Mnは、焼入れ性の向上およびSを固定すること
によって熱間圧延時の脆性が悪化するのを防ぐために添
加するが、0.5%未満では焼入れ性、脆性低下の防止の双
方に十分な効果が得られず、また、1.50%を超えると効
果が飽和するのみならず、合金添加コストが非常に高価
となるため、0.50〜1.50%とした。
【0021】Pは、0.03%を超えて含有すると、靭性、特に熱
処理後の靭性が低下するので、0.03%以下とした。
【0022】Sは、打ち抜き性向上に有効な元素であるが、
0.01%を超えると清浄度が悪くなり、熱間圧延時の脆性
が悪化するため、0.01%以下とした。
【0023】sol.Alは、脱酸材および鋼中のNをAlNとして固
定するために使用するが、0.03%未満ではその効果が十
分でなく、また、0.10%を超えると効果が飽和するばか
りでなく、合金添加コストが上昇するため、0.03〜0.10
%とした。
【0024】Nは、AlNを形成してオーステナイトの微細化に
効果があるが、0.01%を超えると鋼板の脆化を引起し、
またCrNを形成してCrの効果を低減するため、0.01%以下
とした。
【0025】Crは、通常強度および焼入れ性を向上させるた
めに添加するが、0.50%未満では表面スケールが付着し
たまま焼鈍する際に、表層部の脱炭抑制および焼鈍後の
還元されたスケールの剥離性の向上効果が十分でなく、
また、1.5%を超えると効果が飽和するばかりでなく、合
金添加コストが上昇するため、0.50〜1.50%とした。
【0026】以上、必須成分について添加量の限定理由を説
明したが、機械的特性をより一層向上させるために、前
記合金元素以外に必要に応じて下記元素を添加すること
ができる。
【0027】Moは、焼戻し軟化抵抗を改善させる元素で、50
0℃付近の温度で焼戻しを行っても、ある程度の硬度を
保持しながら高靭性が得られ、耐摩耗性の改善にも寄与
するが、0.1%未満ではその効果が十分でなく、また、1.
0%を超えると効果が飽和し、合金添加コストが上昇する
ばかりでなく、母材硬度が高くなるため、0.1〜1.0%の
範囲で必要に応じて添加する。
【0028】Niは、焼入れ性を高めるとともに靭性を高める
効果があるが、0.1未満ではその効果が十分でなく、ま
た、2.0%を超えると効果が飽和し、母材硬度が高くな
り、また、合金添加コストが上昇するため、0.1〜2.0%
の範囲で必要に応じて添加する。
【0029】本発明における通常の条件での熱間圧延とは、
前記化学成分を規定した鋼のスラブを、1050〜1300℃に
加熱したのち、Ar3変態点以上の仕上温度で熱間圧延
し、巻取温度500℃以上700℃以下で巻取ることを意味す
る。
【0030】焼鈍時における軟化の度合いは、焼鈍温度と焼
鈍時間との組合せにより決定される。本発明において熱
延鋼板を焼鈍する際には、熱間圧延のままで焼鈍するた
め、熱間圧延時に発生した表面スケールが存在し、この
スケールを焼鈍後に簡単に除去できることが必要であ
る。焼鈍温度が低すぎるかあるいは焼鈍時間が短すぎる
場合は、十分な軟化が起こらないばかりでなく、鋼板表
面にスケールが密着したままであるため、焼鈍後に表面
のスケールを除去することが困難である。反対に、焼鈍
温度が高すぎるかあるいは焼鈍時間が長すぎる場合は、
軟化が十分に起こり、また、鋼板表面のスケールに関し
ては還元が進み除去性も良くなるが、鋼板の表面近傍で
脱炭が生じ、機械部品を作成した際、疲労強度の低下、
耐摩耗性の低下等の重要な問題を引き起こす。これらの
効果は、上記したように焼鈍温度と焼鈍時間の複合効果
となって現れる。
【0031】本発明者らが種々検討した結果、本発明におけ
る熱延鋼板の焼鈍温度は、600℃以上AC1変態点以下の温
度範囲とし、かつ、前記式(1)により求めた指数Zを使用
することにより、焼鈍温度と焼鈍時間の複合効果を一元
的に表現できることが判明した。そこで、この指数Zを
用いて試験データを整理した結果、図1に示すように、
指数Zが18未満では、十分な軟化が起こらずに硬度が高
く、鋼板表面にスケールが密着したままで、焼鈍後に表
面のスケール除去が困難である。また、前記指数Zが21
を超えると、鋼板表面の脱炭層が大きくなり、機械部品
を作成した際、疲労強度の低下、耐摩耗性の低下等の重
要な問題を引き起こす。このため、指数Zは、18〜21、
望ましくは19〜20の範囲に制御することにより、軟質
で、かつ焼鈍後の還元スケール除去性に優れた鋼板を製
造することができるとの結論に到達した。
【0032】熱延鋼板の焼鈍温度が600℃未満では、十分な
軟化が起こらないばかりでなく、鋼板表面のスケールが
密着したままとなる。また、AC1変態点を超えると、鋼
板の表面近傍で脱炭が生じ、機械部品を作成した際、疲
労強度の低下、耐摩耗性の低下等の重要な問題を引き起
こす。
【0033】したがって、熱延鋼板の焼鈍においては、焼鈍
温度を600℃以上AC1変態点以下の温度範囲から選択し、
かつ、前記式(1)における焼鈍温度(K)を、K=焼鈍温度
(℃)+273.15により求め、前記式(1)における指数Zが18
〜21、望ましくは19〜20となるよう、焼鈍時間を決定す
ればよい。
【0034】
【実施例】表1に示す化学成分の鋼No.1〜28の本発明鋼
を溶製したのち、連続鋳造を行ってスラブとなし、各ス
ラブを1050〜1300℃に加熱した後、Ar3変態点以上の仕
上温度で熱間圧延し、巻取温度500〜700℃で巻取り、板
厚10mmの熱延鋼板を製造した。各熱延鋼板は、酸洗する
ことなく、表2に示す温度範囲で、かつ、前記式(1)より
求めた指数Zを表2に示すように、19〜21の範囲に制御し
て焼鈍した。得られた焼鈍した各熱延鋼板から試験片を
採取し、JIS Z 2244に規定されているビッカース硬さ試
験方法に準じて母材硬度(Hv10kg)を測定するとともに、
JIS G 0558に規定されている鋼の脱炭層深さ測定方法に
準じて表面の脱炭層深さを測定した。その結果を表2に
示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】表1、表2に示すように、本発明の成分組成を満
足し、かつ焼鈍条件を満足させた鋼No.1〜28から製造し
た試験No.1〜28の鋼板は、母材硬度(Hv10kg)が140〜180
の範囲で、しかも表面の脱炭層深さが37μm以下に抑制
されている。
【0038】
【比較例】表3に示す化学成分の鋼No.31〜51の比較鋼を
溶製したのち、連続鋳造を行ってスラブとなし、各スラ
ブを1050〜1300℃に加熱した後、Ar3変態点以上の仕上
温度で熱間圧延し、巻取温度500〜700で巻取り、板厚10
mmの熱延鋼板を製造した。各熱延鋼板は、酸洗すること
なく、表4に示す温度範囲で、かつ、前記式(1)より求め
た指数Zを表4に示すように17〜22超の範囲に制御して焼
鈍した。得られた焼鈍した各熱延鋼板から試験片を採取
し、実施例と同様に母材硬度(Hv10kg)と表面の脱炭層深
さを測定した。その結果を表4に示す。
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】表3、表4に示すように、鋼No.31を用いた試験N
o.29は、C量が少ないため、本鋼材が使用される精密打
ち抜き用途に対して必要とされる母材硬度140〜180Hv10
kgが得られなかった。鋼No.32を用いた試験No.30は、焼
鈍温度、指数Zともに本発明の範囲外のため、精密打ち
抜き用途に対して必要とされる140〜180Hv10kgの母材硬
度が得られなかった。鋼No.33を用いた試験No.31は、Ni
添加による熱処理後の靭性向上を目指したものである
が、Ni添加量が本発明の範囲外のため、目的を達成でき
なかった。鋼No.34を用いた試験No.32は、Pが高すぎる
ため、熱処理後の靭性が悪化した。鋼No.35および39を
用いた試験No.33および37は、C量が多すぎるため、母材
硬度が180Hv10kgを超えており、精密打ち抜き性が悪化
した。
【0042】鋼No.36を用いた試験No.34は、S量が多すぎる
ため、熱間加工性が低下して熱間圧延時に表面疵が多発
した。鋼No.37を用いた試験No.35は、Si量が多すぎるた
め、母材硬度が180Hv10kgを超えており、精密打ち抜き
性が悪化した。鋼No.38を用いた試験No.36は、Cr量が少
ないため、焼鈍後に表面スケールが剥離せず、打ち抜き
時に非常な障害となった。鋼No.40を用いた試験No.38
は、Moの添加量が本発明範囲より多く、性能上は問題が
ないが、コスト高となった。鋼No.41を用いた試験No.39
は、sol.Al量が少なすぎるため、脱酸が不十分となっ
た。鋼No.42を用いた試験No.40は、焼鈍条件が過剰(指
数Z≧22)となったため、表面脱炭層の深さが100μmを超
えて部品としての性能を満たすことができなかった。鋼
No.43を用いた試験No.41は、Mn量が少なすぎたので、焼
入れ性が不足し、10mm厚の部品の板厚中央部では硬度が
十分に得られなかった。鋼No.44を用いた試験No.42は、
Mo添加により焼戻し後の靭性向上を目指したものである
が、Mo添加量が少なすぎたため目的を達成できなかっ
た。鋼No.45を用いた試験No.43は、Cr添加量が本発明範
囲より多く、性能上は問題がないが、コスト高となっ
た。
【0043】鋼No.46を用いた試験No.44は、N量が本発明範
囲より多く、スラブ段階での微小割れが発生し、鋼板で
の表面疵が多発した。鋼No.47を用いた試験No.45は、Mn
量が本発明範囲より多く、母材硬度が180Hv10kgを上回
り、精密打ち抜き性が悪化した。鋼No.48を用いた試験N
o.46は、Sol.Al添加量が本発明範囲より多く、性能上は
問題がないが、コスト高となった。鋼No.49を用いた試
験No.47は、焼鈍温度がAC1変態点を超えたため、表面脱
炭層の深さが100μmを超えて部品としての性能を満たす
ことができなかった。鋼No.50を用いた試験No.48は、Ni
添加量が本発明範囲より多く、性能上は問題がないが、
コスト高となった。鋼No.51を用いた試験No.49は、焼鈍
温度が600℃未満と低すぎるため、母材硬度が180Hv10kg
を上回り、精密打ち抜き性が悪化した。
【0044】
【0045】
【発明の効果】 本発明の酸洗工程を省略できる軟質な加
工用高炭素鋼板の製造法は、C:0.10〜0.50
%、Si:0.5%以下、Mn:0.50〜1.50
%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、so
l.Al:0.03〜0.10%、N:0.01%以下
およびCr:0.50〜1.50%を含み、必要に応じ
Mo:0.1〜1.0%、Ni:0.1〜2.0%のう
ちの1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避
的不純物よりなる鋼のスラブを、通常の条件で熱間圧延
して得た熱延鋼板を、600℃以上AC1変態点以下の温
度範囲で、かつ、前記式(1)で得た指数Zの範囲を1
8以上21以下とする焼鈍を施すことによって、酸洗を
行うことなく、軟質でかつ焼鈍後の還元スケール除去性
に優れた精密打ち抜き用の鋼板を製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の指数Z値と硬度(Hv10kg)との関係を示す
グラフである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−269619(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60 C21D 8/02 C21D 9/46

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.10〜0.50%、Si:0.
    5%以下、Mn:0.50〜1.50%、P:0.03
    %以下、S:0.01%以下、sol.Al:0.03
    〜0.10%、N:0.01%以下およびCr:0.5
    〜1.50%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純
    物よりなる鋼のスラブを、通常の条件で熱間圧延して得
    た熱延鋼帯を、600℃以上AC1変態点以下の温度範囲
    で、かつ、下記式(1)で得た指数Zの範囲を18以上
    21以下とする焼鈍を施すことを特徴とする酸洗工程を
    省略できる軟質な加工用高炭素鋼板の製造法。 Z={T×(20+Log t)}/1000……式(1) ただし、T:焼鈍温度(K)、t:焼鈍温度保持時間
    (Hr)
  2. 【請求項2】 C:0.10〜0.50%、Si:0.
    5%以下、Mn:0.50〜1.50%、P:0.03
    %以下、S:0.01%以下、sol.Al:0.03
    〜0.10%、N:0.01%以下およびCr:0.5
    〜1.50%を含み、かつMo:0.1〜1.0%、N
    i:0.1〜2.0%のうちの1種または2種を含有
    し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる鋼のスラ
    ブを、通常の条件で熱間圧延して得た熱延鋼帯を、60
    0℃以上AC1変態点以下の温度範囲で、かつ、下記式
    (1)で得た指数Zの範囲を18以上21以下とする焼
    鈍を施すことを特徴とする酸洗工程を省略できる軟質な
    加工用高炭素鋼板の製造法。 Z={T×(20+Log t)}/1000……式(1) ただし、T:焼鈍温度(K)、t:焼鈍温度保持時間
    (Hr)
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