JPH0723850U - トルクコンバータのロックアップ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 トルクコンバータのロックアップ装置におい
て、摩擦抵抗発生機構の部品点数を減らす。 【構成】 トルクコンバータ１のロックアップ装置６
は、円板状ピストン１０と、弾性連結機構１１と、摩擦
抵抗発生機構１２とを備えている。円板状ピストン１０
はフロントカバー２とタービン４との間に移動可能に配
置され、フロントカバー２に圧接可能である。弾性連結
機構１１は、円板状ピストン１０とタービン４とを円周
方向に連結する。摩擦抵抗発生機構１２は、円板状ピス
トン１０に固定された支持プレート２２と、タービン４
に一体回転するように係合し支持プレート２２に圧接す
るウエーブスプリング２１とを含み、ピストン１０とタ
ービン４とが相対回転するときに摩擦抵抗を発生させ
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ロックアップ装置、特に、トルクコンバータのフロントカバーとタ ービンとを機械的に連結するためのロックアップ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

トルクコンバータは、３種の羽根車（インペラ，タービン，ステータ）を内部 に有し、内部の流体によりトルクを伝達する装置である。インペラは入力側部材 に連結されたフロントカバーに一体的に連結されており、タービンは出力側に連 結される。そして、入力側部材からフロントカバー及びインペラにトルクが入力 されると、流体を介してタービンが回転させられ、そのトルクがタービンハブを 介して出力側部材に伝えられる。

【０００３】 一般に、トルクコンバータ内部において、フロントカバーとタービンとの間に は、両者を機械的に連結するためのロックアップ装置が配置されている。このロ ックアップ装置は、フロントカバーに圧接する円板状ピストンと、円板状ピスト ンとタービンとを円周方向に連結する弾性連結機構とから構成されている。この 弾性連結機構は、トーションスプリング等を含み、ピストンがフロントカバーに 圧接されたときに生じるショックを吸収するためのものである。

【０００４】 また、入力側の捩じり振動を減衰する目的で、ロックアップ装置に摩擦抵抗発 生機構を設けたものも提供されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

従来のロックアップ装置に設けられた摩擦抵抗発生機構は、主に、タービン側 に一体回転するように係合された板部材と、板部材をピストン側に付勢する弾性 部材と、弾性部材を支持する支持部材を備えている。このように、ロックアップ 装置の摩擦抵抗発生機構部分で部品点数が増えてしまう。

【０００６】 本考案の目的は、トルクコンバータのロックアップ装置において、摩擦抵抗発 生機構の部品点数を減らすことにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案に係るトルクコンバータのロックアップ装置は、入力側部材に連結され るフロントカバーと出力側部材に連結されるタービンとを備えたトルクコンバー タに用いられるものであり、円板状ピストンと、弾性連結機構と、摩擦抵抗発生 機構とを備えている。

【０００８】 前記円板状ピストンは、フロントカバーとタービンとの間に移動可能に配置さ れ、フロントカバーに圧接可能である。前記弾性連結機構は、円板状プレートと タービンとを円周方向に連結する。前記摩擦抵抗発生機構は、前記円板状ピスト ンに固定された固定部材と、タービンに一体回転するように係合し固定部材に圧 接する弾性部材を含み、ピストンとタービンとが相対回転するときに摩擦抵抗を 発生させる。

【０００９】

【作用】

本考案に係るトルクコンバータのロックアップ装置では、ロックアップ作動時 には、円板状ピストンがフロントカバー側に移動してフロントカバーに圧接され る。入力側部材から連結されたトルクは、フロントカバー、ロックアップ装置及 びタービンを介して出力側部材に直接伝えられる。ロックアップ装置に捩じり振 動が生じると、ピストンとタービンとが弾性連結機構を介して相対回転を繰り返 す。このとき、弾性部材が円板状プレートに固定された固定部材に圧接された状 態で摺動する。これにより発生する摩擦抵抗が、捩じり振動のエネルギーを減衰 する。そのため、出力側部材に捩じり振動が伝わるのが抑えられる。

【００１０】 このロックアップ装置においては、従来の板部材が省略され、弾性部材自らが 円板状プレート側の固定部材に圧接している。その結果、従来に比べて部品点数 が減少している。

【００１１】

【実施例】

図１は、本考案の一実施例によるロックアップ装置が採用されたトルクコンバ ータ１を示している。ここでは、Ｏ−Ｏがトルクコンバータの回転中心線であり 、図の左側にエンジン（図示せず）が配置され、図の右側にトランスミッション （図示せず）が配置されている。

【００１２】 トルクコンバータ１は、フロントカバー２と、フロントカバー２の外周壁２ａ に固定されたインペラシェル３ａとで作動油室を形成している。インペラシェル ３ａは内周端部がインペラハブ３ｃに固定されている。また、フロントカバー４ には、複数のナット３０が固定されている。このナット３０にエンジン側のフレ キシブルプレート（図示せず）が固定されるようになっている。また、フロント カバー４には、リングギア３１が固定されている。さらに、フロントカバー２の 外周部内壁には、平坦な摩擦面２ｂが形成されている。

【００１３】 トルクコンバータ１内の作動油室内には、インペラ３、タービン４及びステー タ５からなるトルクコンバータ本体と、ロックアップ装置６とが配置されている 。 インペラシェル３ａの内部には複数のインペラブレード３ｂが固定されており 、両者によりインペラ３が形成されている。インペラ３と対向する位置にはター ビン４が配置されている。タービン４は、タービンシェル４ａとタービンシェル ４ａの内部に固定された複数のタービンプレート４ｂとにより構成されている。 タービンシェル４ａの内周端部は、タービンハブ７のフランジ部７ａにリベット ８により固定されている。タービンハブ７は、内周部に出力軸（図示せず）と係 合するスプライン孔７ｂを有している。

【００１４】 インペラ３の内周部とタービン４の内周部との間にはステータ５が配置されて いる。ステータ５は、タービン４からインペラ３へと戻される作動油の流れ方向 を調整するものであり、円環状のステータキャリア５ａと、ステータキャリア５ ａの外周面に形成された複数のステータブレード５ｂとから構成されている。ス テータ５の内周部には、ワンウエイクラッチ機構９が配置されている。

【００１５】 ロックアップ装置６は、フロントカバー２とタービンシェル４ａとの間に配置 されており、主に、円板状ピストン１０と、弾性連結機構１１と、摩擦抵抗発生 機構１２とから構成されている。 円板状ピストン１３の外周端には、フロントカバー２の摩擦面２ｂと対向する 面に環状の摩擦部材１５が接着されている。ピストン１３は、外周側端部にトラ ンスミッション側（図１の右方）に延びる筒状の外周壁１０ａを有しており、内 周側端部に同じくトランスミッション側に延びる筒状の内周壁１０ｂを有してい る。ピストン１０の内周壁１０ｂは、タービンハブ７の外周面に軸方向及び円周 方向に摺動自在に支持されている。

【００１６】 弾性連結機構１１は、ピストン１０の外周壁１０ａの内側に配置されている。 弾性連結機構１１は、円板状のリテーニングプレート１６と、複数のトーション スプリング１７と、ロックリング１８とから主に構成されている。リテーニング プレート１６は、内周部がリベット２０によりピストン１０に固定されている。 リテーニングプレート１６は、円環状に延びる筒部１６ａを外周部に有しており 、筒部１６ａ内に円周方向に延びる姿勢の複数のトーションスプリング１７を収 容している。また、各トーションスプリング１７の円周方向両端部は、リテーニ ングプレート１６に形成された折曲げ爪１６ｂに支持されている。

【００１７】 ロックリング１８は、例えばスポット溶接によりタービンシェル４ａの背面（ ピストン１０側の面）に固定されている。図４から明らかなように、ロックリン グ１８の内周部には、第１折曲げ爪１８ａと第２折曲げ爪１８ｂが交互に形成さ れている。第１折曲げ爪１８ａは、第２折曲げ爪１８ｂより半径方向外側により 深く折曲げられている。この第１折曲げ爪１８ａは、トーションスプリング１７ の円周方向両端部に係止している。このようにして、ピストン１０とタービンシ ェル４ａとは、弾性連結機構１１のリテーニングプレート１６、トーションスプ リング１７及びロックリング１８を介して円周方向に弾性的に連結されている。 なお、ロックリング１８の第２折曲げ爪１８ｂは、後述する摩擦抵抗発生機構１ ２に係止している。

【００１８】 摩擦抵抗発生機構１２は、主に、ウエーブスプリング２１と、支持プレート２ ２とから構成されている。支持プレート２２は、リベット２０のタービン４側に 固定されている。ウエーブスプリング２１は、リテーニングプレート１６の内周 端１６ｃと支持プレート２２との間に配置されている。ウエーブスプリング２１ の外周端には、タービン４側に延びる複数の突起２１ａが円周方向に等間隔で形 成されている。この突起２１ａは、ロックリング１８の第２折曲げ爪１８ｂ間に 挟まれている。これにより、ウエーブスプリング２１は、ロックリング１８に対 して軸方向に移動可能であるが円周方向には移動不能に係止されている。ウエー ブスプリング２１は、リテーニングプレート１６の内周端１６ｃに当接する側の 部分に、円周方向に延びる長孔２１ｂを有している。この長孔２１ｂ内にリベッ ト２０の胴部が貫通している。以上の構成により、ピストン２０及び支持プレー ト２２とが、ウエーブスプリング２１に対して所定角度内で相対回転可能になっ ている。なお、リベット２０がウエーブスプリング２１に形成された長孔２１ｂ 内で移動できる距離が、トーションスプリング１７がリテーニングプレート１６ とロックリング１８の第１折曲げ爪１８ａとの間で圧縮される距離より短く設定 されておれば、リベット２０はストッパーとして機能している。

【００１９】 次に、上述の実施例の動作について説明する。 エンジン側のクランクシャフトからのトルクは、トルクコンバータ１のフロン トカバー２に伝達され、これによりフロントカバー２及びインペラ３が回転し、 このトルクは作動油を介してタービン４に伝達される。タービン４からインペラ ３へと戻る作動油の流れはステータ５により調整される。そして、タービン４の トルクはタービンハブ７を介して出力軸（図示せず）に伝達される。

【００２０】 出力軸（図示せず）が一定回転速度になると、トルクコンバータ１内の作動油 室の油圧が高められるとともに、フロントカバー２とピストン１０との間の作動 油がドレンされ、その結果ピストン１０がフロントカバー２側に押し付けられる 。すると、ピストン１０の摩擦部材１５がフロントカバー２の摩擦面２ｂに圧接 される。この結果、フロントカバー２のトルクは、ピストン１０から弾性連結機 構１１を介してタービン４に伝達される。つまり、フロントカバー２のトルクは 、タービン４を介して機械的に出力軸（図示せず）に伝わる。したがって、エネ ルギーロスが少なくなり燃費のよい状態が得られる。

【００２１】 また、ロックアップ動作中に、ロックアップ装置６に捩じり振動が生じると、 ピストン１０とタービン４とが弾性連結機構１１を介して相対回転を繰り返す。 この間、トーションスプリング１７は伸縮し、ウエーブスプリング２０はリテー ニングプレート１６の内周端１６ｃ及び支持プレート２２に対して摩擦摺動する 。そのため、ウエーブスプリング２１の両側で摩擦抵抗が発生し、捩じり振動の エネルギーを減衰する。

【００２２】 この摩擦抵抗発生機構１２では、タービン４側に係合するウエーブスプリング ２１が、ピストン１０に固定されたリテーニングプレート１８及び支持プレート ２２に対して直接圧接している。そのため、従来のようにプレート及び摩擦部材 等を別個に用いる必要がない。このようにして、この摩擦抵抗発生機構１２では 、部品点数が減少している。

【００２３】 他の実施例として、ウエーブスプリングの代わりに他の弾性部材、たとえばコ ーンスプリングを用いてもよい。

【００２４】

【考案の効果】

本考案に係るトルクコンバータのロックアップ装置では、従来の板部材が省略 され、弾性部材が自ら円板状プレート側のプレートに圧接している。その結果、 従来に比べて部品点数が減少している。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例が採用されたトーションスプ
リングの縦断面概略部分図。

【図２】図１の部分拡大図。

【図３】ウエーブスプリングの部分斜視図。

【図４】ロックリングの部分斜視図。

【符号の説明】

１ トルクコンバータ ２ フロントカバー ４ タービン ６ ロックアップ装置 １０ 円板状ピストン １１ 弾性連結機構 １２ 摩擦抵抗発生機構 ２１ ウエーブスプリング ２２ 支持プレート

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】入力側部材に連結されるフロントカバーと
   出力側部材に連結されるタービンとを備えたトルクコン
   バータのロックアップ装置であって、 前記フロントカバーと前記タービンとの間に移動可能に
   配置され、前記フロントカバーに圧接可能な円板状ピス
   トンと、 前記円板状ピストンと前記タービンとを円周方向に連結
   する弾性連結機構と、 前記円板状ピストンに固定された固定部材と、前記ター
   ビンに一体回転するように係合し前記固定部材に圧接す
   る弾性部材とを含み、前記ピストンと前記タービンとが
   相対回転するときに摩擦抵抗を発生させる摩擦抵抗発生
   機構と、 を備えたトルクコンバータのロックアップ装置。