JPH07233409A - 含クロム溶鋼の精錬法 - Google Patents
含クロム溶鋼の精錬法Info
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Abstract
錬を行う含クロム溶鋼の精錬法において、溶鋼温度の制
御を行うことによって、効率よく脱炭を行い、安定した
精錬を実施する含クロム溶鋼の精錬法を提供する。 【構成】 真空度300Torr以下とする真空精錬下
で、吹込みガスとして酸素ガスと不活性ガスとの混合ガ
スを〔C〕濃度0.05mass%以上の領域で吹込
み、溶鋼温度を1640℃以上に保持する。 【効果】 真空精錬で問題となる溶鋼温度の低下を極力
抑え、溶鋼中〔Cr〕の酸化を抑えることで効率的な精
錬が可能となる。
Description
気圧精錬後、真空精錬を行う含クロム溶鋼の脱炭精錬に
おいて、真空精錬時の溶鋼中の〔Cr〕の酸化を抑え、
効率よく脱炭を行い、安定した精錬を行う含クロム溶鋼
の精錬法に関する。
以上のクロムを含むような含クロム溶鋼の脱炭法として
は、浴面下より酸素ガスまたは酸素ガス(以下、単に酸
素という)と不活性ガスの混合ガスを吹込むAOD法が
広く用いられている。AOD法は脱炭が進行し、溶鋼中
の〔C〕濃度が低下してくると〔Cr〕が酸化されやす
くなることから、〔C〕濃度の低下に伴い吹込みガス中
のArガスのような不活性ガスの比率を高くし、酸素の
比率を低くして、〔Cr〕の酸化を抑える方法が採られ
ている。しかし、低〔C〕濃度域では脱炭速度が低下す
るために所望の〔C〕濃度に到達するのに長時間を要
し、かつ吹込みガス中の不活性ガスの比率が高いため
に、不活性ガスの消費量が大幅に増大することから経済
的にも不利になる。
促進する方法として、真空精錬法の利用が挙げられる。
例えば、特公昭60−10087号公報には、高クロム
・ステンレス鋼を0.03mass%以下の低〔C〕濃
度域まで脱炭するために、大気圧下での酸素による脱炭
を〔C〕=0.2〜0.4mass%まで行い、その後
は非酸化性ガスによる攪拌は続けるが酸素吹込みは停止
し、鋼浴上の圧力を約10Torrまで連続的に低下さ
せてボイリングを起こさせることによって所望の脱炭を
行う方法が記載されている。
給を止めるために、〔Cr〕の酸化による損失は少なく
なるが、急激な真空精錬の適用により、COガスを大量
に発生し、爆発の危険を招く。この対策として、真空吸
引をゆるやかにすれば爆発の危険はなくなるが、経過時
間が長くなって溶鋼温度が低下し、かつ反応が遅くな
る。また、圧力を10Torr以下の高真空にすれば、
溶鋼のスプラッシュが激しくなり、合金材料投入用ホッ
パーの閉塞などの問題が生じる。
開平3−68713号公報および特開平4−25450
9号公報記載の方法が提案されている。これらに記載さ
れている含クロム溶鋼の精錬方法は〔C〕濃度0.2〜
0.05mass%までは吹込みガスとして非酸化性ガ
スと酸素の混合ガスを使用し、〔C〕濃度がこの範囲内
に低下した後は、200〜15Torrに減圧し、かつ
吹込みガスとして非酸化性ガスのみを使用するというも
のである。該方法は比較的低〔C〕濃度域まで大気圧下
で精錬を行うために、〔Cr〕の酸化損失が大きくな
る。また、真空下での脱炭は不活性ガスのみを用いるこ
とで〔Cr〕の酸化は抑えられるが、脱炭の酸素源は溶
鋼中の〔O〕あるいはスラグ中の酸素となり、酸素の供
給速度が遅くなるために脱炭速度の低下を招く。また、
溶鋼温度の制御が不可能なために、真空精錬の開始時の
溶鋼温度が低い場合には脱炭の停滞を招き、効率的な脱
炭精錬法とはいえない。
器を用いて大気圧精錬後、真空精錬を行う含クロム溶鋼
の脱炭精錬において、真空精錬時に吹込むガスの条件、
真空精錬を開始する〔C〕濃度および真空精錬時の真空
度を好適な範囲に維持し、かつ溶鋼温度を制御すること
により溶鋼中の〔Cr〕の酸化を抑え、効率よく脱炭を
行い、併せて還元用Si原単位の低減、精錬時間の短縮
および極低炭素濃度鋼の精錬を可能にする含クロム溶鋼
の精錬法を提供することを目的とするものである。
利に解決したものであり、その要旨とするところは、下
記のとおりである。 (1)同一の精錬容器を用いて大気圧精錬後、真空精錬
を行う含クロム溶鋼の精錬法において、前記真空精錬の
真空度を300Torr以下とし、かつ酸素ガス比率を
5%以上、45%以下とする酸素ガスと不活性ガスとの
混合ガスを〔C〕濃度0.05mass%以上の領域で
溶鋼に吹込み、該溶鋼の温度を1640℃以上に保持す
ることを特徴とする含クロム溶鋼の精錬法。
〔C〕濃度が0.06mass%以上、0.25mas
s%以下であることを特徴とする前記(1)記載の含ク
ロム溶鋼の精錬法。 以下本発明について詳細に説明する。本発明の含クロム
溶鋼の脱炭精錬は、〔C〕濃度が0.06mass%以
上、0.25mass%以下の範囲において、図1に例
示するような精錬容器を用いて行う精錬方法である。精
錬容器1内で含クロム溶鋼4中に底吹き羽口2を通し
て、精錬ガス5を吹き込む。また、精錬容器1は脱着可
能な排気フード3を有しており、300Torr以下の
減圧が可能である。
脱炭精錬において、真空度300Torr以下の真空精
錬下で、吹込みガスとして酸素と不活性ガスの混合ガス
を用いることで、溶鋼温度を1640℃以上に保持し、
溶鋼中〔Cr〕の酸化を抑え、脱炭速度を高位に保つこ
とが可能であることに着目したものである。図2にSU
S304ステンレス鋼を酸素比率5〜45%の酸素ガス
とArガスとの混合ガスで処理した場合の真空精錬時の
真空度と〔Cr〕酸化指数の関係を示す。なお、〔C
r〕酸化指数は真空度300Torrにおける溶鋼中
〔Cr〕の平均の酸化量を1.0として指数化した値で
ある。また、真空処理の〔C〕濃度範囲は0.05〜
0.25mass%であり、溶鋼温度は1640〜17
20℃の範囲であった。図2より真空度が300Tor
rを超えると急激に〔Cr〕酸化量が大きくなることか
ら、真空精錬時の真空度は300Torr以下とする必
要があることがわかる。また、真空精錬の開始時は溶鋼
のスプラッシュやボイリングが避けられないことから、
できるだけこれらを抑えるために徐々に真空度を下げて
いくことが好ましい。
精錬後、真空精錬を行った場合の真空精錬の吹込みガス
の酸素ガス比率と〔Cr〕酸化指数の関係を示す。な
お、〔Cr〕酸化指数は酸素ガス比率45%における溶
鋼中〔Cr〕の平均の酸化量を1.0として指数化した
値である。また、真空処理時の真空度は300Torr
以下であり、〔C〕濃度範囲は0.05〜0.25ma
ss%であり、溶鋼温度は1640〜1720℃の範囲
であった。図3より混合ガスの酸素ガス比率が45%を
超えると急激に〔Cr〕酸化量が大きくなることから、
酸素ガス比率は45%以下とする必要があることがわか
る。また、酸素ガス比率5%未満では〔Cr〕酸化量は
小さいが、この場合は酸素の供給が全てスラグあるいは
溶鋼中〔O〕となるために精錬中、溶鋼温度が急激に低
下する。溶鋼温度の制御を可能にするためには5%以上
の酸素を含む混合ガスの吹込みが必要である。したがっ
て、吹き込みガスとしては酸素を5%以上、45%以下
含む不活性ガスとの混合ガスが必要である。
精錬後、真空精錬を行った場合の真空精錬時の平均溶鋼
温度と〔Cr〕酸化指数の関係を示す。なお、〔Cr〕
酸化指数は溶鋼温度1640℃における溶鋼中〔Cr〕
の平均の酸化量を1.0として指数化した値である。ま
た、真空処理時の真空度は300Torrであり、
〔C〕濃度範囲は0.05〜0.25mass%であっ
た。図4より溶鋼温度1640℃以上では〔Cr〕酸化
が抑えられ、安定した精錬が可能であることがわかる。
この溶鋼温度を1640℃以上に保持するには、真空精
錬では精錬容器からの抜熱および溶鋼表面からの抜熱が
大きいので、吹込みガスに酸素を含む混合ガスを使用す
る必要があり、その比率として、前記の5%以上、45
%以下とする必要がある。なお、溶鋼温度は高い方が
〔Cr〕酸化は小さくなるが、高すぎると精錬容器の耐
火物の損耗が激しくなるために、溶鋼温度としては17
20℃以下が好ましい。
〔C〕濃度0.05mass%未満では〔Cr〕酸化が
大きくなること、および脱炭する〔C〕量が小さいこと
から、〔C〕濃度0.05mass%以上とする必要が
ある。また、真空精錬を開始する〔C〕濃度は、高すぎ
ると真空精錬の負荷が増大して溶鋼のスプラッシュやボ
イリングによるロスが大きくなること、低すぎると真空
精錬の効果が享受できず大気圧精錬でのロスが大きくな
ることから、〔C〕濃度範囲として0.06mass%
以上、0.25mass%以下とする必要がある。
え、効率よく含クロム溶鋼の精錬を行うには、〔C〕濃
度0.06mass%以上、0.25mass%以下の
範囲で真空精錬を適用し、真空度300Torr以下
で、吹込みガスとして酸素を5%以上、45%以下含む
不活性ガスとの混合ガスを吹込み、溶鋼温度を1640
℃以上とすることが効果的である。
略予測できることから、粗溶鋼の装入時の溶鋼組成およ
び溶鋼温度を把握し、真空精錬を開始する時期を決定す
る。また、真空精錬中は〔C〕濃度および溶鋼温度を把
握し、かつ炉内状況を観察しながら、ガス吹込み条件お
よび真空度の条件を決定することが可能である。特に溶
鋼温度が低めの場合には、吹込みガスの酸素比率を高く
して温度低下を防止するような操業が可能である。該操
業方法により、溶鋼のスプラッシュの大量発生は防止可
能であり、安定した操業が可能である。
一旦式で表される反応でクロム酸化物(Cr2 O3 )
を生成し、その後式で表される脱炭反応が進行するも
のと考えられる。なお、式の反応平衡定数Kは式で
表される。 2Cr+3/2O2 (g)=(Cr2 O3 ) … (Cr2 O3 )+3C=2Cr+3CO(g) … K=acr203 ・ac 2 /acr 2 ・PCO 3 … ここで、acr203 はスラグ中(Cr2 O3 )の活量、a
c は溶鋼中〔C〕の活量、acrは溶鋼中〔Cr〕の活
量、PCOは雰囲気中のCOガス分圧を示す。
的に求め、式を提示している。 log(〔Cr〕・PCO/〔C〕=−13800/T+8.76… ここで、Tは溶鋼温度(K)を示す。式の関係より、
〔Cr〕濃度が一定の場合、脱炭を効率的に進めるに
は、〔C〕濃度に合わせてPCOおよびTを制御すればよ
いことがわかる。真空精錬では、精錬容器内の真空度P
は雰囲気中のCOガス分圧Pcoと比例関係にある。した
がって、精錬容器内の真空度の制御によってPcoを制御
することができる。本発明者らは〔C〕濃度0.06m
ass%以上、好ましくは0.25mass%以下の範
囲において真空精錬の適用を開始し、かつ上限の真空度
を300Torrとすることによって〔Cr〕酸化を抑
制した効率的な脱炭が可能であることを見出した。ま
た、溶鋼温度については、1640℃以上にすることで
効率的な脱炭が可能であることを見出した。真空精錬で
は、大気圧精錬に比べ溶鋼表面からの抜熱および精錬容
器からの抜熱が大きい。従来の方法では、真空精錬時は
不活性ガスのみの吹込みで、式の反応を進行させてい
た。式の反応は吸熱反応であり、さらに温度降下が大
きくなり、脱炭時に溶鋼温度を1640℃以上に保持す
るためには真空精錬の開始時の溶鋼温度を1720℃以
上の超高温にするか、開始〔C〕濃度を下げるしか手段
がなく、効率的ではなかった。本発明者らは、吹込みガ
スに酸素を混合することで、大きな発熱反応である式
の反応を進行させ、温度制御を可能とし、真空精錬時の
溶鋼温度を1640℃以上とすることを可能とした。
i−18mass%Cr)で目標〔C〕濃度0.03m
ass%以下が要求される鋼60tonの処理を図1に
示す実施態様で実施した。脱炭開始時の〔C〕濃度は全
て1.5mass%とし、真空精錬を開始するまでは酸
素または酸素と不活性ガスの混合ガスを用いて精錬を行
った。真空精錬では開始〔C〕濃度、溶鋼温度を種々変
化させるとともに、真空度および吹込みガスの酸素比率
を変化させた。真空精錬での酸素の吹込みは〔C〕濃度
0.05mass%で終了させ、その後、Arガスのみ
を吹込みながら、大気圧精錬で酸化した〔Cr〕を還元
するために、還元剤としてFe−Siを添加して、目標
〔C〕濃度までの脱炭および還元を実施した。その後、
大気圧状態に戻すとともに成分調整を行い、取鍋に出鋼
した。なお、真空精錬時の全ガス供給速度は溶鋼トン当
たり0.1〜0.5Nm3 /minの範囲で行った。
空精錬の精錬条件の実施例を示す。本発明の実施例は、
先に示した条件を満足するようにして実施した。比較例
のNo.7およびNo.8は真空精錬の開始〔C〕濃度
が本発明の条件外の例、No.9は真空度が本発明の条
件外の例、No.10およびNo.11は吹込みガスの
酸素比率が本発明の条件外の例、No.12は溶鋼温度
が本発明の条件外の例である。
例のNo.1の結果を100として、比例換算した値で
ある。本発明例ではガスコスト、還元用Si原単位、精
錬時間および精錬コストとも低位に安定した値となって
いる。一方、比較例では表中の値のいずれかが110を
超えており、効率的な精錬が達成されていない。
クロム溶鋼の大気圧精錬後の真空精錬において、溶鋼温
度の制御を可能とし、溶鋼中〔Cr〕の酸化を抑え、効
率的な脱炭が可能となり、安定した精錬が達成できるた
めに、精錬コストの大幅な低減が可能となる。
る。
図である。
限の限定理由を示す図である。
す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 同一の精錬容器を用いて大気圧精錬後、
真空精錬を行う含クロム溶鋼の精錬法において、前記真
空精錬の真空度を300Torr以下とし、かつ酸素ガ
ス比率を5%以上、45%以下とする酸素ガスと不活性
ガスとの混合ガスを〔C〕濃度0.05mass%以上
の領域で溶鋼に吹込み、該溶鋼の温度を1640℃以上
に保持することを特徴とする含クロム溶鋼の精錬法。 - 【請求項2】 前記真空精錬を開始する時の溶鋼の
〔C〕濃度が0.06mass%以上、0.25mas
s%以下であることを特徴とする請求項1記載の含クロ
ム溶鋼の精錬法。
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---|---|---|---|
JP02456494A JP3439517B2 (ja) | 1994-02-22 | 1994-02-22 | 含クロム溶鋼の精錬法 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP02456494A Expired - Lifetime JP3439517B2 (ja) | 1994-02-22 | 1994-02-22 | 含クロム溶鋼の精錬法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP3439517B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002212625A (ja) * | 2001-01-17 | 2002-07-31 | Daido Steel Co Ltd | 含クロム溶鋼の脱炭方法 |
WO2003004707A1 (en) * | 2001-07-02 | 2003-01-16 | Nippon Steel Corporation | Method for decarbonization refining of chromium-containing molten steel |
-
1994
- 1994-02-22 JP JP02456494A patent/JP3439517B2/ja not_active Expired - Lifetime
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EP1403387A1 (en) * | 2001-07-02 | 2004-03-31 | Nippon Steel Corporation | METHOD FOR DECARBONIZATION REFINING OF CHROMIUM−CONTAINING MOLTEN STEEL |
JPWO2003004707A1 (ja) * | 2001-07-02 | 2004-10-28 | 新日本製鐵株式会社 | 含クロム溶鋼の脱炭精錬方法 |
US6830606B2 (en) | 2001-07-02 | 2004-12-14 | Nippon Steel Corporation | Method for decarbonization refining of chromium-containing molten steel |
EP1403387A4 (en) * | 2001-07-02 | 2008-07-02 | Nippon Steel Corp | METHOD OF DEHYDRATING CHROME-CONTAINING MELT-LIQUID STEEL |
JP2010133030A (ja) * | 2001-07-02 | 2010-06-17 | Nippon Steel Corp | 含クロム溶鋼の減圧脱炭精錬方法 |
JP4532106B2 (ja) * | 2001-07-02 | 2010-08-25 | 新日本製鐵株式会社 | 含クロム溶鋼の脱炭精錬方法 |
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