JP2850546B2 - 高クロム鋼の精錬方法 - Google Patents
高クロム鋼の精錬方法Info
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Description
鋼を極低炭素量まで脱炭するための精錬方法に関する。
れているAODプロセスは、脱炭が進んで溶鋼中のC濃
度が低下してくるとCrが酸化されやすくなるから、精
錬のために吹き込むガスの中のArの比率を高くしO2
の比率を低くして、Crの損失が少なくなるようにして
いる。
て所望のC濃度に到達するまでに長時間を要する上に、
吹込ガス中のArの比率を高めれば、当然にArの消費
が増えて不経済である。
2ガスを使用することが行われているが、適用できる鋼
種に制約がある。
2を用いるにせよ、低C領域における脱炭を促進する方
策として、真空精錬法の利用がある。 たとえば特公昭
60−10087に記載の方法は、高クロムステンレス
鋼を0.03%以下の低炭素量に精錬するために、常圧
でO2による脱炭をC:0.2〜0.4%まで行ない、
その後は、非酸化性ガスによる撹拌は続けるがO2の吹
き込みは停止し、鋼浴上の圧力を約10Torr以下まで連
続的に低下させボイリングを起こさせることによって、
所望の脱炭を行なうものである。
らO2の供給を止めるから、Crの酸化による損失がそ
れだけ少なくて済むものの、急激な真空の適用はCOガ
スの大量発生をひきおこし、爆発の危険を招く。 真空
吸引をゆるやかにすれば危険はなくなるが、経過時間が
長くなって鋼浴温度が低下すれば反応が遅くなるとい
う、別の悩みが出てくる。 また、圧力を10Torr以下
という低圧にすれば、溶鋼のスプラッシュが激しくなっ
て、合金材料投入用ホッパーが閉塞するなどの問題が生
じる。 そのため、この方法においては、脱炭の間に酸
化されたCrを回収するために還元剤の添加を最終的な
脱炭と同時に行なうことは、事実上不可能である。 脱
炭終了後に還元剤を添加すればCr回収はできるが、精
錬時間は長くなる。
は、高クロム溶鋼の脱炭精錬において、真空の適用によ
る脱炭の促進を、COガスの大量発生がひきおこす爆発
の危険を招くことなく、実現する精錬方法を提供するこ
とにある。
シュを実際上差し支えのない程度に抑えて、還元剤の添
加によるCr回収を最終的な脱炭と同時に行なうことを
可能にした精錬方法を提供することにある。
精錬方法は、基本的には、図1に示すように、精錬容器
(1)内で高クロム鋼の溶鋼(2)中にガス(3)を吹
き込んで脱炭を行なう精錬方法において、溶鋼中のC濃
度が0.15〜0.05%に低下するまでは、吹込ガス
として非酸化性ガスとO2との混合ガスを使用し、C濃
度がこの範囲内に低下した後は、容器内を200〜15
Torrに減圧するとともに、吹込ガスとして非酸化性ガス
のみを使用することを特徴とする。
い態様は、上記した基本的な方法に対して、C濃度が
0.15〜0.05%に低下した後の精錬段階におい
て、溶鋼に還元剤を添加してクロム酸化物を還元し、ク
ロムを回収することを付加した精錬方法である。
に、非酸化性ガスたとえばArとO2との混合ガスを吹
き込むと、溶鋼はガス(3)による撹拌を受け、その間
にO2による脱炭が進む。 C濃度が0.15〜0.0
5%に低下したならば、O2の供給を止め、非酸化性ガ
スの吹き込みを続けるとともに、真空吸引を行なって、
鋼浴上の圧力を200Torr以下15Torrまでの範囲に向
けて低下させる。
のレベルで真空を適用すると、多量のCOガスが発生し
(主として Cr2O3+C→3CO↑+2Cr の反応
によると考えられる)、精錬容器の上部空間または排ガ
スダクト内でO2と反応して爆発するおそれがある。
いうまでもなく爆発は、作業者の安全を確保し、装置の
損傷を避ける上で防がなければならない。 こうした爆
発の危険が実質上なくなるC濃度が、0.15%または
それ以下である。
間に行なうべきであって、低炭素領域まで大気圧下のO
2脱炭を続けると、Crの酸化量が多くなって、後の工
程で還元剤を多量に投入する必要が生じて不利になる。
図2は、既知のAODプロセスに従って高クロム溶鋼
にAr−O2混合ガスを吹き込んで脱炭を行なったの
ち、Fe−Si(フェロシリコン)を還元剤として添加
してCrを還元回収する場合の、C濃度とSi原単位と
の関係を示すグラフであって、C:0.05%未満では
Siの必要量が高い。 真空の適用をはじめるのに好適
なC濃度範囲は、0.15〜0.10%である。
では、溶鋼中のC成分によるCr酸化物の還元すなわち
脱炭およびCr回収が促進されないので、200Torr以
下にする必要がある。 一方で、急激な真空吸引は、そ
の負荷に耐えられる大容量の真空装置を要するという問
題を別にしても、前述のように急激なCOの発生による
溶鋼とスラグの過度の撹拌およびスプラッシュの発生と
いう困難を招くから、200Torr以下の目標に向けて、
適切な減圧速度をもって真空吸引を実施する。15Torr
の下限は、適切な減圧速度を実現するとともに、その圧
力下でスプラッシュが実際上許容し得る限度に止まると
いう理由から定めたものである。
した溶鋼中のC成分によるCr酸化物の還元、言い換え
ればCr酸化物による脱炭の速度に影響を与えないこと
がわかった。 つまり、Fe−Siなどの添加は、前記
の反応による脱炭およびCr酸化物の還元と並行してC
r回収を進めるものであって、真空精錬に要する時間を
短縮する効果もある。
る脱炭から真空下の非酸化性ガスだけの吹き込みによる
脱炭への精錬機構の切り換えを適切なC濃度レベルで行
ない、かつ真空吸引の速度および真空度の到達目標を適
切にえらぶことによって、COガスの急激な発生を避け
るとともに過大なスプラッシュを防いで、効率よく短時
間で脱炭およびCr回収を行なうことができる。 過大
なスプラッシュの防止は、還元剤の投入作業を可能にし
てCr回収の度合を高める。
空吸引を可能にする真空フ−ド(4)を設けた精錬容器
(1)を使用し、C:1.20%およびCr:18.2
%を含有する高クロム溶鋼の脱炭精錬を行なった。
の比を、まず6/1、次は3/1、さらに1/1と変化
させながら、20分間にわたって行なった。 それによ
り、C濃度は0.15%に、Cr量は17.2%に減少
した。
は0.3Nm3/分・溶鋼トン)て撹拌を続け、容器に蓋
をして気密に保ち、真空吸引を開始した。 真空精錬の
時間は5分間で、吸引開始後1分20秒ほどで容器内の
圧力は90Torrに低下し、以後、その圧力に保った。
C濃度は0.04%まで低下したが、この間のCrの酸
化損失は実質上認められなかった。
き、容器内を大気圧に戻してFe−Siを投入し、Ar
ガスによる撹拌をさらに5分間続けた。 この還元操作
により、溶鋼中のC含有量は再び18.2%に回復し
た。
の開始と同時に、還元剤Fe−Siを投入した。これ
は、真空フ−ドに外気を遮断した還元剤投入装置(図示
してない)をとりつけておき、真空吸引を開始したとこ
ろでこの装置を作動させることによって実施した。
鋼トンの割合で吹き込んで撹拌し、真空度90Torrで操
業して、同じ脱炭(C:0.04%)およびCr回収
(18.2%まで回復)の成績を得た。
いて、C濃度が0.13%に低下したのち0.04%に
至るまでの段階における、平均の脱炭速度定数を測定し
た。
2混合ガスを使用。 (Ar/O2=3/1)吹込量1.
0Nm3/分・溶鋼トン 実施例A:実施例1において、到達真空度100Torrで
操業。 Arガス吹込量0.3Nm3/分・溶鋼トン 実施例B:実施例3において、還元剤Fe−Siを種々
の割合で投入した。クロム酸化物を還元するのにちょう
ど必要な量を、還元剤添加指数1であらわした。到達真
空度およびArガス吹込量は実施例Aと同じ。
錬によって高い脱炭速度指数が得られたこと、および還
元剤の投入によるCr酸化物の還元が脱炭速度に影響を
与えないことが、図のグラフからわかる。
の、精錬開始時、真空精錬移行時および終了時(還元処
理後)にわたる推移をまとめて、還元剤添加指数の値と
ともに示すと、表1のとおりである。
化物を完全に還元するには足らないにもかかわらず、ほ
ぼ全量の還元回収ができていることがわかる。 これに
は、溶鋼中のCによるCr酸化物の還元が寄与している
ものと思われる。
Bの方法をSUS304鋼の精錬に適用した場合の、ガ
スおよび還元剤の原単位を、精錬に要した時間とともに
対比して指数で(従来技術を基準にとった)示せば、下
記の表2のようになる。
合ガス(O2/Arを、前記と同様に、まず6/1、次
に3/1、最後は1/1とした)の吹き込み20分間に
続いて、O2/Ar=1/3の混合ガスの吹き込み(流
量は1Nm3/分・溶鋼トン)9分間を行なって、C濃度
が0.04%になるまで脱炭し(この間にCr含有量は
16.9%まで低下)、ついで還元剤Fe−Siを投入
してArガス撹拌を5分間続け、Crの還元回収をはか
る(18.2%に回復)プロセスを実施した。
を、実施例3の手法に従って、真空精錬を開始する、C
濃度、真空度、および撹拌用の非酸化性ガスを変えて実
施した。 いずれの場合も、還元剤Fe−Siを添加し
た。 結果は表3のとおりで、良好な成績を確認でき
た。
のAr+O2混合ガスによる精錬をC濃度0.25%で
中止して真空精錬に移行したところ、その2分後に排気
ダクト内で小爆発が起り、操業中止を余儀なくされた。
急ぎ、真空精錬移行2分後に真空度5Torrに到達させた
ところ、溶鋼のボイリングが激しくて始末におえなかっ
た。 真空度を50Torrまで下げてボイリングをゆるや
かにしてはじめて、操業を再開することができた。
量の溶鋼を脱炭精錬するに当って、常用の精錬プロセス
よりも少ないArガス消費量と緩和されたCr酸化量を
もって、低い炭素量まで脱炭を行なうことができる。
また、既知の真空精錬技術にくらべて、ガス爆発の危険
がなく、かつ溶鋼のスプラッシュが少ないから、操業の
安全度が高く、Cr酸化物の還元のためにFe−Siな
どを投入することが容易であって、短縮された精錬時間
で必要な脱炭とCrの回収を完了することができる。
の容器の断面図。
溶鋼に還元剤Fe−Siを添加し、Crを還元回収する
場合の、C濃度とSiの原単位の関係を示すグラフ。
を示すグラフ。
Claims (2)
- 【請求項1】 精錬容器内で高クロム鋼の溶鋼中にガス
を吹き込んで脱炭を行なう精錬方法において、溶鋼中の
C濃度が0.15〜0.05%に低下するまでは、吹込
ガスとして非酸化性ガスとO2との混合ガスを使用し、
C濃度がこの範囲内に低下した後は、容器内を200〜
15Torrに減圧するとともに、吹込ガスとして非酸化性
ガスのみを使用することを特徴とする高クロム鋼の精錬
方法。 - 【請求項2】 C濃度が0.15〜0.05%に低下し
た後の精錬段階において、溶鋼に還元剤を添加してクロ
ム酸化物を還元し、クロムを回収することを付加した請
求項1の高クロム鋼の精錬方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1553091A JP2850546B2 (ja) | 1991-02-06 | 1991-02-06 | 高クロム鋼の精錬方法 |
KR1019920001728A KR100214832B1 (ko) | 1991-02-06 | 1992-02-06 | 고 크롬강의 정련 방법 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1553091A JP2850546B2 (ja) | 1991-02-06 | 1991-02-06 | 高クロム鋼の精錬方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04254509A JPH04254509A (ja) | 1992-09-09 |
JP2850546B2 true JP2850546B2 (ja) | 1999-01-27 |
Family
ID=11891368
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1553091A Expired - Lifetime JP2850546B2 (ja) | 1991-02-06 | 1991-02-06 | 高クロム鋼の精錬方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2850546B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3531218B2 (ja) * | 1994-06-20 | 2004-05-24 | 大同特殊鋼株式会社 | 低炭素含クロム鋼の製造方法 |
-
1991
- 1991-02-06 JP JP1553091A patent/JP2850546B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04254509A (ja) | 1992-09-09 |
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