JP3273382B2 - 含クロム溶鋼の脱炭精錬法 - Google Patents
含クロム溶鋼の脱炭精錬法Info
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Description
において、溶鋼中の[Cr]の酸化を抑え、効率よく脱
炭を行い、かつ価格の安い空気を供給することで精錬用
ガスコスト低減をはかる含クロム溶鋼の脱炭精錬法に関
する。
%以上のクロムを含むような含クロム溶鋼の脱炭法とし
ては、浴面下より酸素ガスまたは酸素ガス(以下、単に
酸素という)と不活性ガスの混合ガスを吹込むAOD法
が広く用いられている。AOD法は脱炭が進行し、溶鋼
中の[C]濃度が低下してくると[Cr]が酸化されや
すくなることから、[C]濃度の低下にともない吹込み
ガス中のArやN2 ガスのような不活性ガスの比率を高
くし、酸素の比率を低くして、[Cr]の酸化を抑える
方法がとられている。しかし、低[C]濃度域では脱炭
速度が低下するために所望の[C]濃度に到達するのに
長時間を要し、かつ吹込みガス中の不活性ガスの比率を
高くするための不活性ガスの消費量が大幅に増大するこ
とから経済的にも不利になる。
促進する方法として、真空精錬法の利用が挙げられる。
例えば、特公昭60−10087号公報には、高クロム
・ステンレス鋼を0.03mass%以下の低[C]濃
度まで脱炭するために、大気圧下での酸素による脱炭を
[C]=0.2〜0.4mass%まで行い、その後は
非酸化性ガスによる攪拌は続けるが酸素吹込みは停止
し、鋼浴上の圧力を約10Torrまで連続的に低下さ
せボイリングを起こさせることによって所望の脱炭を行
う方法が記載されている。
供給を止めるために、[Cr]の酸化による損失は少な
くなるが、急激な真空精錬の適用により、COガスを大
量に発生し、爆発の危険を招く。これを回避するために
真空吸引をゆるやかにすれば危険はなくなるが、経過時
間が長くなって溶鋼温度が低下し、かつ反応が遅くな
る。また、圧力を10Torr以下の高真空にすれば、
溶鋼のスプラッシュが激しくなり、合金材料投入用ホッ
パーの閉塞などの問題が生じる。
開平3−68713号公報および特開平4−25450
9号公報記載の方法が提案されている。これらに記載さ
れている含クロム溶鋼の精錬方法は[C]濃度0.2〜
0.05mass%までは吹込みガスとして非酸化性ガ
スと酸素の混合ガスを使用し、[C]濃度がこの範囲内
に低下した後は、200〜15Torrに減圧し、かつ
吹込みガスとして非酸化性ガスのみを使用するものであ
る。該方法は、比較的低[C]濃度まで大気圧下で精錬
を行うために、[Cr]の酸化損失が大きくなる。また
真空下での脱炭は不活性ガスのみを用いることで[C
r]の酸化は抑えられるが、脱炭の酸素源は溶鋼中の
[O]あるいはスラグ中の酸素となり、酸素の供給速度
が遅くなるために脱炭速度の低下を招き、効率的な脱炭
精錬法とは言えない。
低減させる方法としては特開平4−263005号公報
記載の方法が提案されている。これに記載されている方
法は[C]濃度0.15mass%以下の領域で20〜
150Torrに減圧し、吹込みガスとして非酸化性の
N2 ガスを供給する方法である。該方法はArガスより
比較的安価なN2 ガスを用いることでガスコストの低下
をはかることは可能であるが、N2 ガスの使用[C]濃
度範囲が狭いために、十分な効果が得られているとは言
えない。
いる含クロム溶鋼の脱炭精錬において、真空精錬を開始
する[C]濃度、真空精錬時の真空度および真空精錬時
に吹込むガスの種類を好適な範囲に維持することによ
り、溶鋼中の[Cr]の酸化を抑え、効率よく脱炭を行
い、かつガスコストの安い空気を用いることにより精錬
コストの低減を可能にする含クロム溶鋼の脱炭精錬法を
提供することを目的とするものである。
利に解決したものであり、その要旨とするところは下記
のとおりである。 (1)精錬容器内で含クロム溶鋼中に底吹羽口を通して
ガスを吹込んで脱炭処理を行う精錬法において、溶鋼中
[C]濃度が0.5mass%に低下するまでは大気圧
下で、吹込みガスとして酸素ガスまたは酸素ガスと不活
性ガスと空気とから選ばれた2種類以上のガスからなる
混合ガスを供給して処理し、[C]濃度が前記値以下に
低下した後は、前記精錬容器内を200Torr以下に
減圧し、吹込みガスとして前記空気または空気と酸素ガ
スと不活性ガスとから選ばれた2種類以上のガスからな
る混合ガスを供給することを特徴とする含クロム溶鋼の
脱炭精錬法。
に低下した後に、精錬容器内を200Torr以下に減
圧し、吹込みガスとして、空気または空気と酸素ガスと
不活性ガスとから選ばれた2種類以上のガスからなる混
合ガスを供給するに際し、該溶鋼の[C]濃度の低下に
ともない前記混合ガス中の空気と酸素ガスに対する不活
性ガスの比率を徐々に上昇させることを特徴とする前項
1記載の含クロム溶鋼の脱炭精錬法。
り、[C]濃度0.5mass%以下の減圧脱炭処理に
おける空気の供給量を調整することを特徴とする前項1
記載の含クロム溶鋼の脱炭精錬法。 以下本発明について詳細に説明する。本発明の含クロム
溶鋼の脱炭精錬は[C]濃度が0.5mass%以下の
範囲において、図1に例示するような精錬方法である。
精錬容器1内で含クロム溶鋼4中に底吹き羽口2を通し
て、精錬ガス5を吹込む。また、精錬容器1は脱着可能
な排気フード3を有しており、200Torr以下の減
圧が可能である。
脱炭精錬において、比較的高[C]濃度の0.5mas
s%以下でも真空度200Torr以下であれば、吹込
みガスとして酸素または酸素と不活性ガスを用いること
で、溶鋼中[Cr]の酸化を抑え、脱炭速度を高位に保
つことが可能であること、さらに、酸化生ガスおよび不
活性ガスとしての作用をもつ空気を使用することで効果
をあげられることに着目したものである。
を含有する。この組成を利用して、加圧状態で溶鋼に吹
込めば、N2 は不活性ガスとして、O2 は酸化性ガスと
して作用することが確認できた。また、N2 ガスは多量
に吹込めば鋼中の[N]濃度の増大を招くが、使用N2
ガス量を制御すれば[N]濃度を目的範囲内に調整でき
ることが確認できた。
た場合の大気圧下精錬における[C]濃度と脱炭酸素効
率の関係を示す。なお、脱炭酸素効率は吹込み酸素のう
ちで脱炭に使用された酸素の割合を示す。また吹錬前の
[Si]濃度は0.1mass%以下であり、吹込みガ
スとして酸素と空気を用い、O2 /空気比=3/1で吹
錬を行った場合の結果である。図2より[C]濃度0.
5mass%以下で脱炭酸素効率が急激に低下する。従
って、[C]濃度0.5mass%以下で真空精錬を適
用すれば脱炭酸素効率の低下を防止することが可能にな
ることがわかる。
ガスとして酸素と空気の混合ガスを用い、O2 /空気の
比率=2/3で処理した場合の真空度と脱炭酸素効率の
関係について、[C]濃度=0.4〜0.5mass
%、0.25〜0.35mass%および0.1〜0.
2mass%の3つの範囲に分けて示す。[C]濃度
0.4〜0.5mass%の範囲では真空度200To
rr以下で脱炭酸素効率は高位に安定する。なお、
[C]濃度の低下にともない脱炭酸素効率は低下し、か
つ安定する真空度が低下する傾向にある。
0Torr以下が必要である。なお、急激な真空度の上
昇は溶鋼スプラッシュを大量に発生するために、真空精
錬では[C]濃度の低下にともない、200Torrか
ら徐々に低下させることが好ましい。図4にSUS30
4ステンレス鋼を100〜200Torrの真空下で処
理した場合の[C]濃度と脱炭速度指数の関係につい
て、吹込みガスのO2 /空気/Arガス比率を1/0/
0,2/2/1,1/1/2,0/1/12,0/0/
1の5水準にふらした結果を示す。なお、全吹込みガス
流量は0.3Nm3 /min・Tとして脱炭速度指数は
O2 /空気/Arガス比率が1/0/0での[C]濃度
0.5mass%における脱炭速度を100として換算
した値である。図より吹込みガスとして非酸化性ガスの
みを用いるO2 /空気/Arガス比率0/0/1の場合
に比べ、酸素を混合した方が脱炭速度が向上する。な
お、酸素単独であるO2 /空気/Arガス比率が1/0
/0の場合は脱炭速度が大きいが[Cr]酸化も大きく
なるために希釈ガスを混合した方が良いことがわかっ
た。従って、吹込みガスとしては希釈ガスが存在する空
気または空気と酸素と不活性ガスから選ばれた2種類以
上のガスからなる混合ガスを用いた方が良い。また、O
2/空気/Arガス比率の高い場合、つまり酸素比率の
高い場合の方が高[C]濃度側より脱炭速度が低下して
おり、真空下でより効率的な脱炭を行うには[C]濃度
の低下にともないO2 /空気/Arガス比率を低下さ
せ、Arガス流量を上げた方が良いと言える。
〜200Torrの真空下で処理した場合の製品[N]
濃度と空気の使用比率の関係を示す。なお、空気の使用
比率は製品[N]濃度0.08mass%の時の空気の
使用量の平均値を100として換算した値である。図よ
り、要求される製品[N]濃度により空気の使用量を制
御することにより、製品[N]濃度を制御することが可
能である。
え、効率よく含クロム溶鋼の脱炭を行うには[C]濃度
0.5mass%以下で真空精錬を適用し、200To
rr以下に減圧して、吹込みガスとして空気または空気
と酸素と不活性ガスから選ばれた2種類以上のガスから
なる混合ガスを使用する必要がある。また、混合ガスを
使用する場合には[C]濃度の低下にともない空気と酸
素に対する不活性ガスの比率を徐々に増加させて脱炭を
行うことが効率的である。
度は決定されており、これより吹込みガスとしての空気
の使用範囲を決定する。次に、[C]濃度の時間変化は
予測できることから、粗溶鋼の装入時の溶鋼組成および
溶鋼温度を把握し、真空精錬を開始する時間を決定す
る。また、真空精錬中は炉内状況を把握して、ガス吹込
み条件および真空度の条件を決定することが可能であ
る。該操業方法により、溶鋼のスプラッシュの大量発生
は防止可能であり、安定した操業が可能である。
れる脱炭反応と同時に式で示される溶鋼中の[Cr]
の酸化反応も進行する。なお、式の反応平衡定数Kは
式で表される。 [C]+1/2 O2 (g)=CO(g) ・・・・・・
O2 ガス分圧、PCOは雰囲気中のCOガス分圧を示す。
脱炭反応は[C]濃度によって律速過程が変化する。
[C]濃度0.7mass%以上の高炭域では酸素供給
律速、[C]濃度0.3mass%以下の低炭域では
[C]の移動律速と言われ、[C]濃度0.3〜0.7
mass%の領域では混合律速と言われている。従っ
て、[C]濃度0.7mass%以上で真空精錬を適用
しても効果が少ない。本発明では[C]濃度0.5ma
ss%以下で適用することが効果的な条件であることを
見出した。
、式よりPO2,PCOを低下させることが有効であ
る。しかし、PO2=0、つまり非酸化性ガスのみでは酸
素の供給が遅れるために非酸化性ガスに酸素を混合する
方が有効であることを見出した。また、真空下でさらに
PCOを低下させるには、不活性ガスの吹込みが有効であ
り、このために空気中のN2 ガスの利用は有効であるこ
とを見出した。また、真空度としては図3に示したよう
に、200Torr以下で効果的であり、[C]濃度の
低下にともない真空度を低下させることが好ましいこと
を見出した。
2 ガスによる[N]濃度の上昇が懸念される。この反応
は式で表され、反応平衡定数Kは式で表される。 1/2 N2 =[N] ・・・・・・
は雰囲気中N2 ガスの分圧を示す。減圧下ではPN2が低
下するために、[N]の上昇速度は遅くなる。これを利
用して製品[N]濃度と使用空気量との関係を明らかに
した。
i−18mass%Cr)で製品[N]濃度500pp
mの要求される鋼60tonの処理を図1に示す実施態
様で実施した。図6に本発明法による実施例−1を示
す。脱炭開始時の[C]濃度は1.5mass%であ
り、[C]濃度0.5mass%までは大気圧下での脱
炭を行い、その後真空精錬を適用した。真空精錬中O2
/空気/Arガスの比率は2/3/0から0/1/12
に、真空度は200から100および50Torrまで
低下させて、[C]0.04moss%まで脱炭した。
その後、真空度を大気圧まで戻しながら、脱炭中に酸化
したクロムを還元するための還元材としてFe−Siを
添加して、Arガスのみの吹込みにより還元処理を行
い、取鍋へ出鋼した。
す。[C]濃度0.5mass%までは実施例−1と同
一の処理を行い、[C]濃度0.5mass%以下で真
空精錬を適用し、[C]濃度の低下にともないO2 /空
気/Ar比は2/3/0,1/1/3,0/1/12、
真空度は200,100,50Torrと低下させた。
還元処理は実施例−1と同一の方法で行った。
3−68713号公報記載の方法に従った実施例を示
す。本方法では[C]濃度0.15mass%までは大
気圧下で精錬し、[C]濃度0.15mass%以下で
真空度100Torrの条件で、Arガス吹込みで0.
04mass%までの脱炭処理を行い、その後大気圧下
での還元処理を行い、取鍋に出鋼した。
ス吹込み流量を1.0Nm3 /min・Tとし、真空下
処理では酸素吹込み流量を0.2Nm3 /min・T以
下、空気吹込み流量を0.2Nm3 /min・T以下、
Arガス吹込み流量を0.2Nm3 /min・T以下と
して処理を実施した。図6,7,8には各実施例におけ
る精錬時間、[C]および[Cr]濃度の推移も示して
いるが、従来法に比べ本発明の方が全精錬時間が短くな
り、かつ[Cr]濃度の低下量も小さくなった。これら
の精錬結果をまとめて表1に示す。なお、表1の数値は
従来法による結果を100とした指数で示す。
において、脱炭酸素効率が向上するために同一酸素供給
量で脱炭速度の向上がはかれる。また、安価な空気の使
用によりガスコストの大幅な低減が可能となり、かつ還
元用Si原単位が低減する。さらに、精錬時間が短縮で
きるために、大幅な精錬コストの低減および生産性の向
上がはかれる。
代替としての窒素ガスの使用の拡大および、例えば
[C]濃度0.01mass%以下の極低炭素域までの
精錬が容易になる。
る。
定理由を示す図である。
を示す図である。
定理由を示す図である。
図である。
ある。
ある。
ある。
Claims (3)
- 【請求項1】 精錬容器内で含クロム溶鋼中に底吹羽口
を通してガスを吹込んで脱炭処理を行う精錬法におい
て、溶鋼中[C]濃度が0.5mass%に低下するま
では大気圧下で、吹込みガスとして酸素ガスまたは酸素
ガスと不活性ガスと空気とから選ばれた2種類以上のガ
スからなる混合ガスを供給して処理し、[C]濃度が前
記値以下に低下した後は、前記精錬容器内を200To
rr以下に減圧し、吹込みガスとして前記空気または空
気と酸素ガスと不活性ガスとから選ばれた2種類以上の
ガスからなる混合ガスを供給することを特徴とする含ク
ロム溶鋼の脱炭精錬法。 - 【請求項2】 [C]濃度が0.5mass%以下に低
下した後に、精錬容器内を200Torr以下に減圧
し、吹込みガスとして、空気または空気と酸素ガスと不
活性ガスとから選ばれた2種類以上のガスからなる混合
ガスを供給するに際し、該溶鋼の[C]濃度の低下にと
もない前記混合ガス中の空気と酸素ガスに対する不活性
ガスの比率を徐々に上昇させることを特徴とする請求項
1記載の含クロム溶鋼の脱炭精錬法。 - 【請求項3】 要求される製品の[N]濃度により、
[C]濃度0.5mass%以下の減圧脱炭処理におけ
る空気の供給量を調整することを特徴とする請求項1記
載の含クロム溶鋼の脱炭精錬法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11625393A JP3273382B2 (ja) | 1993-05-18 | 1993-05-18 | 含クロム溶鋼の脱炭精錬法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11625393A JP3273382B2 (ja) | 1993-05-18 | 1993-05-18 | 含クロム溶鋼の脱炭精錬法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06330145A JPH06330145A (ja) | 1994-11-29 |
JP3273382B2 true JP3273382B2 (ja) | 2002-04-08 |
Family
ID=14682553
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11625393A Expired - Lifetime JP3273382B2 (ja) | 1993-05-18 | 1993-05-18 | 含クロム溶鋼の脱炭精錬法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3273382B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003004707A1 (en) * | 2001-07-02 | 2003-01-16 | Nippon Steel Corporation | Method for decarbonization refining of chromium-containing molten steel |
-
1993
- 1993-05-18 JP JP11625393A patent/JP3273382B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06330145A (ja) | 1994-11-29 |
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