JPH0722966B2 - 熱収縮性ポリエステル系フイルム - Google Patents

熱収縮性ポリエステル系フイルム

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JPH0722966B2
JPH0722966B2 JP31331886A JP31331886A JPH0722966B2 JP H0722966 B2 JPH0722966 B2 JP H0722966B2 JP 31331886 A JP31331886 A JP 31331886A JP 31331886 A JP31331886 A JP 31331886A JP H0722966 B2 JPH0722966 B2 JP H0722966B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は被覆用或は結束用等の包装材料分野において特
に好適な特性を発揮する熱収縮性ポリエステル系フィル
ム(シートを包む。以下同じ)に関するものである。
(従来の技術) 熱収縮性プラスチックフィルムを素材として形成される
チューブ状体は、例えば容器、瓶(プラスチックボトル
を含む)、棒状物(パイプ、棒、木材、各種棒状体)等
(以下容器類と略す)の被覆用或は結束用として、特
に、これ等のキャップ、肩部、胴部等の一部又は全面を
被覆し、標示、保護、結束、商品価値向上等を目的とし
て用いられる他、箱、瓶、板、棒、ノート等のような集
積包装域はスキンパックのように被包装物に密着させて
包装する分野等において広く使用されており、収縮性及
び収縮応力を利用した用途展開が期待される。
従来上記用途にはポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ
エチレン、塩酸ゴム等の熱収縮性フィルムを用い、これ
をチューブ状体にしてから前記容器類にかぶせたり、集
積包装して熱収縮させていた。
しかしこれらのフィルムは耐熱性が乏しく、ボイル処理
やレトルト処理をすると溶融又は破裂してフィルム状体
を維持することができないという欠点があった。
更に印刷の必要な用途ではインクの転移不良による印刷
ピンホール(フィルム内の添加剤やポリマーのゲル状物
によるフィッシュアイに基づく微小凹凸)の発生が見ら
れたり、仮にうまく印刷できたとしてもその後にフィル
ムが収縮(常温収縮)を起こして印刷ピッチに寸法変化
をきたすという問題もあった。これに対しポリエステル
系熱収縮フィルムを用いるチューブは、これまでにも試
行的には作られたことはあるが、希望方向への熱収縮率
を十分に高くすることができなかったり、又上記方向と
直交する方向への熱収縮を小さくすることができないと
いう問題があり、前記用途への展開は困難であった。
(発明が解決しようとする問題点) ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン等の汎用
熱収縮性フィルムを使う上記従来技術には、以下述べる
様な問題点がある。
(a) 完全に近い一軸収縮性の欠除 一方向に大きい収縮性を有する一方、これと直角方向に
は全く収縮しないことが理想とされる様な用途において
は上記従来フィルムは全く不向きである。例えば横方向
に収縮させてボトル表面に収縮ラベルをつける場合を考
えると、ラベルの縦方向即ちボトルの上下方向に収縮す
ることは、所定の位置にラベルが来ずにラベルが縮み上
がることを意味し外観不良を招く。これを防止するには
縦方向の収縮を小さくしなければならないが、この目的
の為に単純にフィルムを横方向にのみ配向させたとする
と、高分子化学物質の性質上の常識から直ちに理解され
る様に引裂け易く、またフィブリン化しやすくなる為強
度も弱くなる。特にボトルが落下する場合は縦方向の強
度が破瓶防止上重要であることを考え合わせると単純な
一方向延伸は良い方法とは言えない。又その他の用途で
も耐衝撃性がないと使用できない場合が多く存在する。
この様なところから、ある特定の温度領域で極めて小さ
い収縮性を有する反面、その直角方向には充分大きい収
縮性を有する様なフィルムの開発が望まれるのである。
(b) 耐熱性の不足 前記従来フィルムはいずれも高温のボイル処理やレトル
ト処理に耐えることができず、殺菌処理には不適当なフ
ィルムである。例えばレトルト処理を行なうと、前記従
来フィルムは処理中に破壊、破裂し、全ての機能が失な
われる。従ってボイル処理やレトルト処理に耐え得る熱
収縮性フィルムの提供が望まれている。
(c) 印刷性の不良 ハーフトーン印刷によるピンホールの発生、広範囲な各
種インクとの接着性等に関し、上記従来フィルムはそれ
ぞれ固有の欠点を有する。例えばポリ塩化ビニルではゲ
ル状物によるインクポンホールが発生し易く、連続的な
チューブ加工では、長尺フィルムの途中にピンホールが
存在することになる。これを自動ラベリングマシンに供
給した場合ピンホールを残したまま製品化されてしまう
ので、最終的に全品検査を行なわなければならず、その
労力と抜取りによる再加工等により、実稼動率が著しく
低下する。このピンホール欠陥を印刷終了後の段階で検
査して除去しようとすれば、カット後再び連続フィルム
状に戻すことになり接着テープで継ぐ必要が生じる。そ
の為継目が入り、その部分及び前後は継目の影響によっ
て不良品が生じ、工程中に欠陥包装体を取除かなければ
ならない。更に高精度の印刷では、印刷後にフィルムの
収縮による印刷ピッチの減少(経時収縮)を生じ、しか
も流通温度条件下で絶えず変化するという管理の難しさ
に遭遇する。従ってポリ塩化ビニル収縮フィルム等では
保冷車や低温倉庫等が必要となる。この様なところか
ら、ピンホール欠陥のない印刷が可能であり、また印刷
後の経時変化がない様な熱収縮性フィルムの提供が望ま
れる。
(d) クレーズの発生 ポリスチレンはクレーズが生じ易く、耐薬品性が悪い。
従って使用中に薬液による損傷を受け易く印刷面も汚れ
る。従って耐薬品性、耐久性の優れたフィルムが望まれ
ている。
(e) 産業廃棄物の問題 近年プラスチックボトルの使用量は急激に伸長してい
る。このボトルの回収を考えた場合、特にポリエステル
ボトルの被覆にポリ塩化ビニルやポリスチレン等の異種
フィルムが使用されていると回収再利用に付すことがで
きないという問題がある。
その上ポリ塩化ビニルでは塩素ガスによる腐食の問題も
あり、廃棄物公害を招かない様な熱収縮性フィルムが望
まれる。
(f) 収縮斑 上記従来フィルムの熱収縮性は均質性に欠けるきらいが
あり、いったん熱をかけて収縮の十分なところと不十分
なところが別々に形成されると、次にもう一度熱を与え
てもそれ以上の再収縮がおこらず、表面の不均一な凹凸
のあるものになる。従って収縮斑を生じない様な熱収縮
性フィルムの提供が望まれている。
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであっ
て、上記(a)〜(f)で述べたような欠陥を伴なわな
いポリエステル系フィルムの提供を目的とするものであ
る。
(問題を解決するための手段) 本発明はテレフタル酸およびエチレングリコールを主た
る成分とし、下記(1)式で示されるビスフェノール化
合物のエチレンオキサイド付加物を共重合成分とした共
重合ポリエステルからなるフィルムであって、該ポリエ
ステル系フィルムにおいて100℃の熱風中での熱収縮率
がフィルム長手方向および幅方向の少なくともいずれか
の一方向において30%以上である事を特徴とする熱収縮
性ポリエステル系フィルムである。
〔式中、XはCH2O、およびSO2を、lは0〜1、mおよびnはそれぞれ
1〜5の整数を示す。〕 本発明の熱収縮ポリエステルはテレフタル酸およびエチ
レングリコールを主成分とし、ビスフェノール化合物の
エチレンオキサイド付加体を共重合成分とするものであ
る。ビスフェノール化合物のエチレンオキサイド付加体
としては(1)式を満足するものが好ましい。
該ビスフェノール化合物のエチレンオキサイド付加体の
エチレンオキサイドの付加量としてはビスフェノール化
合物の両方の水酸基にそれぞれ1モルずつ付加したも
の、すなわちmおよびnが1であるものが最も好まし
い。また該ビスフェノール化合物のエチレンオキサイド
付加体としては該化合物の芳香核の水素が他の不活性な
置換基で置換されたものでもかまわない。そのような置
換基としてはメチル基やエチル基のようなアルキル基、
クロルやブロムのようなハロゲン原子等が挙げられる。
該ビスフェノール化合物のエチレンオキサイド付加体は
単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。該
ビスフェノール化合物のエチレンオキサイド付加体の共
重合量は1モル%から50モル%の範囲が好ましい。ビス
フェノール化合物のエチレンオキサイド付加体が1モル
%未満の場合は100℃にて熱処理した時の残留応力の保
持時間が短かくなり、例えば瓶に被覆した場合、殺菌処
理により肩部がゆるみを生ずる等の好ましくない現像を
引き起す。一方50モル%を超えると熱処理した時の残留
応力保持時間を改良する効果が飽和し、かつ非晶性が進
み、耐熱特性が失なわれる。好ましくは3〜30モル%共
重合することである。
本発明におけるポリエステル共重合体は従来から一般的
に行なわれているポリエステルの製造方法によって製造
することが出来る。例えばテレフタル酸とエチレングリ
コール、ビスフェノール化合物のエチレンオキサイド付
加体の直接エステル化法による方法であっても、又ジメ
チルテレフタレートとエチレングリコール、ビスフェノ
ール化合物のエチレンオキサイド付加体のエステル交換
法によって製造する方法であってもよい。
更に本発明によるポリエステル共重合体は本発明の範囲
内および範囲外の共重合体とホモポリエステルあるいは
他の共重合ポリエステルとのブレンドにより製造したも
のであってもよく、ビスフェノール化合物のエチレンオ
キサイド付加体が1〜50モル%の範囲であればいかなる
方法で製造したものであってもかまわない。
本発明の熱収縮性ポリエステルは酸成分としてテレフタ
ル酸を主成分とするが、それらの性質を大きく変えない
範囲で他の酸成分を共重合してもよい。例えばアジピン
酸、セバチン酸、アゼライン酸の様な脂肪族の2塩基酸
やイソフタル酸、ジフェニールジカルボン酸、5−ター
シャリブチルイソフタル酸、2、2,6,6テトラメチルビ
フェニール4,4ジカルボン酸、2,6ナフタレンジカルボン
酸、1,1,3トリメチル−3フェニルインデン4,5ジカルボ
ン酸の如き芳香族の2塩基酸を例示出来る。同様にグリ
コール成分はエチレングリコールを主成分としネオペン
チルグリコールを共重合成分とするがそれらの性質を大
きく変えない範囲で他の成分を共重合してもよい。例え
ばジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタ
ンジオール、ヘキサンジオールの如き脂肪族系のジオー
ルや1,4シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリ
コール、ビス(4−ベータ−ヒドロオキシフェニール)
スルホン、2,2(4−オキシフェニール)プロパン誘導
体のジオールを例示出来る。
また必要に応じて2酸化チタン、微粒子シリカ、カオリ
ン、炭酸カルシウム等の滑剤を添加してもよく、更に帯
電防止剤、老化防止剤、紫外線防止剤や着色剤として染
料等を添加することも出来る。なおフィルム基材として
の如ましい固有粘度は、0.50〜1.3dl/gである。
かかる重合体を用いて押出法やカレンダー法等任意の方
法で得たフィルムは一方向に2.5倍から7.0倍、好ましく
は3.0倍から6.0倍に延伸し、該方向と直角方向に1.0倍
から2.0倍以下、好ましくは1.1倍から1.8倍延伸され
る。最初の方向への延伸は高い熱収縮率を得るために行
なわれるものであり、最初の方向と直角方向への延伸
は、最初の一方向に延伸されたフィルムの耐衝撃性や引
裂抵抗性の悪さを解決するのに極めて有効である。
しかしながら2.0倍を超えて延伸すると、主収縮方向と
直角方向の熱収縮も大きくなり過ぎ、仕上がりが波打ち
状となる。この波打ちを抑えるには、熱収縮率を15%以
下、好ましくは8乃至9%以下、更に好ましくは7%以
下とすることが推奨される。延伸手段についても特段の
制限はなく、ロール延伸、長間隙延伸、テンター延伸等
の方法が適用され、又形状面においてもフラット状、チ
ューブ状等の如何は問わない。
又延伸は逐次2軸延伸、同時2軸延伸、1軸延伸或はこ
れの組合せ等で行なわれる。又本発明フィルムに対して
は例えば縦1軸、横1軸、縦横2軸等の延伸を行なう
が、特に2軸延伸では縦横方向の延伸は、どちらか一方
を先に行なう逐次2軸延伸が有効であり、その順序はど
ちらが先でもよい。尚同時2軸延伸法を行なうときはそ
の延伸順序が、縦横同時、縦先行、横先行のどちらでも
よい。又これら延伸におけるヒートセットは目的に応じ
て実施されるが、夏季高温下の寸法変化を防止する為に
は30〜150℃の加熱ゾーンを、約1秒から30秒間通すこ
とが推奨される。又かかる処理の前後どちらか一方又は
両方で最高70%迄の伸張をかけてもよい。特に主方向に
伸張し、非収縮方向(主収縮方向に対して直角方向)に
は緩和させるのが良く、該直角方向への伸張は行なわな
い方が良い。
本発明の好適特性を発揮させる為には、上記延伸倍率だ
けでなく、重合体組成物が有する平均ガラス転移温度
(Tg)以上の温度、例えばTg+80℃程度の下で予熱、延
伸することも有効な手段として挙げられる。特に主方向
延伸(主収縮方向)における上記処理温度は該方向と直
角方向の熱収縮率を抑制し、且つ前記の如く80±25℃の
温度範囲に、その最小値を持ってくる上で極めて重要で
ある。更に延伸後、伸張或は緊張状態に保ってフィルム
にストレスをかけながら冷却するか或は更に引続いて冷
却することにより、前後収縮特性はより良好且つ安定し
たものとなる。
このようにして得たフィルムの面配向係数は、100×10
-3以下のものが好ましい。面配向係数が100×10-3を超
えると、衝撃的外力に対して破壊しやすくなり、少しの
外傷によっても破れ易くなるからである。一方複屈折率
は15×10-3〜160×10-3が好ましく、複屈折率が15×10
-3未満では縦方向の熱収縮率や収縮応力が不足し、又16
0×10-3を超えると引っかき抵抗力や衝撃強度の低下を
生じ、フィルムにはなっても実用状は有用性が低下す
る。
本発明のフィルムの厚さは6〜250μmの範囲が実用的
である。
本発明のフィルムは50%緩和させて100℃にて熱風中で
熱処理した時に2分以上残留応力を保持する必要があ
る。4分以上保持されることがより好ましい。該残留応
力の保持時間が短いと2次タルミが発生し、例えば瓶に
被覆した場合、殺菌処理により肩部のゆるみが生ずる等
の現象が発生するので好ましくない。
以下本発明フィルムを用途面から説明する。包装用途、
特に食品、飲料の包装においてはボイル処理やレトルト
処理が行なわれている。現在する熱収縮性フィルムでは
これらの処理に十分耐え得るものはない。本発明のフィ
ルムはボイル処理やレトルト処理による加熱殺菌に耐え
得ることができ、しかも元々のフィルム外観、更には熱
収縮による仕上がりも良好であり、又PVCよりも高い熱
収縮応力を有し、結束性も優れている。
従って重量物や変形成形物に対しても荷くずれしない強
固な被覆乃至結束包装が可能である。又包装上必要とさ
れる50〜70%の熱収縮率レベルにおいて、主収縮方向に
対し直角方向の熱収縮率が最低値を示すというブロード
な熱収縮性を有する為、熱収縮初期から収縮包装完了迄
のプロセスは前記最小収縮量を示す温度領域(80±25
℃)で熱収縮させることになる。その結果、仕上がり寸
法の誤差が小さくなるという特徴が得られた。
尚熱収縮性を利用する包装においては、熱収縮完了(被
包装物に密着し、更に縮む能力を有していても、それ以
上は縮めない状態になること)後、引続き加熱するのが
一般的手順になっており、これは数多い製品のばらつき
に対応し完全な収縮を達成する上で重要な役割りを果た
している。このとき、もしフィルムの収縮能が飽和に達
していると、引続いて行なっている加熱によってフィル
ムが逆に線膨張し、折角きっちり収縮させておいたにも
拘わらず、かえって緩みが生じてくるという問題があ
る。本発明ではその様な事態になるのを防止する意味
で、収縮応力を高め、且つ先に記載した如く、延伸後に
更に伸張を行なうことを推奨するのである。又この点に
本発明でいう配向性の意味が存在する。
以下更に具体的に述べる。
(a) 一方向収縮性: 収縮フィルムの役割りの1つは被包装物の破壊や荷くず
れ等を防止する点にあるが、その為には高い耐衝撃性を
有し且つ主方向に大きい収縮率を得ることが必要であ
る。その点本発明のフィルムは高い収縮率と高い耐衝撃
性を有するので美しい包装が得られ、しかも被包装物の
保護という面で優れた耐久性を示す。この傾向は落袋テ
ストによって証明される。又完全に近い一方向収縮性に
よって収縮包装後の仕上り寸法安定性が良い。
(b) 耐熱性 従来の汎用フィルムはいずれも高温のボイル処理やレト
ルト処理には耐えることが出来ず殺菌処理は不適当なフ
ィルムであり、処理中に破壊し、機能が失われるが本発
明のフィルムはボイルやレトルト処理が出来る。熱収縮
フィルムとして優れた有用性を示す。
(c) 印刷性 ハーフトーン印刷によりピンホールの発生やインクとの
接着性等に関し従来フィルムは固有の欠点を有するが該
ポリエステルフィルムは耐薬品性を有する点と共重合体
にすることにより接着性が向上することから印刷性は改
善された。
(d) 産業廃棄物の問題 近年プラスチックボトルの利用が急速に広まっている。
この様なボトルの回収を考えた場合は同質物で形成され
ることが好ましく、本発明フィルムをポリエステル系ボ
トルの包装に適用することはこの点有利である。
(e) 収縮斑 本発明フィルムは大きな収縮率と高い収縮応力を有し、
2次加熱でも引続き加熱すれば収縮傾向を示すので収縮
斑は発生しない。
(実施例) 以下に実施例を説明するが実施例で用いた測定方法は次
の通りである。
1. ヘイズ JIS−K 6714に基づいて測定した。
2. 熱収縮率 サンプル標線間を200mmにとり、フィルムを幅15mmに切
断して、各温度で測定した。加熱には80℃及び100℃の
熱風を用い夫々1分間加熱した。
3. 熱収縮応力(Kg/mm2) テンシロンを使用し幅20mm長さ150mmの試料片を採取
し、そのフィルムに100mmの標線を記し、100mmに設定し
た上下チャックに試料片を装着し、100℃の熱風中で処
理し、その間の最大収縮応力をもとめ次式にしたがって
収縮応力を算出した。
最大収縮力/断面積=熱収縮応力 4. 熱収縮残留応力保持時間(50%緩和時) テンシロンを使用し、熱収縮応力と同様に試料片を作成
し、試料片のフィルムに100mmの標線を記し50mmに設定
した上下チャックに正確に100mmの標線を合せて装着
し、100℃の熱風中で処理し、収縮応力が0になるまで
の時間を測定した。
実施例 1 ステンレス製オートクレーブを使用し、二塩基酸成分と
してテレフタル酸を100モル%、グリコール成分として
エチレングリコールを80モル%とビス〔P−(2−ヒド
ロキシエトキシ)フェニル〕スルホン20モル%を用い、
触媒として三酸化アンチモン0.05モル(酸成分に対し)
を用いて直接エステル化法により重縮合した。この共重
合体は固有粘度0.75dl/gであった。このポリエステルを
300℃で溶融押出し、厚さ180μmの未延伸フィルムを得
た。該フィルムを縦方向に1.2倍延伸し、次いで横方向
に4.1倍延伸し、次いで約20%横方向に伸張下で冷却さ
せ、厚さ40μmの熱収縮性フィルムを得た。得られたフ
ィルムの複屈折率および面配向係数はそれぞれ99×10-3
および45×10-3であった。フィルムの物性値を第1表に
示す。第1表より明らかなごとく高品質であり、実用テ
ストでも良好な結果が得られた。
比較例1、2 実施例1と同様にし第1表に示した組成のポリエステル
フィルムを得た。比較例1は通常のポリエチレンテレフ
タレートであり、比較例2は2塩基酸成分としてイソフ
タル酸を10モル%共重合した共重合ポリエステルであ
る。これらの比較例で得られた熱収縮性ポリエステル
は、横方向の熱収縮率は高く十分実用的であるが、残留
応力の保持時間が短かく、ボイル処理やレトルト処理に
より二次たるみが発生するため実用に供することができ
なかった。また、縦方向の熱収縮率も高く、実用テスト
では仕上りも悪かった。
実施例2〜11 実施例1と同様にし、第1表に示した組成で各種ビスフ
ェノール化合物のエチレンオキサイド付加体の共重合ポ
リエステルよりなる熱収縮性フィルムを得た。得られた
熱収縮性フィルムの物性値を第1表に示す。いずれの熱
収縮性フィルムも高品質であり、実用テストでも良好な
結果が得られた。
(発明の効果) 本発明フィルムは上記の様に構成されているので、特定
方向に対する安定した熱収縮性が発揮され被覆包装や結
束包装においては美麗で且つ強固な包装状態を与えるこ
とができ、また印刷ピッチの安定性、耐熱性と向上等の
諸効果を有し、広範な分野において優れた利用価値を発
揮することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 7:00 (72)発明者 山下 敏弘 愛知県犬山市大字木津字前畑344番地 東 洋紡績株式会社犬山工場内 (72)発明者 牧村 修 福井県敦賀市東洋町10番24号 東洋紡績株 式会社総合研究所敦賀分室内 審査官 綿谷 晶廣

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】テレフタル酸およびエチレングリコールを
    主たる成分とし、下記(1)式で示されるビスフェノー
    ル化合物のエチレンオキサイド付加物を共重合成分とし
    た共重合ポリエステルからなるフィルムであって、該ポ
    リエステル系フィルムにおいて100℃の熱風中での熱収
    縮率がフィルム長手方向および幅方向の少なくともいず
    れかの一方向において30%以上である事を特徴とする熱
    収縮性ポリエステル系フィルム。 〔式中、XはCH2O、およびSO2を、lは0〜1、mおよびnはそれぞれ
    1〜5の整数を示す。〕
  2. 【請求項2】ビスフェノール化合物のエチレンオキサイ
    ド付加物が1〜50モル%からなる共重合ポリエステルで
    ある特許請求の範囲第1項記載の熱収縮性ポリエステル
    系フィルム。
JP31331886A 1986-12-19 1986-12-29 熱収縮性ポリエステル系フイルム Expired - Fee Related JPH0722966B2 (ja)

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