JPH07227545A - リン−バナジウム酸化物触媒前駆体の製造方法 - Google Patents

リン−バナジウム酸化物触媒前駆体の製造方法

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JPH07227545A
JPH07227545A JP31857094A JP31857094A JPH07227545A JP H07227545 A JPH07227545 A JP H07227545A JP 31857094 A JP31857094 A JP 31857094A JP 31857094 A JP31857094 A JP 31857094A JP H07227545 A JPH07227545 A JP H07227545A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 5価のリン化合物及び5価のバナジウム化合
物を、5価のバナジウム化合物の少なくとも一部を4価
に還元できる有機溶媒中で反応させて、炭素数4の炭化
水素を気相酸化して無水マレイン酸を製造するための触
媒前駆体を製造する方法において、5価のリン化合物と
して、88〜90%のリン酸を使用することを特徴とす
るリン−バナジウム酸化物触媒前駆体の製造方法。 【効果】 本発明により得られる前駆体を活性化した
酸化物触媒は、炭素数4の炭化水素、特にブタンを酸化
して無水マレイン酸を製造する反応において、比較的低
い温度範囲において収率が高く、長期に渡り反応成績が
良好である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は気相反応に適した複合酸
化物触媒の製造方法に関するものである。より詳しく
は、炭素数4のブタン、ブテン、ブタジエン等の炭化水
素を気相酸化により無水マレイン酸を製造するのに適し
たリン−バナジウム酸化物からなる触媒前駆体の改良さ
れた製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ブタン、ブテン、ブタジエン等の
炭素数4の炭化水素、特に飽和炭化水素のn−ブタン
を、気相にて選択的に酸化して無水マレイン酸を製造す
るための触媒として、4価のバナジウムと5価のリンか
ら成る触媒が用いられている。この触媒としては、特
に、触媒特性の優れた結晶性の複合酸化物触媒として、
ピロリン酸ジバナジル((VO)227 )が知られ
ており、この化合物に係る文献が多く知られている(例
えば、Chem.Rev.88,P.55〜80(19
88)及びその引用文献)。このピロリン酸ジバナジル
の合成方法として、その前駆体(プレカーサー)である
リン−バナジウム酸化物、即ち、リン酸水素バナジル・
1/2水塩(VOHPO4 ・1/2H2 O)を焼成する
方法が一般的であり、この前駆体を加熱焼成することに
より、その構造を保持しながらピロリン酸ジバナジルに
転移させることができることが報告されている。
【0003】前駆体であるリン酸水素バナジル・1/2
水塩の製造方法としては、いくつかの提案がある。中で
も、有機溶媒中にて前駆体を製造する方法が数多く報告
されているが、基本的には、5価のバナジウム化合物の
少なくとも一部を有機溶媒中で還元した後、5価のリン
化合物と反応させて5価のリンと4価のバナジウムの複
合酸化物を得る方法である。
【0004】例えば、特公昭57−8761号公報に
は、実質的に無水の有機溶媒中で五酸化バナジウムをバ
ナジウムの価数を4.0〜4.6に還元させた後、オル
トリン酸と反応させる方法が示されている。該公報の実
施例で使用されているオルトリン酸は、具体的には85
%及び100%リン酸である。有機溶媒としては、イソ
ブタノ−ル単独あるいはイソブタノ−ルとベンジルアル
コ−ルの混合溶媒が用いられている。ベンジルアルコ−
ルの使用量はベンジルアルコ−ル/五酸化バナジウムモ
ル比で2.2以上である。添加する助触媒成分元素とし
ては、周期律表のV族元素が好ましく、特にタンタルと
ビスマスが好ましいことが記載されている。
【0005】特公平1−50,455号公報には、実質
的に5価のバナジウム化合物及びリン含有化合物を飽和
有機溶媒中で加熱することにより、触媒前駆体を製造す
る方法が開示されている。この中に記載されているリン
酸の濃度は100%である。また、特公平2−97号公
報及び特公平2−98号公報には、混合リン酸を使用す
ることを特徴としたリン−バナジウム酸化物触媒前駆体
の製造方法が記載されている。ここで混合リン酸とは、
オルトリン酸とピロリン酸及び少量のトリリン酸の混合
物であり、具体的には75〜90重量%のオルトリン酸
と10〜25重量%のピロリン酸の混合物が使用されて
いる。
【0006】更に、特公平62−61951号公報に
は、リン−バナジウム酸化物触媒前駆体の製造方法とし
て、反応媒体として有機溶媒を用い、この反応系より該
有機溶媒の一部を蒸留除去する方法が開示されている。
ここで使用されているリン酸は、85%オルトリン酸あ
るいは上記のような組成の混合リン酸である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
例を含めた公知の方法で製造したリン−バナジウム酸化
物前駆体より得た触媒では、1)無水マレイン酸が高収
率であること、2)触媒がより低い反応温度で良好に働
き、かつ長寿命であること、3)製造方法の再現性が良
好なこと等の目的の一部は達成されているものの、その
全てを兼ね備えた製造方法としてはなお不十分であっ
た。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記従来
の実情に鑑み鋭意検討を進めた結果、工業的にも著しい
改良が期待できる触媒前駆体の製造方法の特定の方法及
び条件を見出し、本発明に到達した。即ち、本発明は5
価のリン化合物及び5価のバナジウム化合物を、5価の
バナジウム化合物の少なくとも一部を4価に還元できる
有機溶媒中で反応させて、炭素数4の炭化水素を気相酸
化して無水マレイン酸を製造するための触媒前駆体を製
造する方法において、5価のリン化合物として、88〜
90%のリン酸を使用することを特徴とするリン−バナ
ジウム酸化物触媒前駆体の製造方法に存する。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
触媒前駆体の原料として使用する5価のバナジウム化合
物としては、五酸化バナジウム、またはメタバナジウム
酸アンモニウム、オキシ三ハロゲン化バナジウムなどの
バナジウム塩が例示されるが、最も一般的な原料は五酸
化バナジウムである。五酸化バナジウムは市販品をその
まま、あるいは、粉砕して用いる。
【0010】また、本発明の触媒前駆体の原料として使
用する5価のリン化合物としては、オルトリン酸換算で
88〜90%(重量%表示。以下同じ)の高濃度のリン
酸で、かつ該リン酸はピロリン酸やトリリン酸等の縮合
リン酸を実質的に含まず、実質的に全量がオルトリン酸
であるものを使用する。(なお、ここで「実質的に全量
がオルトリン酸」とは、全リン酸に対して、オルトリン
酸の割合が99モル%以上であることを表す。)88〜
90%のリン酸としては、工業規模で生産されて入手が
容易な89%リン酸が最も好ましい。その他、105%
リン酸に水を添加する方法や85%リン酸から水を除去
する方法により、88〜90%のリン酸を調合して使用
することも可能であるが、また105%リン酸は高価で
あると共に、固体であるので、取扱操作が煩雑であり好
ましくない。なお、105%リン酸とは、オルトリン酸
換算の濃度表示であるので、実際は、オルトリン酸、ピ
ロリン酸及びトリリン酸からなる混合リン酸である。更
にリン酸の縮合が進行した116%リン酸なども原料と
して使用可能であるが、105%リン酸と同様な理由で
好ましくない。
【0011】本発明で使用される有機溶媒はそれ自身が
還元力を有するものである。還元性の有機溶媒として
は、酸化を受けやすい官能基を有するものが挙げられ、
典型的にはアルコ−ル性水酸基を有する有機溶媒が好適
である。このような有機溶媒の中では、ブタノール、2
−プロパノ−ルや2−メチルプロパノ−ル、ヘキサノー
ル等の炭素数3〜6の脂肪族アルコ−ルや、ベンジルア
ルコ−ルが代表的である。かかる有機溶媒としては、上
記の溶媒を混合物として使用することもでき、例えば、
炭素数3〜6の脂肪族アルコ−ルと還元力の大きなベン
ジルアルコ−ルを混合して用いるのが好ましい。また、
ヒドラジンやシュウ酸等の還元剤を有機溶媒中に存在さ
せることも可能である。
【0012】また、本発明では、触媒前駆体の調製の際
に、助触媒を反応系に添加することが可能である。この
酸化物触媒の前駆体に含有させる助触媒元素としては、
鉄、コバルト、亜鉛等が挙げられ、特に鉄が良好であ
る。これらの助触媒の金属は、前駆体を調製する際の反
応媒体中に化合物で存在させるのが良い。この化合物の
例として、例えば鉄の化合物としては、塩化第一鉄(I
I)、酢酸第一鉄(II)、シュウ酸第一鉄(II)、リン
酸第二鉄(III)等が例示される。
【0013】原料の使用割合は、5価のリン化合物と5
価のバナジウム化合物がリンとバナジウムの原子比とし
て、通常1.0:1〜1.3:1が適当である。鉄等の
助触媒金属を使用する場合には、バナジウムと助触媒金
属の合計に対する助触媒金属の原子比で、通常0.00
5〜0.3、好ましくは0.02〜0.2である。また
有機溶媒の使用量は、反応媒体として使用できる量であ
れば特に限定されないが、特に還元力の大きなベンジル
アルコ−ルを混合して使用する場合は、ベンジルアルコ
−ル:5価のバナジウム化合物のモル比で通常0.0
2:1〜2:1、好ましくは0.5:1〜1.5:1で
ある。以上の原料の使用割合の範囲において特に活性の
高い触媒が得られる。
【0014】本発明では以上の原料からなるスラリ−状
態とし、これを、加熱撹拌下で反応させる。具体的に
は、バナジウムを還元するとともに、88〜90%のリ
ン酸と反応させ、4価のバナジウム及び5価のリンを含
有する複合酸化物粒子を製造する。本発明の方法におい
ては、5価のバナジウム化合物、好ましくは五酸化バナ
ジウムを有機溶媒中であらかじめ加熱還流してバナジウ
ムの価数の一部を4価に還元した後でリン酸を添加する
方法、あるいは五酸化バナジウムとリン酸を初めから混
合して反応させる方法のいずれも採用することができる
が、好ましくは前者の方法である。
【0015】また、助触媒金属化合物を使用する場合に
は、反応の最初から添加する方法、リン酸を添加した後
に加える方法等が選択可能である。原料を混合したスラ
リ−の加熱温度としては、用いる有機溶媒の種類による
が、通常80〜200℃の範囲で実施し、溶媒の沸点付
近の温度範囲で還流させる方法が特に好ましい。加熱時
間は、反応条件により変動するが、反応系にリン酸を添
加してから、通常1〜20時間が好適である。
【0016】また、場合によっては、上記の加熱・還流
中において、原料中の水あるいは反応により生成する水
を除去することにより、優れた性能の触媒が得られやす
い。除去する水の量は、反応系における水分を実質的全
量除去する必要はないが、継続的に水を除去するように
した方が望ましい。水と共に加熱により蒸発した有機溶
媒は、冷却して凝縮すると有機層と水層の2層に分離す
るので、この有機層は反応系に戻し、水層側を除去す
る。このような操作は、例えばディ−ン・スタ−ク型の
装置を付けることにより、容易に実施できる。
【0017】得られる複合酸化物粒子は、必ずしも結晶
性は良好ではないが、リン酸水素バナジル・1/2水塩
を含有するものである。該粒子は、固液分離の一般的手
法により分離され、必要に応じてアルコ−ル等の溶媒で
洗浄した後、乾燥する。このようにして得られた酸化物
触媒の前駆体は、そのままバインダ−成分あるいは担体
成分と混合し、乾燥、加熱活性化するか、あるいは、前
駆体を予め加熱して活性化後、バインダ−成分あるいは
担体成分と混合し、乾燥するなどした後、反応器の形態
により必要に応じて成型し、工業的な触媒とする。
【0018】例えば上記の加熱活性化条件としては、例
えば窒素雰囲気や窒素と空気を適当な割合で混合した雰
囲気での加熱・焼成や、炭素数4の炭化水素を含有した
反応ガス雰囲気中での加熱・焼成が挙げられる。そして
温度条件400〜700℃で加熱することにより活性化
させ、前駆体中の複合酸化物であるリン酸水素バナジル
・1/2水塩の少なくとも一部を、触媒活性成分である
ピロリン酸ジバナジルに転換させて触媒として使用す
る。
【0019】本発明で得られる触媒前駆体を用いて調製
される上記のような触媒は、炭化水素又はカルボン酸の
部分酸化反応、特にn−ブタン、1−ブテン、2−ブテ
ン、1,3−ブタジエン等の炭素数4の炭化水素の気相
酸化による無水マレイン酸の製造に好適に利用される。
炭化水素原料として特に経済的に有利なのはn−ブタン
及びブテンであり、これらは天然ガスからの分離、或い
はナフサクラッキング生成物からの分離などによって容
易に得ることができる。
【0020】酸化反応の形式は流動床でも固定床でも或
いは輸送床でもよい。酸化剤としては空気あるいは分子
状酸素含有ガスが用いられる。原料炭化水素濃度は酸素
含有ガスとの合計に対する割合で通常0.1〜10容量
%、好ましくは1〜5容量%、酸素濃度は原料炭化水素
及び酸素含有ガスの合計ガス中の割合が、10〜30容
量%で行われる。反応温度は通常300〜500℃、好
ましくは350〜450℃であり、反応圧力は、通常、
常圧もしくは0.05〜10kg/cm2 Gの加圧下で
行われる。
【0021】
【実施例】以下に実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の
実施例により限定されるものではない。なお、特に断り
がない限り「%」は、「重量%」を示す。また、「リン
酸」とは、特に断りがない限り全量をオルトリン酸に換
算した濃度で表す。
【0022】実施例1 10リットルの容器に2−メチルプロパノ−ル2195
g、ベンジルアルコ−ル205.4g、五酸化バナジウ
ム347.5g、シュウ酸第一鉄・2水物36.0gを
入れてスラリー状態で3時間、加熱・還流した。このス
ラリ−に89%リン酸528.5gを2−メチルプロパ
ノ−ル1.0リットルに溶解した溶液を添加後、2−メ
チルプロパノ−ル2.4リットルを入れた。尚、この8
9%リン酸は、実質的に全量がオルトリン酸である。こ
のスラリ−溶液を更に7時間、加熱・還流した後、冷却
した。2−メチルプロパノ−ルにより、生成物を洗浄、
濾過し、130℃で10時間乾燥し、触媒前駆体を調製
した。
【0023】実施例2 最初の還流時間を1時間とした以外は、実施例1と同様
に触媒前駆体の合成を実施した。 実施例3 10リットルの容器に2−メチルプロパノ−ル5120
g、ベンジルアルコ−ル205.4g、五酸化バナジウ
ム347.5g、シュウ酸第一鉄・2水物36.0gを
入れてスラリー状態で3時間、加熱・還流した。このス
ラリ−に89%リン酸528.5gを2−メチルプロパ
ノ−ル1.0リットルに溶解した溶液を添加後、2−メ
チルプロパノ−ル0.1リットルを入れた。尚、この8
9%リン酸は、実質的に全量がオルトリン酸である。こ
のスラリ−溶液を更に7時間、加熱・還流した後、冷却
した。2−メチルプロパノ−ルにより、生成物を洗浄、
濾過し、130℃で10時間乾燥し、触媒前駆体を調製
した。
【0024】実施例4 10リットルの容器に2−メチルプロパノ−ル2195
g、五酸化バナジウム347.5g、シュウ酸第一鉄・
2水物36.0gを入れてスラリー状態で3時間、加熱
・還流した。このスラリ−にベンジルアルコ−ル20
5.4gと、89%リン酸528.5gを2−メチルプ
ロパノ−ル1.0リットルに溶解した溶液を添加した。
尚、この89%リン酸は、実質的に全量がオルトリン酸
である。更に、2−メチルプロパノ−ル2.4リットル
を入れ、7時間、加熱・還流した後、冷却した。2−メ
チルプロパノ−ルにより、生成物を洗浄、濾過し、13
0℃で10時間乾燥し、触媒前駆体を調製した。
【0025】実施例5 10リットルの容器に2−メチルプロパノ−ル2400
g、五酸化バナジウム347.5gを入れてスラリー状
態で3時間、加熱・還流した。このスラリ−に89%リ
ン酸528.5gを2−メチルプロパノ−ル1.0リッ
トルに溶解した溶液を添加後、2−メチルプロパノ−ル
2.4リットルを入れた。尚、この89%リン酸は、実
質的に全量がオルトリン酸である。このスラリ−溶液を
還流開始した時点で、シュウ酸第一鉄・2水和物36.
0gを添加し、7時間、加熱・還流した後、冷却した。
2−メチルプロパノ−ルにより、生成物を洗浄、濾過
し、130℃で10時間乾燥し、触媒前駆体を調製し
た。
【0026】実施例6 10リットルの容器にベンジルアルコ−ル2400g、
五酸化バナジウム347.5g、シュウ酸第一鉄・2水
物36.0gを入れてスラリー状態で3時間、加熱・還
流した。このスラリ−に89%リン酸528.5gとベ
ンジルアルコ−ル1,000gの混合液を添加後、ベン
ジルアルコ−ル1720gを入れた。尚、この89%リ
ン酸は、実質的に全量がオルトリン酸である。スラリ−
溶液を80℃で7時間加熱した後、冷却した。2−メチ
ルプロパノ−ルにより、生成物を洗浄、濾過し、130
℃で10時間乾燥し、触媒前駆体を調製した。
【0027】実施例7 実施例1において、最初に仕込む原料のうち、2−メチ
ルプロパノ−ル2205g、ベンジルアルコ−ル19
4.6g、五酸化バナジウム329.2g、シュウ酸第
鉄・2水塩72.0gとした以外は実施例1と同様にし
て触媒前駆体を製造した。 実施例8 実施例7において、最初に仕込む原料のうち、2−メチ
ルプロパノ−ル2011g、ベンジルアルコ−ル38
9.3gとした以外は実施例7と同様にして触媒前駆体
を合成した。
【0028】実施例9 実施例1において、最初に仕込む原料のうち、2−メチ
ルプロパノ−ル2205g、ベンジルアルコ−ル19
4.6g、五酸化バナジウム292.6g、シュウ酸第
一鉄・2水塩144.0gとした以外は実施例1と同様
にして触媒前駆体を製造した。 実施例10 実施例1において、最初に仕込む原料のうち、シュウ酸
第一鉄のかわりに酢酸第一鉄38.2gを使用した以外
は実施例1と同じ合成を実施して触媒前駆体を製造し
た。
【0029】実施例11 実施例1において、最初に仕込む原料のうち、シュウ酸
第一鉄のかわりにリン酸第二鉄(III)40.2gを用
いて実施例1と同様に触媒前駆体を合成した。
【0030】比較例1 10リットルの容器に2−メチルプロパノ−ル2400
g、五酸化バナジウム347.5gを入れてスラリー状
態で3時間、加熱・還流した。このスラリ−に85%リ
ン酸553.4gを2−メチルプロパノ−ル1.0リッ
トルに溶解して添加後、シュウ酸第一鉄・2水塩36.
0gを2−メチルプロパノ−ル2.4リットルを入れ
た。このスラリ−溶液を7時間加熱・還流した後、冷却
した。2−メチルプロパノ−ルにより、生成物を洗浄、
濾過し、130℃で10時間乾燥し、触媒前駆体を調製
した。
【0031】比較例2 10リットルの容器に2−メチルプロパノ−ル2400
g、五酸化バナジウム329.2g、シュウ酸第一鉄・
2水物72.0gを入れて3時間、加熱・還流した。こ
のスラリ−に85%リン酸553.4gを2−メチルプ
ロパノ−ル1.0リットルに溶解した溶液を添加後、2
−メチルプロパノ−ル2.4リットルを入れた。このス
ラリ−溶液を7時間加熱・還流した後、冷却した。2−
メチルプロパノ−ルにより、生成物を洗浄、濾過し、1
30℃で10時間乾燥し、触媒前駆体を調製した。
【0032】比較例3 10リットルの容器に2−メチルプロパノ−ル2400
g、五酸化バナジウム329.2g、シュウ酸第一鉄・
2水物72.0gを入れてスラリー状態で3時間、加熱
・還流した。このスラリ−に99%リン酸475.2g
を2−メチルプロパノ−ル1.0リットルに溶解した溶
液を添加後し、次いで、2−メチルプロパノ−ル2.4
リットルを入れた。このスラリ−溶液を7時間、加熱・
還流した後、冷却した。2−メチルプロパノ−ルによ
り、生成物を洗浄、濾過し、130℃にて10時間乾燥
し、触媒前駆体を調製した。
【0033】反応試験例 実施例1〜11、比較例1〜3にて得られた酸化物触媒
の前駆体を窒素雰囲気下、550℃焼成後、14〜24
メッシュの粒径に成型した触媒を用いて、触媒活性を試
験した。石英製反応管に触媒を1cc充填し、n−ブタ
ン濃度4モル%の空気混合ガスを、GHSV1000H
-1の速度で通過させて400℃で反応を実施した。約
20時間経過後、反応管内の温度を350〜500℃の
範囲で調整し、反応状態を調べた。反応管出口ガスをサ
ンプリングして、オンライン接続したガスクロマトグラ
フにより生成物の分析を実施した。得られた結果を表−
1に示す。比較例に比べて実施例の触媒は、無水マレイ
ン酸収率が高く、かつ反応温度が低く、反応成績が良好
なことが理解される。
【0034】
【表1】
【0035】実施例12 10リットルの容器に2−メチルプロパノ−ル2195
g、ベンジルアルコ−ル205.4g、五酸化バナジウ
ム347.5g、シュウ酸第一鉄・2水物36.0gを
入れてスラリー状態で3時間、加熱・還流した。このス
ラリ−に、89%リン酸528.5gを2−メチルプロ
パノ−ル1.0リットルに溶解した溶液を添加し、次い
で、2−メチルプロパノ−ル2.4リットルを入れた。
尚、この89%リン酸は、実質的に全量がオルトリン酸
である。このスラリ−溶液を更に7時間、加熱・還流し
たが、この間ディ−ン・スタ−ク型の受器により留出液
から水層部分のみを合計で67mL除去した。反応スラ
リーを冷却後、濾過し、130℃にて10時間乾燥し、
触媒前駆体を調製した。
【0036】実施例13 実施例12と同様に合成を実施し、7時間の加熱・還流
の間に合計で水層60mLを除去し、触媒前駆体を調製
した。 比較例4 10リットルの容器に2−メチルプロパノ−ル2400
g、五酸化バナジウム347.5g、85%リン酸55
3.4gを入れ、スラリ−溶液を加熱し、還流を開始し
た所でシュウ酸第一鉄・2水和物36.0gを添加し
た。実施例12と同様な方法で水層を除去しながら、7
時間、加熱・還流し、合計で71mLの水層を除去し、
触媒前駆体を調製した。
【0037】比較例5 10リットルの容器に2−メチルプロパノ−ル5120
g、五酸化バナジウム365.8g、固体リン酸(メル
ク社製品、純度99%、試薬)475.2gを入れて7
時間、加熱・還流した。還流開始から4時間の間に2−
メチルプロパノ−ルと水の共沸組成物1450mLを除
去すると共に、2−メチルプロパノ−ル1450mLを
補給した。スラリ−を冷却、濾過した後、2−メチルプ
ロパノ−ルにより生成物を洗浄、濾過し、130℃で1
0時間乾燥し、触媒前駆体を調製した。
【0038】比較例6 固体リン酸(メルク社製品、純度99%、試薬)47
5.2gを用いた以外は、実施例12と同様に合成を実
施した。7時間の加熱・還流の間に合計で14.5mL
の水層を除去し、触媒前駆体を調製した。 反応試験例2 実施例12〜13、比較例4〜6にて得られた酸化物触
媒の前駆体を窒素雰囲気下、550℃焼成後、14〜2
4メッシュの粒径に成型した触媒を用いて、前記反応試
験例1と同じ方法で触媒活性を試験した。得られた結果
を表−2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】本発明により得られる前駆体を活性化し
た酸化物触媒は、炭素数4の炭化水素、特に飽和のブタ
ンを選択的に酸化して無水マレイン酸を製造する反応に
おいて、比較的低い温度範囲においても収率が高く、長
期に渡り反応成績が良好である。そのため、触媒当たり
の無水マレイン酸の製造量が大きく、触媒原単位の低減
が可能である。また、工業的な触媒製造条件にて再現性
よく製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 ますみ 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 三 菱化成株式会社総合研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 5価のリン化合物及び5価のバナジウム
    化合物を、5価のバナジウム化合物の少なくとも一部を
    4価に還元できる有機溶媒中で反応させて、炭素数4の
    炭化水素を気相酸化して無水マレイン酸を製造するため
    の触媒前駆体を製造する方法において、5価のリン化合
    物として、88〜90%のリン酸を使用することを特徴
    とするリン−バナジウム酸化物触媒前駆体の製造方法。
  2. 【請求項2】 有機溶媒として炭素数3〜6の脂肪族ア
    ルコールとベンジルアルコ−ルの混合液を使用すること
    を特徴とする請求項1に記載のの製造方法。
  3. 【請求項3】 助触媒成分として鉄、コバルト又は亜鉛
    のいずれかを使用することを特徴とする請求項1又は請
    求項2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 反応中に水を除去することを特徴とする
    請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP0799795A3 (en) * 1996-04-01 1998-01-07 Nippon Shokubai Co., Ltd. Vanadium-phosphorus oxide, method for production thereof, catalyst for vapor phase oxidation formed of the oxide, and method for partial vapor phase oxidation of hydrocarbon
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JP2011504158A (ja) * 2007-11-09 2011-02-03 ユニヴァースィティ プトラ マレーシア 表面積の大きなナノ粒子バナジウムリン酸化物触媒及びその生成物誘導体の改善された生成工程
JP2021137740A (ja) * 2020-03-05 2021-09-16 三菱ケミカル株式会社 リン−バナジウム酸化物触媒前駆体の製造方法

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