JPH07224198A - ポリスチレン系樹脂組成物 - Google Patents

ポリスチレン系樹脂組成物

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JPH07224198A
JPH07224198A JP3515894A JP3515894A JPH07224198A JP H07224198 A JPH07224198 A JP H07224198A JP 3515894 A JP3515894 A JP 3515894A JP 3515894 A JP3515894 A JP 3515894A JP H07224198 A JPH07224198 A JP H07224198A
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Toshiaki Miyanaga
俊明 宮永
Kiichi Yonetani
起一 米谷
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 流動性、剛性、耐衝撃性の物性バランスの優
れた無機充填物を含有したゴム変性ポリスチレンを得
る。 【構成】 ゴム含有率が3重量%以上のハイインパクト
ポリスチレン47〜89重量%に、重量平均粒子径5μ
m以下の無機充填剤10〜50重量%とカルボン酸アミ
ド化合物0.3〜3重量%を配合してポリスチレン系樹
脂組成物を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、良流動性を有し、か
つ、剛性や耐衝撃性等の機械的物性バランスに優れるポ
リスチレン系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術分野】熱可塑性樹脂に、無機充填剤を添加
すると、剛性を始めとする機械的性質に優れた材料が得
られることは、広く知られるところであるが、ポリスチ
レン系樹脂については、単純にポリスチレン系樹脂に無
機充填剤をブレンドしても、良好な物性の材料は得られ
ない。
【0003】そこで、上記のような問題を解決するため
に、例えば、表面を改質した無機充填剤をポリスチレン
系樹脂に配合したり(特開昭50−19848号公
報)、粒子状の無機充填剤と繊維状の無機充填剤を併用
してポリスチレン系樹脂に配合する(特開昭51−45
156号公報)ことによって、無機フィラー充填ポリス
チレン系樹脂組成物の機械的性質を向上させる方法が試
みられてきた。
【0004】しかしながら、無機充填剤の表面を改質す
る方法は、工業的に簡便な方法とは言えないばかりか、
表面処理に伴う無機充填剤の価格上昇が避けられない。
また、粒子状の無機充填剤と繊維状の無機充填剤を併用
する方法は、繊維状の無機充填剤の添加によって材料の
伸び特性が著しく低下するのに加え、成形品の異方性が
大きくなることに伴うそり等の現象が避けられない。
【0005】また、熱可塑性樹脂に無機充填剤を添加す
ると、一般に、樹脂の流動特性が低下するため、射出成
形用の材料として好ましくない。
【0006】ポリスチレン系樹脂が、元来、安価で、良
好な流動特性を有し、かつ、機械的物性バランスに非常
に優れる樹脂であることを考えれば、これらの諸物性を
低下させることなく、剛性を始めとする機械的性質を、
より向上させることが、重要な課題であった。
【0007】しかしながら、これらの課題をすべて満足
する安価で、良流動特性を有し、かつ、機械的物性バラ
ンスに優れたポリスチレン系樹脂組成物は、これまで得
られていないのが現状であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記課題を解決すべ
く、本発明者らは、ハイインパクトポリスチレン樹脂
(HIPS)に添加する各種の無機充填剤と有機系化合
物のブレンド処方と流動特性及び機械的性質との関係を
中心に鋭意検討した結果、上記の課題を解決するために
は、ゴム含有量を限定したHIPSに対して、重量平均
粒子径を特定した無機充填剤と特定の化学構造を有する
カルボン酸アミド化合物をある一定の配合割合で添加す
れば、流動特性および機械的性質に優れた物性バランス
の良いポリスチレン系樹脂組成物を得ることが可能であ
ることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の最大の特徴は、
重量平均粒子径を特定した無機充填剤と特定の化学構造
を有するカルボン酸アミド化合物の複合効果である。す
なわち、ゴム含有量を限定したポリスチレン系樹脂、無
機充填剤およびカルボン酸アミド化合物の三成分を併用
することによって、流動特性および機械的性質に優れた
物性バランスの良いポリスチレン系樹脂組成物を提供す
るものである。
【0010】以下、本発明を具体的に説明する。本発明
でいうハイインパクトポリスチレン樹脂は、ゴム含有量
が3〜20重量%、より望ましくは、5〜12重量%の
範囲であることが好ましい。HIPS中のゴム含有量が
3重量%以下の範囲では、樹脂組成物の耐衝撃性が著し
く低下するため好ましくなく、また、20重量%以上に
なると、成型品の剛性が低下するので好ましくない。な
お、本発明でいう樹脂中のゴム含有量の測定方法は、日
本分析化学会編、朝倉書店発行、高分子分析化学ハンド
ブック(P267〜268)に記載されるゴム含量分析
の実験手順に従って測定することができる。
【0011】また、本発明に用いる無機充填剤は、重量
平均粒子径が0.5〜5μm、より望ましくは、0.5
〜3μmの範囲であることが好ましい。無機充填剤の重
量平均粒子径が5μmより大きくなると、樹脂組成物の
耐衝撃性が急激に低下し、また、強度や弾性率の低下も
生ずるため、好ましくなく、また重量平均粒子系が0.
5μm以下だと、粒子が凝集を起こしやすくなり、その
結果、成型品の衝撃強度が低下するため好ましくない。
さらに、本発明に用いる無機充填剤の添加量の範囲は、
10〜50重量%、より望ましくは、15〜40重量%
の範囲である。無機充填剤の添加量が10重量%未満の
範囲では、一般式化1で表されるカルボン酸アミド化合
物との複合効果が低下するため、好ましい機械的性質の
向上が得られず、また、無機充填剤の添加量が50重量
%を越える範囲では、比重の増大や耐衝撃性の急激な低
下が生ずるため、好ましくない。
【0012】なお、本発明でいう重量平均粒子径0.5
〜5μmの無機充填剤とは、硫酸バリウム、硫酸カルシ
ウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、カオリ
ン、セピオライト、マイカ等の無機充填剤が代表的であ
り、これらの混合物でも差支えないが、これらの中で
も、硫酸バリウムおよび炭酸カルシウムは、機械的性質
のバランス面から、特に好ましい。
【0013】また、本発明でいう一般式化1〜化3で表
されるカルボン酸アミド化合物の1種以上からなる化合
物は0.3〜3重量%添加することが好ましく、望まし
くは、0.5〜1.5重量%添加することがより好まし
い。カルボン酸アミド化合物の添加量が0.3重量%未
満の範囲では、無機充填剤との複合効果が低下するた
め、好ましい機械的性質の向上が得られず、また、カル
ボン酸アミド化合物の添加量が3重量%を越える範囲で
は、耐熱性や弾性率の急激な低下が生ずるため、いずれ
も好ましくない。
【0014】なお、本発明でいう一般式化1で表される
カルボン酸アミド化合物は、R1 が、炭素数6〜30の
炭化水素基で示されるものであるが、より望ましくは、
炭素数が12〜25の炭化水素基であるものが好まし
い。R2 は、炭素数1〜12のアルキレン基で示される
ものであるが、より望ましくは、炭素数が1〜6のアル
キレン基であることが好ましい。さらに、一般式化1で
表されるカルボン酸アミド化合物として望ましい具体的
化合物としては、メチレンビスステアリン酸アミド、エ
チレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスオレイン
酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビ
スエルカ酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エ
チレンビスベヘニン酸アミド、エチレンビスモンタン酸
アミド、メチレンビス安息香酸アミド、エチレンビス安
息香酸アミド、テトラメチレンビスステアリン酸アミド
およびテトラメチレンビスラウリン酸アミドなどがあ
る。
【0015】また、本発明でいう一般式化2で表される
カルボン酸アミド化合物は、R3 が炭素数1〜20のア
ルキル基で示されるものであるが、より望ましくは、炭
素数が6〜18のアルキル基であることが好ましい。R
4 は炭素数4〜40の炭化水素基で示されるものである
が、より望ましくは、炭素数が6〜18の炭化水素基で
あることが好ましい。一般式化2で表されるカルボン酸
アミド化合物として望ましい具体的化合物としては、ア
ジピン酸ジオクチルアミド、アジピン酸ジラウリルアミ
ドおよびテレフタル酸ジオクチルアミドなどがある。
【0016】また、本発明でいう一般式化3で表される
カルボン酸アミド化合物は、R5 が炭素数10〜40の
炭化水素基で示されるものであるが、より望ましくは、
炭素数が12〜30の炭化水素基であることが好まし
い。R6 は水素若しくは炭素数1〜40のアルキル基で
示されるものであるが、より望ましくは、水素若しくは
炭素数が1〜25のアルキル基で示されるものであるこ
とが好ましい。さらに、一般式化3で表されるカルボン
酸アミド化合物として望ましい具体的化合物としては、
ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、パルミチン酸ア
ミド、オレイン酸アミド、エシル酸アミド、ベヘニン酸
アミドおよびモンタン酸アミドなどがある。
【0017】上記の一般式化1〜化3の中から選ばれる
カルボン酸アミドは、本発明の範囲内であれば、1種類
を添加してもよいし、2種類以上を添加して用いても差
し支えない。
【0018】上記のカルボン酸アミドの中でも、特に、
メチレンビスステアリン酸アミドおよびエチレンビスス
テアリン酸アミドが、特性バランスおよび低価格等の面
から好ましい。
【0019】なお、本発明のポリスチレン系樹脂組成物
においては、目的に応じて、可塑剤、離型剤、耐候剤、
酸化防止剤、着色剤、安定剤等を併用しても、本発明の
範囲を著しく損なわない範囲であれば、特に差し支えは
ない。
【0020】
【実施例】以下、実施例および比較例に基づいて本発明
を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例およ
び比較例に限定されるものではない。
【0021】実施例1〜4、比較例1〜6 ゴム含有量7重量%のハイインパクトポリスチレン樹脂
(HIPS−A)、ゴム含有量2重量%のハイインパク
トポリスチレン樹脂(HIPS−B)、重量平均粒子径
1μmの炭酸カルシウム(CaCo3 )、重量平均粒子
径2μmの硫酸バリウム(BaSO4 )、重量平均粒子
径2μmのタルク(タルクA)、重量平均粒子径9μm
のタルク(タルクB)、メチレンビスステアリン酸アミ
ド(MBS)およびエチレンビスステアリン酸アミド
(EBS)を用いて、表1〜表3に示す材料を作成し
た。
【0022】試料の調整は、(株)池貝製の30mmφ
−2軸押出機を用いて、シリンダ−温度210℃の条件
で混練し、実施例1〜4および比較例1〜5のペレット
を得た後、(株)日本製鋼所製の100tの射出成形機
を用いてテストピ−スを作成した。
【0023】物性評価は、流動特性(200℃、5kg
荷重下でのMFR測定)、曲げ弾性率およびIz値より
判断した。判定基準として、MFRが12g/10mi
n以上、曲げ弾性率が20000kgf/cm2 以上お
よび、Iz値が4kgf−cm/cm以上と設定し、3
つの物性をすべてクリアーしたものを合格(○)とし、
それ以外を不合格(×)とした。
【0024】
【表1】 *表中、曲げ弾性率の単位はkgf/cm2 、Iz値の
単位はkgf−cm/cm、MFRの単位はg/10m
inである。
【0025】
【表2】 *表中、曲げ弾性率の単位はkgf/cm2 、Iz値の
単位はkgf−cm/cm、MFRの単位はg/10m
inである。
【0026】
【表3】 *表中、曲げ弾性率の単位はkgf/cm2 、Iz値の
単位はkgf−cm/cm、MFRの単位はg/10m
inである。
【0027】表2、表3より、無機充填材の配合量が5
重量%以下の範囲では、充分な剛性が得られず、また、
50重量%を越える範囲では、耐衝撃性が急激に低下
し、無機充填剤とカルボン酸アミドの複合効果が充分に
得られないことがわかる。さらに、重量平均粒子径が5
μmを越える無機充填材を使用した場合では、本発明の
配合量の範囲内であっても、Iz値やMFRが急激に低
下していることがわかる。また、カルボン酸アミド化合
物の添加量が0.3重量%よりも小さな範囲では、MF
RやIz値の向上が得られず、逆に、添加量が5重量%
を越える範囲では、弾性率等の低下が生じている。ま
た、ベースとするHIPSのゴム含有量が3重量%より
小さな範囲では、耐衝撃性が急激に低下し、無機充填剤
とカルボン酸アミドの複合効果が充分に得られない。
【0028】これに対して、用いるHIPSのゴム含有
量と、HIPSに添加する無機充填材の配合量および重
量平均分子量、カルボン酸アミド化合物の種類および添
加量を、本発明の方法に従って適切に選べば、特異的な
2つの複合効果によって、良流動性を有し、かつ高い曲
げ弾性率およびIz値を有する優れた物性バランスを有
する材料を得ることができる。
【0029】本発明によるポリスチレン系樹脂組成物
は、機械的物性のバランスに優れ、かつ高流動性である
ことから、特に射出成形用材料に最適で、自動車内装部
品や家電製品に使用されるプラスチック材料として極め
て有用なものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 21:00)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ゴム含有量が3〜20重量%の範
    囲であるハイインパクトポリスチレン系樹脂(HIP
    S)47〜89.7重量%、(B)重量平均粒子径が
    0.5〜5μmの範囲である無機充填剤10〜50重量
    %、(C)下記一般式化1〜化3で表されるカルボン酸
    アミド化合物から選ばれた1種もしくは2種以上からな
    る化合物0.3〜3重量%を配合してなるポリスチレン
    系樹脂組成物。 【化1】R1 −CONH−R2 −NHCO−R1 (式中のR1 は炭素数6〜30の炭化水素基を、R2
    炭素数1〜12のアルキレン基を示す。) 【化2】R3 −NHCO−R4 −CONH−R3 (式中のR3 は炭素数1〜20のアルキル基を、R4
    炭素数4〜40の炭化水素基を示す。) 【化3】R5 −CONH−R6 (式中のR5 は炭素数10〜40の炭化水素基を、R6
    は水素若しくは炭素数1〜40のアルキル基を、各々示
    す。)
  2. 【請求項2】 重量平均粒子径が0.5〜5μmの範囲
    である無機充填剤が、硫酸バリウムあるいは炭酸カルシ
    ウムである請求項1記載のポリスチレン系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 カルボン酸アミド化合物が、メチレンビ
    スステアリン酸アミドおよび/またはエチレンビスステ
    アリン酸アミドである請求項1または請求項2記載のポ
    リスチレン系樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109517315A (zh) * 2018-11-16 2019-03-26 上海瀚氏科技集团有限公司 汽车内饰件用抗菌塑料及其生产工艺
CN110951120A (zh) * 2019-10-29 2020-04-03 万向钱潮股份有限公司 一种重型汽车传动轴中间支承橡胶注射硫化配方

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CN109517315A (zh) * 2018-11-16 2019-03-26 上海瀚氏科技集团有限公司 汽车内饰件用抗菌塑料及其生产工艺
CN109517315B (zh) * 2018-11-16 2021-03-30 上海瀚氏科技集团有限公司 汽车内饰件用抗菌塑料及其生产工艺
CN110951120A (zh) * 2019-10-29 2020-04-03 万向钱潮股份有限公司 一种重型汽车传动轴中间支承橡胶注射硫化配方

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