JPH07223561A - 背負い式スペアタイヤキャリア装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 人手によらず作動気体により手軽にスペアタ
イヤの上げ下ろしを可能にする。 【構成】 バックドア１の外側に固着され、スペアタイ
ヤを着脱可能に保持するタイヤブラケット２と、バック
ドア１内に内蔵され、外部からの作動気体の吹き込みに
よりバックドア１内において膨張し、作動気体の外部へ
の抜気により収縮するエアーバッグ４と、バックドア１
内に一端が固定され、他端の自由端がバックドア１の外
部に引き出されタイヤブラケット２の上部に掛け回され
て垂下された非伸縮性索部材８とを備え、エアーバッグ
４の膨張により非伸縮性索部材８が、その自由端に取付
けたスペアタイヤのタイヤブラケット２への装着を可能
とする位置にまで緊張し引き上げられる構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は車体後部のバックドア
にスペアタイヤを着脱可能に保持する背負い式スペアタ
イヤキャリア装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の背負い式スペアタイヤキャリア装
置は、例えば実開昭６２ー９５０７９号公報や実開昭６
２ー９５０８０号公報並びに実開平３ー８３１８５号公
報に開示されているような構成であり、ヒンジ回転タイ
プ、巻き上げタイプ、上下スライドタイプ等に大別でき
るものである。ヒンジ回転タイプは、図７に示すように
下部においてヒンジ１０１により垂直方向に回動できる
タイヤキャリア１０２を備え、同図７の仮想線で示すよ
うに、上部が地面Ｇに当たる斜めの状態にタイヤキャリ
ア１０２を回動させてスペアタイヤ１０３の着脱を行な
うものである。

【０００３】巻き上げタイプは、図８に示すように巻取
装置１０４の巻取軸１０４Ａをタイヤブラケット１０５
側又はスペアタイヤ１０３側に設け、操作ハンドルＨで
ワイヤ１０６を巻取軸１０４Ａに巻き取り、或いは巻き
戻すことによりスペアタイヤ１０３の着脱を行なうもの
で、実開昭６２ー９５０７９号公報及び実開昭６２ー９
５０８０号公報に示されているものがこのタイプであ
る。

【０００４】上下スライドタイプは、図９に示すように
車体後部に上下方向に設けられたスライドレール１０７
に昇降可能にスペアタイヤ１０３を着脱可能に保持する
タイヤキャリア１０８が装着され、タイヤキャリア１０
８を駆動機構等により昇降させることによりスペアタイ
ヤ１０３の着脱を行なうもので、実開平３ー８３１８５
号公報に示されているものがこのタイプである。

【０００５】上記いずれのタイプも、スペアタイヤ１０
３の着脱に際して、重いスペアタイヤ１０３を直接人手
により保持部分まで持ち上げ、或いは持ち下ろさずに済
むように工夫されたものである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の背
負い式スペアタイヤキャリア装置においては、スペアタ
イヤ１０３の着脱に要する労力はそれぞれの機構に応じ
て軽減されるようになっているが、いずれにしろ所定位
置にスペアタイヤ１０３を上げ下ろすには人力によらな
ければならず、重量のあるスペアタイヤ１０３では困難
度の高い作業となっている。

【０００７】また、巻き上げタイプやスライドタイプは
装置の構成が複雑で、巻取装置１０４や駆動機構等を含
むため製造コストが高くつくといった問題点もある。さ
らには、ヒンジ回転タイプやスライドタイプではパイプ
部材やスライドレール１０７等が車体後部に呈出してい
て、車両の後部の見栄えを低下させるという難点もあ
る。

【０００８】そこで、この発明は上記した従来の不都合
な問題点を解決するためになされたもので、その第１の
目的は人手によらず、作動気体により手軽にスペアタイ
ヤの上げ下ろしができる背負い式スペアタイヤキャリア
装置を提供することにあり、第２の目的は構成が簡素で
コストの低減が可能であり、車両の外観を損なうことが
少ない背負い式スペアタイヤキャリア装置を提供するこ
とにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
にこの発明は、バックドアの外側に固着されスペアタイ
ヤを着脱可能に保持するタイヤブラケットと、前記バッ
クドア内に内蔵され同バックドアの外部からの作動気体
の吹き込みにより同バックドア内において膨張し作動気
体の前記バックドア外への抜気により収縮するエアーバ
ッグと、前記バックドア内に一端が固定され他端の自由
端が同バックドアの外部に引き出され前記タイヤブラケ
ットの上部に掛け回されて垂下されたタイヤ引き上げ用
の非伸縮性索部材とを備え、前記エアーバッグの膨張に
より前記非伸縮性索部材が、その自由端に取付けたスペ
アタイヤのタイヤブラケットへの装着を可能とする位置
にまで緊張し引き上げられる構成としたものである。

【００１０】また、前記目的を達成するために他の発明
は、バックドアの外側に固着されスペアタイヤを着脱可
能に保持するタイヤブラケットと、前記バックドア内に
内蔵され車両の排気ガスの吹き込みにより前記バックド
ア内において膨張し排気ガスの抜気により収縮するエア
ーバッグと、前記バックドアの外表に臨んで配設され前
記エアーバッグに車両の排気管からの排気ガスを出し入
れするエアーバルブを備えた送気口と、前記バックドア
内に一端が固定され他端である自由端が前記エアーバッ
グを周回して前記バックドアの前記タイヤブラケットの
上部から引き出され同タイヤブラケットの上部に掛け回
されて垂下されたタイヤ引き上げ用の非伸縮性ベルト部
材とを備え、前記エアーバッグの膨張により前記非伸縮
性ベルト部材が、その自由端に取付けたスペアタイヤの
前記タイヤブラケットへの装着を可能とする位置にまで
緊張し引き上げられる構成としたものである。

【００１１】

【作用】前記したように構成されるこの発明にかかる背
負い式スペアタイヤキャリア装置において、バックドア
の外側に固着され、スペアタイヤを着脱可能に保持して
いるタイヤブラケットから、スペアタイヤを外しそのま
ま地面に落して非伸縮性索部材からスペアタイヤを取り
外せばスペアタイヤを取り外すことができる。この状態
において、スペアタイヤと非伸縮性索部材を連結し、バ
ックドア内に内蔵されているエアーバッグにバックドア
の外部から作動気体を吹き込むと、エアーバッグがバッ
クドア内において膨張し、この膨脹に従って非伸縮性索
部材がその自由端に取付けたスペアタイヤのタイヤブラ
ケットへの装着を可能とする位置にまで緊張していき、
スペアタイヤを地面から引き上げることになる。

【００１２】前記したように構成される他の発明にかか
る背負い式スペアタイヤキャリア装置において、バック
ドアの外側に固着され、スペアタイヤを着脱可能に保持
しているタイヤブラケットから、スペアタイヤを外しそ
のまま地面に落して非伸縮性ベルト部材からスペアタイ
ヤを取り外せばスペアタイヤを取り外すことができる。
この状態において、スペアタイヤと非伸縮性ベルト部材
を連結し、バックドア内に内蔵されているエアーバッグ
に排気管から排気されている排気ガスを吹き込むと、エ
アーバッグがバックドア内において膨張し、この膨脹に
従って非伸縮性ベルト部材がその自由端に取付けたスペ
アタイヤのタイヤブラケットへの装着を可能とする位置
にまで緊張していき、スペアタイヤを地面から引き上げ
ることになる。

【００１３】

【実施例】以下、この発明の一実施例を図１〜図６に基
づいて説明する。 （実施例１）この背負い式スペアタイヤキャリア装置
は、図２に示すように車両Ｓのバックドア１の外側に固
着されたタイヤブラケット２にねじとナットによりスペ
アタイヤ３を立ち状態で着脱可能に保持するものであ
る。このタイヤブラケット２を設けたバックドア１は通
常の車両におけるドア構造と同様に中空構造であるが、
その内部には図１に示すようにエアーバッグ４が組込ま
れている。このエアーバッグ４は、図１の一点鎖線に示
すように、バックドア１内の上部空間に位置し、その一
部に構成されたブラケット５によりバックドア１の構造
部材に固定されている。なお、エアーバッグ４の材質は
非通気性のシートあるいはゴム質のシートなどとされ
る。エアーバッグ４には送気口６があり、この送気口６
はバックドア１の内側における外表に臨んで配設されて
いる。送気口６には逆止弁を含むエアーバルブ７が組み
込まれている。送気口６から作動気体を吹き込むと、エ
アーバッグ４はバックドア１内において下部側に向かっ
て膨張し、やがてはバックドア１内の内部空間を図１の
実線で示すように占領する。この膨張状態はエアーバル
ブ７を操作して送気口６から抜気しない限り持続する。

【００１４】バックドア１内にはこのエアーバッグ４と
ともに、非伸縮性ベルト部材８が取付けられている。こ
の非伸縮性ベルト部材８はその一端がバックドア１の内
部における内側上部に固着され、エアーバッグ４の背面
に沿って下部を周回し、エアーバッグ４の表面に取付け
られたバンド通し９に挿通されて、バックドア１内の上
部に取付けられたガイドローラ１０に掛けられてバック
ドア１の上部に開設されたスリット状の開口部１１から
バックドア１の外部に引き出されている。バックドア１
の外部に引き出された非伸縮性ベルト部材８は、タイヤ
ブラケット２の上部中央に設けられたガイドローラ１２
を介して垂下され、その自由端にはスペアタイヤ３のタ
イヤホイールに係脱可能に掛け止めできるタイヤフック
板１３が装着されている。スペアタイヤ３のタイヤホイ
ールはそのホイール孔にタイヤフック板１３のフック１
３Ａを挿入して掛け止めされるようになっている。非伸
縮性ベルト部材８の固定端とガイドローラ１０及びバッ
クドア１の開口部１１並びにタイヤブラケット２は、バ
ックドア１を縦断するほぼ同一面内に位置している。

【００１５】なお、非伸縮性ベルト部材８は例えばロー
プ形態の非伸縮性索部材でもよいが、帯状の形態のほう
がエアーバッグ４との馴染がよく、またねじれにくいの
で機能が維持しやすい。さらに作動気体は空気等の各種
の気体が採用できるが、車両Ｓという特殊性からは、車
両Ｓの排気ガスをそのまま利用することが、手軽で簡単
である。

【００１６】上記構成の背負い式スペアタイヤキャリア
装置は、地面Ｇに置いたスペアタイヤ３を、バックドア
１のタイヤブラケット２に装着できる位置にまで人力を
使うことなく引き上げることができる。即ち、図４に示
すように、バックドア１を開扉状態にして、その直下の
地面Ｇにスペアタイヤ３を置いた後、非伸縮性ベルト部
材８を引き伸ばしてその自由端に取付けられているタイ
ヤフック板１３のフック１３Ａをスペアタイヤ３のホイ
ール孔に掛着する。こうしておいて、車両Ｓの排気管１
４と送気口６とを専用ホース１５等で図４に示すように
接続し、作動気体としての排気ガスをエアーバッグ４内
に直接送り込む。

【００１７】排気ガスの送り込みにより、エアーバッグ
４はバックドア１内において下方へ膨張していき、やが
てバックドア１の内部空間を占領する。この間、エアー
バッグ４の膨張に連れ、エアーバッグ４に掛け回されて
いる非伸縮性ベルト部材８も逐次緊張していき、エアー
バッグ４の膨圧がスペアタイヤ３の荷重に打ち勝つ状態
になると、スペアタイヤ３は、タイヤブラケット２の位
置にまで持ち上げられることになる。この状態になれば
排気ガスの吹き込みは不要なので専用ホース１５は取り
外す。専用ホース１を外したエアーバッグ４は送気口６
の逆止弁の作用により内圧が保持される。次いで、持ち
上げられたスペアタイヤ３をタイヤブラケット２に合
せ、ナットを使って装着すればスペアタイヤ３の装着が
完了する。スペアタイヤ３の装着完了後は、エアーバル
ブ７を操作してエアーバッグ４の内の排気ガスを放出さ
せ、エアーバッグ４を収縮させておく。

【００１８】また、タイヤブラケット２に装着されてい
るスペアタイヤ３を取り外す場合には、前述と同様にエ
アーバッグ４を排気ガスで一旦膨張させておいて、スペ
アタイヤ３をタイヤブラケット２から外し、エアーバル
ブ７を操作してゆっくりエアーバッグ４の排気ガスを抜
いていけばよい。エアーバッグ４の抜気とともにスペア
タイヤ３は地面Ｇにまで吊り下ろされていくことにな
る。

【００１９】（実施例２）この実施例は、図５に示すよ
うに上述の実施例１で説明したエアーバッグ４をバック
ドア１の内部空間の下部に取付け、エアーバッグ４が内
部空間をその上側に向かって膨張するように構成したも
のである。非伸縮性索部材である非伸縮性ベルト部材８
を、エアーバッグ４の上側を周回させ下部に設けたガイ
ドローラ１０で方向を変えてバックドア１の外へ引き出
せば、実質的に実施例１のものと同じ機能を果たすこと
になる。ただし、タイヤブラケット２の地面Ｇからの高
さが低く、少しの上げ下げでスペアタイヤ３の着脱が済
むような構成では、図５の仮想線に示すように非伸縮性
ベルト部材８をエアーバッグ４に周回させず、エアーバ
ッグ４の膨張していく内部空間を斜めに横切るようにし
て外部に引き出せばよい。この場合には、タイヤブラケ
ット２に設けたガイドローラ１２を利用する工夫をすれ
ば、方向を変えるためのガイドローラ１０は省略するこ
とができる。なお、図５において実施例１と同一符号は
実施例１のものと同一の部分であり、これらの説明は重
複するので省略した。

【００２０】なお、前記した実施例において非伸縮性ベ
ルト部材８（非伸縮性索部材）の自由端側は、図６に示
すように、タイヤフック板１３を省略し、スペアタイヤ
３のタイヤホイール部分を掛止し得るフック１３のみを
設けてもよい。

【００２１】

【発明の効果】以上実施例による説明からも明らかなよ
うにこの発明によれば、人手によらず作動気体により手
軽にスペアタイヤのタイヤブラケットへの上げ下ろしが
でき、構成も簡素でコストの低減も可能になる。また、
主要部分がバックドアの内部にあり、車両の外部にはパ
イプ部材は一切現われないので車両の外観を損なうこと
も殆どない。

【００２２】また他の発明によれば、人手によらず車両
の排気ガスを利用して手軽かつ容易にスペアタイヤのタ
イヤブラケットへの上げ下ろしができ、構成も簡素でコ
ストの低減も可能になる。また、主要部分がバックドア
の内部にあり、車両の外部にはパイプ部材等は一切現わ
れないので車両の外観を損なうこともほとんどないう
え、非伸縮性ベルト部材がエアーバッグに馴染やすく、
ねじれも起きにくいので安定した機能が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例としての背負い式スペアタ
イヤキャリア装置の構成をバックドアとともに示す斜視
図である。

【図２】この発明の実施例の車両を示す斜視図である。

【図３】この発明の実施例としての背負い式スペアタイ
ヤキャリア装置の構成を車両の一部とともに示す断面図
である。

【図４】この発明の実施例の背負い式スペアタイヤキャ
リア装置の機能を示す説明図である。

【図５】この発明の他の実施例を示す背負い式スペアタ
イヤキャリア装置の構成図である。

【図６】非伸縮性索部材の自由端側の別例図である。

【図７】従来の背負い式スペアタイヤキャリア装置の構
成を示す断面図である。

【図８】従来の背負い式スペアタイヤキャリア装置の構
成を示す断面図である。

【図９】従来の背負い式スペアタイヤキャリア装置の構
成を示す断面図である。

【符号の説明】

１ バックドア ２ タイヤブラケット ３ スペアタイヤ ４ エアーバッグ ６ 送気口 ７ エアーバルブ ８ 非伸縮性ベルト部材（非伸縮性索部材） １３ タイヤフック板 １３Ａ フック １４ 排気管

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 バックドアの外側に固着されスペアタイ
   ヤを着脱可能に保持するタイヤブラケットと、前記バッ
   クドア内に内蔵され同バックドアの外部からの作動気体
   の吹き込みにより同バックドア内において膨張し作動気
   体の前記バックドア外への抜気により収縮するエアーバ
   ッグと、前記バックドア内に一端が固定され他端の自由
   端が同バックドアの外部に引き出され前記タイヤブラケ
   ットの上部に掛け回されて垂下されたタイヤ引き上げ用
   の非伸縮性索部材とを備え、前記エアーバッグの膨張に
   より前記非伸縮性索部材が、その自由端に取付けたスペ
   アタイヤのタイヤブラケットへの装着を可能とする位置
   にまで緊張し引き上げられる構成の背負い式スペアタイ
   ヤキャリア装置。
2. 【請求項２】 バックドアの外側に固着されスペアタイ
   ヤを着脱可能に保持するタイヤブラケットと、前記バッ
   クドア内に内蔵され車両の排気ガスの吹き込みにより前
   記バックドア内において膨張し排気ガスの抜気により収
   縮するエアーバッグと、前記バックドアの外表に臨んで
   配設され前記エアーバッグに車両の排気管からの排気ガ
   スを出し入れするエアーバルブを備えた送気口と、前記
   バックドア内に一端が固定され他端である自由端が前記
   エアーバッグを周回して前記バックドアの前記タイヤブ
   ラケットの上部から引き出され同タイヤブラケットの上
   部に掛け回されて垂下されたタイヤ引き上げ用の非伸縮
   性ベルト部材とを備え、前記エアーバッグの膨張により
   前記非伸縮性ベルト部材が、その自由端に取付けたスペ
   アタイヤの前記タイヤブラケットへの装着を可能とする
   位置にまで緊張し引き上げられる構成の背負い式スペア
   タイヤキャリア装置。