JPH072226B2 - 床コーティング剤塗布機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、走行用車輪を備えた走行機体に対して、コー
ティング剤溶液を床面に対して供給する給液ノズルと、
前記給液ノズルから供給されたコーティング剤溶液を塗
布具によって床面に塗り付ける塗布装置と、前記塗布装
置の塗布具に対してコーティング剤溶液を拡散させるた
めの振動を与える振動付与手段とを設けた床コーティン
グ剤塗布機に関する。

〔従来の技術〕 この種の床コーティング剤塗布機は、給液ノズルから供
給されたコーティング剤溶液を、塗布装置の塗布具の振
動と塗布圧とを利用して、効率よく広範囲に拡散させ易
い点で有用なものであるが、従来の塗布機においては、
例えば特開昭63-315169号公報に示されるように、塗布
装置を走行機体に固定して設けていた。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記の従来機の場合、塗布具の塗布圧設定を塗布具と走
行用車輪の相対高さの設定によって行わなけれはならな
いのである。このため、塗布具及び走行用車輪の走行機
体に対する取付け高さは各種部材の製作誤差や組付け誤
差のために所望高さになり難いことに起因し、塗布具の
塗布圧が所望どおりに設定され難いものであった。

また、床面に凹凸があってその上を走行用車輪や塗布具
が通る際に走行機体の床面に対する高さが変化して塗布
圧が変化するのであり、塗布装置の組付け状態と床面状
態の両面から塗布圧が適正圧にならないと共に変化して
塗布仕上りが悪くなることがあった。

本発明の目的は、床面の凹凸にかかわらず塗布圧を適正
値に維持しながら作業できると共に操作面でも優れた塗
布機を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明による床コーティング剤塗布機にあっては、上記
目的達成のために、走行用車輪を備えた走行機体に対し
て、コーティング剤溶液を床面に対して供給する給液ノ
ズルと、前記給液ノズルから供給されたコーティング剤
溶液を塗布具によって床面に塗り付ける塗布装置と、前
記塗布装置の塗布具に対してコーティング剤溶液を拡散
させるための振動を与える振動付与手段とを設けた床コ
ーティング剤塗布機において、前記振動付与手段を塗布
装置上に搭載設置された状態で配設するとともに、前記
走行機体に対して塗布装置を相対上下移動自在に、か
つ、水平方向位置を所定範囲内に規制した状態で連結す
るための融通連結手段を、走行機体に対する塗布装置の
相対的な上下及び水平方向移動を弾性的に許容する弾性
部材で構成し、さらに、前記塗布装置と振動付与手段と
の重量を、その塗布装置と振動付与手段との重量によっ
て床面に対する適正な設定塗布圧が得られる程度に設定
してある構成を採用したものである。

〔作用〕

上記の構成を採用したことによる作用は次の通りであ
る。

塗布具の塗布圧としての対床面圧接力は、塗布装置とそ
の塗布装置に対する振動付与手段との重量によって決ま
るので、走行用車輪及び塗布装置の製作や組付けに誤差
があっても、かつ、その誤差が在るままにしても、塗布
装置重量と振動付与手段重量との総和を適正重量に設定
してあれば、塗布圧は適正圧となる。

そして、床面の凹入部や隆起部の上を走行用車輪や塗布
具が通ってもその際には凹入部や隆起部に応じたストロ
ークを塗布装置が走行機体に対して自由に下降したり上
昇し、塗布圧が適正状態に維持される。

しかも、走行機体に対する塗布装置の相対移動を伴う連
結を行うための融通連結手段が弾性部材で構成されてい
ることにより、塗布装置と一体的に設けられた振動付与
手段の振動が走行機体側に伝えられることを抑制するた
めの手段としても前記弾性部材が作用する。

〔発明の効果〕

塗布圧設定に適正な重量に設定されている塗布装置や振
動付与手段の自重を利用して塗布圧が設定されるため
に、走行機体に対する塗布装置の組み付け精度や、床面
の平面精度如何にかかわらず、塗布圧を常に適正圧に維
持して塗り付け圧に過不足のない状態での作業を行うこ
とのできる塗布機が得られる。

また、走行機体に対する塗布装置及び振動付与手段の相
対移動を許容するための融通連結手段が、走行機体側へ
の振動付与装置の振動伝達を抑制するための防振材とし
ても有効に作用し、機体側各種装置への振動による悪影
響を避けながら操作性の良い作業を行うことができる塗
布機を、部材の兼用化による構造の簡素化を伴って構成
することができる。

〔実施例〕

次に実施例を示す。

第１図及び第２図に示すように、左右一対の駆動型走行
用前車輪（１），（１）及び遊転型走行用後車輪
（２），（２）、操縦ハンドル（３）を備えた走行機体
（４）の後部にコーティング剤タンク（Ｔ）を取付ける
と共に、このタンク（Ｔ）に電動給液ポンプ（Ｐ）及び
リリーフ弁（RV）を有した給液ホース（５）を介して給
液されるように接続し、かつ、電磁弁（Ｖ）によって供
給及び供給停止操作をするように構成した複数個の給液
ノズル（６）・・を機体横方向に並列させて走行機体
（４）の前端部に取付けてある。そして、給液ノズル
（６）の後方に位置する塗布具（７）、塗布用電動モー
タ（M1）等を有した塗布装置（８）を走行機体（４）に
付設し、塗布具（７）の後方箇所に下向きに熱風吐出口
（９）を形成する導風部材（10）を走行機体（４）に付
設すると共に、導風部材（10）の上部に付設の電動ブロ
ア（B1）により導風部材内に送風し、この風を導風部材
内で電気ヒータ（図示せず）により加熱して熱風吐出口
（９）から床面に向けて供給するように構成し、熱風吐
出口（９）より後方に位置する箇所に機体横方向に並列
する多数の下向き排風口（11）・・を形成するパイプ
（12）を走行機体（４）の底部に取付けると共に、走行
機体（４）の後部に付設の電動ブロア（B2）が送風ホー
ス（13）を介してパイプ（12）に常温風供給をすること
によって全ての排風口（11）・・が常温風を床面に向け
て供給するように構成してある。そして、前車軸（14）
に伝動ヘルト（15）を介して動力伝達することによって
左右前輪（１），（１）を駆動する走行用電動モータ
（M2）を走行機体（４）の前端部に付設すると共に、電
動ポンプ（Ｐ）、電磁弁（Ｖ）、電動ブロア（B1），
（B2）、電動モータ（M1）及び（M2）のための制御器
（16）を走行機体（４）の後部に付設し、もって、自走
式の歩行型床コーティング剤塗布機を構成してある。

すなわち、コーティング剤タンク（Ｔ）に熱可塑性樹脂
系のコーティング剤溶液を投入貯留し、石、木、コンク
リートや化学床材で作成された床の上を機体自走させ
る。すると、機体走行に伴い自動的に、給液ポンプ
（Ｐ）がコーティング剤溶液をタンク（Ｔ）から取り出
すと共に余剰分をリリーフ弁（RV）からタンク（Ｔ）に
戻しながら全ての給液ノズル（６）・・に供給し、各給
液ノズル（６）・・が設定時間毎に設定量ずつのコーテ
ィング剤溶液を床面上に滴下供給すると共に、滴下した
コーティング剤溶液を塗布具（７）が床面に塗り付け
る。そして、熱風吐出口（９）からの熱風が塗布具通過
後の塗布コーティング剤溶液を加熱して水分除去をする
と共にコーティング剤の可塑化による薄膜化を図り、こ
の後に、排風口（11）からの常温風が乾燥を図ると共に
コーティング剤の冷却固化を図るようにしてある。

塗布装置（８）を構成するに、第１図に示すように、走
行機体（４）のフレーム部分（4a）に左右一対の連結ゴ
ム（17），（17）を介して後端側を取付けた板金製の塗
布装置フレーム（18）の下面側に塗布具取付け板（19）
を介して塗布具（７）を取付けると共に、塗布装置フレ
ーム（18）の上面側に塗布用電動モータ（M1）を取付け
てある。そして、塗布装置フレーム（18）の左右一対の
操作アーム部（18a），（18a）の夫々に連結ゴム（20）
及び連結杆（21）を介して連動させると共に操作具運動
軸に兼用の枢支軸（22）を介して走行機体（４）の操作
具支持部（4b）に取付けたレバー式操作具（23a）また
は（23b）の人為操作により、塗布装置（８）を作業用
の自由昇降状態と、格納用の持上げ状態とに切換え操作
するように構成してある。

すなわち、左右いずれかの操作具（23a）または（23b）
を枢支軸芯周りで揺動操作して左右いずれも操作具（23
a），（23b）を機体前方向きに操作すると、塗布装置
（８）が自重におり連結ゴム（17）を変形させて走行機
体（４）に対して揺動下降し、塗布具（７）がこれの塗
布作用面積と塗布装置重量とによって決まる設定塗布圧
としての約50g/cm²の圧力で床面に圧接されて塗り付け
作用をするように、かつ、床面に凹凸があってこれの上
を走行用車輪（１）や（２）、塗布具（７）が通る際に
は、連結ゴム（17）及び（20）の変形並びに、操作具
（23a）及び（23b）の取付部（4b）に対する自由揺動が
現出する連結融通と、塗布具（７）に床面から作用する
接触反力と、塗布装置（８）の自重とのために塗布装置
（８）が走行機体（４）に対して自由に昇降したりロー
リングし、走行機体の塗布対象面部分に対する高さ変化
や左右傾斜にかかわらず塗布圧が塗布作用面の全体にわ
たって均一にかつ設定圧にあるように自由昇降状態にな
るのである。そして、第３図に示すように、左右いずれ
かの操作具（23a）または（23b）を揺動操作して一方の
操作具（23a）の遊端が操作具支持部（4b）に付設のス
トッパーピン（24）に接当するところの機体後方向き位
置に左右いずれもの操作具（23a），（23b）を操作する
と、連動杆（21）等を介して伝達される操作具操作力の
ために塗布装置（８）が連結ゴム（17）を変形させなが
ら揺動上昇ち、塗布具（７）が機体走行にかかわらず床
面に接触しないように床面から浮上すると共にこの浮上
状態にストッパーピン（24）によって支持されるように
持上げ状態になるのである。

塗布用電動モータ（M1）による塗布具（７）の駆動を可
能にするに、第４図に示すように、塗布具取付け板（1
9）を複数本の機体上下方向の連結ゴム（25）・・を介
して塗布装置フレーム（18）に取付け、そして、塗布具
取付け板（19）の上面側にベアリングホルダー（26）を
介してボールベアリング（27）を取付けると共に、この
ベアリング（27）に内嵌させて回転カム（28）をボール
ベアリング（27）のインナーリング回転軸芯（X1）と位
置ずれした縦軸芯（X2）の周りで回転駆動されるように
モータ出力軸（29）に取付けてある。すなわち、塗布用
電動モータ（M1）が駆動されると、それに伴う回転カム
（28）の回動力と、前記軸芯（X2）の偏心とのために塗
布具取付け板（19）が縦軸芯（X2）の周りで回動運動
し、塗布具（７）が床面に沿って縦軸芯（X2）の周りで
回動運動するのである。そして、塗布具取付け板（19）
が前記回動運動をすると、この運動力のために全手の連
結ゴム（25）・・が上端側を中心に揺動操作されて連結
ゴム（25）・・夫々の下端側の塗布具取付け板連結点が
上下動することにより、塗布具（７）が上下振動するよ
うに駆動されるのである。

〔別実施例〕

前車輪（１）をも遊転車輪に構成し、機体を手押し移動
させるように非自走型に構成して実施してもよい。

塗布具（７）を回動運動と上下振動のいずれか一方のみ
をするように構成してもよい。

塗布装置（８）の自由昇降及び自重ローリングを可能に
するに、連結ゴム（17）及び（20）に替え、枢支軸、長
孔利用の連結ピン、蝶番、チェーン、ワイヤ等の各種取
付け手段や連結手段を走行機体（４）に対する取付けや
操作具（23a），（23b）に対する連動に採用して実施し
てもよい。すなわち、昇降やローリングを可能にする連
結融通を有したり現出し得る手段を採用すれば良いので
あり、本発明では、これらを総称して融通連結部材と呼
称する。

尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にする為
に符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構造
に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】 図面は本発明に係る床コーティング剤塗布機の実施例を
示し、第１図は床コーティング剤塗布機の一部切欠き側
面図、第２図は床コーティング剤塗布機の全体平面図、
第３図は塗布装置の側面図、第４図は塗布装置の一部切
欠き正面図である。 （１），（２）……走行用車輪、（４）……走行機体、
（６）……給液ノズル、（７）……塗布具、（８）……
塗布装置、（17），（20）……融通連結部材。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森田 功 大阪府大阪市東成区東中本３丁目10番14号 ペンギンワックス株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−28667（ＪＰ，Ａ) 実開 昭60−119973（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】走行用車輪（１），（２）を備えた走行機
   体（４）に対して、コーティング剤溶液を床面に対して
   供給する給液ノズル（６）と、前記給液ノズル（６）か
   ら供給されたコーティング剤溶液を塗布具（７）によっ
   て床面に塗り付ける塗布装置（８）と、前記塗布装置
   （８）の塗布具（７）に対してコーティング剤溶液を拡
   散させるための振動を与える振動付与手段とを設けた床
   コーティング剤塗布機であって、 前記振動付与手段を塗布装置（８）上に搭載設置された
   状態で配設するとともに、前記走行機体（４）に対して
   塗布装置（８）を相対上下移動自在に、かつ、水平方向
   位置を所定範囲内に規制した状態で連結するための融通
   連結手段を、走行機体（４）に対する塗布装置（８）の
   相対的な上下及び水平方向移動を弾性的に許容する弾性
   部材（17），（20）で構成し、 さらに、前記塗布装置（８）と振動付与手段との重量
   を、その塗布装置（８）と振動付与手段との重量によっ
   て床面に対する適正な設定塗布圧が得られる程度に設定
   してあることを特徴とする床コーティング剤塗布機。