JPH0722155U - エンジンのバランサー装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 駆動損失が少なく、エンジン燃費の向上を図
ることができるバランサー装置の提供。 【構成】 クランクシャフト２によりチェーン／スプロ
ケット機構９を介して互いに逆方向に回転駆動されるバ
ランスシャフト３，４を設けてなるエンジンのバランサ
ー装置において、チェーン／スプロケット機構９のスプ
ロケット１０，１１，１２との当接面を形成するローラ
１８の内面に該ローラ１８を支持するブッシュ１４との
間の摩擦力を低減させるコーティングを施す。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、エンジンのバランサー装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に多気筒エンジンにおいては、エンジンの振動を低減させるために、バラ ンサー装置として、アンバランス部分を有する一対のバランスシャフトを設け、 該バランスシャフトをクランクシャフトの回転の２以上の整数倍の回転数でクラ ンクシャフトの回転と同期させながら互いに逆方向に回転させることにより各ピ ストンの往復動によって発生する２次以上の偶力や慣性力の不釣合を、上記アン バランス部分に作用する遠心力で抑制するとともに、その遠心力のピストン往復 方向と直交する成分をバランスシャフト同士で相殺してエンジンの加振力を抑制 することが行われている。

【０００３】 ここで、上記のようなバランサー装置の駆動システムとしては一方のバランス シャフトにアイドラを噛合させ、該アイドラと他方のバランスシャフト及びクラ ンクシャフトにスプロケットを設けてこれらの間にチェーンを掛け渡し、クラン クシャフトによりチェーン／スプロケットを介して両バランスシャフトを互いに 逆方向に回転させる構成が知られている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来のバランサー装置においては振動を低減させる目的自体は達成される が、チェーン／スプロケット機構を設けたことにより、駆動損失が生じ、エンジ ンの燃費が悪化する問題点を有していた。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するため、本考案のエンジンのバランサー装置は、エンジンの 駆動軸によりチェーン／スプロケット機構を介して互いに逆方向に回転駆動させ るバランスシャフトを設けてなるエンジンのバランサー装置において、前記チェ ーン／スプロケット機構のチェーンのスプロケットとの当接面を形成するローラ の内面に該ローラを支持するブッシュとの間の摩擦力を低減させるコーティング を施したことを特徴とする。

【０００６】

【作用】

本考案では、チェーン／スプロケット機構におけるチェーンのローラの内面に 摩擦力を低減させるコーティングを施したことにより、チェーン／スプロケット 機構を駆動した際のチェーンの摩擦が低減する。

【０００７】

【実施例】

次に本考案の一実施例を図１を参照して説明すると、エンジンのシリンダブロ ック１の下部にはクランクシャフト２が複数箇所の軸受部（図示しない）で高剛 性に支承されている。

【０００８】 ここで、同シリンダブロック１においては、エンジンのバランサー装置として 、バランスウエイトを有する一対のバランスシャフト３，４がクランクシャフト ２の左右両側において該クランクシャフト２と平行に配設され、バランスシャフ ト３，４は両端を支持ボス５，６（いずれも一方のみを示す）により支承されて いる。また、一方のバランスシャフト３の斜め上方には該バランスシャフト３に 隣接してアイドラ７が図示しない軸受を介してシリンダブロック１に支承されて おり、バランスシャフト３にはギヤ８が固定され、また、アイドラ７には該ギヤ ８と噛合う同歯数のギヤ（図示しない）が固定されている。

【０００９】 ここで他方のバランスシャフト４及びアイドラ７はチェーン／スプロケット機 構９を介してクランクシャフト２により回転駆動されるものであり、このチェー ン／スプロケット機構９の構成を以下に説明する。

【００１０】 クランクシャフト２にはスプロケット１０が固定され、一方、バランスシャフ ト４及びアイドラ７にはスプロケット１０の歯数の半分の歯数を持つスプロケッ ト１２，１１がそれぞれ固定されている。これらのスプロケット１０，１１，１ ２間にはチェーン１３が掛け渡されており、クランクシャフト２の回転はチェー ン１３を介してバランスシャフト４及びアイドラ７に２倍の回転数で同方向に伝 達され、アイドラ７の回転は上記ギヤ８及びこれと噛み合うギヤを介してバラン スシャフト３に同一回転数で逆方向に伝達される。

【００１１】 従って、バランスシャフト３，４は同一回転数で互いに逆方向に回転駆動され 、これによって図示しない各ピストンの往復動によって発生する２次以上の偶力 や慣性力の不釣合を、バランスウエイトに作用する遠心力で抑制するとともに、 その遠心力のピストン往復方向と直交する成分をバランスシャフト３，４同士で 相殺してエンジンの加振力を抑制し、もってエンジンの振動を低減させるもので ある。

【００１２】 次に上記チェーン１３の構造を図２及び図３を参照してさらに説明すると、図 ２はチェーン１３の１つの連結単位１３Ａを分解斜視図で示したもので、連結単 位１３Ａはブッシュ１４，１４を介して連結固定される一対の内リンクプレート １５，１５と、内リンクプレート１５，１５の外側に配置された一対の外リンク プレート１６，１６とを有している。該外リンクプレート１６，１６は内リンク プレート１５，１５のブッシュ１４，１４の一方に回動可能に挿通されるピン１ ７と、隣接する同様な連結単位１３Ａの内リンクプレート１５，１５のブッシュ １４，１４の一方に回動可能に挿通される同様なピン１７とを介して互いに連結 固定されている。また、上記内リンクプレート１５，１５を固定する各ブッシュ １４にはローラ１８が回転可能に嵌挿されている。なお、該ローラ１８の外面１ ８ａはスプロケット１０，１１，１２との接触面を構成するもので、ローラ１８ はこれらのスプロケットの回転に伴ってブッシュ１４に対し回転するものである 。

【００１３】 ここで、ブッシュ１４に摺接するローラ１８の内面１８ｂには摩擦力を低減さ せるコーティングが施されており、これにより、ローラ１８はブッシュ１４に対 し摩擦力が低減された状態で回動可能となっている。なお、このようなコーティ ングとしては、ポリアミドイミド又はポリイミドを主成分とし、充填材として二 硫化モリブデンを含むコーティング、又はポリテトラフルオロエチレンを含有す うコーティングが好ましい。

【００１４】 上記構成の連結単位１３Ａは図３に示すように、上記ピン１７，１７により隣 合う同様な連結単位１３Ａと順次連結され、チェーン１３を形成するものである 。

【００１５】 すなわち、本実施例においては、ブッシュ１４に摺接するローラ１８の内面１ ８ｂに摩擦力を低減させるコーティングが施して、ローラ１８がブッシュ１４に 対し摩擦力が低減された状態で滑らかに回動可能となっていることから、チェー ン／スプロケット機構９を駆動した際のチェーン１３における摩擦が低減し、こ のため、チェーン／スプロケット機構９の駆動損失が減少し、エンジンの燃費が 向上する利点がもたらされる。特にこのようなバランサー装置においては、上記 のようにバランスシャフト４及びアイドラ７はクランクシャフト２の２倍の回転 速度で回転駆動されるものであるから、チェーン１３と、スプロケット１１，１ ２との噛み合いが多く、このため、チェーン１３におけるブッシュ１４に対する ローラ１８の回転頻度及び回転速度が大きいことから、これらの間の摩擦力を低 減させることは駆動損失の低減に大きく寄与するものである。

【００１６】 なお、以上の実施例のようなチェーン／スプロケット機構における摩擦力低減 のための構成はエンジンの動弁系を作動させるカムシャフト駆動用としても同様 に適用でき、これによりエンジンの駆動損失を同様に低減できるものである。

【００１７】

【考案の効果】

本考案では、チェーン／スプロケット機構におけるチェーンのローラの内面に 摩擦力を低減させるコーティングを施したことにより、チェーン／スプロケット 機構を駆動した際のチェーンの摩擦が低減する。このため、チェーン／スプロケ ット機構における駆動損失が減少して、エンジンの燃費が向上する利点を有する 。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例によるエンジンのバランサー
装置を示す図。

【図２】図１のチェーンの連結単位の分解斜視図。

【図３】図１のチェーンの拡大図。

【符号の説明明】

２ クランクシャフト ３，４ バランスシャフト ９ チェーン／スプロケット機構 １０，１１，１２ スプロケット １３ チェーン １４ ブッシュ １８ ローラ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンジンの駆動軸によりチェーン／スプ
   ロケット機構を介して互いに逆方向に回転駆動させるバ
   ランスシャフトを設けてなるエンジンのバランサー装置
   において、前記チェーン／スプロケット機構のチェーン
   のスプロケットとの当接面を形成するローラの内面に該
   ローラを支持するブッシュとの間の摩擦力を低減させる
   コーティングを施したことを特徴とするエンジンのバラ
   ンサー装置。