JPH07219122A - ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料

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JPH07219122A
JPH07219122A JP6027496A JP2749694A JPH07219122A JP H07219122 A JPH07219122 A JP H07219122A JP 6027496 A JP6027496 A JP 6027496A JP 2749694 A JP2749694 A JP 2749694A JP H07219122 A JPH07219122 A JP H07219122A
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JP
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temperature
silver halide
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JP6027496A
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English (en)
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Hajime Miyamoto
肇 宮元
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】処理後の耐ブロッキング性の優れたハロゲン化
銀写真感光材料を提供する。 【構成】写真用支持体上に少なくとも一層の感光性ハロ
ゲン化銀乳剤層及びその上部に少なくとも一層の非感光
性上部層を有し、支持体に対して感光性ハロゲン化銀乳
剤層と反対の側に少なくとも一層の非感光性上部層を有
し、該非感光性上部層の少なくとも一層が、層あたりの
バインダー全量に対して重量比1%以上50%以下のメ
チルセルロースをブレンドした親水性コロイドであるハ
ロゲン化銀写真感光材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、処理後のブロッキング
性の優れたハロゲン化銀写真感光材料、更にはロール状
フィルムの巻き癖が付きにくいハロゲン化銀写真感光材
料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】写真感光材料の支持体は、一般的にトリ
アセチルセルロース(以下「TAC」と記す)に代表さ
れる繊維素系のポリマーとポリエステル系のポリマーで
あるポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と記
す)が使用されている。一般に写真感光材料としては、
Xレイ用フィルム、製版用フィルム及びカットフィルム
の如くシート状の形態のものと、35mm幅又はそれ以
下の幅でパトローネ内に収められて用いるカラー又は黒
白ネガロール状フィルムがある。ロールフィルム用支持
体として用いられるTACは透明度が高く、さらに現像
処理後のカール解消性について優れた性質を有してい
る。一方、PETフィルムは生産性、機械的強度及び寸
度安定性で優れているが、カールが強く残留するため現
像処理後の取り扱い性が悪いことから、上記の優れた性
質がありながらその使用範囲が限定されてきた。
【0003】近年写真感光材料の用途が多様化し、カメ
ラの小型化、撮影時のフィルム搬送の高速化及び撮影倍
率やプリントの高倍率化が要求されている。それに伴
い、支持体には強度、寸度安定性及び薄膜化等が要求さ
れる。さらに、カメラの小型化に伴い、パトローネの小
型化の要求が強くなっている。パトローネの小型化を行
うためには、2つの課題を解決する必要がある。第1の
課題は、フィルムの薄手化に伴う力学強度の低下防止で
ある。第2の課題は、スプールの小型化に伴う経時保存
中に発生する強い巻き癖軽減である。ポリエステルフィ
ルムの巻き癖を低減させる方法として、例えば特開昭5
1−16358号、特開平1−131550号、米国特
許第4,141,735号に記載されている様な方法が
知られている。特開平1ー279250号、特開平1ー
289948号にはフィルムを巻いた状態でカートリッ
ジまたは容器に収納、保管する方法が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、カート
リッジは防湿性が良くかつ内部空間が狭い。そのため現
像処理後のフィルムが高い含水率を保持したままカート
リッジに巻き込まれると、乳剤層を構成する層と支持体
を介して反対側の層(バック層と呼ぶ)との間でブロッ
キングが起こり、画像の欠落やブロッキング跡がプリン
トに写るという問題を引き起こす。力学的強度に優れた
支持体を用いると、カートリッジ内での巻き癖は付きに
くくなるものの、フイルムが外に広がろうとする力が増
し、従来のTACやPETに比べるとカートリッジ内で
の接着は起こりやすくなる。ブロッキング防止剤として
マット剤を使用すると耐ブロッキング性を付与すること
ができるが、処理後もフィルムにマット剤が大量に残る
と、プリント時に光が散乱しシャープな画像が得られな
くなるため、処理後にも残存するマット剤量は制限され
る。
【0005】また、写真感光性層の主なバインダーであ
るゼラチンは、その含水率が高くなる程ブロッキングを
起こしやすい性質を持っている。現像処理乾燥後の含水
率を低下させる手段として、乳剤層の主バインダーであ
るゼラチンの架橋剤量を増やし、予備硬膜をする方法が
あるが、この手段は現像の進行を遅らせ写真性に影響を
与えるうえ耐ブロッキング性の効果も薄い。現像処理後
に低湿雰囲気に晒し含水率を低下させる方法もあるが、
コストの観点から実用性はない。従って、本発明の第1
の目的は、現像処理後のブロッキング性が良好なハロゲ
ン化銀写真感光材料を提供する事である。本発明の第2
の目的は、巻き癖が付きにくいハロゲン化銀写真感光材
料を提供する事である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の上記第1の目的
は、写真用支持体上に少なくとも一層の感光性ハロゲン
化銀乳剤層及びその上部に少なくとも一層の非感光性上
部層を有しかつ支持体に対して感光性ハロゲン化銀乳剤
層と反対の側に少なくとも一層の非感光性上部層を有し
てなるハロゲン化銀写真感光材料であって、該非感光性
上部層の少なくとも一層が、層あたりのバインダー全量
に対して重量比1%以上50%以下のメチルセルロース
をブレンドした親水性コロイドであることを特徴とする
ハロゲン化銀写真感光材料によって達成された。
【0007】本発明における非感光性上部層は感光性ハ
ロゲン化銀乳剤層の上部全面あるいは支持体に対して感
光性ハロゲン化銀乳剤層と反対の側の最上層の全面にわ
たって設けられる本質的に親水性コロイドからなる層で
ある。かかる非感光性上部層は1層のみでもよく、場合
によっては2層またはそれ以上設けられていてもよい。
【0008】本発明で用いることのできるメチルセルロ
ースはセルロースのグルコース基当たりのメチル化の置
換度としては0〜2.5、好ましくは0.5〜2.5、
より好ましくは1.0〜2.5のものが優れた効果を有
する。該置換度が2.5を越える場合には水溶性でなく
なるため本発明の目的は達成されない。メチルセルロー
スの重合度については、塗布方法により、塗布液の粘度
との関係から適宜選択が可能である。本発明の特徴は、
水溶性ポリマーであるメチルセルロースを非感光性上部
層のバインダー中にブレンドすることによって、現像処
理後の耐ブロッキング性が極めて良好になることを見い
だした点にある。ここで用いられるメチルセルロース
は、メトキシ基以外のエーテル化またはエステル化、例
えばヒドロキシプロピル基の導入、カルボキシベンゾイ
ル基が導入されても差し支えない。
【0009】この様なメチルセルロースとしては、下記
の名称で信越化学社より市販されており、容易に入手す
ることもできる。メトローズSM−15、メトローズ6
0SH−6、メトローズ60SH−50、メトローズ6
0SH−4000、メトローズ65SH−50、メトロ
ーズ90SH−100これらの合成法、性質については
信越化学社の製品カタログ「メトローズ」および Cellu
lose and Cellulose Derivatives No.1〜5、Off.E ら等
に詳しく記されている。
【0010】メチルセルロースの製法としては、セルロ
ースを18〜35%のNaOH溶液と硫酸ジメチルでメ
チル化し、高メチル化度の試料を得るために、このメチ
ル化操作を繰り返す方法あるいはオートクレーブ中でア
ルカリセルロースと塩化メチルを反応させる方法があ
る。
【0011】本発明のメチルセルロースの使用量は、メ
チルセルロースを添加する非感光性上部層の層あたりの
全バインダー量に対して重量比1%〜50%であり、5
%〜30%が特に好ましい。層あたりのバインダー全量
には、該層中の親水性バインダー量および添加したメチ
ルセルロース量が含まれる。該使用量が1%未満である
と耐ブロッキング性の改良効果が充分ではなく、50%
を超えると添加層そのものの力学的強度が著しく損なわ
れるため耐ブロッキング性の改良効果は小さい。メチル
セルロースを添加する非感光性上部層は、感光性ハロゲ
ン化銀乳剤層側でもよいし、支持体に対して感光層の反
対側(バック層側)でもよく、感光性ハロゲン化銀乳剤
層側とバック層側両側でもかまわない。また、複数の非
感光性上部層のどれか一層でもよいし、複数の層に添加
されていてもよい。
【0012】本発明の非感光性上部層に用いられる親水
性コロイドバインダーとしては、ゼラチンを用いるのが
有利であるが、それ以外の親水性コロイドも用いること
ができる。たとえばゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高
分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼイン等の
タンパク質;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロース、セルロース硫酸エステル類等のセル
ロース誘導体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体などの糖
誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール
部分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリア
クリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポ
リビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾール等の単一
あるいは共重合体の如き多糖の合成親水性高分子物質を
用いることができる。
【0013】ゼラチンとしては石灰処理ゼラチンのほか
酸処理ゼラチンやブレテイン・オブ・ザ・ソサエティー
・オブ・サイエンティフィック・フォトグラフィー・ジ
ャパン(Bull. Soc. Sci. Phot. Japan)No.16,30
頁(1966)に記載されたような酸処理ゼラチンを用
いても良く、またゼラチンの加水分解物や酵素分解物も
用いることができる。
【0014】本発明の非感光性上部層には、前記の如き
親水性コロイドバインダー(たとえばゼラチン)とメチ
ルセルロースの他に、界面活性剤、帯電防止剤、マット
剤、滑り剤、コロイダルシリカ、ゼラチン可塑剤等を含
有することができる。
【0015】本発明の支持体は、脂肪族系ポリマー、脂
環式化合物系ポリマー、芳香族系ポリマー等いずれのも
のでも本発明の効果を得ることができるが、力学的強度
を高くしやすい、ガラス転移温度を高くしやすいといっ
た点から、芳香族ポリエステルを用いることが望まし
い。本発明で用いることにできる芳香族ポリエステル
は、ジオールと芳香族ジカルボン酸を必須成分として形
成される。必須である芳香族ジカルボン酸とはジカルボ
ン酸中に、ベンゼン核を少なくとも一個有するものであ
る。また、必要に応じて脂肪族ジカルボン酸と混用して
もよい。このような使用可能な芳香族、脂肪族ジカルボ
ン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル
酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸(2,6
−、1,5−、1,4−、2,7−)、ジフェニレン
p,p′−ジカルボン酸、テトラクロロ無水フタル酸、
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、無水
コハク酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、イ
タコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル
酸、、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ハロゲン化
テレフタル酸、ビス(p−カルボキシフェンノール)エ
ーテル、1,1−ジカルボキシ−2−フェニルエチレ
ン、1,4−ジカルボキシメチルフェノール、1,3−
ジカルボキシ−5フェニルフェノール、3−スルフォイ
ソフタル酸ソーダ(SIP)等を挙げることができる。
【0016】次にジオールとしては、エチレングリコー
ル、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオ
ール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオ
ール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジ
オール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカン
ジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シク
ロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,1−シク
ロヘキサンジメタノール、カテコール、レゾルシン、ハ
イドロキノン、1,4−ベンゼンジメタノール、ジメチ
ロールナフタレン、p−ヒドロキシエチルオキシベンゼ
ン、ビスフェノールA等を挙げることができる。
【0017】また、必要に応じて、単官能または3以上
の多官能の水酸基含有化合物、あるいは酸含有化合物が
共重合されていてもよい。また、本発明で用いることの
できるポリエステルには、分子内に水酸基とカルボキシ
ル基(あるいはそのエステル)を同時に有するヒドロキ
シカルボン酸を共重合していてもよい。
【0018】これらのジカルボン酸のモノマーの中で、
好ましい芳香族ジカルボン酸として2,6−ナフタレン
ジカルボン酸(NDCA)、テレフタル酸(TPA)、
イソフタル酸(IPA)、オルトフタル酸(OPA)、
パラフェニレンジカルボン酸(PPDC)が好ましく、
さらに2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。ジ
オールは、エチレングリコール(EG)、ポリエチレン
グリコール(PEG)、シクロヘキサンジメタノール
(CHDM)、ネオペンチルグリコール(NPG)、ビ
スフェノールA(BPA)、ビフェノール(BP)が好
ましく、さらにエチレングリコ−ルが好ましい。また、
ヒドロキシカルボン酸としてパラヒドロキシ安息香酸
(PHBA)、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボ
ン酸(HNCA)を用いてもよい。
【0019】これらモノマ−を重合してポリエステルを
形成するが、好ましい例として、ポリエチレンナフタレ
ート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート
(PCT)等のホモポリマー、およびテレフタル酸、ナ
フタレンジカルボン酸とエチレングリコールのコポリマ
ー(テレフタル酸とナフタレンジカルボン酸の混合モル
比は0.9:0.1〜0.1:0.9の間が好ましく、
0.8:0.2〜0.2:0.8が更に好ましい。)、
テレフタル酸とエチレングリコール、ビスフェノールA
のコポリマー(エチレングリコールとビスフェノールA
の混合モル比は0.6:0.4〜0:1.0の間が好ま
しく、更には0.5:0.5〜0:0.9が好まし
い。)、イソフタール酸、パラフェニレンジカルボン
酸、テレフタル酸とエチレングリコールのコポリマー
(イソフタール酸;パラフェニレンジカルボン酸のモル
比はテレフタル酸を1とした時それぞれ0.1〜0.
5、0.1〜0.5、更に好ましくは、それぞれ0.2
〜0.3、0.2〜0.3が好ましい)、テレフタル
酸、ネオペンチルグリコールとエチレングリコールのコ
ポリマー(ネオペンチルグリコールとエチレングリコー
ルのモル比は1:0〜0.7:0.3が好ましく、より
好ましくは0.9:0.1〜0.6:0.4)テレフタ
ル酸、エチレングリコールとビフェノールのコポリマー
(エチレングリコールとビフェノールのモル比は、0:
1.0〜0.8:0.2が好ましく、さらに好ましくは
0.1:0.9〜0.7:0.3である。)、パラヒド
ロキシ安息香酸、エチレングリコールとテレフタル酸の
コポリマー(パラヒドロキシ安息香酸、エチレングリコ
ールのモル比は1:0〜0.1:0.9が好ましく、さ
らに好ましくは0.9:0.1〜0.2:0.8)等の
共重合体が好ましい。以上の中でも特に好ましいのは
2,6−ナフタレンジカルボン酸を含むポリエステルで
ある。具体的には2,6−ナフタレンジカルボン酸を
0.1〜1.0含むポリエステルである。中でも特に好
ましいのはポリエチレン 2,6−ナフタレートであ
る。
【0020】これらのホモポリマーおよびコポリマー
は、従来公知のポリエステルの製造方法に従って合成で
きる。例えば酸成分をグリコール成分と直接エステル化
反応してもよく(直重法)、または酸成分としてジアル
キルエステルを用いて、グリコール成分とエステル交換
反応をし、これを減圧下で加熱して余剰のグリコール成
分を除去してもよい(エステル交換法)、合成すること
ができる。あるいは、酸成分を酸ハライドとしておき、
グリコールと反応させてもよい。この際、必要に応じ
て、エステル交換反応、触媒あるいは重合反応触媒を用
いたり、耐熱安定化剤を添加してもよい。これらのポリ
エステル合成法については、例えば、高分子実験学第5
巻「重縮合と重付加」(共立出版、1980年)第10
3頁〜第136頁、“合成高分子V”(朝倉書店、19
71年)第187頁〜第286頁の記載を参考に行うこ
とができる。
【0021】これらのポリエステルの好ましい平均分子
量の範囲は約5000ないし200000である。さら
に、これらのポリエステルには別の種類のポリエステル
との接着性を向上させるために、別のポリエステルを一
部ブレンドしたり、別のポリエステルを構成するモノマ
ーを共重合させたり、または、これらのポリエステル中
に、不飽和結合を有するモノマーを共重合させ、ラジカ
ル架橋させたりすることができる。得られたポリマーを
2種類以上混合したのポリマーブレンドは、特開昭49
−5482、同64−4325、特開平3−19271
8、リサーチ・ディスクロージャー283,739−4
1、同284,779−82、同294,807−14
に記載した方法に従って、容易に形成することができ
る。
【0022】本発明の支持体に用いることのできるポリ
エステルのガラス転移温度(Tg)は90℃以上である
ことが好ましい。本発明の写真感光材料は、実際色々な
環境条件に晒される。真夏の屋外に駐車した自動車内に
放置されることも予想され、その場合室温は80℃以上
にもなることが知られている。また、Tgが90℃未満
であるポリエステルを支持体として用いると、後端折れ
が生じ、巻き癖の改良効果を認めにくい。このことを考
え、本発明の支持体のTgは90℃以上が好ましい。一
方、透明性を有し、200℃を越える汎用ポリエステル
フイルムは現在まで存在しない。従って本発明に用いる
ことのできるポリエステルのTg温度は、90℃以上2
00℃以下であることが好ましい。
【0023】次に本発明で用いることのできるポリエス
テルの好ましい具体的化合物例を以下に示すが、本発明
がこれに限定されるものではない。 ポリエステル ホモポリマ−例 P−1:〔2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDCA)/エチレングリコー ル(EG)(100/100)〕(PEN) Tg=119℃ P−2:〔テレフタル酸(TPA)/シクロヘキサンジメタノール(CHDM )(100/100)〕 Tg= 93℃ P−3:〔TPA/ビスフェノールA(BPA) (100/100)〕 Tg=192℃ ポリエステル コポリマ−例 P−4: 2,6−NDCA/TPA/EG(50/50/100) Tg= 92℃ P−5: 2,6−NDCA/TPA/EG(75/25/100) Tg=102℃ P−6: 2,6−NDCA/TPA/EG/BPA(50/50/75/ 25) Tg=112℃ P−7: TPA/EG/BPA(100/50/50) Tg=105℃ P−8: TPA/EG/BPA(100/25/75) Tg=135℃ P−9: TPA/EG/CHDM/BPA(100/25/25/50) Tg=115℃
【0024】 P−10:IPA/PPDC/TPA/EG(20/50/30/100) Tg= 95℃ P−11:NDCA/NPG/EG(100/70/30) Tg=105℃ P−12:TPA/EG/BP(100/20/80) Tg=115℃ P−13:PHBA/EG/TPA(200/100/100) Tg=125℃ ポリエステル ポリマ−ブレンド例 P−14:PEN/PET(60/40) Tg= 95℃ P−15:PEN/PET(80/20) Tg=104℃ P−16:PAr/PEN(50/50) Tg=142℃ P−17:PAr/PCT(50/50) Tg=118℃ P−18:PAr/PET(60/40) Tg=101℃ P−19:PEN/PET/PAr(50/25/25) Tg=108℃ P−20:PEN/SIP/EG(99/1/100) Tg=115℃ 但し、上記略称の内容は、 NDCA:2,6−ナフタレンジカルボン酸 TPA :テレフタル酸 IPA :イソフタル酸 OPA :オルトフタル酸 PPDC:パラフェニレンジカルボン酸 EG :エチレングリコール PEG :ポリエチレングリコール CHDM:シクロヘキサンジメタノール NPG :ネオペンチルグリコール BPA :ビスフェノールA BP :ビフェノール PHBA:パラヒドロキシ安息香酸 HNCA:6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸 SIP :スルホイソフタル酸 PCT :ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレ
ート PET :ポリエチレンテレフタレート PAr :ポリアリレート 〔TPA/BPA (10
0/100)〕
【0025】本発明のこれらの支持体は、50μm以上
300μm以下の厚みであることが好ましい。50μm
未満では乾燥時に発生する感光層の収縮応力に耐えるこ
とができず、一方300μmを越えるとコンパクト化の
ために厚みを薄くしようとする目的と矛盾する。より好
ましくはその腰の強さから厚い方が好ましく50〜20
0μmであり、更には80〜115μmが好ましく、特
に好ましくは85〜〜105μmである。以上のような
ポリエステルは、全てTACよりも強い曲弾性率を有
し、当初の目的であるフィルムの薄手化を実現可能であ
った。しかし、これらの中でも強い曲弾性を有している
のがPET、PENであり、これを用いるとTACで1
22μm必要だった膜厚を105μm以下にまで薄くす
ることが可能である。特に、ナフタレンジカルボン酸と
エチレングリコールを主成分とするポリエステルを重量
比で30%以上含有する支持体が、力学的強度に優れ、
且つ優れた巻き癖改良効果も認められ、好ましく用いる
ことができる。
【0026】本発明においては、支持体を熱処理するこ
とにより、スプールの小型化に伴う経時保存中に発生す
る強い巻き癖を軽減する効果を得ることができる。本発
明における巻き癖軽減効果は、外径5〜11mmのスプ
ールに巻き込まれるロール状感光材料において、特に有
効である。熱処理温度は50℃以上Tg未満、より好ま
しくは(Tg−20℃)以上Tg未満で熱処理を行う。
50℃未満で行うと十分な巻き癖効果を得るためには長
時間を要し工業生産性が劣る。熱処理はこの温度範囲内
の一定温度で実施してもよく、冷却しながら熱処理して
もよい。冷却の平均冷却速度は−0.01〜−20℃/
時間、より好ましくは−0.1〜−5℃/時間である。
この熱処理時間は、0.1時間以上1500時間以下、
さらに好ましくは0.5時間以上200時間以下であ
る。0.1時間以下では十分な効果を得ることができ
ず、1500時間以上では効果が飽和する一方、支持体
の着色や脆化が起こりやすくなる。
【0027】巻き癖解消の効果をより一層増大させるに
は、この熱処理の前にTg以上融点(DSCで求めた融
解温度)未満の温度で熱処理をし、支持体の熱履歴を消
去させた後、上記50℃以上Tg未満の温度で再熱処理
を行うとよい。本発明では、この熱処理を「前熱処理」
と呼び、前項で述べた50℃以上Tg未満の熱処理を
「後熱処理」と呼び区別する。前熱処理温度はTg以上
融点未満、さらに好ましくは(Tg+20℃)以上結晶
化温度(DSCで求めた結晶化温度)以下で行うのがよ
い。融点以上の温度で前熱処理を行うと、支持体の弾性
が著しく低下することにより面状や搬送性に問題が生じ
る。前熱処理はこの温度範囲内で、一定温度で実施して
もよく(定温前熱処理)、降温しながら実施してもよく
(降温前熱処理)、また昇温しながら実施してもよい
(昇温前熱処理)。前熱処理の時間は、0.1分以上1
500時間以下、さらに好ましくは1分以上1時間以下
である。0.1分以下では十分な効果を得ることができ
ず、1500時間以上では効果が飽和する一方で、支持
体の着色や脆化が起こりやすくなるこの前熱処理の後、
後熱処理を実施するが、前熱処理終了温度から後熱処理
開始温度にまで急速冷却してもよく、Tgをまたいで徐
々に後熱処理開始温度にまで冷却してもよい。また一度
室温に冷却した後、後熱処理温度に上昇させてもよい。
これらの前熱処理と後熱処理の方法の組み合わせは幾つ
かあるが、(Tg+20℃)以上結晶化温度以下で定温
前熱処理をした後、Tgから(Tg−20℃)の温度範
囲まで冷却速度−0.1〜−5℃/時間で冷却しながら
後熱処理するのが好ましい。
【0028】このような支持体の熱処理は、ロ−ル状で
実施してもよく、またウェブ状で搬送しながら実施して
もよい。ロ−ル状で熱処理する場合、 ロ−ルを室温か
ら恒温槽中で熱処理する方法、ウェブ搬送中に所定温度
にした後ロ−ル状に巻取り熱処理する方法のいずれの方
法で実施してもよい。前者の方法は昇温、降温に時間を
要するが、設備投資が少なくて済む利点がある。後者の
方法は高温での巻取り設備が必要だが昇温時間を省略で
きる利点がある。ロ−ル状での熱処理では、熱処理中に
発生する熱収縮応力のために、巻締まりによるしわや、
巻芯部の切り口写り等の面状故障が発生しやすい。この
ため、表面に凹凸を付与し(例えばSnO2やSb25
等の導電性無機微粒子を塗布する)、支持体間のきしみ
を低減させることで巻締まりによるしわを防止したり、
支持体の端部にロ−レットを付与し端部のみ少し高くす
ることで巻芯部の切り口写りを防止するなどの工夫を行
うことが望ましい。一方、ウェブ状で熱処理する場合、
長大な後熱処理工程を必要とするが、ロ−ル状での熱処
理に比べて良好な支持体面状が得られる。これらの熱処
理方法の中で、前熱処理をウェブ状で行い、後熱処理を
ロール状で行うのが好ましい。前熱処理をウェブ状で行
うと、ロ−ル状で行った場合に比べ面状故障が起きにく
く、後熱処理は比較的長時間を要するためである。
【0029】これらの熱処理は支持体製膜後、グロ−放
電処理後、バック層塗布後(帯電防止剤、滑り剤等)、
下塗り塗布後のどこの段階で実施してもよい。好ましい
のは帯電防止剤塗布後である。これにより熱処理中の支
持体の面状故障となる帯電によるゴミの付着を防ぐこと
ができる。さらにまた本発明に用いることができるポリ
エステルを熱処理する方法において、時間を短縮するた
めに、予めTg以上に短時間加熱(好ましくはTg+2
0℃以上100℃以下の温度で5分〜3時間処理する)
することが好ましい。さらに熱処理で用いられるロール
巻き芯は、そのフィルムへの温度伝播が効率よくいくた
めに中空かないしは加熱出来るように、電気ヒーター内
蔵または高温液体を流液できるような構造を有するもの
が好ましい。ロール巻き芯の材質は特に限定されない
が、熱による強度ダウンや変形のないものが好ましく、
例えばステンレス,アルミニウム、ガラスファイバー入
り樹脂を挙げることが出来る。また、これらの巻芯上
に、必要に応じて、ゴムや樹脂をライニングしてもよ
い。このような後熱処理により、DSC測定を行うと、
Tgを跨いだ所に吸熱ピークが現れる。ここでのガラス
転移温度(Tg)とは、示差熱分析計(DSC)を用
い、サンプルフィルム10mgをチッ素気流中、20℃
/分で昇温していった時、ベースラインから偏奇しはじ
める温度と新たなベースラインに戻る温度の算術平均温
度を意味する。
【0030】本発明の支持体上に写真層(感光性ハロゲ
ン化銀乳剤層、中間層、フィルター層、保護層、導電性
層、バック層)を強固に接着させるために、グロー放電
処理、紫外線処理、火炎処理、活性プラズマ処理、コロ
ナ放電処理、高周波処理、混酸処理、オゾン酸化処理、
等の表面活性化処理をした後、直接写真層を塗布して接
着力を得てもよいし、一旦これらの表面処理をした後、
あるいは表面処理無しで下塗り層を設け、この上に写真
層を設けてもよい。好ましいのは、グロー放電処理、紫
外線処理、火炎処理、コロナ放電処理をした後、下塗り
層を設けその上に写真層を設ける方法である。
【0031】グロー放電処理する際の放電雰囲気ガス組
成は、特開昭59−556430号に記載された、放電
開始後に支持体自身が放電処理を受けることにより容器
内に発生する気体種だけでもよいが、特願平5−199
704号記載の水蒸気の存在下でグロー放電処理を実施
する方が好ましい。水蒸気分圧は、10%以上100%
以下が好ましく、更に好ましくは40%以上90%以下
である。水蒸気以外のガスは酸素、窒素等からなる空気
である。このようなグロー放電の処理雰囲気中に水蒸気
を定量的に導入する方法は、グロー放電処理装置に取付
けたサンプリングチューブからガスを4極子型質量分析
器(日本真空製MSQ−150)に導き、組成を定量し
ながら行うことで達成できる。
【0032】表面処理すべき支持体を予め加熱した状態
でグロー放電処理を行うと、短時間の処理で接着性が向
上し、また支持体の黄色化を大幅に減少させることがで
きる。予熱温度は50℃以上Tg以下が好ましく、70
℃以上Tg以下がより好ましく、90℃以上Tg以下が
さらに好ましい。真空中でポリマー表面温度を上げる具
体的方法としては、赤外線ヒータによる加熱、熱ロール
に接触させることによる加熱等がある。グロー放電処理
は特願平5−147864号記載の放電電極並びに放電
処理装置を用いて行うのが好ましい。グロー放電処理時
の真空度は0.005〜20Torrが好ましく、より好ま
しくは0.02〜2Torrである。また、電圧は500〜
5000Vの間が好ましく、より好ましくは500〜3
000Vである。使用する放電周波数は、直流から数1
000MHz、より好ましくは50Hz〜20MHz、
さらに好ましくは1KHz〜1MHzである。放電処理
強度は、0.01KV・A・分/m2〜5KV・A・分/
m2が好ましく、より好ましくは0.15KV・A・分/
m2〜1KV・A・分/m2である。グロー放電処理を施こ
した支持体は、直ちに特開平3−39106号記載の方
法で冷却ロールを用いて温度を下げることが好ましい。
これにより高温での外力による塑性変形に起因した平面
性の悪化や、低分子量体(モノマー、オリゴマー等)の
支持体表面への析出に起因した透明性や耐ブロッキング
性の悪化を防ぐことができる。
【0033】紫外線照射処理は、特公昭43−2603
号、特公昭43−2604号、特公昭45−3828号
記載の処理方法によって行われるのが好ましい。水銀灯
は石英管からなる高圧水銀灯で、紫外線の波長が220
〜380nmの間であるものが好ましい。紫外線照射は
支持体の延伸工程、熱固定時、熱固定後の何れでもよ
い。紫外線照射の方法については、光源は被支持体の表
面温度が150℃前後にまで上昇することが支持体性能
上問題なければ、主波長が365nmの高圧水銀灯ラン
プを使用することができる。低温処理が必要とされる場
合には主波長が254nmの低圧水銀灯が好ましい。ま
たオゾンレスタイプの高圧水銀ランプ、及び低圧水銀ラ
ンプを使用する事も可能である。処理光量に関しては処
理量が多いほど支持体と被接着層との接着力は向上する
が、光量の増加に伴い支持体が着色し、また支持体が脆
くなるという問題が発生する。従って、通常のポリエス
テル、ポリオレフィン等のプラスチックフィルムには、
365nmを主波長とする高圧水銀ランプで、照射光量
20〜10000(mJ/cm2)がよく、より好ましく
は50〜2000(mJ/cm2)である。254nmを
主波長とする低圧水銀ランプの場合には、照射光量10
0〜10000(mJ/cm2)がよく、より好ましくは
300〜1500(mJ/cm2)である。
【0034】火炎処理の方法は天然ガスでも液化プロパ
ンガスでもかまわないが、空気との混合比が重要であ
る。プロパンガスの場合は、プロパンガス/空気の好ま
しい混合比は、容積比で1/14〜1/22、好ましく
は1/16〜1/19である。また、天然ガスの場合
は、1/6〜1/10、好ましくは1/7〜1/9であ
る。火炎処理量は1〜50Kcal/m2、より好ましくは3
〜20Kcal/m2の範囲で行うとよい。またバーナーの内
炎の先端と支持体の距離を4cm未満にするとより効果
的である。処理装置は春日電気(株)製フレーム処理装
置を用いることができる。また、火炎処理時に支持体を
支えるバックアップロールは中空型ロールであり、冷却
水を通して水冷し、常に一定温度で処理するのがよい。
【0035】コロナ放電処理はPillar社製ソリッ
ドステートコロナ処理機6KVAモデルを用いることが
できる。処理時の放電周波数は、5〜40KHz、より
好ましくは10〜30KHzである。また波形は交流正
弦波が好ましい。電極と誘電体ロールのギャップクリア
ランスは1〜2mm、より好ましくは1.4〜1.6m
mである。また処理量は、0.3〜0.4KV・A・分
/m2、より好ましくは0.34〜0.38KV・A・分
/m2である。
【0036】また、これらのポリマーフィルム中に経時
安定性付与の目的で紫外線吸収剤を、練り込んでも良
い。紫外線吸収剤としては、可視領域に吸収を持たない
ものが望ましく、かつその添加量はポリマーフィルムの
重量に対して通常0.5重量%ないし20重量%、好ま
しくは1重量%ないし10重量%程度である。0.5重
量%未満では紫外線劣化を抑える効果を期待できない。
紫外線吸収剤としては2,4−ジヒドロキシベンゾフェ
ノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、
4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、
2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノ
ン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベ
ンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、2−(2′−ヒ
ドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル
フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキ
シ−3′−ジ−t−ブチル−5′−メチルフェニル)ベ
ンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、サリチル
酸フェニル、サリチル酸メチル等のサリチル酸系紫外線
収剤が挙げられる。
【0037】ポリエステル、特に芳香族系ポリエステル
の屈折率は、1.6〜1.7と高いのに対し、この上に
塗設する感光層の主成分であるゼラチンの屈折率は1.
50〜1.55とこの値より小さいので、光がフィルム
エッジから入射した時、ベースと乳剤層の界面で反射し
ていわゆるライトパイピング現象(縁被り)を起こす。
この様なライトパイピング現象を回避するため、フィ
ルムに不活性無機粒子等を含有させる方法ならびに染料
を添加する方法等が知られている。染料添加による方法
はフィルムヘイズを著しく増加させないので好ましい。
フィルム染色に使用する染料については、色調は感光材
料の一般的な性質上グレー染色が好ましく、ポリエステ
ルフィルムの製膜温度域での耐熱性に優れ、かつポリエ
ステルとの相溶性に優れたものが好ましい。染料として
は、上記の観点から三菱化成製のDiaresin、日
本化薬製のKayaset等ポリエステル用として市販
されている染料を混合することにより目的を達成するこ
とが可能である。
【0038】本発明で用いることのできるポリエステル
フィルムは、用途に応じて易滑性を付与することも可能
であり、不活性無機化合物の練り込み、あるいは界面活
性剤の塗布等が一般的手法として用いられる。かかる不
活性無機粒子としてはSiO2、TiO2、BaSO4
CaCO3、タルク、カオリン等が例示される。また、
上記のポリエステル合成反応系に不活性な粒子を添加す
る外部粒子系による易滑性付与以外にポリエステルの重
合反応時に添加する触媒等を析出させる内部粒子系によ
る易滑性付与方法も採用可能である。外部粒子系として
はポリエステルフィルムと比較的近い屈折率をもつSi
2、あるいは析出する粒子径を比較的小さくすること
が可能な内部粒子系を選択することが望ましい。更に
は、練り込みによる場合、よりフィルムの透明性を得る
ために機能付与した層を積層する方法も好ましい。この
手段としては具体的には複数の押し出し機ならびにフィ
ードブロック、あるいはマルチマニフォールドダイによ
る共押出し法が例示される。
【0039】本発明の帯電防止剤として最も好ましい物
は、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23
SiO2、MgO、BaO、MoO3、V25の中から選
ばれた少なくとも1種の結晶性の金属酸化物或いはこれ
らの複合酸化物の微粒子である。この中で特に好ましい
物は、SnO2を主成分とし酸化アンチモン約5〜20
%含有させ及び/又はさらに他成分(例えば酸化珪素、
ホウ素、リンなど)を含有させた導電性材料である。こ
れらの導電性の結晶性酸化物、或いはその複合酸化物の
微粒子はその体積抵抗率が1×107Ωcm以下、より
好ましくは1×105Ωcm以下である。またその粒子
サイズは0.002〜0.7μm、特に0.005〜
0.3μmであることが望ましい。この導電性を有する
層は、該支持体に対して、ハロゲン化銀乳剤層側にあっ
てもよいし、ハロゲン化銀乳剤層と反対側のバック層に
あってもよい。その際用いられるバインダーは特に限定
されず、水溶性でもよく有機溶剤性バインダーでもよ
く、あるいはラテックスのように架橋されていてもよ
い。得られた帯電防止層の体積抵抗は1×1012Ω〜1
×103Ω、より好ましくは1×1010Ω〜1×103Ω
であり、さらには1×109Ω〜1×103Ωが好まし
い。
【0040】次に本発明の写真感光材料の写真層につい
て記載する。ハロゲン化銀乳剤層としては、カラー用、
黒白用の何れでもよい。ここではカラーハロゲン化銀写
真感光材料について説明する。本発明の感光材料は、支
持体上に青感色性層、緑感色性層、赤感色性層のハロゲ
ン化銀乳剤層の少なくとも1層が設けられていればよ
く、ハロゲン化銀乳剤層および非感光性層の層数および
層順に特に制限はない。典型的な例としては、支持体上
に、実質的に感色性は同じであるが感光度の異なる複数
のハロゲン化銀乳剤層から成る感光性層を少なくとも1
つ有するハロゲン化銀写真感光材料であり、該感光性層
は青色光、緑色光、および赤色光の何れかに感色性を有
する単位感光性層であり、多層ハロゲン化銀カラー写真
感光材料においては、一般に単位感光性層の配列が、支
持体側から順に赤感色性層、緑感色性層、青感色性層の
順に設置される。しかし、目的に応じて上記設置順が逆
であっても、また同一感色性層中に異なる感光性層が挟
まれたような設置順をもとりえる。上記、ハロゲン化銀
感光性層の間および最上層、最下層には各層の中間層等
の非感光性層を設けてもよい。該中間層には、特開昭6
1−43748号、同59−113438号、同59−
113440号、同61−20037号、同61−20
038号明細書に記載されているようなカプラー、DI
R化合物等が含まれていてもよく、通常用いられるよう
に混色防止剤を含んでいてもよい。各単位感光性層を構
成する複数のハロゲン化銀乳剤層は、西独特許第1,1
21,470号あるいは英国特許第923,045号、
特開昭57−112751号、同62−200350
号、同62−206541号、同62−206543
号、同56−25738号、同62−63936号、同
59−202464号、特公昭55−34932号、同
49−15495号明細書に記載されている。ハロゲン
化銀粒子は、立方体、八面体、十四面体のような規則的
な結晶を有するもの、球状、板状のような変則的な結晶
形を有するもの、双晶面などの結晶欠陥を有するもの、
あるいはそれらの複合形でもよい。
【0041】ハロゲン化銀の粒径は、約0.2μm以下
の微粒子でも投影面積直径が約10μmに至るまでの大
サイズ粒子でもよく、多分散乳剤でも単分散乳剤でもよ
い。本発明に使用できるハロゲン化銀写真乳剤は、例え
ばリサーチ・ディスクロージャー(RD)No. 1764
3(1978年12月)、22〜23頁、“I.乳剤製
造(Emulsion preparation and types)" 、および同No.
18716(1979年11月)、648頁、グラフキ
デ著「写真の物理と化学」、ポールモンテル社刊(P. G
lafkides, Chemie et Phisique Photographique, Paul
Montel, 1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フ
ォーカルプレス社刊 (G. F. Duffin,Photographic Emul
sion Chemistry (Focal Press, 1966)、ゼリクマ
ンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社
刊(V. L. Zelikman et al., Making and Coating Phot
ographic Emulsion, Focal Press, 1964)などに記
載された方法を用いて調製することができる。米国特許
第3,574,628号、同3,655,394号およ
び英国特許第1,413,748号などに記載された単
分散乳剤も好ましい。また、アスペクト比が約5以上で
あるような平板状粒子も本発明に使用できる。平板状粒
子は、ガトフ著、フォトグラフィック・サイエンス・ア
ンド・エンジニアリング(Gutoff, Photographic Scienc
e and Engineering)、第14巻、248〜257頁(1
970年);米国特許第4,434,226号、同4,
414,310号、同4,433,048号、同4,4
39,520号および英国特許第2,112,157号
などに記載の方法により簡単に調製することができる。
結晶構造は一様なものでも、内部と外部とが異質なハロ
ゲン組成からなるものでもよく、層状構造をなしていて
もよい。また、エピタキシャル接合によって組成の異な
るハロゲン化銀が接合されていてもよく、また例えばロ
ダン銀、酸化鉛などのハロゲン化銀以外の化合物と接合
されていてもよい。また種々の結晶形の粒子の混合物を
用いてもよい。
【0042】ハロゲン化銀乳剤は、通常、物理熟成、化
学熟成および分光増感を行ったものを使用する。本発明
の効率は、金化合物と含イオウ化合物で増感した乳剤を
使用したときに特に顕著に認められる。このような工程
で使用される添加剤はリサーチ・ディスクロージャー N
o.17643および同 No.18716に記載されてお
り、その該当個所を後掲の表にまとめた。本発明に使用
できる公知の写真用添加剤も上記の2つのリサーチ・デ
ィスクロージャーに記載されており、下記の表に関連す
る記載個所を示した。
【0043】 (添加剤種類) (RD17643) (RD18716) 1 化学増感剤 23頁 648頁右欄 2 感度上昇剤 同上 3 分光増感剤、強色増感剤 23〜24頁 648頁右欄〜 649頁右欄 4 増 白 剤 24頁 5 かぶり防止剤および安定剤 24〜25頁 649頁右欄〜 6 光吸収剤、フィルター染料、 紫外線吸収剤 25〜26頁 649頁右欄〜 650頁左欄 7 ステイン防止剤 25頁右欄 650頁左〜右欄 8 色素画像安定剤 25頁 9 硬 膜 剤 26頁 651頁左欄 10 バインダー 26頁 同上 11 可塑剤、潤滑剤 27頁 650頁右欄 12 塗布助剤、表面活性剤 26〜27頁 650頁右欄 また、ホルムアルデヒドガスによる写真性能の劣化を防
止するために、米国特許4,411,987号、や同
4,435,503号に記載されたホルムアルデヒドと
反応して、固定化できる化合物を感光材料に添加するこ
とが好ましい。
【0044】本発明には種々のカラーカプラーを使用す
ることができ、その具体例は前出のリサーチ・ディスク
ロージャー(RD) No.17643、VII −C〜Gに記
載された特許に記載されている。イエローカプラーとし
ては、例えば米国特許第3,933,501号、同4,
022,620号、同4,326,024号、同4,4
01,752号、同4,248,961号、特公昭58
−10739号、英国特許第1,425,020号、同
1,476,760号、米国特許第3,973,968
号、同4,314,023号、同4,511,649
号、欧州特許第249,473A号等に記載のものが好
ましい。マゼンタカプラーとしては5−ピラゾロン系及
びピラゾロアゾール系の化合物が好ましく、米国特許第
4,310,619号、同4,351,897号、欧州
特許第73,636号、米国特許第3,061,432
号、同3,725,067号、リサーチ・ディスクロー
ジャーNo. 24220(1984年6月)、特開昭60
−33552号、リサーチ・ディスクロージャーNo. 2
4230(1984年6月)、特開昭60−43659
号、同61−72238号、同60−35730号、同
55−118034号、同60−185951号、米国
特許第4,500,630号、同4,540,654
号、同4,556,630号、WO(PCT)88/0
4795号等に記載のものが特に好ましい。
【0045】シアンカプラーとしては、フェノール系及
びナフトール系カプラーが挙げられ、米国特許第4,0
52,212号、同4,146,396号、同4,22
8,233号、同4,296,200号、同2,36
9,929号、同2,801,171号、同2,77
2,162号、同2,895,826号、同3,77
2,002号、同3,758,308号、同4,33
4,011号、同4,327,173号、西独特許公開
第3,329,729号、欧州特許第121,365A
号、同249,453A号、米国特許第3,446,6
22号、同4,333,999号、同4,753,87
1号、同4,451,559号、同4,427,767
号、同4,690,889号、同4,254,212
号、同4,296,199号、特開昭61−42658
号等に記載のものが好ましい。発色色素の不要吸収を補
正するためのカラード・カプラーは、リサーチ・ディス
クロージャーNo. 17643のVII −G項、米国特許第
4,163,670号、特公昭57−39413号、米
国特許第4,004,929号、同4,138,258
号、英国特許第1,146,368号に記載のものが好
ましい。発色色素が過度な拡散性を有するカプラーとし
ては、米国特許第4,366,237号、英国特許第
2,125,570号、欧州特許第96,570号、西
独特許(公開)第3,234,533号に記載のものが
好ましい。ポリマー化された色素形成カプラーの典型例
は、米国特許第3,451,820号、同4,080,
211号、同4,367,282号、同4,409,3
20号、同4,576,910号、英国特許2,10
2,137号等に記載されている。
【0046】カップリングに伴って写真的に有用な残基
を放出するカプラーもまた本発明で好ましく使用でき
る。現像抑制剤を放出するDIRカプラーは、前述のR
D17643、VII 〜F項に記載された特許、特開昭5
7−151944号、同57−154234号、同60
−184248号、同63−37346号、米国特許第
4,248,962号に記載されたものが好ましい。現
像時に画像状に造核剤もしくは現像促進剤を放出するカ
プラーとしては、英国特許第2,097,140号、同
2,131,188号、特開昭59−157638号、
同59−170840号に記載のものが好ましい。その
他、本発明の感光材料に用いることのできるカプラーと
しては、米国特許第4,130,427号等に記載の競
争カプラー、米国特許第4,283,472号、同4,
338,393号、同4,310,618号等に記載の
多当量カプラー、特開昭60−185950号、特開昭
62−24252号等に記載のDIRレドックス化合物
放出カプラー、DIRカプラー放出カプラー、DIRカ
プラー放出レドックス化合物もしくはDIRレドックス
放出レドックス化合物、欧州特許第173,302A号
に記載の離脱後復色する色素を放出するカプラー、R.
D.No. 11449、同No. 24241、特開昭61−
201247号等に記載の漂白促進剤放出カプラー、米
国特許第4,553,477号等に記載のリガンド放出
するカプラー、特開昭63−75747号に記載のロイ
コ色素を放出するカプラー等が挙げられる。本発明に使
用するカプラーは、種々の公知分散方法により感光材料
に導入できる。
【0047】水中油滴分散法に用いられる高沸点溶媒の
例は米国特許第2,322,027号などに記載されて
いる。水中油滴分散法に用いられる常圧での沸点が17
5℃以上の高沸点有機溶剤の具体例としては、フタル酸
エステル類、リン酸またはホスホン酸のエステル類、安
息香酸エステル類、アミド類、アルコール類またはフェ
ノール類、脂肪族カルボン酸エステル、アニリン誘導
体、炭化水素類などが挙げられる。また補助溶剤として
は、沸点が約30℃以上、好ましくは50℃以上約16
0℃以下の有機溶剤などが使用でき、典型例としては酢
酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、メチルエ
チルケトン、シクロヘキサノン、2−エトキシエチルア
セテート、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。ラ
テックス分散法の工程、効果および含浸用のラテックス
の具体例は、米国特許第4,199,363号、西独特
許出願(OLS)第2,541,274号および同2,
541,230号などに記載されている。本発明の感光
材料は乳剤層を有する側の全親水性コロイド層の膜厚の
総和が28μm以下であり、かつ、膜膨潤速度T1/2
30秒以下が好ましい。膜厚は、25℃相対湿度55%
調湿下(2日)で測定した膜厚を意味し、膜膨潤速度T
1/2は、当該技術分野において公知の手法に従って測定
することができる。例えばエー・グリーン(A. Green)ら
によりフォトグラフィック・サイエンス・アンド・エン
ジニアリング(Photogr. Sci. Eng.)、19巻、2号、1
24〜129頁に記載の型のスエロメーター(膨潤計)
を使用することにより測定でき、T1/2は発色現像液で
30℃、3分15秒処理した時に到達する最大膨潤膜厚
の90%を飽和膜厚とし、このT1/2の膜厚に到達する
までの時間と定義する。膜膨潤速度T1/2は、バインダ
ーとしてのゼラチンに硬膜剤を加えること、あるいは塗
布後の経時条件を変えることによって調整することがで
きる。また、膨潤率は150〜400%が好ましい。膨
潤率とは、さきに述べた条件下での最大膨潤膜厚から、
式:(最大膨潤膜厚−膜厚)/膜厚に従って計算でき
る。
【0048】本発明に従ったカラー写真感光材料は、前
述のRD. No. 17643の28〜29頁及び同No. 1
8716の615左欄〜右欄に記載された通常の方法に
よって現像処理する事が出来る。本発明のハロゲン化銀
カラー感光材料には処理の簡略化及び迅速化の目的で発
色現像主薬を内蔵しても良い。内蔵するためには、発色
現像主薬の各種プレカーサーを用いるのが好ましい。例
えば米国特許第3,342,597号のインドアニリン
系化合物、同3,342,599号、リサーチ・ディス
クロージャーNo.14850号及び同No. 15159号
記載のシッフ塩基型化合物、同No. 13924号に記載
されている。
【0049】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明す
るが、本発明はこれに限定される物ではない。 実施例1 1)支持体の作成 PETチップおよびPENチップを溶融押し出しした
後、縦方向に3.4倍、横方向に4倍の延伸を施し、厚
み80μmの2軸延伸ポリエステルフィルムを製造する
に際し、縦延伸ゾーンの片面(本実施例ではキャスティ
ングドラムに接した面:以下CD面と称する)に補助加
熱源として赤外線ヒーターを設置した。PENは、押し
出し温度300℃、縦延伸温度(CD面側)140℃、
横延伸温度130℃、熱固定250℃6秒間で表Aに示
す水準1〜10の支持体を製膜した。一方PETは、押
し出し温度270℃、縦延伸温度(CD面側)100
℃、横延伸温度110℃、熱固定220℃6間秒で表A
に示す水準13の支持体を製膜した。用いるPEN、P
ETのペレットを予め150℃で4時間乾燥した後、表
Aの水準11〜12に示すような混合比で2軸混練押し
出し機を用い280℃で押し出した後ペレット化した。
このポリエステル100重量部と、ポリエステル厚み8
5μmで吸光度(400nm)が0.05となるように
染料Diaresin(三菱化成製)を添加し、常法に
より乾燥した後、300℃で溶融後、T型ダイから押し
出しTg+30℃で3.3倍の延伸を行い、続いてTg
+20℃で3.3倍の横延伸を行い、さらに250℃で
6秒間熱固定し、表Aに示す厚みの水準11〜12の支
持体を得た。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】2)支持体の熱処理と表面処理 上記の方法で製膜した支持体を表Aの条件で熱処理をし
た。熱処理は全て直径30cmの巻き芯に下塗り面を外
側にして実施した。比較例として熱処理を施さないもの
を支持体9とした。
【0053】この後支持体1〜13の両面に以下のグロ
ー放電処理を行った。断面が直径2cmの円柱状の長さ
40cmの棒状電極を10cm間隔に4本絶縁板上に固
定した。この電極板を真空タンク内に固定し、この電極
面から15cm離れ、電極面に正対するように厚さ80
μm幅30cmの2軸延伸フィルムを2秒間の表面処理
が行われるように走行させた。フィルムが電極を通過す
る直前に、フィルムが直径50cmの温度コントローラ
ー付き加熱ロールに3/4周接触するように加熱ロール
を配置し、さらに加熱ロールと電極ゾーンの間のフィル
ム面に熱電対温度計を接触させることによりフィルム面
温度を115℃にコントロールした。真空槽内の圧力は
0.2Torr、雰囲気気体中のH2O分圧は75%で行っ
た。放電周波数は30KHz、出力2500W、処理強
度は0.5KV・A・分/m2で行った。真空グロー放電電
極は特願平5−147864記載の方法に従った。
【0054】3)下塗り層(乳剤層側)の塗設 支持体1〜13に下記組成の下塗り液を10ml/m2塗布
し、115℃で2分間乾燥し巻き取った。 ・ゼラチン 10 重量部 ・サリチル酸 3 重量部 ・特開昭51−3619号記載 0.5 重量部 合成例1 ポリアマイド−エピクロルヒドリン樹脂 ・ポリ(重合度10)オキシエチレンノニルフェニルエーテル 1.0 重量部 ・水 24 重量部 ・メタノール 961 重量部 この下塗面上に後述の感光層を塗設した。
【0055】4)バック層の塗設 下塗り後の支持体1〜13の下塗り層を設けた側とは反
対側の面に、下記組成のバック処方を塗設した。 (4−1)バック第一層の塗設 下記組成のバック処方をワイヤーバーを用いて5ml/m2
塗布し、115℃で2分間乾燥後巻き取った。 ・ゼラチン 1.0 重量部 ・蒸留水 1.0 重量部 ・酢酸 1.0 重量部 ・メタノール 50.0 重量部 ・エチレンジクロライド 50.0 重量部 ・p−クロロフェノール 4.0 重量部 (4−2)バック第2層の塗設 塩化第2スズ水和物230重量部と三塩化アンチモン2
3重量部をエタノール3000重量部に溶解し均一溶液
を得た。この溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液を前記
溶液がPH3になるまで滴下し、コロイド状酸化第2ス
ズと酸化アンチモンの共沈澱物を得た。得られた共沈澱
物を50℃に24時間放置し、赤褐色のコロイド状沈澱
物を得た。赤褐色コロイド状沈澱物を遠心分離により分
離した。過剰なイオンを除くため沈澱物に水を加え遠心
分離によって水洗した。この操作を3回繰り返し過剰イ
オンを除去した。過剰イオンを除去したコロイド状沈澱
物200重量部を水1500重量部に再分散し、500
℃に加熱した焼成炉に噴霧し、青みがかった平均粒径
0.005μmの酸化第二スズ一酸化アンチモン複合物
の微粒子を得た。この微粒子粉末の抵抗率は25Ω・c
mであった。上記微粉末40重量部と水60重量部の混
合液をPH7.0に調整し、攪拌機で粗分散の後、横型
サンドミル(ダイノミル、Willy A. Backfen AG製)
で滞留時間が30分になるまで分散し、一次粒子が一部
凝集した二次凝集体として平均粒径が0.05μmにな
る分散液を調製した。
【0056】下記処方を乾燥膜厚が0.3μmになるよ
うに塗布し、110℃で30秒間乾燥した。 ・上記導電性微粒子分散液(SnO2/Sb23、0.10μm)10重量部 ・ゼラチン(Ca++を100ppm含有した石灰処理ゼラチン) 1重量部 ・水 27重量部 ・メタノール 60重量部 ・レゾルシン 2重量部 ・ポリ(重合度10)オキシエチレンノニルフェニルエーテル 0.01重量部 (4−3)バック第3層の塗設 下記処方の液を乾燥膜厚が1.2μmになるように塗布
した。乾燥は110℃で行った。 ・ジアセチルセルロース 100 重量部 ・トリメチロールプロパン−3−トルエンジイソシアネート 25 重量部 ・トリエチルケトン 1050 重量部 ・シクロヘキサノン 1050 重量部
【0057】(4−4)バック第4層(滑り層)の塗設 下記の1液を90℃加温溶解し、2液に添加後、高圧ホ
モジナイザーで分散し滑り分散原液とした。 1液 C613CH(OH)(CH210COOC4061 0.7 g n−C50101O(CH2CH2O)16H 1.1 g キシレン 2.5 g 2液 プロピレングリコールモノメチルエーテル 34.0 g 上記滑り分散原液に下記のバインダー、溶剤を加え塗布液とした。 ジアセチルセルロース 3.0 g アセトン 600.0 g シクロヘキサノン 350.0 g 滑り塗布液は10cc/m2 の塗布量でワイヤーバーコ
ートした。
【0058】5)感光材料の調整 下塗りを施した支持体上(バック層とは反対側)に、下
記に示すような組成の各層を重層塗布し、多層カラー感
光材料である試料を作成した。 (感光層組成)各層に使用する素材の主なものは下記の
ように分類されている; C:カプラー U:紫外線吸収剤 Oil:高沸点有機溶剤 H:ゼラチン硬化剤 S:増感色素 各成分に対応する数字は、g/m2単位で表した塗布量を
示し、ハロゲン化銀については、銀換算の塗布量を示
す。ただし増感色素については、同一層のハロゲン化銀
1モルに対する塗布量をモル単位で示す。
【0059】第1層(ハレーション防止層) 黒色コロイド銀 銀 0.09 ゼラチン 1.60 C−9 0.12 D−1 2.0×10-3 固体分散染料D−2 0.030 固体分散染料D−3 0.040 Oil−1 0.15 Oil−2 0.02
【0060】第2層(中間層) 沃臭化銀乳剤M 銀 0.065 C−2 0.04 ポリエチルアクリレートラテックス 0.20 ゼラチン 1.04
【0061】第3層(低感度赤感乳剤層) 沃臭化銀乳剤A 銀 0.25 沃臭化銀乳剤B 銀 0.25 S−1 6.9×10-5 S−2 1.8×10-5 S−3 3.1×10-4 C−1 0.17 C−3 0.030 C−4 0.10 C−5 0.020 C−6 0.010 Cpd−2 0.025 Oil−1 0.10 ゼラチン 0.87
【0062】第4層(中感度赤感乳剤層) 沃臭化銀乳剤C 銀 0.70 S−1 3.5×10-4 S−2 1.6×10-5 S−3 5.1×10-4 C−1 0.13 C−2 0.060 C−3 0.0070 C−4 0.090 C−5 0.015 C−6 0.0070 Cpd−2 0.023 Oil−1 0.10 ゼラチン 0.75
【0063】第5層(高感度赤感乳剤層) 沃臭化銀乳剤D 銀 1.40 S−1 2.4×10-4 S−2 1.0×10-4 S−3 3.4×10-4 C−1 0.10 C−3 0.045 C−6 0.020 C−7 0.010 Cpd−2 0.050 Oil−1 0.22 Oil−2 0.050 ゼラチン 1.10
【0064】第6層(中間層) Cpd−1 0.090 固体分散染料D−4 0.030 Oil−1 0.050 ポリエチルアクリレートラテックス 0.15 ゼラチン 1.10
【0065】第7層(低感度緑感乳剤層) 沃臭化銀乳剤E 銀 0.15 沃臭化銀乳剤F 銀 0.10 沃臭化銀乳剤G 銀 0.10 S−4 3.0×10-5 S−5 2.1×10-4 S−6 8.0×10-4 C−10 0.33 C−11 0.086 C−14 0.015 Oil−1 0.30 Oil−3 0.010 ゼラチン 0.73
【0066】第8層(中感度緑感乳剤層) 沃臭化銀乳剤H 銀 0.80 S−4 3.2×10-5 S−5 2.2×10-4 S−6 8.4×10-4 C−8 0.010 C−10 0.10 C−11 0.025 C−14 0.018 C−17 0.010 C−18 0.040 Oil−1 0.13 Oil−3 4.0×10-3 ゼラチン 0.80
【0067】第9層(高感度緑感乳剤層) 沃臭化銀乳剤I 銀 1.25 S−4 3.7×10-5 S−5 8.1×10-5 S−6 3.2×10-4 C−1 0.010 C−9 0.020 C−12 0.025 C−13 0.040 Cpd−3 0.040 Oil−1 0.25 ポリエチルアクリレートラテックス 0.15 ゼラチン 1.33
【0068】第10層(イエローフィルター層) 黄色コロイド銀 銀 0.015 Cpd−1 0.16 固体分散染料D−5 0.060 固体分散染料D−6 0.060 油溶性染料D−7 0.010 Oil−1 0.60 ゼラチン 0.60
【0069】第11層(低感度青感乳剤層) 沃臭化銀乳剤J 銀 0.09 沃臭化銀乳剤K 銀 0.09 S−7 8.6×10-4 C−8 7.0×10-3 C−14 0.050 C−15 0.22 C−16 0.50 C−17 0.020 Cpd−2 0.10 Cpd−3 4.0×10-3 Oil−1 0.28 ゼラチン 1.20
【0070】第12層(高感度青感乳剤層) 沃臭化銀乳剤L 銀 1.00 S−7 4.0×10-4 C−15 0.10 C−16 0.10 C−17 0.010 Cpd−2 0.10 Cpd−3 1.0×10-3 Oil−1 0.070 ゼラチン 0.70
【0071】第13層(第1保護層) U−1 0.19 U−2 0.075 U−3 0.065 Oil−1 5.0×10-2 Oil−4 5.0×10-2 ゼラチン 表Aに示す量 メチルセルロース 表Aに示す量 (信越化学製 メトローズ60SH−6)
【0072】第14層(第2保護層) 沃臭化銀乳剤M 銀 0.10 H−1 0.40 B−1(直径 1.7 μm) 0.015 B−2(直径 1.7 μm) 0.10 B−3 0.05 Cpd−4 0.20 ゼラチン 表Aに示す量 メチルセルロース 表Aに示す量 (信越化学製 メトローズ60SH−6)
【0073】更に、各層に適宜、保存性、処理性、圧力
耐性、防黴・防菌性、帯電防止性及び塗布性をよくする
ために W−1ないしW−3、B−4ないしB−6、F
−1ないしF−17及び、鉄塩、鉛塩、金塩、白金塩、
パラジウム塩、イリジウム塩、ロジウム塩が含有されて
いる。
【0074】
【表3】
【0075】表Bにおいて、 (1)乳剤J〜Lは特開平2-191938号の実施例に従い、
二酸化チオ尿素とチオスルフォン酸を用いて粒子調製時
に還元増感されている。 (2)乳剤A〜Iは特開平3-237450号の実施例に従い、
各感光層に記載の分光増感色素とチオシアン酸ナトリウ
ムの存在下に金増感、硫黄増感とセレン増感が施されて
いる。 (3)平板状粒子の調製には特開平1-158426号の実施例
に従い、低分子量ゼラチンを使用している。 (4)平板状粒子には特開平3-237450号に記載されてい
るような転位線が高圧電子顕微鏡を用いて観察されてい
る。 (5)乳剤Lは特開昭60-143331 号に記載されている内
部高ヨードコアーを含有する二重構造粒子である。
【0076】有機固体分散染料の分散物の調製 下記の化合物D−2を次の方法で分散した。即ち、水2
1.7ml及び5%水溶液のp−オクチルフェノキシエトキ
シエトキシエタンスルホン酸ソーダ3ml並びに5%水溶
液のp−オクチルフェノキシポリオキシエチレンエ−テ
ル(重合度10)0.5 gとを 700mlのポットミルに入れ、
染料D−2を 5.0gと酸化ジルコニウムビ−ズ(直径1
mm) 500mlを添加して内容物を2時間分散した。この分
散には中央工機製のBO型振動ボールミルを用いた。分
散後、内容物を取り出し、12.5%ゼラチン水溶液8gに
添加し、ビーズを濾過して除き、染料のゼラチン分散物
を得た。染料微粒子の平均粒径は0.44μmであった。
【0077】同様にして、D−3、D−4及びD−6の
固体分散物を得た。染料微粒子の平均粒径はそれぞれ、
0.24μm、0.45μm、0.52μmであった。D−5は欧州
特許出願公開(EP)第549,489A号明細書の実施例1に記
載の微小析出(Microprecipitation)分散方法により分
散した。平均粒径は0.06μmであった。
【0078】
【化1】
【0079】
【化2】
【0080】
【化3】
【0081】
【化4】
【0082】
【化5】
【0083】
【化6】
【0084】
【化7】
【0085】
【化8】
【0086】
【化9】
【0087】
【化10】
【0088】
【化11】
【0089】
【化12】
【0090】
【化13】
【0091】
【化14】
【0092】
【化15】
【0093】
【化16】
【0094】6)写真フィルムの評価 このようにして作成した写真フィルムサンプル水準1〜
13について巻癖の評価を下記手順に従って行った。 (6−1)コアセット コアセットとはフィルムをスプールに巻き付けて巻ぐせ
を付けることである。サンプルフィルムを35mm幅で、
1.2mの長さにスリットした。これを25℃60%R
Hで1晩調湿後、感光層を内巻にし、4〜12mmのスプ
ールに巻きつけた。これを密封容器中に入れ、80℃で
2時間加熱して巻き癖を付けた。この温度条件は、夏季
に車中に置かれたフィルムを想定した条件である。 (6−2)現像処理のフィルム折れ(フィルム後端折
れ)の評価 上記条件で巻き癖を付けたフィルムを、25℃の部屋の
中で放冷した後、密封容器からサンプルフィルムを取出
し、これを自動現像機(ミニラボFP−560B:富士
写真フイルム製)で現像処理し、後端折れが発生しない
ものを○、発生するが実用上許容される△、搬送トラブ
ルが生じる×の3段階で評価した。
【0095】現像処理は富士写真フィルム製のCN−1
6FA処理工程を用いた。測定に使用した試料は、前も
って像様露光を与えた試料を別途ランニング処理し、発
色現像補充量がタンク容量の3倍量補充されるまで実施
した処理液を用いて処理された。
【0096】(6−3)耐ブロッキング性テスト 現像処理済みの試料を25℃相対湿度85%で3時間調
湿した後、カートリッジ本体に収納した状態で40℃、
1日の熱処理を行い、乳剤側とバック側のブロッキング
性を評価した。ブロッキングのレベルをブロッキングし
ている面積で3段階に評価した。実用上○以外は許容で
きない。 ○:接着しない △:0〜49%接着する ×:50%以上接着する
【0097】7)結果 結果を前記表Aに併せて示す。非感光性上部層の少なく
とも一層について、層あたりの全バインダー量に対して
1%以上50%以下のメチルセルロースをブレンドした
水準3、水準5〜7および水準9〜13は耐ブロッキン
グ性が良好である。メチルセルロースが1%未満の水準
2および水準8ではややブロッキングが見られ、メチル
セルロースを全く含まない水準1では著しいブロッキン
グが見られた。一方、メチルセルロースが50%を超え
る水準4ではややブロッキングがみられた。また、支持
体に前熱処理を行わなかった水準9およびスプール径の
小さい水準10は巻き癖が強く後端折れを引き起こした
が、熱処理を行った水準1〜8および水準11は巻き癖
が良化し後端折れは見られなかった。一方、支持体のT
gが90℃未満である水準12〜13では後端折れが著
しく、熱処理による巻き癖の改良は全く見られない。
【0098】実施例2 1)支持体の作成 PETチップおよびPENチップを溶融押し出しした
後、縦方向に3.4倍、横方向に4倍の延伸を施し、厚
み80μmの2軸延伸ポリエステルフィルムを製造する
に際し、縦延伸ゾーンの片面(本実施例ではキャスティ
ングドラムに接した面:以下CD面と称する)に補助加
熱源として赤外線ヒーターを設置した。PENは、押し
出し温度300℃、縦延伸温度(CD面側)140℃、
横延伸温度130℃、熱固定250℃6秒間で表Cに示
す水準14〜23の支持体を製膜した。一方PETは、
押し出し温度270℃、縦延伸温度(CD面側)100
℃、横延伸温度110℃、熱固定220℃6間秒で表C
に示す水準26の支持体を製膜した。用いるPEN、P
ETのペレットを予め150℃で4時間乾燥した後、表
Cの水準24〜25に示すような混合比で2軸混練押し
出し機を用い280℃で押し出した後ペレット化した。
このポリエステル100重量部と、ポリエステル厚み8
5μmで吸光度(400nm)が0.05となるように
染料Diaresin(三菱化成製)を添加し、常法に
より乾燥した後、300℃で溶融後、T型ダイから押し
出しTg+30℃で3.3倍の延伸を行い、続いてTg
+20℃で3.3倍の横延伸を行い、さらに250℃で
6秒間熱固定し、表Cに示す厚みの水準24〜25の支
持体を得た。
【0099】2)支持体の表面処理と熱処理 支持体の両面にフィルム面から10cmの距離に平行に
備え付けた幅50cm、アーク長30cmの365nm
を主波長とする円筒状1KWの石英製高圧水銀ランプを
用いて2分間、空気中115℃で照射した。照射光量は
500mJ/cm2であった。上記の方法で製膜した支
持体を表Cの条件で熱処理をした。熱処理は全て直径3
0cmの巻き芯に乳剤下塗り面を外側にして実施した。
比較例として熱処理を施さないものを支持体22とし
た。
【0100】3)下塗り層(乳剤層側)の塗設 支持体上に下記組成の下塗り液をワイヤーバーを用いて
10ml/m2塗布し、115℃で2分間乾燥後卷き取っ
た。 ・ゼラチン 10.0 重量部 ・水 12.0 重量部 ・メタノール 875.0 重量部 ・サリチル酸 2.5 重量部 ・パラクロルフェノール 100.0 重量部 ・特開昭51−3619号記載 0.5 重量部 合成例1 ポリアマイド−エピクロルヒドリン樹脂 ・ポリ(重合度10)オキシエチレンノニルフェニルエーテル 1.0 重量部 この下塗面上に後述の感光層を塗設した。 4)バック層の塗設 下塗り後、支持体の下塗り層を設けた側とは反対側の面
に、下記組成のバック第1層用処方をワイヤーバーを用
いて5ml/m2塗布し、115℃で2分間乾燥後卷き取っ
た。 ・ゼラチン 3.0 重量部 ・水 56.0 重量部 ・メタノール 841.0 重量部 ・パラクロールフェノール 99.0 重量部 ・酢酸 1.0 重量部 ・特開昭51−3619号記載 0.15重量部 合成例1 ポリアマイド−エピクロルヒドリン樹脂 ・ポリ(重合度10)オキシエチレンノニルフェニルエーテル 1.0 重量部 バック第1層上の、バック第2層としての帯電防止層の
塗設、バック第3層の塗設、バック第4層としての滑り
層の塗設は実施例1と同様に行った。
【0101】
【表4】
【0102】
【表5】
【0103】5)感光材料の調整 下塗りを施した支持体上(バック層とは反対側)に、下
記に示すような組成の各層を多層塗布し、多層カラー感
光材料である試料を作成した。各組成の塗布量は、試料
1m2当たりの値を示した。なおハロゲン化銀、コロイド
銀については、等量の銀に換算した重量を示した。
【0104】第1層:ハレーション防止層 黒色コロイド銀 0.25 g ゼラチン 1.9 g 紫外線吸収剤U−4 0.2 g 紫外線吸収剤U−6 0.1 g 紫外線吸収剤U−7 0.2 g 高沸点有機溶媒Oil−5 0.1 g 染料E−1の微結晶固体分散物 0.1 g
【0105】第2層:中間層 非感光性微粒子ヨウ臭化銀乳剤(平均粒径0.1μm、
AgI含量1モル%)銀量 0.15 g 表面及び内部を被らせた微粒子ヨウ臭化銀乳剤(平均粒
径0.06μm、変動係数18%、AgI含量1モル
%)銀量 0.05 g 化合物Cpd−5 0.1 g 化合物Cpd−17 0.05 g ゼラチン 0.4 g
【0106】第3層:中間層 ゼラチン 0.40 g 化合物Cpd−7 1 mg 化合物Cpd−8 3 mg 染料D−11 0.4 mg 高沸点有機溶媒Oil−7 40 mg
【0107】第4層:低感度赤感性乳剤層 乳剤AA 銀量 0.3 g 乳剤BB 銀量 0.4 g ゼラチン 0.8 g カプラーC−19 0.09 g カプラーC−20 0.03 g カプラーC−21 0.02 g カプラーC−28 0.02 g 化合物Cpd−8 1 mg 化合物Cpd−15 0.05 g 高沸点有機溶媒Oil−6 0.10 g エチルアクリレートのラテックス分散物0.5 g
【0108】第5層:中感度赤感性乳剤層 乳剤BB 銀量 0.2 g 乳剤CC 銀量 0.3 g ゼラチン 0.8 g カプラーC−19 0.2 g カプラーC−20 0.05 g カプラーC−21 0.2 g 高沸点有機溶媒Oil−6 0.1 g エチルアクリレートのラテックス分散物0.05 g
【0109】第6層:高感度赤感性乳剤層 乳剤DD 銀量 0.4 g ゼラチン 1.1 g カプラーC−19 0.3 g カプラーC−20 0.1 g カプラーC−21 0.1 g 添加物P−1 0.02 g エチルアクリレートのラテックス分散物0.1 g
【0110】第7層:中間層 ゼラチン 1.0 g 化合物Cpd−14 0.2 g 化合物Cpd−16 0.05 g 化合物Cpd−18 0.02 g 添加物P−1 0.05 g 染料D−8 0.02 g
【0111】第8層:中間層 表面及び内部を被らせた微粒子ヨウ臭化銀乳剤(平均粒
径0.06μm、変動係数16%、AgI含量0.3モ
ル%)銀量 0.025 g ゼラチン 0.4 g 化合物Cpd−5 0.1 g 化合物Cpd−8 1 mg 化合物Cpd−17 0.05 g
【0112】第9層:低感度緑感性乳剤層 粒子内部を被らせたヨウ臭化銀乳剤(平均粒径0.1μ
m、AgI含量0.1モル%)銀量 0.15 g 乳剤EE 銀量 0.3 g 乳剤FF 銀量 0.1 g 乳剤GG 銀量 0.1 g ゼラチン 2.0 g カプラーC−22 0.03 g カプラーC−25 0.05 g カプラーC−26 0.02 g カプラーC−27 0.05 g カプラーC−30 0.2 g 化合物Cpd−6 0.03 g 化合物Cpd−8 1 mg 化合物Cpd−9 0.02 g 化合物Cpd−10 0.02 g 化合物Cpd−11 0.02 g 化合物Cpd−12 0.02 g 高沸点有機溶媒Oil−6 0.2 g
【0113】第10層:中感度緑感性乳剤層 乳剤GG 銀量 0.3 g 乳剤HH 銀量 0.1 g ゼラチン 0.6 g カプラーC−22 0.1 g カプラーC−25 0.05 g カプラーC−26 0.05 g カプラーC−27 0.02 g カプラーC−30 0.20 g 化合物Cpd−6 0.03 g 化合物Cpd−9 0.02 g 化合物Cpd−10 0.02 g 化合物Cpd−11 0.05 g 化合物Cpd−12 0.05 g 添加物F−22 0.08 mg 高沸点有機溶媒Oil−6 0.01 g
【0114】第11層:高感度緑感性乳剤層 粒子内部を被らせたヨウ臭化銀乳剤(平均粒径0.2μ
m、AgI含量0.1モル%)銀量 0.05 g 乳剤II 銀量 0.5 g ゼラチン 1.1 g カプラーC−22 0.1 g カプラーC−25 0.3 g カプラーC−26 0.07 g カプラーC−27 0.05 g カプラーC−30 0.1 g 化合物Cpd−6 0.08 g 化合物Cpd−9 0.02 g 化合物Cpd−10 0.02 g 化合物Cpd−11 0.02 g 化合物Cpd−12 0.02 g 高沸点有機溶媒Oil−6 0.04 g
【0115】第12層:中間層 ゼラチン 0.4 g エチルアクリレートのラテックス分散物0.15 g 染料D−8 0.1 g 染料D−9 0.05 g 染料D−10 0.07 g
【0116】第13層:イエローフィルター層 黄色コロイド銀 銀量 0.08 g ゼラチン 1.0 g 化合物Cpd−5 0.04 g 高沸点有機溶媒Oil−5 0.01 g 染料E−2の微結晶固体分散物 0.05 g
【0117】第14層:中間層 ゼラチン 0.6 g
【0118】第15層:低感度青感性乳剤層 粒子内部を被らせたヨウ臭化銀乳剤(平均粒径0.2μ
m、AgI含量0.1モル%)銀量 0.1 g 乳剤JJ 銀量 0.4 g 乳剤KK 銀量 0.1 g 乳剤LL 銀量 0.1 g ゼラチン 1.0 g カプラーC−23 0.5 g カプラーC−24 0.1 g カプラーC−29 0.1 g 化合物Cpd−15 0.1 g
【0119】第16層:中感度青感性乳剤層 乳剤LL 銀量 0.1 g 乳剤MM 銀量 0.1 g ゼラチン 0.6 g カプラーC−23 0.02 g カプラーC−24 0.002 g カプラーC−29 0.02 g
【0120】第17層:高感度青感性乳剤層 乳剤NN 銀量 0.6 g ゼラチン 1.4 g カプラーC−23 0.05 g カプラーC−24 0.08 g カプラーC−29 0.8 g
【0121】第18層:第1保護層 ゼラチン 表Cに示す量 メチルセルロース 表Cに示す量 紫外線吸収剤U−4 0.4 g 紫外線吸収剤U−5 0.01 g 紫外線吸収剤U−6 0.03 g 紫外線吸収剤U−7 0.03 g 紫外線吸収剤U−8 0.05 g 紫外線吸収剤U−9 0.05 g 高沸点有機溶媒Oil−5 0.02 g ホルマリンスカベンジャー Cpd−7 0.2 g Cpd−13 0.4 g エチルアクリレートのラテックス分散物0.05 g 染料D−10 0.05 g 化合物Cpd−5 0.02 g 化合物Cpd−14 0.02 g 化合物Cpd−18 0.01 g
【0122】第19層:第2保護層 コロイド銀 銀量 0.05 mg 微粒子ヨウ臭化銀乳剤(平均粒径0.06μm、AgI
含量1モル%)銀量 0.05 g ゼラチン 表Cに示す量 メチルセルロース 表Cに示す量
【0123】第20層:第3保護層 コロイド銀 銀量 0.05 mg 微粒子ヨウ臭化銀乳剤(平均粒径0.07μm、AgI
含量1モル%)銀量 0.05 g ゼラチン 表Cに示す量 メチルセルロース 表Cに示す量 ポリメチルメタクリレート(平均粒径1.5μm)0.01
g メチルメタクリレートとアクリル酸の4:6の共重合体 (平均粒径1.5μm) 0.1 g シリコーンオイル 0.03 g 界面活性剤W−4 3.0 mg 界面活性剤W−5 0.03 g
【0124】各ハロゲン化銀乳剤層および中間層には添
加剤F−18〜F−26を添加した。また、各層には上
記組成物以外にゼラチン硬化剤H−2および塗布用界面
活性剤W−6、W−7およびW−8を、乳化用界面活性
剤W−9を添加した。更に、防腐・防黴としてフェノー
ル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−フ
ェノキシエタノール、イソチオソアン酸フェニル、およ
びフェネチルアルコールを添加した。
【0125】
【表6】
【0126】
【表7】
【0127】
【表8】
【0128】
【化17】
【0129】
【化18】
【0130】
【化19】
【0131】
【化20】
【0132】
【化21】
【0133】
【化22】
【0134】
【化23】
【0135】
【化24】
【0136】
【化25】
【0137】
【化26】
【0138】
【化27】
【0139】
【化28】
【0140】
【化29】
【0141】
【化30】
【0142】
【化31】
【0143】6)写真フィルムの評価 このようにして作成した写真フィルムサンプル水準14
〜26について巻癖の評価を下記手順に従って行った。 (6−1)コアセット サンプルフィルムを35mm幅で、1.2mの長さにスリ
ットした。これを25℃60%RHで1晩調湿後、感光
層を内巻にし、4〜12mmのスプールに巻きつけた。
これを密封容器中に入れ、80℃で2時間加熱して巻き
癖を付けた。この温度条件は、夏季に車中に置かれたフ
ィルムを想定した条件である。 (6−2)現像処理のフィルム折れ(フィルム後端折
れ)の評価 上記条件で巻き癖を付けたフィルムを、25℃の部屋の
中で放冷した後、密封容器からサンプルフィルムを取出
し、これをノーリツ(株)製の自動現像機H6R−36
0で現像処理し、後端折れが発生しないものを○、発生
するが実用上許容される△、搬送トラブルが生じる×の
3段階で評価した。現像処理は富士写真フィルム製のC
R−56処理工程を用いた。測定に使用した試料は、前
もって像様露光を与えた試料を別途ランニング処理し、
発色現像補充量がタンク容量の3倍量補充されるまで実
施した処理液を用いて処理された。
【0144】(6−3)耐ブロッキング性テスト 現像処理済みの試料を25℃相対湿度85%で3時間調
湿した後、カートリッジ本体に収納した状態で40℃、
1日の熱処理を行い、乳剤側とバック側のブロッキング
性を評価した。ブロッキングのレベルをブロッキングし
ている面積で3段階に評価した。実用上○以外は許容で
きない。 ○:接着しない △:0〜49%接着する ×:50%以上接着する
【0145】7)結果 結果を前記表Cに併せて示す。非感光性上部層の少なく
とも一層について、各層の全バインダー量に対して1%
以上のメチルセルロースをブレンドした水準15〜26
は耐ブロッキング性が良好である。メチルセルロースを
全く含まない水準14では著しいブロッキングが見られ
た。また、支持体に前熱処理を行わなかった水準22お
よびスプール径の小さい水準23は巻き癖が強いが、熱
処理を行った水準14〜21および水準24は著しい巻
き癖の良化が見られた。一方、支持体のTgが90℃未
満である水準25〜26では熱処理による巻き癖の改良
は全く見られない。
【発明の効果】本発明に従い、非感光性上部層にメチル
セルロースを添加することにより、現像処理後の耐ブロ
ッキング性に優れたハロゲン化銀写真感光材料を得るこ
とができる。更に、ガラス転移温度が90〜200℃の
支持体を用い、及び/又は支持体に特定の熱処理を施す
ことにより、更に、巻きぐせがつきにくく現像時に後端
折れがないハロゲン化銀写真感光材料を作成することが
できる。巻きぐせが付きにくい効果は、ロール状の写真
感光材料を小さなスプール径に巻かれる際に特に有効で
あり、パトローネを小型化することができるという大き
な効果が得られた。本発明は、外径5〜11mmのスプ
ールに巻き込まれるロール状感光材料において、特に有
効である。更に、ナフタレンジカルボン酸とエチレング
リコールを主成分とするポリエステルを含有する支持体
が、力学的強度に優れ、且つ優れた巻き癖改良効果も認
められる点で特に有効である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年2月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 ハロゲン化銀写真感光材料
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、処理後のブロッキング
性の優れたハロゲン化銀写真感光材料、更にはロール状
フィルムの巻き癖が付きにくいハロゲン化銀写真感光材
料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】写真感光材料の支持体は、一般的にトリ
アセチルセルロース(以下「TAC」と記す)に代表さ
れる繊維素系のポリマーとポリエステル系のポリマーで
あるポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と記
す)が使用されている。一般に写真感光材料としては、
Xレイ用フィルム、製版用フィルム及びカットフィルム
の如くシート状の形態のものと、35mm幅又はそれ以
下の幅でパトローネ内に収められて用いるカラー又は黒
白ネガロール状フィルムがある。ロールフィルム用支持
体として用いられるTACは透明度が高く、さらに現像
処理後のカール解消性について優れた性質を有してい
る。一方、PETフィルムは生産性、機械的強度及び寸
度安定性で優れているが、カールが強く残留するため現
像処理後の取り扱い性が悪いことから、上記の優れた性
質がありながらその使用範囲が限定されてきた。
【0003】近年写真感光材料の用途が多様化し、カメ
ラの小型化、撮影時のフィルム搬送の高速化及び撮影倍
率やプリントの高倍率化が要求されている。それに伴
い、支持体には強度、寸度安定性及び薄膜化等が要求さ
れる。さらに、カメラの小型化に伴い、パトローネの小
型化の要求が強くなっている。パトローネの小型化を行
うためには、2つの課題を解決する必要がある。第1の
課題は、フィルムの薄手化に伴う力学強度の低下防止で
ある。第2の課題は、スプールの小型化に伴う経時保存
中に発生する強い巻き癖軽減である。ポリエステルフィ
ルムの巻き癖を低減させる方法として、例えば特開昭5
1−16358号、特開平1−131550号、米国特
許第4,141,735号に記載されている様な方法が
知られている。特開平1ー279250号、特開平1ー
289948号にはフィルムを巻いた状態でカートリッ
ジまたは容器に収納、保管する方法が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、カート
リッジは防湿性が良くかつ内部空間が狭い。そのため現
像処理後のフィルムが高い含水率を保持したままカート
リッジに巻き込まれると、乳剤層を構成する層と支持体
を介して反対側の層(バック層と呼ぶ)との間でブロッ
キングが起こり、画像の欠落やブロッキング跡がプリン
トに写るという問題を引き起こす。力学的強度に優れた
支持体を用いると、カートリッジ内での巻き癖は付きに
くくなるものの、フイルムが外に広がろうとする力が増
し、従来のTACやPETに比べるとカートリッジ内で
の接着は起こりやすくなる。ブロッキング防止剤として
マット剤を使用すると耐ブロッキング性を付与すること
ができるが、処理後もフィルムにマット剤が大量に残る
と、プリント時に光が散乱しシャープな画像が得られな
くなるため、処理後にも残存するマット剤量は制限され
る。
【0005】また、写真感光性層の主なバインダーであ
るゼラチンは、その含水率が高くなる程ブロッキングを
起こしやすい性質を持っている。現像処理乾燥後の含水
率を低下させる手段として、乳剤層の主バインダーであ
るゼラチンの架橋剤量を増やし、予備硬膜をする方法が
あるが、この手段は現像の進行を遅らせ写真性に影響を
与えるうえ耐ブロッキング性の効果も薄い。現像処理後
に低湿雰囲気に晒し含水率を低下させる方法もあるが、
コストの観点から実用性はない。従って、本発明の第1
の目的は、現像処理後のブロッキング性が良好なハロゲ
ン化銀写真感光材料を提供する事である。本発明の第2
の目的は、巻き癖が付きにくいハロゲン化銀写真感光材
料を提供する事である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の上記第1の目的
は、写真用支持体上に少なくとも一層の感光性ハロゲン
化銀乳剤層及びその上部に少なくとも一層の非感光性上
部層を有しかつ支持体に対して感光性ハロゲン化銀乳剤
層と反対の側に少なくとも一層の非感光性上部層を有し
てなるハロゲン化銀写真感光材料であって、該非感光性
上部層の少なくとも一層が、層あたりのバインダー全量
に対して重量比1%以上50%以下のメチルセルロース
をブレンドした親水性コロイドであることを特徴とする
ハロゲン化銀写真感光材料によって達成された。
【0007】本発明における非感光性上部層は感光性ハ
ロゲン化銀乳剤層の上部全面あるいは支持体に対して感
光性ハロゲン化銀乳剤層と反対の側の最上層の全面にわ
たって設けられる本質的に親水性コロイドからなる層で
ある。かかる非感光性上部層は1層のみでもよく、場合
によっては2層またはそれ以上設けられていてもよい。
【0008】本発明で用いることのできるメチルセルロ
ースはセルロースのグルコース基当たりのメチル化の置
換度としては0〜2.5、好ましくは0.5〜2.5、
より好ましくは1.0〜2.5のものが優れた効果を有
する。該置換度が2.5を越える場合には水溶性でなく
なるため本発明の目的は達成されない。メチルセルロー
スの重合度については、塗布方法により、塗布液の粘度
との関係から適宜選択が可能である。本発明の特徴は、
水溶性ポリマーであるメチルセルロースを非感光性上部
層のバインダー中にブレンドすることによって、現像処
理後の耐ブロッキング性が極めて良好になることを見い
だした点にある。ここで用いられるメチルセルロース
は、メトキシ基以外のエーテル化またはエステル化、例
えばヒドロキシプロピル基の導入、カルボキシベンゾイ
ル基が導入されても差し支えない。
【0009】この様なメチルセルロースとしては、下記
の名称で信越化学社より市販されており、容易に入手す
ることもできる。メトローズSM−15、メトローズ6
0SH−6、メトローズ60SH−50、メトローズ6
0SH−4000、メトローズ65SH−50、メトロ
ーズ90SH−100これらの合成法、性質については
信越化学社の製品カタログ「メトローズ」および Cellu
lose and Cellulose Derivatives No.1〜5、Off.E ら等
に詳しく記されている。
【0010】メチルセルロースの製法としては、セルロ
ースを18〜35%のNaOH溶液と硫酸ジメチルでメ
チル化し、高メチル化度の試料を得るために、このメチ
ル化操作を繰り返す方法あるいはオートクレーブ中でア
ルカリセルロースと塩化メチルを反応させる方法があ
る。
【0011】本発明のメチルセルロースの使用量は、メ
チルセルロースを添加する非感光性上部層の層あたりの
全バインダー量に対して重量比1%〜50%であり、5
%〜30%が特に好ましい。層あたりのバインダー全量
には、該層中の親水性バインダー量および添加したメチ
ルセルロース量が含まれる。該使用量が1%未満である
と耐ブロッキング性の改良効果が充分ではなく、50%
を超えると添加層そのものの力学的強度が著しく損なわ
れるため耐ブロッキング性の改良効果は小さい。メチル
セルロースを添加する非感光性上部層は、感光性ハロゲ
ン化銀乳剤層側でもよいし、支持体に対して感光層の反
対側(バック層側)でもよく、感光性ハロゲン化銀乳剤
層側とバック層側両側でもかまわない。また、複数の非
感光性上部層のどれか一層でもよいし、複数の層に添加
されていてもよい。
【0012】本発明の非感光性上部層に用いられる親水
性コロイドバインダーとしては、ゼラチンを用いるのが
有利であるが、それ以外の親水性コロイドも用いること
ができる。たとえばゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高
分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼイン等の
タンパク質;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロース、セルロース硫酸エステル類等のセル
ロース誘導体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体などの糖
誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール
部分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリア
クリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポ
リビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾール等の単一
あるいは共重合体の如き多糖の合成親水性高分子物質を
用いることができる。
【0013】ゼラチンとしては石灰処理ゼラチンのほか
酸処理ゼラチンやブレテイン・オブ・ザ・ソサエティー
・オブ・サイエンティフィック・フォトグラフィー・ジ
ャパン(Bull. Soc. Sci. Phot. Japan)No.16,30
頁(1966)に記載されたような酸処理ゼラチンを用
いても良く、またゼラチンの加水分解物や酵素分解物も
用いることができる。
【0014】本発明の非感光性上部層には、前記の如き
親水性コロイドバインダー(たとえばゼラチン)とメチ
ルセルロースの他に、界面活性剤、帯電防止剤、マット
剤、滑り剤、コロイダルシリカ、ゼラチン可塑剤等を含
有することができる。
【0015】本発明の支持体は、脂肪族系ポリマー、脂
環式化合物系ポリマー、芳香族系ポリマー等いずれのも
のでも本発明の効果を得ることができるが、力学的強度
を高くしやすい、ガラス転移温度を高くしやすいといっ
た点から、芳香族ポリエステルを用いることが望まし
い。本発明で用いることにできる芳香族ポリエステル
は、ジオールと芳香族ジカルボン酸を必須成分として形
成される。必須である芳香族ジカルボン酸とはジカルボ
ン酸中に、ベンゼン核を少なくとも一個有するものであ
る。また、必要に応じて脂肪族ジカルボン酸と混用して
もよい。このような使用可能な芳香族、脂肪族ジカルボ
ン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル
酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸(2,6
−、1,5−、1,4−、2,7−)、ジフェニレン
p,p′−ジカルボン酸、テトラクロロ無水フタル酸、
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、無水
コハク酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、イ
タコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル
酸、、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ハロゲン化
テレフタル酸、ビス(p−カルボキシフェンノール)エ
ーテル、1,1−ジカルボキシ−2−フェニルエチレ
ン、1,4−ジカルボキシメチルフェノール、1,3−
ジカルボキシ−5フェニルフェノール、3−スルフォイ
ソフタル酸ソーダ(SIP)等を挙げることができる。
【0016】次にジオールとしては、エチレングリコー
ル、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオ
ール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオ
ール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジ
オール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカン
ジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シク
ロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,1−シク
ロヘキサンジメタノール、カテコール、レゾルシン、ハ
イドロキノン、1,4−ベンゼンジメタノール、ジメチ
ロールナフタレン、p−ヒドロキシエチルオキシベンゼ
ン、ビスフェノールA等を挙げることができる。
【0017】また、必要に応じて、単官能または3以上
の多官能の水酸基含有化合物、あるいは酸含有化合物が
共重合されていてもよい。また、本発明で用いることの
できるポリエステルには、分子内に水酸基とカルボキシ
ル基(あるいはそのエステル)を同時に有するヒドロキ
シカルボン酸を共重合していてもよい。
【0018】これらのジカルボン酸のモノマーの中で、
好ましい芳香族ジカルボン酸として2,6−ナフタレン
ジカルボン酸(NDCA)、テレフタル酸(TPA)、
イソフタル酸(IPA)、オルトフタル酸(OPA)、
パラフェニレンジカルボン酸(PPDC)が好ましく、
さらに2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。ジ
オールは、エチレングリコール(EG)、ポリエチレン
グリコール(PEG)、シクロヘキサンジメタノール
(CHDM)、ネオペンチルグリコール(NPG)、ビ
スフェノールA(BPA)、ビフェノール(BP)が好
ましく、さらにエチレングリコ−ルが好ましい。また、
ヒドロキシカルボン酸としてパラヒドロキシ安息香酸
(PHBA)、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボ
ン酸(HNCA)を用いてもよい。
【0019】これらモノマ−を重合してポリエステルを
形成するが、好ましい例として、ポリエチレンナフタレ
ート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート
(PCT)等のホモポリマー、およびテレフタル酸、ナ
フタレンジカルボン酸とエチレングリコールのコポリマ
ー(テレフタル酸とナフタレンジカルボン酸の混合モル
比は0.9:0.1〜0.1:0.9の間が好ましく、
0.8:0.2〜0.2:0.8が更に好ましい。)、
テレフタル酸とエチレングリコール、ビスフェノールA
のコポリマー(エチレングリコールとビスフェノールA
の混合モル比は0.6:0.4〜0:1.0の間が好ま
しく、更には0.5:0.5〜0:0.9が好まし
い。)、イソフタール酸、パラフェニレンジカルボン
酸、テレフタル酸とエチレングリコールのコポリマー
(イソフタール酸;パラフェニレンジカルボン酸のモル
比はテレフタル酸を1とした時それぞれ0.1〜0.
5、0.1〜0.5、更に好ましくは、それぞれ0.2
〜0.3、0.2〜0.3が好ましい)、テレフタル
酸、ネオペンチルグリコールとエチレングリコールのコ
ポリマー(ネオペンチルグリコールとエチレングリコー
ルのモル比は1:0〜0.7:0.3が好ましく、より
好ましくは0.9:0.1〜0.6:0.4)テレフタ
ル酸、エチレングリコールとビフェノールのコポリマー
(エチレングリコールとビフェノールのモル比は、0:
1.0〜0.8:0.2が好ましく、さらに好ましくは
0.1:0.9〜0.7:0.3である。)、パラヒド
ロキシ安息香酸、エチレングリコールとテレフタル酸の
コポリマー(パラヒドロキシ安息香酸、エチレングリコ
ールのモル比は1:0〜0.1:0.9が好ましく、さ
らに好ましくは0.9:0.1〜0.2:0.8)等の
共重合体が好ましい。以上の中でも特に好ましいのは
2,6−ナフタレンジカルボン酸を含むポリエステルで
ある。具体的には2,6−ナフタレンジカルボン酸を
0.1〜1.0含むポリエステルである。中でも特に好
ましいのはポリエチレン 2,6−ナフタレートであ
る。
【0020】これらのホモポリマーおよびコポリマー
は、従来公知のポリエステルの製造方法に従って合成で
きる。例えば酸成分をグリコール成分と直接エステル化
反応してもよく(直重法)、または酸成分としてジアル
キルエステルを用いて、グリコール成分とエステル交換
反応をし、これを減圧下で加熱して余剰のグリコール成
分を除去してもよい(エステル交換法)、合成すること
ができる。あるいは、酸成分を酸ハライドとしておき、
グリコールと反応させてもよい。この際、必要に応じ
て、エステル交換反応、触媒あるいは重合反応触媒を用
いたり、耐熱安定化剤を添加してもよい。これらのポリ
エステル合成法については、例えば、高分子実験学第5
巻「重縮合と重付加」(共立出版、1980年)第10
3頁〜第136頁、“合成高分子V”(朝倉書店、19
71年)第187頁〜第286頁の記載を参考に行うこ
とができる。
【0021】これらのポリエステルの好ましい平均分子
量の範囲は約5000ないし200000である。さら
に、これらのポリエステルには別の種類のポリエステル
との接着性を向上させるために、別のポリエステルを一
部ブレンドしたり、別のポリエステルを構成するモノマ
ーを共重合させたり、または、これらのポリエステル中
に、不飽和結合を有するモノマーを共重合させ、ラジカ
ル架橋させたりすることができる。得られたポリマーを
2種類以上混合したのポリマーブレンドは、特開昭49
−5482、同64−4325、特開平3−19271
8、リサーチ・ディスクロージャー283,739−4
1、同284,779−82、同294,807−14
に記載した方法に従って、容易に形成することができ
る。
【0022】本発明の支持体に用いることのできるポリ
エステルのガラス転移温度(Tg)は90℃以上である
ことが好ましい。本発明の写真感光材料は、実際色々な
環境条件に晒される。真夏の屋外に駐車した自動車内に
放置されることも予想され、その場合室温は80℃以上
にもなることが知られている。また、Tgが90℃未満
であるポリエステルを支持体として用いると、後端折れ
が生じ、巻き癖の改良効果を認めにくい。このことを考
え、本発明の支持体のTgは90℃以上が好ましい。一
方、透明性を有し、200℃を越える汎用ポリエステル
フイルムは現在まで存在しない。従って本発明に用いる
ことのできるポリエステルのTg温度は、90℃以上2
00℃以下であることが好ましい。
【0023】次に本発明で用いることのできるポリエス
テルの好ましい具体的化合物例を以下に示すが、本発明
がこれに限定されるものではない。 ポリエステル ホモポリマ−例 P−1:〔2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDCA)/エチレングリコー ル(EG)(100/100)〕(PEN) Tg=119℃ P−2:〔テレフタル酸(TPA)/シクロヘキサンジメタノール(CHDM )(100/100)〕 Tg= 93℃ P−3:〔TPA/ビスフェノールA(BPA) (100/100)〕 Tg=192℃ ポリエステル コポリマ−例 P−4: 2,6−NDCA/TPA/EG(50/50/100) Tg= 92℃ P−5: 2,6−NDCA/TPA/EG(75/25/100) Tg=102℃ P−6: 2,6−NDCA/TPA/EG/BPA(50/50/75/ 25) Tg=112℃ P−7: TPA/EG/BPA(100/50/50) Tg=105℃ P−8: TPA/EG/BPA(100/25/75) Tg=135℃ P−9: TPA/EG/CHDM/BPA(100/25/25/50) Tg=115℃
【0024】 P−10:IPA/PPDC/TPA/EG(20/50/30/100) Tg= 95℃ P−11:NDCA/NPG/EG(100/70/30) Tg=105℃ P−12:TPA/EG/BP(100/20/80) Tg=115℃ P−13:PHBA/EG/TPA(200/100/100) Tg=125℃ ポリエステル ポリマ−ブレンド例 P−14:PEN/PET(60/40) Tg= 95℃ P−15:PEN/PET(80/20) Tg=104℃ P−16:PAr/PEN(50/50) Tg=142℃ P−17:PAr/PCT(50/50) Tg=118℃ P−18:PAr/PET(60/40) Tg=101℃ P−19:PEN/PET/PAr(50/25/25) Tg=108℃ P−20:PEN/SIP/EG(99/1/100) Tg=115℃ 但し、上記略称の内容は、 NDCA:2,6−ナフタレンジカルボン酸 TPA :テレフタル酸 IPA :イソフタル酸 OPA :オルトフタル酸 PPDC:パラフェニレンジカルボン酸 EG :エチレングリコール PEG :ポリエチレングリコール CHDM:シクロヘキサンジメタノール NPG :ネオペンチルグリコール BPA :ビスフェノールA BP :ビフェノール PHBA:パラヒドロキシ安息香酸 HNCA:6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸 SIP :スルホイソフタル酸 PCT :ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレ
ート PET :ポリエチレンテレフタレート PAr :ポリアリレート 〔TPA/BPA (10
0/100)〕
【0025】本発明のこれらの支持体は、50μm以上
300μm以下の厚みであることが好ましい。50μm
未満では乾燥時に発生する感光層の収縮応力に耐えるこ
とができず、一方300μmを越えるとコンパクト化の
ために厚みを薄くしようとする目的と矛盾する。より好
ましくはその腰の強さから厚い方が好ましく50〜20
0μmであり、更には80〜115μmが好ましく、特
に好ましくは85〜〜105μmである。以上のような
ポリエステルは、全てTACよりも強い曲弾性率を有
し、当初の目的であるフィルムの薄手化を実現可能であ
った。しかし、これらの中でも強い曲弾性を有している
のがPET、PENであり、これを用いるとTACで1
22μm必要だった膜厚を105μm以下にまで薄くす
ることが可能である。特に、ナフタレンジカルボン酸と
エチレングリコールを主成分とするポリエステルを重量
比で30%以上含有する支持体が、力学的強度に優れ、
且つ優れた巻き癖改良効果も認められ、好ましく用いる
ことができる。
【0026】本発明においては、支持体を熱処理するこ
とにより、スプールの小型化に伴う経時保存中に発生す
る強い巻き癖を軽減する効果を得ることができる。本発
明における巻き癖軽減効果は、外径5〜11mmのスプ
ールに巻き込まれるロール状感光材料において、特に有
効である。熱処理温度は50℃以上Tg未満、より好ま
しくは(Tg−20℃)以上Tg未満で熱処理を行う。
50℃未満で行うと十分な巻き癖効果を得るためには長
時間を要し工業生産性が劣る。熱処理はこの温度範囲内
の一定温度で実施してもよく、冷却しながら熱処理して
もよい。冷却の平均冷却速度は−0.01〜−20℃/
時間、より好ましくは−0.1〜−5℃/時間である。
この熱処理時間は、0.1時間以上1500時間以下、
さらに好ましくは0.5時間以上200時間以下であ
る。0.1時間以下では十分な効果を得ることができ
ず、1500時間以上では効果が飽和する一方、支持体
の着色や脆化が起こりやすくなる。
【0027】巻き癖解消の効果をより一層増大させるに
は、この熱処理の前にTg以上融点(DSCで求めた融
解温度)未満の温度で熱処理をし、支持体の熱履歴を消
去させた後、上記50℃以上Tg未満の温度で再熱処理
を行うとよい。本発明では、この熱処理を「前熱処理」
と呼び、前項で述べた50℃以上Tg未満の熱処理を
「後熱処理」と呼び区別する。前熱処理温度はTg以上
融点未満、さらに好ましくは(Tg+20℃)以上結晶
化温度(DSCで求めた結晶化温度)以下で行うのがよ
い。融点以上の温度で前熱処理を行うと、支持体の弾性
が著しく低下することにより面状や搬送性に問題が生じ
る。前熱処理はこの温度範囲内で、一定温度で実施して
もよく(定温前熱処理)、降温しながら実施してもよく
(降温前熱処理)、また昇温しながら実施してもよい
(昇温前熱処理)。前熱処理の時間は、0.1分以上1
500時間以下、さらに好ましくは1分以上1時間以下
である。0.1分以下では十分な効果を得ることができ
ず、1500時間以上では効果が飽和する一方で、支持
体の着色や脆化が起こりやすくなるこの前熱処理の後、
後熱処理を実施するが、前熱処理終了温度から後熱処理
開始温度にまで急速冷却してもよく、Tgをまたいで徐
々に後熱処理開始温度にまで冷却してもよい。また一度
室温に冷却した後、後熱処理温度に上昇させてもよい。
これらの前熱処理と後熱処理の方法の組み合わせは幾つ
かあるが、(Tg+20℃)以上結晶化温度以下で定温
前熱処理をした後、Tgから(Tg−20℃)の温度範
囲まで冷却速度−0.1〜−5℃/時間で冷却しながら
後熱処理するのが好ましい。
【0028】このような支持体の熱処理は、ロ−ル状で
実施してもよく、またウェブ状で搬送しながら実施して
もよい。ロ−ル状で熱処理する場合、 ロ−ルを室温か
ら恒温槽中で熱処理する方法、ウェブ搬送中に所定温度
にした後ロ−ル状に巻取り熱処理する方法のいずれの方
法で実施してもよい。前者の方法は昇温、降温に時間を
要するが、設備投資が少なくて済む利点がある。後者の
方法は高温での巻取り設備が必要だが昇温時間を省略で
きる利点がある。ロ−ル状での熱処理では、熱処理中に
発生する熱収縮応力のために、巻締まりによるしわや、
巻芯部の切り口写り等の面状故障が発生しやすい。この
ため、表面に凹凸を付与し(例えばSnO2やSb25
等の導電性無機微粒子を塗布する)、支持体間のきしみ
を低減させることで巻締まりによるしわを防止したり、
支持体の端部にロ−レットを付与し端部のみ少し高くす
ることで巻芯部の切り口写りを防止するなどの工夫を行
うことが望ましい。一方、ウェブ状で熱処理する場合、
長大な後熱処理工程を必要とするが、ロ−ル状での熱処
理に比べて良好な支持体面状が得られる。これらの熱処
理方法の中で、前熱処理をウェブ状で行い、後熱処理を
ロール状で行うのが好ましい。前熱処理をウェブ状で行
うと、ロ−ル状で行った場合に比べ面状故障が起きにく
く、後熱処理は比較的長時間を要するためである。
【0029】これらの熱処理は支持体製膜後、グロ−放
電処理後、バック層塗布後(帯電防止剤、滑り剤等)、
下塗り塗布後のどこの段階で実施してもよい。好ましい
のは帯電防止剤塗布後である。これにより熱処理中の支
持体の面状故障となる帯電によるゴミの付着を防ぐこと
ができる。さらにまた本発明に用いることができるポリ
エステルを熱処理する方法において、時間を短縮するた
めに、予めTg以上に短時間加熱(好ましくはTg+2
0℃以上100℃以下の温度で5分〜3時間処理する)
することが好ましい。さらに熱処理で用いられるロール
巻き芯は、そのフィルムへの温度伝播が効率よくいくた
めに中空かないしは加熱出来るように、電気ヒーター内
蔵または高温液体を流液できるような構造を有するもの
が好ましい。ロール巻き芯の材質は特に限定されない
が、熱による強度ダウンや変形のないものが好ましく、
例えばステンレス,アルミニウム、ガラスファイバー入
り樹脂を挙げることが出来る。また、これらの巻芯上
に、必要に応じて、ゴムや樹脂をライニングしてもよ
い。このような後熱処理により、DSC測定を行うと、
Tgを跨いだ所に吸熱ピークが現れる。ここでのガラス
転移温度(Tg)とは、示差熱分析計(DSC)を用
い、サンプルフィルム10mgをチッ素気流中、20℃
/分で昇温していった時、ベースラインから偏奇しはじ
める温度と新たなベースラインに戻る温度の算術平均温
度を意味する。
【0030】本発明の支持体上に写真層(感光性ハロゲ
ン化銀乳剤層、中間層、フィルター層、保護層、導電性
層、バック層)を強固に接着させるために、グロー放電
処理、紫外線処理、火炎処理、活性プラズマ処理、コロ
ナ放電処理、高周波処理、混酸処理、オゾン酸化処理、
等の表面活性化処理をした後、直接写真層を塗布して接
着力を得てもよいし、一旦これらの表面処理をした後、
あるいは表面処理無しで下塗り層を設け、この上に写真
層を設けてもよい。好ましいのは、グロー放電処理、紫
外線処理、火炎処理、コロナ放電処理をした後、下塗り
層を設けその上に写真層を設ける方法である。
【0031】グロー放電処理する際の放電雰囲気ガス組
成は、特開昭59−556430号に記載された、放電
開始後に支持体自身が放電処理を受けることにより容器
内に発生する気体種だけでもよいが、特願平5−199
704号記載の水蒸気の存在下でグロー放電処理を実施
する方が好ましい。水蒸気分圧は、10%以上100%
以下が好ましく、更に好ましくは40%以上90%以下
である。水蒸気以外のガスは酸素、窒素等からなる空気
である。このようなグロー放電の処理雰囲気中に水蒸気
を定量的に導入する方法は、グロー放電処理装置に取付
けたサンプリングチューブからガスを4極子型質量分析
器(日本真空製MSQ−150)に導き、組成を定量し
ながら行うことで達成できる。
【0032】表面処理すべき支持体を予め加熱した状態
でグロー放電処理を行うと、短時間の処理で接着性が向
上し、また支持体の黄色化を大幅に減少させることがで
きる。予熱温度は50℃以上Tg以下が好ましく、70
℃以上Tg以下がより好ましく、90℃以上Tg以下が
さらに好ましい。真空中でポリマー表面温度を上げる具
体的方法としては、赤外線ヒータによる加熱、熱ロール
に接触させることによる加熱等がある。グロー放電処理
は特願平5−147864号記載の放電電極並びに放電
処理装置を用いて行うのが好ましい。グロー放電処理時
の真空度は0.005〜20Torrが好ましく、より好ま
しくは0.02〜2Torrである。また、電圧は500〜
5000Vの間が好ましく、より好ましくは500〜3
000Vである。使用する放電周波数は、直流から数1
000MHz、より好ましくは50Hz〜20MHz、
さらに好ましくは1KHz〜1MHzである。放電処理
強度は、0.01KV・A・分/m2〜5KV・A・分/
m2が好ましく、より好ましくは0.15KV・A・分/
m2〜1KV・A・分/m2である。グロー放電処理を施こ
した支持体は、直ちに特開平3−39106号記載の方
法で冷却ロールを用いて温度を下げることが好ましい。
これにより高温での外力による塑性変形に起因した平面
性の悪化や、低分子量体(モノマー、オリゴマー等)の
支持体表面への析出に起因した透明性や耐ブロッキング
性の悪化を防ぐことができる。
【0033】紫外線照射処理は、特公昭43−2603
号、特公昭43−2604号、特公昭45−3828号
記載の処理方法によって行われるのが好ましい。水銀灯
は石英管からなる高圧水銀灯で、紫外線の波長が220
〜380nmの間であるものが好ましい。紫外線照射は
支持体の延伸工程、熱固定時、熱固定後の何れでもよ
い。紫外線照射の方法については、光源は被支持体の表
面温度が150℃前後にまで上昇することが支持体性能
上問題なければ、主波長が365nmの高圧水銀灯ラン
プを使用することができる。低温処理が必要とされる場
合には主波長が254nmの低圧水銀灯が好ましい。ま
たオゾンレスタイプの高圧水銀ランプ、及び低圧水銀ラ
ンプを使用する事も可能である。処理光量に関しては処
理量が多いほど支持体と被接着層との接着力は向上する
が、光量の増加に伴い支持体が着色し、また支持体が脆
くなるという問題が発生する。従って、通常のポリエス
テル、ポリオレフィン等のプラスチックフィルムには、
365nmを主波長とする高圧水銀ランプで、照射光量
20〜10000(mJ/cm2)がよく、より好ましく
は50〜2000(mJ/cm2)である。254nmを
主波長とする低圧水銀ランプの場合には、照射光量10
0〜10000(mJ/cm2)がよく、より好ましくは
300〜1500(mJ/cm2)である。
【0034】火炎処理の方法は天然ガスでも液化プロパ
ンガスでもかまわないが、空気との混合比が重要であ
る。プロパンガスの場合は、プロパンガス/空気の好ま
しい混合比は、容積比で1/14〜1/22、好ましく
は1/16〜1/19である。また、天然ガスの場合
は、1/6〜1/10、好ましくは1/7〜1/9であ
る。火炎処理量は1〜50Kcal/m2、より好ましくは3
〜20Kcal/m2の範囲で行うとよい。またバーナーの内
炎の先端と支持体の距離を4cm未満にするとより効果
的である。処理装置は春日電気(株)製フレーム処理装
置を用いることができる。また、火炎処理時に支持体を
支えるバックアップロールは中空型ロールであり、冷却
水を通して水冷し、常に一定温度で処理するのがよい。
【0035】コロナ放電処理はPillar社製ソリッ
ドステートコロナ処理機6KVAモデルを用いることが
できる。処理時の放電周波数は、5〜40KHz、より
好ましくは10〜30KHzである。また波形は交流正
弦波が好ましい。電極と誘電体ロールのギャップクリア
ランスは1〜2mm、より好ましくは1.4〜1.6m
mである。また処理量は、0.3〜0.4KV・A・分
/m2、より好ましくは0.34〜0.38KV・A・分
/m2である。
【0036】また、これらのポリマーフィルム中に経時
安定性付与の目的で紫外線吸収剤を、練り込んでも良
い。紫外線吸収剤としては、可視領域に吸収を持たない
ものが望ましく、かつその添加量はポリマーフィルムの
重量に対して通常0.5重量%ないし20重量%、好ま
しくは1重量%ないし10重量%程度である。0.5重
量%未満では紫外線劣化を抑える効果を期待できない。
紫外線吸収剤としては2,4−ジヒドロキシベンゾフェ
ノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、
4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、
2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノ
ン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベ
ンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、2−(2′−ヒ
ドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル
フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキ
シ−3′−ジ−t−ブチル−5′−メチルフェニル)ベ
ンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、サリチル
酸フェニル、サリチル酸メチル等のサリチル酸系紫外線
収剤が挙げられる。
【0037】ポリエステル、特に芳香族系ポリエステル
の屈折率は、1.6〜1.7と高いのに対し、この上に
塗設する感光層の主成分であるゼラチンの屈折率は1.
50〜1.55とこの値より小さいので、光がフィルム
エッジから入射した時、ベースと乳剤層の界面で反射し
ていわゆるライトパイピング現象(縁被り)を起こす。
この様なライトパイピング現象を回避するため、フィ
ルムに不活性無機粒子等を含有させる方法ならびに染料
を添加する方法等が知られている。染料添加による方法
はフィルムヘイズを著しく増加させないので好ましい。
フィルム染色に使用する染料については、色調は感光材
料の一般的な性質上グレー染色が好ましく、ポリエステ
ルフィルムの製膜温度域での耐熱性に優れ、かつポリエ
ステルとの相溶性に優れたものが好ましい。染料として
は、上記の観点から三菱化成製のDiaresin、日
本化薬製のKayaset等ポリエステル用として市販
されている染料を混合することにより目的を達成するこ
とが可能である。
【0038】本発明で用いることのできるポリエステル
フィルムは、用途に応じて易滑性を付与することも可能
であり、不活性無機化合物の練り込み、あるいは界面活
性剤の塗布等が一般的手法として用いられる。かかる不
活性無機粒子としてはSiO2、TiO2、BaSO4
CaCO3、タルク、カオリン等が例示される。また、
上記のポリエステル合成反応系に不活性な粒子を添加す
る外部粒子系による易滑性付与以外にポリエステルの重
合反応時に添加する触媒等を析出させる内部粒子系によ
る易滑性付与方法も採用可能である。外部粒子系として
はポリエステルフィルムと比較的近い屈折率をもつSi
2、あるいは析出する粒子径を比較的小さくすること
が可能な内部粒子系を選択することが望ましい。更に
は、練り込みによる場合、よりフィルムの透明性を得る
ために機能付与した層を積層する方法も好ましい。この
手段としては具体的には複数の押し出し機ならびにフィ
ードブロック、あるいはマルチマニフォールドダイによ
る共押出し法が例示される。
【0039】本発明の帯電防止剤として最も好ましい物
は、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23
SiO2、MgO、BaO、MoO3、V25の中から選
ばれた少なくとも1種の結晶性の金属酸化物或いはこれ
らの複合酸化物の微粒子である。この中で特に好ましい
物は、SnO2を主成分とし酸化アンチモン約5〜20
%含有させ及び/又はさらに他成分(例えば酸化珪素、
ホウ素、リンなど)を含有させた導電性材料である。こ
れらの導電性の結晶性酸化物、或いはその複合酸化物の
微粒子はその体積抵抗率が1×107Ωcm以下、より
好ましくは1×105Ωcm以下である。またその粒子
サイズは0.002〜0.7μm、特に0.005〜
0.3μmであることが望ましい。この導電性を有する
層は、該支持体に対して、ハロゲン化銀乳剤層側にあっ
てもよいし、ハロゲン化銀乳剤層と反対側のバック層に
あってもよい。その際用いられるバインダーは特に限定
されず、水溶性でもよく有機溶剤性バインダーでもよ
く、あるいはラテックスのように架橋されていてもよ
い。得られた帯電防止層の体積抵抗は1×1012Ω〜1
×103Ω、より好ましくは1×1010Ω〜1×103Ω
であり、さらには1×109Ω〜1×103Ωが好まし
い。
【0040】次に本発明の写真感光材料の写真層につい
て記載する。ハロゲン化銀乳剤層としては、カラー用、
黒白用の何れでもよい。ここではカラーハロゲン化銀写
真感光材料について説明する。本発明の感光材料は、支
持体上に青感色性層、緑感色性層、赤感色性層のハロゲ
ン化銀乳剤層の少なくとも1層が設けられていればよ
く、ハロゲン化銀乳剤層および非感光性層の層数および
層順に特に制限はない。典型的な例としては、支持体上
に、実質的に感色性は同じであるが感光度の異なる複数
のハロゲン化銀乳剤層から成る感光性層を少なくとも1
つ有するハロゲン化銀写真感光材料であり、該感光性層
は青色光、緑色光、および赤色光の何れかに感色性を有
する単位感光性層であり、多層ハロゲン化銀カラー写真
感光材料においては、一般に単位感光性層の配列が、支
持体側から順に赤感色性層、緑感色性層、青感色性層の
順に設置される。しかし、目的に応じて上記設置順が逆
であっても、また同一感色性層中に異なる感光性層が挟
まれたような設置順をもとりえる。上記、ハロゲン化銀
感光性層の間および最上層、最下層には各層の中間層等
の非感光性層を設けてもよい。該中間層には、特開昭6
1−43748号、同59−113438号、同59−
113440号、同61−20037号、同61−20
038号明細書に記載されているようなカプラー、DI
R化合物等が含まれていてもよく、通常用いられるよう
に混色防止剤を含んでいてもよい。各単位感光性層を構
成する複数のハロゲン化銀乳剤層は、西独特許第1,1
21,470号あるいは英国特許第923,045号、
特開昭57−112751号、同62−200350
号、同62−206541号、同62−206543
号、同56−25738号、同62−63936号、同
59−202464号、特公昭55−34932号、同
49−15495号明細書に記載されている。ハロゲン
化銀粒子は、立方体、八面体、十四面体のような規則的
な結晶を有するもの、球状、板状のような変則的な結晶
形を有するもの、双晶面などの結晶欠陥を有するもの、
あるいはそれらの複合形でもよい。
【0041】ハロゲン化銀の粒径は、約0.2μm以下
の微粒子でも投影面積直径が約10μmに至るまでの大
サイズ粒子でもよく、多分散乳剤でも単分散乳剤でもよ
い。本発明に使用できるハロゲン化銀写真乳剤は、例え
ばリサーチ・ディスクロージャー(RD)No. 1764
3(1978年12月)、22〜23頁、“I.乳剤製
造(Emulsion preparation and types)" 、および同No.
18716(1979年11月)、648頁、グラフキ
デ著「写真の物理と化学」、ポールモンテル社刊(P. G
lafkides, Chemie et Phisique Photographique, Paul
Montel, 1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フ
ォーカルプレス社刊 (G. F. Duffin,Photographic Emul
sion Chemistry (Focal Press, 1966)、ゼリクマ
ンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社
刊(V. L. Zelikman et al., Making and Coating Phot
ographic Emulsion, Focal Press, 1964)などに記
載された方法を用いて調製することができる。米国特許
第3,574,628号、同3,655,394号およ
び英国特許第1,413,748号などに記載された単
分散乳剤も好ましい。また、アスペクト比が約5以上で
あるような平板状粒子も本発明に使用できる。平板状粒
子は、ガトフ著、フォトグラフィック・サイエンス・ア
ンド・エンジニアリング(Gutoff, Photographic Scienc
e and Engineering)、第14巻、248〜257頁(1
970年);米国特許第4,434,226号、同4,
414,310号、同4,433,048号、同4,4
39,520号および英国特許第2,112,157号
などに記載の方法により簡単に調製することができる。
結晶構造は一様なものでも、内部と外部とが異質なハロ
ゲン組成からなるものでもよく、層状構造をなしていて
もよい。また、エピタキシャル接合によって組成の異な
るハロゲン化銀が接合されていてもよく、また例えばロ
ダン銀、酸化鉛などのハロゲン化銀以外の化合物と接合
されていてもよい。また種々の結晶形の粒子の混合物を
用いてもよい。
【0042】ハロゲン化銀乳剤は、通常、物理熟成、化
学熟成および分光増感を行ったものを使用する。本発明
の効率は、金化合物と含イオウ化合物で増感した乳剤を
使用したときに特に顕著に認められる。このような工程
で使用される添加剤はリサーチ・ディスクロージャー N
o.17643および同 No.18716に記載されてお
り、その該当個所を後掲の表にまとめた。本発明に使用
できる公知の写真用添加剤も上記の2つのリサーチ・デ
ィスクロージャーに記載されており、下記の表に関連す
る記載個所を示した。
【0043】 (添加剤種類) (RD17643) (RD18716) 1 化学増感剤 23頁 648頁右欄 2 感度上昇剤 同上 3 分光増感剤、強色増感剤 23〜24頁 648頁右欄〜 649頁右欄 4 増 白 剤 24頁 5 かぶり防止剤および安定剤 24〜25頁 649頁右欄〜 6 光吸収剤、フィルター染料、 紫外線吸収剤 25〜26頁 649頁右欄〜 650頁左欄 7 ステイン防止剤 25頁右欄 650頁左〜右欄 8 色素画像安定剤 25頁 9 硬 膜 剤 26頁 651頁左欄 10 バインダー 26頁 同上 11 可塑剤、潤滑剤 27頁 650頁右欄 12 塗布助剤、表面活性剤 26〜27頁 650頁右欄 また、ホルムアルデヒドガスによる写真性能の劣化を防
止するために、米国特許4,411,987号、や同
4,435,503号に記載されたホルムアルデヒドと
反応して、固定化できる化合物を感光材料に添加するこ
とが好ましい。
【0044】本発明には種々のカラーカプラーを使用す
ることができ、その具体例は前出のリサーチ・ディスク
ロージャー(RD) No.17643、VII −C〜Gに記
載された特許に記載されている。イエローカプラーとし
ては、例えば米国特許第3,933,501号、同4,
022,620号、同4,326,024号、同4,4
01,752号、同4,248,961号、特公昭58
−10739号、英国特許第1,425,020号、同
1,476,760号、米国特許第3,973,968
号、同4,314,023号、同4,511,649
号、欧州特許第249,473A号等に記載のものが好
ましい。マゼンタカプラーとしては5−ピラゾロン系及
びピラゾロアゾール系の化合物が好ましく、米国特許第
4,310,619号、同4,351,897号、欧州
特許第73,636号、米国特許第3,061,432
号、同3,725,067号、リサーチ・ディスクロー
ジャーNo. 24220(1984年6月)、特開昭60
−33552号、リサーチ・ディスクロージャーNo. 2
4230(1984年6月)、特開昭60−43659
号、同61−72238号、同60−35730号、同
55−118034号、同60−185951号、米国
特許第4,500,630号、同4,540,654
号、同4,556,630号、WO(PCT)88/0
4795号等に記載のものが特に好ましい。
【0045】シアンカプラーとしては、フェノール系及
びナフトール系カプラーが挙げられ、米国特許第4,0
52,212号、同4,146,396号、同4,22
8,233号、同4,296,200号、同2,36
9,929号、同2,801,171号、同2,77
2,162号、同2,895,826号、同3,77
2,002号、同3,758,308号、同4,33
4,011号、同4,327,173号、西独特許公開
第3,329,729号、欧州特許第121,365A
号、同249,453A号、米国特許第3,446,6
22号、同4,333,999号、同4,753,87
1号、同4,451,559号、同4,427,767
号、同4,690,889号、同4,254,212
号、同4,296,199号、特開昭61−42658
号等に記載のものが好ましい。発色色素の不要吸収を補
正するためのカラード・カプラーは、リサーチ・ディス
クロージャーNo. 17643のVII −G項、米国特許第
4,163,670号、特公昭57−39413号、米
国特許第4,004,929号、同4,138,258
号、英国特許第1,146,368号に記載のものが好
ましい。発色色素が過度な拡散性を有するカプラーとし
ては、米国特許第4,366,237号、英国特許第
2,125,570号、欧州特許第96,570号、西
独特許(公開)第3,234,533号に記載のものが
好ましい。ポリマー化された色素形成カプラーの典型例
は、米国特許第3,451,820号、同4,080,
211号、同4,367,282号、同4,409,3
20号、同4,576,910号、英国特許2,10
2,137号等に記載されている。
【0046】カップリングに伴って写真的に有用な残基
を放出するカプラーもまた本発明で好ましく使用でき
る。現像抑制剤を放出するDIRカプラーは、前述のR
D17643、VII 〜F項に記載された特許、特開昭5
7−151944号、同57−154234号、同60
−184248号、同63−37346号、米国特許第
4,248,962号に記載されたものが好ましい。現
像時に画像状に造核剤もしくは現像促進剤を放出するカ
プラーとしては、英国特許第2,097,140号、同
2,131,188号、特開昭59−157638号、
同59−170840号に記載のものが好ましい。その
他、本発明の感光材料に用いることのできるカプラーと
しては、米国特許第4,130,427号等に記載の競
争カプラー、米国特許第4,283,472号、同4,
338,393号、同4,310,618号等に記載の
多当量カプラー、特開昭60−185950号、特開昭
62−24252号等に記載のDIRレドックス化合物
放出カプラー、DIRカプラー放出カプラー、DIRカ
プラー放出レドックス化合物もしくはDIRレドックス
放出レドックス化合物、欧州特許第173,302A号
に記載の離脱後復色する色素を放出するカプラー、R.
D.No. 11449、同No. 24241、特開昭61−
201247号等に記載の漂白促進剤放出カプラー、米
国特許第4,553,477号等に記載のリガンド放出
するカプラー、特開昭63−75747号に記載のロイ
コ色素を放出するカプラー等が挙げられる。本発明に使
用するカプラーは、種々の公知分散方法により感光材料
に導入できる。
【0047】水中油滴分散法に用いられる高沸点溶媒の
例は米国特許第2,322,027号などに記載されて
いる。水中油滴分散法に用いられる常圧での沸点が17
5℃以上の高沸点有機溶剤の具体例としては、フタル酸
エステル類、リン酸またはホスホン酸のエステル類、安
息香酸エステル類、アミド類、アルコール類またはフェ
ノール類、脂肪族カルボン酸エステル、アニリン誘導
体、炭化水素類などが挙げられる。また補助溶剤として
は、沸点が約30℃以上、好ましくは50℃以上約16
0℃以下の有機溶剤などが使用でき、典型例としては酢
酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、メチルエ
チルケトン、シクロヘキサノン、2−エトキシエチルア
セテート、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。ラ
テックス分散法の工程、効果および含浸用のラテックス
の具体例は、米国特許第4,199,363号、西独特
許出願(OLS)第2,541,274号および同2,
541,230号などに記載されている。本発明の感光
材料は乳剤層を有する側の全親水性コロイド層の膜厚の
総和が28μm以下であり、かつ、膜膨潤速度T1/2
30秒以下が好ましい。膜厚は、25℃相対湿度55%
調湿下(2日)で測定した膜厚を意味し、膜膨潤速度T
1/2は、当該技術分野において公知の手法に従って測定
することができる。例えばエー・グリーン(A. Green)ら
によりフォトグラフィック・サイエンス・アンド・エン
ジニアリング(Photogr. Sci. Eng.)、19巻、2号、1
24〜129頁に記載の型のスエロメーター(膨潤計)
を使用することにより測定でき、T1/2は発色現像液で
30℃、3分15秒処理した時に到達する最大膨潤膜厚
の90%を飽和膜厚とし、このT1/2の膜厚に到達する
までの時間と定義する。膜膨潤速度T1/2は、バインダ
ーとしてのゼラチンに硬膜剤を加えること、あるいは塗
布後の経時条件を変えることによって調整することがで
きる。また、膨潤率は150〜400%が好ましい。膨
潤率とは、さきに述べた条件下での最大膨潤膜厚から、
式:(最大膨潤膜厚−膜厚)/膜厚に従って計算でき
る。
【0048】本発明に従ったカラー写真感光材料は、前
述のRD. No. 17643の28〜29頁及び同No. 1
8716の615左欄〜右欄に記載された通常の方法に
よって現像処理する事が出来る。本発明のハロゲン化銀
カラー感光材料には処理の簡略化及び迅速化の目的で発
色現像主薬を内蔵しても良い。内蔵するためには、発色
現像主薬の各種プレカーサーを用いるのが好ましい。例
えば米国特許第3,342,597号のインドアニリン
系化合物、同3,342,599号、リサーチ・ディス
クロージャーNo.14850号及び同No. 15159号
記載のシッフ塩基型化合物、同No. 13924号に記載
されている。
【0049】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明す
るが、本発明はこれに限定される物ではない。 実施例1 1)支持体の作成 PETチップおよびPENチップを溶融押し出しした
後、縦方向に3.4倍、横方向に4倍の延伸を施し、厚
み80μmの2軸延伸ポリエステルフィルムを製造する
に際し、縦延伸ゾーンの片面(本実施例ではキャスティ
ングドラムに接した面:以下CD面と称する)に補助加
熱源として赤外線ヒーターを設置した。PENは、押し
出し温度300℃、縦延伸温度(CD面側)140℃、
横延伸温度130℃、熱固定250℃6秒間で表Aに示
す水準1〜10の支持体を製膜した。一方PETは、押
し出し温度270℃、縦延伸温度(CD面側)100
℃、横延伸温度110℃、熱固定220℃6間秒で表A
に示す水準13の支持体を製膜した。用いるPEN、P
ETのペレットを予め150℃で4時間乾燥した後、表
Aの水準11〜12に示すような混合比で2軸混練押し
出し機を用い280℃で押し出した後ペレット化した。
このポリエステル100重量部と、ポリエステル厚み8
5μmで吸光度(400nm)が0.05となるように
染料Diaresin(三菱化成製)を添加し、常法に
より乾燥した後、300℃で溶融後、T型ダイから押し
出しTg+30℃で3.3倍の延伸を行い、続いてTg
+20℃で3.3倍の横延伸を行い、さらに250℃で
6秒間熱固定し、表Aに示す厚みの水準11〜12の支
持体を得た。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】2)支持体の熱処理と表面処理 上記の方法で製膜した支持体を表Aの条件で熱処理をし
た。熱処理は全て直径30cmの巻き芯に下塗り面を外
側にして実施した。比較例として熱処理を施さないもの
を支持体9とした。
【0053】この後支持体1〜13の両面に以下のグロ
ー放電処理を行った。断面が直径2cmの円柱状の長さ
40cmの棒状電極を10cm間隔に4本絶縁板上に固
定した。この電極板を真空タンク内に固定し、この電極
面から15cm離れ、電極面に正対するように厚さ80
μm幅30cmの2軸延伸フィルムを2秒間の表面処理
が行われるように走行させた。フィルムが電極を通過す
る直前に、フィルムが直径50cmの温度コントローラ
ー付き加熱ロールに3/4周接触するように加熱ロール
を配置し、さらに加熱ロールと電極ゾーンの間のフィル
ム面に熱電対温度計を接触させることによりフィルム面
温度を115℃にコントロールした。真空槽内の圧力は
0.2Torr、雰囲気気体中のH2O分圧は75%で行っ
た。放電周波数は30KHz、出力2500W、処理強
度は0.5KV・A・分/m2で行った。真空グロー放電電
極は特願平5−147864記載の方法に従った。
【0054】3)下塗り層(乳剤層側)の塗設 支持体1〜13に下記組成の下塗り液を10ml/m2塗布
し、115℃で2分間乾燥し巻き取った。 ・ゼラチン 10 重量部 ・サリチル酸 3 重量部 ・特開昭51−3619号記載 0.5 重量部 合成例1 ポリアマイド−エピクロルヒドリン樹脂 ・ポリ(重合度10)オキシエチレンノニルフェニルエーテル 1.0 重量部 ・水 24 重量部 ・メタノール 961 重量部 この下塗面上に後述の感光層を塗設した。
【0055】4)バック層の塗設 下塗り後の支持体1〜13の下塗り層を設けた側とは反
対側の面に、下記組成のバック処方を塗設した。 (4−1)バック第一層の塗設 下記組成のバック処方をワイヤーバーを用いて5ml/m2
塗布し、115℃で2分間乾燥後巻き取った。 ・ゼラチン 1.0 重量部 ・蒸留水 1.0 重量部 ・酢酸 1.0 重量部 ・メタノール 50.0 重量部 ・エチレンジクロライド 50.0 重量部 ・p−クロロフェノール 4.0 重量部 (4−2)バック第2層の塗設 塩化第2スズ水和物230重量部と三塩化アンチモン2
3重量部をエタノール3000重量部に溶解し均一溶液
を得た。この溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液を前記
溶液がPH3になるまで滴下し、コロイド状酸化第2ス
ズと酸化アンチモンの共沈澱物を得た。得られた共沈澱
物を50℃に24時間放置し、赤褐色のコロイド状沈澱
物を得た。赤褐色コロイド状沈澱物を遠心分離により分
離した。過剰なイオンを除くため沈澱物に水を加え遠心
分離によって水洗した。この操作を3回繰り返し過剰イ
オンを除去した。過剰イオンを除去したコロイド状沈澱
物200重量部を水1500重量部に再分散し、500
℃に加熱した焼成炉に噴霧し、青みがかった平均粒径
0.005μmの酸化第二スズ一酸化アンチモン複合物
の微粒子を得た。この微粒子粉末の抵抗率は25Ω・c
mであった。上記微粉末40重量部と水60重量部の混
合液をPH7.0に調整し、攪拌機で粗分散の後、横型
サンドミル(ダイノミル、Willy A. Backfen AG製)
で滞留時間が30分になるまで分散し、一次粒子が一部
凝集した二次凝集体として平均粒径が0.05μmにな
る分散液を調製した。
【0056】下記処方を乾燥膜厚が0.3μmになるよ
うに塗布し、110℃で30秒間乾燥した。 ・上記導電性微粒子分散液(SnO2/Sb23、0.10μm)10重量部 ・ゼラチン(Ca++を100ppm含有した石灰処理ゼラチン) 1重量部 ・水 27重量部 ・メタノール 60重量部 ・レゾルシン 2重量部 ・ポリ(重合度10)オキシエチレンノニルフェニルエーテル 0.01重量部 (4−3)バック第3層の塗設 下記処方の液を乾燥膜厚が1.2μmになるように塗布
した。乾燥は110℃で行った。 ・ジアセチルセルロース 100 重量部 ・トリメチロールプロパン−3−トルエンジイソシアネート 25 重量部 ・トリエチルケトン 1050 重量部 ・シクロヘキサノン 1050 重量部
【0057】(4−4)バック第4層(滑り層)の塗設 下記の1液を90℃加温溶解し、2液に添加後、高圧ホ
モジナイザーで分散し滑り分散原液とした。 1液 C613CH(OH)(CH210COOC4061 0.7 g n−C50101O(CH2CH2O)16H 1.1 g キシレン 2.5 g 2液 プロピレングリコールモノメチルエーテル 34.0 g 上記滑り分散原液に下記のバインダー、溶剤を加え塗布
液とした。 ジアセチルセルロース 3.0 g アセトン 600.0 g シクロヘキサノン 350.0 g 滑り塗布液は10cc/m2 の塗布量でワイヤーバーコ
ートした。
【0058】5)感光材料の調整 下塗りを施した支持体上(バック層とは反対側)に、下
記に示すような組成の各層を重層塗布し、多層カラー感
光材料である試料を作成した。 (感光層組成)各層に使用する素材の主なものは下記の
ように分類されている; C:カプラー U:紫外線吸収剤 Oil:高沸点有機溶剤 H:ゼラチン硬化剤 S:増感色素 各成分に対応する数字は、g/m2単位で表した塗布量を
示し、ハロゲン化銀については、銀換算の塗布量を示
す。ただし増感色素については、同一層のハロゲン化銀
1モルに対する塗布量をモル単位で示す。
【0059】第1層(ハレーション防止層) 黒色コロイド銀 銀 0.09 ゼラチン 1.60 C−9 0.12 D−1 2.0×10-3 固体分散染料D−2 0.030 固体分散染料D−3 0.040 Oil−1 0.15 Oil−2 0.02
【0060】第2層(中間層) 沃臭化銀乳剤M 銀 0.065 C−2 0.04 ポリエチルアクリレートラテックス 0.20 ゼラチン 1.04
【0061】第3層(低感度赤感乳剤層) 沃臭化銀乳剤A 銀 0.25 沃臭化銀乳剤B 銀 0.25 S−1 6.9×10-5 S−2 1.8×10-5 S−3 3.1×10-4 C−1 0.17 C−3 0.030 C−4 0.10 C−5 0.020 C−6 0.010 Cpd−2 0.025 Oil−1 0.10 ゼラチン 0.87
【0062】第4層(中感度赤感乳剤層) 沃臭化銀乳剤C 銀 0.70 S−1 3.5×10-4 S−2 1.6×10-5 S−3 5.1×10-4 C−1 0.13 C−2 0.060 C−3 0.0070 C−4 0.090 C−5 0.015 C−6 0.0070 Cpd−2 0.023 Oil−1 0.10 ゼラチン 0.75
【0063】第5層(高感度赤感乳剤層) 沃臭化銀乳剤D 銀 1.40 S−1 2.4×10-4 S−2 1.0×10-4 S−3 3.4×10-4 C−1 0.10 C−3 0.045 C−6 0.020 C−7 0.010 Cpd−2 0.050 Oil−1 0.22 Oil−2 0.050 ゼラチン 1.10
【0064】第6層(中間層) Cpd−1 0.090 固体分散染料D−4 0.030 Oil−1 0.050 ポリエチルアクリレートラテックス 0.15 ゼラチン 1.10
【0065】第7層(低感度緑感乳剤層) 沃臭化銀乳剤E 銀 0.15 沃臭化銀乳剤F 銀 0.10 沃臭化銀乳剤G 銀 0.10 S−4 3.0×10-5 S−5 2.1×10-4 S−6 8.0×10-4 C−10 0.33 C−11 0.086 C−14 0.015 Oil−1 0.30 Oil−3 0.010 ゼラチン 0.73
【0066】第8層(中感度緑感乳剤層) 沃臭化銀乳剤H 銀 0.80 S−4 3.2×10-5 S−5 2.2×10-4 S−6 8.4×10-4 C−8 0.010 C−10 0.10 C−11 0.025 C−14 0.018 C−17 0.010 C−18 0.040 Oil−1 0.13 Oil−3 4.0×10-3 ゼラチン 0.80
【0067】第9層(高感度緑感乳剤層) 沃臭化銀乳剤I 銀 1.25 S−4 3.7×10-5 S−5 8.1×10-5 S−6 3.2×10-4 C−1 0.010 C−9 0.020 C−12 0.025 C−13 0.040 Cpd−3 0.040 Oil−1 0.25 ポリエチルアクリレートラテックス 0.15 ゼラチン 1.33
【0068】第10層(イエローフィルター層) 黄色コロイド銀 銀 0.015 Cpd−1 0.16 固体分散染料D−5 0.060 固体分散染料D−6 0.060 油溶性染料D−7 0.010 Oil−1 0.60 ゼラチン 0.60
【0069】第11層(低感度青感乳剤層) 沃臭化銀乳剤J 銀 0.09 沃臭化銀乳剤K 銀 0.09 S−7 8.6×10-4 C−8 7.0×10-3 C−14 0.050 C−15 0.22 C−16 0.50 C−17 0.020 Cpd−2 0.10 Cpd−3 4.0×10-3 Oil−1 0.28 ゼラチン 1.20
【0070】第12層(高感度青感乳剤層) 沃臭化銀乳剤L 銀 1.00 S−7 4.0×10-4 C−15 0.10 C−16 0.10 C−17 0.010 Cpd−2 0.10 Cpd−3 1.0×10-3 Oil−1 0.070 ゼラチン 0.70
【0071】第13層(第1保護層) U−1 0.19 U−2 0.075 U−3 0.065 Oil−1 5.0×10-2 Oil−4 5.0×10-2 ゼラチン 表Aに示す量 メチルセルロース 表Aに示す量 (信越化学製 メトローズ60SH−6)
【0072】第14層(第2保護層) 沃臭化銀乳剤M 銀 0.10 H−1 0.40 B−1(直径 1.7 μm) 0.015 B−2(直径 1.7 μm) 0.10 B−3 0.05 Cpd−4 0.20 ゼラチン 表Aに示す量 メチルセルロース 表Aに示す量 (信越化学製 メトローズ60SH−6)
【0073】更に、各層に適宜、保存性、処理性、圧力
耐性、防黴・防菌性、帯電防止性及び塗布性をよくする
ために W−1ないしW−3、B−4ないしB−6、F
−1ないしF−17及び、鉄塩、鉛塩、金塩、白金塩、
パラジウム塩、イリジウム塩、ロジウム塩が含有されて
いる。
【0074】
【表3】
【0075】表Bにおいて、 (1)乳剤J〜Lは特開平2-191938号の実施例に従い、
二酸化チオ尿素とチオスルフォン酸を用いて粒子調製時
に還元増感されている。 (2)乳剤A〜Iは特開平3-237450号の実施例に従い、
各感光層に記載の分光増感色素とチオシアン酸ナトリウ
ムの存在下に金増感、硫黄増感とセレン増感が施されて
いる。 (3)平板状粒子の調製には特開平1-158426号の実施例
に従い、低分子量ゼラチンを使用している。 (4)平板状粒子には特開平3-237450号に記載されてい
るような転位線が高圧電子顕微鏡を用いて観察されてい
る。 (5)乳剤Lは特開昭60-143331 号に記載されている内
部高ヨードコアーを含有する二重構造粒子である。
【0076】有機固体分散染料の分散物の調製 下記の化合物D−2を次の方法で分散した。即ち、水2
1.7ml及び5%水溶液のp−オクチルフェノキシエトキ
シエトキシエタンスルホン酸ソーダ3ml並びに5%水溶
液のp−オクチルフェノキシポリオキシエチレンエ−テ
ル(重合度10)0.5 gとを 700mlのポットミルに入れ、
染料D−2を 5.0gと酸化ジルコニウムビ−ズ(直径1
mm) 500mlを添加して内容物を2時間分散した。この分
散には中央工機製のBO型振動ボールミルを用いた。分
散後、内容物を取り出し、12.5%ゼラチン水溶液8gに
添加し、ビーズを濾過して除き、染料のゼラチン分散物
を得た。染料微粒子の平均粒径は0.44μmであった。
【0077】同様にして、D−3、D−4及びD−6の
固体分散物を得た。染料微粒子の平均粒径はそれぞれ、
0.24μm、0.45μm、0.52μmであった。D−5は欧州
特許出願公開(EP)第549,489A号明細書の実施例1に記
載の微小析出(Microprecipitation)分散方法により分
散した。平均粒径は0.06μmであった。
【0078】
【化1】
【0079】
【化2】
【0080】
【化3】
【0081】
【化4】
【0082】
【化5】
【0083】
【化6】
【0084】
【化7】
【0085】
【化8】
【0086】
【化9】
【0087】
【化10】
【0088】
【化11】
【0089】
【化12】
【0090】
【化13】
【0091】
【化14】
【0092】
【化15】
【0093】
【化16】
【0094】6)写真フィルムの評価 このようにして作成した写真フィルムサンプル水準1〜
13について巻癖の評価を下記手順に従って行った。 (6−1)コアセット コアセットとはフィルムをスプールに巻き付けて巻ぐせ
を付けることである。サンプルフィルムを35mm幅で、
1.2mの長さにスリットした。これを25℃60%R
Hで1晩調湿後、感光層を内巻にし、4〜12mmのスプ
ールに巻きつけた。これを密封容器中に入れ、80℃で
2時間加熱して巻き癖を付けた。この温度条件は、夏季
に車中に置かれたフィルムを想定した条件である。 (6−2)現像処理のフィルム折れ(フィルム後端折
れ)の評価 上記条件で巻き癖を付けたフィルムを、25℃の部屋の
中で放冷した後、密封容器からサンプルフィルムを取出
し、これを自動現像機(ミニラボFP−560B:富士
写真フイルム製)で現像処理し、後端折れが発生しない
ものを○、発生するが実用上許容される△、搬送トラブ
ルが生じる×の3段階で評価した。
【0095】現像処理は富士写真フィルム製のCN−1
6FA処理工程を用いた。測定に使用した試料は、前も
って像様露光を与えた試料を別途ランニング処理し、発
色現像補充量がタンク容量の3倍量補充されるまで実施
した処理液を用いて処理された。
【0096】(6−3)耐ブロッキング性テスト 現像処理済みの試料を25℃相対湿度85%で3時間調
湿した後、カートリッジ本体に収納した状態で40℃、
1日の熱処理を行い、乳剤側とバック側のブロッキング
性を評価した。ブロッキングのレベルをブロッキングし
ている面積で3段階に評価した。実用上○以外は許容で
きない。 ○:接着しない △:0〜49%接着する ×:50%以上接着する
【0097】7)結果 結果を前記表Aに併せて示す。非感光性上部層の少なく
とも一層について、層あたりの全バインダー量に対して
1%以上50%以下のメチルセルロースをブレンドした
水準3、水準5〜7および水準9〜13は耐ブロッキン
グ性が良好である。メチルセルロースが1%未満の水準
2および水準8ではややブロッキングが見られ、メチル
セルロースを全く含まない水準1では著しいブロッキン
グが見られた。一方、メチルセルロースが50%を超え
る水準4ではややブロッキングがみられた。また、支持
体に前熱処理を行わなかった水準9およびスプール径の
小さい水準10は巻き癖が強く後端折れを引き起こした
が、熱処理を行った水準1〜8および水準11は巻き癖
が良化し後端折れは見られなかった。一方、支持体のT
gが90℃未満である水準12〜13では後端折れが著
しく、熱処理による巻き癖の改良は全く見られない。
【0098】実施例2 1)支持体の作成 PETチップおよびPENチップを溶融押し出しした
後、縦方向に3.4倍、横方向に4倍の延伸を施し、厚
み80μmの2軸延伸ポリエステルフィルムを製造する
に際し、縦延伸ゾーンの片面(本実施例ではキャスティ
ングドラムに接した面:以下CD面と称する)に補助加
熱源として赤外線ヒーターを設置した。PENは、押し
出し温度300℃、縦延伸温度(CD面側)140℃、
横延伸温度130℃、熱固定250℃6秒間で表Cに示
す水準14〜23の支持体を製膜した。一方PETは、
押し出し温度270℃、縦延伸温度(CD面側)100
℃、横延伸温度110℃、熱固定220℃6間秒で表C
に示す水準26の支持体を製膜した。用いるPEN、P
ETのペレットを予め150℃で4時間乾燥した後、表
Cの水準24〜25に示すような混合比で2軸混練押し
出し機を用い280℃で押し出した後ペレット化した。
このポリエステル100重量部と、ポリエステル厚み8
5μmで吸光度(400nm)が0.05となるように
染料Diaresin(三菱化成製)を添加し、常法に
より乾燥した後、300℃で溶融後、T型ダイから押し
出しTg+30℃で3.3倍の延伸を行い、続いてTg
+20℃で3.3倍の横延伸を行い、さらに250℃で
6秒間熱固定し、表Cに示す厚みの水準24〜25の支
持体を得た。
【0099】2)支持体の表面処理と熱処理 支持体の両面にフィルム面から10cmの距離に平行に
備え付けた幅50cm、アーク長30cmの365nm
を主波長とする円筒状1KWの石英製高圧水銀ランプを
用いて2分間、空気中115℃で照射した。照射光量は
500mJ/cm2であった。上記の方法で製膜した支
持体を表Cの条件で熱処理をした。熱処理は全て直径3
0cmの巻き芯に乳剤下塗り面を外側にして実施した。
比較例として熱処理を施さないものを支持体22とし
た。
【0100】3)下塗り層(乳剤層側)の塗設 支持体上に下記組成の下塗り液をワイヤーバーを用いて
10ml/m2塗布し、115℃で2分間乾燥後卷き取っ
た。 ・ゼラチン 10.0 重量部 ・水 12.0 重量部 ・メタノール 875.0 重量部 ・サリチル酸 2.5 重量部 ・パラクロルフェノール 100.0 重量部 ・特開昭51−3619号記載 0.5 重量部 合成例1 ポリアマイド−エピクロルヒドリン樹脂 ・ポリ(重合度10)オキシエチレンノニルフェニルエーテル 1.0 重量部 この下塗面上に後述の感光層を塗設した。 4)バック層の塗設 下塗り後、支持体の下塗り層を設けた側とは反対側の面
に、下記組成のバック第1層用処方をワイヤーバーを用
いて5ml/m2塗布し、115℃で2分間乾燥後卷き取っ
た。 ・ゼラチン 3.0 重量部 ・水 56.0 重量部 ・メタノール 841.0 重量部 ・パラクロールフェノール 99.0 重量部 ・酢酸 1.0 重量部 ・特開昭51−3619号記載 0.15重量部 合成例1 ポリアマイド−エピクロルヒドリン樹脂 ・ポリ(重合度10)オキシエチレンノニルフェニルエーテル 1.0 重量部 バック第1層上の、バック第2層としての帯電防止層の
塗設、バック第3層の塗設、バック第4層としての滑り
層の塗設は実施例1と同様に行った。
【0101】
【表4】
【0102】
【表5】
【0103】5)感光材料の調整 下塗りを施した支持体上(バック層とは反対側)に、下
記に示すような組成の各層を多層塗布し、多層カラー感
光材料である試料を作成した。各組成の塗布量は、試料
1m2当たりの値を示した。なおハロゲン化銀、コロイド
銀については、等量の銀に換算した重量を示した。
【0104】第1層:ハレーション防止層 黒色コロイド銀 0.25 g ゼラチン 1.9 g 紫外線吸収剤U−4 0.2 g 紫外線吸収剤U−6 0.1 g 紫外線吸収剤U−7 0.2 g 高沸点有機溶媒Oil−5 0.1 g 染料E−1の微結晶固体分散物 0.1 g
【0105】第2層:中間層 非感光性微粒子ヨウ臭化銀乳剤(平均粒径0.1μm、
AgI含量1モル%)銀量 0.15 g 表面及び内部を被らせた微粒子ヨウ臭化銀乳剤(平均粒
径0.06μm、変動係数18%、AgI含量1モル
%)銀量 0.05 g 化合物Cpd−5 0.1 g 化合物Cpd−17 0.05 g ゼラチン 0.4 g
【0106】第3層:中間層 ゼラチン 0.40 g 化合物Cpd−7 1 mg 化合物Cpd−8 3 mg 染料D−11 0.4 mg 高沸点有機溶媒Oil−7 40 mg
【0107】第4層:低感度赤感性乳剤層 乳剤AA 銀量 0.3 g 乳剤BB 銀量 0.4 g ゼラチン 0.8 g カプラーC−19 0.09 g カプラーC−20 0.03 g カプラーC−21 0.02 g カプラーC−28 0.02 g 化合物Cpd−8 1 mg 化合物Cpd−15 0.05 g 高沸点有機溶媒Oil−6 0.10 g エチルアクリレートのラテックス分散物0.5 g
【0108】第5層:中感度赤感性乳剤層 乳剤BB 銀量 0.2 g 乳剤CC 銀量 0.3 g ゼラチン 0.8 g カプラーC−19 0.2 g カプラーC−20 0.05 g カプラーC−21 0.2 g 高沸点有機溶媒Oil−6 0.1 g エチルアクリレートのラテックス分散物0.05 g
【0109】第6層:高感度赤感性乳剤層 乳剤DD 銀量 0.4 g ゼラチン 1.1 g カプラーC−19 0.3 g カプラーC−20 0.1 g カプラーC−21 0.1 g 添加物P−1 0.02 g エチルアクリレートのラテックス分散物0.1 g
【0110】第7層:中間層 ゼラチン 1.0 g 化合物Cpd−14 0.2 g 化合物Cpd−16 0.05 g 化合物Cpd−18 0.02 g 添加物P−1 0.05 g 染料D−8 0.02 g
【0111】第8層:中間層 表面及び内部を被らせた微粒子ヨウ臭化銀乳剤(平均粒
径0.06μm、変動係数16%、AgI含量0.3モ
ル%)銀量 0.025 g ゼラチン 0.4 g 化合物Cpd−5 0.1 g 化合物Cpd−8 1 mg 化合物Cpd−17 0.05 g
【0112】第9層:低感度緑感性乳剤層 粒子内部を被らせたヨウ臭化銀乳剤(平均粒径0.1μ
m、AgI含量0.1モル%)銀量 0.15 g 乳剤EE 銀量 0.3 g 乳剤FF 銀量 0.1 g 乳剤GG 銀量 0.1 g ゼラチン 2.0 g カプラーC−22 0.03 g カプラーC−25 0.05 g カプラーC−26 0.02 g カプラーC−27 0.05 g カプラーC−30 0.2 g 化合物Cpd−6 0.03 g 化合物Cpd−8 1 mg 化合物Cpd−9 0.02 g 化合物Cpd−10 0.02 g 化合物Cpd−11 0.02 g 化合物Cpd−12 0.02 g 高沸点有機溶媒Oil−6 0.2 g
【0113】第10層:中感度緑感性乳剤層 乳剤GG 銀量 0.3 g 乳剤HH 銀量 0.1 g ゼラチン 0.6 g カプラーC−22 0.1 g カプラーC−25 0.05 g カプラーC−26 0.05 g カプラーC−27 0.02 g カプラーC−30 0.20 g 化合物Cpd−6 0.03 g 化合物Cpd−9 0.02 g 化合物Cpd−10 0.02 g 化合物Cpd−11 0.05 g 化合物Cpd−12 0.05 g 添加物F−22 0.08 mg 高沸点有機溶媒Oil−6 0.01 g
【0114】第11層:高感度緑感性乳剤層 粒子内部を被らせたヨウ臭化銀乳剤(平均粒径0.2μ
m、AgI含量0.1モル%)銀量 0.05 g 乳剤II 銀量 0.5 g ゼラチン 1.1 g カプラーC−22 0.1 g カプラーC−25 0.3 g カプラーC−26 0.07 g カプラーC−27 0.05 g カプラーC−30 0.1 g 化合物Cpd−6 0.08 g 化合物Cpd−9 0.02 g 化合物Cpd−10 0.02 g 化合物Cpd−11 0.02 g 化合物Cpd−12 0.02 g 高沸点有機溶媒Oil−6 0.04 g
【0115】第12層:中間層 ゼラチン 0.4 g エチルアクリレートのラテックス分散物0.15 g 染料D−8 0.1 g 染料D−9 0.05 g 染料D−10 0.07 g
【0116】第13層:イエローフィルター層 黄色コロイド銀 銀量 0.08 g ゼラチン 1.0 g 化合物Cpd−5 0.04 g 高沸点有機溶媒Oil−5 0.01 g 染料E−2の微結晶固体分散物 0.05 g
【0117】第14層:中間層 ゼラチン 0.6 g
【0118】第15層:低感度青感性乳剤層 粒子内部を被らせたヨウ臭化銀乳剤(平均粒径0.2μ
m、AgI含量0.1モル%)銀量 0.1 g 乳剤JJ 銀量 0.4 g 乳剤KK 銀量 0.1 g 乳剤LL 銀量 0.1 g ゼラチン 1.0 g カプラーC−23 0.5 g カプラーC−24 0.1 g カプラーC−29 0.1 g 化合物Cpd−15 0.1 g
【0119】第16層:中感度青感性乳剤層 乳剤LL 銀量 0.1 g 乳剤MM 銀量 0.1 g ゼラチン 0.6 g カプラーC−23 0.02 g カプラーC−24 0.002 g カプラーC−29 0.02 g
【0120】第17層:高感度青感性乳剤層 乳剤NN 銀量 0.6 g ゼラチン 1.4 g カプラーC−23 0.05 g カプラーC−24 0.08 g カプラーC−29 0.8 g
【0121】第18層:第1保護層 ゼラチン 表Cに示す量 メチルセルロース 表Cに示す量 紫外線吸収剤U−4 0.4 g 紫外線吸収剤U−5 0.01 g 紫外線吸収剤U−6 0.03 g 紫外線吸収剤U−7 0.03 g 紫外線吸収剤U−8 0.05 g 紫外線吸収剤U−9 0.05 g 高沸点有機溶媒Oil−5 0.02 g ホルマリンスカベンジャー Cpd−7 0.2 g Cpd−13 0.4 g エチルアクリレートのラテックス分散物0.05 g 染料D−10 0.05 g 化合物Cpd−5 0.02 g 化合物Cpd−14 0.02 g 化合物Cpd−18 0.01 g
【0122】第19層:第2保護層 コロイド銀 銀量 0.05 mg 微粒子ヨウ臭化銀乳剤(平均粒径0.06μm、AgI
含量1モル%)銀量 0.05 g ゼラチン 表Cに示す量 メチルセルロース 表Cに示す量
【0123】第20層:第3保護層 コロイド銀 銀量 0.05 mg 微粒子ヨウ臭化銀乳剤(平均粒径0.07μm、AgI
含量1モル%)銀量 0.05 g ゼラチン 表Cに示す量 メチルセルロース 表Cに示す量 ポリメチルメタクリレート(平均粒径1.5μm)0.01
g メチルメタクリレートとアクリル酸の4:6の共重合体 (平均粒径1.5μm) 0.1 g シリコーンオイル 0.03 g 界面活性剤W−4 3.0 mg 界面活性剤W−5 0.03 g
【0124】各ハロゲン化銀乳剤層および中間層には添
加剤F−18〜F−26を添加した。また、各層には上
記組成物以外にゼラチン硬化剤H−2および塗布用界面
活性剤W−6、W−7およびW−8を、乳化用界面活性
剤W−9を添加した。更に、防腐・防黴としてフェノー
ル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−フ
ェノキシエタノール、イソチオソアン酸フェニル、およ
びフェネチルアルコールを添加した。
【0125】
【表6】
【0126】
【表7】
【0127】
【表8】
【0128】
【化17】
【0129】
【化18】
【0130】
【化19】
【0131】
【化20】
【0132】
【化21】
【0133】
【化22】
【0134】
【化23】
【0135】
【化24】
【0136】
【化25】
【0137】
【化26】
【0138】
【化27】
【0139】
【化28】
【0140】
【化29】
【0141】
【化30】
【0142】
【化31】
【0143】6)写真フィルムの評価 このようにして作成した写真フィルムサンプル水準14
〜26について巻癖の評価を下記手順に従って行った。 (6−1)コアセット サンプルフィルムを35mm幅で、1.2mの長さにスリ
ットした。これを25℃60%RHで1晩調湿後、感光
層を内巻にし、4〜12mmのスプールに巻きつけた。
これを密封容器中に入れ、80℃で2時間加熱して巻き
癖を付けた。この温度条件は、夏季に車中に置かれたフ
ィルムを想定した条件である。 (6−2)現像処理のフィルム折れ(フィルム後端折
れ)の評価 上記条件で巻き癖を付けたフィルムを、25℃の部屋の
中で放冷した後、密封容器からサンプルフィルムを取出
し、これをノーリツ(株)製の自動現像機H6R−36
0で現像処理し、後端折れが発生しないものを○、発生
するが実用上許容される△、搬送トラブルが生じる×の
3段階で評価した。現像処理は富士写真フィルム製のC
R−56処理工程を用いた。測定に使用した試料は、前
もって像様露光を与えた試料を別途ランニング処理し、
発色現像補充量がタンク容量の3倍量補充されるまで実
施した処理液を用いて処理された。
【0144】(6−3)耐ブロッキング性テスト 現像処理済みの試料を25℃相対湿度85%で3時間調
湿した後、カートリッジ本体に収納した状態で40℃、
1日の熱処理を行い、乳剤側とバック側のブロッキング
性を評価した。ブロッキングのレベルをブロッキングし
ている面積で3段階に評価した。実用上○以外は許容で
きない。 ○:接着しない △:0〜49%接着する ×:50%以上接着する
【0145】7)結果 結果を前記表Cに併せて示す。非感光性上部層の少なく
とも一層について、各層の全バインダー量に対して1%
以上のメチルセルロースをブレンドした水準15〜26
は耐ブロッキング性が良好である。メチルセルロースを
全く含まない水準14では著しいブロッキングが見られ
た。また、支持体に前熱処理を行わなかった水準22お
よびスプール径の小さい水準23は巻き癖が強いが、熱
処理を行った水準14〜21および水準24は著しい巻
き癖の良化が見られた。一方、支持体のTgが90℃未
満である水準25〜26では熱処理による巻き癖の改良
は全く見られない。
【0146】実施例3 1)支持体の作成 用いる化合物PEN、PETのペレット乾燥、混合後の
ペレット化、染料の添加量、溶融後のT型ダイからの押
し出し、90μmの2軸延伸ポリエステル支持体の作成
の方法は実施例1と同様に行い、表Fに示す支持体を作
成した。
【0147】
【表9】
【0148】
【表10】
【0149】2)支持体の表面処理 この後支持体の両面にグロー放電処理を行った。真空槽
内の圧力は0.1Torr、雰囲気気体中のH2O分圧
は80%で行った。放電周波数は30kHz、出力30
00W、処理強度は0.75kV・A・分/m2で行っ
た以外は実施例1と同様にした。
【0150】3)支持体の下塗り層の塗設と熱処理 実施例1と同様のバック第1層とバック第2層を塗布し
た支持体を、表Fに示す熱処理条件で熱処理を行った。
表FにおけるK法、T法については、以下に示すように
して行った。 3−1)K法(高温巻き取り法) バック第2層塗布乾燥後、(Tg−5℃)に設定した熱
処理ゾーンを3分間通過させ雰囲気温度になるように調
整し、これを(Tg−5℃)に保持した巻き取り室の中
でアルミ製巻芯ロールにバック層塗布面を内巻きにして
巻きつけた。このロール状支持体を(Tg−5℃)の恒
温槽に1日保持した後、3日間かけて室温まで降温し
た。 3−2)T法(低温巻き取り法) バック第2層塗布乾燥後、加温可能なアルミ製巻芯ロー
ルにバック層塗布面を内巻きにして巻き取った。その
後、アルミ製巻芯に熱風を吹き込みながらロール状支持
体を(Tg−5℃)の恒温槽に4日間保持し昇温した
後、3日間かけて室温まで降温した。
【0151】4)乳剤側下塗層の塗設 熱処理後の支持体のバック面とは反対の面に実施例1と
同様な乳剤層側下塗層を塗設した。この下塗面上に後述
の感光層を塗設した。
【0152】続いて、バック第3層、バック第4層を実
施例1と同様の条件で塗布し乾燥した。
【0153】5)感光材料の調整 下塗りを施した支持体上(バック層とは反対側)に、実
施例1と同様な組成の各層を重層塗布し、多層カラー感
光材料である試料を作成した。 ただし、第13層〜第1
4層におけるゼラチン量およびメチルセルロース量は表
Fに示す量を添加した。
【0154】6)写真フィルムの評価 このようにして作成した写真フィルムサンプル水準27
〜46について巻癖の評価を下記手順に従って行った。 (6−1)コアセット コアセットとはフィルムをスプールに巻き付けて巻ぐせ
を付けることである。サンプルフィルムを35mm幅で、
1.2mの長さにスリットした。これを25℃60%R
Hで1晩調湿後、感光層を内巻にし、4〜12mmのス
プールに巻きつけた。これを密封容器中に入れ、80℃
で2時間加熱して巻き癖を付けた。この温度条件は、夏
季に車中に置かれたフィルムを想定した条件である。 (6−2)現像処理のフィルム折れ(フィルム後端折
れ)の評価 上記条件で巻き癖を付けたフィルムを、25℃の部屋の
中で放冷した後、密封容器からサンプルフィルムを取出
し、これを自動現像機(ミニラボFP−550B:富士
写真フイルム製)で現像処理し、後端折れが発生しない
ものを○、発生するが実用上許容される△、搬送トラブ
ルが生じる×の3段階で評価した。
【0155】現像処理は富士写真フィルム製のCN−1
6Q処理工程を用いた。測定に使用した試料は、前もっ
て像様露光を与えた試料を別途ランニング処理し、発色
現像補充量がタンク容量の3倍量補充されるまで実施し
た処理液を用いて処理された。
【0156】(6−3)耐ブロッキング性テスト 現像処理済みの試料を25℃相対湿度85%で3時間調
湿した後、カートリッジ本体に収納した状態で40℃、
1日の熱処理を行い、乳剤側とバック側のブロッキング
性を評価した。ブロッキングのレベルをブロッキングし
ている面積で3段階に評価した。実用上○以外は許容で
きない。 ○:接着しない △:0〜49%接着する ×:50%以上接着する
【0157】7)結果 結果を表Fに併せて示す。非感光性上部層の少なくとも
一層について、層あたりの全バインダー量に対して1%
以上のメチルセルロースをブレンドした水準29〜33
および水準35〜46は耐ブロッキング性が良好であ
る。メチルセルロースが1%未満の水準28および水準
34ではややブロッキングが見られ、メチルセルロース
を全く含まない水準27では著しいブロッキングが見ら
れた。一方、メチルセルロースが50%を越える水準3
0では、ややブロッキングがみられた。
【0158】また、支持体に熱処理を行わなかった水準
35およびスプール径の小さい水準36は巻き癖が強く
後端折れを引き起こしたが、50℃以上Tg未満の温度
で熱処理を行った水準27〜34および水準37、水準
41、水準43、水準45、は巻き癖が良化し後端折れ
は見られなかった。 一方、50℃未満の温度で熱処理を
おこなった水準42や水準46、Tg以上の温度で熱処
理をおこなった水準40や水準44、支持体のTgが9
0℃未満である水準38〜39では後端折れが著しく、
熱処理による巻き癖の改良は全く見られない。
【0159】
【発明の効果】本発明に従い、非感光性上部層にメチル
セルロースを添加することにより、現像処理後の耐ブロ
ッキング性に優れたハロゲン化銀写真感光材料を得るこ
とができる。更に、ガラス転移温度が90〜200℃の
支持体を用い、及び/又は支持体に特定の熱処理を施す
ことにより、更に、巻きぐせがつきにくく現像時に後端
折れがないハロゲン化銀写真感光材料を作成することが
できる。巻きぐせが付きにくい効果は、ロール状の写真
感光材料を小さなスプール径に巻かれる際に特に有効で
あり、パトローネを小型化することができるという大き
な効果が得られた。本発明は、外径5〜11mmのスプ
ールに巻き込まれるロール状感光材料において、特に有
効である。更に、ナフタレンジカルボン酸とエチレング
リコールを主成分とするポリエステルを含有する支持体
が、力学的強度に優れ、且つ優れた巻き癖改良効果も認
められる点で特に有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03C 1/81

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 写真用支持体上に少なくとも一層の感光
    性ハロゲン化銀乳剤層及びその上部に少なくとも一層の
    非感光性上部層を有しかつ支持体に対して感光性ハロゲ
    ン化銀乳剤層と反対の側に少なくとも一層の非感光性上
    部層を有してなるハロゲン化銀写真感光材料であって、
    該非感光性上部層の少なくとも一層が、層あたりのバイ
    ンダー全量に対して重量比1%以上50%以下のメチル
    セルロースをブレンドした親水性コロイドであることを
    特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
  2. 【請求項2】 該写真用支持体のガラス転移温度が90
    ℃以上200℃以下であることを特徴とする請求項1記
    載のハロゲン化銀写真感光材料。
  3. 【請求項3】 該写真用支持体が乳剤塗布前までの間
    に、ガラス転移温度以上の温度で熱処理した後に50℃
    以上ガラス転移温度以下の温度で熱処理されていること
    を特徴とする請求項1又は2記載のハロゲン化銀写真感
    光材料。
  4. 【請求項4】 該写真感光材料が、外径5mm〜11m
    mのスプールに巻き込まれるロール状であることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれかに記載のハロゲン化銀写
    真感光材料。
  5. 【請求項5】 該支持体が、ナフタレンジカルボン酸と
    エチレングリコールを主成分とするポリエステルを重量
    比で30%以上含有することを特徴とする請求項1〜4
    のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1223463A1 (en) * 2000-12-29 2002-07-17 Eastman Kodak Company Film support with annealable layer and improved adhesion
US6451431B1 (en) 2000-12-29 2002-09-17 Eastman Kodak Company Film support with annealable layer and improved adhesion

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EP1223463A1 (en) * 2000-12-29 2002-07-17 Eastman Kodak Company Film support with annealable layer and improved adhesion
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