JPH07218503A - 検査用器具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 操作が容易で衛生的に判定できる検査用器具
を提供する。 【構成】 判定紙５・水分吸収体６を収納したケース１
３、ケース１３から斜めに延び、試薬紙３・フイルター
４を収納した柄１及び、柄１の先端に挿嵌する蓋１８か
らなり、上記柄１の先端に吸水率大の部材からなる検体
採取部８が嵌入され、上記蓋１８の押部９と上記突出部
２との間で検体採取部８を押圧できる検査用器具。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は検査用器具に関し、特に
妊娠、排卵などの診断に適した検査用器具に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、集団検診等における尿検査では、
患者がコップ等の容器に採取した尿検体、または特開昭
５９−４０２５６号公報に記載のように便器の窪み部分
に滞留した尿検体に直接試験紙を浸漬させ、定性または
半定量試験を行っているが、試薬がドライケミカル型の
ため多項目の検査を行えず精密検査が必要な場合は、尿
検体を臨床試験所などに搬送して試験を行っている。

【０００３】また一般に、コップに採集した尿検体をス
ポイト等で小型の搬送用容器に分注し、それを臨床試験
所に搬送して尿の検査を行っている。

【０００４】しかしながら、尿の採取場所が臨床試験所
から離れている場合、この尿検体が液体状態であるた
め、検体中の雑菌が搬送中に増殖し、蛋白やグルコース
等の検査において、測定結果が正確に得られないという
問題があった。

【０００５】また液体試液中で凝集反応または発色反応
を起こさせて検査を行う方法もあるが、いずれも液相中
での反応であり、反応結果の維持が難しいという欠点を
有していた。

【０００６】更にまた、あらかじめ反応試薬を付着させ
た判定部を設け、ここに尿などの検体を垂らし、抗原抗
体反応および酵素反応によって判定する方法もあるが、
反応に必要な試薬成分を別途スポイト等で滴下するなど
の操作が数回あるため操作が繁雑で、測定するのに時間
を要し、先に滴下した試薬や検体の混在によって正確な
結果が得られないことがあった。また長時間放置してお
いた場合、水分吸収体と判定部とが一体になっているた
め、一旦水分吸収体に吸収された余分な水分が時間の経
過とともに判定部に戻り、やはり反応結果の維持ができ
ないという欠点を有していた。そのため、操作者と判定
者が違う場合や検体数が多い場合は、判定部付近が常に
濡れた状態であるため時間の経過とともに診断薬中の発
色剤が褪色したり、判定時の発色像が不鮮明になったり
して正確な判定ができないという問題があった。

【０００７】このため実開平３─１２５２６２号公報に
記載のような水分吸収体と判定部が分離可能な検査用容
器が提供されている。しかしながら必要量の尿や試薬を
別途スポイトなどで計り取って滴下しなければならず、
手間がかかった。

【０００８】如上の問題に鑑み、検体を含浸した検体採
取部を検査具本体にセットするだけで検体が試薬と反応
しながら判定プレートに移行させることができ、しかも
余分な水分を吸収することのできる、操作が容易で衛生
的な検査用容器として、図６および図７に示されるよう
に先端部に吸収部材からなる検体採取部８を設けたステ
ィック１７と、このスティック１７を収容する反応終了
確認窓１５付き検査具本体１２で構成されたものが提案
されている。

【０００９】ここで検査具本体１２はケース本体１３
と、このケース本体１３内に配置された判定プレート１
６および、この判定プレート１６の下部に配置された水
分吸収体（図示されていない）からなり、ケース１３は
蓋１８と収容部１９からなる。この蓋１８にはスティッ
ク１７の検体採取部８を押圧する手段（凸部１４）が設
けられており、凸部１４で先端部を変形させて検体採取
部８を押圧し、これに採取された検体を絞り出して判定
プレート１６上に検体を移行させ、余分な水分は水分吸
収体に吸収させるようになっている。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】この検査用容器におい
ては、部品数が多いことにより組立工程が煩雑で、各部
の精度が悪くなり、蓋と収容部間にあるスティックへの
押圧が不確実で、反応時間にバラツキができ反応終了の
確認が不正確という問題があった。また、容器の嵩が従
来品に比べると大きいことも問題であった。本発明は以
上の問題を解決するためになされたものである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は、 検査具本体
と前記検査具本体の先端に挿嵌する蓋からなり、前記検
査具本体は判定紙および水分吸収体を収納し、判定窓が
設けてあるケースと、前記ケースを基にして斜めに延
び、試薬紙とフィルターを積層状に収納した中空状の柄
とを備え、かつ、上記柄内に上記フィルターを載置でき
る突出部があり、上記柄の先端に吸水率大の部材からな
る検体採取部が嵌入された検査用器具であって、上記蓋
の押部と上記突出部との間で検体採取部を押圧して検体
を絞り出し、検体と試薬を反応させながら判定紙上に移
行させることを特徴とする検査用器具を要旨とする。

【００１２】以下、本発明における構成を詳しく述べ
る。ケースの材質はポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボ
ネート、アクリル樹脂等の合成樹脂が好ましい。

【００１３】本発明は柄の内側を滴々と伝わり落ちる液
体試料をケースに受ける構成であり、抗原抗体反応の結
果を直接的に、可視的に測定するため、ケースには透明
な部材からなる判定窓が設けられている。

【００１４】柄の材質もケースと同じか同様のものでよ
い。柄の断面形状は成形の都合で円形でも方形でもよ
く、ただ、中空にできればよい。

【００１５】柄が斜めに延びるのは検体がケースに向か
って重力に従って流れるためのものである。その際、柄
がケースに比し大きすぎないように、また重すぎないよ
うに注意し、柄によってケースを傾動させることのない
ように注意が必要である。

【００１６】柄内には突出部を設けるが、検体は試薬紙
に触れ次いでフィルターを通過するので、突出部にはフ
ィルターの方を載置する。突出部は試薬紙とフィルター
を柄内で留置させるためにあるので、突出部の形態は検
体の通過を妨げるようなものは避けねばならない。

【００１７】柄にケースを取り付ける手段は、接着でも
よく、ケースに柄を差し込んでもよく、柄とケースを一
体成形にしてもよい。例えば柄とケースの全体を２分割
してそれぞれ一体成形にするのが好ましい。

【００１８】蓋は検体採取部に検体例えば尿を採取して
後、柄内へ押圧することが主目的であり、柄の先端に挿
嵌できればよい。材質はケースと同じかそれに似たもの
でよい。

【００１９】検体採取部は液体に触れたとき良く液体を
吸収するものでなければならない。そのため吸水率の大
なる吸収部材からなる。吸水率とは一定寸法の試料を一
定時間蒸留水に浸漬し、重量増加分と原重量との比を百
分率で示したものをいう。検体採取部の材料が親水性で
あろうが疎水性であろうが、吸水率が１５００％以上が
好ましい。そのため見かけ密度が０．０７ｇ／ｃｍ³ 以
下のものが好ましい。このようなものの具体例としてビ
スコース製の連続気泡フオーム（いわゆるスポンジ）が
最も好ましい。

【００２０】この他、検体採取部にポリ塩化ビニル・ポ
リエチレン・ビニロン・ナイロン・フツ素樹脂などのス
ポンジや再生セルロース・木綿などからなる脱脂綿・紙
・不織布・布帛等の繊維集合体を用いることができる。

【００２１】柄の先端に検体採取部を嵌入する手段は特
定する必要はない。大切なことは検体採取部が蓋により
圧縮され、一定量の検体が絞り出されることが必要で、
圧縮手段は蓋と柄内の突出部間で圧縮してもよく、柄の
外側と蓋の内側に係止部と被係止部を当接するように設
け圧縮してもよい。

【００２２】柄内の試薬紙は抗原抗体反応で抗原を捉え
るためのもので、抗原を検出する標識抗体が含浸されて
いる。標識抗体の標識は、酵素・金属コロイド・ラテツ
クスから選ばれる少なくとも１つであり、抗原抗体反応
の結果を直接的に、可視的に測定するために用いられ
る。

【００２３】柄内のフィルターは濾過が目的であり、天
然繊維、合成繊維、合成樹脂、金属繊維などの素材で不
織布、焼結体、微孔体、編織物等の多孔性シートであ
る。フィルター・試薬紙の寸法はいずれも柄の断面形状
に等しくして各目的を達成させる。なおフィルターに必
要な検出試薬を含浸させればフィルターで試薬紙の機能
を発揮させることも可能である。

【００２４】押圧でしたたる液体試料は試薬紙に先ず当
たり、そこで反応後濾過されて柄の内壁を伝わりケース
に入る。従って柄内において上部に試薬紙を下部にフィ
ルターを重ねる構成にする。

【００２５】ケース内の判定紙の表面は抗体を付着させ
やすく、反応が確実に起こるようにある程度の時間をも
って試料を吸収する素材を用いる。例えば、ポリ塩化ビ
ニル・ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリエステル・
ポリアミド・ポリカーボネート・アクリル樹脂等の合成
高分子又はセルロース等の天然高分子から形成された多
孔性シートを用いる。なかでもニトロセルロース等のセ
ルロース系素材が好ましい。この判定紙に予め標識付着
抗体と反応する抗体が付着されており、この抗体はフィ
ルターを透過してきた検体中の成分および検出試薬と反
応する。判定紙に例えばｈＣＧに特異的な抗ｈＣＧマウ
スモノクローナル抗体等を含浸させておけば妊娠診断を
直接的に行うことができる。

【００２６】ケース内の水分吸収体は脱脂綿、親水性繊
維の不織布等、吸水性、弾力性に富むものが好ましく、
脱脂綿と不織布を重ねたような積層品も使用できる。こ
こで用いられる水分吸収体は判定紙の裏面と接触するよ
うに配置され、判定紙上面に達した尿が判定紙を透過し
て吸引吸収される。従って、ケース内で上に判定紙を下
に水分吸収体の２層として、検体が判定紙に先ず接する
ことが大切である。

【００２８】ケース内の重りは別部材を設けてもよく、
ケース自体を肉厚に成形してもよく、その手段は検査具
本体のバランスが取れれば特に限定されるものではな
い。また、重りの材料も特に指定されるものではなく、
嵩張らず、適当な重さを有するものであればよい。

【００２９】なお本発明の検査用器具は尿検査において
好ましいものであるが、血液・唾液など尿以外の液状検
体を検査する場合に用いても差支えない。

【００３０】

【作用】本発明の検査用器具は検体採取部と検査部を一
体化又は一つに組み立てたものであるため部品数が少な
く、そのため組立工程を簡略化でき、各部品の精度を高
くすることができ、器具の嵩を小さくできる。更にまた
押圧手段が蓋をするだけという単純な操作であり、確実
に検体を判定紙に移行させることができ、判定プレート
を引き出す手間がなく、反応結果をケースの外から肉眼
で確実に判定できる。

【００３１】

【発明の効果】本発明によれば、操作が容易でかつ検体
が手に触れることなく衛生的に処理できる検査用容器を
提供することができる。また、肉眼により信頼性の高い
判定ができる。

【００３２】

【実施例】本発明の検査用器具の使用方法を図面により
説明する。図１〜図５は本発明の検査用器具の一例を示
す断面図である。図１のように、検査具本体１２は柄１
とケース１３がプラスチツクを用いて一体成形で作られ
たもので、重り２１を用いて全体のバランスが取ってあ
る。まず、図２の状態から蓋１８を取り外し検体採取部
８に直接尿等をかける。すると検体採取部８は図３の様
に膨潤する。この柄１に蓋７を挿嵌し、被係止部７と第
一係止部１０を当接させたものが図４である。次に図５
に示す様に、被係止部７を第二係止部１１まで移動させ
押部９で検体採取部８を押圧し尿検体を絞り出す。例え
ば採尿時間が４〜７秒とすれば、本発明でセルロース系
の検体採取部を採用すれば僅か３秒で必要とされる約
０．５５ｍｌの採尿量が確保される。尿検体は試薬紙３
と突出部２に載置されたフィルター３を透過しながら、
柄１の内壁を伝わって判定紙５に到達し、抗体と反応す
る。反応に関与しない水分は水分吸収体６に吸収され
る。

【００３３】一定時間経過後、判定窓２０から見える判
定紙５の色の変化により結果を肉眼判定できる。例えば
妊娠中であれば尿中にｈＣＧ（ヒト繊毛性性腺刺激ホル
モン）が排泄されるので、試薬紙３にマウスモノクロー
ナル抗体を含浸しておけば抗原抗体反応によりｈＣＧが
捕捉される。捕捉されたｈＣＧは検出試薬中の例えば金
コロイド標識された抗体によって検知され、金コロイド
粒子によって判定紙５が直ちに赤紫色に着色される。陰
性の場合はｈＣＧが検知されないため、着色は見られな
い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の検査用器具の一例を示す断面図であ
る。

【図２】本発明の検査用器具の蓋装着時の一例を示す断
面図である。

【図３】本発明の検査用器具で検体を採取した時の検体
採取部の一例を示す断面図である。

【図４】本発明の検査用器具の検体採取部に検体を採取
し、蓋を第一係止部まで挿嵌した時の一例を示す断面図
である。

【図５】本発明の検査用器具の検体採取部に検体を採取
し、蓋を第二係止部まで挿嵌して検体採取部を押圧した
時の一例を示す断面図である。

【図６】従来の検査用容器のケースを開いた状態を示す
平面図である。

【図７】従来の検査用容器のスティックを示す背面図で
ある。

【符号の説明】

１ 柄 ２ 突出部 ３ 試薬紙 ４ フィルター ５ 判定紙 ６ 水分吸収体 ７ 被係止部 ８ 検体採取部 ９ 押部 １０ 第一係止部 １１ 第二係止部 １２ 検査具本体 １３ ケース １４ 凸部（押圧手段） １５ 反応終了確認窓 １６ 判定プレート １７ スティック １８ 蓋 １９ 収容部 ２０ 判定窓 ２１ 重り

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 検査具本体と前記検査具本体の先端に
   挿嵌する蓋からなり、前記検査具本体は判定紙および水
   分吸収体を収納し、判定窓が設けてあるケースと、前記
   ケースを基にして斜めに延び、試薬紙とフィルターを積
   層状に収納した中空状の柄とを備え、かつ、上記柄内に
   上記フィルターを載置できる突出部があり、上記柄の先
   端に吸水率大の部材からなる検体採取部が嵌入された検
   査用器具であって、上記蓋の押部と上記突出部との間で
   検体採取部を押圧して検体を絞り出し、検体と試薬を反
   応させながら判定紙上に移行させることを特徴とする検
   査用器具。