JP3753282B2 - 検査用デバイス - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、唾液、血清、血漿、尿、便、羊水、或いはミルクなどの生物学的液体試料又はそれらの希釈液のような液体試料中に含まれる特定成分の有無又はその量的割合を検出、測定することにより検査するためのデバイスに関し、より詳しくは生物学的液体試料又はそれらの希釈液のような液体試料中の特定成分と特異的に結合する移動性標識成分を用いることにより液体試料中の特定成分の有無やその量的割合を検出、測定するために用いる検査用デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
固体粒子や多孔質体を配置したカラムや棒状、或いはシート状の細片等の形をした試験用具は簡便且つ迅速に使用できるため、工業的液体や生物学的液体のような各種液体試料の分析や診断に使用されている。これらのうち初期の段階の試験用具は液体吸収性の多孔性マトリックスからなるもので、その端部に含浸、吸収された被検液体試料をその毛細管作用を利用して浸透させ、カラムや細片等の途中に予め配置された発色性の指示薬等の応答を観察することにより、被検液体中における特定成分の有無や量的割合を検知し分析するものである。
【0003】
その後、数種の試験反応を予め定められた順序で起こさせる試験用ストリップ(細片)も開発された。例えば米国特許第3,011,874号に記載の試験用ストリップにおいては、長手方向に順次複数の帯域を有し、その一態様例としては第1番目に液体試料中に浸漬するための空帯域(BLANK BAND)、続いて順次反応帯域(REACTION BAND)、ガス放出帯域(GAS LIBERATION BAND)、空帯域(BLANK BAND)、障害帯域(BARRIER BAND)及び指示帯域(INDICATOR BAND)という分割された紙片から構成されている。
【0004】
この点、特開昭53ー47894号公報においてはさらに改善された。ここには液体試料を長さ方向に毛細管現象によって移行させることができる材料で構成された細長い細片からなり、被検液体を適用する始端区域、中間区域及び終端区域を備えるとともに、該中間区域の予め定められた位置に永久的に固定、配置された試料受容区域を含み、毛細管現象によって展開液(液体試料)を移送できる材料からなるシート状細片を含む診断用デバイスが記載されている。この細片の材質としてしは炉紙、各種のフェルト、布、ゲル、高分子をはじめとする天然又は合成の物質からなるメンブレン或いはフィルムなどが使用される。
【0005】
上記診断用のデバイスにおいては、予め定められた量の移動性の標識体及び固定形をした特異的結合手成分が細片中に間隔を置いてそれぞれの区画に包含させられている。使用に際しては展開液がその始端区域から細片中を長手方向に進むに従って試料と移動性標識体とが混合されて運ばれ、該固定された結合対手成分すなわちパートナー成分と接触し、その時、標識体及び試料中のリガンド(特定成分)が競争して結合対手成分と結合する。首尾よく結合対手成分に結合した移動性標識体の部分は、該区画において固定されることとなり、その標識体により被検物質の有無或いはその量が検出される。
【0006】
この種の診断用デバイスにおける被検液体を適用する始端区域には、常法に従い、尿などの被検液体の吸収を容易にするために適宜いわゆるウイック(液体吸収体、スポンジ、灯芯など)が設けられ、またその細片には必要に応じて補強用の支持細片(裏打ち部材)が設けられる。また特開昭61ー145459号公報では、複数枚のシート(試料を適用するシートを含めると少なくとも3枚が必要とされる)をオーバーラップさせながら連結して作用領域が形成され、生物学的流体中の被分析物の検出や定量測定に用いられる固体診断デバイスが記載されている。この固体診断デバイスは、説明の仕方は異なるが、連結用シートとして少なくとも3枚以上が必要である点を除き、上記特開昭53ー47894号公報に記載のものと基本的に同じものであり、しかもこれらの診断用デバイスは、携帯性や使用者の使用時における簡便さ、さらに衛生面などについては何も配慮されていない。
【0007】
また特表平1ー503174号公報には、上記と同種のシート状細片を不透湿性固体材料からなる箱型の中空ケーシング中に収容し、乾燥状態で保存されてなることを特徴とする分析試験装置が記載されている。この分析試験装置では、その使用前には試料付与用の露出されている多孔質部材にキャップを嵌め、使用時にキャップを外して該多孔質部材に試料を付与した後、さらにキャップを嵌め直して試験結果を観察するものである。しかし、このような分析試験装置では、箱型中空ケーシングとしているためカサ張るだけでなく、別途キャップが必要であるため使用材料が多く、コスト高となり、また試験に際してキャップの取り外しなど手間がかかり、更には使用済み廃棄物の量も多くなるなどの問題がある。
【0008】
また、特開平5ー87807号公報には、尿採取部、試薬部、基材部、判定部の複数の部材とこれら複数の部材を一体的に固定する固定部材を有し、さらに固定部材がスライド可能となる外側筒部材を備え、固定部材が外側筒部材内をスライドすることにより尿採取部あるいは判定部が外側筒部材より露出することを特徴とする妊娠検査具が記載されている。この妊娠検査具では、予め尿採取部と判定部が外側筒部材内に収納されており、尿を採取する場合は、固定部材を一方向にスライドさせることにより尿採取部を露出させ、さらに判定する場合は、固定部材を前記方向とは逆方向にスライドさせて判定部を露出させるものである。しかしこのような妊娠検査具では、外側筒部材を使用し、また尿採取部、試薬部、基材部、判定部等の複数の部材を使用し、さらにこれら複数の部材の側面及び底面を覆うことにより一体化する固定部材を使用しているため、カサ張るだけでなく、使用材料が多くコスト高となる。また尿を採取するために固定部材をスライドさせ、尿採取部を外側筒部材から露出させた後、次いで判定するためには、固定部材を持ち逆方向へスライドさせ判定部を露出させなければならず、不衛生的で、しかも操作が複雑である。
【0009】
このほか特開平8ー94617号公報には、ホルダの一側にその基端部が挿入された棒状の尿吸収体と、前記ホルダ内に設けられるとともに、前記尿吸収体の基端部に連結された尿の診断を行う診断片を備え、前記ホルダに前記尿吸収体の基端部と前記診断片とを収容する凹部と、この凹部の上端部周終縁に設けられたフランジ部とを有するトレーと、前記トレーのフランジ部に接着された透明フィルム部とを有する携帯用診断装置が記載されている。
【0010】
上記携帯用診断装置においては、市販の診断装置ではホルダ全体がインジェクション成形等により成形されたプラスチック成形品で構成され、透視窓にも別途透明プラスチック部品が用いられていることから、製品のプラスチック材料の使用量が多く、使用後の廃棄物処理上好ましくない上にコストも高くなってしまうのを改善したというものである。また尿吸収体には発色性の尿濡れチェッカー部が配置され、尿の吸収如何を確認するようにされている。しかしこのような形式の携帯用診断装置では、始端部から終端部までの長さが短かいため、これを実際に使用するに際して、その取扱上支障を来たし不便であるばかりでなく、尿吸収体を含むデバイス全体を別途硬質の包装材により保護する必要がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明においては、被検液体を適用する始端区域、中間区域及び終端区域を備えるとともに、該中間区域の予め定められた位置に永久的に固定、配置された一つ又は二以上の結合対手成分を含み、毛管現象によって被検液体を移送できる材料からなるシート状細片を含む検査用デバイスにおいて、別途シート状細片を把持するための把持体を設け、これに使用前にはシート状細片把持用の役目を果たさせるとともに、使用時においては、シート状細片をスライドさせることで、その長さを延長させ自在に調整可能にするようにすることにより、コンパクト且つ衛生的で、しかも従来における上記諸欠点を一挙に解決してなる検査用デバイスを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、始端区域、中間区域及び終端区域を備え、毛細管現象によって被検溶液を移送できる材料で構成された一枚又は連結した複数枚のシート状細片からなり、該始端区域の始端部には被検溶液を含浸、吸収させるためのウイックを備えるとともに、該始端区域の終端部に移動性標識成分を含み、且つ該中間区域の予め定められた位置に順次間隔を置いて永久的に固定、配置された一つ又は二以上の結合対手成分を含んでなる検査用デバイスであって、該シート状細片又はウイックの一部又は全部を含めたシート状細片が保持体により保持され、シート状細片又はウイックの一部又は全部を含めたシート状細片を保持した該保持体が、両側に帯状の把持部を備えたシート状又は扁平袋状把持体にスライド可能に把持されてなることを特徴とする検査用デバイスを提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の検査用デバイスは、毛細管作用又はクロマトグラフィー作用(本明細書中、両者を含めて適宜毛細管現象、毛細管作用等と指称する)によって展開液すなわち被検溶液を移送できる材料からなる一枚のシート状細片又は連結した複数枚のシート状細片とこれを支持する支持体を含んで構成される。シート状細片は被検溶液を適用する始端区域、中間区域及び終端区域を備えるとともに、該中間区域の予め定められた一つ又は二つ以上の位置にそれぞれ永久的に固定、配置された結合対手成分を含み、その被検液体を適用する始端区域には被検溶液を含浸させるための溶液吸収体すなわちウイックが当接される。なお始端区域、中間区域及び終端区域とはシート状細片における相対的な位置関係を指称したものである。
【0014】
シート状細片における該始端区域のウイックが当接されている部位と相対する側には移動性の標識成分又はトレーサー(本明細書中、適宜移動性標識成分という)が配置されている。なお、移動性標識成分の配置箇所は中間区域の始端区域側であってもよい。移動性標識成分は、液体試料中の特定成分と抗原ー抗体反応により特異的に結合する成分からなり、常温固体で水やアルコール等の溶媒に可溶であるか又はこれら溶媒により毛細管中を移動可能な物質、例えば金や銀、或いはセレンのような金属又は無機粒子、フルオレセイン、ローダミンのような蛍光標識、赤血球、ラテックス粒子、着色又は有色ラテックス粒子のような色素標識、βーガラクトシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼのような酵素標識、或いはそれらの混合体などで標識したものが挙げられ、これらは表面処理によりモディファイされたものでもよい。これら移動性標識成分は試料溶液の含浸時に試料液体に伴われて移動される。また、中間区域には試料溶液中の該特定成分、或いは移動性標識成分と特異的に結合する一つ又は二つ以上の成分が順次間隔を置いて永久的に固定され、配置されている。
【0015】
ウイックに対して被検溶液(=試料溶液)を含浸させると、毛細管現象により浸透し、被検溶液中の一種又は二種以上の特定成分が途中に配置されている移動性標識成分と特異的に結合する。試料溶液は▲1▼被検溶液中の一種又は二種以上の特定成分(第一の特定成分、第二の特定成分、第三の特定成分・・・)と特異的に結合した移動性標識成分と▲2▼無結合の移動性標識成分とを伴いながら中間区域の第一の結合対手成分の箇所に至り、▲1▼標識成分と結合した第一の特定成分が第一の結合対手成分と例えば抗原ー抗体反応(サンドウイッチ法など:この場合の抗原とは第一の特定成分を示し、抗体とは第一の結合対手成分を示す)により結合して標識成分を固定し、集積させることにより第一の特定成分の有無や量的割合などが検知される。なお、被検溶液中に第一の特定成分が含まれていないか所定量以下のときは例えば無と検知される。
【0016】
次に試料溶液は、残余のすなわち▲1▼第一の特定成分以外の特定成分(第二の特定成分、第三の特定成分・・・)と特異的に結合した移動性標識成分と▲2▼無結合の移動性標識成分とを伴いながら中間区域の第二の結合対手成分の箇所に至る。ここで▲1▼標識成分と結合した第二の特定成分が第二の結合対手成分と例えば抗原ー抗体反応により結合して標識成分を固定し、集積させることにより第二の特定成分の有無や量的割合などが検知される。なお、被検溶液中に第二の特定成分が含まれていないか所定量以下のときは例えば無と検知される。
【0017】
以降、上記と同様にして第三の特定成分、第四の特定成分・・・の有無や量的割合などが検知された後、試料溶液は▲2▼無結合の移動性標識成分を伴いながら最終の結合対手成分の箇所に至り、ここで無結合の移動性標識成分が最終の結合対手成分と例えば抗原ー抗体反応(この場合の抗原とは移動性標識成分を示し、抗体とは最終の結合対手成分を示す)により特異的に結合することにより、標識成分を固定、集積させることにより、以上の一連の試験が終了したことが確認される。なお、試料溶液中検査しようとする特定成分が一種である場合には、中間区域には第一の結合対手成分と第二の結合対手成分とが配置され、第一の結合対手成分の箇所で該特定成分の有無や量的割合などが検知され、第二の結合対手成分の箇所では試験が終了したこと及び/又は試験が正確に実施されたことが確認される。
【0018】
本発明におけるシート状細片としては、溶媒(水、アルコール等)及び被検成分が浸透可能な多孔質又は毛細管構造を有し、被検溶液が展開でき且つ移動性標識成分が移動し得る材料であれば使用でき、各種材質のメンブレン或いはフィルムで構成される。その例としては各種炉紙、クロマトグラフィー用紙などのシート、各種のフェルト、織布や不織布などの布、ガラス繊維などが挙げられるが、これらのうちより好ましくは有機多孔質体が用いられる。この例としてはセルロースなどの天然繊維、セルロースアセテートなどの半合成繊維、ニトロセルロースなどのセルロース誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステルなどの合成繊維などで形成された繊維集合体、多孔質ポリプロピレン、多孔質ポリスチレン、多孔質ポリメタクリル酸メチル、多孔質ナイロン、多孔質ポリスルフォン、多孔質フッ素樹脂、親水性基を導入されたフッ化ポリビニリデン等の多孔質合成樹脂などを挙げることができる。
【0019】
これら材質からなるメンブレン或いはフィルムすなわちシート状細片は、被検溶液を適用する始端区域、中間区域及び終端区域が備えられる。該始端区域には移動性標識成分が配置され、該中間区域の予め定められた位置には順次第一の結合対手成分、第二の結合対手成分、第三の結合対手成分・・・がそれぞれ永久的に固定、配置される。そして第一の結合対手成分、第二の結合対手成分、第三の結合対手成分が配置された各箇所ではそれぞれ被検溶液中の特定成分の有無又は量的割合が判定、検査され、最終端の結合対手成分が配置された箇所では検査が終了したこと及び/又は試験が正確に実施されたことが確認される。
【0020】
本発明においてはシート状細片は保持体により保持される。この保持体はシート状細片を保持し、把持体に対してスライドさせ得る材質であれば特に限定はなく、例えば各種プラスチック製のシート(プラスチックシート)や硬質紙、アルミ製等の金属(合金を含む)製シート、例えば異質又は同質の複数の紙を張り合わせた(貼り合わせた)複層紙、プラスチックシートと紙とを張り合わせた(貼り合わせた)もの、紙と金属製シートを張り合わせた(貼り合わせた)もの、プラスチックシートと紙と金属製シートを張り合わせた(貼り合わせた)もの、紙に防水用等のコーティングを施したものなどにより構成される。この保持体によるシート状細片の保持は、その内面にシート状細片の適当箇所、例えば終端区域(最終端の結合対手成分が配置された箇所より後方)の適当箇所の上面を貼着し固定することにより行うことができる。シート状細片には、順次、移動性標識成分、第一の結合対手成分、第二の結合対手成分、第三の結合対手成分・・・が配置され、それら結合手成分が配置された各箇所において被検成分の有無又は量的割合などの判定並びに検査終了及び/又は試験が正確に実施されたことが確認されるが、保持体にはこれら箇所に対応して順次一つ又は二つ以上の判定窓及び確認窓が設けられる。
【0021】
本発明のデバイスによって検出、測定できる被検成分としては唾液、血清、血漿、尿、便、羊水、或いはミルクなどの生物学的液体試料又はそれらの希釈液のような液体試料中に含まれる各種成分が挙げられる。その例としては、例えばジランチン、ジゴキシン、モルフィン、ジギトキシン、バルビツール酸塩類、カテーコールアミン類、グルテチミン、コカイン、ヘモグロビン、ジフェニルヒダントイン、トランスフェリン、メルボマメート、ベンズジアゾシクロヘプタン類、フェノチアジンのような薬剤、ビオチン、ビタミンB群、ビタミンA、ビタミンD類、ビタミンE、ビタミンK、葉酸、アスコルビン酸のようなビタミン類、チロキシン、インシュリン、絨毛性ゴナドトロピン、黄体形成ホルモン、トリヨードチロニン、エストリオール、テストステロン、アンドロステロン、エクイレニン、エストロン、プロゲストロン、プログネノロン、コーチゾール、17ーヒドロキシデオキシーコルチコステロン、アルドステロンのようなホルモン類、結合グロブリン、アビジン、内因子及びトランスコバラミンのような結合タンパク質類、細菌、プロトゾア、カビ、ウイルス、高等動物に由来する各種細胞、各種殺虫剤、殺菌剤、線虫撲滅剤、廃液又は工業的液体中の各種有機及び無機成分などを挙げることができる。これらのうち例えばヘモグロビン、トランスフェリンの場合は便潜血検査のための診断用デバイスとして、絨毛性ゴナドトロピンの場合は妊娠検査のための診断用デバイスとして、また黄体形成ホルモンの場合には排卵検査のための診断用デバイスとして用いられる。
【0022】
【実施例】
以下、図面に基づき本発明をさらに詳しく説明するが、本発明がこれら実施例に限定されないことはもちろんである。図1〜図10は本発明の検査用デバイスの実施例を示す図である。図1は保持体により保持されたシート状細片(デバイス本体)を示す図、図2はシート状細片の各種態様例を示す図、図3は保持体3に保持されるシート状細片(メンブレン)の各種態様例を示す図、図4はデバイス本体を保持した保持体を把持するための把持体を示す図、図5は把持体に対して保持体(シート状細片を保持している)を把持した本発明の検査用デバイスを示す図、図6は本検査用デバイスの使用態様を示す図、図7は図1〜図6に示す態様の保持体及び把持体に係止機構を設けてなる態様を示す図である。さらに図8〜図10は本発明の検査用デバイスの他の態様を示す図である。なお、以下においては、判定窓を一つ設ける場合について述べているが、判定窓を二つ以上設ける場合についても同様である。
【0023】
まず図1(a)は、シート状細片を保持体により保持してなるシート状細片の平面図、図1(b)〜(c)は図1(a)中AーA線に沿う横断面図であり、図1(d)はその裏面を示している。図1(a)〜(c)において、1はデバイス本体、2はウイック、3は保持体である。シート状細片1は一枚のシート状細片(前述のとおり各種炉紙、織布や不織布などの布、フィルム、メンブレンその他:以下これらを含めて適宜メンブレンとも指称する)からなり、保持体3により保持されるが、保持体3はプラスチック製や硬質紙製やアルミ製その他の金属製シート、或いはこれらの積層体からなる板状体として構成される。
【0024】
メンブレン1の幅については、特に限定はないが、好ましくは2〜20mm程度、より好ましくは3〜10mm程度で構成される。またメンブレン1の長さについては、好ましくはメンブレン1から延長したウイック2の部分をも含めて50〜200mm程度、より好ましくは80〜150mm程度に構成される。このメンブレン1を保持する保持体3は、その幅を例えば10〜40mm等、メンブレン1の幅に比して相対的に大きくし、その裏面でメンブレン1を長手方向に保持するようにする。保持体3の幅をメンブレン1の幅に比してそのように相対的に大きくすることにより、デバイス使用時の取り扱い操作を容易に行うことができる。またこの場合、図示の態様例においてはメンブレン1は保持体3により固定部材4で固定され保持されている。固定部材4としてはその固定目的を達し得る材質、例えばプラスチック、紙、硬質ゴム等を用いるが、多孔性材料、例えば硬質ないし半硬質のスポンジなどで構成すれば、ウイックに適用され含浸される被検溶液の吸引促進作用をも持たせることができる。この点は以下に述べる固定部材4についても同様である。
【0025】
メンブレン1には順次移動性標識成分(被検溶液中の特定成分と特異的に結合する)5、永久的に固定された第一の結合手成分(標識成分と特異的に結合した被検溶液中の特定成分と特異的に結合する)6、永久的に固定された第二の結合手成分(被検溶液に伴われてくる移動性標識成分と特異的に結合する)7が配置されている。図示のとおり、保持体3には第一の結合手成分6及び第二の結合手成分7の位置に対応して、それぞれ順次判定窓8、終了確認窓9が設けられている。なお、固定結合手成分は、図示の例では間隔を置いて二つ配置しているが、検査しようとする被検溶液中の特定成分の数に応じて三つ以上の結合手成分を配置し、複数の被検出成分を同時に検出、分析することができる。この場合には各結合手成分の固定位置毎に判定窓が設けられる。
【0026】
また、ウイック2は例えば濾紙、各種材質からなるスポンジ、多孔質のセルロースその他の水性溶液吸収性の物質で構成される。ウイック2は、デバイス本体すなわちメンブレン1の始端部分に当接、固定されるが、さらに必要に応じて例えば図1(b)中符号11で示す箇所でも固定され得る。またメンブレン1の裏面及び両側面を液体不浸透性の薄膜でシールすることにより、メンブレン1自体を保護し、デバイス使用時等において被検液体がふりかかるのを回避することができる。図1(b)〜(c)中12はそのシール薄膜を示している。
【0027】
メンブレン1には必要に応じて補強用の支持細片すなわち裏打ち部材が設けられる。図1(c)中符号13はその裏打ち部材である。この裏打ち部材13は、上記のようにメンブレン1の裏面をシールする場合には、そのシール面に対して貼付することにより行うことができる。また裏打ち部材13は、図1(c)ではウイック2の先端部に相当する位置まで施しているが、保持体3の長さ分だけ施してもよい。なお、図1中符号10として示す部分は、保持体3で保持されたメンブレン1を後述把持体14に対してスライドさせるに際して押圧箇所の目安となる箇所であり、必要に応じて表示又は形成されるが、それが必要な場合には印刷や線状凹凸等により表示、形成される。
【0028】
保持体3は、各種態様を採ることができる。例えばその両端部又は一端部を開放した扁平袋状に構成し、その中にメンブレン1を嵌挿し、固定するようにしても差し支えない(その後、その一端部又は両端部をシールしてもよい)。図2はその一態様例を示すもので、図2(a)はその平面図、図2(b)は図2(a)中AーA線で切断した断面図、図2(c)は裏面図、図2(d)は図2(a)中BーB線で切断した断面図である。このうち図2(d)は図2(a)〜(c)に比べて相対的に拡大して示している。また図1と共通する部分については同じ符号を用いており、この点以下においても同様である。
【0029】
図示のとおり、保持体3を扁平袋状に構成し、その中にメンブレン1(上記シール及び/又は裏打ち部材を施した場合はこれらを含む)を固定し保持するようにする。この態様の場合、特に図2(d)から明らかなとおり、その上下両面の間隔をメンブレン1(なお、シールをする場合にはこれを含む)及び裏打ち部材13並びにウイック2の各厚さを合わせた厚さとし(該間隔は該合計厚さに比べて余裕を持たせることもできる)、ウイック2を含むメンブレン1はその間に嵌挿、固定される。なお、保持体3の両側端部〔図2(d)中符号Kとして示す〕の形状は後述把持体の空隙Sの両側端部の形状に合わせた形状に構成される。
【0030】
本検査用デバイスを使用するに際しては、ウイック2に被検溶液を含浸させると、被検溶液がメンブレン1中を毛細管作用により浸透し、まず移動性標識成分5が配置された位置に至る。ここで被検溶液中の特定成分が移動性標識成分5と例えば抗原ー抗体反応により特異的に結合する。次いで被検溶液は(A)該特定成分と特異的に結合した移動性標識成分と(B)特定成分と結合しない残余の移動性標識成分5を伴いながら、永久的に固定、配置された第一の結合手成分6の箇所に至る。ここで(A)移動性標識成分と結合した該特定成分が第一の結合手成分と結合して標識粒子5が固定されて集まるが、これによる標識成分による色調変化を判定窓8で観察することにより特定成分の有無又は量的割合が検知される。
【0031】
被検溶液はさらに第二の結合手成分の箇所7に至り、ここで(B)特定成分と結合しない残余の移動性標識成分5が第二の結合手成分と特異的に結合して標識粒子5が固定されて集まるが、これによる標識成分による色調変化を確認窓9で観察することにより検査が終了したことが確認される。一方上記において被検溶液中に特定成分が存在しない場合には、被検溶液は(B)特定成分と結合しない移動性標識成分5を伴って第一の結合手成分6の箇所を通過して第二の結合手成分の箇所7に至る。ここで(B)移動性標識成分5が第二の結合手成分と特異的に結合して標識粒子5が固定されて集まり、検査が終了したこと及び/又は試験が正確に実施されたことが確認される〔この場合には、検査の結果、特定成分がない(或いは特定成分があっても量的割合が少ない)ことが確認される〕。
【0032】
図3は、保持体3に保持されるデバイス本体(シート状細片=メンブレン)の各種態様例を示したものである。図3(a)の例ではメンブレン1を保持体3と同じ長さ又はほぼ同じ長さとし、図3(b)の例ではメンブレン1の後部を短かくし、その先端部をウイックの先端部まで延長させた場合であり、保持体3に対する固定は判定窓9の近辺で固定部材4により行われる。また、図3(c)の例では、メンブレン1の先端部を保持体3の先端部と同じ長さ又はほぼ同じ長さとし、その後部を図3(b)の場合と同様短かくして構成したものである。これら何れの態様でも、前述図1(b)〜(c)の場合と同じく、メンブレン1は必要に応じてシールすることができ、また裏打ち部材を施すことができる。
【0033】
図3(d)〜(f)は、ウイック2をメンブレン1に対して上下逆位置に配置した場合の態様である。これら図3(d)〜(f)の態様では、メンブレン1中に配置された第一の結合手成分及び第二の結合手成分に対応して保持体3に判定窓8及び確認窓9が配置される点では変わりはないが、メンブレン1の上面と保持体3(上面)との間にウイック2の厚みに相当する間隔が不要であるため、これら両窓を通して見られる変化がより見易いという利点等がある。一方メンブレン1の下部にウイック2の厚みに相当する空間が生じることになるので、保持体としては図2に示す態様の保持体を用いるのが好ましい。なお、これらの態様の場合にもメンブレン1に対して必要に応じてシールすることができ、また裏打ち部材を施すことができる点については上記と同様である。
【0034】
次に、上記のようにメンブレンを保持した保持体(以下、適宜デバイス本体と指称する)は把持体に対してスライド可能に把持される。図4(a)はデバイス本体用把持体の一態様例を示す平面図(上方から見た図)である。図4中14は把持体、15はその本体であり、16はその両側から帯状に延びる袖部である。袖部の幅は適宜に選定でき、また両袖部の一部についてはその両側から連結しても差し支えない。図示のとおり、把持体の本体15の面と両袖部16の面とは、その間に保持体の厚みとデバイス本体1の厚みとを合わせた厚みと同じか又はその厚みより僅かに余分の間隔を保つようにし、且つ本体15の面と両袖部16の面とが平行又はほぼ平行となるように折り曲げられる。
【0035】
図4(b)〜(c)は、図4(a)中CーC線で切断した部分の横断面図であり、該折り曲げ部分の好ましい一、二の態様例を示している。符号Sはその空隙部分であり、ここにデバイス本体がスライド可能に嵌挿される。図4(b)〜(c)のとおり、袖部16は断面コ字状又は断面半台形状に折曲げられ、その空隙Sの厚さは保持体3の厚みとメンブレン1の厚みを合わせた厚みと同じか又はその厚みよりも僅かに厚くなるように形成され、これによって把持体14に対するメンブレン1の移動がより円滑に行えるようにすることができる。把持体14を構成する本体15の材質と両袖部16の材質とは同一でも異なってもよく、プラスチック製や紙製、或いは金属製などの材料で構成するが、好ましくは同一の材料で一体に形成される。
【0036】
把持体14の本体15と両袖部16により保持体3で保持したメンブレン1を把持し、また使用時に把持体14に対して保持体3で保持したメンブレン1を相対的にスライドさせ、移動させることになる。このため把持体の本体15及び両袖部16の内面は保持体3で保持されたメンブレン1を円滑に移動するようにしておく必要があり、このため保持体3及びメンブレン1(シート状細片)の材質に応じて適宜滑りのよい材質が選定される。なお、符号17で示す部分は前述保持体3(含:メンブレン1)の対応部分10との対応部分であり、これは使用前における把持体14への保持体3(含:メンブレン1)の納まり具合いなどの目安となる。当該部分17は、必要に応じて表示又は形成されるが、それが必要な場合には印刷や線状凹凸等により表示、形成される。
【0037】
本発明においては、把持体14に対してデバイス本体を把持し、使用前には把持体14内にデバイス本体1を納めて包むようにするが、図5はその把持状態を示した図である。図5(a)に示すとおり、メンブレン1を保持した保持体3は把持体14の本体15の両側から延びる袖部16により把持され、これによりメンブレン1は把持体14に対してコンパクトに納められる。図5(b)はその裏面を示た図であり(この裏面は図3に示すものの裏面にも相当している)、この裏面には必要に応じて本デバイスの使用の仕方、メンブレン1の判定窓や終了確認窓に現れる現象等が記載されてもよい。なお両袖部16は、相対してその間に開口を有するが、使用時にデバイス本体を把持体14に対してスライドさせて移動させる範囲に相当する開口部分を除き一体化してもよい。
【0038】
図6は、本検査用デバイスの使用態様を示す図である。このうち図6(a)は本デバイスの使用前の状態を示し、図6(b)は使用時の状態を示している。使用前の状態である図6(a)の状態のものを、保持体3で保持したメンブレン1をその把持体14との対応部分10又はその近辺を軽く押圧しながら、把持体14に対して相対的にスライドさせ、移動させることにより図6(b)の状態とする。なお、図6(a)中矢印(←→)はそのスライド時における両者(保持体3と把持体14)の相対的移動方向を示している。
【0039】
本検査用デバイスは、図6(b)の状態とした後、把持体14を持ち、尿その他の被検溶液をウイック2にかけて含浸させることにより使用される。このほか被検溶液を適当な容器に収容し、該収容被検溶液にウイック2の部分を漬けて含浸させるなど適宜の手法で使用してよいことは勿論である。なお、図6(b)の状態は、デバイスとしての使用準備が終了した状態であるが、上記使用時の状態を含むものとして記載しており、この点以下の態様例についても同じである。
【0040】
本発明の検査用デバイスの長さは、図6(b)の状態としたときに80〜400mm程度、好ましくは100〜300mm程度、さらに好ましくは120〜230mm程度となるようにする。前述のとおりメンブレン1の長さについては、好ましくはメンブレン1から延長したウイック2の部分をも含めて50〜200mm程度、より好ましくは80〜150mm程度に構成される。このため把持体自体の長さを少なくともそれ以上とすればデバイス使用時における取り扱いが格段に容易となり、これによる検査をきわめて衛生的に行うことができる。また、前述のとおりメンブレン1を保持する保持体3の幅は、例えば10〜40mmというように、メンブレン1の幅に比して相対的に大きく構成されるが、把持体の幅については少なくともそれ以上とする。これら寸法については本発明における他の態様の場合についても同様である。
【0041】
本発明に係る検査用デバイスでは、使用前及び使用時における、把持体に対する保持体の位置決めを容易にするため、さらに係止機構等の各種構造を設けることができる。図7〜図9はそのうちの幾つかの態様例を示す図である。まず図7(a)の態様では、図中符号18として示すように、保持体3の両側の中間部分を切り込んで凹状に形成する。符号19、20はその両端部分である。一方、図7(b)中符号21として示すように、把持体14の両側部内部に凸起(突起)を設ける。この突起21は該両側凹部18の両端部分間に介在して保持体3のストッパーの役割を果たすものである。図7(c)は把持体14に対して保持体3を嵌挿し、検査用デバイスとしての使用前の状態を示しているが、凸起21は凹状部18の端部19の部分に当接して係止されている。図7(d)は検査用デバイスとしての使用時の状態であるが、凸起21は凹状部18の端部20の部分に当接して係止される。
【0042】
次に、図8の態様においては、把持体14をその中に保持体3を含むデバイス本体を収容できる空間を備える扁平袋状に構成し、その両側縁部にデバイス本体の使用前の状態から使用時の状態における移動距離の分だけ開口した開口溝22が設けられる。一方保持体3には、その両側に操作用の突起24を設ける。図8(a)は把持体14の平面図、図8(b)は把持体14の側面図、図8(c)はデバイス本体の平面図であり、図8(b)中符号23は把持体14を構成する上下のシートを示している。把持体14に対してデバイス本体を嵌挿するが、この場合保持体3両側の操作用の突起24が把持体14の両開口溝22に嵌挿され、それぞれ外部に臨むように配置される〔図8(d)参照〕。
【0043】
使用時には、両突起24を図8(d)中矢印(←)のように移動させ、操作して把持体14に対して保持体3(デバイス本体)をスライドさせることにより、把持体14に対して保持体3が図8(e)に示す状態となるようにされる。なお操作用突起24は図8に示す態様では保持体3の両側に(二個)設けてあるが、何れか一側だけに設けるようにしてもよく、この場合には、把持体14の側縁部の開口溝22は、その突起に対応してその一側だけに設けられる。
【0044】
さらに図9の態様では、把持体14をその中に保持体3を含むデバイス本体を収容できる空間を備える扁平袋状に構成し、その中心線に沿って保持体3の使用前の状態から使用時の状態における移動距離の分だけ開口した開口溝25を設ける。一方保持体3には、その開口溝25に対応して操作用のつまみ26が設けられる。図9(a)は把持体14の平面図、図9(b)はデバイス本体の平面図、図9(c)は把持体14に対してデバイス本体をセットした後の平面図である。把持体14に対してデバイス本体を嵌挿するが、この場合保持体3の操作用つまみ26が把持体14の開口溝25に嵌挿され、該つまみ26が外部に臨むように配置される〔図9(c)参照〕。なおつまみ26は、その配置目的を達成し得るものであれば適宜の形状、構造を採ることができ、また符号27は保持体3に対するつまみ26の固定部材、例えばリベット等を示している。
【0045】
使用時には、つまみ26によりデバイス本体を図9(d)のように移動させ、操作して、把持体14に対して保持体3をスライドさせることにより、把持体14に対して保持体3が図9(d)に示す状態となるようにされる。なお、操作用つまみ26は図9に示す態様では保持体3の上面に設けてあるが、これは上下両面に設けるようにしてもよく、この場合には、把持体14の開口溝25は、それに対応してその上下両面に設けられる。
【0046】
本検査用デバイスは、以上例示した態様では図6(b)、図7(d)、図8(e)、図9(d)のような状態で使用するが、デバイスの長さを使用時にそのように長くすることができるため、その取り扱いが非常に容易である。ウイック2に被検溶液を含浸させると、被検溶液がメンブレン1中を毛細管作用により浸透し、まず移動性標識成分5が配置された位置に至る。ここで被検溶液中の特定成分が移動性標識成分5と抗原ー抗体反応により特異的に結合する。次いで被検溶液は移動性標識成分5(含:該特定成分と特異的に結合した移動性標識成分)を伴いながら、永久的に固定、配置された第一の結合手成分6の箇所に至る。ここで移動性標識成分と結合した該特定成分が結合手成分6と結合して標識成分5が固定されて集まるが、これによる標識成分による色調変化などを判定窓8で観察することにより特定成分の有無或いは量的割合が検知される。
【0047】
さらに図10は本発明の別の実施例である。この態様では、把持体14の幅を保持体3の使用時におけるスライド方向に向けて漸次狭めるように構成し、保持体3についても、把持体14の形状に対応して、保持体3の幅を少なくとも一部が右方部から左方部に向けて狭まるように形成し、デバイスとしての使用前には全体として把持体14に収納できるように構成される。本発明における把持体14としては、両側に帯状の把持部を備えたシート状の把持体の場合(図4〜図7参照)と扁平袋状の把持体の場合(図8〜図9参照)とがあり、図10にはこのうち把持体14を扁平袋状に構成する場合を例に示しているが、両側に帯状の把持部を備えたシート状の把持体の場合についても同様である。
【0048】
図10(a)はその把持体14の平面図である。図示のとおり、把持体14の幅が右方部から左方部に向けて(すなわちデバイス使用時における保持体3のスライド方向に向けて)漸次狭まるように形成される。これを逆に云えば、左方部から右方部に向けて相対的に広がるように形成される。また把持体14には、保持体3の使用前の状態から使用時の状態における移動距離の分程度だけ開口した開口溝28が設けられる。この場合、開口溝28の幅は左右一定としてもよく、把持体14の幅に対応して右方部から左方部に向けて漸次狭まるように形成してもよいが、図10(a)には後者の場合を示している。
【0049】
一方、保持体3についても、把持体14の形状に対応して、保持体3の幅を少なくとも一部が右方部から左方部に向けて狭まるように形成され、デバイスとしての使用前には全体として把持体14に収納できるように構成される。図10(b)はウイックを含む保持体3の平面図であり、保持体3は、メンブレン1を保持する等、基本的には図1〜図3に示すような構造を備えている。
【0050】
本実施例においては、保持体3のウイック2の側の端部の幅〔図10(b)中符号yで示す〕は、把持体14の幅〔図10(a)中符号xで示す〕より小とする必要があるが(x>y)、その端部以降(ウイック2側の端部以降)の幅は最右方部分に至るまで徐々に大きく形成してもよく、或いは途中まで同じ幅(y=z)又はほぼ同じ幅(y≒z)とし、それ以降最右方部分に至るまで徐々に大きく形成してもよい。図10(b)には後者の場合を示している。
【0051】
なお、図10中符号29で示す部分は、デバイスとしての使用前における把持体14への保持体3の納まり具合いなどの目安となり、またデバイスとしての使用時における把持体に対する保持体3のスライド用の押圧箇所の目安としてもよい。当該部分29は必要に応じて表示又は形成されるが、それが必要な場合には印刷や線状凹凸等により表示、形成される。また、把持体14の対応部分にも、図4〜図7中符号17で示すような印刷や線状凹凸等が必要に応じて表示、形成される。
【0052】
図10(c)〜(d)は本検査用デバイスの使用態様を示す図である。このうち図10(c)は本態様例の使用前の状態を示し、図10(a)に示す把持体14に図10(b)に示すデバイス本体を全体として収納した状態を示している。使用前の状態である図10(c)の状態のものを、保持体3で保持したメンブレンをその把持体14との対応部分29又はその近辺を軽く押圧しながら、把持体14に対して相対的にスライドさせることにより、図10(d)の状態とする。図10(c)中、矢印(←→)は、そのスライド時における両者の相対的移動方向を示している。
【0053】
図10(d)のとおり、把持体13の幅は左方向に向けて漸次狭くなり、これに対応して保持体3の幅も左方向に向けて漸次狭くなっているが、把持体14の幅をその長手方向の途中で保持体3の最大幅と一致するようにしてある。符号30はその一致箇所であり、保持体3は、把持体14に対して、当該1致箇所で係止される。その際、その一致箇所として、保持体3をスライドさせたときに判定窓及び終了窓が把持体14の最左端又は該最左端を僅かに出る程度となるように予め設計しておき、これによりその移動幅を調整することができる。
【0054】
【発明の効果】
本発明に係る検査用デバイスは、コンパクトで且つ携帯性に優れ、取り扱いがきわめて容易であり、しかも衛生的である。またデバイス構成材料の使用量を大幅に少なくできるため、その分コスト低減を図ることができるだけでなく、使用済み廃棄物処理の問題をも解決することができるなど各種有効な優れた利点、効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】保持体により保持されたデバイス本体を示す図。
【図2】デバイス本体の各種態様例を示す図。
【図3】保持体3に保持されるシート状細片(メンブレン)の各種態様例を示す図。
【図4】デバイス本体を保持した保持体を把持するための把持体を示す図。
【図5】把持体に対して保持体(シート状細片=デバイス本体)を把持した本発明の検査用デバイスを示す図。
【図6】本検査用デバイスの使用態様を示す図。
【図7】図1〜図6に示す態様の保持体及び把持体に係止機構を設けてなる態様を示す図。
【図8】本発明の検査用デバイスの他の態様を示す図。
【図9】本発明の検査用デバイスの他の態様を示す図。
【図10】本発明の検査用デバイスの他の態様を示す図。
【符号の説明】
1 メンブレン
2 ウイック
3 保持体(メンブレンの)
4 固定部材
5 移動性標識成分
6 永久的に固定された第一の結合手成分
7 永久的に固定された第二の結合手成分
8 判定窓
9 終了確認窓
11 ウイックと保持体との当接部分(又は当接、固定部分)
12 シール(薄膜)
13 裏打ち部材
14 把持体
15 把持体の本体
16 把持体の袖部
S 空隙(メンブレン1の嵌挿空間)
18 保持体3の両側の中間部分を切り込んだ凹状部
19、20 凹状部18の両端部分
21 凸起(突起)
22 開口溝
23 把持体(扁平袋状)14を構成する上下のシート
24 凸起(突起)
25 開口溝
26 つまみ
27 保持体3に対するつまみ26の固定部材
28 開口溝
30 係止箇所

Claims (8)

  1. 始端区域、中間区域及び終端区域を備え、毛細管現象によって被検溶液を移送できる材料で構成された一枚又は連結した複数枚のシート状細片からなり、該始端区域の始端部には被検溶液を含浸、吸収させるためのウイックを備えるとともに、該始端区域の終端部に移動性標識成分を含み、且つ該中間区域の予め定められた位置に順次間隔を置いて永久的に固定、配置された一つ又は二以上の結合対手成分を含んでなる検査用デバイスであって、該シート状細片又はウイックの一部又は全部を含めたシート状細片が保持体により保持され、シート状細片又はウイックの一部又は全部を含めたシート状細片を保持した該保持体が、両側に帯状の把持部を備えたシート状又は扁平袋状把持体にスライド可能に把持されてなり、且つ、上記両側に帯状の把持部を備えたシート状又は扁平袋状把持体の幅を該保持体のスライド方向に向けて漸次小さくしてなるとともに、該保持体の幅をそのスライド方向に漸次小さくしてなり、両側に帯状の把持部を備えたシート状又は扁平袋状把持体に対する保持体のスライド時において、保持体が両側に帯状の把持部を備えたシート状又は扁平袋状把持体の途中で係止されるようにしてなることを特徴とする検査用デバイス。
  2. 上記シート状細片が不透湿性薄膜でシールされてなるシート状細片である請求項1に記載の検査用デバイス。
  3. 上記シート状細片が補強用のシートで裏打ちされてなるシート状細片である請求項1又は2に記載の検査用デバイス。
  4. 上記シート状細片を保持した保持体がプラスチック製シート、硬質紙、金属製シート若しくはそれらの二種以上を積層したシートからなり、順次一つ又は二つ以上の判定窓と確認窓とが設けられてなる保持体である請求項1、2又は3に記載の検査用デバイス。
  5. 上記把持体がプラスチック製シート、硬質紙、金属製シート若しくはそれらの一種又は二種以上を積層したシートからなる把持体である請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の検査用デバイス。
  6. 上記保持体及び/又は把持体の全部又は一部分が不透湿性薄膜でシールされてなるものである請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の検査用デバイス。
  7. 上記検査用デバイスが体外検査用のデバイスである請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の検査用デバイス。
  8. 上記検査用デバイスが便潜血検査、妊娠検査又は排卵検査のための診断用デバイスである請求項7に記載の検査用デバイス。
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