JPH07211324A - 電極触媒組成物、電極材およびその製造方法 - Google Patents

電極触媒組成物、電極材およびその製造方法

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JPH07211324A
JPH07211324A JP6019916A JP1991694A JPH07211324A JP H07211324 A JPH07211324 A JP H07211324A JP 6019916 A JP6019916 A JP 6019916A JP 1991694 A JP1991694 A JP 1991694A JP H07211324 A JPH07211324 A JP H07211324A
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JP
Japan
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catalyst
fluorinated pitch
electrode
catalyst layer
pitch
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Application number
JP6019916A
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English (en)
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Toshiyuki Maeda
俊之 前田
Hiroyuki Tajiri
博幸 田尻
Osamu Okada
治 岡田
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Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E60/50Fuel cells
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    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 触媒層の撥水性の低下を抑制し、触媒層にお
ける三相界面を長期間に亘り安定に維持し、燃料電池に
おける触媒層を長寿命化する。 【構成】 導電性基材に、白金触媒を担持した導電性カ
ーボンブラックなどの導電性粉粒体、ポリテトラフルオ
ロエチレン(PTFE)などの撥水性を有する粉粒状結
着性樹脂、およびフッ化ピッチを含む電極触媒層を形成
する。フッ化ピッチは、PTFEなどのフッ素樹脂と異
なり、溶融粘度が小さく、フッソ系溶媒などに可溶であ
るとともに、PTFEよりも撥水性が高い。そのため、
粉粒状フッ化ピッチの加熱焼成、フッ化ピッチの溶液に
よる含浸などにより、フッ化ピッチを触媒層に均一に浸
透拡散させることができ、均一な三相界面を形成でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リン酸型などの燃料電
池用電極の触媒層を形成する上で有用な電極触媒組成
物、この組成物を用いた電極材とその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は公害物質の発生が極めて少な
く、騒音発生源も少ないという利点を有する。燃料電池
のうちリン酸型燃料電池は、電解液の両側に、触媒層を
形成したポーラスな陰極と陽極を設けて単位セルを構成
し、各単位セルをセパレータを介して積層した構造を有
する。前記陰極および陽極には、通常、ガス流路を形成
するため、切削加工などにより溝が形成されている。
【0003】前記触媒層は、電気エネルギーへの変換効
率に大きな影響を及ぼすため、触媒組成物に関して種々
の提案がなされている。例えば、特開昭57−1684
73号公報には、導電性基材上に、白金触媒を担持した
導電性超微粒子(アセチレンブラック)とこの超微粒子
中の最大粒子の体積の105 倍以上の体積を有する導電
性物質(黒鉛粒子)を含む混合物層を有する燃料電池電
極が開示されている。特開昭61−225768号公報
には、撥水層をガス側に配置したガス拡散電極におい
て、撥水層をフッ素樹脂で結合された撥水性の異なるカ
ーボン粉末の混合体(例えば、グラファイトと活性炭な
ど)で構成した燃料電池のガス拡散電極が開示されてい
る。
【0004】特開昭59−157963号公報には、ポ
リテトラフルオロエチレンを含浸し、370〜430℃
で熱処理した多孔質基材を用いた燃料電池用空気極が開
示されている。この先行文献には、前記熱処理によりポ
リテトラフルオロエチレンの溶融粘度を低下させ、均一
な撥水性を発現させることができるので、前記空気極
が、メタノールを液体燃料とする燃料電池の電極として
有用であると記載されている。また、特開昭57−30
270号公報には、カーボンブラックなどの導電性物質
粉末、粉末状ポリテトラフルオロエチレンおよび繊維状
ポリテトラフルオロエチレンを含む多孔質構造体からな
るガス拡散電極用材料が開示されている。
【0005】さらに、特開平1−292755号公報に
は、多孔質極基材上に、白金触媒を担持した粉末、フッ
素樹脂、および分散媒を含む混合物を用いて触媒層を形
成する方法が開示されている。
【0006】このように、触媒層は、通常、多孔質電極
基材に、白金触媒を担持した導電性カーボンブラック、
粉粒状ポリテトラフルオロエチレンを含む組成物を塗布
し、加熱焼成してポリテトラフルオロエチレンを結着さ
せて形成されている。このような触媒層を備えた燃料電
池の触媒層には、触媒相−燃料ガス相−電解質相で構成
された三相界面が存在する。しかし、ポリテトラフルオ
ロエチレンなどの粉粒状フッ素樹脂を含む触媒層を焼成
すると、フッ素樹脂の溶融粘度が高いため、触媒層の細
孔内の触媒や導電性カーボンブラックの表面にフッ素樹
脂を確実に到達させることが困難であり、粉粒状フッ素
樹脂による撥水部と非撥水部とが極在化する。そのた
め、細孔や流路(通路)を有する触媒層に高い撥水性を
均一に付与することができず、均一で微細な細孔や流路
(通路)により三相成分の接触効率を高めることができ
ない。
【0007】そして、燃料電池を運転すると、発電当初
は、ポリテトラフルオロエチレンおよびカーボンブラッ
ク表面の撥水性により、燃料ガス、電解液および白金触
媒により形成される三相界面が維持され、一定電流密度
での電圧は高い。しかし、運転時間が長くなるにつれ
て、ポリテトラフルオロエチレンによる撥水性およびカ
ーボンブラック表面の撥水性が低下し、触媒層内部にリ
ン酸などの電解液が深く浸透する。そのため、触媒層の
三相界面の割合、三相成分の接触面積および電気化学的
な反応効率が低下し、電流密度を一定にすると、電位差
が小さくなる。また、局部的な電圧上昇などにより、触
媒層が導電性基材から脱落する場合がある。従って、三
相界面を維持しつつ、高い効率で燃料電池を長時間に亘
り安定に運転することができない。
【0008】なお、触媒層の内部への電解液の浸透を抑
制するためには、ポリテトラフルオロエチレンなどのフ
ッ素樹脂の含有量を多くすることが有用であると考えら
れる。しかし、触媒層に撥水性の高いフッ素樹脂を多量
に含有させると、白金触媒へのリン酸などの電解液の到
達が抑制される。そのため、三相界面の割合が減少し、
電気化学的反応効率を高めることができない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、撥水性の低下を抑制し、触媒層における三相界面を
長期間に亘り安定に維持できる電極触媒組成物を提供す
ることにある。
【0010】本発明の他の目的は、燃料電池における触
媒層を長寿命化できる電極触媒組成物を提供することに
ある。
【0011】本発明のさらに他の目的は、高い効率で燃
料電池を長時間に亘り安定に運転する上で有用な電極触
媒組成物を提供することにある。
【0012】本発明の他の目的は、前記の如き優れた特
性を有する触媒層を備えた電極材およびその製造方法を
提供することにある。
【0013】
【発明の構成】本発明者らは、(1)フッ化ピッチが高
い撥水性を有すること、(2)固体状フッ化ピッチが溶
媒可溶性であるとともに軟化点(融点)を有することに
着目して鋭意検討の結果、触媒層をフッ化ピッチで処理
すると、長時間運転しても、触媒層における撥水性の低
下を抑制できること、三相界面が均一に形成されること
を見いだし、本発明を完成した。
【0014】すなわち、本発明の電極触媒組成物は、触
媒成分、導電性粉粒体、およびフッ化ピッチを含んでい
る。前記組成物は、さらに、撥水性を有する粉粒状結着
性樹脂、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラ
フルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合
体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビ
ニルエーテル共重合体などのフッ素樹脂を含んでいても
よい。フッ化ピッチは固体状粉粒体又は液状として使用
してもよい。フッ化ピッチは、ポリテトラフルオロエチ
レンなどのフッ素樹脂に比べて、水に対する接触角が大
きく撥水性が高く、溶媒可溶性であるという特色があ
る。なお、白金族触媒などの触媒成分は、導電性炭素粉
粒体などの導電性粉粒体に担持してもよい。
【0015】燃料電池の電極として使用できる本発明の
電極材は、導電性基材に、前記組成物を含む触媒層を形
成することにより製造できる。触媒層は熱処理してもよ
い。
【0016】なお、本明細書において、「触媒層」とは
触媒成分を含む組成物により形成される層を意味し、白
金触媒などの触媒成分と区別する。
【0017】電極触媒組成物は、触媒成分、導電性粉粒
体、およびフッ化ピッチを含んている。前記触媒成分
は、燃料電池において酸化還元反応を促進する種々の触
媒、例えば、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オス
ミウム、イリジウム、白金、これらの合金などの白金族
元素を含む白金族触媒成分などが含まれる。これらの触
媒成分は一種又は二種以上使用できる。触媒成分として
は、通常、白金又は白金合金を用いる場合が多い。
【0018】導電性粉粒体としては、耐蝕性および導電
性の高い粉粒体、例えば、アセチレンブラック、ファー
ネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラッ
クなどの導電性カーボンブラック、活性炭、黒鉛などの
炭素質粉粒体などが挙げられる。これらの導電性粉粒体
は一種又は二種以上使用できる。これらの導電性粉粒体
のうち導電性カーボンブラックを用いる場合が多い。導
電性粉粒体の比表面積は、例えば、20〜4500m2
/g、好ましくは30〜3000m2 /g程度である。
導電性粉粒体の粒径は、その種類により大きく異なる
が、一般的に使用されるカーボンブラックの粒径は、例
えば、0.01〜1μm、好ましくは0.02〜0.1
μm程度である。
【0019】導電性粉粒体の含有量は、例えば、組成物
全体に対して10〜80重量%、好ましくは30〜75
重量%、さらに好ましくは40〜70重量%程度であ
る。
【0020】酸化還元反応および電気エネルギーへの変
換効率を高めるため、前記触媒成分は、導電性粉粒体に
担持されているのが好ましい。なお、触媒成分が担持さ
れた導電性粉粒体には、触媒成分が担持されていない導
電性粉粒体が混在していてもよい。触媒成分を担持した
導電性粉粒体は、慣用の方法、例えば、導電性粉粒体に
触媒成分の溶液を噴霧、浸漬などの方法により担持させ
たり、導電性粉粒体と触媒成分の溶液とを混練し、乾燥
し、必要に応じて焼成したり、還元反応に供することに
より得ることができる。触媒成分の担持量は、例えば、
触媒成分と導電性粉粒体との合計量に対して1〜25重
量%、好ましくは5〜20重量%程度である。
【0021】そして、多孔質な触媒層の撥水性を長期に
亘り維持するため、本発明の電極触媒組成物は、フッ化
ピッチを含んでいる。フッ化ピッチは、液状であっても
よいが、長時間に亘り安定に運転するため、燃料電池の
作動温度において不揮発性の液体、特に不揮発性の固体
状フッ化ピッチを使用する場合が多い。固体状フッ化ピ
ッチは、特開昭62−275190号公報に開示されて
いる。この固体状フッ化ピッチは、ピッチをフッ素ガス
によりフッ素化することにより得られる。
【0022】一般に、ピッチは、芳香族縮合六員環平面
が積層した層構造を有し、かつ六員環平面を構成する芳
香核がメチレンなどの脂肪族炭化水素基により架橋した
構造を有している。ピッチとしては、例えば、石油蒸留
残渣、ナフサ熱分解残渣、エチレンボトム油、石炭液化
油、コールタールなどの石油系または石炭系重質油を蒸
留し沸点200℃未満の低沸点成分を除去したピッチ、
さらにこのピッチに熱処理や水添処理などを施したピッ
チなどが挙げられる。より具体的には、ピッチには、例
えば、等方性ピッチ、メソフェーズピッチ、水素化メソ
フェーズピッチ、石油系または石炭系重質油を蒸留し低
沸点成分を除去した後、生成したメソフェーズ球体から
なるメソカーボンマイクロビーズなどが含まれる。
【0023】固体状フッ化ピッチは、例えば、ピッチと
フッ素とを0〜350℃程度で反応させることにより得
られる。より具体的には次のような方法が挙げられる。
【0024】(1)ピッチとフッ素ガスとを、約0〜約
350℃の温度で直接反応させる方法。好ましい反応温
度はピッチの軟化点以下の温度である。フッ素圧は、特
に限定されないが、例えば、0.07〜1.5気圧の範
囲が一般的に用いられる。この反応において、フッ素ガ
スはそのまま用いてもよく、窒素、ヘリウム、アルゴ
ン、ネオンなどの不活性ガスで希釈して用いてもよい。
【0025】得られたフッ化ピッチは、実質的に炭素原
子およびフッ素原子からなり、F/C原子比は、例え
ば、0.5〜1.8程度である。このようなフッ化ピッ
チは、下記(a)、(b)、(c)及び(d)の特性を
示す。
【0026】(a)粉末X線回折において2θ=13°
付近に最大強度のピークを示し、2θ=40°付近に前
記ピークよりも強度の小さいピークを示す (b)X線光電子分光分析において、290.0±1.
0eVにCF基に相当するピーク、及び292.5±
0.9eV付近にCF2 基に相当するピークを示し、C
F基に相当するピークに対するCF2 基に相当するピー
クの強さの比が、0.15〜1.5程度である (c)真空蒸着によって膜を形成することができる (d)30℃において水に対する接触角が141°±8
°である。
【0027】前記固体状フッ化ピッチは、白色乃至黄白
色もしくは褐色の固体であり、耐水性、耐薬品性に優
れ、非常に安定な化合物である。
【0028】さらに、フッ化ピッチは、透明な樹脂状の
形態で得ることもできる。このような透明樹脂状のフッ
化ピッチは、例えば、(2)フッ化ピッチをフッ素ガス
雰囲気下、0.1〜3℃/分程度、好ましくは0.5〜
1.5℃/分程度の昇温速度で250〜400℃程度に
まで昇温し、所定時間、例えば、1〜18時間程度、好
ましくは6〜12時間程度反応させることにより得るこ
とができる。得られた透明樹脂状フッ化ピッチは、例え
ば、次のような特性を示す。
【0029】(e)F/C=1.5〜1.7 (f)波長250〜900nmにおける光透過率:90
%以上 (g)平均分子量:1500〜2000 (h)軟化点:150〜250℃ これらのフッ化ピッチは一種又は二種以上使用できる。
好ましいフッ化ピッチには、前記(1)の方法により得
られるフッ化ピッチ、前記(2)の方法により得られる
透明樹脂状のフッ化ピッチが含まれる。
【0030】固体状フッ化ピッチの軟化点又は融点は、
例えば、100℃以上、好ましくは125〜400℃、
さらに好ましくは150〜350、特に200〜350
℃程度である。固体状フッ化ピッチの軟化点又は融点
は、燃料電池の作動温度に応じて選択でき、燃料電池の
作動温度よりも高い軟化点又は融点を有するフッ化ピッ
チを用いるのが好ましい。
【0031】前記フッ化ピッチは、化学的に不活性で耐
蝕性および耐熱性が高く、軟化点(融点)を有するとと
もに、溶融粘度は小さい。しかも、フッ化ピッチは、ポ
リテトラフルオロエチレンよりも撥水性が高いという特
色がある。そのため、フッ化ピッチを粉粒体として触媒
層に含有させて、加熱又は焼成処理することにより、多
孔質触媒層の微細な細孔や導電性粉粒体の表面に均一に
浸透、拡散又は含浸させることができ、従来利用できな
かった微細な細孔なども電極反応に有効に利用できる。
また、前記触媒成分、導電性粉粒体および撥水性結着樹
脂で構成される三相界面の有効面積および三相成分の接
触効率を大きくできるとともに、三相界面に、リン酸な
どに対する高い耐電解液性および高い撥水性を付与でき
る。さらに、ポリテトラフルオロエチレンにより形成さ
れる撥水流路(通路)よりも、さらに微細な径の撥水流
路を形成できるので、微小な三相界面を形成し、均一な
電気化学的反応を行なうことができる。そのため、3相
界面を長期間に亘り安定に維持でき、局部的な電圧上昇
などが発生せず、触媒層を長寿命化できるとともに、三
相成分の接触割合を高め、電気エネルギーへの変換効率
を高めることができる。
【0032】前記固体状フッ化ピッチを粉粒体として用
いる場合、フッ化ピッチの粒子径は、触媒層内での分散
性および浸透性などを損なわない範囲であればよく、例
えば、平均粒子径20μm以下、好ましくは0.01〜
15μm程度、さらに好ましくは0.01〜5μm程
度、特に0.01〜3μm程度である。
【0033】また、加熱又は焼成温度は、固体状フッ化
ピッチが拡散浸透可能な温度であればよく、固体状フッ
化ピッチの軟化点又は融点以上の温度、好ましくは20
0〜400℃、さらに好ましくは250〜380℃程度
である。
【0034】なお、前記フッ化ピッチの撥水性は、反応
条件、フッ素化度などによりコントロールでき、30℃
において水に対する接触角は、液滴法において、ポリテ
トラフルオロエチレンが105°程度であるのに対し
て、例えば、110°以上、好ましくは120°以上
(例えば、120°〜150°)、さらに好ましくは1
25〜150°程度である。
【0035】さらに、前記フッ化ピッチは、ポリテトラ
フルオロエチレンと異なりフッ素系溶媒に可溶であると
いう特色がある。また、フッ化ピッチの溶液粘度も小さ
い。そのため、固体状フッ化ピッチは溶媒に溶解又は分
散させた溶液又はエマルジョンなどの分散液として使用
してもよい。フッ化ピッチを溶液又は分散液として使用
すると、粉粒状フッ化ピッチを用いる場合に比べて、多
孔質触媒層の細孔や導電性粉粒体の表面への浸透性又は
含浸性をさらに高めることができ、より均一で微細な三
相界面を形成できる。そのため、3相界面をさらに長期
間に亘り安定に維持でき、触媒層を長寿命化できるとと
もに、三相成分の接触割合を高めることができる。
【0036】前記固体状フッ化ピッチを溶解又は分散す
る溶媒としては、例えば、モノクロロトリフルオロメタ
ン、ジクロロジフルオロエタン、モノクロロジフルオロ
メタン、トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロテト
ラフルオロエタン、モノクロロペンタフルオロエタン、
ヘキサフルオロベンゼン、パーフルオロアルカン類、パ
ーフルオロアルキルアミン類などの各種フッ素系化合
物、クロロトリフルオロエチレンなどのフッ素含有モノ
マーの低重合物、特開平2−271907号公報に開示
されている液状フッ化ピッチなどの各種のフッ素系溶媒
が挙げられる。これらの溶媒は一種又は二種以上使用し
てもよい。
【0037】前記のように、従来のフッ素樹脂に比べて
フッ化ピッチは、高い撥水性を示すとともに、浸透性が
高いので、少量であっても大きな撥水性を付与できる。
そのため、フッ化ピッチの使用量は、フッ化ピッチの使
用形態、使用方法などに応じて広い範囲で選択でき、例
えば、組成物全体の0.1〜50重量%、好ましくは1
〜40重量%、さらに好ましくは2〜30重量%程度で
ある。
【0038】さらに、電極触媒組成物は、触媒層に撥水
性を付与し、ガス透過性や拡散性を確保するため、撥水
性を有する粉粒状結着性樹脂を含むのが好ましい。撥水
性を有する結着性樹脂には、フッ素樹脂、例えば、ポリ
テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘ
キサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフ
ルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パ
ーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン
−クロロトリフルオロエチレン共重合体、テトラフルオ
ロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロ
アルキルビニルエーテル共重合体、ポリビニリデンフル
オライドなどが含まれる。
【0039】好ましいフッ素樹脂には、耐熱性の高い樹
脂、例えば、融点250℃以上、好ましくは260〜3
50℃程度のフッ素樹脂、例えば、ポリテトラフルオロ
エチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプ
ロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフル
オロアルキルビニルエーテル共重合体が含まれる。特に
好ましいフッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレンで
ある。
【0040】撥水性を有する結着性樹脂は、通常、粉粒
状で使用される。粉粒状結着性樹脂の粒径は、例えば、
0.1〜30μm程度であり、エマルジョンなどの分散
体として使用することもできる。
【0041】撥水性を有する結着樹脂の含有量は、触媒
層に多孔質流路を形成でき、かつ撥水性を付与できる範
囲で適当に選択され、例えば、組成物全体に対して5〜
60重量%、好ましくは10〜50重量%、さらに好ま
しくは20〜40重量%程度である。
【0042】本発明の好ましい電極触媒組成物には、白
金族触媒成分などの触媒成分を担持する導電性炭素粉粒
体(例えば、導電性カーボンブラック)10〜80重量
%、撥水性を有する粉粒状結着性樹脂(例えば、粉粒状
ポリテトラフルオロエチレン)5〜60重量%、及び3
0℃において水に対する接触角120°以上のフッ化ピ
ッチ1〜40重量%を含む組成物が含まれる。
【0043】なお、本発明の組成物において、触媒成
分、導電性炭素粉粒体は、必要に応じて粉粒状結着性樹
脂とともに、塗布、含浸、加熱、蒸着などの種々の方法
を利用して、フッ化ピッチにより処理されていてもよ
い。
【0044】また、触媒組成物は、電極反応に不活性な
種々の添加剤、例えば、充填剤、炭素繊維、活性炭素繊
維などの導電性繊維、撥水性を有する繊維(例えば、ポ
リテトラフルオロエチレン繊維など)などを含んでいて
もよい。
【0045】本発明の電極触媒組成物は、触媒層におい
て三相界面を長期間に亘り維持でき、高い撥水性が付与
された電極材を得る上で有用である。電極材は、前記組
成物を用いて、導電性基材に触媒層を形成することによ
り得られる。燃料電池において、電極材は、多孔質でガ
ス透過性を有するガス拡散電極材である場合が多い。
【0046】前記導電性基材には、ガス透過性および導
電性を有する種々の多孔質導電性基材、例えば、メソカ
ーボンマイクロビーズを賦活することにより得られる光
学的異方性多孔質炭素微小粒状活性炭100重量部に対
して、フェノール樹脂などの炭化又は黒鉛化可能な結合
剤20〜500重量部、および炭素繊維又は炭素繊維化
可能な繊維0〜500重量部を混合し、圧縮成形した
後、炭化又は黒鉛化することにより得られる基材(特開
平5−166513号公報)、炭素繊維又は炭素繊維化
可能な繊維の短繊維20〜50重量%、フェノール樹脂
などの炭化収率40〜75重量%の結合剤15〜50重
量%、および熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂のうち炭化収
率30重量%以下の有機粒状物質(気孔形成剤)30〜
60重量%を含む抄紙構造の炭素質予備成形体を炭化又
は黒鉛化することにより得られる基材(特開平5−20
5750号公報)などが含まれる。
【0047】導電性基材は、例えば、特開平5−325
984号公報に開示されているように、炭素繊維又は炭
素繊維化可能な繊維の短繊維10〜60重量%、フェノ
ール樹脂などの炭化収率40〜85重量%の結合剤10
〜60重量%、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂のうち炭化
収率30重量%以下の有機粒状物質(気孔形成剤)15
〜60重量%、および繊維状バインダー10〜30重量
%を含む抄紙構造の炭素質予備成形体を炭化又は黒鉛化
することにより得られる基材であってもよい。
【0048】さらに、導電性基材は、熱伝導性を高める
ため、炭素繊維化可能な繊維及び/又は炭素繊維100
重量部に対して、炭化収率40〜75重量%の炭化又は
黒鉛化可能な結合剤20〜250重量部、およびピッチ
10〜250重量部を含む抄紙構造の予備成形体を炭化
又は黒鉛化することにより得られる基材であってもよ
い。前記ピッチとしては、150〜400℃程度の軟化
点を有する等方性ピッチや異方性ピッチが使用できる。
前記予備成形体は、繊維100重量部に対して、有機粒
状物質(気孔形成剤)、例えば、熱硬化性樹脂の硬化物
からなる有機粒状物質や、ピッチを含む熱硬化性樹脂の
硬化物からなる有機粒状物質10〜500重量部を含ん
でいてもよい。さらに、炭素繊維化可能な繊維を使用す
ることにより、ガス透過性などを高めてもよい。
【0049】好ましい導電性基材には、例えば、ガス透
過率(ml・mm/hr・cm2 ・Aq)が850以上
(好ましくは1000〜4000、さらに好ましくは1
500〜3500程度)、厚み方向の熱伝導率(kca
l/m・hr・℃)が2.0以上(好ましくは3.0〜
10.0程度)の多孔質炭素材が含まれる。この多孔質
炭素材の曲げ強度(kg/cm2 )は130以上(好ま
しくは150〜400程度)であってもよく、圧縮強度
(kg/cm2 )は50以上(好ましくは50〜200
程度)であってもよい。
【0050】前記導電性基材の一方の面に形成された触
媒層は、種々の方法により形成できる。例えば、前記
組成物が、溶媒を含む塗布可能な流動性組成物、例え
ば、分散液、スラリーやペーストなどである場合には、
慣用の方法、例えば、コーティング、ディッピングなど
の方法により導電性基材を塗布し、乾燥することにより
触媒層を形成できる。また、ポリエチレンテレフタレー
トなどのフィルムやシートに、前記組成物を塗布した
後、導電性基材の一方の面に転写することにより、触媒
層を形成してもよい。
【0051】また、導電性基材の一方の面に、触媒成
分、導電性粉粒体(特に、触媒成分が担持された導電性
炭素粉粒体)および撥水性を有する粉粒状結着性樹脂を
含む層を形成した後、フッ化ピッチで処理することによ
っても触媒層を形成できる。フッ化ピッチによる処理に
際しては、フッ化ピッチが溶媒可溶性であることを利用
して、フッ化ピッチの溶媒溶液又は分散液を用いて、噴
霧、塗布、浸漬などの方法で前記層を処理し、乾燥して
もよく、フッ化ピッチが蒸着性を有することを利用し
て、前記噴霧などの処理方法に代えて、フッ化ピッチを
前記層に対して蒸着処理してもよい。さらに、フッ化ピ
ッチが軟化点又は融点を有することを利用して、フッ化
ピッチを含む層を加熱することにより、フッ化ピッチを
触媒層の細孔などに浸透または拡散させてもよい。フッ
化ピッチの溶液を用いる方法は、均一な処理を簡便に行
なうことができるという利点がある。
【0052】なお、フッ化ピッチによる処理は、触媒成
分、導電性粉粒体および撥水性を有する粉粒状結着性樹
脂を含む層を形成し、熱処理した後で行なってもよい。
熱処理は、撥水性を有する粉粒状結着性樹脂が融着し、
ガス透過性多孔質触媒層を形成できる温度、例えば、2
00℃以上、好ましくは250〜400℃程度で行なう
ことができる。
【0053】また、触媒層は、前記のような方法によ
らず、必要に応じて撥水性を有する粉粒状結着性樹脂と
ともに、触媒成分、導電性粉粒体およびフッ化ピッチを
シート状に成形し、得られたシートを導電性基材の一方
の面に積層することにより形成してもよい。
【0054】なお、フッ化ピッチを含む層は、フッ化ピ
ッチを触媒層の細孔や導電性粉粒体の表面に均一に浸透
拡散させるため、焼成などにより熱処理する場合が多
い。また、触媒層を構成する成分として撥水性を有する
粉粒状結着性樹脂を用いる場合には、粉粒状結着性樹脂
を結着し、触媒層に多数の細孔を形成するため、焼成な
どにより熱処理するのが好ましい。熱処理温度は、フッ
化ピッチの軟化点や融点、粉粒状結着性樹脂の軟化点や
融点に応じて選択でき、例えば、200℃以上、好まし
くは250〜400℃、さらに好ましくは250〜38
0℃程度である。このような熱処理により、フッ化ピッ
チは、触媒層の細孔や導電性粉粒体の表面に均一に浸透
拡散し、三相界面が精度よく形成された触媒層が形成さ
れる。また、結着性樹脂を含む層を加熱焼成などにより
熱処理すると、粉粒状結着樹脂が互いに接合してバイン
ダーとして機能させ、触媒層を一体化できる。なお、熱
処理は、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰
囲気下、または真空下で行なわれる。
【0055】前記触媒層は、導電性基材のうち、燃料電
池においてリン酸などの電解液側の面に形成してもよ
い。なお、前記導電性基材のうち触媒層と反対側の面に
は、導電性基材の細孔を通じて燃料を電解液側へ供給す
るための溝状などのガス流路を形成してもよい。
【0056】好ましい電極材において、多孔質導電性基
材の一方の面には、白金族触媒成分を担持する導電性
炭素粉粒体(例えば、導電性カーボンブラック)、撥水
性を有する粉粒状結着性樹脂(例えば、粉粒状ポリテト
ラフルオロエチレン)、及び30℃において水に対する
接触角110°以上のフッ化ピッチで構成された触媒
層、白金族触媒成分を担持する導電性炭素粉粒体、撥
水性を有する粉粒状結着性樹脂がフッ化ピッチにより処
理された触媒層が形成されている。
【0057】なお、電極材の触媒層において、フッ化ピ
ッチは、含浸、加熱溶融などの処理方法により、多孔質
触媒層の微細な細孔や空隙部に浸透又は拡散している。
そのため、未だ有効に利用されていなかった細孔や空隙
部にも三相界面を形成でき、三相界面の面積を増大さ
せ、均質で微細な三相界面を利用して、三相成分の接触
効率を高めることができる。
【0058】これらの触媒層において、各成分の割合
は、白金族触媒成分などの触媒成分を担持する導電性炭
素粉粒体10〜80重量%、撥水性を有する粉粒状結着
性樹脂5〜60重量%、及びフッ化ピッチ1〜40重量
%程度である。
【0059】本発明の電極材は、燃料電池の種々の電
極、例えば、水素−酸素燃料電池、メタノール−空気燃
料電池などの陰極および陽極として利用できる。また、
燃料電池においては、リン酸などの種々の電解液が使用
でき、電解液は、水系に限らず非水系であってもよい。
【0060】
【発明の効果】本発明の電極触媒組成物は、フッ化ピッ
チを含んでいるので、撥水性の低下を抑制し、触媒層に
おける三相界面を長期間に亘り安定に維持できる。ま
た、燃料電池における触媒層を長寿命化できる。そのた
め、高い効率で燃料電池を長時間に亘り安定に運転する
上で有用である。
【0061】本発明の電極材は、前記の如き優れた特性
を有する触媒層を備えているので、燃料電池を長時間に
亘り安定に運転する上で有用である。
【0062】本発明の方法によれば、前記の如き優れた
特性を有する触媒層を備えた電極材を簡便な方法で製造
できる。
【0063】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明する。
【0064】フッ化ピッチ(1)の調製 軟化点100℃、キノリン不溶分0.2重量%、ベンゼ
ン不溶分30重量%のコールタールピッチに2倍量の水
素化アントラセン油を添加し、430℃で90分間加熱
した後、減圧下、300℃で水素化アントラセン油を除
去して還元ピッチを得た。得られた還元ピッチに窒素ガ
スを導入して低分子量成分を除去し、400℃で5時間
熱重合し、軟化点300℃、キノリン不溶分60重量
%、ベンゼン不溶分98重量%、メソフェーズ含有量9
0重量%以上のメソフェーズピッチを得た。
【0065】得られたピッチ50gをニッケル製反応容
器に仕込み、系内を真空排気し、アルゴンガスで満し
た。次いで、フッ素20%およびアルゴン80%の混合
ガスを、70℃、平均流速650cc/分の速度で流通
させ、20時間反応させたところ、144gのフッ化ピ
ッチが得られた。元素分析の結果、フッ化ピッチの組成
式はCF1.38であり、軟化点=260℃、数平均分子量
=約3300、30℃における水に対する接触角=14
5°であった。なお、接触角は、FACE接触角計(協
和界面科学(株)性、CA−A型)を用い、液滴法によ
り測定した。
【0066】得られたフッ化ピッチを250℃、10to
rrで10時間熱処理した後、粉砕し、平均粒径1.3μ
mのフッ化ピッチ微粒子(以下、フッ化ピッチ(1)と
いう)を得た。
【0067】フッ化ピッチ(2)の調製 上記メソフェーズピッチに代えて、ピッチ(三菱瓦斯化
学(株)製、ピッチARA24、軟化点290℃、ヘキ
サン不溶成分98.4重量%、ピリジン不溶成分45.
7重量%)50gを用いる以外、上記フッ化ピッチ
(1)の調製法と同様にして、フッ化ピッチ143gを
得た。元素分析の結果、フッ化ピッチの組成式はCF1.
33であり、軟化点=250℃、数平均分子量=約310
0、30℃における水に対する接触角=145°であっ
た。
【0068】得られたフッ化ピッチを250℃、10to
rrで10時間熱処理した後、粉砕し、平均粒径1.3μ
mのフッ化ピッチ微粒子(以下、フッ化ピッチ(2)と
いう)を得た。
【0069】実施例1〜4 塩化白金酸溶液中に、アセチレンブラック超微粒子(粒
径0.1〜0.3μm、平均粒径0.2μm)を混入
し、還元することにより、アセチレンブラックに対して
10重量%の白金触媒を担持した白金担持アセチレンブ
ラックのスラリーを調製した。白金触媒担持アセチレン
ブラックのスラリー、フッ化ピッチ(1)およびフッ化
ピッチ(2)、及びポリテトラフルオロエチレン(PT
FE)を含む分散液を混合し、固形分換算で、表に示す
割合のペーストを調製した。
【0070】そして、得られたペーストを、多孔質炭素
質基材(10cm×10cm、厚み1.2mm)にへら
を用いて塗布し、100℃で3時間乾燥した後、不活性
ガス雰囲気下、290℃で2時間焼成し、電極材を作製
した。なお、各電極材における白金触媒の量は、0.5
mg/cm2 である。
【0071】実施例5〜8 カソード触媒(エヌ・イーケムキャット製、PC10F
A)50重量部とポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)25重量部又は40重量部とを混練して圧延し、電
極用シートを調製し、不活性ガス雰囲気下、350℃で
30分間焼成することにより、厚み0.3mmの触媒シ
ートを作製した。
【0072】得られた触媒シートに、フッ化ピッチ
(1)およびフッ化ピッチ(2)のヘキサフルオロベン
ゼン溶液を、それぞれ含浸させた後、ヘキサフルオロベ
ンゼンを除去し、フッ化ピッチで処理した。なお、各フ
ッ化ピッチは、固形分換算で、表に示す割合で含浸させ
た。フッ化ピツチ(1)を含浸させた触媒シートは30
0℃で、フッ化ピッチ(2)を含浸させた触媒シートは
275℃で、それぞれ不活性ガス雰囲気下で焼成した。
【0073】そして、多孔質炭素質基材(100mm×
100mm、厚み1.2mm)に、フッ化ピッチで処理
した各触媒シートを接着することにより、電極材を作製
した。なお、各電極材における白金触媒の量は、0.5
mg/cm2 である。
【0074】比較例1〜3 フッ化ピッチを用いることなく、白金触媒担持アセチレ
ンブラックのスラリー、及びポリテトラフルオロエチレ
ン(PTFE)を含む分散液を表に示す割合で混合する
以外、実施例1〜4と同様にして電極材を作製した。
【0075】比較例4 フッ化ピッチを用いることなく、カソード触媒とポリテ
トラフルオロエチレン(PTFE)とを表に示す割合で
用いる以外、実施例5〜8と同様にして電極材を作製し
た。
【0076】そして、実施例1〜8および比較例1〜4
で得られた電極材を用いてカソード単極を作製し、白金
メッシュを対極とし、電解液として105%リン酸を用
いた図1に示す測定装置に装着して、200℃で電池特
性を測定した。
【0077】この装置は、電解液としてのリン酸2を収
容する槽1と、この槽1内に設けられたホルダ3とを備
えている。このホルダ3は、中空筒状のケース4、ケー
ス開口側に装着するためのカソード5、このカソードを
取付けるためのキャップ6を備えているとともに、前記
ケース4には、前記カソード5に空気を供給するための
空気供給口7および空気排出口8が設けられている。
【0078】前記槽1内には、白金棒10を備えたルギ
ン毛管で構成された水素基準電極9も設けられ、この水
素基準電極9には、水素ガスが水素供給ライン11から
供給される。前記カソード6と水素基準電極9の白金棒
10との間には、電圧計12が接続されている。また、
前記リン酸液2には、対極13としての白金メッシュが
浸漬され、この対極13と前記カソード6との間には、
前記カソード6に過電流を負荷するための電流源14が
接続されている。
【0079】測定に際しては、水素ガスを供給速度30
ml/分、空気を供給速度100ml/分で供給した。
また、200mA/cm2 の電流を印加したときのカソ
ード起電力(IR−free vs.RHE)を測定
し、初期特性とした。電池特性の測定に際しては、電極
に過負荷を与える促進試験により電極の耐久性を評価し
た。すなわち、電流密度を200mA/cm2 から1分
間かけて100mA/cm2 だけ増加させて1分間保持
し、次いでさらに1分間かけて100mA/cm2 だけ
増加させて1分間保持する操作を、電流密度が1000
mA/cm2 になるまで段階的に行なった後、上記とは
逆に電流密度を200mA/cm2 まで100mA/c
2 毎に段階的に低下させるサイクルを繰返し、1サイ
クル毎の電圧の変化を観察した。
【0080】なお、実施例1の初期特性(初期電圧)は
850mVであり、この値を100として発生電圧を相
対的に評価した。結果を表に示す。表中、「−」は、リ
ン酸液中に触媒層が脱落し始め、分極が非常に大きくな
り測定不能であったことを示す。
【0081】
【表1】 表より明らかなように、実施例の電極材のなかには、初
期電圧が僅に低い電極材があるものの、実施例の電極材
は、比較例の電極材に比べて、過負荷を与えるサイクル
を繰返しても電圧の低下がなく、逆に高い電圧を発生す
る場合が多く、触媒層の耐久性が大きく向上している。
また、比較例の電極材は、サイクル毎に電圧特性が順次
低下するので、触媒層の耐久性が小さく、長時間運転に
耐えることができない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例で用いた測定装置の概略断面図で
ある。
【符号の説明】
2…リン酸 6…カソード 7…空気供給口 11…水素供給ライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01M 8/02 E 9444−4K 8/08 9444−4K // C08L 27/12 LGL

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 触媒成分、導電性粉粒体、およびフッ化
    ピッチを含む電極触媒組成物。
  2. 【請求項2】 さらに、撥水性を有する粉粒状結着性樹
    脂を含む請求項1記載の電極触媒組成物。
  3. 【請求項3】 結着性樹脂が、フッ素樹脂である請求項
    2記載の電極触媒組成物。
  4. 【請求項4】 フッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチ
    レン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピ
    レン共重合体、またはテトラフルオロエチレン−パーフ
    ルオロアルキルビニルエーテル共重合体である請求項3
    記載の電極触媒組成物。
  5. 【請求項5】 フッ化ピッチが固体状粉粒体である請求
    項1又は2記載の電極触媒組成物。
  6. 【請求項6】 30℃において水に対する接触角が11
    0°以上であるフッ化ピッチを含む請求項1又は2記載
    の電極触媒組成物。
  7. 【請求項7】 触媒組成物全体に対して、白金族触媒成
    分を担持する導電性炭素粉粒体10〜80重量%、撥水
    性を有する粉粒状結着性樹脂5〜60重量%、及び30
    ℃において水に対する接触角120°以上のフッ化ピッ
    チ0.1〜50重量%を含む請求項1又は2記載の電極
    触媒組成物。
  8. 【請求項8】 導電性基材に、請求項1又は2記載の組
    成物を含む触媒層が形成されている電極材。
  9. 【請求項9】 多孔質導電性基材の一方の面に、触媒成
    分、導電性炭素粉粒体、撥水性を有する粉粒状結着性樹
    脂、および30℃において水に対する接触角110°以
    上のフッ化ピッチを含む触媒層が形成されている請求項
    8記載の電極材。
  10. 【請求項10】 導電性基材に、請求項1又は2記載の
    組成物を含む触媒層を形成する電極材の製造方法。
  11. 【請求項11】 多孔質導電性基材に、触媒成分が担持
    された導電性炭素粉粒体、撥水性を有する粉粒状結着性
    樹脂およびフッ化ピッチを含む層を形成し、ガス拡散電
    極材を製造する請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】 多孔質導電性基材に、触媒成分が担持
    された導電性炭素粉粒体および撥水性を有する粉粒状結
    着性樹脂を含む層を形成し、フッ化ピッチで処理し、ガ
    ス拡散電極材を製造する請求項10記載の方法。
  13. 【請求項13】 触媒成分が担持された導電性炭素粉粒
    体および撥水性を有する粉粒状結着性樹脂を含む層を形
    成し、熱処理した後、フッ化ピッチで処理する請求項1
    2記載の方法。
  14. 【請求項14】 触媒層を形成した後、200℃以上の
    温度で熱処理する請求項10〜13のいずれかの項に記
    載の電極材の製造方法。
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