JP6563945B2 - 燃料電池用カーボンブラック - Google Patents

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Description

本発明は、耐酸化性が高く、触媒担持特性にも優れたカーボンブラック及び、それを用いた燃料電池用触媒に関する。
燃料電池は、水素や酸素といったガスの流路を施したセパレーターの間に、ガス拡散層、電極触媒層、電解質膜を挟んだ構成となっている。電極触媒層の構成については様々あるが、例えば白金等の触媒金属粒子と触媒担体から構成されており、触媒担体にはガス拡散性、電気伝導性及びイオン伝導性に優れたカーボンブラックが使用されている。電極触媒層は、白金等の触媒金属粒子を担持したカーボンブラックやフッ素系高分子を水やアルコールからなる溶媒に分散させて、その分散液を固体電解質膜にスプレー塗布することなどによって形成される。
近年、燃料電池の更なる特性向上のために、電極性能の長期耐久性や電極触媒層における触媒活性の向上が求められている。
燃料電池の電極性能は長期使用における触媒反応の繰り返しによって低下する。これは、カソード電位が1.0〜0.6V(.vs NHE)の範囲でカーボンブラックが電気化学的に酸化されて表面官能基の生成及び脱離が進行し、表面構造が変化し、担持された触媒金属粒子が凝集又は脱落するためである。さらに、カソード電位が1.5〜1.0V(.vs NHE)の範囲になると、カーボンブラックの一部が水と反応して一酸化炭素や二酸化炭素となり、腐食してしまう。
カーボンブラックの耐酸化性を向上させるためには、高結晶化(グラファイト化)が有効である。カーボンブラックはπ電子をもった縮合ベンゼン環が複数層に重なった“疑似グラファイト構造”とよばれる結晶子の集合体であるが、不活性雰囲気中2000〜3000℃で加熱処理すると、結晶子の再配列によりグラファイト構造が発達して、結晶性が向上する(特許文献1)。結晶性が高いほど表面酸化反応の起点となる部分が減少するため、カーボンブラックの耐酸化性は向上する。しかしながら、カーボンブラックのグラファイト化は、それと同時に比表面積の低下を伴う。つまり耐酸化性だけを重視してグラファイト化し過ぎると、比表面積は50〜150m2/g程度にまで低下するため、触媒金属粒子を高分散担持できず、触媒反応効率が低下してしまう(特許文献2)。
また、触媒活性を向上させるためには、比表面積が500m2/g以上のカーボンブラックに触媒金属粒子を高分散担持し、触媒反応効率を向上させることなどが検討されている(特許文献3)。
特表2007−505975号公報 特開平6−140047号公報 特開2007−112660号公報
しかしながら、高比表面積のカーボンブラックを担体に用いた場合、表面酸化反応の起点となる部分が増加するため、カーボンブラックの耐酸化性が低下してしまうといった問題があった。本発明の目的は、耐酸化性が高く、触媒担持特性にも優れたカーボンブラックを提供することである。
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の手段を採用する。
(1)BET法により測定した比表面積が200〜500m2/g、X線回折により測定した結晶層厚みLcが20〜30Åであり、平均一次粒子径が15〜25nmであることを特徴とするカーボンブラック。
(2)揮発分が0.10〜1.00%であることを特徴とする前記(1)に記載のカーボンブラック。
(3)前記(1)または前記(2)に記載のカーボンブラックに触媒金属粒子が担持されてなる燃料電池用触媒。
本発明は、触媒金属粒子の高分散担持が可能で、かつ、耐酸化性に優れたカーボンブラックを提供する。
本発明の一実施形態におけるカーボンブラックの比表面積は200〜500m2/gである。比表面積はJIS K6217−2:2001に従ってBET法により測定することができ、比表面積が500m2/gを超えると触媒金属粒子が担持され得る箇所は増加するが、その箇所は表面酸化反応の起点でもあるため、カーボンブラックの耐酸化性が低下する。また、比表面積が200m2/g未満であると触媒金属粒子が担持される箇所が大幅に減少するため、触媒反応効率を低下させる要因となる。本発明のカーボンブラックは、触媒金属粒子が高分散担持されるのに十分な比表面積を持ち、かつ、耐酸化性を維持することができる。カーボンブラックの比表面積は好ましくは220〜380m2/gであり、より好ましくは240〜360m2/gである。
カーボンブラックを高比表面積化する手段の一つとして、表面を多孔質化する賦活処理があり、ガス賦活法、薬品賦活法に大別できる。本発明においては、カーボンブラック粉体への不純物の混入を防ぐため、空気または水蒸気を用いて行うガス賦活が好ましい。賦活処理は一般的に500〜1000℃で行われるが、本発明に係るカーボンブラックを得るに当たっては、結晶性及び生産性を高く保つために、500〜650℃の温度で処理することが望ましい。
本発明の一実施形態におけるカーボンブラックの結晶層厚みLcは20〜30Åである。結晶層厚みLcはX線回折により求めることができる。具体的には、CuKα線を用い、測定範囲2θ=10〜40゜、スリット幅0.5゜の条件でX線回折を行う。得られた(002)面の回折線を用いて、Scherrerの式:Lc(Å)=(K×λ)/(β×cosθ)により結晶層厚みLcを求めることができる。ここでKは形状因子定数0.9、λはX線の波長1.54Å、θは(002)回折線吸収バンドにおける極大値を示す角度、βは(002)回折線吸収バンドにおける半価幅(ラジアン)である。結晶層厚みLcはカーボンブラックの結晶性を示す指標であり、20Å未満であると表面酸化反応の起点となる部分が増加するため、カーボンブラックの耐酸化性は低下する。また、カーボンブラックの耐酸化性を向上させるために結晶層厚みLcが30Åを超えるまでグラファイト化すると、疑似グラファイト構造における端(エッジ)、すなわち触媒金属粒子が析出する場が減少するため、触媒金属粒子を高分散担持させることができなくなる。カーボンブラックの結晶層厚みLcは好ましくは22〜28Åであり、より好ましくは24〜26Åである。
カーボンブラックをグラファイト化する方法は、不活性雰囲気中2000〜3000℃で加熱処理するのが一般的である。高温、長時間の処理により、カーボンブラックのグラファイト化は進行し、結晶層厚みLcを20〜100Å程度にまで増加させることが可能であるが、比表面積は減少してしまう。本発明におけるカーボンブラックを製造するに当たっては、耐酸化性と触媒担持特性を両立するために、1600〜1800℃の温度で処理することが望ましい。
本発明の一実施形態におけるカーボンブラックは、耐酸化性と触媒担持特性を両立するために、平均一次粒子径が15〜25nmと小粒径であることを特徴の一つとする。平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)の5万倍画像から100個のカーボンブラックの一次粒子径を測り、平均値を算出して求めることができる。カーボンブラックの一次粒子はアスペクト比が小さく真球に近い形状をしているが、完全な真球ではない。そこで、TEM画像における一次粒子の外周2点を結ぶ線分のうちで最大のものをカーボンブラックの一次粒子径とした。一般的に、カーボンブラックを含む多くの粉体の比表面積は、粒子径及び表面粗さによって決まる。すなわち、粒子径が小さく、表面が粗い粒子であるほど、比表面積は高くなる。カーボンブラックを高比表面積化する手段の一つとして、表面を多孔質化する賦活処理があり、それにより粉体の比表面積は、例えば2倍以上に増加する。本発明者は、同一条件で賦活処理した際、平均一次粒子径が小さいほど比表面積の増加率が向上するということを見出した。処理温度や時間といった賦活条件を変更することでも比表面積の増加率を制御できるが、高温、長時間で処理するほど結晶性及び生産性が低下してしまう。平均一次粒子径が25nmを超えると結晶性を維持したまま200m2/g以上に高比表面積化することができず、触媒金属粒子を高分散担持できなくなる。中空構造を有する多孔性カーボンブラックの場合、平均一次粒子径が25nmを超えていても200m2/g以上に高比表面積化することができるが、担持される触媒金属粒子の一部が細孔内部に入り込んでしまい、触媒反応効率が低下してしまう。また、平均一次粒子径が15nm未満であると、高比表面積であっても担持された触媒金属粒子同士が互いに接触して凝集しやすくなり、触媒反応効率が低下してしまう。カーボンブラックの平均一次粒子径は好ましくは16〜24nmであり、より好ましくは18〜22nmである。
カソード電位によるカーボンブラックの表面酸化反応は以下のように進行すると考えられる。すなわち、第一段階でフェノール性水酸基などの単結合性の表面官能基が生成し、第二段階でそれらがカルボキシル基などの二重結合性の表面官能基へと酸化され、第三段階では二酸化炭素となって脱離する。したがって、カーボンブラック上の表面官能基量が多くなると、第一段階の表面官能基生成過程を経ずして容易に第二段階、第三段階の反応が進行するため、表面酸化反応が促進されてしまう。
カーボンブラック上に存在する表面官能基種を評価する手段の一つとして、昇温脱離(TPD)法がある。TPD法は、予め乾燥した試料を不活性雰囲気中で一定の昇温速度で加熱した際に脱離するCO、CO2及びH2Oの量を測定する方法であり、得られる脱離温度と脱離ガス量のプロファイルから表面官能基種を推定することができる。TPD測定の結果、カーボンブラック上にはフェノール性水酸基、エーテル基、カルボキシル基、カルボニル基、ラクトン基などの含酸素官能基が存在することがわかっている。
本発明におけるカーボンブラックの揮発分は0.10〜1.00%であることが好ましい。ここで揮発分とは、カーボンブラック上に存在する表面官能基の量を評価する指標である。揮発分は、予め105℃で1時間乾燥して水分を除去した試料を、真空中950℃で5分間加熱処理した際の重量変化分から測定できる。本発明者は鋭意検討を行った結果、カーボンブラックの表面酸化反応は、含酸素官能基であれば表面官能基の種類にはよらず、表面官能基量に強く依存することを見出した。揮発分が1.00%を超えると表面官能基量が多くなるため、カソード電位によるカーボンブラックの表面酸化反応が進行しやすくなり、耐酸化性が低下する傾向にある。一方、揮発分が0.10%未満であると表面官能基量が少なくなるため、親水性が著しく低下する傾向にある。そのため、カーボンブラック上に触媒金属粒子を担持させる際の前駆体溶液への分散が困難となり、触媒金属粒子を高分散担持させることができなくなるおそれがある。揮発分は不活性雰囲気中で加熱するグラファイト化処理によって減少し、含酸素雰囲気中で加熱する賦活処理によって増加する。カーボンブラックの揮発分は0.20〜0.80%であることが好ましく、0.30〜0.70%であることがより好ましい。
本発明のカーボンブラックの製造方法は、平均一次粒子径を制御した原料カーボンブラックを1600〜1800℃でグラファイト化処理した後、500〜650℃で賦活処理することを特徴とする。グラファイト化処理の後に賦活処理することによって、高比表面積化とともに、結晶化が十分でなかったアモルファス状カーボンを優先的に燃焼することができ、更なる高結晶化が可能となる。
本発明に係る原料カーボンブラックの製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、炭化水素などの原料ガスを反応炉の炉頂に設置されたノズルから供給し、熱分解反応及び又は部分燃焼反応によりカーボンブラックを製造し、反応炉下部に直結されたバグフィルターから捕集することができる。使用する原料ガスは特に限定されるものではなく、アセチレン、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのガス状炭化水素や、トルエン、ベンゼン、キシレン、ガソリン、灯油、軽油、重油などのオイル状炭化水素をガス化したものを使用することができる。またこれらの複数を混合して使用することもできる。中でも、硫黄分などの不純物が少ないアセチレンガスを使用することが好ましい。原料カーボンブラックの平均一次粒子径を制御する手段の一つとして、反応炉内に原料ガスとともに空気等の酸化性ガスを加えて不完全燃焼させることにより、小粒径化する方法がある。さらに、反応炉内に旋回流を与え、高温場での滞留時間を大幅に短縮させることによりカーボンブラックを生成直後に急冷すると、小粒径化に好適である。旋回ガスには水蒸気や水素、窒素などを用い、水蒸気の含有率を10〜20vol%とすることが好ましい。水蒸気は冷却効果と賦活効果を持つが、旋回ガス中の水蒸気の含有率が20vol%を超えると、賦活効果が増大するため、生成するカーボンブラックの結晶性が著しく低下してしまう。
グラファイト化処理を行う際、原料カーボンブラックを充填する容器として黒鉛、アルミナ又は炭化ケイ素などのるつぼを用いることができる。本発明に係るカーボンブラックを製造するに当たっては、るつぼへの原料カーボンブラックの充填密度が0.05g/ml以下の状態でグラファイト化処理することが好ましい。これにより粒子間での結晶化を防ぎ、比表面積の低下を抑制することができる。充填密度は、充填する原料カーボンブラックの重量とるつぼの容積から求めることができる。充填密度が0.05g/mlを超えると、粒子同士の接触度の増大により、粒子内だけでなく、粒子間での結晶化が進行するため、比表面積が著しく低下し、触媒金属粒子が高分散担持できなくなる。るつぼへの原料カーボンブラックの充填密度は0.04g/ml以下であることが好ましく、0.03g/ml以下であることがより好ましい。ただし、この充填密度は小さすぎると生産性が低下することから、0.01g/ml以上であることが好ましい。
また、グラファイト化処理を行う前の原料カーボンブラックの結晶層厚みLcは15Å以上であることが好ましく、16Å以上であることがより好ましい。原料カーボンブラックの結晶層厚みLcが15Å未満であると、1800℃を超える高温でのグラファイト化処理が必要となり、比表面積が極端に低下してしまう。原料カーボンブラックの結晶層厚みLcはカーボンブラック合成時の反応温度によって変化させることが可能である。
本発明に係るカーボンブラックを製造するに当たっては、賦活処理の温度を500〜650℃とすることが望ましい。原料カーボンブラックの平均一次粒子径が小さいため、このように賦活処理温度を比較的低温としても、十分な比表面積増加効果がある。また、賦活処理後のカーボンブラックの揮発分を低く、例えば1.00%以下に抑えることができる。
本発明の燃料電池用触媒は、本発明のカーボンブラックの表面に触媒金属粒子を高分散担持したものである。触媒金属の種類としては白金の他に白金合金などを用いることが好ましい。白金合金形成金属としては、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、鉄、チタン、ニッケル、コバルト、金、銀、銅、クロム、マンガン、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ケイ素、レニウム、亜鉛、スズ等がある。固体高分子型燃料電池へ用いる場合、一酸化炭素被毒防止に有効であるため白金−ルテニウム又は白金−コバルト合金が好ましい。白金合金組成は白金が30〜90質量%であることが好ましい。触媒金属粒子の大きさは、例えば白金であれば10〜50Åが好ましい。
燃料電池用触媒の製造方法は特に制限されないが、触媒金属粒子を白金とする場合の一例として以下の方法が挙げられる。まず、カーボンブラックを水に懸濁させた分散液に、ヘキサクロロ白金酸(IV)水溶液を加えて混合液Aとし、これに白金に対し10倍当量の水素化ホウ素ナトリウムを添加(還元処理)し、カーボンブラックの表面に白金粒子を析出させた後、濾過、洗浄、乾燥することによって燃料電池用触媒を製造することができる。
触媒金属粒子を白金合金とする場合には、白金と合金形成金属を含む混合液が用いられる。例えばルテニウムを合金形成金属として使用する場合、所定量のルテニウムを含む三塩化ルテニウム(III)水溶液を上記混合液Aに加えて混合液Bを調製する。ついで、白金合金に対し10倍当量の水素化ホウ素ナトリウムを混合液B に添加(還元処理)し、カーボンブラックの表面に白金合金粒子を析出させた後、濾過、洗浄、乾燥することによって燃料電池用触媒を製造することができる。
本発明の燃料電池用触媒を用いた固体高分子型燃料電池は、例えば以下のようにして作製することができる。つまり、燃料電池用触媒を四フッ化エチレン樹脂粉末と混合し、アルコールを加えてペースト状にしたものをカーボンペーパーの片面に塗布し触媒層を形成する。そして、触媒層の表面にナフィオン溶液を均一に塗布し電極とする。ナフィオン膜(パーフルオロスルホン酸電解質膜)の両面に、各電極を接するように重ね合わせ、ホットプレスで熱圧着させ、膜電極接合体(MEA)を得る。MEAをセパレーター、続いて集電板で挟み込めば燃料電池単セルが完成し、電子負荷装置、ガス供給装置を接続すれば燃料電池の評価を行うことができる。
実施例1
アセチレンガスを2000℃で熱分解して得られた比表面積が392m2/g、結晶層厚みLcが17Å、平均一次粒子径が19nmの原料カーボンブラックを窒素雰囲気中1700℃で1時間グラファイト化処理した後、550℃で30分間賦活処理した。グラファイト化処理時のアルミナ容器への充填密度は0.03g/mlとした。
得られたカーボンブラックについて、以下の物性を測定した。評価結果を表1に示す。
(1)比表面積:JIS K 6217−2に従い測定した。
(2)結晶層厚みLc:X線回折装置(Brucker社製「D8ADVANCE」)により、CuKα線を用いて測定範囲2θ=10〜40゜、スリット幅0.5゜の条件でX線回折を行った。測定角度の校正にはX線標準用シリコン(三津和化学薬品社製金属シリコン)を用いた。得られた(002)面の回折線を用いて、Scherrerの式:Lc(Å)=(K×λ)/(β×cosθ)により結晶層厚みLcを求めた。ここでKは形状因子定数0.9、λはX線の波長1.54Å、θは(002)回折線吸収バンドにおける極大値を示す角度、βは(002)回折線吸収バンドにおける半価幅(ラジアン)である。
(3)平均一次粒子径:透過型電子顕微鏡(TEM)の5万倍画像より、100個のカーボンブラック一次粒子径を測り、平均値を算出した。
(4)揮発分:予め105℃で1時間乾燥して水分を除去した試料を、真空中950℃で5分間加熱処理した際の重量変化分から測定した。
得られたカーボンブラックを塩化白金酸水溶液に混合した。混合割合は質量比で、カーボンブラック/白金=70/30とした。混合液を80℃で30分間撹拌した後、室温まで冷却した。0.5Mの水素化ホウ素ナトリウムを5回に分けて添加し白金を析出させ、濾過、洗浄後、乾燥して燃料電池用触媒を得た。得られた白金担持カーボンブラックに含有される白金重量を、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS)を用いて定量し、白金担持カーボンブラック単位重量あたりの白金重量比(白金担持率)を算出した。算出した白金担持率を表1に示す。
得られた燃料電池用触媒1gにナフィオンを2.5g混合してペーストとし、カーボンペーパーに塗布した後、80℃で乾燥して空気極とした。市販の白金担持カーボンブラック(田中貴金属社製「TEC10E40E」)を燃料極に用い、ナフィオン膜を挟んで空気極と重ね合わせて135℃で10分間、9.8MPaでプレスし、膜電極接合体(MEA)を得た。セパレーター、集電板で挟み込み一体化して、燃料電池単セルを構成した。この燃料電池単セルを90℃の温度条件下、両極に窒素10ml/minを導入し、1.0V〜0.1V(vs.NHE)の電位範囲でサイクリックボルタンメトリー測定を行い、得られた水素吸着波から白金触媒の有効比表面積(ECSA)を算出した。
つぎに、この燃料電池単セルを90℃の温度条件下、水素4ml/min、空気60ml/minを導入し、1.0V〜0.6V(vs.NHE)の定電位走査を20mV/sで5000サイクル繰り返し、その後、上記と同様に窒素雰囲気でサイクリックボルタンメトリー測定を行い、得られた水素吸着波から白金触媒の有効比表面積(ECSA)を算出した。触媒耐久性の指標として、定電位走査サイクル前後でのECSA低下率を求めた。ここで、耐酸化性の低いカーボンブラック上では表面酸化や腐食が起こるため、ECSA低下率が大きくなってしまう。評価結果を表1に示す。
比較例1
市販のカーボンブラック(CABOT社製「VULCAN(登録商標) XC72」)を用いて燃料電池用触媒及び燃料電池単セルを作製し、評価した。評価結果を表2に示す。
比較例2
特許文献2の段落(0009)〜(0010)の実施例に記載された水蒸気賦活黒鉛化カーボンブラックを用いて燃料電池用触媒及び燃料電池単セルを作製し、評価した。評価結果を表2に示す。
実施例2〜8、比較例3〜12
使用する原料カーボンブラック、グラファイト化温度、賦活温度を表1〜2に示す条件に変えたこと以外は実施例1と同様にしてカーボンブラックを得た。なお、比較例3ではグラファイト化処理と賦活処理を、比較例4では賦活処理を、比較例5ではグラファイト化処理を行っていない。また、比較例6ではグラファイト化処理時のアルミナ容器への充填密度を0.08g/mlとし、比較例12では原料カーボンブラックに中空構造を有する多孔性カーボンブラックを用いた。評価結果を表1〜2に示す。
Figure 0006563945
Figure 0006563945
表1より、本発明のカーボンブラックは高い白金担持率を示し、かつ、白金触媒の有効比表面積(ECSA)を長期的に保持した。
本発明のカーボンブラックは、各種燃料電池用の触媒担体として使用することができる。これにより、発電性能が高く、長期耐久性に優れた燃料電池を生産することが可能となる。

Claims (3)

  1. BET法により測定した比表面積が200〜500m2/g、X線回折により測定した結晶層厚みLcが20〜30Åであり、平均一次粒子径が15〜25nmであり、揮発分が0.10〜1.00%であることを特徴とするカーボンブラック。
  2. 請求項1に記載のカーボンブラックに触媒金属粒子が担持されてなる燃料電池用触媒。
  3. 請求項に記載の燃料電池用触媒を備えた燃料電池。
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