JPH07207341A - ステンレス鋼帯の製造方法 - Google Patents

ステンレス鋼帯の製造方法

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JPH07207341A
JPH07207341A JP427794A JP427794A JPH07207341A JP H07207341 A JPH07207341 A JP H07207341A JP 427794 A JP427794 A JP 427794A JP 427794 A JP427794 A JP 427794A JP H07207341 A JPH07207341 A JP H07207341A
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stainless steel
steel strip
pickling
temperature
hot
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JP427794A
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Masaharu Ikeda
雅晴 池田
Genichi Ishibashi
源一 石橋
Kuniaki Sato
邦昭 佐藤
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JFE Steel Corp
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 厚さにかかわらず、常に優れた表面性状を備
えたステンレス鋼帯を、低コストで得ることが可能なス
テンレス鋼帯の製造方法を提供する。 【構成】 熱間圧延後のステンレス鋼帯を、500℃以
上,700℃以下の温度で巻き取った後、焼鈍・酸洗設
備において前記ステンレス鋼帯を所定温度まで加熱し、
次いで、前記ステンレス鋼帯の温度が850℃未満とな
る前に、当該ステンレス鋼帯を水冷する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ステンレス鋼帯の製造
方法に関わり、特に、表面性状(表面品質)に優れたオ
ーステナイト系ステンレス鋼帯を製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、たとえば、普通炭素鋼,低合
金鋼,ステンレス鋼およびケイ素鋼などの各鋼の熱延製
品は、一般的に、連続鋳造あるいは分塊圧延により製造
されたスラブを加熱炉にて加熱し、これにより得られた
スラブを粗圧延機および仕上げ圧延機にて熱間圧延する
ことで、厚さ数ミリメートルから数センチメートルのス
トリップにされた後、巻き取り機(コイラ)にてコイル
状に巻き取られ、次に、所望の工程を経て製品化されて
いる。
【0003】これらの鋼のうち、ステンレス鋼、特に、
オーステナイト系ステンレス鋼を除く各鋼では、仕上げ
圧延機にて熱間圧延した後、一般的に、ホットラン冷却
が行われている。前記ホットラン冷却は、たとえば、
『鉄鋼便覧(第3版)、 III(1)、圧延基礎・鋼板、
日本鉄鋼協会編、第369頁』に記載されているよう
に、仕上げ圧延機の出側に配置されている冷却設備にて
行う鋼帯の冷却のことである。このホットラン冷却で
は、高速で走行するストリップを、限られたスペースと
時間で冷却すると共に、当該ストリップの冷却終了温度
を厳しい範囲内に制御することが要求されている。
【0004】一方、ステンレス鋼、特にオーステナイト
系ステンレス鋼は、ホットライン冷却を行わずに、前記
巻き取り機にてコイル状に巻き取り、通常、焼鈍(焼き
なまし)と酸洗工程を連続して行う連続焼鈍酸洗設備に
て処理される。この連続焼鈍酸洗設備は、主に、焼鈍
炉,冷却帯および酸洗装置から構成されている。前記連
続焼鈍酸洗設備にて、たとえば、オーステナイト系ステ
ンレス鋼帯を処理する場合は、前記焼鈍炉において、当
該オーステナイト系ステンレス鋼帯を1100〜115
0℃程度に加熱した後、冷却帯にて所定温度まで冷却
し、引き続いて酸洗装置にて、当該オーステナイト系ス
テンレス鋼帯の表面に存在するスケールの除去が行われ
る。
【0005】ここで、前記酸洗装置では、前記スケール
を除去する目的で、通常、硫酸や硝フッ酸などの酸液が
使用されている。そして、特に、硝フッ酸の使用は、オ
ーステナイト系ステンレス鋼帯の脱スケールには必須と
されている。しかしながら、前記硝フッ酸は、脱スケー
ル能力が高い反面、ステンレス鋼帯の結晶粒界を溶解
し、ステンレス鋼帯の表面に、粒界侵食溝と呼ばれる欠
陥を発生させ、最終製品となったステンレス鋼帯の表面
性状を著しく低下させるという問題がある。
【0006】そこで、この問題を解決するため、たとえ
ば、特開昭59−163003号公報に開示されている
従来例がある。この従来例は、熱間圧延後のステンレス
鋼帯の巻き取りを、650℃以下の温度で行い、巻き取
ったステンレス鋼帯に焼鈍することなくデスケーリング
を行い、次いで、得られたステンレス鋼帯に冷間圧延を
行って所定の板厚とした後、最終焼鈍を行うものであ
る。この従来例は、粒界侵食のない優れた表面性状を備
えたステンレス鋼帯(最終製品)を得ることができると
いう利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
59−163003号公報に開示されている従来例は、
巻き取り装置で巻き取ったステンレス鋼帯に焼鈍を行わ
ないため、酸洗後のステンレス鋼帯には、熱間圧延によ
る加工硬化が残留したままとなる。従って、前記ステン
レス鋼帯には、前記冷間圧延にて冷間圧延機から非常に
大きな負荷がかかると共に、当該冷間圧延機にも過大な
負荷をかけるという問題がある。
【0008】また、特に、厚さの薄いステンレス鋼帯を
製造する場合には、前記冷間圧延機から受ける負荷の影
響がさらに増大し、最終製品であるステンレス鋼帯の表
面性状が悪化するという問題がある。本発明は、このよ
うな従来の問題点を解決することを課題とするものであ
り、厚さにかかわらず、常に優れた表面性状を備えたス
テンレス鋼帯を、低コストで得ることが可能なステンレ
ス鋼帯の製造方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明は、表面性状に優れたステンレス鋼帯を製造
する方法を提供するものであり、熱間圧延後のステンレ
ス鋼帯を、500℃以上,700℃以下の温度で巻き取
る工程と、前記巻き取り工程後、焼鈍・酸洗設備におい
て前記ステンレス鋼帯を所定温度まで加熱する工程と、
前記加熱後、前記ステンレス鋼帯の温度が850℃未満
となる前に、当該ステンレス鋼帯を水冷する工程と、を
含んでなることを特徴とするステンレス鋼帯の製造方法
を提供するものである。
【0010】
【作用】本発明にかかるステンレス鋼帯の製造方法によ
れば、熱間圧延後のステンレス鋼帯を、500℃以上,
700℃以下の温度で巻き取った後、焼鈍・酸洗設備に
おいて所定温度まで加熱し、次いで、前記ステンレス鋼
帯の温度が850℃未満となる前に、当該ステンレス鋼
帯を水冷するため、前記焼鈍・酸洗設備での酸洗工程を
簡略化しても、優れた脱スケール特性が得られると共
に、ステンレス鋼帯に発生する粒界侵食深さが浅くな
る。従って、優れた表面性状を備えたステンレス鋼帯が
得られる。
【0011】以下に、この理由を、本発明にかかる各種
条件の臨界的意義および作用に基づいて説明する。先
ず、熱間圧延後のステンレス鋼帯の巻き取り温度を、5
00℃以上,700℃以下に限定した理由について説明
する。前記熱間圧延後のステンレス鋼帯の巻き取り温度
を500℃以上にすると、水冷後のステンレス鋼帯の硬
さが最適となる。従って、このステンレス鋼帯を前記連
続焼鈍酸洗設備にて処理した際には、該連続焼鈍酸洗設
備の各装置に負荷がかかることが抑制されると共に、ス
テンレス鋼帯自身にも負荷がかかることが防止される。
また、前記連続焼鈍酸洗設備内を走行する際に、前記ス
テンレス鋼帯が蛇行したり、振動することも抑制でき、
優れた通板性が得られる。
【0012】前記熱間圧延後のステンレス鋼帯の巻き取
り温度が500℃未満であると、水冷後のステンレス鋼
帯の硬度(HRB)が、100以上と高くなり、ステン
レス鋼帯が非常に硬くなる。この高い硬度を有するステ
ンレス鋼帯が、前記連続焼鈍酸洗設備にて処理される
と、該連続焼鈍酸洗設備の一部を構成しているコイル払
出し装置に過大な負荷がかかってしまう。
【0013】また、前記高い硬度を有するステンレス鋼
帯が、前記連続焼鈍酸洗設備内を走行すると、該ステン
レス鋼帯が蛇行したり、振動するなど、通板性が著しく
悪化してしまう。一方、前記熱間圧延後のステンレス鋼
帯の巻き取り温度を700℃以下にした理由は、以下の
調査に基づいている。
【0014】すなわち、本発明者らは、ステンレス鋼
帯、特に、オーステナイト系ステンレス鋼帯の表面性状
は、母材のみによって決定されるのではなく、熱間圧延
後に、ステンレス鋼帯の表面に生成する酸化スケールの
特性も影響していると仮定し、綿密な調査を行ったとこ
ろ、以下に述べる事実が判明した。熱間圧延後のステン
レス鋼帯の巻き取り温度が変化しても、水冷後のステン
レス鋼帯表面に生成しているスケール中に存在する成分
は、ほぼ同一であるが、その存在割合が著しく異なる。
【0015】具体的には、前記熱間圧延後のステンレス
鋼帯の巻き取り温度が、700℃以下の場合には、図2
に示すように、前記スケールの主成分は、コランダム型
(Fe2 3 型)であるのに対して、前記巻き取り温度
が700℃を越えると、スピネル型(Fe3 4 型)
が、その主成分となる。なお、図2は、本発明にかかる
熱間圧延後のステンレス鋼帯の巻き取り温度における、
コランダム型(Fe2 3 型)のスケールと、スピネル
型(Fe3 4型)のスケールのX線回折強度を示す図
である。
【0016】前記巻き取り温度が700℃を越えた際に
得られるステンレス鋼帯の表面に形成されたスピネル型
(Fe3 4 型)を主線分とするスケールは、一般的
に、その構造が緻密で強固な特性を有している。従っ
て、次工程で使用する連続焼鈍酸洗設備で再加熱される
と、さらに酸化が進行してしまう。このため、前記連続
焼鈍酸洗設備の負荷を増大させる原因となる。
【0017】一方、前記巻き取り温度が700℃以下の
場合に得られるステンレス鋼帯の表面に形成されたコラ
ンダム型(Fe2 3 型)を主成分とするスケールは、
一般的に、前記スピネル型(Fe3 4 型)を主線分と
するスケールに比べ、その構造が粗であり脆い特性を有
している。従って、次工程で使用する連続焼鈍酸洗設備
で行われる酸洗処理の際に、脱スケールが行われ易くな
り、当該酸洗処理を簡略化することができる。
【0018】以上の理由から、熱間圧延後のステンレス
鋼帯の巻き取り温度を、500℃以上,700℃以下に
限定した。次に、焼鈍・酸洗設備におけるステンレス鋼
帯の水冷開始温度を850℃以上とした理由について説
明する。本発明者らは、酸洗処理時のステンレス鋼帯に
発生する粒界侵食溝深さは、焼鈍・酸洗設備におけるス
テンレス鋼帯の水冷開始温度に関係すると考え、以下の
実験を行った。
【0019】すなわち、実験室的な電気炉で、実際の加
熱炉で行う加熱に相当する加熱をステンレス鋼帯に施し
た後に、水スプレーを使用し、種々の温度から水冷し、
さらに、実際の酸洗装置で行う酸洗に相当する酸洗処理
を当該それぞれのステンレス鋼帯に施した。次に、この
酸洗後、各々のステンレス鋼帯に発生した粒界侵食溝の
深さを測定した。この結果を図3に示す。
【0020】なお、図3は、ステンレス鋼帯の焼鈍・酸
洗設備における水冷開始温度と得られたステンレス鋼帯
の粒界侵食深さとの関係を示す図である。図3から、ス
テンレス鋼帯に発生した粒界侵食溝の深さは、前記水冷
開始温度が850℃前後の時に大きく変わり、水冷開始
温度が850℃以上となると、大きく低減することがわ
かる。そして、前記水冷開始温度が850℃以上では、
さらに水冷開始温度を高くするほど粒界侵食溝の深さが
低減するが、その低減率は、前記水冷開始温度が850
℃前後の時の変化に比べると小さくなることがわかる。
【0021】従って、焼鈍・酸洗設備におけるステンレ
ス鋼帯の水冷開始温度を850℃以上に限定した。な
お、図1は、縦軸に、と水冷開始温度(℃)を、横軸
に、熱間圧延後の巻き取り温度(℃)を、示す図であ
り、斜線で示す(A)領域が、本発明の条件を満たして
いる部分である。
【0022】
【実施例】次に、本発明にかかる一実施例について説明
する。供試材として、オーステナイト系ステンレス鋼の
代表鋼種であるSUS−304鋼を使用し、ステンレス
鋼帯(製品)を製造する際に実際に使用している熱間圧
延設備および連続焼鈍酸洗設備を使用して、以下に示す
条件で、ステンレス鋼帯を製造する。
【0023】所定の温度で熱間圧延したステンレス鋼帯
を、表1に示す各々の巻き取り温度で巻き取り、5種類
の熱間圧延コイル(水準(A)〜水準(E))を作製す
る。なお、本実施例では、前記熱間圧延後のステンレス
鋼帯の巻き取り温度を、表1に示す温度とするために、
該熱間圧延後のステンレス鋼帯に、ホットラン冷却を行
った。
【0024】次に、この5種類の熱間圧延コイル(水準
(A)〜水準(E))を巻き戻して連続焼鈍酸洗設備に
通板させる。この時、先ず、各々のステンレス鋼帯(水
準(A)〜水準(E))を焼鈍炉にて、1100〜11
50℃程度に加熱した後、冷却帯にて表1に示す温度で
水冷を行う。なお、本実施例では、前記水冷は、水スプ
レーを使用して行った。
【0025】ここで、水準(B)は、連続焼鈍酸洗設備
における通板性が極めて悪く、水冷を行うことができな
かった。
【0026】
【表1】
【0027】なお、前記水準(A)〜水準(E)は、図
1に示す各領域(A)〜(E)に対応している。次に、
前記水冷が終了した4種類のステンレス鋼帯(水準
(A)および水準(C)〜水準(E))に、酸洗装置に
て酸洗を行う。なお、本実施例では、濃度が200g/
lの硫酸が収容されている第一硫酸槽と、濃度が200
b/lの硫酸が収容されている第二硫酸槽と、硝酸とフ
ッ酸との混合液(硝酸:フッ酸=6:1、濃度=150
g/l)が収容されている混酸槽から構成した酸洗装置
を使用した。
【0028】前記酸洗は、各ステンレス鋼帯(水準
(A)および水準(C)〜水準(E))に、表2に示す
条件で行なう。なお、従来から行われている標準的な酸
洗は、前記3つの酸洗槽を全て使用して脱スケールを行
っているが、本実施例では、第一硫酸槽および第二硫酸
槽を使用しない混酸槽のみの酸洗についても行った。
【0029】このようにして、厚さ4mm程度のステン
レス鋼帯(水準(A)および水準(C)〜水準(E))
を得た。次に、得られた各々のステンレス鋼帯(水準
(A)および水準(C)〜水準(E))の表面に形成さ
れたスケールの除去状態(脱スケール状態)および粒界
侵食深さを調査した。この結果を表2に示す。
【0030】
【表2】
【0031】表2から、熱間圧延後のステンレス鋼帯の
巻き取り温度を600℃とし、水冷開始温度を900℃
とした条件(本発明における条件を満たす)により得ら
れたステンレス鋼帯(水準(A))は、混酸槽のみの酸
洗であっても、表面の脱スケールが完了されており、ま
た、粒界侵食深さも1〜2μmと浅く、良好な表面性状
を備えたステンレス鋼帯が得られたことがわかる。
【0032】すなわち、水準(A)は、酸洗を簡略化し
ても良好な表面性状を備えたステンレス鋼帯を得ること
ができ、酸洗コストの低減、酸洗時間の短縮を行うこと
ができる。また、熱間圧延後のステンレス鋼帯の巻き取
り温度を600℃とし、水冷開始温度を800℃とした
条件により得られたステンレス鋼帯(水準(C))は、
混酸槽のみの酸洗であっても、表面の脱スケールが完了
されていたが、粒界侵食深さが10〜14μmと深く成
長しており、得られたステンレス鋼帯の表面性状が劣っ
ていたことがわかる。
【0033】そしてまた、熱間圧延後のステンレス鋼帯
の巻き取り温度を800℃とし、水冷開始温度を800
℃とした条件により得られたステンレス鋼帯(水準
(D))は、混酸槽のみの酸洗では、表面に形成されて
いたスケールを除去しきることができなかったことがわ
かる。また、前記三槽の酸洗槽を使用して脱スケールを
完了しても、粒界侵食深さが10〜14μmと深く成長
しており、得られたステンレス鋼帯の表面性状が劣って
いたことがわかる。
【0034】さらにまた、熱間圧延後のステンレス鋼帯
の巻き取り温度を800℃とし、水冷開始温度を900
℃とした条件により得られたステンレス鋼帯(水準
(E))は、混酸槽のみの酸洗では、表面に形成されて
いたスケールを除去しきることができなかったことがわ
かる。また、前記三槽の酸洗槽を使用して脱スケールを
完了しても、粒界侵食深さが10〜14μmと深く成長
しており、得られたステンレス鋼帯の表面性状が劣って
いたことがわかる。
【0035】次に、前記表2に示す条件で、図1に斜線
で示す(A)領域にあるステンレス鋼帯(すなわち、熱
間圧延後の巻き取り温度が、500℃以上,700℃以
下、且つ連続焼鈍・酸洗設備における水冷開始温度が、
850℃以上)について、酸洗を行った後、脱スケール
状態および粒界侵食深さの調査を行った。この結果、得
られた全てのステンレス鋼帯について混酸槽のみの酸洗
であっても、脱スケールが完了されており、また、粒界
侵食深さも浅く、良好な表面性状を備えたステンレス鋼
帯が得られたことが確認された。
【0036】そして、この結果は、本実施例で使用した
各々の酸液のみに現れる効果ではなく、通常使用されて
いる酸洗工程で使用される酸液について行っても、同様
に得ることができる。なお、本実施例では、熱間圧延後
のステンレス鋼帯を、所定の巻き取り温度にするため
に、ホットラン冷却を行ったが、熱間圧延後のステンレ
ス鋼帯を、所定の巻き取り温度(500℃以上,700
℃以下)にする方法は、これに限定されるものではな
い。
【0037】また、本実施例では、ステンレス鋼帯とし
て、オーステナイト系ステンレス鋼の代表とされるSU
S−304を使用したが、これに限らず、たとえば、S
US−301,SUS−321など、他のオーステナイ
ト系ステンレス鋼を使用しても同様の効果が得られ、ま
た、他のステンレス鋼に対しても同様の効果が得られ
る。
【0038】そしてまた、本実施例では、連続焼鈍酸洗
設備におけるステンレス鋼帯の冷却方法として、水冷を
行ったが、これに限らず、他の急冷方法を行っても同様
の効果を得ることができる。
【0039】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明に係る
ステンレス鋼帯の製造方法は、熱間圧延後のステンレス
鋼帯を、500℃以上,700℃以下の温度で巻き取っ
た後、焼鈍・酸洗設備において前記ステンレス鋼帯を所
定温度まで加熱し、次いで、前記ステンレス鋼帯の温度
が850℃未満となる前に、当該ステンレス鋼帯を水冷
するため、酸洗工程を簡略化しても、優れた脱スケール
特性が得られると共に、ステンレス鋼帯に発生する粒界
侵食深さを浅くすることができる。この結果、低コスト
で優れた表面性状を備えたステンレス鋼帯を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるステンレス鋼帯および他のステ
ンレス鋼帯における熱間圧延後の巻き取り温度および水
冷開始温度を示す図である。
【図2】本発明にかかる熱間圧延後のステンレス鋼帯の
巻き取り温度における、コランダム型(Fe2 3 型)
のスケールと、スピネル型(Fe3 4 型)のスケール
のX線回折強度を示す図である。
【図3】ステンレス鋼帯の焼鈍・酸洗設備における水冷
開始温度と得られたステンレス鋼帯の粒界侵食深さとの
関係を示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱間圧延後のステンレス鋼帯を、500
    ℃以上,700℃以下の温度で巻き取る工程と、前記巻
    き取り工程後、焼鈍・酸洗設備において前記ステンレス
    鋼帯を所定温度まで加熱する工程と、前記加熱後、前記
    ステンレス鋼帯の温度が850℃未満となる前に、当該
    ステンレス鋼帯を水冷する工程と、を含んでなることを
    特徴とするステンレス鋼帯の製造方法。
JP427794A 1994-01-19 1994-01-19 ステンレス鋼帯の製造方法 Pending JPH07207341A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005105345A (ja) * 2003-09-30 2005-04-21 Nippon Steel Corp 表面の均一性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法

Cited By (1)

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