JPH07207318A - Mg−Al合金ワイヤを使用した溶銑脱硫方法及び脱硫用ワイヤ - Google Patents
Mg−Al合金ワイヤを使用した溶銑脱硫方法及び脱硫用ワイヤInfo
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- JPH07207318A JPH07207318A JP463894A JP463894A JPH07207318A JP H07207318 A JPH07207318 A JP H07207318A JP 463894 A JP463894 A JP 463894A JP 463894 A JP463894 A JP 463894A JP H07207318 A JPH07207318 A JP H07207318A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 復硫を防止し、極低[S]の溶銑を得る。
【構成】 Al:40〜95重量%及びMg:5〜60
重量%を含むMg−Al合金製で直径1〜20mmのM
g−Al合金ワイヤ6を、MgS吸収能が高いフラック
ス3を浮遊させた溶銑2に添加する。フラックス3とし
ては、融点1400℃以下のCaO−Al2 O3 系やC
aO−Al2 O3 −SiO2 系フラックスが使用され
る。Al:40〜95%及びMg:5〜60%を含む直
径1〜20mmのMg−Al合金線材にMgS吸収能が
高いフラックスをコーティングした複合ワイヤを使用す
ることもできる。 【効果】 脱硫反応で生成したMgSがフラックス層3
に吸収されるため、復硫を生じることなく、高い脱硫効
率で溶銑2が脱硫される。
重量%を含むMg−Al合金製で直径1〜20mmのM
g−Al合金ワイヤ6を、MgS吸収能が高いフラック
ス3を浮遊させた溶銑2に添加する。フラックス3とし
ては、融点1400℃以下のCaO−Al2 O3 系やC
aO−Al2 O3 −SiO2 系フラックスが使用され
る。Al:40〜95%及びMg:5〜60%を含む直
径1〜20mmのMg−Al合金線材にMgS吸収能が
高いフラックスをコーティングした複合ワイヤを使用す
ることもできる。 【効果】 脱硫反応で生成したMgSがフラックス層3
に吸収されるため、復硫を生じることなく、高い脱硫効
率で溶銑2が脱硫される。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶銑を効率よく且つ迅
速に脱硫する方法及び脱硫用ワイヤに関する。
速に脱硫する方法及び脱硫用ワイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】高炉から出銑された溶銑は、比較的多量
の不純物を含んでいる。この溶銑を転炉で精錬するに先
立って、脱Si,脱S,脱P等の各種処理が施されてい
る。特に、溶銑に含まれるSは、鋼材の加工性や耐食性
を低下させる原因となることから、溶銑段階で低レベル
まで下げることが必要である。溶銑の脱硫には、取鍋,
混銑車等に収容された溶銑に脱硫剤を添加する方式が採
用されている。脱硫剤には、CaO,CaC2 ,Na2
CO3 ,金属Mg,希土類金属等が使用されている。た
とえば、特開平3−301461号公報は、金属Mg粉
末及びCaC2 粉末を含むフラックスを溶銑にガスイン
ジェクションする脱硫方法を紹介している。
の不純物を含んでいる。この溶銑を転炉で精錬するに先
立って、脱Si,脱S,脱P等の各種処理が施されてい
る。特に、溶銑に含まれるSは、鋼材の加工性や耐食性
を低下させる原因となることから、溶銑段階で低レベル
まで下げることが必要である。溶銑の脱硫には、取鍋,
混銑車等に収容された溶銑に脱硫剤を添加する方式が採
用されている。脱硫剤には、CaO,CaC2 ,Na2
CO3 ,金属Mg,希土類金属等が使用されている。た
とえば、特開平3−301461号公報は、金属Mg粉
末及びCaC2 粉末を含むフラックスを溶銑にガスイン
ジェクションする脱硫方法を紹介している。
【0003】なかでも、金属Mg又はMg合金は、溶銑
中の[S]に対する反応性が高いことから、効率的な脱
硫剤として検討されている。金属Mgは、[S]に対す
る反応性ばかりでなく、雰囲気中の酸素と爆発的に反応
することがある。反応によって金属Mgが溶銑に対する
脱硫作用を呈さなくなるばかりでなく、脱硫処理を危険
な作業にする。この点、たとえば特公昭54−1936
5号公報に記載されているように、金属Mgに代えてM
g−Al合金を使用することにより爆発的な反応が防止
される。
中の[S]に対する反応性が高いことから、効率的な脱
硫剤として検討されている。金属Mgは、[S]に対す
る反応性ばかりでなく、雰囲気中の酸素と爆発的に反応
することがある。反応によって金属Mgが溶銑に対する
脱硫作用を呈さなくなるばかりでなく、脱硫処理を危険
な作業にする。この点、たとえば特公昭54−1936
5号公報に記載されているように、金属Mgに代えてM
g−Al合金を使用することにより爆発的な反応が防止
される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】溶銑に添加されたMg
は、Mg(g)+[S]→MgS(s)及びMg(l)
+[S]→MgS(s)の脱硫反応に従って溶銑中の
[S]と反応し、反応生成物MgSをスラグに移行させ
ることにより溶銑を脱硫する。この脱硫反応は、他の脱
硫剤を使用した場合に比較し、溶銑の[S]を極めて低
いレベルまで下げることに有効であり、通常ガスインジ
ェクション方式で吹き込まれる。
は、Mg(g)+[S]→MgS(s)及びMg(l)
+[S]→MgS(s)の脱硫反応に従って溶銑中の
[S]と反応し、反応生成物MgSをスラグに移行させ
ることにより溶銑を脱硫する。この脱硫反応は、他の脱
硫剤を使用した場合に比較し、溶銑の[S]を極めて低
いレベルまで下げることに有効であり、通常ガスインジ
ェクション方式で吹き込まれる。
【0005】ガスインジェクション方式では、溶銑の深
部に脱硫剤が送り込まれるようにキャリアガスの圧力を
高く設定している。また、溶銑との反応性を高めるた
め、Mg系脱硫剤を細粒にしている。高圧のキャリアガ
スは、脱硫剤の吹込みに有効であるものの、無数の気泡
となって溶銑中を上昇し系外に放出される。他方、蒸気
圧が大きなMgは、細粒になるほど短時間でMg蒸気に
なる。そのため、吹き込まれたMg系脱硫剤が未反応状
態の蒸気として系外に持ち去られる傾向が強く、脱硫効
率が依然として低い値を示す。本発明は、このような問
題を解消すべく案出されたものであり、溶銑の深部まで
ワイヤ先端が到達するサイズに設定されたMg−Al合
金ワイヤを脱硫剤として使用すると共に、反応生成物M
gSをフラックス層に吸収することにより、反応生成物
MgSの分解による復Sを抑えながら、反応活性が高い
Mgを効率よく脱硫反応に利用し、高位に安定した条件
下で溶銑を迅速に脱硫することを目的とする。
部に脱硫剤が送り込まれるようにキャリアガスの圧力を
高く設定している。また、溶銑との反応性を高めるた
め、Mg系脱硫剤を細粒にしている。高圧のキャリアガ
スは、脱硫剤の吹込みに有効であるものの、無数の気泡
となって溶銑中を上昇し系外に放出される。他方、蒸気
圧が大きなMgは、細粒になるほど短時間でMg蒸気に
なる。そのため、吹き込まれたMg系脱硫剤が未反応状
態の蒸気として系外に持ち去られる傾向が強く、脱硫効
率が依然として低い値を示す。本発明は、このような問
題を解消すべく案出されたものであり、溶銑の深部まで
ワイヤ先端が到達するサイズに設定されたMg−Al合
金ワイヤを脱硫剤として使用すると共に、反応生成物M
gSをフラックス層に吸収することにより、反応生成物
MgSの分解による復Sを抑えながら、反応活性が高い
Mgを効率よく脱硫反応に利用し、高位に安定した条件
下で溶銑を迅速に脱硫することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の溶銑脱硫方法
は、その目的を達成するため、Al:40〜95重量%
及びMg:5〜60重量%を含むMg−Al合金製で直
径1〜20mmのMg−Al合金ワイヤを、MgS吸収
能が高いフラックスを浮遊させた溶銑に添加することを
特徴とする。MgS吸収能が高いフラックスとしては、
たとえば融点1400℃以下のCaO−Al2 O3 系又
はCaO−Al2 O3 −SiO2 系フラックスが使用さ
れる。MgS吸収能が高いフラックスは、MgーAl合
金線材にコーティングした状態でも使用される。
は、その目的を達成するため、Al:40〜95重量%
及びMg:5〜60重量%を含むMg−Al合金製で直
径1〜20mmのMg−Al合金ワイヤを、MgS吸収
能が高いフラックスを浮遊させた溶銑に添加することを
特徴とする。MgS吸収能が高いフラックスとしては、
たとえば融点1400℃以下のCaO−Al2 O3 系又
はCaO−Al2 O3 −SiO2 系フラックスが使用さ
れる。MgS吸収能が高いフラックスは、MgーAl合
金線材にコーティングした状態でも使用される。
【0007】
【作用】溶銑に添加されたMgは、脱硫反応に消費され
ると共に、[O]と反応し脱硫能のないMgOとなる。
MgOになる割合が高いほど、脱硫効率が低下する。ま
た、揮発性の高いMgは、溶銑に送り込まれたとき、溶
銑の保有熱で瞬時に気化し、Mg蒸気となって系外に逸
散し易い。そのため、湯面近傍のみが金属Mg又はMg
蒸気と接触するだけで、溶銑全体にわたる脱硫反応が期
待できない。本発明においては、このような脱硫効率を
低下させる原因を所定直径のMg−Al合金線材を使用
することにより解消した。直径1〜20mmの合金線材
は、適当な曲げ抵抗があるため、深い位置まで溶銑に送
り込むことが可能になる。直径が1mm以下では、溶銑
からの輻射熱で気化する傾向が強く、溶銑の湯面近傍に
送り込まれるに過ぎない。逆に、20mmを超える直径
では、曲げ抵抗が強くなりすぎ、直進性は大きくなるも
のの、製造工程での巻取りやワイヤフィーダによる送込
みに支障を来す。
ると共に、[O]と反応し脱硫能のないMgOとなる。
MgOになる割合が高いほど、脱硫効率が低下する。ま
た、揮発性の高いMgは、溶銑に送り込まれたとき、溶
銑の保有熱で瞬時に気化し、Mg蒸気となって系外に逸
散し易い。そのため、湯面近傍のみが金属Mg又はMg
蒸気と接触するだけで、溶銑全体にわたる脱硫反応が期
待できない。本発明においては、このような脱硫効率を
低下させる原因を所定直径のMg−Al合金線材を使用
することにより解消した。直径1〜20mmの合金線材
は、適当な曲げ抵抗があるため、深い位置まで溶銑に送
り込むことが可能になる。直径が1mm以下では、溶銑
からの輻射熱で気化する傾向が強く、溶銑の湯面近傍に
送り込まれるに過ぎない。逆に、20mmを超える直径
では、曲げ抵抗が強くなりすぎ、直進性は大きくなるも
のの、製造工程での巻取りやワイヤフィーダによる送込
みに支障を来す。
【0008】Mg−Al合金線材を溶銑に送り込んだと
き、Alと[O]との反応によって溶銑が脱酸される。
この脱酸反応により酸素ポテンシャルが低下した溶銑に
金属Mg又はMg蒸気が接触し、Mg+[S]→MgS
の反応に従って溶銑が脱硫される。したがって、脱酸反
応Mg+[O]→MgOに消費されるMgの割合が減少
し、脱硫効率が向上する。更に、反応生成物MgSは、
熱力学的に不安定で、溶銑中の[O]とMgS+[O]
→MgO+[S]の反応を生じ易いが、溶銑が低い酸素
ポテンシャルに保たれているとき復硫反応が抑制され
る。このような効果を得るためには、Mg−Al合金線
材が40〜95重量%のAl及び5〜60重量%のMg
を含むことが必要である。Mg含有量が5重量%未満で
は、脱硫に必要なMgの絶対量が不足する。他方、60
重量%を超えるMg含有量では、活性元素であるMgの
影響が強く現れ、爆発的反応等の危険性が増す。また、
相対的にAl含有量が少なくなるため、脱酸に消費され
るMgの割合が増加し、脱硫効率が低下する。
き、Alと[O]との反応によって溶銑が脱酸される。
この脱酸反応により酸素ポテンシャルが低下した溶銑に
金属Mg又はMg蒸気が接触し、Mg+[S]→MgS
の反応に従って溶銑が脱硫される。したがって、脱酸反
応Mg+[O]→MgOに消費されるMgの割合が減少
し、脱硫効率が向上する。更に、反応生成物MgSは、
熱力学的に不安定で、溶銑中の[O]とMgS+[O]
→MgO+[S]の反応を生じ易いが、溶銑が低い酸素
ポテンシャルに保たれているとき復硫反応が抑制され
る。このような効果を得るためには、Mg−Al合金線
材が40〜95重量%のAl及び5〜60重量%のMg
を含むことが必要である。Mg含有量が5重量%未満で
は、脱硫に必要なMgの絶対量が不足する。他方、60
重量%を超えるMg含有量では、活性元素であるMgの
影響が強く現れ、爆発的反応等の危険性が増す。また、
相対的にAl含有量が少なくなるため、脱酸に消費され
るMgの割合が増加し、脱硫効率が低下する。
【0009】脱硫反応によって生成したMgSは、溶銑
中を浮上して湯面に浮遊するが、不安定な化合物であ
る。そのため、MgS(s)+O2 (g)→MgO+
[S]の反応、すなわち復硫が生じ、実際の脱硫率が低
下する。復硫を防止するためには、生成したMgSをフ
ラックス層に吸収し、溶銑中の脱硫反応域から分離する
必要がある。この点、従来の脱硫剤でMgと併用されて
いたCaOは、1300℃前後の溶銑温度で固体状態に
なっており、MgS吸収能がない。この条件下で溶銑を
脱硫すると、Mgの脱硫反応効率が30%前後に留ま
り、脱硫後の[S]も30ppmに過ぎない。本発明に
おいては、MgS吸収能が高いフラックスを使用するこ
とにより、脱硫反応によって生成したMgSをフラック
ス層に吸収し、溶銑の脱硫反応域から分離する。その結
果、MgS(s)+[O]→MgO+[S],Mg
(s)+O2 (g)→MgO(s)+[S]等の反応を
起こすMgSが溶銑中になく、高い脱硫効率で溶銑が脱
硫される。MgS吸収能が高いフラックスとしては、溶
銑温度で溶融状態に維持される低融点組成、たとえばC
aO:37%,Al2 O3 :20%及びSiO2 :43
%の組成を持つ融点1270℃以下のCaO−Al2O3
−SiO2 系フラックスが使用される。フラックス
は、取鍋内溶銑に散布すること,フラックスコーティン
グしたワイヤを使用すること等によって溶銑に供給され
る。
中を浮上して湯面に浮遊するが、不安定な化合物であ
る。そのため、MgS(s)+O2 (g)→MgO+
[S]の反応、すなわち復硫が生じ、実際の脱硫率が低
下する。復硫を防止するためには、生成したMgSをフ
ラックス層に吸収し、溶銑中の脱硫反応域から分離する
必要がある。この点、従来の脱硫剤でMgと併用されて
いたCaOは、1300℃前後の溶銑温度で固体状態に
なっており、MgS吸収能がない。この条件下で溶銑を
脱硫すると、Mgの脱硫反応効率が30%前後に留ま
り、脱硫後の[S]も30ppmに過ぎない。本発明に
おいては、MgS吸収能が高いフラックスを使用するこ
とにより、脱硫反応によって生成したMgSをフラック
ス層に吸収し、溶銑の脱硫反応域から分離する。その結
果、MgS(s)+[O]→MgO+[S],Mg
(s)+O2 (g)→MgO(s)+[S]等の反応を
起こすMgSが溶銑中になく、高い脱硫効率で溶銑が脱
硫される。MgS吸収能が高いフラックスとしては、溶
銑温度で溶融状態に維持される低融点組成、たとえばC
aO:37%,Al2 O3 :20%及びSiO2 :43
%の組成を持つ融点1270℃以下のCaO−Al2O3
−SiO2 系フラックスが使用される。フラックス
は、取鍋内溶銑に散布すること,フラックスコーティン
グしたワイヤを使用すること等によって溶銑に供給され
る。
【0010】図1は、取鍋1に収容した溶銑2にフラッ
クス3を散布し、ワイヤフィーダ4からガイドチューブ
5を経て溶銑2にMg−Al合金ワイヤ6を供給してい
る状態を示す。図2は、Mg−Al合金芯線7にフラッ
クスコーティング8を施したワイヤを示す。図1の状態
にある溶銑1に、図2に示したワイヤを供給しても良
い。ワイヤ6が送り込まれる溶銑2は、不活性雰囲気に
維持することも可能である。この場合、取鍋1に上蓋を
装着し、溶銑の上方にある閉鎖空間にAr等の不活性ガ
スを吹き込む。不活性雰囲気は、雰囲気中の酸素や水分
との反応により芯線7及びフラックスが変質,劣化する
ことを抑制する。
クス3を散布し、ワイヤフィーダ4からガイドチューブ
5を経て溶銑2にMg−Al合金ワイヤ6を供給してい
る状態を示す。図2は、Mg−Al合金芯線7にフラッ
クスコーティング8を施したワイヤを示す。図1の状態
にある溶銑1に、図2に示したワイヤを供給しても良
い。ワイヤ6が送り込まれる溶銑2は、不活性雰囲気に
維持することも可能である。この場合、取鍋1に上蓋を
装着し、溶銑の上方にある閉鎖空間にAr等の不活性ガ
スを吹き込む。不活性雰囲気は、雰囲気中の酸素や水分
との反応により芯線7及びフラックスが変質,劣化する
ことを抑制する。
【0011】送り込まれたMg−Al合金ワイヤ6は、
湯面から直径に応じた深さに達したとき先端が溶銑2に
溶け込む。ワイヤ6の直径が大きいほど溶解時間が長く
なるため、取鍋1の可能な限り最深部で反応させるよう
に、ワイヤ6の直径に応じて供給速度を適宜調整するこ
とが重要である。ワイヤ6が溶銑2に溶け込む前に、M
g蒸気となって気化するものもある。[Mg]及びMg
(g)は、共に溶銑と十分に接触するため、脱硫反応に
有効に寄与する。このように所定組成のMg−Al合金
線材を使用し、且つ線材の直径を特定することにより、
高位に安定化した脱硫効率で溶銑2が脱硫される。ま
た、脱硫反応によって生成したMgSは、フラックス層
3に吸収されるため、復硫反応の供給源とならない。し
かも、脱硫反応域におけるMgS濃度が低下することか
ら、Mg+[S]→MgSの脱硫反応も促進される。そ
の結果、ガスインジェクション方式ではせいぜい30%
を超える程度の脱硫効率であったものが、本発明の脱硫
剤を使用するとき、60%以上の高い脱硫効率が得られ
る。
湯面から直径に応じた深さに達したとき先端が溶銑2に
溶け込む。ワイヤ6の直径が大きいほど溶解時間が長く
なるため、取鍋1の可能な限り最深部で反応させるよう
に、ワイヤ6の直径に応じて供給速度を適宜調整するこ
とが重要である。ワイヤ6が溶銑2に溶け込む前に、M
g蒸気となって気化するものもある。[Mg]及びMg
(g)は、共に溶銑と十分に接触するため、脱硫反応に
有効に寄与する。このように所定組成のMg−Al合金
線材を使用し、且つ線材の直径を特定することにより、
高位に安定化した脱硫効率で溶銑2が脱硫される。ま
た、脱硫反応によって生成したMgSは、フラックス層
3に吸収されるため、復硫反応の供給源とならない。し
かも、脱硫反応域におけるMgS濃度が低下することか
ら、Mg+[S]→MgSの脱硫反応も促進される。そ
の結果、ガスインジェクション方式ではせいぜい30%
を超える程度の脱硫効率であったものが、本発明の脱硫
剤を使用するとき、60%以上の高い脱硫効率が得られ
る。
【0012】
実施例1:高炉から出銑された温度1320℃の溶銑を
取鍋に収容し、CaO:37%,Al2 O3 :20%及
びSiO2 :43%の組成を持つ融点1270℃のフラ
ックスを散布した。この溶銑に、脱硫用ワイヤとして直
径4mmのMg−70%Al合金線材を供給速度80m
/分で送り込み、初期濃度[S]inが0.020重量%
の溶銑を脱硫した。処理された溶銑の[S]fiを測定
し、脱硫率(=[S]in−[S]fi)/[S]in×10
0)%を算出した。脱硫率は、表1に示すようにフラッ
クス散布量に応じて変化した。何れの散布量でも、フラ
ックス散布のない場合に比較して脱硫率が大幅に改善さ
れていた。これは、溶銑の表面にMgS吸収能の高いフ
ラックス層が形成され、脱硫反応で生成したMgSが効
率よく溶銑から分離されていることを示す。
取鍋に収容し、CaO:37%,Al2 O3 :20%及
びSiO2 :43%の組成を持つ融点1270℃のフラ
ックスを散布した。この溶銑に、脱硫用ワイヤとして直
径4mmのMg−70%Al合金線材を供給速度80m
/分で送り込み、初期濃度[S]inが0.020重量%
の溶銑を脱硫した。処理された溶銑の[S]fiを測定
し、脱硫率(=[S]in−[S]fi)/[S]in×10
0)%を算出した。脱硫率は、表1に示すようにフラッ
クス散布量に応じて変化した。何れの散布量でも、フラ
ックス散布のない場合に比較して脱硫率が大幅に改善さ
れていた。これは、溶銑の表面にMgS吸収能の高いフ
ラックス層が形成され、脱硫反応で生成したMgSが効
率よく溶銑から分離されていることを示す。
【0013】
【表1】
【0014】実施例2:直径4mmのMg−70%Al
合金芯線に、CaO:37%,Al2 O3 :20%及び
SiO2 :43%の組成を持ち融点1270℃のフラッ
クスをコーティングした複合ワイヤを用意した。この複
合ワイヤを使用し、溶銑にフラックスを散布することな
く、実施例1と同様な条件で溶銑を脱硫した。脱硫率
は、表2に示すように、フラックスコーティング量に応
じて変動した。何れのコーティング量にあっても、十分
に高い脱硫率が示された。
合金芯線に、CaO:37%,Al2 O3 :20%及び
SiO2 :43%の組成を持ち融点1270℃のフラッ
クスをコーティングした複合ワイヤを用意した。この複
合ワイヤを使用し、溶銑にフラックスを散布することな
く、実施例1と同様な条件で溶銑を脱硫した。脱硫率
は、表2に示すように、フラックスコーティング量に応
じて変動した。何れのコーティング量にあっても、十分
に高い脱硫率が示された。
【0015】
【表2】
【0016】実施例1及び2共に、溶銑を所定の[S]
まで脱硫するための時間が10分以下と短く、処理前後
における溶銑の温度降下は10℃以内に収まっていた。
そのため、後工程における熱負荷が少なく、高品質の溶
銑が得られた。また、フラックスを散布した溶銑に複合
ワイヤを送り込んで溶銑を脱硫したとき、MgO生成反
応に消費されるMgの割合や復硫反応が更に抑制される
ため、60%以上の高い有効Mg消費効率で溶銑が脱硫
された。
まで脱硫するための時間が10分以下と短く、処理前後
における溶銑の温度降下は10℃以内に収まっていた。
そのため、後工程における熱負荷が少なく、高品質の溶
銑が得られた。また、フラックスを散布した溶銑に複合
ワイヤを送り込んで溶銑を脱硫したとき、MgO生成反
応に消費されるMgの割合や復硫反応が更に抑制される
ため、60%以上の高い有効Mg消費効率で溶銑が脱硫
された。
【0017】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、脱硫能が高いMgをAlと合金化した直径1〜20
mmのワイヤを脱硫剤として使用し、脱硫反応で生成し
たMgSをフラックス層に吸収している。ワイヤとして
Mgが溶銑に送り込まれるため、ガスインジェクション
方式に比較して、雰囲気中の酸素や水分等との反応によ
り脱硫能のないMgOになることがない。また、他の合
金成分であるAlが溶銑の[O]と反応し、酸素ポテン
シャルの低い溶銑にMgが接触するため、脱酸反応に消
費されるMgの割合も抑えられる。しかも、MgSが脱
硫反応域から除去されるため、復硫が抑制されると共
に、Mg+[S]→MgSの反応も促進される。その結
果、高い有効消費効率で溶銑の脱硫反応にMgが消費さ
れ、Mg+[S]→MgSの迅速な脱硫反応と相俟つ
て、大幅な温度降下をきたすことなく高効率で溶銑が脱
硫される。このようにして、[S]を極めて低下した溶
銑が得られ、後続する工程に対する熱負荷も軽減され
る。
は、脱硫能が高いMgをAlと合金化した直径1〜20
mmのワイヤを脱硫剤として使用し、脱硫反応で生成し
たMgSをフラックス層に吸収している。ワイヤとして
Mgが溶銑に送り込まれるため、ガスインジェクション
方式に比較して、雰囲気中の酸素や水分等との反応によ
り脱硫能のないMgOになることがない。また、他の合
金成分であるAlが溶銑の[O]と反応し、酸素ポテン
シャルの低い溶銑にMgが接触するため、脱酸反応に消
費されるMgの割合も抑えられる。しかも、MgSが脱
硫反応域から除去されるため、復硫が抑制されると共
に、Mg+[S]→MgSの反応も促進される。その結
果、高い有効消費効率で溶銑の脱硫反応にMgが消費さ
れ、Mg+[S]→MgSの迅速な脱硫反応と相俟つ
て、大幅な温度降下をきたすことなく高効率で溶銑が脱
硫される。このようにして、[S]を極めて低下した溶
銑が得られ、後続する工程に対する熱負荷も軽減され
る。
【図1】 本発明に従った溶銑脱硫の説明図
【図2】 Mg−Al合金芯線をフラックスコーティン
グした複合ワイヤ
グした複合ワイヤ
1:取鍋 2:溶銑 3:フラックス層
4:ワイヤフィーダ 5:ガイドチューブ 6:Mg−Al合金ワイ
ヤ(脱硫用ワイヤ) 7:Mg−Al合金芯線 8:フラックスコーティ
ング
4:ワイヤフィーダ 5:ガイドチューブ 6:Mg−Al合金ワイ
ヤ(脱硫用ワイヤ) 7:Mg−Al合金芯線 8:フラックスコーティ
ング
Claims (4)
- 【請求項1】 Al:40〜95重量%及びMg:5〜
60重量%を含むMg−Al合金製で直径1〜20mm
のMg−Al合金ワイヤを、MgS吸収能が高いフラッ
クスを浮遊させた溶銑に添加する溶銑脱硫方法。 - 【請求項2】 請求項1記載のフラックスとして融点1
400℃以下のCaO−Al2 O3 系又はCaO−Al
2 O3 −SiO2 系フラックスを使用する溶銑脱硫方
法。 - 【請求項3】 Al:40〜95重量%及びMg:5〜
60重量%を含む直径1〜20mmのMg−Al合金線
材にMgS吸収能が高いフラックスをコーティングした
脱硫用ワイヤ。 - 【請求項4】 請求項3記載のフラックスが融点140
0℃以下のCaO−Al2 O3 系又はCaO−Al2 O
3 −SiO2 系フラックスである脱硫用ワイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP463894A JPH07207318A (ja) | 1994-01-20 | 1994-01-20 | Mg−Al合金ワイヤを使用した溶銑脱硫方法及び脱硫用ワイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP463894A JPH07207318A (ja) | 1994-01-20 | 1994-01-20 | Mg−Al合金ワイヤを使用した溶銑脱硫方法及び脱硫用ワイヤ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07207318A true JPH07207318A (ja) | 1995-08-08 |
Family
ID=11589546
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP463894A Withdrawn JPH07207318A (ja) | 1994-01-20 | 1994-01-20 | Mg−Al合金ワイヤを使用した溶銑脱硫方法及び脱硫用ワイヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07207318A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007254843A (ja) * | 2006-03-24 | 2007-10-04 | Jfe Steel Kk | 溶銑の脱硫処理方法 |
JP2008133490A (ja) * | 2006-11-27 | 2008-06-12 | Jfe Steel Kk | 溶銑の脱硫方法 |
-
1994
- 1994-01-20 JP JP463894A patent/JPH07207318A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007254843A (ja) * | 2006-03-24 | 2007-10-04 | Jfe Steel Kk | 溶銑の脱硫処理方法 |
JP2008133490A (ja) * | 2006-11-27 | 2008-06-12 | Jfe Steel Kk | 溶銑の脱硫方法 |
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