JPH07205660A - 自動車のサンルーフハウジングの固定構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 所定以上の荷重がサンルーフハウジングに加
わるときの衝撃のエネルギを吸収でき、これによって乗
員に及ぼされる衝撃を緩和すること。 【構成】 サンルーフハウジング（１０）をブラケット
（１２）に取り付け、インナパネル（１４）とアウタパ
ネル（１６）とからなるルーフサイドレール（１８）の
インナパネル（１４）にブラケット（１２）をボルト
（３６）結合し、サンルーフハウジング（１０）を固定
する構造である。インナパネル（１４）は、長軸線が上
下方向となるように形成した、ボルト（３６）を貫通さ
せる長穴（３２）を有する。サンルーフハウジング（１
０）は、所定以上の荷重が加わるときブラケット（１
２）と共に上方へ移動し、エネルギを吸収可能に形成さ
れている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は自動車のサンルーフハウ
ジングの固定構造に関し、特に、サンルーフハウジング
をブラケットに取り付け、このブラケットをルーフサイ
ドレールのインナパネルに取り付け、これによってサン
ルーフハウジングを固定する構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】インナパネルとアウタパネルとによって
閉じ断面形状に形成されるルーフサイドレールの前記イ
ンナパネルにブラケットをボルト結合し、サンルーフハ
ウジングを前記ブラケットにボルト結合してサンルーフ
ハウジングを固定する構造が知られている（実開平1-15
0121号公報）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ルーフサイドレールは
閉じ断面形状であるため大きな剛性を有する。一方、ブ
ラケットは、サンルーフハウジングの支持という本来の
機能を達成する必要から、またサンルーフハウジング
は、重量のあるガラスを支持する必要から堅牢に形成さ
れる。そのため、乗員からサンルーフハウジングに大き
な荷重が加わったとき、実質的に変形し、この変形によ
ってエネルギを吸収する箇所がなく、乗員の特に頭部に
大きな衝撃が及ぼされる可能性がある。

【０００４】本発明の目的は、所定以上の荷重がサンル
ーフハウジングに加わるときの衝撃のエネルギを吸収で
き、これによって乗員に及ぼされる衝撃を緩和できる、
自動車のサンルーフハウジングの固定構造を提供するこ
とにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、サンルーフハ
ウジングをブラケットに取り付け、インナパネルとアウ
タパネルとからなるルーフサイドレールの前記インナパ
ネルに前記ブラケットをボルト結合し、前記サンルーフ
ハウジングを固定する構造であって、前記インナパネル
または前記ブラケットは、長軸線が上下方向となるよう
に形成した、前記ボルトを貫通させる長穴を有し、前記
サンルーフハウジングは、所定以上の荷重が加わるとき
前記ブラケットと共に上方へ移動し、エネルギを吸収可
能に形成されている。

【０００６】本発明はまた、サンルーフハウジングをブ
ラケットに取り付け、インナパネルとアウタパネルとか
らなり、ルーフパネルを支えるルーフサイドレールの前
記インナパネルに前記ブラケットを取り付け、前記サン
ルーフハウジングを固定する構造であって、前記サンル
ーフハウジングと前記ルーフパネルとの間に配置する緩
衝材を備え、前記ブラケットは、所定以上の荷重が加わ
るとき、ブラケット自体の変形可能な構造によって、ま
たは前記インナパネルとの移動可能な結合構造によって
エネルギを吸収可能に形成されている。

【０００７】

【作用および効果】インナパネルまたはブラケットがボ
ルトを貫通させる長穴を有する場合、所定以上の荷重が
サンルーフハウジングに加わると、サンルーフハウジン
グからブラケットを経てボルトに伝わる荷重がボルトの
締付け力を上回るようになり、ブラケットがインナパネ
ルに対して移動する。この移動による摩擦力によって衝
撃のエネルギを吸収する。

【０００８】ルーフサイドレールのインナパネルまたは
ブラケットに長穴を設けるだけで衝撃のエネルギを吸収
し、乗員に及ぼされる衝撃を緩和できるため、従来の固
定構造にわずかな変更を加えるだけで対処できる。

【０００９】サンルーフハウジングとルーフパネルとの
間に配置する緩衝材を備える一方、ブラケットが変形ま
たは移動可能である場合、所定以上の荷重がサンルーフ
ハウジングからブラケットに加わると、ブラケットが変
形し、またはインナパネルに対して移動し、変形による
エネルギ吸収または移動に伴う摩擦力によるエネルギ吸
収が行われる。さらに、緩衝材が変形し、エネルギを吸
収する。

【００１０】２段のエネルギ吸収が行われるため、衝撃
のエネルギの吸収効果が高く、それだけ乗員に及ぼされ
る衝撃を緩和できる。

【００１１】

【実施例】本発明に係る固定構造は、図１に示すよう
に、サンルーフハウジング１０をブラケット１２に取り
付け、インナパネル１４とアウタパネル１６とによって
閉じ断面形状に形成したルーフサイドレール１８のイン
ナパネル１４にブラケット１２をボルト結合し、サンル
ーフハウジング１０を固定する構造である。このように
固定されたサンルーフハウジング１０には、図４に示す
ように、サンルーフ８が取り付けられる。

【００１２】サンルーフハウジング１０とルーフサイド
レール１８とは、それ自体公知の構造のものである。ル
ーフパネル２０がレインチャンネル２２を介してルーフ
サイドレール１８に取り付けられている。

【００１３】ブラケット１２は、サンルーフハウジング
１０の水平なフランジ１１の下側に当てがわれる水平な
連結部２４と、インナパネル１４の傾斜部分の内側に当
てがわれる傾斜した連結部２５と、両連結部２４、２５
を一体に結合する中間部２６とを有する。連結部２４お
よびフランジ１１にそれぞれ設けた穴にボルト２８を通
し、ナット３０をボルト２８にねじ込んでサンルーフハ
ウジング１０をブラケット１２に取り付ける。サンルー
フハウジング１０の幅方向の両側部のそれぞれをブラケ
ット１２に取り付ける。

【００１４】インナパネル１４は、図２に示すように、
長軸線Ｃが上下方向となるように形成した長穴３２を有
する。ナット３４は、ボルト３６が長穴３２の最下端に
位置するとき、ボルト３６をねじ込むことができる位置
で、インナパネル１４の内側面に溶接されている。ナッ
ト３４の溶接は、所定以上の荷重によって破断される強
さとする。

【００１５】ブラケット１２の連結部２５に設けた丸穴
３８をインナパネル１４の長穴３２およびナット３４に
整合させ、ボルト３６を丸穴３８と長穴３２とに通し、
ナット３４にねじ込む。このような丸穴３８と長穴３２
との組合せをブラケット１２の前後方向に間隔をおいて
複数設けておき、ブラケット１２を複数のボルト３６と
同数のナット３４とによってインナパネル１４に取り付
ける。

【００１６】前記取付けによれば、複数のボルト３６の
締付け力によってブラケット１２を固定する力が定まる
ことから、この固定力の２倍以上の荷重が乗員の頭部か
ら天井トリム４０を介してサンルーフハウジング１０に
加わると、サンルーフハウジング１０は、図１の仮想線
で示すように、２つのブラケット１２と共に上方へ移動
し、その際のブラケット１２とインナパネル１４との間
の摩擦力によってエネルギを吸収する。

【００１７】前記実施例では、インナパネル１４に長穴
３２を設けているが、これに代え、ブラケット１２に長
穴を設けることもできる。この場合、インナパネル１４
に丸穴を開け、ブラケット１２の連結部２５に図示の丸
穴３８を最上端とするように下方へ伸びる長穴を開ける
ようにする。

【００１８】図１の実施例では、さらに、緩衝材４２が
サンルーフハウジング１０とルーフパネル２０との間に
配置されている。緩衝材４２は、ゴムまたは樹脂のよう
にそれ自体に減衰作用があるもの、または金属製の蛇腹
のように塑性変形するものであることが好ましい。板ば
ねのように弾性変形するものであっても、弾性範囲を少
なくし、塑性変形しやすくしたものも使用できる。

【００１９】緩衝材４２がある場合、所定以上の荷重が
サンルーフハウジング１０に加わると、図１の仮想線で
示すように、サンルーフハウジング１０がブラケット１
２と共に上方へ移動し、さらに、緩衝材４２が変形す
る。したがって、ブラケット１２の移動の際のブラケッ
ト１２とインナパネル１４との間の摩擦力による他、緩
衝材４２の変形によって衝撃のエネルギを吸収する。

【００２０】図１の実施例では、ブラケット１２がイン
ナパネル１４に対して移動する。これに代え、ブラケッ
ト１２をインナパネル１４に移動不可能に取り付ける場
合、ブラケット１４に、図２に仮想線で示すように、切
欠き４４を設けたり、局部的に厚みの薄い部分を設けた
りすることにより、ブラケット１２を変形可能に形成
し、この変形と緩衝材４２の変形とによって衝撃エネル
ギを吸収することもできる。ブラケット１２は、サンル
ーフハウジング１０の支持には影響が生じない範囲で変
形可能に形成する。

【００２１】図３に示すように、サンルーフハウジング
１０の角部５０をなくし、天井トリム４０に対面する部
分を平坦な面５２に形成したり、ボルト２８の頭部に半
球形の弾力のある保護キャップ５４を被せたりすること
により、乗員の頭部５６に及ぼす損傷の程度を少なくす
ることができる。したがって、このような対策をエネル
ギ吸収できる固定構造と組み合せることが好ましい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る自動車のサンルーフハウジングの
固定構造の実施例の断面図で、図４の１−１線に沿って
切断したものである。

【図２】図１に示したルーフサイドレールとブラケット
との分解斜視図である。

【図３】本発明に係る自動車のサンルーフハウジングの
固定構造に採用することが好ましい、乗員への損傷を少
なくする安全構造を示す図１と同様な断面図である。

【図４】本発明に係る自動車のサンルーフハウジングの
固定構造を適用できる自動車の一部を示す斜視図であ
る。

【符号の説明】

１０ サンルーフハウジング １２ ブラケット １４ インナパネル １６ アウタパネル １８ ルーフサイドレール ２０ ルーフパネル ２８、３６ ボルト ３２ 長穴 ４２ 緩衝材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 サンルーフハウジングをブラケットに取
   り付け、インナパネルとアウタパネルとからなるルーフ
   サイドレールの前記インナパネルに前記ブラケットをボ
   ルト結合し、前記サンルーフハウジングを固定する構造
   であって、前記インナパネルまたは前記ブラケットは、
   長軸線が上下方向となるように形成した、前記ボルトを
   貫通させる長穴を有し、前記サンルーフハウジングは、
   所定以上の荷重が加わるとき前記ブラケットと共に上方
   へ移動し、エネルギを吸収可能に形成されている、自動
   車のサンルーフハウジングの固定構造。
2. 【請求項２】 サンルーフハウジングをブラケットに取
   り付け、インナパネルとアウタパネルとからなり、ルー
   フパネルを支えるルーフサイドレールの前記インナパネ
   ルに前記ブラケットを取り付け、前記サンルーフハウジ
   ングを固定する構造であって、前記サンルーフハウジン
   グと前記ルーフパネルとの間に配置する緩衝材を備え、
   前記ブラケットは、所定以上の荷重が加わるとき、ブラ
   ケット自体の変形可能な構造によって、または前記イン
   ナパネルとの移動可能な結合構造によってエネルギを吸
   収可能に形成されている、自動車のサンルーフハウジン
   グの固定構造。