JPH07199691A - 耐熱性定着フィルム及びこれを用いた加熱定着装置 - Google Patents

耐熱性定着フィルム及びこれを用いた加熱定着装置

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JPH07199691A
JPH07199691A JP35177093A JP35177093A JPH07199691A JP H07199691 A JPH07199691 A JP H07199691A JP 35177093 A JP35177093 A JP 35177093A JP 35177093 A JP35177093 A JP 35177093A JP H07199691 A JPH07199691 A JP H07199691A
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heat
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tube
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Koichi Okuda
幸一 奥田
Tatsunori Ishiyama
竜典 石山
Takuji Shibuya
卓史 渋谷
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Abstract

(57)【要約】 【目的】複写機等の加熱定着装置の耐熱性定着フィルム
において、ピンホール等の不良をなくす。 【構成】円筒状の基材チューブ1Aを離型層1bで覆
い、両者の間にプライマー層1cを設けて耐熱性定着フ
ィルム1を構成する。フィルム1の内側に固定配置した
ヒータ2に、加圧ローラ3によってフィルム1を押し付
ける。フィルム1、加圧ローラ3をそれぞれ矢印R1、
R3方向に移動させて、両者のニップ部Nにて記録材P
を挟持搬送する。記録材P上のトナー像Tを加熱加圧し
て記録材P上に溶融固着させる。基材チューブ1Aは、
熱可塑性ポリイミドを熱溶融押出し成型により厚さ50
μm程の円筒状に形成する。また、離型層1bとしてF
EPを厚さ10μm程度コーティングする。フィルム1
は、従来のキャスト法によって形成したものと異なり、
ピンホール等が発生することがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複写機、レーザビーム
プリンタ等の画像形成装置において、トナー像を溶融さ
せるのに使用される耐熱性定着フィルム及びこの耐熱性
定着フィルムを用いた加熱定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、複写機やレーザビームプリンタ等
の画像形成装置における加熱定着装置として、耐熱性定
着フィルムを用いたものが知られている。このフィルム
加熱方式の定着装置は、固定支持された加熱体と、これ
に当接させた加圧部材との間を耐熱性の耐熱性定着フィ
ルム(以下単に「定着フィルム」という。)を移動さ
せ、定着フィルムと加圧部材との間にて未定着トナーを
担持した記録材を挟持搬送しつつ、加圧・加熱して定着
を行うものである。
【0003】このような定着装置の一例として、本出願
人が先に提案した特開昭63−313182号公報があ
る。このものは、エンドレスに形成された薄肉シート状
の耐熱性の定着フィルム(シート)と、定着フィルムの
移動駆動手段と、定着フィルムの内側において金属や樹
脂性のホルダーに直接固定支持された加熱対(サーマル
ヒータ。以下単に「ヒータ」という。)と、定着フィル
ムの外側にヒータに対向して配置され定着フィルムをヒ
ータに押しつける加圧ローラ(加圧部材)とを備えてい
る。記録材上の未定着トナーの定着に際し、定着フィル
ムと加圧ローラ表面とを同方向(記録材の搬送方向)に
移動させ、両者のニップ部にて記録材を挟持搬送する。
これにより、記録材の、未定着トナー像を担持した面を
定着フィルムに密着させるとともに、ヒータの熱を定着
フィルムを介してトナー像に付与する。このようにして
ニップ部にて加熱加圧されたトナー像は、軟化・溶融さ
れ、その後固着されて、記録材上に永久像として定着さ
れる。
【0004】上述のようなフィルム加熱方式の定着装置
においては、ヒータとして、熱容量の小さいヒータを用
いることができる。熱容量の小さなヒータは、必要なと
きに短時間で所定温度に昇温させることができる。この
ため、従来の接触加熱方式である熱ローラ方式やベルト
加熱方式などの加熱方式に比べ、ウェイトタイム短縮化
(クイックスタート)が可能となる。また、従来のよう
に、定着に備えてヒータをあらかじめ加熱しておく必要
がないため、省電力化が可能となり、さらに画像形成装
置本体内部の不要な昇温を防止することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来、耐熱性の定着フ
ィルムは、エンドレスに形成されたポリイミドの基材上
に、フッ素樹脂の表面層(離型層)を形成した複数の層
構成を持つ。
【0006】この基材のポリイミドフィルムは、主とし
てポリイミドの前駆体であるポリイミド酸の溶液から流
延法(キャスト法)により薄膜をつくり、その後、乾
燥、脱水、閉環させてフィルムとする。また表面層はフ
ッ素樹脂を分散させた溶液をスプレー法等により塗布、
乾燥、焼成させることで形成する。この際、基材、表面
層の双方とも多量の溶剤を使用するため、作業上、環境
上の問題が発生する。また、溶液から基材としてのフィ
ルムや表面層を作る場合、フィルムや表面層にピンホー
ル、気泡ぬりむら等の不良が発生することがあり、これ
を防止しようとすると生産性が低くなること、さらに
は、ポリイミドをエンドレス(無端の筒状)に構成する
には、特殊な製造装置が必要であり、その製造装置のコ
ストが高くなること等の問題がある。
【0007】そこで、本発明は、上述の問題点を解決
し、ピンホールや気泡、めりむら等の不良を防止し、し
かも製造に際し特殊な装置を不要とした耐熱性定着フィ
ルム及びこれを用いた加熱定着装置を提供することを目
的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述事情に鑑
みてなされたものであって、耐熱性定着フィルムは、熱
押出し成型によって円筒状に形成された基材チューブ
と、該基材チューブの外周面を被覆するように形成され
るとともにFEPを含む離型層とを有することを特徴と
する。
【0009】この場合、前記離型層中のFEPの含有量
が10体積%以上であったり、前記離型層中に、PFA
またはPTFEの粒子が分散されているようにしたりす
ることができる。
【0010】また、耐熱性定着フィルムは、円筒状に形
成された基材と、熱押出し成型によって円筒状に形成さ
れるとともにフッ素樹脂を含む離型層チューブとを有
し、該離型層チューブを、前記基材の外周面を被覆する
ように密着または接着させることを特徴とする。
【0011】この場合、前記基材が熱可塑性樹脂によっ
て形成されるようにしてもよい。
【0012】また、前記離型層チューブを熱収縮性チュ
ーブとすることもできる。
【0013】この場合、前記熱収縮性チューブにおける
周方向に収縮率は、軸方向の収縮率よりも大きく、かつ
20%以内とすることができる。
【0014】さらに、前記熱収縮性チューブに対して、
融点以上の加熱処理を施したり、前記基材が熱硬化性ポ
リイミドで、かつ前記熱収縮性チューブがPFAまたは
FEPを含むようにしたり、前記基材が熱可塑性ポリイ
ミドで、かつ前記熱収縮性チューブがFEPを含むよう
にしたりすることができる。
【0015】加熱定着装置は、上述のいずれか記載の耐
熱性定着フィルムと、該耐熱性定着フィルムの内側に固
定配置された加熱体と、前記耐熱性定着フィルムの外側
に配置されるとともに前記加熱体に対して前記耐熱性定
着フィルムを押し付けて該耐熱定着フィルムとの間にニ
ップ部を形成する加圧部材と、前記ニップ部にて該加圧
部材表面と前記耐熱性定着フィルムとを同方向に移動さ
せる駆動手段とを備え、未定着トナー像を担持した記録
材を前記ニップ部にて挟持搬送しつつ加熱加圧すること
により、前記トナー像を前記記録材上に定着することを
特徴とする。
【0016】
【作用】以上構成に基づき、耐熱性定着フィルムは、基
材または離型層の少なくとも一方を、熱押出し成型によ
って円筒状に形成するので、例えば、溶液からキャスト
法等によって薄膜を形成しこれを無端状に形成する場合
と異なり、気泡等の不良を防止することができる。
【0017】
【実施例】以下、図面に沿って、本発明の実施例につい
て説明する。 〈実施例1〉図1に、本発明に係る耐熱性定着フィルム
(以下単に「定着フィルム」という。)1を備えた加熱
式の定着装置Aの縦断面図を示す。なお、同図に示す加
熱定着装置(以下単に「定着装置」という。)Aは、複
写機、レーザビームプリンタ等の画像形成装置の定着装
置として使用されるものであり、画像形成部(不図示)
において、帯電装置、露光装置、現像装置等によって感
光ドラム上に形成され、その後、記録材P上に転写され
た未定着トナー像を加熱加圧によって記録材P上に定着
するものである。
【0018】定着装置Aは、記録材Pの搬送方向(矢印
K1方向)についての画像形成部の下流側に配置されて
おり、定着フィルム1、ヒータ(加熱体)2、加圧部材
3等を備えている。
【0019】定着フィルム1全体は、耐熱性のフィルム
をエンドレスに構成したものであり、後述のヒータ2を
保持するステイ5に掛け渡すようにして配置されてい
る。定着フィルム1の内周長は、ステイ5の外周長より
も、例えば3mm程度長く設定してあり、したがって定
着フィルム1は、ステイ5に対し余裕を持ってルーズな
状態で装着されている。このステイ5の外周は、後述の
ように、定着フィルム1が矢印R1方向に移動すると
き、その内周面をガイドする。なお、定着フィルム1に
ついては、後にさらに詳述する。
【0020】ステイ5の下端部には、ヒータ2が組み込
まれている。ヒータ2は、長板状に構成され、その長手
方向を、記録材Pの搬送方向(矢印K1方向)に対して
ほぼ直角に交差する方向に向けた状態で、ステイ5によ
って保持されている。ヒータ2は、アルミナ等で形成さ
れた長板状の基板2aの表面に、通電発熱体2bとし
て、例えばAg/Pd(銀パラジウム)等の電気抵抗材
料を厚さ約10μm、幅1〜3mmにスクリーン印刷等
により塗工し、さらにこの上に保護層2cとしてガラス
等をコートすることによって形成されている。
【0021】ヒータ2の下方には、加圧部材としての加
圧ローラ3が配置されている。加圧ローラ3は、芯金3
aと、その周囲を囲繞するシリコンゴム等の離型性に優
れた耐熱ゴム3bとを有する。加圧ローラ3は、芯金3
aの軸方向両端部をそれぞれ上方に押しあげる付勢部材
(不図示)によって、上述の定着フィルム1をヒータ2
に押し付けている。これにより、加圧ローラ3と定着フ
ィルム1との間には、ニップ部Nが形成される。加圧ロ
ーラ3は、その一端側に配置された駆動手段(不図示)
によって矢印R3方向に回転駆動され、これにより、定
着フィルム1は矢印R1方向に移動する。すなわち、定
着フィルム1と加圧ローラ3表面とは相互に接触してニ
ップ部Nを形成するとともに、このニップ部Nにおい
て、互いに同方向に同じ速度で移動する。
【0022】加熱体2の温度制御は、その上面に接触す
るように配置されたサーミスタ6を介して行われる。サ
ーミスタ6の出力は、A/D変換されてCPU7に取り
込まれ、その情報に基づいてトライアック9によりヒー
タ2に通電するAC電圧の位相、波数等を制御し、ヒー
タ通電電力を制御する。すなわち、サーミスタ6の検知
温度が所定の設定温度より低いとヒータ2が昇温するよ
うに、また、高い場合はヒータ2が降温するように通電
を制御することで定着時のヒータ2は一定温度に温調さ
れる。
【0023】定着に際し、記録材P上の未定着の粉体ト
ナー像Tはニップ部Nで熱と圧力が加えられることによ
り定着される。画像形成部にてトナー像Tの転写が終了
し、表面に未定着のトナー像Tを担持した状態の記録材
Pは、矢印K1方向に搬送され、定着装置Aに導入され
る。記録材Pは、同方向に移動する定着フィルム1と加
圧ローラ3とのニップ部N挿通される。このときヒータ
2によって発生された熱が定着フィルム1を介してトナ
ー像Tに付与され、同時に加圧される。この加熱と加圧
とによって、記録材P上のトナー像Tは、記録材P上に
溶融固着され、永久像として定着される。
【0024】以上の構成の定着装置Aは、複数枚の画像
形成指令による連続プリント時には、上述の定着動作が
連続的に行われる。また、プリント指令を持つスタンバ
イ時には、ヒータ2への通電がオフされ、メインスイッ
チのオンでさらにプリント指令後に定着装置Aの駆動と
ヒータ2への通電とが開始される。
【0025】次に、定着装置Aの定着フィルム1につい
て詳述する。
【0026】定着フィルム1は、熱可塑性ポリイミド
(三井東圧Larc−TPI)を熱溶融押出し成型によ
り厚さ50μm程の円筒状に形成した基材チューブ1A
上に、離型層1bとしてFEPを厚さ10μm程度コー
ティングし、さらに基材チューブ1Aと離型層1bとの
間にプライマー層1cを設けたものである。上述のポリ
イミド中にはフィーラーを混ぜてもよい。なお、以下の
説明における基材、離型層について、熱溶融押出し成型
によって形成したものをそれぞれ「基材チューブ1A、
離型層チューブ1B」といい、特に製造方法にこだわら
ないときには、それぞれ「基材1a、離型層1b」とい
うものとする。
【0027】基材チューブ1Aは、図2(a)、(b)
に示す装置を用いて成型する。すなわち押出し機20に
より樹脂を加熱溶融し、ダイス21へ導き、基材チュー
ブ1Aとして溶融押出し、浸水式真空水槽23により基
材チューブ1Aの径を規制しつつ外側から冷却し、図示
しない手段により折り目なく引き取り、所定の寸法に切
断する。ダイス21は内型21aと外型21bとを有
し、内型21aにはエアー流路がある。浸水式真空水槽
23は、エアーを吸引するサイジングスリーブ23aと
水を循環させて冷却する冷却水槽23bとを有し、基材
チューブ1Aはここで外径を規制されながら冷却され、
基材チューブ1Aとして完成される。
【0028】この基材1a上に、プライマーをスプレー
コート等の手段により塗布、乾燥し、次にFEP粒子を
分散させた液をスプレー、ディッピング等により塗布、
乾燥、焼成する。
【0029】図3の表に、基材チューブ1AとしてPE
T、熱可塑性ポリイミド、熱硬化性ポリイミドの3種、
また、離型層1bとしてFEP、PFA、PTFEの3
種を用いた場合のトナーのオフセットレベルを示す。
【0030】FEPを離型層1bとした場合、塗工時焼
成温度250℃以上でオフセットが発生しなくなるのに
対し、PFAでは310℃以上、PTFEでは330℃
以上と、それぞれの融点以上の焼成温度にしないとオフ
セットが消えない。また、ベタ黒画像形成時の記録材P
(例えば紙)の分離性もオフセットレベルと同様であ
る。
【0031】一方、基材チューブ1AとしてPETを用
いたとき、離型層塗工時焼成温度250℃でも基材チュ
ーブ1Aが熱変形を起こして使用に耐えなくなる。これ
に対し熱可塑性ポリイミドの基材チューブ1Aは300
℃までは熱変形をおこさない。
【0032】以上より、基材1aとしての熱可塑性ポリ
イミンドの基材チューブ1Aと、離型層1bとしてのF
EPとを組み合わせた場合が、焼成時熱変形もなく、か
つオフセットもない定着フィルム1を構成することがで
きる。
【0033】参考として、熱硬化性ポリイミドの場合に
ついて述べると、焼成温度350℃でも熱硬化性ポリイ
ミドチューブは変形がない。ただし、熱硬化性ポリイミ
ドの生産性の悪さは前述の「発明が解決しようとする課
題」においてポリイミドとして説明したとおりである。
【0034】また、図1中の定着フィルム1は、記録材
Pとの摩耗帯電により静電オフセットが発生することを
防止するため、通常、プライマー層1c、離型層1bの
少なくとも一方を導電性とし、接地する必要がある。こ
の際、ヒータ2の通電発熱体2bは、数100Vの交流
が印加されており、ここから定着フィルム1中へ電流が
リークするのを防ぐ必要がある。ところが、基材1a
に、従来のように溶液より乾燥、焼成したフィルムを用
いると、溶剤蒸発時に生ずるピンホールが多く絶縁耐圧
が低い。そのため従来はガラスからなる保護層2cを厚
くすることにより絶縁耐圧を確保していた。
【0035】これに対し、本実施例のように、定着フィ
ルム1の基材1aを熱溶融押出しにより形成したフィル
ムを用いると、溶剤に起因するピンホール発生がなく、
図4の表に示すように、基材1aの絶縁耐圧を上げるこ
とができ、ヒータ2の保護層2cを薄くすることがで
き、したがって、ヒータ2の製造工程を簡略化すること
が可能となる。 〈実施例2〉一般に、記録材Pの通紙によって定着フィ
ルム1の離型層1bが削れていくと、離型性オフセット
が悪化することが知られているが、図5の表に示すよう
に、前述のFEP中にPFAまたはPTFEの少なくと
も一方の粒子を混ぜると、耐摩耗性を向上させることが
できる。
【0036】例えば、FEP単体(FEP100%)で
は20万枚通紙でオフセットレベルが悪化する(X印)
のに対し、FEP:PFA=6:4(60%:40%)
では40万枚通紙までオフセットが発生しない。
【0037】これはFEPよりPFA、PTFEの方が
耐熱性が高く、高温でも硬く摩耗しにくいためと思われ
る。PFA、PTFEの粒子の径は離型層膜厚に対し、
例えば1/10以下と十分小さくする必要がある。ま
た、FEPの比率が10%以下と少ない場合には、オフ
セットレベルが悪化することも本出願人の検討により明
らかとなった。 〈実施例3〉前述の実施例1では、定着フィルム1の基
材1aを熱溶融押出ししたときの有用性を述べたが、離
型層1bにおいても熱溶融押出しの離型層チューブ1B
(図7参照)を用いると塗工、乾燥といった工程が不必
要となり、工程を簡略化することができる。
【0038】すなわち、図2の押出し成型機を用いてP
TFE、PFA、FEP等の厚さ30μm程のフッ素樹
脂に離型層チューブ1Bを作成する。この離型層チュー
ブ1Bには、カーボン等により導電性を付与してもよ
い。
【0039】そして、表面にプライマーを塗布、乾燥し
たチューブ状の基材1aにフッ素樹脂の離型層チューブ
1Bをかぶせ100〜200℃の比較的低温の加熱によ
り両チューブを接着する。
【0040】このようにして定着フィルム1を作成した
場合は、コートにより離型層1bを形成するときにオフ
セットレベルを良くするために必要であった高温焼成が
不要となる。
【0041】図6の表に各離型層チューブ1Bのオフセ
ットレベルと各基材チューブ1Aの焼成時耐熱性を示
す。FEPをコーティングした離型層1bの場合、25
0℃以上の焼成温度が必要なのに対し、熱溶融押出しに
よる離型層チューブ1Bは、そのような高温焼成なしで
もオフセットレベルがよい。また、ベタ黒通紙時の分離
性もオフセットレベルと同様によい。
【0042】このように、チューブ作成工程に高温焼成
を必要としない場合、基材チューブ1Aには、図1の定
着装置Aで使用する際の温度(約200℃)以上の耐熱
性は不必要となるため、基材チューブ1Aとして、熱可
塑性ポリイミド以外のさまざまな材質、例えば、PE
S、PEI、PPS、PEEK等の熱可塑性樹脂が使用
可能となる。
【0043】よって、より安く成型性の良い材料を用い
て基材チューブ1Aを形成することができる。
【0044】さらに、コーティングと異なり離型層1b
の厚さを容易に厚くできるので耐摩耗性も向上させるこ
とができる。 〈実施例4〉前述の、熱溶融押出しによる離型層チュー
ブ1BとしてFEP、PFAの熱収縮チューブを用いる
とよい。
【0045】熱収縮性のない離型層チューブ1Bを用い
る場合、基材チューブ1Aの外径と離型層チューブ1B
の内径とが一致しなければシワになったり、両チューブ
間に空気層ができたりしてしまう。これらの不良を防止
しようとするとチューブ製造時の歩留まりが低下してし
まう。熱収縮性チューブを用いれば以上の問題が解決さ
れる。
【0046】図7(a)、(b)を用いて熱収縮性チュ
ーブの製造方法を説明する。なお、(b)は、(a)の
M1矢視図である。
【0047】まず、2分割され双方を合わせると円柱状
となる型30a、30bに、あらかじめ表面にプライマ
ーを塗布・乾燥させた基材チューブ1Aを被せる。次に
型30a、30bの押しネジ32により型30aと型3
0bとの間の距離を広げることで基材チューブ1Aと型
30a、30bとを密着させる。さらにバネ33で挟む
ことにより矢印方向に力を加え、基材チューブ31aが
加熱時に延びたりしないように型間隔を固定する。
【0048】そして、この上に離型層チューブ1Bを被
せ、100〜200℃程度の比較的低温の加熱により密
着さらには接着する。
【0049】このとき、基材チューブ1Aとしては、熱
硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれであってもよいし、
熱溶融押出し成型によるものでも、溶液を乾燥、焼成し
たものでもどちらでもよい。
【0050】離型層チューブ1Bとしては、PFAまた
はFEPを熱溶融押出しによりチューブとしたものをチ
ューブ周方向に延伸加工して、チューブ周方向に熱収縮
性を持たせたものを用いる。さらに、このチューブは収
縮後の離型層1bの偏肉防止のため熱収縮率[(加熱収
縮前の外径−加熱収縮後の外径)/加熱収縮後の外径]
を20%以下としてある。
【0051】また、図7の定着フィルム1(基材チュー
ブ1A+離型層チューブ1B)は下側(M2の部分)で
プライマー層が露出するよう離型層チューブ1Bを被せ
る。これは、プライマーを導電性としたとき、この面を
導体と接触させて接地するためである。
【0052】加熱収縮後は定着フィルム1を型30a、
30bから外し、上下両端をそれぞれM3部で切断し完
成品とする。 〈実施例5〉実施例4の熱収縮チューブを用いた定着フ
ィルム1は、熱収縮を完全に終了させなければならな
い。そのようにしない場合は、通常の使用時の加熱によ
り再収縮を起こし、定着フィルム1にシワがよってしま
う。これを防止するには熱収縮チューブの収縮率、外径
の管理を注意する必要がある。
【0053】ところで、熱収縮チューブを加熱収縮さ
せ、基材チューブ1Aに密着させた後熱収縮が未完であ
るとき、200℃以上の高温に長時間放置(アニーリン
グ)することにより、離型層チューブ1Bの分子を再配
向させ、熱収縮性をなくすことができる。特に離型層チ
ューブ1Bを構成する樹脂の融点(FEP250〜27
0℃、PFA300〜310℃)以上に加熱してやると
短時間で熱収縮性を消失させることができる。この場
合、上述のような収縮率や外径の管理等が不用となり生
産性が高まる。
【0054】そして、FEPを離型層チューブ1Bとし
て用いるなら270℃以上の加熱を行うため、基材チュ
ーブ1Aとしては熱可塑性または熱硬化性ポリイミドを
用い、PFAを用いるなら310℃以上に耐える熱硬化
性ポリイミドを用いる必要がある。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の耐熱性定
着フィルムによると、その基材、離型層のうちの少なく
とも一方を、熱押出し成型によって円筒状に形成するこ
とにより、例えばキャスト法による形成とは異なり、溶
剤を使用しないために、作業環境等を悪化させることが
ないこと、ピンホールや気泡ぬりむら等の不良の発生を
防止できること、特殊な製造装置を使用する必要がない
こと、等の効果がある。また、上述のような耐熱性定着
フィルムを使用した加熱定着装置は、加熱体によって短
時間に昇温させることができ、定着に供するときにのみ
昇温させれば十分なので、省電力化を実現し、また装置
本体内の不要な昇温を有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】加熱定着装置の概略構成を示す縦断面図。
【図2】(a)は熱溶融押出しによって基材チューブ、
離型層チューブを製造する製造装置の概略図。(b)は
(a)のダイス、浸水式真空水槽の拡大縦断面図。
【図3】実施例1の各基材チューブの耐熱性と、各離型
層の焼成温度及びオフセット、ベタ黒紙分離性との関係
を示す図。
【図4】実施例1の基材について、その材質及び製造方
法に違いによる耐電圧に変化を示す図。
【図5】実施例2の離型層の各材質の体積比率と、オフ
セットレベル及び耐摩耗性との関係を示す図。
【図6】実施例3の各基材チューブの耐熱性と、離型層
のオフセットレベル及びベタ黒紙分離性との関係を示す
図。
【図7】(a)は実施例4において、熱収縮性チューブ
を用いて耐熱性定着フィルムを製造する工程を説明する
図。(b)は(a)のM1矢視図。
【符号の説明】
1 耐熱性定着フィルム(定着フィルム) 1A 基材フィルム 1B 離型層フィルム 1a 基材 1b 離型層 1c プリマー層 2 加熱体(ヒータ) 3 加圧部材(加圧ローラ) 5 ステイ 6 サーミスタ A 加熱定着装置(定着装置) K1 記録材の搬送方向 N ニップ部 P 記録材 R1 耐熱性定着フィルムの移動方向 R3 加圧ローラの回転方向 T トナー像

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱押出し成型によって円筒状に形成され
    た基材チューブと、該基材チューブの外周面を被覆する
    ように形成されるとともにFEPを含む離型層とを有す
    る、 ことを特徴とする耐熱性定着フィルム。
  2. 【請求項2】 前記離型層中のFEPの含有量が10体
    積%以上である、 ことを特徴とする請求項1記載の耐熱性定着フィルム。
  3. 【請求項3】 前記離型層中に、PFAまたはPTFE
    の粒子が分散されている、 ことを特徴とする請求項1記載の耐熱性定着フィルム。
  4. 【請求項4】 円筒状に形成された基材と、熱押出し成
    型によって円筒状に形成されるとともにフッ素樹脂を含
    む離型層チューブとを有し、 該離型層チューブを、前記基材の外周面を被覆するよう
    に密着または接着させる、 ことを特徴とする耐熱性定着フィルム。
  5. 【請求項5】 前記基材が熱可塑性樹脂によって形成さ
    れる、 ことを特徴とする請求項4記載の耐熱性定着フィルム。
  6. 【請求項6】 前記離型層チューブが熱収縮性チューブ
    である、 ことを特徴とする請求項4記載の耐熱性定着フィルム。
  7. 【請求項7】 前記熱収縮性チューブにおける周方向に
    収縮率は、軸方向の収縮率よりも大きく、かつ20%以
    内である、 ことを特徴とする請求項6記載の耐熱性定着フィルム。
  8. 【請求項8】 前記熱収縮性チューブに対して、融点以
    上の加熱処理を施す、 ことを特徴とする請求項6記載の耐熱性定着フィルム。
  9. 【請求項9】 前記基材が熱硬化性ポリイミドで、かつ
    前記熱収縮性チューブがPFAまたはFEPを含む、 ことを特徴とする請求項8記載の耐熱性定着フィルム。
  10. 【請求項10】 前記基材が熱可塑性ポリイミドで、か
    つ前記熱収縮性チューブがFEPを含む、 ことを特徴とする請求項8記載の耐熱性定着フィルム。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし請求項10のいずれか
    記載の耐熱性定着フィルムと、該耐熱性定着フィルムの
    内側に固定配置された加熱体と、前記耐熱性定着フィル
    ムの外側に配置されるとともに前記加熱体に対して前記
    耐熱性定着フィルムを押し付けて該耐熱定着フィルムと
    の間にニップ部を形成する加圧部材と、前記ニップ部に
    て該加圧部材表面と前記耐熱性定着フィルムとを同方向
    に移動させる駆動手段とを備え、 未定着トナー像を担持した記録材を前記ニップ部にて挟
    持搬送しつつ加熱加圧することにより、前記トナー像を
    前記記録材上に定着する、 ことを特徴とする加熱定着装置。
JP35177093A 1993-12-29 1993-12-29 耐熱性定着フィルム及びこれを用いた加熱定着装置 Pending JPH07199691A (ja)

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