JPH07196892A - 半導体封止用に適したエポキシ樹脂組成物 - Google Patents

半導体封止用に適したエポキシ樹脂組成物

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JPH07196892A
JPH07196892A JP33686193A JP33686193A JPH07196892A JP H07196892 A JPH07196892 A JP H07196892A JP 33686193 A JP33686193 A JP 33686193A JP 33686193 A JP33686193 A JP 33686193A JP H07196892 A JPH07196892 A JP H07196892A
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resin
epoxy resin
phenolic resin
epoxy
phenol
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Withdrawn
Application number
JP33686193A
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English (en)
Inventor
Masato Ohira
正人 大平
Yoshihisa Sone
嘉久 曽根
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Nippon Steel Corp
Air Water Inc
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Sumikin Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 半田付け工程で生じるパッケージクラックが
防止でき、かつ作業性、成形性 (流動性、硬化性、離型
性) 、耐湿性、耐熱性に優れた、表面実装方式の半導体
パッケージの製造における半導体封止用に適したエポキ
シ樹脂組成物。 【構成】 (a) フェノール化合物 (例、フェノール)
と、芳香族アルデヒド (例、ベンズアルデヒド) と、キ
シリレングリコールまたはその低級アルキルエーテルも
しくはエステル (例、キシリレングリコールジメチルエ
ーテル) とを縮合反応させて得たフェノール系樹脂から
なる硬化剤、および(b) このフェノール系樹脂をエポキ
シ化して得られるエポキシ樹脂、を必須成分として含有
することを特徴とする、エポキシ樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半田耐熱性に優れ、成
形性 (成形時の流動性、硬化性、離型性) 、作業性、耐
湿性、耐熱性(耐熱信頼性)も良好な、半導体封止用に
適したエポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ICパッケージなどの電子回路部品(以
下、半導体パッケージまたは単にパッケージという)に
対して、環境変化からの保護と機械的振動や衝撃による
破損および特性変化の防止を目的として、その外側を被
覆密封する封止が行われている。封止方法としては、金
属やセラミックスによる気密封止と樹脂封止とがある
が、コスト面から大半は樹脂封止が採用されている。
【0003】樹脂封止用の樹脂材料としては、一部にシ
リコーン樹脂が使用されているが、そのほとんどはエポ
キシ樹脂である。エポキシ樹脂は、一般に耐熱性、耐湿
性、電気特性 (絶縁性) 、接着性、成形性といった封止
材料に必要な物性の多くを有している上、シリコーン樹
脂に比べて安価であるためである。エポキシ樹脂は、半
導体封止以外の電気絶縁材料、塗料、接着剤などの用途
にも大量に使用されている。
【0004】半導体封止用のエポキシ樹脂組成物は、一
般に、エポキシ樹脂(例、クレゾールノボラック型エポ
キシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族環
状エポキシ樹脂など)、硬化剤(例、フェノールノボラ
ックなど)、硬化促進剤(例、有機ホスフィン類、イミ
ダゾール類など)、無機微粉末からなる充填材(例、シ
リカなど)、シランカップリング剤、離型剤(例、カル
ナウバワックス、パラフィンワックスなど)、着色剤
(例、カーボンブラックなど)などの成分から構成さ
れ、一般に全体の60重量%以上を無機充填材が占める。
【0005】最近、半導体パッケージの基板への実装方
法が、従来のリードピンを基板の穴に挿入する「挿入実
装方式」に代わって、生産性に優れた、基板表面に部品
を半田付けする「表面実装方式」へと移行してきた。そ
れに伴い、パッケージも、従来のDIP (デュアル・イ
ンライン・パッケージ) から、高密度実装、表面実装に
適した薄型のTSOP (シン・スモール・アウトライン
・パッケージ) やQFP (クワッド・フラット・パッケ
ージ) に移行しつつある。
【0006】表面実装方式への移行やパッケージの薄型
化に伴い、次に述べるように、従来はあまり問題になら
なかった半田付け工程でのパッケージクラックが大きな
問題になってきた。従来のピン挿入実装方式では、半田
付け工程ではリード部が部分的に加熱されるだけであっ
たが、表面実装方式ではパッケージ全体が熱媒に浸さ
れ、加熱されるからである。
【0007】表面実装方式における半田付け方法として
は、半田浴浸漬、不活性液体の飽和蒸気によって加熱す
るVPSリフロー法、赤外線によって加熱する赤外リフ
ロー法などが用いられているが、いずれの方法でもパッ
ケージ全体が 210〜270 ℃の高温に加熱されることにな
る。そのため、上述した従来のエポキシ樹脂系封止用樹
脂組成物により封止したパッケージは、半田付け時に樹
脂部分にクラックが発生し、信頼性が低下して、製品と
して使用できないという問題がおきていた。
【0008】半田付け工程におけるクラックの発生は、
後硬化してから実装工程の間までに吸湿した水分が、半
田付け加熱時に爆発的に水蒸気化し、膨張することに起
因するといわれており、その対策として封止用のエポキ
シ樹脂組成物の半田耐熱性の改良が種々検討されてい
る。
【0009】例えば、硬化剤にトリス (ヒドロキシフ
ェニル) メタンとフェノールアラルキル樹脂とを組み合
わせて用いた組成物 (特開平1−292029号公報) 、エ
ポキシ樹脂としてビフェニル型エポキシ樹脂を用いた組
成物 (特開平1−108256号公報) 、エポキシ樹脂ある
いはフェノール系硬化剤をシリコーン変性した組成物
(特開平2−127417号公報、特開平2−202914号公報)
、硬化剤にフェノールアラルキル樹脂とジシクロペ
ンタジエンフェノール樹脂との混合物を用いた組成物
(特開平4−359013号公報) 、硬化剤としてキシリレ
ン化合物などの2官能性芳香族化合物と置換フェノール
との重縮合で得られるフェノールアラルキル樹脂を、エ
ポキシ樹脂としてビフェニル骨格またはナフタレン骨格
を有するエポキシ樹脂を用いた組成物 (特開平4−3255
17号公報) 、硬化剤として上記フェノールアラルキル
樹脂を、エポキシ樹脂としては、このフェノールアラル
キル樹脂をエポキシ化して得た樹脂を用いた組成物 (特
開平5−97967 号公報) 、エポキシ樹脂として側鎖ベ
ンゼン環を有するビスフェノール型骨格のものを使用し
たエポキシ樹脂組成物 (特開平5−78451 号公報) 、
ナフトールとジヒドロキシナフタレンとフェノールとを
アルデヒドで共縮合したポリヒドロキシ化合物を骨格と
するエポキシ樹脂を用いた組成物 (特開平5−93040 号
公報) などが提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これら種々の
方法で改良された樹脂も、薄型表面実装用の封止材料と
して要求される特性を十分に満足するには至っていな
い。例えば、のように、トリス (ヒドロキシフェニ
ル) メタンとフェノールアラルキル樹脂との混合物を硬
化剤として用いても、エポキシ樹脂が従来通りのオルソ
クレゾールボラック型エポキシ樹脂では、硬化物の架橋
密度が高く、耐熱性 (ガラス転移温度) は向上するもの
の、吸湿率が高く、硬化物自体も硬く、脆くなるので、
半田耐熱性の程度は低い。
【0011】同様に、、、のように、ビェニル骨
格などの特殊な骨格を持った改善されたエポキシ樹脂を
用いても、硬化剤が従来のノボラック型フェノール樹脂
では、耐湿性に劣り、ひいては十分な半田耐熱性が得ら
れない。さらに、の場合には、エポキシ樹脂の官能価
が高いため、架橋密度が高くなり、上記の欠点も併せも
つ。
【0012】のエポキシ樹脂またはフェノール系硬化
剤をシリコーン変性する方法は、シリコーン化合物とエ
ポキシ樹脂あるいはフェノール樹脂との相溶性が悪いた
め、シリコーン変性樹脂中に未反応のシリコーン化合物
が多量に残り、強度が低下するばかりでなく、耐湿性、
半田耐熱性の向上効果も不十分であった。
【0013】一方、のフェノールアラルキル樹脂とジ
シクロペンタジエン・フェノール重合体との混合物を硬
化剤とした組成物は、耐湿性に優れ、ガラス転移温度も
高い値を示すが、従来のノボラック型フェノール樹脂硬
化剤に比べて軟化点が高いため、配合、混練等の作業性
に問題があり、さらに成形時の離型性に劣るという欠点
もある。
【0014】また、、の硬化剤にフェノールアラル
キル樹脂を、エポキシ樹脂にビフェニルまたはナフタレ
ン骨格のエポキシ樹脂か、硬化剤をエポキシ化したエポ
キシ樹脂を用いると、半田耐熱性はかなり向上するが、
成形時の流動性・硬化性・離型性が低下し、ガラス転移
温度 (耐熱性) も低下する。また、高粘度で流動性が低
く、充填材の配合量が制限されることから、コスト、耐
湿性、半田耐熱性の点で不利である。
【0015】半田耐熱性を向上させる手段としては、充
填材を増量することにより低吸湿化と低応力化を図る方
法が考えられるが、そのためには成形性とのバランスか
ら樹脂の低粘度化が必要となる。しかし、樹脂の低粘度
化は軟化点の低下を招き、コールドフロー (粉砕後の再
凝着) 等の作業性に問題を生ずる。
【0016】本発明の目的は、かかる半田付け工程で生
じるパッケージクラックの問題を解消し、かつ作業性
(ハンドリング性) 、成形性 (成形時の流動性、硬化
性、離型性) 、耐湿性、耐熱性(耐熱信頼性)に優れ
た、半導体封止用に適したエポキシ樹脂組成物を提供す
ることにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特定のエ
ポキシ樹脂と特定の硬化剤とを組み合わせることによ
り、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0018】本発明は、(a) フェノール化合物を芳香族
アルデヒド及び下記一般式(1)
【0019】
【化2】
【0020】(式中、R1およびR2は同一でも異なるもの
でもよく、それぞれ水素原子、C1〜C4低級アルキル基お
よびC2〜C4低級アシル基から選ばれる) で表されるキシ
リレン化合物と反応させて得られるフェノール系樹脂
と、(b) 前記フェノール系樹脂をエポキシ化して得られ
るエポキシ樹脂とを、該エポキシ樹脂のエポキシ基1モ
ルに対して該フェノール系樹脂のヒドロキシル基が 0.5
〜1.5 モルとなる割合で含有することを特徴とする、エ
ポキシ樹脂組成物である。
【0021】以下、本発明の構成を詳述する。
【0022】本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化
剤として作用するフェノール系樹脂(a) は、フェノール
化合物を芳香族アルデヒド及び上記一般式(1) で表され
るキシリレン化合物と、酸触媒 (ルイス酸または酸性触
媒も含む) の存在下で反応させることにより容易に製造
することができる。
【0023】原料のフェノール化合物としては、芳香環
に結合したヒドロキシル基を1個または2個以上有する
各種の単環型、多核型、または縮合多環型芳香族化合物
が使用できる。具体例としては、フェノール;クレゾー
ル、キシレノール、エチルフェノール、ブチルフェノー
ル、ハロゲン化フェノールなどの置換フェノール類;レ
ゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビス
フェノールFなどの2価フェノール類;α−ナフトー
ル、β−ナフトール、アントラセノール、ナフタレンジ
オールなどの縮合多環型フェノール類が挙げられる。こ
れらのフェノール類のうち原料として好ましいのは、フ
ェノール、クレゾール、α−またはβ−ナフトールであ
る。
【0024】フェノール系樹脂の第二の原料は芳香族ア
ルデヒドである。芳香族アルデヒドは、芳香環に結合し
た1個のアルデヒド基を持った芳香族化合物であり、こ
れも単環型および多環型のいずれでもよい。その具体例
としては、ベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒ
ド、エチルベンズアルデヒド、tert−ブチルベンズアル
デヒド、ナフトアルデヒド、メチルナフトアルデヒド、
アントラセンアルデヒドなどが挙げられる。
【0025】フェノール系樹脂の第三の原料は、上記一
般式(1)(式中、R1およびR2は上記と同じ意味) で示され
るキシリレン化合物である。この化合物の具体例として
は、キシリレングリコール、キシリレングリコールジメ
チルエーテル、キシリレングリコールジエチルエーテ
ル、キシリレングリコールジアセトキシエステル、キシ
リレングリコールジプロピオキシエステル、キシリレン
グリコールモノメチルエーテル、キシリレングリコール
モノアセトキシエステル等が挙げられる。特にキシリレ
ングリコール、キシリレングリコールジメチルエーテル
が好適である。R1とR2の置換位置は、オルト、メタ、パ
ラのいずれでもよい。
【0026】上記の3種類の原料は、いずれも1種づつ
使用しても、或いは2種以上の混合物を使用してもよ
い。
【0027】フェノール系樹脂の製造に用いる酸触媒と
しては、リン酸、硫酸、塩酸などの無機酸、およびシュ
ウ酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタ
ンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などの有
機酸、さらにはフリーデル・クラフツ触媒として使用さ
れている塩化亜鉛、塩化第二錫、塩化第二鉄、ジエチル
硫酸などのルイス酸が挙げられる。酸触媒も、1種の
み、または2種以上併用して使用できる。
【0028】各原料の使用割合は、フェノール化合物に
対する芳香族アルデヒドとキシリレン化合物の合計量
が、モル比で 0.1〜0.8 、特に 0.2〜0.7 となることが
好ましい。このモル比が0.1 未満では、未反応フェノー
ルが多くなり、収率が下がる。一方、0.8 を越えると、
生成樹脂の分子量が増大し、軟化温度が上昇して成形時
の流動性の低下を招き易い。
【0029】一方、芳香族アルデヒドに対するキシリレ
ン化合物のモル比は、 0.1〜10の範囲が適当であり、好
ましくは 0.2〜5である。このモル比が0.1 未満では、
エポキシ樹脂を加えて硬化させた硬化物が、やや堅く、
脆くなる傾向がある。一方、このモル比が10より大きく
なると、ガラス転移点が低くなり、流動性や離型性も低
下する傾向がある。
【0030】酸触媒の使用量には特に制限はないが、触
媒の種類により上記3種類の原料の合計量に対して、0.
003 〜5重量%の範囲内で適正量添加することが好まし
い。
【0031】フェノール化合物と芳香族アルデヒド及び
キシリレン化合物との反応は、通常は 100〜180 ℃、好
ましくは 110〜160 ℃の温度範囲で行う。反応時間は一
般に1〜10時間である。反応成分の添加順序にも特に制
限はなく、例えば、フェノール化合物に対して芳香族ア
ルデヒドとキシリレン化合物とを同時に加えて反応を進
めてもよく、またいずれか一方を先に加えてフェノール
化合物と反応させ、次いで他方を加えて反応を更に継続
させることもできる。
【0032】上記の反応は、縮合によって生成する水の
他に、使用するキシリレン化合物の種類によっては、ア
ルコールまたはカルボン酸を生成しながら進行する。縮
合反応終了後、系内に残留した未反応のフェノール化合
物を減圧蒸留または水蒸気蒸留などの適当な方法で留去
させることにより、本発明で硬化剤として作用するフェ
ノール系樹脂合物が得られる。
【0033】こうして得られるフェノール系樹脂は、
(I) で示すフェノール化合物とキシリレン化合物との縮
合物からなる反復単位と、(II)で示すフェノール化合物
と芳香族アルデヒドとの縮合物からなる反復単位とが結
合してなるランダム共重合体またはブロック共重合体で
ある。その代表的構造を下記の式(2) 、式(3) および式
(4) に示す。
【0034】
【化3】
【0035】
【化4】
【0036】
【化5】
【0037】上記式中、R3〜R6は同一でも異なるもので
もよく、それぞれ水素原子、C1〜C4低級アルキル基およ
びハロゲン原子から選ばれる。重合度〔(I) および(II)
の各反復単位の数〕は一般に1〜10の範囲内であり、フ
ェノール化合物、芳香族アルデヒド、キシリレン化合物
の3種類の原料の配合比を変えることにより、目的とす
る物性となるように重合度を任意に調整できる。なお、
上記の式(2) 、式(3)および式(4) は単に例示にすぎ
ず、本発明で用いるフェノール系樹脂はこれらに限定さ
れるものではない。
【0038】本発明で用いるエポキシ樹脂(b) は、上記
のフェノール系樹脂(a) をエポキシ化することにより得
られる。エポキシ化の方法は適当な公知方法を適用する
ことができる。最も代表的な方法は、ハロゲン化水素捕
捉剤の存在下、フェノール系樹脂をエピハロヒドリン、
好ましくはエピクロルヒドリンと反応させてエポキシ化
する方法である。この反応により、フェノール系樹脂中
のフェノール性水酸基がグリシジルエーテル基に変換さ
れ、エポキシ樹脂となる。
【0039】この反応に使用可能なハロゲン化水素捕捉
剤の例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等
のアルカリ金属水酸化物を挙げることができる。これら
は固体のままか、40〜50%水溶液で反応系に添加され
る。アルカリ金属水酸化物の添加量は、上記フェノール
系樹脂の水酸基1当量に対して 0.8〜1.5 当量、好まし
くは 0.9〜1.1 当量である。
【0040】エポキシ化反応に使用するエピハロヒドリ
ンの割合は、フェノール系樹脂の水酸基含有量にもよる
が、通常は水酸基1当量に対して 1.3〜20当量、好まし
くは2.0〜10当量の過剰量のエピハロヒドリンを使用す
る。反応温度は50〜150 ℃の範囲が好ましく、反応時間
は一般に1〜20時間である。この反応は、無溶媒でも、
或いは適当な溶媒 (例、ジメチルスルホキシド、ジメチ
ルホルムアミド) を使用して行うこともできる。また、
上記のエポキシ化反応は、無触媒で反応が進行するが、
所望により層間移動触媒など適当な触媒を使用してもよ
い。
【0041】反応後、過剰のエピハロヒドリンを留去し
た後、反応生成物中に残留する過剰のハロゲン化水素捕
捉剤とこの捕捉で副生する塩を、水または他の溶媒によ
る洗浄などの適宜手段で反応生成物から除去すると、目
的とするエポキシ樹脂が得られる。得られたエポキシ樹
脂は、例えば、上記の式(2) 〜式(4) において、OH基が
グリシジルエーテル基で置換された構造を有する。
【0042】本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化剤と
して上記のフェノール系樹脂 (以下、必須フェノール系
樹脂という) と、このフェノール系樹脂をエポキシ化し
て得たエポキシ樹脂 (以下、必須エポキシ樹脂という)
とを必須成分として含有する。必須フェノール系樹脂と
必須エポキシ樹脂は、いずれも1種でも、2種以上の混
合物でもよい。
【0043】なお、この必須エポキシ樹脂は、必ずし
も、その樹脂組成物で一緒に使用する必須フェノール系
樹脂それ自体をエポキシ化したものでなくてもよい。即
ち、いずれも本発明で用いるフェノール系樹脂に適合す
るものであれば、エポキシ化に用いたフェノール系樹脂
と、硬化剤としてそのまま使用するフェノール系樹脂と
は、互いに異なる (例、原料の種類または配合比が異な
る) ものであってもよい。また、エポキシ化に用いるフ
ェノール系樹脂は2種以上のフェノール系樹脂の混合物
であってもよい。
【0044】上記の必須フェノール系樹脂および必須エ
ポキシ樹脂に加えて、その他のフェノール系樹脂 (以
下、併用フェノール樹脂という) および/またはその他
のエポキシ樹脂 (以下、併用エポキシ樹脂という) を、
本発明の目的を損なわない範囲でいずれも1種もしくは
2種以上併用することができる。
【0045】併用フェノール樹脂としては、エポキシ樹
脂と反応してエポキシ樹脂を硬化させるものであれば特
に限定されない。好ましい具体例としては、フェノール
ノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノー
ルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ジシク
ロペンタジエン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェ
ノール樹脂、トリス (ヒドロキシフェニル) メタン、1,
1,2 −トリス (ヒドロキシフェニル) エタン、1,1,3 −
トリス (ヒドロキシフェニル) プロパン、ビスフェノー
ルA、ビスフェノールF、ジヒドロキシビフェニルなど
が挙げられる。
【0046】併用フェノール樹脂の使用量は、本発明の
効果を損なわない限り特に限定されないが、好ましくは
本発明の必須フェノール系樹脂と併用フェノール樹脂と
の合計量に対して50重量%未満である。50重量%以上で
あると、本発明のエポキシ樹脂組成物の特徴である成形
性、耐湿性、半田耐熱性のいずれかが低下することがあ
る。
【0047】一方、併用エポキシ樹脂としては、従来よ
り公知の各種エポキシ樹脂を使用することができる。例
えば、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フ
ェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポ
キシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビスフェノール
A型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、
ハロゲン化エポキシ樹脂などが挙げられる。また、フェ
ノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等を
エポキシ化して得られるエポキシ樹脂も使用できる。
【0048】併用エポキシ樹脂の使用量も、本発明の効
果を損なわない限り特に限定されないが、好ましくは必
須エポキシ樹脂と併用エポキシ樹脂との合計量に対して
50重量%未満である。50重量%以上であると、本発明の
エポキシ樹脂組成物の特徴である成形性、耐湿性、半田
耐熱性のいずれかが低下することがある。
【0049】本発明において、必須エポキシ樹脂とその
硬化剤である必須フェノール系樹脂の配合比は、機械的
性質や耐湿性の点から、水酸基/エポキシ基の当量比が
0.5〜1.5 、特に 0.8〜1.2 の範囲になるような配合比
が好ましい。
【0050】併用エポキシ樹脂および/または併用フェ
ノール樹脂を用いる場合も、フェノール樹脂全体の水酸
基当量の合計/エポキシ樹脂全体のエポキシ基当量の合
計の比が 0.5〜1.5 、特に 0.8〜1.2 の範囲になるよう
にすればよい。
【0051】本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記のエ
ポキシ樹脂とフェノール系樹脂の外に、必要に応じて、
各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤は、その樹
脂組成物の用途に応じて適宜選択することができる。例
えば、本発明のエポキシ樹脂組成物をその主目的である
半導体封止用に使用する場合には、無機充填材、カップ
リング剤、硬化促進剤、難燃剤、難燃助剤、離型剤、着
色剤、低応力化剤などの1種以上を添加剤として樹脂組
成物に添加することができる。これらの添加剤として
は、いずれも従来公知のものを1種もしくは2種以上使
用できる。
【0052】本発明で用いることができる無機充填材と
しては、非晶性シリカ、結晶性シリカ、窒化ケイ素、炭
化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミ
ナ、マグネシア、クレー、タルク、ケイ酸カルシウム、
酸化チタン、ガラス繊維などが挙げられるが、中でも低
応力性 (低熱膨張性) の点から、結晶性シリカが好まし
い。
【0053】無機充填材の配合割合は、半導体封止用の
場合、成形性および低応力性 (低熱膨張性) の点から、
封止材料全体の60〜95重量%の範囲内である。成形性
(溶融粘度、流動性) を損なわない限り、低応力性、低
吸湿性の点からは充填材量が多い方が好ましい。このた
めには、最密充填を行わせるために粒度分布が広い球形
の充填材を用いることが好ましい。
【0054】無機充填材は、シランカップリング剤、チ
タネートカップリング剤などのカップリング剤で予め表
面処理しておくことが、耐湿信頼性の点で好ましい。カ
ップリング剤としてはエポキシシラン類、アミノシラン
類、アクリルシラン類、ビニルシラン類などのシランカ
ップリング剤が好ましく用いられる。
【0055】硬化促進剤は、フェノール系樹脂によるエ
ポキシ樹脂の硬化反応(水酸基とエポキシ基との反応)
を促進させるものであれば特に限定されない。例えば、
2−メチルイミダゾール、 2,4−ジメチルイミダゾー
ル、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニ
ルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾー
ル、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール化
合物;トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベン
ジルジメチルアミン、2,4,6 −トリス (ジメチルアミノ
メチル) フェノール、1,8 −ジアザビシクロ (5,4,0)ウ
ンデセン−7等の3級アミン;トリフェニルホスフィ
ン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、ト
リブチルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル) ホスフ
ィン、トリ (ノニルフェニル) ホスフィン等の有機ホス
フィン化合物;テトラフェニルホスホニウムテトラフェ
ニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニル
ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾールテトラ
フェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が挙げ
られる。中でも耐湿性の点から、有機ホスフィン化合物
が好ましく、トリフェニルホスフィンが特に好ましい。
硬化促進剤の添加量は、エポキシ樹脂100 重量部に対し
て 0.1〜5重量部の範囲が好ましい。
【0056】難燃剤の例としてはハロゲン化エポキシ樹
脂、ハロゲン化合物、リン化合物などが挙げられ、難燃
助剤の例には三酸化アンチモンなどがある。離型剤の例
としてはカルナウバワックス、パラフィンワックス、ス
テアリン酸、モンタン酸、カルボキシル基含有ポリオレ
フィンなどがあり、着色剤の例にはカーボンブラックな
どがある。低応力化剤の例としては、シリコーンゴム、
変性ニトリルゴム、変性ポリブタジエンゴム、変性シリ
コーンオイルなどが挙げられる。なお、これらは例示に
過ぎず、硬化促進剤、難燃剤・難燃助剤、離型剤、着色
剤、低応力剤などは、ここに例示したものに限定される
わけではない。これらの添加剤の添加量は、従来の半導
体封止用樹脂組成物と同様でよい。
【0057】本発明のエポキシ樹脂組成物は、必須成分
である前記エポキシ樹脂および硬化剤のフェノール系樹
脂を、必要に応じて配合される無機充填材その他添加剤
と、常法により混合・混練することにより製造すること
ができる。例えば、樹脂成分、無機充填材およびその他
の添加剤をミキサー等によって物理的に均一に混合した
後、さらに熱ロール、ニーダ、押出機などにより混練処
理を加え、冷却固化後に適当な大きさに粉砕して、半導
体封止用の成形材料として使用可能な、本発明の樹脂組
成物を得ることができる。
【0058】こうして得たエポキシ樹脂組成物は、低圧
トランスファー成形法、射出成形法、圧縮成形法、注型
などの成形法により半導体封止或いはその他の成形用途
に使用することができる。
【0059】なお、本発明のエポキシ樹脂組成物は、塗
料、積層材、接着剤などとしても有用である。その場
合、無溶媒でホットメルトさせて使用したり、或いは必
要に応じて適当な有機溶媒(例、アセトン、メチルエチ
ルケトン)に溶解して溶液化しても良く、硬化剤とエポ
キシ樹脂の溶液は2液型タイプにすることもできる。
【0060】
【作用】本発明によれば、特定の共重合体型のフェノー
ル系樹脂とこのフェノール系樹脂をエポキシ化して得ら
れるエポキシ樹脂を組み合わせることにより、半田耐熱
性 (半田付け時の耐クラック性) が良好で、かつ耐湿
性、耐熱性、成形性 (流動性、硬化性、離型性) 、作業
性に優れた、半導体封止に適した樹脂組成物が得られ
る。
【0061】その理由は次のように推察される。本発明
で使用するフェノール系樹脂と、これをエポキシ化して
得られるエポキシ樹脂は、いずれもペンダント型の剛直
な構造を有し、しかも水酸基当量、エポキシ当量がそれ
ぞれ大きいため、硬化物の架橋密度を上げずに耐熱性
(ガラス転移温度) の向上が可能である。一般には、架
橋密度に比例して吸湿率や熱間弾性率が増大するため、
架橋密度の上昇は好ましくない。ガラス転移温度の向上
は、耐熱信頼性ばかりでなく、成形後の脱型時の硬度が
高くなるため、離型性にも有利に作用する。
【0062】また本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポ
キシ樹脂と硬化剤のフェノール系樹脂がいずれも溶融粘
度が低く、充填材の配合量を多くすることができる点で
も好ましい。さらに、上記混合物が低粘度であるにもか
かわらず、軟化点が比較的高く、コールドフロー (粉砕
後の再凝着) の問題もなく、作業性が良好である点も特
徴である。
【0063】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。
【0064】 〔製造例1〕(フェノール系樹脂Aの製造) 攪拌機、温度計、コンデンサー、および窒素ガス導入管
を備えた四つ口フラスコに、フェノール470 重量部、ベ
ンズアルデヒド106 重量部、p−キシリレングリコール
ジメチルエーテル166 重量部、トリフルオロメタンスル
ホン酸 0.1重量部を含む1%水溶液を加え、 100〜150
℃に加熱し、縮合反応で副生した水およびメタノールを
系外に留去しながら、これらの縮合副生物の発生が認め
られなくなるまで反応を行った (フェノール/アルデヒ
ド/キシリレン化合物のモル比は5/1/1) 。その
後、系内の未反応フェノールを減圧蒸留によって除去す
ることにより、上記の式(2) で示される構造 (R3=R4
H) を有する目的のフェノール系樹脂を得た。この樹脂
は軟化点が64℃、150 ℃での溶融粘度が135 cps 、水酸
基当量が153 g/eqであった。このフェノール系樹脂を樹
脂Aとする。
【0065】〔製造例2〕(フェノール系樹脂Aのエポ
キシ化樹脂Bの製造) 攪拌機、温度計、滴下ロート、分離管付きコンデンサー
を備えた反応容器に、実施例1で得たフェノール系樹脂
A 100重量部、エピクロルヒドリン450 重量部(フェノ
ール系樹脂の水酸基当量あたり7.5 当量) 、および溶媒
のジメチルスルホキシド225 重量部を仕込み、攪拌しな
がら 115〜120 ℃に昇温した後、同温度で49%水酸化ナ
トリウム水溶液53重量部を3時間で連続的に滴下した。
【0066】この間、温度は 115〜120 ℃に保ちなが
ら、留出するエピクロルヒドリンと水の混合物を冷却凝
縮させて分液し、エピクロルヒドリン層は反応系内に戻
しながら反応させて、フェノール系樹脂のエポキシ化反
応 (水酸基のグリシジルエーテル化) を行った。
【0067】反応終了後、過剰のエピクロルヒドリンを
減圧蒸留で除去した後、残留物 (副生塩とジメチルスル
ホキシドを含有するエポキシ化生成物) をメチルイソブ
チルケトンに溶解させ、得られた溶液を水洗して副生塩
とジメチルスルホキシドを除去した。その後、有機層か
ら溶媒を留去して、目的とするエポキシ樹脂を得た。こ
のエポキシ樹脂は、エポキシ当量が210 g/eq、軟化点は
54℃であった。このエポキシ樹脂を樹脂Bとする。
【0068】 〔製造例3〕(フェノール系樹脂Cの製造) 製造例1で用いた装置にオルソクレゾール540 重量部、
ベンズアルデヒド106重量部、p−キシリレングリコー
ルジメチルエーテル166 重量部、p−トルエンスルホン
酸 (1水和物) 2重量部を加え (クレゾール/アルデヒ
ド/キシリレン化合物のモル比は5/1/1) 、製造例
1と同様に縮合反応させた。その後、反応物をメルイソ
ブチルケトンに溶解し、分液ロートで水洗した後、有機
層から溶媒および未反応クレゾールを減圧蒸留によって
除去して、上記の式(2) で示される構造 (R3=CH3 、R4
=H) で示される目的のフェノール系樹脂を得た。この
樹脂は軟化点が62℃、150 ℃での溶融粘度が 110 cps、
水酸基当量が170 g/eqであった。
【0069】〔製造例4〕(フェノール系樹脂Cのエポ
キシ化樹脂Dの製造) 製造例3で得た樹脂Cを用いた以外、製造例2と同様に
してエポキシ樹脂を得た。この樹脂のエポキシ当量は22
7 g/eq、軟化点は52℃であった。このエポキシ樹脂を樹
脂Dとする。
【0070】 〔製造例5〕(フェノール系樹脂Eの製造) 製造例1で用いた装置を用いて、1−ナフトール720 重
量部、ベンズアルデヒド106 重量部、p−キシリレング
リコール138 重量部、p−トルエンスルホン酸(1水和
物) 2重量部を加え (ナフトール/アルデヒド/キシリ
レン化合物のモル比は5/1/1) 、 100〜165 ℃に加
熱し、縮合反応で副生した水を系外に除去しながら縮合
水の発生が認められなくなるまで縮合反応を行った。得
られた樹脂を直接水洗して酸を除去した後、未反応の1
−ナフトールを減圧下水蒸気蒸留によって除去すること
により、上記の式(3) で示される構造 (R5=H) を有す
る目的のフェノール系樹脂を得た。この樹脂は、軟化点
が67℃、150 ℃での溶融粘度が350 cps 、水酸基当量が
190 g/eqであった。これを樹脂Eとする。
【0071】〔製造例6〕(フェノール系樹脂Eのエポ
キシ化樹脂Fの製造) 製造例5で得た樹脂Eを用いた以外、製造例2と同様に
してエポキシ樹脂を得た。この樹脂はエポキシ当量が25
0 g/eq、軟化点が55℃であった。このエポキシ樹脂を樹
脂Fとする。
【0072】 〔製造例7〕(フェノール系樹脂Gの製造) 製造例1で用いた装置にフェノール 470重量部、2−ナ
フトアルデヒド 156重量部、p−キシリレングリコール
ジメチルエーテル 166重量部、p−トルエンスルホン酸
(1水和物) 2重量部を加え (フェノール/アルデヒド
/キシリレン化合物のモル比は5/1/1) 、100 〜16
0 ℃に加熱し、実施例1と同様に反応を行った。その
後、反応物をメチルイソブチルケトンに溶解し、分液ロ
ートで水洗した後、有機層から溶媒および未反応フェノ
ールを減圧蒸留によって除去することにより、上記の式
(4) で示される構造 (R6=H) を有する目的のフェノー
ル系樹脂を得た。この樹脂は、軟化点が70℃、150 ℃で
の溶融粘度が 270 cps、水酸基当量は174 g/eqであっ
た。このフェノール系樹脂を樹脂Gとする。
【0073】〔製造例8〕(フェノール系樹脂Gのエポ
キシ化樹脂Hの製造) 製造例7で得た樹脂Gを用いた以外、製造例2と同様に
してエポキシ樹脂を得た。この樹脂のエポキシ当量は23
4 g/eq、軟化点は57℃であった。このエポキシ樹脂を樹
脂Hとする。
【0074】〔実施例1〜4〕表1に示す、上記製造例
で得たフェノール系樹脂、およびそれらをエポキシ化し
たエポキシ樹脂を使用し、これらを表2に示す配合割合
で各種添加剤と配合し、十分に予備混合した後、加熱ロ
ールを用いて温度90〜110 ℃で約5分間混練した。その
後、得られたシート状の混練物を冷却し、粉砕して、エ
ポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物
について、各種物性を測定評価した。結果を表4に示
す。
【0075】〔実施例5、6〕製造例1、2で得たフェ
ノール系樹脂と、これをエポキシ化した樹脂に、表1に
示す市販のエポキシ樹脂またはフェノールアラルキル樹
脂を併用して、実施例1〜4と同様にして表2に示す組
成のエポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂
組成物について、各種物性を測定評価した結果を表4に
併せて示す。
【0076】〔比較例1〜4〕表1に示す市販のエポキ
シ樹脂およびフェノール樹脂を使用して、実施例1〜6
と同様にして、表3に示す組成のエポキシ樹脂組成物を
得た。得られたエポキシ樹脂組成物の各種物性を測定し
た結果を、表4に併せて示す。
【0077】なお、以上の実施例および比較例では、同
じ条件で結果を比較するために、フェノール系樹脂硬化
剤とエポキシ樹脂との配合比率は、水酸基/エポキシ基
の当量比が1/1の一定値となるようにした。エポキシ
樹脂組成物の物性測定の方法は次の通りである。
【0078】(1) スパイラルフロー (流動性) 樹脂組成物を用いて、175 ℃の金型で70 kgf/cm2の圧力
をかけてスパイラルの流動距離を測定した。
【0079】(2) 硬化性 樹脂組成物を175 ℃×120 秒の条件でトランスファー成
形し、脱型後10秒経過した時点での硬さを測定すること
により硬化性を評価した。
【0080】(3) ガラス転移温度 樹脂組成物をトランスファー成形機を用いて、175 ℃×
120 秒の条件で成形した後、150 ℃で2時間、さらに18
0 ℃で6時間後硬化させた成形品から、適当な大きさの
試験片を切り出し、TMA法によりガラス転移温度を測
定した。
【0081】(4) 吸湿率 QFPパッケージ (パッケージサイズ: 17×17×1.8 m
m、チップサイズ: 8×8×0.5 mm) を、トランスファ
ー成形機を用いて175 ℃×120 秒の条件で成形した後、
150 ℃で2時間、さらに180 ℃で6時間後硬化させた。
このパッケージを85℃、85%RH雰囲気下で72時間吸湿
させた後の重量変化から、吸湿率を測定した。
【0082】(5) 半田耐熱性 吸湿率を測定した直後の試験用パッケージ20個を、260
℃の半田浴に20秒間浸漬して、クラックが発生したパッ
ケージの個数を求めた。
【0083】表4に示した結果から明らかなように、本
発明のエポキシ樹脂組成物 (実施例1〜6) は、硬化性
・離型性に優れ、しかも低吸湿率、高ガラス転移温度を
示した。また半田浴浸漬後のクラックの発生も防止され
た。これに対し、比較例の従来のエポキシ樹脂組成物で
は、半田浴浸漬後のクラックが25〜100 %という高い割
合で発生し、パッケージの歩留りが非常に低くなる。ま
た、その他の特性についても、少なくとも1つの特性が
劣化した。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
【表4】
【0088】
【発明の効果】本発明のエポキシ樹脂組成物は、ペンダ
ント型の剛直な構造を有し、しかも水酸基当量が大きい
フェノール系樹脂からなる硬化剤と、これをエポキシ化
したエポキシ樹脂とを組合わせて配合することにより、
耐半田クラック性に優れ、かつ成形性 (硬化性・離型
性) 、耐熱性 (高ガラス転移温度) 、耐湿性、作業性も
良好であるので、半導体封止材料として用いた場合に、
半田耐熱性と信頼性の面で非常に優れた半導体デバイス
を得ることができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年6月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】フェノール系樹脂の第二の原料は芳香族ア
ルデヒドである。芳香族アルデヒドは、芳香環に結合し
た1個のアルデヒド基を持った芳香族化合物であり、こ
れも単環型および多環型のいずれでもよい。その具体例
としては、ベンズアルデヒド、α−ナフトアルデヒド、
β−ナフトアルデヒド、アントラセンアルデヒドなどが
挙げられる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】フェノール系樹脂の第三の原料は、上記一
般式(1)(式中、RおよびRは上記と同じ意味)
で示されるキシリレン化合物である。この化合物の具体
例としては、キシリレングリコール、キシリレングリコ
ールジメチルエーテル、キシリレングリコールジエチル
エーテル、キシリレングリコールジアセトキシエステ
ル、キシリレングリコールジプロピオキシエステル、キ
シリレングリコールモノメチルエーテル、キシリレング
リコールモノアセトキシエステル等が挙げられる。特に
キシリレングリコール、キシリレングリコールジメチル
エーテルが好適である。RとRの置換位置は、オル
ト、メタ、パラのいずれでもよいが、一般的にパラ置換
体が好ましい
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】
【化3】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正内容】
【0035】
【化4】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】
【化5】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】上記式中、R とR は同一でも異なるも
のでもよく、それぞれ水素原子、C〜C低級アルキ
ル基およびハロゲン原子から選ばれる。重合度〔(I)
および(II)の各反復単位の数〕は一般に1〜10の
範囲内であり、フェノール化合物、芳香族アルデヒド、
キシリレン化合物の3種類の原料の配合比を変えること
により、目的とする物性となるように重合度を任意に調
整できる。なお、上記の式(2)、式(3)および式
(4)は単に例示にすぎず、本発明で用いるフェノール
系樹脂はこれらに限定されるものではない。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正内容】
【0064】 〔製造例1〕(フェノール系樹脂Aの製造) 攪拌機、温度計、コンデンサー、および窒素ガス導入管
を備えた四つ口フラスコに、フェノール470重量部、
ベンズアルデヒド106重量部、p−キシリレングリコ
ールジメチルエーテル166重量部、トリフルオロメタ
ンスルホン酸0.1重量部を含む1%水溶液を加え、1
00〜150℃に加熱し、縮合反応で副生した水および
メタノールを系外に留去しながら、これらの縮合副生物
の発生が認められなくなるまで反応を行った(フェノー
ル/アルデヒド/キシリレン化合物のモル比は5/1/
1)。その後、系内の未反応フェノールを減圧蒸留によ
って除去することにより、上記の式(2)で示される構
造(R =H)を有する目的のフェノール系樹脂を得
た。この樹脂は軟化点が64℃、150℃での溶融粘度
が135 cps、水酸基当量が153 g/eqであ
った。このフェノール系樹脂を樹脂Aとする。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正内容】
【0068】 〔製造例3〕(フェノール系樹脂Cの製造) 製造例1で用いた装置にオルソクレゾール540重量
部、ベンズアルデヒド106重量部、p−キシリレング
リコールジメチルエーテル166重量部、p−トルエン
スルホン酸(1水和物)2重量部を加え(クレゾール/
アルデヒド/キシリレン化合物のモル比は5/1/
1)、製造例1と同様に縮合反応させた。その後、反応
物をメルイソブチルケトンに溶解し、分液ロートで水洗
した後、有機層から溶媒および未反応クレゾールを減圧
蒸留によって除去して、上記の式(2)で示される構造
(RCHで示される目的のフェノール系樹脂を
得た。この樹脂は軟化点が62℃、150℃での溶融粘
度が 110 cps、水酸基当量が170 g/eq
であった。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正内容】
【0070】 〔製造例5〕(フェノール系樹脂Eの製造) 製造例1で用いた装置を用いて、1−ナフトール720
重量部、ベンズアルデヒド106重量部、p−キシリレ
ングリコール138重量部、p−トルエンスルホン酸
(1水和物)2重量部を加え(ナフトール/アルデヒド
/キシリレン化合物のモル比は5/1/1)、100〜
165 ℃に加熱し、縮合反応で副生した水を系外に除
去しながら縮合水の発生が認められなくなるまで縮合反
応を行った。得られた樹脂を直接水洗して酸を除去した
後、未反応の1−ナフトールを減圧下水蒸気蒸留によっ
て除去することにより、上記の式(3)で示される構
有する目的のフェノール系樹脂を得た。この樹脂は、
軟化点が67℃、150℃での溶融粘度が350 cp
s、水酸基当量が190 g/eqであった。これを樹
脂Eとする。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正内容】
【0072】 〔製造例7〕(フェノール系樹脂Gの製造) 製造例1で用いた装置にフェノール470重量部、2−
ナフトアルデヒド156重量部、p−キシリレングリコ
ールジメチルエーテル166重量部、p−トルエンスル
ホン酸(1水和物)2重量部を加え(フェノール/アル
デヒド/キシリレン化合物のモル比は5/1/1)、1
00〜160℃に加熱し、実施例1と同様に反応を行っ
た。その後、反応物をメチルイソブチルケトンに溶解
し、分液ロートで水洗した後、有機層から溶媒および未
反応フェノールを減圧蒸留によって除去することによ
り、上記の式(4)で示される構造( =H)を有す
る目的のフェノール系樹脂を得た。この樹脂は、軟化点
が70℃、150℃での溶融粘度が270 cps、水
酸基当量は174 g/eqであった。このフェノール
系樹脂を樹脂Gとする。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) フェノール化合物を芳香族アルデヒ
    ド及び下記一般式(1) 【化1】 (式中、R1およびR2は同一でも異なるものでもよく、そ
    れぞれ水素原子、C1〜C4低級アルキル基およびC2〜C4
    級アシル基から選ばれる) で表されるキシリレン化合物
    と反応させて得られるフェノール系樹脂と、(b) 前記フ
    ェノール系樹脂をエポキシ化して得られるエポキシ樹脂
    とを、該エポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対して該フ
    ェノール系樹脂のヒドロキシル基が 0.5〜1.5 モルとな
    る割合で含有することを特徴とする、エポキシ樹脂組成
    物。
JP33686193A 1993-12-28 1993-12-28 半導体封止用に適したエポキシ樹脂組成物 Withdrawn JPH07196892A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20140179833A1 (en) * 2012-12-24 2014-06-26 Eun Jung Lee Epoxy resin composition for encapsulation of semiconductor device and semiconductor device encapsulated using the same

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20140179833A1 (en) * 2012-12-24 2014-06-26 Eun Jung Lee Epoxy resin composition for encapsulation of semiconductor device and semiconductor device encapsulated using the same

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