JPH07195425A - 成形装置 - Google Patents

成形装置

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JPH07195425A
JPH07195425A JP35230493A JP35230493A JPH07195425A JP H07195425 A JPH07195425 A JP H07195425A JP 35230493 A JP35230493 A JP 35230493A JP 35230493 A JP35230493 A JP 35230493A JP H07195425 A JPH07195425 A JP H07195425A
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cavity
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skin
synthetic resin
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朗 山村
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    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C45/00Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor
    • B29C45/14Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor incorporating preformed parts or layers, e.g. injection moulding around inserts or for coating articles
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    • B29C45/14262Clamping or tensioning means for the insert
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 表皮を有する成形品の端末部に良好な外観を
与え、成形後の後処理を最小限にして作業効率を高め低
コスト化・省力化することができ、接着剤の使用を不要
にして無溶剤化をはかり作業環境を改善することが可能
な成形装置を提供する。 【構成】 表皮材Hをキャビティ上面21側、溶融合成
樹脂を前記第2のキャビティ下面11側に配し、表皮材
の端部はスライドコア30が有するキャビティ空間の縁
より内側の表皮材保持部31により保持され、金型が型
締めされる際に表皮材がキャビティ空間を巻き込むよう
にしてキャビティ側に摺動し、形成されたキャビティ空
間内で表皮材と合成樹脂を加圧、冷却することを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱可塑性樹脂からなる基
材層の表面に各種表皮材が貼合された多層成形品の製造
に用いられる成形装置に係り、特に自動車用内装材の製
造に好適に適用できる成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の内装部品は、熱可塑性樹脂から
なる基材層の表面に各種表皮材が貼合された多層成形品
が多用されており、製品としての性格上その外観向上お
よび端末部での表皮材剥離防止のため、表皮材を基材層
の裏側に巻き込み処理を行っている。
【0003】従来は図15に示すように、スタンピング
成形装置の上金型51と下金型52との間のキャビティ
53に表皮材Hと基材となる合成樹脂Jを供給し、加圧
・冷却して表皮材と基材が一体となった多層成形品を得
て、その後図16のように表皮材Hを所定の寸法にカッ
トし芯材Jの裏側に折り返し、接着剤を用いて或はステ
ープル等の固定手段により芯材Jの裏面に固定すること
で図17のような製品の端末としていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、成
形工程が終了して後別工程として表皮材のカッティン
グ、折り返し、接着等の処理を行うので工数的に手間が
かかり、低コスト化と省力化の妨げとなっていた。また
近年作業環境改善の一環として現場から有機溶剤を追放
するいわゆる無溶剤化の要望があるが、従来技術では折
り返した表皮材の固定に接着剤の使用が避けられずこの
要望を満たすことができなかった。
【0005】本発明の目的は、表皮を有する成形品の端
末部に良好な外観を与え、成形後の後処理を最小限にし
て作業効率を高め低コスト化・省力化することができ、
接着剤の使用を不要にして無溶剤化をはかり作業環境を
改善することが可能な成形装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る成形装置
は、第1のキャビティ面をなす第1の金型と、対向する
第2のキャビティ面をなす第2の金型と、該第2の金型
上で摺動可能で少なくとも第2のキャビティ面縁部をな
すスライドコアから形成されてなるキャビティ空間に表
皮材と基材となる溶融合成樹脂を供給し、加圧、冷却し
て基材の表面に表皮材が一体に接合された多層形成品を
成形する成形装置において、前記表皮材は前記第1のキ
ャビティ面側、合成樹脂は前記第2のキャビティ面側に
配され、前記スライドコアは前記表皮材端部を前記キャ
ビティ空間の縁より内側で保持する表皮材保持部を有
し、前記第1と第2の金型が型締めされる際に表皮材が
キャビティ空間を巻き込むようにしてキャビティ側に摺
動し、前記第1および第2の金型とスライドコアにより
形成されたキャビティ空間内で表皮材と合成樹脂を加
圧、冷却することを特徴とする。
【0007】また、第1の金型は型締め時にキャビティ
空間を形成するキャビティ面に、表皮材表面を型締めを
行っている最中係止しておく係止手段を有するように構
成すると好適である。更に表皮材保持部は、第1と第2
の金型の型締め終了時に保持された表皮部分を切断する
表皮切断手段を兼ねる構成にするとより好適である。
【0008】
【作用】本発明によれば、表皮材が第1のキャビティ面
側、溶融合成樹脂が第2のキャビティ面側に配され、ス
ライドコアが前記表皮材端部をキャビティ空間の縁より
内側で保持する表皮材保持部を有するので、表皮材は金
型が型締めされキャビティが閉じる際にキャビティ空間
を巻き込むように配置され、最終的に溶融合成樹脂を巻
き込む形になり、この状態で表皮材と合成樹脂を加圧、
冷却するので、合成樹脂と表皮材の一体成形時に同時に
製品の端末における表皮材の基材裏面への巻き込み処理
が可能になり、後工程での表皮材の巻き込み処理および
接着等の固定処理が不要になる。
【0009】また請求項2のように第1の金型のキャビ
ティ面に、表皮材表面を型締めを行っている最中係止し
ておく係止手段を有する構成にすれば、型締めの途中
で、溶融合成樹脂の熱影響や該合成樹脂と表皮材の吸着
による表皮材の合成樹脂側への引き込みが防止され、良
好に表皮材をキャビティ内の隅に巻き込むことができ、
付随的に表皮材の配置偏り・ずれや、しわの発生が防止
される。
【0010】更に請求項3のように表皮材保持部は、第
1と第2の金型の型締め終了時に保持された表皮部分を
切断する表皮切断手段を兼ねる構成にすると、表皮材の
基材裏面への巻き込み処理と余った表皮材のカッティン
グ処理が同時に行うことができ、加工後の後工程が全く
不要になり作業効率をより高めることができる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。なお、以下に説明する部材,配置等は本発明を
限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変
することができるものである。
【0012】<実施例1>図1乃至図3は請求項1およ
び2に係る発明の第1の実施例を説明するものであり、
図1は表皮材を設置した状態の装置全体説明断面図、図
2は型締め途中の状態の説明部分断面図、図3は型締め
終了直後の説明部分断面図である。
【0013】本例の成形装置S1は図1のように、下金
型10と、対向する上金型20とから構成されており、
下金型10には左右方向に摺動可能なスライドコア30
が設けられている。本例では下金型10が固定、上金型
20が可動となっており、上金型20が上下に移動する
ことで金型の開け締めを行うが、固定と可動を逆に設定
してもよい。
【0014】下金型10は固定され不動であり、所望の
キャビティ下面11を有し、図示しない押出成形機或は
射出成形機が付設され、この押出成形機或は射出成形機
はキャビティ下面11に設けた供給ゲート12を介して
溶融状態の合成樹脂を供給できるように接続されてい
る。
【0015】上金型20は所望のキャビティ上面21を
有し、このキャビティ上面21には表皮表面係止手段と
してのパイプ23を介して図示しない外部の真空吸引装
置に接続される真空吸引孔22が設けられている。
【0016】この上金型20は図示しない駆動装置によ
り不動である下金型10へ可動可能に構成され、下金型
10へ移動することにより型を締めるようになってい
る。また下金型10と上金型20を閉じたときに自動的
にスライドコア30が摺動するように、後に説明するス
ライドコア30に設けたカム面34と摺り合わされるカ
ム面24を有している。
【0017】スライドコア30は左右方向に摺動可能に
下金型10上に設けられるが、金型が開いている初期状
態ではコイルばね33によりキャビティ外側に付勢され
ている。金型を締めるために上金型20が降りてきたと
きに、上金型20のカム面24と摺り合うカム面34を
有し、カム面24とカム面34の摺り合いによりキャビ
ティ側に向かって移動する。
【0018】またスライドコア30はキャビティ空間の
一部をなすキャビティ縁部32を有し、このキャビティ
縁部32上のキャビティ空間の縁より内側の位置に表皮
材保持部31を有す。なお図1では下金型10の左右方
向両側にスライドコア30を設けているが、製品のデザ
インに応じて片方だけを採用したり、或は図面奥行方向
を含めた4方向にスライドコアを設置してもよいことは
勿論である。
【0019】本発明に用いられる表皮材の材質として
は、織布,不織布,ポリオレフィン、塩化ビニル、ナイ
ロン等の熱可塑性樹脂及びポリオレフィン系、ポリエス
テル系、ウレタン系、塩化ビニル系等の熱可塑性エラス
トマーのシート,フィルムが挙げられる。また上記材質
を単独或は2種以上積層したものを表皮材として使用す
ることもできる。
【0020】更にソフトな感触を出すために、表皮材の
裏面にポリプロピレン、ポリエチレン、ウレタン等の発
泡シートを貼合したもの、成形時において溶融樹脂の熱
から保護したり、表皮材と心材層の接着力を強化させる
目的で布、またはシート等を裏面に貼合した積層体を使
用することもできる。これらの表皮材の使用にあたって
は、表皮材の引張応力、伸びを調整するために供給に先
立って予備加熱を行ってもよい。
【0021】本発明に基材として用いられる樹脂は、例
えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、
アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体、ナ
イロン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレンブロッ
ク共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体等
の熱可塑性エラストマー等圧縮成形、射出成形および押
出成形に通常使用されるものをいずれも用いることがで
きる。また、これらに無機質充填剤,ガラス繊維等の充
填剤、顔料、滑剤、帯電防止剤等の添加物を含有したも
のも適宜用いることができる。
【0022】次に、上記構成の成形装置S1の動作につ
いて説明する。まず前記図1のように両型が開いた状態
で所定の寸法に切り出された表皮材Hを設置する。本例
では下金型10の左右両方にスライドコア30があるた
め、表皮材Hの左右両端部はそれぞれ両方のスライドコ
ア30,30の表皮材保持部31,31に挿入され保持
されるが、片方だけスライドコアを有する装置で実施す
る場合、片方の端部をスライドコアに保持させ、他端を
他の保持枠等で保持していてもよい。
【0023】次に図示しない駆動装置を作動し上金型2
0を下金型10に向かって下げて型締めを開始する。あ
る程度型が締まった時点で図2で示すように上金型20
のカム面24とスライドコア30のカム面34が摺り合
うようになり、上金型20の降下に従いスライドコア3
0がキャビティ内側に摺動し移動してくる。このとき図
示しない外部の真空吸引装置に接続されるパイプ23に
つながる真空吸引孔22が、表皮材Hの表面を吸着しキ
ャビティ上面21に係止する。
【0024】そして上金型20が下がりきって型締めが
終了した後、基材となる溶融樹脂Jが図1で説明した供
給ゲート12を介して供給開始され(図3の状態)、キ
ャビティ内全面に溶融樹脂Jを行き渡らせた後、該溶融
樹脂Jに圧力を掛け続けたまま放置・冷却し樹脂Jが硬
化するのを待って型から成形品を取り外す。
【0025】ところで溶融樹脂Jは通常加熱されて溶融
しているので、非常に高温になっている。表皮材Hの材
質によっては熱の影響で収縮するものもあり、また樹脂
Jと表皮材Hの材質の組み合わせによって両者が非常に
吸着しやすいものがあったりする。樹脂は特定の位置の
供給ゲートから供給されるので、上記のような場合先に
樹脂と表皮材が接触した場所に表皮材全体が引き寄せら
れる傾向がある。
【0026】このように表皮材が特定の場所に引き寄せ
られる結果、成形品の特定の場所(樹脂供給ゲートの位
置に依存した)にしわが発生したりするだけでなく、ス
ライドコア30の摺動で表皮端部が折り返されキャビテ
ィ空間を巻き込む前に、表皮材Hがキャビティ内側方向
にすべて引き寄せられて、うまく巻き込みを行えない場
合が出てくる。
【0027】このような場合、上記のように表皮材Hを
係止手段によりキャビティ内面に係止すれば、表皮材お
よび基材となる合成樹脂の材質に拘わらずまたこれらの
組み合わせに拘わらず、表皮材Hのキャビティ内側への
引き込みが防止され、良好にキャビティ空間を巻き込め
るので好適である。更に特定場所にしわが発生するのを
防止する効果も期待できる。
【0028】以上のように本発明により合成樹脂と表皮
材の一体成形時に同時に製品の端末における表皮材の基
材裏面への巻き込み処理が可能になり、後工程での表皮
材の巻き込み処理および接着等の固定処理が不要になっ
た。また型締めを行っている最中表皮材を係止しておく
係止手段を有する構成にすれば、表皮材および基材とな
る合成樹脂の材質に拘わらずまたこれらの組み合わせに
拘わらず、型締めの途中で溶融合成樹脂の熱影響や該合
成樹脂と表皮材の吸着による表皮材の合成樹脂側への引
き込みが防止され、良好に表皮材をキャビティ内の隅に
巻き込むことができ、付随的に表皮材の配置偏り・ずれ
や、しわの発生が防止される。
【0029】<実施例2>図4乃至図6は請求項1およ
び請求項2に係る発明の第2の実施例を説明するもので
あり、図4は表皮材を設置した状態の説明部分断面図、
図5は型締め途中の状態の説明部分断面図、図6は型締
め終了直後の説明部分断面図である。なお本例では前記
実施例と同様部材には同一符号を付してその説明を省略
する。
【0030】本例の装置S2では、前記実施例の装置S
1とはキャビティ上面21に設けた係止手段が異なって
いる。本実施例の係止手段は、コイルばね26と、この
コイルばね26により下向きに付勢されたピン25とか
ら構成されており、ピン25は上下方向に移動可能にな
っている。
【0031】次に、上記構成の成形装置S2の動作につ
いて説明する。まず前記図4のように上金型20と下金
型10が開いた状態で所定の寸法に切り出された表皮材
Hを設置する。本例では装置S2の部分断面図で説明し
ているため表皮材Hの一端部についてのみ図示されてい
るが、図示していない他端を他の保持枠等で保持してい
てもよいし、前実施例と同様にスライドコア30を複数
使用していてもよい。
【0032】上金型20を下金型10に向かって下げて
型締めを開始し、ある程度型が締まった時点で図5で示
すように上金型20のカム面24とスライドコア30の
カム面34が摺り合うようになり、上金型20の降下に
従いスライドコア30がキャビティ内側に摺動し移動し
てくる。このときコイルばね26に付勢されたピン25
の先端が、表皮材Hの表面に接触する。このまま上金型
20を下降していくと、ピン25の先端と下型10のキ
ャビティ下面11との間に表皮材Hが挟まれてその位置
に表皮材Hが係止される。
【0033】そして上金型20が下がりきって型締めが
終了した後、基材となる溶融樹脂Jが図1で説明した供
給ゲート12を介して供給開始され(図6の状態)、キ
ャビティ内全面に溶融樹脂Jを行き渡らせる。このとき
ピン25は溶融樹脂Jの圧力でコイルばね26の押出し
力にうち勝って、上金型20の中に押し戻されキャビテ
ィ上面21と面一となる。その後、該溶融樹脂Jに圧力
を掛け続けたまま放置・冷却し樹脂Jが硬化するのを待
って型から成形品を取り外す。
【0034】本実施例において、上記のように表皮材H
が係止手段によりキャビティ内面に係止されるので表皮
材Hのキャビティ内側への引き込みが防止され、良好に
キャビティ空間を巻き込めるので好適である。更に特定
場所にしわが発生するのを防止する効果も期待できる。
また、コイルばね26とピン25を設けることは上金型
20の手直しのみで済むため、真空吸引装機等の特別な
外部の装置を必要とせず従来装置の大掛かりな手直しな
しに実施可能である。
【0035】<実施例3>図7乃至図11は請求項3に
係る発明の実施例を示し、図7は表皮材を設置した状態
の説明部分断面図、図8は型締め途中の状態の説明部分
断面図、図9は型締め終了直後の説明部分断面図、図1
0は表皮材保持部の型締め途中の説明部分断面図、図1
1は表皮材保持部の型締め終了時の説明部分断面図であ
る。なお本例では前記実施例と同様部材には同一符号を
付してその説明を省略する。
【0036】本例の装置S3では、前記実施例1の装置
S1とはスライドコア30に設けた表皮材保持部35の
部分が異なっており、表皮切断手段を兼ねた構造となっ
ている。図10にその部分拡大図を示すが、表皮保持部
35は、引張ばね36によりスライドコア30に対し摺
動可能に設けた挟持部材35aと、この挟持部材35a
に設けた刃部35bと、スライドコア側に設けた刃部3
5cから構成され、挟持部材35aは弱い引張応力でス
ライドコア30側に付勢されている。表皮材Hは刃部3
5bと刃部35cとで挟まれ、引張ばね36の引張力で
表皮材セット時並びに型締めの途中で保持される。そし
て、型締めが終了した図11の状態になったとき、挟持
部材35aはスライドコア30と下金型10の間に挟ま
れ強い力でスライドコア30側に押し付けられる結果、
刃部35bと刃部35cが表皮材Hを食い切り表皮材H
の余りの部分が切断される。
【0037】次に、上記構成の成形装置S3の動作につ
いて説明する。まず前記図7のように上金型20と下金
型10が開いた状態で所定の寸法に切り出された表皮材
Hを設置する。本例では装置S3の部分断面図で説明し
ているため表皮材Hの一端部についてのみ図示されてい
るが、図示していない他端を他の保持枠等で保持してい
てもよいし、前記実施例1と同様にスライドコア30を
複数使用していてもよい。
【0038】次に図示しない駆動装置を作動し上金型2
0を下金型10に向かって下げて型締めを開始する。あ
る程度型が締まった時点で図8で示すように上金型20
のカム面24とスライドコア30のカム面34が摺り合
うようになり、上金型20の降下に従いスライドコア3
0がキャビティ内側に摺動し移動してくる。このとき図
示しない外部の真空吸引装置に接続されるパイプ23に
つながる真空吸引孔22が、表皮材Hの表面を吸着しキ
ャビティ上面21に係止する。
【0039】そして上金型20が下がりきって型締めが
終了し、同時に図11の説明のように表皮保持部35で
刃部35b,35cにより表皮の切断がなされる。その
後、基材となる溶融樹脂Jが図示しない供給ゲートを介
して供給開始され(図9の状態)、キャビティ内全面に
溶融樹脂Jを行き渡らせた後、該溶融樹脂Jに圧力を掛
け続けたまま放置・冷却し樹脂Jが硬化するのを待って
型から成形品を取り外す。
【0040】以上のように本発明により合成樹脂と表皮
材の一体成形時に同時に製品の端末における表皮材の基
材裏面への巻き込み処理だけでなく余った表皮材の切断
処理も可能になり、後工程での表皮材の巻き込み処理、
接着等の固定処理、並びに表皮切断処理が不要になっ
た。また型締めを行っている最中表皮材を係止しておく
係止手段を有する構成にすれば、表皮材および基材とな
る合成樹脂の材質に拘わらずまたこれらの組み合わせに
拘わらず、型締めの途中で溶融合成樹脂の熱影響や該合
成樹脂と表皮材の吸着による表皮材の合成樹脂側への引
き込みが防止され、良好に表皮材をキャビティ内の隅に
巻き込むことができ、付随的に表皮材の配置偏り・ずれ
や、しわの発生が防止される。
【0041】<実施例4>図12乃至図14は請求項3
に係る発明の他の実施例を説明するものであり、図12
は表皮材を設置した状態の説明部分断面図、図13は型
締め途中の状態の説明部分断面図、図14は型締め終了
直後の説明部分断面図である。なお本例では前記実施例
と同様部材には同一符号を付してその説明を省略する。
【0042】本例の装置S4では、前記実施例の装置S
3とはキャビティ上面21に設けた係止手段が異なって
いる。本実施例の係止手段は、コイルばね26と、この
コイルばね26により下向きに付勢されたピン25とか
ら構成されており、ピン25は上下方向に移動可能にな
っている。
【0043】次に、上記構成の成形装置S4の動作につ
いて説明する。まず図12のように上金型20と下金型
10が開いた状態で所定の寸法に切り出された表皮材H
を設置する。本例では装置S4の部分断面図で説明して
いるため表皮材Hの一端部についてのみ図示されている
が、図示していない他端を他の保持枠等で保持していて
もよいし、前実施例と同様にスライドコア30を複数使
用していてもよい。
【0044】上金型20を下金型10に向かって下げて
型締めを開始し、ある程度型が締まった時点で図13で
示すように上金型20のカム面24とスライドコア30
のカム面34が摺り合うようになり、上金型20の降下
に従いスライドコア30がキャビティ内側に摺動し移動
してくる。このときコイルばね26に付勢されたピン2
5の先端が、表皮材Hの表面に接触する。このまま上金
型20を下降していくと、ピン25の先端と下型10の
キャビティ下面11との間に表皮材Hが挟まれてその位
置に表皮材Hが係止される。
【0045】そして上金型20が下がりきって型締めが
終了した後、基材となる溶融樹脂Jが図示しないした供
給ゲートを介して供給開始され(図14の状態)、キャ
ビティ内全面に溶融樹脂Jを行き渡らせる。このときピ
ン25は溶融樹脂Jの圧力でコイルばね26の押出し力
にうち勝って、上金型20の中に押し戻されキャビティ
上面21と面一となる。その後、該溶融樹脂Jに圧力を
掛け続けたまま放置・冷却し樹脂Jが硬化するのを待っ
て型から成形品を取り外す。
【0046】本実施例において、上記のように表皮材H
が係止手段によりキャビティ内面に係止されるので表皮
材Hのキャビティ内側への引き込みが防止され、良好に
キャビティ空間を巻き込めるので好適である。また一体
成形時に同時に製品の端末における表皮材の基材裏面へ
の巻き込み処理だけでなく余った表皮材の切断処理も可
能になり、後工程での表皮材の巻き込み処理、接着等の
固定処理、並びに表皮切断処理が不要になった。更に特
定場所にしわが発生するのを防止する効果も期待でき
る。
【0047】また、コイルばね26とピン25を設ける
ことは上金型20の手直しのみで済むため、真空吸引装
機等の特別な外部の装置を必要とせず従来装置の大掛か
りな手直しなしに実施可能である。
【0048】以上それぞれの実施例について説明した
が、いずれの実施例においても、基材となる溶融樹脂の
供給を型締め後に開始しているが、型締めの途中で供給
を開始してもよいし、或は型締め開始の前に特定量の溶
融樹脂を予めキャビティ面に供給しておいて、型締めの
圧力を利用して成形を行うようにしてもよい。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、表皮材が第1のキャビ
ティ面側、溶融合成樹脂が第2のキャビティ面側に配さ
れ、スライドコアが前記表皮材端部をキャビティ空間の
縁より内側で保持する表皮材保持部を有するので、表皮
材は金型が型締めされキャビティが閉じる際にキャビテ
ィ空間を巻き込むように配置され、最終的に溶融合成樹
脂を巻き込む形になり、この状態で表皮材と合成樹脂を
加圧、冷却するので、合成樹脂と表皮材の一体成形時に
同時に製品の端末における表皮材の基材裏面への巻き込
み処理が可能になり、後工程での表皮材の巻き込み処理
および接着等の固定処理が不要にすることができる。
【0050】また請求項2のように第1の金型のキャビ
ティ面に、表皮材表面を型締めを行っている最中係止し
ておく係止手段を有する構成にすれば、型締めの途中
で、溶融合成樹脂の熱影響や該合成樹脂と表皮材の吸着
による表皮材の合成樹脂側への引き込みが防止され、良
好に表皮材をキャビティ内の隅に巻き込むことができ、
付随的に表皮材の配置偏り・ずれや、しわの発生が防止
される。
【0051】更に請求項3のように表皮材保持部は、第
1と第2の金型の型締め終了時に保持された表皮部分を
切断する表皮切断手段を兼ねる構成にすると、表皮材の
基材裏面への巻き込み処理と余った表皮材のカッティン
グ処理が同時に行うことができ、加工後の後工程が全く
不要になり作業効率をより高めることができる。
【0052】以上のように本発明によれば、表皮を有す
る成形品の端末部に良好な外観を与え、成形後の後処理
を最小限にして作業効率を高め低コスト化・省力化する
ことができ、接着剤の使用を不要にして無溶剤化をはか
り作業環境を改善することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施例1の表皮材を設置した状態
の装置全体説明断面図
【図2】実施例1の型締め途中の状態の説明部分断面図
である。
【図3】実施例1の型締め終了直後の説明部分断面図で
ある。
【図4】実施例2の表皮材を設置した状態の説明部分断
面図である。
【図5】実施例2の型締め途中の状態の説明部分断面図
である。
【図6】実施例2の型締め終了直後の説明部分断面図で
ある。
【図7】実施例3の表皮材を設置した状態の説明部分断
面図である。
【図8】実施例3の型締め途中の状態の説明部分断面図
である。
【図9】実施例3の型締め終了直後の説明部分断面図で
ある。
【図10】実施例3の表皮材保持部の型締め途中の説明
部分断面図である。
【図11】実施例3の表皮材保持部の型締め終了時の説
明部分断面図である。
【図12】実施例4の表皮材を設置した状態の説明部分
断面図である。
【図13】実施例4の型締め途中の状態の説明部分断面
図である。
【図14】実施例4の型締め終了直後の説明部分断面図
である。
【図15】従来例を示す装置断面図である。
【図16】従来例を示す表皮巻き返し説明図である。
【図17】従来例を示す製品端末部分断面図である。
【符号の説明】
10 下金型 11 キャビティ下面 12 溶融樹脂供給ゲート 20 上金型 21 キャビティ上面 22 真空吸引孔 24、34 カム面 25 ピン 30 スライドコア 31、35 表皮材保持部 32 キャビティ縁部 35a 挟持部材 35b、35c 刃部 S1、S2、S3、S4 成形装置 H 表皮材 J 合成樹脂

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1のキャビティ面をなす第1の金型
    と、対向する第2のキャビティ面をなす第2の金型と、
    該第2の金型上で摺動可能で少なくとも第2のキャビテ
    ィ面縁部をなすスライドコアから形成されてなるキャビ
    ティ空間に表皮材と基材となる溶融合成樹脂を供給し、
    加圧、冷却して基材の表面に表皮材が一体に接合された
    多層形成品を成形する成形装置において、前記表皮材は
    前記第1のキャビティ面側、合成樹脂は前記第2のキャ
    ビティ面側に配され、前記スライドコアは前記表皮材端
    部を前記キャビティ空間の縁より内側で保持する表皮材
    保持部を有し、前記第1と第2の金型が型締めされる際
    に表皮材がキャビティ空間を巻き込むようにしてキャビ
    ティ側に摺動し、前記第1および第2の金型とスライド
    コアにより形成されたキャビティ空間内で表皮材と合成
    樹脂を加圧、冷却することを特徴とする成形装置。
  2. 【請求項2】 前記第1の金型は、型締め時にキャビテ
    ィ空間を形成するキャビティ面に、前記表皮材表面を型
    締めを行っている最中係止しておく係止手段を有するこ
    とを特徴とする請求項1記載の成形装置。
  3. 【請求項3】 前記表皮材保持部は、前記第1と第2の
    金型の型締め終了時に保持された表皮部分を切断する表
    皮切断手段を兼ねることを特徴とする請求項1,2記載
    の成形装置。
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