JPH07193375A - フィルム付きセラミックグリーンシートの加工方法 - Google Patents

フィルム付きセラミックグリーンシートの加工方法

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JPH07193375A
JPH07193375A JP5332103A JP33210393A JPH07193375A JP H07193375 A JPH07193375 A JP H07193375A JP 5332103 A JP5332103 A JP 5332103A JP 33210393 A JP33210393 A JP 33210393A JP H07193375 A JPH07193375 A JP H07193375A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 セラミックグリーンシートを支持するフィル
ムに損傷を与えることなくシートのみに所定のスルーホ
ールを形成できる加工方法を提供すること。 【構成】 一面をフィルムFで支持された積層型電子部
品用のセラミックグリーンシートSに照射するレーザ光
として出力W1及びパルス幅τで決定されるノーマルパ
ルスのものを使用し、上記の出力W1とパルス幅τの値
をこれらの積がスルーホール体積に相当するシート材料
分を溶融,気化可能な熱量と等しくなるように設定する
と共に、上記のパルス幅τの値をフィルムF温度がその
溶融温度に到達しない時間範囲で制限しているので、貫
通不良やかす残留等を生じることなく、しかもスルーホ
ールH下のフィルムFに凹凸や窪み等のダメージを生じ
ることなくシートSのみに所定のスルーホールHを形成
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、積層チップインダクタ
等の積層型電子部品の製造に用いられるセラミックグリ
ーンシートに所定数のスルーホールを形成する加工方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】コイル導体を内蔵する積層チップインダ
クタ,積層トランス,LC複合部品等の積層型電子部品
は、その製造において、コイル用導体パターン形成前の
セラミックグリーンシート(本覧及び次欄では単にシー
トと言う)に該導体パターンを該シートを介して相互に
接続するためのスルーホールを形成する工程を必要とす
る。
【0003】上記の工程は通常パンチング、詳しくはパ
ンチを有する昇降自在な上型と該パンチに対応するダイ
を有する下型との間にシートを介装し、上型の降下によ
りパンチ径に合致した孔(スルーホール)をシートに貫
通形成することで実施されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のパンチング
は基本的にパンチによって貫通孔を形成するものである
ため、フィルム付きシート、詳しくはPET等から成る
可撓性フィルムの一面にセラミックスラリーを塗工して
形成したシートを加工対象とすると、シートを支持する
フィルムにもスルーホール同等孔が同時に形成されてし
まう。
【0005】つまり、スルーホール形成後の導体パター
ン形成工程でシート上に導電ペーストを印刷する際に該
ペーストがスルーホールのみならずフィルムのスルーホ
ール同等孔まで充填されてしまい、その後のシート積層
工程でシートからフィルムを剥離する際にスルーホール
内の導電ペーストがフィルム側に引き込まれて脆弱なシ
ートに破損を生じたり、スルーホール内のペースト量が
減少して導体パターン相互の接続が満足に行えなくなる
等の問題を生じる。
【0006】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、シートを支持するフィル
ムに損傷を与えることなくシートのみに所定のスルーホ
ールを形成できる加工方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1の発明は、一面をフィルムで支持された積
層型電子部品用のセラミックグリーンシートにシート側
からレーザ光を所定形状で照射して、照射レーザ光の形
状に合致したスルーホールをセラミックグリーンシート
に形成する加工方法であって、照射レーザ光として出力
及びパルス幅で決定されるノーマルパルスのものを使用
し、上記の出力とパルス幅の値をこれらの積がスルーホ
ール体積に相当するシート材料分を溶融,気化可能な熱
量と等しくなるように設定すると共に、上記のパルス幅
の値をフィルム温度がその溶融温度に到達しない時間範
囲で制限したことを特徴としている。
【0008】請求項2の発明は、請求項1記載の加工方
法において、照射レーザ光の外周部のエネルギー値が中
心部よりも小さいことを特徴としている。
【0009】
【作用】請求項1の発明では、フィルム付きセラミック
シートのシート側にノーマルパルスのレーザ光を照射す
ることにより、該照射レーザ光の形状に合致したスルー
ホールをセラミックグリーンシートに形成する。照射レ
ーザ光の出力とパルス幅の値をこれらの積(エネルギ
ー)がスルーホール体積に相当するシート材料分を溶
融,気化可能な熱量と等しくなるように設定しているの
で、貫通不良やかす残留等を生じることがない。しか
も、パルス幅の値をフィルム温度がその溶融温度に到達
しない時間範囲で制限しているので、スルーホール下の
フィルムに凹凸や窪み等のダメージを生じることもな
い。
【0010】請求項2の発明では、請求項1と同様の作
用が得られる他、照射レーザ光の外周部のエネルギー値
が中心部よりも小さいので、スルーホール内周部分の溶
融,気化を抑制してスルーホール断面積を下方に向けて
小さくできる。
【0011】
【実施例】図1には本発明の実施に好適な加工装置の概
略構成を示してある。同図において、1はレーザ光源、
2はマスク、3は結像用レンズ、4はXYテーブル、、
5はレーザ駆動回路、6はテーブル駆動回路、7は加工
制御用プログラムを内蔵したマイクロコンピュータ構成
の制御回路、Rはレーザ光、Sはセラミックグリーンシ
ート(以下、本欄では単にシートと言う)である。
【0012】レーザ光源1はパルス発振のYAGレーザ
で、駆動回路5からの駆動信号によって図2に示すよう
なノーマルパルス発振をし該発振に伴うレーザ光Rを出
力する。レーザ光Rの1ショット当たりの出力ピーク値
W1及びパルス幅τについては後に詳述する。
【0013】マスク2はガラス質の板材から成り、図3
に示すようにスルーホールに対応する透光部2a、例え
ば光透過を許容する透明或いは半透明部分や孔等を有し
ている。同図に1点鎖線で示すように上記レーザ光源1
からのレーザ光Rはマスク2の透光部2aよりも大径で
あり、該透光部2aを通過した光のみがレンズ3に入射
する。透光部2aの形状は基本的には形成しようとする
スルーホールと相似形であるが、該透光部2aの形状は
シートSに対する実際の照射形状に基づいて決定してよ
い。
【0014】この加工装置では、図1中に1点鎖線で示
すようにレーザ光源1から発振されたレーザ光Rをマス
ク2に照射し、該マスク2の透光部2aを通過した光を
レンズ3で集光して所定の結像比でシートSに照射する
ことが可能であり、該結像比(照射形状の大きさ)をレ
ンズ位置によって適宜調整することができる。図4に示
すように、レーザ光Rの照射形状はスルーホールHに合
致した形状を有しており、該照射によりシートSの照射
部分が溶融,気化して所定のスルーホールHが形成され
る。
【0015】XYテーブル4はシートSを照射光の光軸
と直交する平面で支持し、駆動回路7からの駆動信号に
よって該シートSをXY方向に移動させることができ
る。このXYテーブル4はX・Y夫々の方向に対応する
モータ及び位置検出器を備えており、そのテーブル移動
位置を駆動回路7によって閉ループ制御される。
【0016】シートSは未焼成のセラミック薄層から成
り、図4に示すようにその下面をPET等の可撓性フィ
ルムFで支持されている。このシートSは所定成分のセ
ラミックスラリーをドクターブレード法等によりフィル
ムFの上面に数十μmの厚みで塗工することで形成され
たもので、スルーホール形成後の導体パターン形成工程
でその上面に導電ペーストを所定のパターンで印刷さ
れ、この後のシート積層工程でフィルムFを剥離され
る。
【0017】次に、上記加工装置における加工動作を図
5及び図6を参照して説明する。加工に際しては吸着ヘ
ッド等を利用してフィルムF付きのシートSを搬送し、
シートSを上に向けてXYテーブル4上に所定の向き
(XYテーブル4のXY軸とシートSの2辺が平行とな
る向き)で載置する。
【0018】シートSを載置した後は、XYテーブル4
を適宜移動させて作業開始位置を決定する位置決めを行
う(図6のステップST1)。この位置決めはシートS
の辺或いは角をセンシングし、該シートSの所定部分が
照射光の光軸下に位置するようにXYテーブル4を移動
させることによって行われるが、該位置決めにθ方向の
補正が必要な場合にはXYテーブル4に変えて同方向の
変位が可能なXYθテーブルを利用するとよい。
【0019】位置決め後は、シートSを図5の+X方向
に一定速度で移動させ(図6のステップST2)、同方
向の移動量が最初の穴開け位置に達したところで移動中
のシートSに向かってノーマルパルスのレーザ光Rを1
ショットだけ照射して該シートSにスルーホールHを形
成する(図6のステップST3,ST4)。この後も所
定の移動量毎にレーザ光Rを1ショット宛断続的に照射
して、シートSのX方向にN個(図5では5個)のスル
ーホールHを形成する(図6のステップST5,ST
6)。
【0020】X方向にN個のスルーホールHを形成した
後は、同位置からシートSを図5の+Y方向に所定距離
移動させ(図6のステップST8)、今度は−X方向に
一定速度で移動させながら断続的にレーザ光Rを照射し
て同方向にもN個のスルーホールHを形成し、上記手順
を繰り返して図5に2点鎖線で示す経路で所定数(図5
では20個)のスルーホールHをシートSに形成する。
勿論、スルーホールHの形成経路は図示例以外の経路で
あってもよい。
【0021】レーザ光Rのパルス幅τはμsまたはms
のオーダーで上記のスルーホール形成は瞬時で完了する
ため、穴開けの度にシートSを停止させる必要ななく、
シートSを連続的に移動させながら所定数のスルーホー
ルHを順次形成することができる。シートSに所定数の
スルーホールHを形成した後はテーブルを停止して一連
の加工を終了する(図6のステップST7,ST9)。
【0022】ここで、上記レーザ光Rの出力ピーク値W
1及びパルス幅τについて図7乃至図10を参照して説
明する。以下の説明では便宜上、レーザ光源1から発振
されたレーザ光R全てがシートSに照射されることを前
提とするが、上記の加工装置では発振レーザ光Rの一部
がマスク通過の際に反射等によって除去されてしまうた
め、実際の出力ピーク値W1はこの除去分を適宜増加補
正して決定される。
【0023】スルーホール体積(シート厚み×ホール断
面積)に相当するシート材料の質量をm、気化するまで
のシート材料の比熱をCv、室温〜気化温度までの変化
分を△T、気化潜熱をEvとすると、シートSにスルー
ホールHを形成する際に要する熱量Qh、換言すればス
ルーホールHの体積に相当するシート材料分を溶融,気
化可能な熱量Qhは、Qh=m(Cv・△T+Ev)の
式で求められる。
【0024】一方、レーザ光Rの1ショットで得られる
熱量QrはQr=W1×τの式で求めることができるの
で、基本的には前者の熱量Qhを予め算出しこの値と後
者の熱量Qrの値が等しくなるように出力ピーク値W1
とパルス幅τを決定すれば、貫通不良やかす残留等を生
じることなくスルーホールHをシートSに形成できるこ
とになる。
【0025】しかし、上記のW1とτの値はその積が単
に上記熱量Qhと等しくなればよいと言うわけではな
く、W1の値を極端に小さくしその分τの値を大きくす
ると、フィルムFの温度Tが大きく上昇して溶融温度T
mに達し、図7に示すように該フィルムFに凹凸や窪み
等のダメージFaを生じてしまう。
【0026】フィルムFにダメージFaを生じると、導
体パターン形成工程でシートS上に導体パターンPとな
る導電ペーストを印刷する際に、該ペーストがスルーホ
ールHのみならずフィルムFのダメージFa部分にまで
充填され(図8(a)参照)、シート積層工程でシート
SからフィルムFを剥離する際に、スルーホールH内の
充填ペーストがフィルムF側に引き込まれて脆弱なシー
トに破損を生じたり、スルーホールH内のペースト量が
減少して導体パターンP相互の接続が満足に行えなくな
る(図8(b)参照)。
【0027】適正なW1とτの値は各値を変化させなが
ら実験を繰り返すことで選定されるが、フィルムFの温
度Tが溶融温度Tmに到達する前にレーザ光照射が完了
するようにτの値を制限すれば、図9に示すようにスル
ーホールH下のフィルムFに凹凸や窪み等のダメージを
生じることなく所定のスルーホールHをシートSに的確
に形成することができる。
【0028】この場合は、導体パターン形成工程で導体
パターンPを印刷する際に導電ペーストをスルーホール
Hに確実に充填することができ(図10(a)参照)、
その後のシート積層工程におけるフィルムFの剥離をシ
ート破損やペースト残留を生じることなく良好に行うこ
とができる(図10(b)参照)。
【0029】尚、フィルム剥離時における充填ペースト
の引き込み力を軽減するには、スルーホール断面積を下
方に向けて小さくしフィルム側開口面積を他側よりも小
さくするとよく、例えば図11に示すようにスルーホー
ルHの内面にテーパHaを設けて該スルーホールHを逆
円錐台状にすれば引き込み力に対する抵抗を増加させる
ことが可能となる。
【0030】先に述べた加工方法でこのようなスルーホ
ールHを形成する場合には、シートSに照射されるレー
ザ光Rに図12に示すようなエネルギー分布、つまり中
心部よりも外周部のエネルギー値が小さくしてスルーホ
ール内周部分の溶融,気化を抑制できるようにするとよ
く、これを実現する方法としてはマスク2の透光部2a
が孔の場合にはその内周面に凹凸等を設けたり、または
透光部2aが透明或いは半透明部分の場合には同部分の
外周部にレーザ光透過を制御するグラデーション、例え
ば材質変化や表面凹凸等を設けてレーザ光外周部分の通
過光量を弱める方法等が挙げられる。
【0031】また、1つのスルーホールHを複数回のシ
ョットで形成するような場合には、図13に示すように
孔径r1,r2,r3が異なる複数のマスク孔2a1 ,
2a2 ,2a3 を用意して1ショット毎に孔径を徐々に
小さくしたり、或いはレーザ光の結像比をレンズ位置に
より変化させてその照射形状を1ショット毎に徐々に小
さくしていけば、加工径を段階的に小さくしてスルーホ
ール断面積を下方に向けて小さくすることができる。
【0032】上記実施例では、シートに対するレーザ光
の照射位置を変化させる手段としてXYテーブルを示し
たが、光学系にガルバノミラーを使用し該ミラーの角度
変化でレーザ光の照射位置を変化させるようにしてもよ
い。
【0033】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1の発明に
よれば、貫通不良やかす残留等を生じることなく、しか
もスルーホール下のフィルムに凹凸や窪み等のダメージ
を生じることなくセラミックグリーンシートのみに所定
のスルーホールを形成することができる。これにより、
スルーホール形成後の導体パターン形成工程におけるス
ルーホール内へのペースト充填が適正化されると共に、
その後のシート積層工程におけるシート破損やペースト
残留の問題が排除されて、積層型電子部品の生産性が大
きく向上する。
【0034】請求項2の発明によれば、スルーホール内
周部分の溶融,気化を抑制してスルーホール断面積を下
方に向けて小さくすることができ、これによりフィルム
剥離時における充填ペーストの引き込み力が軽減されて
上記のペースト残留がより確実に防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】加工装置の概略構成を示す図
【図2】レーザ発振形態を示す図
【図3】レーザ光のマスク通過作用を示す図
【図4】レーザ光による穴開け作用を示す図
【図5】スルーホール形成経路を示す図
【図6】加工制御のフローチャート
【図7】レーザ発振形態及び加工状態を示す図
【図8】導体パターン形成状態及びフィルム剥離状態を
示す図
【図9】レーザ発振形態及び加工状態を示す図
【図10】導体パターン形成状態及びフィルム剥離状態
を示す図
【図11】スルーホールの他の形状例を示す図
【図12】レーザ光のエネルギー分布を示す図
【図13】レーザ光の他の照射方法を示す図
【符号の説明】
1…レーザ光源、2…マスク、2a…透光部、3…レン
ズ、4…XYテーブル、5…レーザ駆動回路、6…テー
ブル駆動回路、7…制御回路、R…レーザ光、W1…出
力ピーク値、τ…パルス幅、S…セラミックグリーンシ
ート、H…スルーホール、F…フィルム、Fa…ダメー
ジ、P…導体パターン。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B23K 26/00 330 C04B 41/91 E H01F 17/00 D 8123−5E H05K 3/00 N

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一面をフィルムで支持された積層型電子
    部品用のセラミックグリーンシートにシート側からレー
    ザ光を所定形状で照射して、照射レーザ光の形状に合致
    したスルーホールをセラミックグリーンシートに形成す
    る加工方法であって、 照射レーザ光として出力及びパルス幅で決定されるノー
    マルパルスのものを使用し、 上記の出力とパルス幅の値をこれらの積がスルーホール
    体積に相当するシート材料分を溶融,気化可能な熱量と
    等しくなるように設定すると共に、 上記のパルス幅の値をフィルム温度がその溶融温度に到
    達しない時間範囲で制限した、 ことを特徴とするフィルム付きセラミックグリーンシー
    トの加工方法。
  2. 【請求項2】 照射レーザ光の外周部のエネルギー値が
    中心部よりも小さい、 ことを特徴とする請求項1記載のフィルム付きセラミッ
    クグリーンシートの加工方法。
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