JPH07188821A - 低温での焼付硬化性に優れた高成形性アルミニウム合金合わせ板 - Google Patents
低温での焼付硬化性に優れた高成形性アルミニウム合金合わせ板Info
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- JPH07188821A JPH07188821A JP33246393A JP33246393A JPH07188821A JP H07188821 A JPH07188821 A JP H07188821A JP 33246393 A JP33246393 A JP 33246393A JP 33246393 A JP33246393 A JP 33246393A JP H07188821 A JPH07188821 A JP H07188821A
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- B32—LAYERED PRODUCTS
- B32B—LAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
- B32B15/00—Layered products comprising a layer of metal
- B32B15/01—Layered products comprising a layer of metal all layers being exclusively metallic
- B32B15/016—Layered products comprising a layer of metal all layers being exclusively metallic all layers being formed of aluminium or aluminium alloys
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 時効硬化性の大きいAl−Zn−Mg系合金
の両面に、低Mg濃度のAl−Mg系合金をクラッドす
ることにより、140〜150℃という比較的低温での
焼付硬化性および成形加工性に優れたアルミニウム合金
合わせ板を得る。 【構成】 重量%で、3.5〜8.0%のZn、0.5
〜3.0%のMgを含有するAl−Zn−Mg系合金を
芯材、0.7〜1.6%のMgを含有するAl−Mg系
合金を皮材とし、かつ、皮材の厚さを片面について全板
厚の3〜20%として、芯材の両面にクラッドする。こ
れによって、低温での優れた焼付硬化性および良好な成
形加工性が得られる。なお、芯材のAl−Zn−Mg系
合金には0.3〜3.0%のCuおよび少量のMn,C
r,Fe,Si,V,Zr,Tiなど、皮材のAl−M
g系合金には少量のZn,Mn,Cr,Fe,Si,
V,Zr,Tiなどの特定元素を含有できる。
の両面に、低Mg濃度のAl−Mg系合金をクラッドす
ることにより、140〜150℃という比較的低温での
焼付硬化性および成形加工性に優れたアルミニウム合金
合わせ板を得る。 【構成】 重量%で、3.5〜8.0%のZn、0.5
〜3.0%のMgを含有するAl−Zn−Mg系合金を
芯材、0.7〜1.6%のMgを含有するAl−Mg系
合金を皮材とし、かつ、皮材の厚さを片面について全板
厚の3〜20%として、芯材の両面にクラッドする。こ
れによって、低温での優れた焼付硬化性および良好な成
形加工性が得られる。なお、芯材のAl−Zn−Mg系
合金には0.3〜3.0%のCuおよび少量のMn,C
r,Fe,Si,V,Zr,Tiなど、皮材のAl−M
g系合金には少量のZn,Mn,Cr,Fe,Si,
V,Zr,Tiなどの特定元素を含有できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は低温での焼付硬化性に優
れ、自動車ボディパネルをはじめ、車両、電気機器、建
築用等の材料に適した高成形性アルミニウム合金合わせ
板に関する。
れ、自動車ボディパネルをはじめ、車両、電気機器、建
築用等の材料に適した高成形性アルミニウム合金合わせ
板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車のボディシートなどの
材料には主として冷延鋼板が用いられることが多かっ
た。しかしながら、最近では車体軽量化の要求からアル
ミニウム合金板を使用することが検討され、一部使用さ
れている。自動車のボディシートは、プレス成形性に優
れるばかりでなく、耐食性、焼付塗装後の強度などにも
優れることが要求される。
材料には主として冷延鋼板が用いられることが多かっ
た。しかしながら、最近では車体軽量化の要求からアル
ミニウム合金板を使用することが検討され、一部使用さ
れている。自動車のボディシートは、プレス成形性に優
れるばかりでなく、耐食性、焼付塗装後の強度などにも
優れることが要求される。
【0003】これまで自動車ボディシート用アルミニウ
ム合金としてはJISA5052,JISA5182,
特開昭62−27544号公報,特公昭62−4298
5号公報などの合金で代表されるAl−Mg系合金、A
A2036などで代表されるAl−Cu系合金、および
AA6009,AA6010などで代表されるAl−M
g−Si系合金が用いられている。また、特開昭63−
262442号公報,特開平1−287244号公報な
どで代表される各種アルミニウム合金の組み合わせによ
るアルミニウム合金合わせ板も提案されている。これら
のうち、Al−Cu系合金やAl−Mg−Si系合金は
時効硬化性を有しているため、焼付塗装によって高強度
が得られ、耐デント性に優れている。しかしながら、こ
れらの合金の析出温度は比較的高温であり、大きな焼付
硬化量を得るためには170〜200℃の温度で5時間
以上の時効処理が必要である。
ム合金としてはJISA5052,JISA5182,
特開昭62−27544号公報,特公昭62−4298
5号公報などの合金で代表されるAl−Mg系合金、A
A2036などで代表されるAl−Cu系合金、および
AA6009,AA6010などで代表されるAl−M
g−Si系合金が用いられている。また、特開昭63−
262442号公報,特開平1−287244号公報な
どで代表される各種アルミニウム合金の組み合わせによ
るアルミニウム合金合わせ板も提案されている。これら
のうち、Al−Cu系合金やAl−Mg−Si系合金は
時効硬化性を有しているため、焼付塗装によって高強度
が得られ、耐デント性に優れている。しかしながら、こ
れらの合金の析出温度は比較的高温であり、大きな焼付
硬化量を得るためには170〜200℃の温度で5時間
以上の時効処理が必要である。
【0004】一方、最近の塗装焼付技術の進展に伴っ
て、焼付処理は低温・短時間化の傾向にある。現状で
は、170〜200℃の間で20〜30分の処理を行う
のが一般的であり、このような焼付条件では、必ずしも
上記合金の焼付硬化性を十分に発揮しているとは言えな
い。さらに、焼付処理温度は、今後、ますます低温化す
る方向にあり、140〜150℃の焼付温度でも十分な
焼付硬化量の得られることが求められている。このよう
な焼付条件になると、上記のAl−Cu系合金やAl−
Mg−Si系合金ではもはや大きな焼付硬化量を得るこ
とが難しく、十分な強度上昇は望めない。このように、
将来の自動車のボディシート用アルミニウム合金板に
は、成形性および耐食性に優れるばかりでなく、150
℃以下の焼付塗装条件でも十分な強度を有することが求
められている。
て、焼付処理は低温・短時間化の傾向にある。現状で
は、170〜200℃の間で20〜30分の処理を行う
のが一般的であり、このような焼付条件では、必ずしも
上記合金の焼付硬化性を十分に発揮しているとは言えな
い。さらに、焼付処理温度は、今後、ますます低温化す
る方向にあり、140〜150℃の焼付温度でも十分な
焼付硬化量の得られることが求められている。このよう
な焼付条件になると、上記のAl−Cu系合金やAl−
Mg−Si系合金ではもはや大きな焼付硬化量を得るこ
とが難しく、十分な強度上昇は望めない。このように、
将来の自動車のボディシート用アルミニウム合金板に
は、成形性および耐食性に優れるばかりでなく、150
℃以下の焼付塗装条件でも十分な強度を有することが求
められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、150℃以
下の低温・短時間の塗装焼付処理でも60N/mm2 以
上の焼付硬化量が得られ、かつ成形加工性および耐食性
に優れた自動車のボディシート用アルミニウム合金板を
提供することを目的としたものである。
下の低温・短時間の塗装焼付処理でも60N/mm2 以
上の焼付硬化量が得られ、かつ成形加工性および耐食性
に優れた自動車のボディシート用アルミニウム合金板を
提供することを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は、時
効硬化型アルミニウム合金の中で比較的析出温度が低
く、低温・短時間の加熱でも強度上昇の期待できるAl
−Zn−Mg−(Cu)系合金に注目し、本系合金の成
形加工性および耐食性を改善する方法を種々検討した結
果、この合金を芯材とし、これに成形加工性および耐食
性に優れた低Mg濃度のAl−Mg系合金を皮材として
クラッドすることによって上記目的を達成できることを
見い出し、本発明をなすに至ったものである。
効硬化型アルミニウム合金の中で比較的析出温度が低
く、低温・短時間の加熱でも強度上昇の期待できるAl
−Zn−Mg−(Cu)系合金に注目し、本系合金の成
形加工性および耐食性を改善する方法を種々検討した結
果、この合金を芯材とし、これに成形加工性および耐食
性に優れた低Mg濃度のAl−Mg系合金を皮材として
クラッドすることによって上記目的を達成できることを
見い出し、本発明をなすに至ったものである。
【0007】すなわち、本発明は、 (1)重量%で、Zn:3.5〜8.0%、Mg:0.
5〜3.0%を含有し、残部がAlおよび不純物からな
るアルミニウム合金を芯材とし、Mg:0.7〜1.6
%を含有し、残部がAlおよび不純物からなるアルミニ
ウム合金を皮材とし、かつ、皮材の厚さは片面について
全板厚の3〜20%としたことを特徴とする低温での焼
付硬化性に優れた高成形性アルミニウム合金合わせ板。 (2)芯材のアルミニウム合金に、さらにCu:0.3
〜3.0%を含有する前記(1)記載のアルミニウム合
金合わせ板。
5〜3.0%を含有し、残部がAlおよび不純物からな
るアルミニウム合金を芯材とし、Mg:0.7〜1.6
%を含有し、残部がAlおよび不純物からなるアルミニ
ウム合金を皮材とし、かつ、皮材の厚さは片面について
全板厚の3〜20%としたことを特徴とする低温での焼
付硬化性に優れた高成形性アルミニウム合金合わせ板。 (2)芯材のアルミニウム合金に、さらにCu:0.3
〜3.0%を含有する前記(1)記載のアルミニウム合
金合わせ板。
【0008】(3)芯材のアルミニウム合金に、さらに Mn:0.03〜0.8% Cr:0.03〜0.5% Fe:0.05〜0.5% Si:0.05〜0.5% V :0.03〜0.3% Zr:0.03〜0.3% Ti:0.005〜0.3% のうちの1種以上を含有する前記(1)または(2)記
載のアルミニウム合金合わせ板。
載のアルミニウム合金合わせ板。
【0009】(4)皮材のアルミニウム合金に、 Mn:0.5%以下 Zn:0.5%以下 Cu:0.5%以下 Cr:0.5%以下 Zr:0.3%以下 V :0.3%以下 Fe:0.5%以下 Si:0.5%以下 Ti:0.3%以下 のうちの1種以上を含有する前記(1),(2)または
(3)記載のアルミニウム合金合わせ板。
(3)記載のアルミニウム合金合わせ板。
【0010】
【作用】以下に本発明を詳細に説明する。まず、芯材の
成分組成の限定理由を述べる。芯材には、150℃以下
という比較的低温・短時間の塗装焼付によって大きな硬
化量の得られることが要求される。そのためにはAl−
Zn−Mg−(Cu)系合金を芯材として使用する。Z
nは時効あるいは焼付塗装処理によって形成されるG.
P.ゾーンや中間相の主要構成元素であり、焼付硬化に
有効な元素であるが、含有量が3.5%未満ではその効
果は小さく、8.0%を越えると成形加工性、耐食性お
よび溶接性が著しく低下し、後述するAl−Mg系合金
をクラッドすることによってもその低下を補うことがで
きない。したがって、Znの含有量は3.5〜8.0%
とする。
成分組成の限定理由を述べる。芯材には、150℃以下
という比較的低温・短時間の塗装焼付によって大きな硬
化量の得られることが要求される。そのためにはAl−
Zn−Mg−(Cu)系合金を芯材として使用する。Z
nは時効あるいは焼付塗装処理によって形成されるG.
P.ゾーンや中間相の主要構成元素であり、焼付硬化に
有効な元素であるが、含有量が3.5%未満ではその効
果は小さく、8.0%を越えると成形加工性、耐食性お
よび溶接性が著しく低下し、後述するAl−Mg系合金
をクラッドすることによってもその低下を補うことがで
きない。したがって、Znの含有量は3.5〜8.0%
とする。
【0011】MgはZnとともにG.P.ゾーンや中間
相の構成元素となり、焼付硬化性向上に有効な元素であ
るが、0.5%未満ではその効果は十分ではなく、3.
0%を越えるとその効果は飽和する上に成形加工性が低
下する。よって、Mgの含有量は0.5〜3.0%とす
る。CuもZnおよびMgとともに焼付硬化性向上に有
効な元素であるが、0.3%未満ではその効果は十分で
なく、3.0%を越えるとその効果は飽和する上に成形
加工性が低下する。したがって、Cuの含有量は0.3
〜3.0%とする。
相の構成元素となり、焼付硬化性向上に有効な元素であ
るが、0.5%未満ではその効果は十分ではなく、3.
0%を越えるとその効果は飽和する上に成形加工性が低
下する。よって、Mgの含有量は0.5〜3.0%とす
る。CuもZnおよびMgとともに焼付硬化性向上に有
効な元素であるが、0.3%未満ではその効果は十分で
なく、3.0%を越えるとその効果は飽和する上に成形
加工性が低下する。したがって、Cuの含有量は0.3
〜3.0%とする。
【0012】Mn,Cr,Zr,およびVはいずれも結
晶粒を微細化、安定化するとともに強度を向上させる効
果を有する元素であり、必要に応じて1種以上を添加す
る。この場合、いずれの元素も0.03%未満では上記
の効果は得られず、一方、Mnが0.8%、Crが0.
5%、ZrおよびVが0.3%をそれぞれ越えると上記
の効果は飽和する上に、成形性を低下させる。よって、
Mnの含有量は0.03〜0.8%、Crの含有量は
0.03〜0.5%、ZrおよびVの含有量はそれぞれ
0.03〜0.3%とする。
晶粒を微細化、安定化するとともに強度を向上させる効
果を有する元素であり、必要に応じて1種以上を添加す
る。この場合、いずれの元素も0.03%未満では上記
の効果は得られず、一方、Mnが0.8%、Crが0.
5%、ZrおよびVが0.3%をそれぞれ越えると上記
の効果は飽和する上に、成形性を低下させる。よって、
Mnの含有量は0.03〜0.8%、Crの含有量は
0.03〜0.5%、ZrおよびVの含有量はそれぞれ
0.03〜0.3%とする。
【0013】FeおよびSiは本来不可避的不純物であ
るが、上記のMn,Cr,Zr,V等と同様の効果を有
しており、必要に応じていずれか一方あるいは双方を添
加する。この場合、0.05%未満では上記の効果は得
られず、0.5%以上では上記の効果は飽和する上に、
Al−Fe−Si系の金属間化合物を生成し、成形性を
低下させる。よって、FeおよびSiの含有量は0.0
5〜0.5%とする。
るが、上記のMn,Cr,Zr,V等と同様の効果を有
しており、必要に応じていずれか一方あるいは双方を添
加する。この場合、0.05%未満では上記の効果は得
られず、0.5%以上では上記の効果は飽和する上に、
Al−Fe−Si系の金属間化合物を生成し、成形性を
低下させる。よって、FeおよびSiの含有量は0.0
5〜0.5%とする。
【0014】Tiは一般に鋳塊の結晶粒微細化のため、
単独あるいは微量のBと組み合わせて添加する。この場
合、Tiの含有量が0.005%未満では上記の効果は
得られず、0.3%を越えるとその効果は飽和する。し
たがって、Tiの含有量は0.005〜0.3%とす
る。Bの添加量は0.0005〜0.03%が有利であ
る。
単独あるいは微量のBと組み合わせて添加する。この場
合、Tiの含有量が0.005%未満では上記の効果は
得られず、0.3%を越えるとその効果は飽和する。し
たがって、Tiの含有量は0.005〜0.3%とす
る。Bの添加量は0.0005〜0.03%が有利であ
る。
【0015】次に、皮材について説明する。皮材は成形
加工性および耐食性を向上させるものであり、芯材より
もそれらの特性が良好であることが必要である。特に、
成形加工性については、芯材のそれを補うに十分な特性
が要求される。そのためには低Mg濃度のAl−Mg系
合金を使用するのがよい。Mgは硬さを向上させるのに
有効な元素であり、ボディシート材としての最低限の表
面硬さを確保するために添加する。その結果は0.7%
未満では不十分であり、1.6%を越えると成形性を著
しく低下させる。したがって、Mgの含有量は0.7〜
1.6%とする。
加工性および耐食性を向上させるものであり、芯材より
もそれらの特性が良好であることが必要である。特に、
成形加工性については、芯材のそれを補うに十分な特性
が要求される。そのためには低Mg濃度のAl−Mg系
合金を使用するのがよい。Mgは硬さを向上させるのに
有効な元素であり、ボディシート材としての最低限の表
面硬さを確保するために添加する。その結果は0.7%
未満では不十分であり、1.6%を越えると成形性を著
しく低下させる。したがって、Mgの含有量は0.7〜
1.6%とする。
【0016】ZnおよびCuは硬さの向上に有効な元素
であり、必要に応じて1種または2種を添加するが、
0.5%を越えると成形性の低下が著しい。よって、Z
nおよびCuの含有量は0.5%以下とする。それぞれ
の下限は0.08%とするのが望ましい。Mn,Cr,
Zr,V,FeおよびSiはいずれも結晶粒を微細化、
安定化するとともに硬さの向上に有効な元素であり、必
要に応じて1種以上を添加するが、Cr,FeおよびS
iが0.5%、ZrおよびVが0.3%をそれぞれ越え
ると成形性の低下が大きくなる。そのため、Mn,C
r,FeおよびSiの含有量は0.5%以下、Zrおよ
びVの含有量は0.3%以下とした。通常、これらの下
限値は0.03%とする方がよい。
であり、必要に応じて1種または2種を添加するが、
0.5%を越えると成形性の低下が著しい。よって、Z
nおよびCuの含有量は0.5%以下とする。それぞれ
の下限は0.08%とするのが望ましい。Mn,Cr,
Zr,V,FeおよびSiはいずれも結晶粒を微細化、
安定化するとともに硬さの向上に有効な元素であり、必
要に応じて1種以上を添加するが、Cr,FeおよびS
iが0.5%、ZrおよびVが0.3%をそれぞれ越え
ると成形性の低下が大きくなる。そのため、Mn,C
r,FeおよびSiの含有量は0.5%以下、Zrおよ
びVの含有量は0.3%以下とした。通常、これらの下
限値は0.03%とする方がよい。
【0017】Tiは鋳塊の結晶粒微細化のため、単独あ
るいは微量のBと組み合わせて添加するが、0.3%を
越えると他の元素と同様、成形性を著しく低下させる。
よって、Tiの含有量は0.3%以下とした。Bは0.
005〜0.03%添加すると組み合わせ効果が得られ
る。
るいは微量のBと組み合わせて添加するが、0.3%を
越えると他の元素と同様、成形性を著しく低下させる。
よって、Tiの含有量は0.3%以下とした。Bは0.
005〜0.03%添加すると組み合わせ効果が得られ
る。
【0018】さらに、皮材の厚さは焼付硬化性と成形性
のバランスに重要な影響を及ぼす。皮材の厚さが片面に
つき全板厚の3%未満では焼付硬化性の低下は小さい
が、成形加工性の向上がなく、また、20%を越えると
焼付硬化性の低下が著しい。したがって、皮材の厚さは
片面につき全板厚の3〜20%(クラッド率)とする。
本発明の効果を十分に発現するためにはクラッド率は5
〜15%が有利である。クラッドの方法としては、通常
行われている方法でよく、例えば、熱間圧延法、鋳込み
複層法、爆着法等が利用できる。
のバランスに重要な影響を及ぼす。皮材の厚さが片面に
つき全板厚の3%未満では焼付硬化性の低下は小さい
が、成形加工性の向上がなく、また、20%を越えると
焼付硬化性の低下が著しい。したがって、皮材の厚さは
片面につき全板厚の3〜20%(クラッド率)とする。
本発明の効果を十分に発現するためにはクラッド率は5
〜15%が有利である。クラッドの方法としては、通常
行われている方法でよく、例えば、熱間圧延法、鋳込み
複層法、爆着法等が利用できる。
【0019】
【実施例】次に、本発明を実施例で説明する。 実施例1 表1および表2に示す化学成分を有する芯材および皮材
の各合金を常法により、溶解、鋳造し、得られた鋳塊を
面削、均質化処理を施した後、芯材用合金は板厚45m
m、皮材用合金は板厚2.5mmにそれぞれ熱間圧延し
た。得られた芯材用合金板の両面に皮材用合金板を重ね
合わせ、熱間圧延によってクラッドした後、冷間圧延お
よび最終焼鈍を施すことによって全板厚1mm、クラッ
ド率10%の本発明アルミニウム合金合わせ板および比
較材の合わせ板を作製した。また、芯材用合金板の一部
は比較用として単独で熱間圧延、冷間圧延および最終焼
鈍を施すことによって板厚1mmのアルミニウム合金板
とした。
の各合金を常法により、溶解、鋳造し、得られた鋳塊を
面削、均質化処理を施した後、芯材用合金は板厚45m
m、皮材用合金は板厚2.5mmにそれぞれ熱間圧延し
た。得られた芯材用合金板の両面に皮材用合金板を重ね
合わせ、熱間圧延によってクラッドした後、冷間圧延お
よび最終焼鈍を施すことによって全板厚1mm、クラッ
ド率10%の本発明アルミニウム合金合わせ板および比
較材の合わせ板を作製した。また、芯材用合金板の一部
は比較用として単独で熱間圧延、冷間圧延および最終焼
鈍を施すことによって板厚1mmのアルミニウム合金板
とした。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】得られたアルミニウム合金合わせ板および
芯材のみのアルミニウム合金板について、室温で25日
放置後、JIS法に準拠して、引張試験、曲げ試験、エ
リクセン試験を行い、成形加工性を評価した。また、最
終焼鈍後、室温で25日間放置した後、145℃で20
分の焼付を行い、焼付前後の耐力を測定して焼付硬化性
の評価を行った。さらに、70mm×150mmの試験
片をフッ化物添加りん酸塩処理浴でりん酸塩皮膜を形成
させ、カチオン電着塗装20μm、中塗り、上塗り塗装
を施して総合塗膜厚80μmとした後、アルミニウム素
地に達するナイフカットを付け、塩水噴霧(5%NaC
l,35℃)1日、湿潤(85%相対湿度、40℃)5
日、室内放置1日から構成されるサイクル環境に8週間
暴露した後のナイフカットからの糸錆最大長さを測定し
て耐食性の評価を行った。
芯材のみのアルミニウム合金板について、室温で25日
放置後、JIS法に準拠して、引張試験、曲げ試験、エ
リクセン試験を行い、成形加工性を評価した。また、最
終焼鈍後、室温で25日間放置した後、145℃で20
分の焼付を行い、焼付前後の耐力を測定して焼付硬化性
の評価を行った。さらに、70mm×150mmの試験
片をフッ化物添加りん酸塩処理浴でりん酸塩皮膜を形成
させ、カチオン電着塗装20μm、中塗り、上塗り塗装
を施して総合塗膜厚80μmとした後、アルミニウム素
地に達するナイフカットを付け、塩水噴霧(5%NaC
l,35℃)1日、湿潤(85%相対湿度、40℃)5
日、室内放置1日から構成されるサイクル環境に8週間
暴露した後のナイフカットからの糸錆最大長さを測定し
て耐食性の評価を行った。
【0023】耐食性(耐糸錆性)の評価は、◎優(最大
糸錆長さ0.5mm以下)、〇良(最大糸錆長さ0.5
〜1.0mm)、△やや不良(最大糸錆長さ1.0〜
1.5mm以下)、×不良(最大糸錆長さ1.5mm以
上)で表した。それらの結果を表3および表4に示す。
表3および表4から明らかなように、本発明による高強
度アルミニウム合金合わせ板は、比較材の合わせ板(皮
材のMg含有量が0.7%未満のものを除く)および芯
材単独のものに比較して、成形加工性および耐食性に優
れ、150℃以下の低温での焼付硬化性も大きいことが
わかる。
糸錆長さ0.5mm以下)、〇良(最大糸錆長さ0.5
〜1.0mm)、△やや不良(最大糸錆長さ1.0〜
1.5mm以下)、×不良(最大糸錆長さ1.5mm以
上)で表した。それらの結果を表3および表4に示す。
表3および表4から明らかなように、本発明による高強
度アルミニウム合金合わせ板は、比較材の合わせ板(皮
材のMg含有量が0.7%未満のものを除く)および芯
材単独のものに比較して、成形加工性および耐食性に優
れ、150℃以下の低温での焼付硬化性も大きいことが
わかる。
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】実施例2 表1および表2に示す合金のうち合金No.I−12と
0−3を常法により、溶解、鋳造し、得られた鋳塊を面
削、均質化処理を施した後、芯材用合金のNo.I−1
2は板厚40mmに、皮材用合金のNo.0−3は板厚
2〜5mmにそれぞれ熱間圧延した。得られた芯材用合
金板の片面あるいは両面に皮材用合金板を重ね合わせ、
熱間圧延によってクラッドした後、冷間圧延および最終
焼鈍を施すことによって全板厚1mmで、クラッド率の
異なる本発明アルミニウム合金合わせ板および比較材の
合わせ板を作製した。得られた合わせ板について、実施
例1の場合と同様にして、成形加工性、耐食性および焼
付硬化性を評価した。表5にクラッド率と各特性の関係
を示す。
0−3を常法により、溶解、鋳造し、得られた鋳塊を面
削、均質化処理を施した後、芯材用合金のNo.I−1
2は板厚40mmに、皮材用合金のNo.0−3は板厚
2〜5mmにそれぞれ熱間圧延した。得られた芯材用合
金板の片面あるいは両面に皮材用合金板を重ね合わせ、
熱間圧延によってクラッドした後、冷間圧延および最終
焼鈍を施すことによって全板厚1mmで、クラッド率の
異なる本発明アルミニウム合金合わせ板および比較材の
合わせ板を作製した。得られた合わせ板について、実施
例1の場合と同様にして、成形加工性、耐食性および焼
付硬化性を評価した。表5にクラッド率と各特性の関係
を示す。
【0027】
【表5】
【0028】表5から明らかなように、クラッド率が3
%未満では焼付硬化性は大きいが、成形性および耐食性
が劣る。また、クラッド率が20%を越えると成形加工
性および耐食性は向上するが、焼付硬化性の低下が著し
い。さらに、片面のみにクラッドした場合には、クラッ
ドされていない面の耐食性が著しく劣る。このように、
本発明の範囲である両面クラッドで、3〜20%のクラ
ッド率の時に焼付硬化性と成形性および耐食性が両立さ
れることがわかる。
%未満では焼付硬化性は大きいが、成形性および耐食性
が劣る。また、クラッド率が20%を越えると成形加工
性および耐食性は向上するが、焼付硬化性の低下が著し
い。さらに、片面のみにクラッドした場合には、クラッ
ドされていない面の耐食性が著しく劣る。このように、
本発明の範囲である両面クラッドで、3〜20%のクラ
ッド率の時に焼付硬化性と成形性および耐食性が両立さ
れることがわかる。
【0029】実施例3 表1および表2に示す合金のうち、合金No.I−1
2,0−3,0−30および0−31を常法により、溶
解、鋳造し、得られた鋳塊を面削、均質化処理を施した
後、芯材用合金は板厚40mmに、皮材用合金は板厚
2.5mmにそれぞれ熱間圧延した。得られた芯材用合
金の両面に皮材用合金板を重ね合わせ、熱間圧延によっ
てクラッドした後、冷間圧延および最終焼鈍を施すこと
によって、全板厚1mm、クラッド率10%の本発明ア
ルミニウム合金合わせ板および比較材の合わせ板を作製
した。表6に、このようにして得られたアルミニウム合
金合わせ板の表面硬さ試験結果およびカップ成形による
傷つき程度を示す。傷つきの程度は、◎傷つきなし、〇
傷つき微少、×傷つき多で表した。表6から明らかなよ
うに、本発明材は、比較材(皮材のMg含有量が0.7
%未満のもの)より表面硬さが高く、傷の問題がないこ
とがわかる。
2,0−3,0−30および0−31を常法により、溶
解、鋳造し、得られた鋳塊を面削、均質化処理を施した
後、芯材用合金は板厚40mmに、皮材用合金は板厚
2.5mmにそれぞれ熱間圧延した。得られた芯材用合
金の両面に皮材用合金板を重ね合わせ、熱間圧延によっ
てクラッドした後、冷間圧延および最終焼鈍を施すこと
によって、全板厚1mm、クラッド率10%の本発明ア
ルミニウム合金合わせ板および比較材の合わせ板を作製
した。表6に、このようにして得られたアルミニウム合
金合わせ板の表面硬さ試験結果およびカップ成形による
傷つき程度を示す。傷つきの程度は、◎傷つきなし、〇
傷つき微少、×傷つき多で表した。表6から明らかなよ
うに、本発明材は、比較材(皮材のMg含有量が0.7
%未満のもの)より表面硬さが高く、傷の問題がないこ
とがわかる。
【0030】
【表6】
【0031】
【発明の効果】以上の説明のように、本発明によるアル
ミニウム合金合わせ板は成形加工性および耐食性に優れ
るばかりでなく、150℃以下の低温・短時間の焼付処
理であっても大きな焼付硬化性を有することから、自動
車のボディパネルをはじめ、電気機器、建築用等の成形
加工用アルミニウム合金板として広く使用できるもので
ある。
ミニウム合金合わせ板は成形加工性および耐食性に優れ
るばかりでなく、150℃以下の低温・短時間の焼付処
理であっても大きな焼付硬化性を有することから、自動
車のボディパネルをはじめ、電気機器、建築用等の成形
加工用アルミニウム合金板として広く使用できるもので
ある。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で、Zn:3.5〜8.0%,M
g:0.5〜3.0%を含有し、残部がAlおよび不純
物からなるアルミニウム合金を芯材とし、Mg:0.7
〜1.6%を含有し、残部がAlおよび不純物からなる
アルミニウム合金を皮材とし、かつ、皮材の厚さは片面
について全板厚の3〜20%としたことを特徴とする低
温での焼付硬化性に優れた高成形性アルミニウム合金合
わせ板。 - 【請求項2】 芯材のアルミニウム合金に、さらにC
u:0.3〜3.0%を含有する請求項1記載のアルミ
ニウム合金合わせ板。 - 【請求項3】 芯材のアルミニウム合金に、さらに Mn:0.03〜0.8% Cr:0.03〜0.5% Fe:0.05〜0.5% Si:0.05〜0.5% V :0.03〜0.3% Zr:0.03〜0.3% Ti:0.005〜0.3% のうちの1種以上を含有する請求項1または2記載のア
ルミニウム合金合わせ板。 - 【請求項4】 皮材のアルミニウム合金に、さらに Mn:0.5%以下 Zn:0.5%以下 Cu:0.5%以下 Cr:0.5%以下 Zr:0.3%以下 V :0.3%以下 Fe:0.5%以下 Si:0.5%以下 Ti:0.3%以下 のうちの1種以上を含有する請求項1,2または3記載
のアルミニウム合金合わせ板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33246393A JPH07188821A (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 低温での焼付硬化性に優れた高成形性アルミニウム合金合わせ板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33246393A JPH07188821A (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 低温での焼付硬化性に優れた高成形性アルミニウム合金合わせ板 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07188821A true JPH07188821A (ja) | 1995-07-25 |
Family
ID=18255260
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33246393A Withdrawn JPH07188821A (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 低温での焼付硬化性に優れた高成形性アルミニウム合金合わせ板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07188821A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002173729A (ja) * | 2000-12-04 | 2002-06-21 | Nippon Steel Corp | 塗装焼付け硬化性およびプレス成形性に優れるアルミニウム合金板およびその製造方法 |
JP2009535508A (ja) * | 2006-05-02 | 2009-10-01 | アレリス、アルミナム、デュッフェル、ベスローテン、フェンノートシャップ、メット、ベペルクテ、アーンスプラケレイクヘイト | アルミニウム複合シート材料 |
JP2015108163A (ja) * | 2013-10-24 | 2015-06-11 | 株式会社神戸製鋼所 | アルミニウム合金クラッド板およびアルミニウム合金クラッド構造部材 |
US11766846B2 (en) * | 2017-04-24 | 2023-09-26 | Novelis Inc. | Clad aluminum alloy products |
-
1993
- 1993-12-27 JP JP33246393A patent/JPH07188821A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002173729A (ja) * | 2000-12-04 | 2002-06-21 | Nippon Steel Corp | 塗装焼付け硬化性およびプレス成形性に優れるアルミニウム合金板およびその製造方法 |
JP2009535508A (ja) * | 2006-05-02 | 2009-10-01 | アレリス、アルミナム、デュッフェル、ベスローテン、フェンノートシャップ、メット、ベペルクテ、アーンスプラケレイクヘイト | アルミニウム複合シート材料 |
JP2015108163A (ja) * | 2013-10-24 | 2015-06-11 | 株式会社神戸製鋼所 | アルミニウム合金クラッド板およびアルミニウム合金クラッド構造部材 |
US11766846B2 (en) * | 2017-04-24 | 2023-09-26 | Novelis Inc. | Clad aluminum alloy products |
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