JP2015108163A - アルミニウム合金クラッド板およびアルミニウム合金クラッド構造部材 - Google Patents
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Abstract
Description
プレス成形されて構造部材として用いられ、複数のアルミニウム合金層が積層されたアルミニウム合金クラッド板であって、
Mg:1.5〜14質量%、Zn:2〜30質量%、Cu:1.5〜6質量%の1種または2種以上を含むアルミニウム合金層が複数積層されたものであり、少なくともMgかZn、あるいはCuかのいずれかの含有量が互いに異なるアルミニウム合金層が接合するように積層されており、
前記アルミニウム合金クラッド板が、積層された前記各アルミニウム合金層のMg、Zn、Cuの各含有量をそれぞれ平均化した値として、Mg、Zn、Cuのうちの少なくとも2種を前記含有量範囲で含み、
積層された前記アルミニウム合金層のうち、Zn、Cuを前記各含有量範囲で含むアルミニウム合金層は、前記アルミニウム合金クラッド板の内側に積層され、
積層された前記アルミニウム合金層のうち、Mgを前記含有量範囲で含み、かつ、Zn:2質量%以下(0質量%を含む)、Cu:1.5質量%以下(0質量%を含む)に各々抑制したアルミニウム合金層が、前記アルミニウム合金クラッド板の両外側に積層されており、
前記アルミニウム合金クラッド板の、前記アルミニウム合金層の合計積層数が3〜7層で、全体の板厚が1〜5mmであり、
前記アルミニウム合金クラッド板の特性として、このクラッド板に450℃×1時間の拡散熱処理を施した後に、室温で1週間保持後、更に120℃×2時間時効処理した後の、前記積層されたアルミニウム合金層同士の各接合界面部の硬度が、この接合界面部を構成する前記積層された各アルミニウム合金層の硬度よりも全て高い組織を有する、
ことである。
また、以下の本発明実施態様の説明では、クラッドする前の板をアルミニウム合金板と称し、この板が圧延クラッドされて薄肉化された後のクラッド板における層をアルミニウム合金層と言う。したがって、クラッド板におけるアルミニウム合金層についての組成や積層の仕方などの規定の意義は、クラッドされる前のアルミニウム合金板や鋳塊の規定意義とも読み替えることができる。
本発明クラッド板は、Mg、Zn、Cuの1種または2種以上を規定する範囲で含むアルミニウム合金層同士であって、少なくともMgか、Znか、Cuかのいずれかの含有量が互いに異なるアルミニウム合金層同士が、互いに3〜7層(枚)積層(クラッド)されている。そして、これら積層されたクラッド板全体の板厚は1〜5mmの範囲であるアルミニウム合金クラッド板である。
また、単体で均質化熱処理、熱間圧延、または冷間圧延を施した後に、積層して冷間圧延工程でクラッド板とするプロセスの場合、積層する段階の各板材の厚みは、積層する枚数(層数)や圧延率などにも勿論よるが、0.5〜5.0mm程度である。
クラッド(積層)される前のアルミニウム合金板や鋳塊、あるいはクラッドされた後のアルミニウム合金層の組成は、Mg:1.5〜14質量%、Zn:2〜30質量%、Cu:1.5〜6質量%の1種または2種以上(1種〜3種)を含むものとする。このうちでも、Mg、Znの1種または2種を前記含有量範囲で含むアルミニウム合金層(板)同士であって、少なくともMgかZnのいずれかの含有量が互いに異なるアルミニウム合金層(板)同士が互いに積層され、前記アルミニウム合金クラッド板全体として、Mg、Znのうちのいずれかを前記含有量範囲で含むことが、成形性と強度との兼備の上で特に好ましい。
本発明では、構造部材にプレス成形した後で、互いにクラッドしたアルミニウム合金層同士が含むMg、ZnあるいはCuなどを、熱処理によって積層した互いの板の組織に拡散させる。そして、このような元素の拡散によって、これらMg、ZnあるいはCuなどで形成する、Zn−Mg系、Zn−Mg―Cu系などの、新たな微細複合析出物(時効析出物)を互いの接合界面部に、高密度に析出させて高強度化を図る、界面部組織制御(ナノレベルのサイズの微細析出物の超高密度分散)を行う。これによって、クラッド板に450℃×1時間の拡散熱処理を施した後に、室温で1週間保持後、更にT6処理として120℃×2時間の人工時効処理を施した後の組織として、積層されたアルミニウム合金層同士の各接合界面部の硬度が、積層された各アルミニウム合金層の硬度よりも全て高い組織を有するようにして、クラッド板の高強度化を図る。
して、前記マイクロビッカース硬度の測定は比較的簡便であり、何より、界面部の硬度あるいは界面部と板内部との硬度差は、界面部が例えクラッド板の部分的であっても、クラッド板全体の強度と直接、再現性良く相関する。
本発明のクラッド板では、積層の際に組み合わされる、Mg:1.5〜14質量%、Zn:2〜30質量%、Cu:1.5〜6質量%の1種または2種以上を含むアルミニウム合金層互いの組成によって、積層の仕方を変えることが必要である。図1〜4を用いて、このような積層の仕方を説明する。
以下に、クラッドされるアルミニウム合金層や最終的なクラッド板の組成としての、各元素の含有あるいは規制する意味につき個別に説明する。なお、最終的なクラッド板としての組成の場合は、各元素の含有量を、単一の板の各元素の含有量から、積層される各板(全部の板)の各々の元素の含有量の平均値であると読み替える。含有量に関する以下の%表示は全て質量%の意味である。
必須の合金元素であるMgは、Znとともに、クラッド板やクラッド構造部材の組織にクラスタ(微細析出物)を形成して加工硬化特性を向上させる。また、クラッド板やクラッド構造部材の組織や接合界面部に時効析出物を形成して強度を向上させる。Mg含有量が1.5%未満では強度が不足し、14%を超えると、鋳造割れが発生し、またクラッド板(鋳塊)の圧延性が低下し、クラッド板の製造が困難になる。
必須の合金元素であるZnは、Mgとともに、クラッド板やクラッド構造部材の組織にクラスタ(微細析出物)を形成して加工硬化特性を向上させる。また、クラッド板やクラッド構造部材の組織や接合界面部に時効析出物を形成して強度を向上させる。Zn含有量が2%未満では強度が不足し、強度と成形性とのバランスも低下する。一方Znが30%を超えると、鋳造割れが発生し、またクラッド板(鋳塊)の圧延性が低下し、クラッド板の製造が困難になる。製造可能な場合でも、粒界析出物MgZn2が増えて粒界腐食が起こりやすくなり、耐食性が著しく劣化するし、成形性も低下する。
Cuは、クラッド板やクラッド構造部材の強度を向上させる効果がある。Cu含有量が1.5%未満ではこの強度向上効果が小さい。一方、Cu含有量が6%を超えると、鋳造割れが発生し、またクラッド板(鋳塊)の圧延性が低下し、クラッド板の製造が困難になる。製造可能な場合でも、耐SCC性などの耐食性が著しく低下する。
これら記載した以外のその他の元素は不純物である。溶解原料として、純アルミニウム地金以外に、アルミニウム合金スクラップの使用による、これら不純物元素の混入なども想定(許容)して含有を許容する。具体的には、Fe:0.5%以下、Si:0.5%以下、Li:0.1%以下、Zr:0.3%以下、Mn:1.0%以下、Cr:0.3%以下、Sn:0.1%以下、Ti:0.1%以下の、各々の含有量であれば、本発明に係るクラッド板の延性や強度特性を低下させず、含有が許容される。
アルミニウム合金クラッド板積層板の製造は以下の通りとした。表1に示すA〜Sの組成のアルミニウム合金鋳塊を溶解、鋳造し、別個に、常法により均質加熱処理及び熱間圧延、必要により冷間圧延を施して、板厚を各々0.5〜5.0mmの範囲に調整した板材を各々製造した。これらの板材を、表2に示す各々の組み合わせで重ね合わせて積層し、この積層板材を、400℃×30分の再加熱後に、その温度で熱間圧延を開始してクラッド板とした。このクラッド板を更に400℃×1秒の中間焼鈍を施しつつ、冷間圧延し、最後に400℃×1秒の最終焼鈍を施して、表2に示す各クラッド板厚(各層の合計板厚
)のクラッド板とした。これら最終的なクラッド板全体の板厚が1〜5mmの場合の、積層された各合金板の厚みは、0.1〜2.0mm(100〜2000μm)程度の範囲であった。また、最終的なクラッド板のクラッド比率は、表2の発明例1〜15および比較例16〜25に関しては、各アルミニウム合金層の厚み(クラッド比率)が均等になるように製造した。一方、表2の発明例26、27に関しては、後述するように、各アルミ合金層の厚みが異なるように製造した。
例えば、発明例1のAEA3層における二ヵ所の界面部の硬度は、上側の界面AEと、これと同じ積層の組み合わせである下側の界面EAとは、同じ値であったので、表2には、AEの場合しか、代表して記載していない。
これは他の発明例の、例えばBH、HB同士(発明例2)、AG、GA同士(発明例4)、CG、GC同士(発明例5)、AE、EA同士(発明例7、13)、AH、HA同士(発明例8、14)、AD、DA同士(発明例7、13、15)、CE、EC同士(発明例3、15)、AI、IA同士(発明例9)、AJ、JA同士(発明例10)、AK、KA同士(発明例11)も同じである。
また、比較例の、例えばLN、NL同士(比較例16、24、25)、LQ、QL同士(比較例17)、LR、RL同士(比較例18)、LS、SL同士(比較例19)、MN、NM同士(比較例20)、LO、OL同士(比較例21)、LP、PL同士(比較例22)も同じである。
Claims (2)
- 複数のアルミニウム合金層が積層されたアルミニウム合金クラッド板であって、
Mg:1.5〜14質量%、Zn:2〜30質量%、Cu:1.5〜6質量%の1種または2種以上を含むアルミニウム合金層が複数積層されたものであり、
少なくともMgかZn、あるいはCuかのいずれかの含有量が互いに異なるアルミニウム合金層が接合するように積層されており、
前記アルミニウム合金クラッド板が、積層された前記各アルミニウム合金層のMg、Zn、Cuの各含有量をそれぞれ平均化した値として、Mg、Zn、Cuのうちの少なくとも2種を前記含有量範囲で含み、
積層された前記アルミニウム合金層のうち、Zn、Cuを前記各含有量範囲で含むアルミニウム合金層は、前記アルミニウム合金クラッド板の内側に積層され、
積層された前記アルミニウム合金層のうち、Mgを前記含有量範囲で含み、かつ、Zn:2質量%以下(0質量%を含む)、Cu:1.5質量%以下(0質量%を含む)に各々抑制したアルミニウム合金層が、前記アルミニウム合金クラッド板の両外側に積層されており、
前記アルミニウム合金クラッド板の、前記アルミニウム合金層の合計積層数が3〜7層で、全体の板厚が1〜5mmであり、
前記アルミニウム合金クラッド板の特性として、このクラッド板に450℃×1時間の拡散熱処理を施した後に、室温で1週間保持後、更に120℃×2時間時効処理した後の、前記積層されたアルミニウム合金層同士の各接合界面部の硬度が、この接合界面部を構成する前記積層された各アルミニウム合金層の硬度よりも全て高い組織を有する、
ことを特徴とするアルミニウム合金クラッド板。 - 請求項1のアルミニウム合金クラッド板をプレス成形してなり、450℃×1時間の拡散熱処理を施した後に、室温で1週間保持後、更にT6処理を施すことにより、400MPa以上の0.2%耐力を有するアルミニウム合金クラッド構造部材。
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