JPH07188658A - 土質安定用薬液およびそれを用いた地盤安定化工法 - Google Patents
土質安定用薬液およびそれを用いた地盤安定化工法Info
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- JPH07188658A JPH07188658A JP34708893A JP34708893A JPH07188658A JP H07188658 A JPH07188658 A JP H07188658A JP 34708893 A JP34708893 A JP 34708893A JP 34708893 A JP34708893 A JP 34708893A JP H07188658 A JPH07188658 A JP H07188658A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】ポルトランドセメントを含むA液とアルミナセ
メントを含むB液とを組み合わせた土質安定用薬液にお
いて、A液にブレーン値が共に3000cm2 /g以上である
石膏と石灰とを重量比(石膏/石灰)が85/15〜20/80
の範囲で、一方、B液に無機炭酸塩を、それぞれ配合
し、A液とB液との混合液中においてアルミナセメント
100重量部あたりの石膏と石灰との合計量が30重量部以
上であり、またポルトランドセメント 100重量部あたり
の、アルミナセメントが18重量部以上で、かつ無機炭酸
塩が2〜9重量部の範囲であるように混合して用いる。 【効果】A液およびB液は、凝結遅延剤を添加すること
なく放置されても、調製後3時間未満では硬化せず安定
性が高く、一方、A液とB液との混合液は、液温が低い
場合でも1分以内に硬化し、かつ、形成された硬化体の
圧縮強度の発現が低温下でも良好であって、安定性・瞬
結性・早強性を併せもつ。
メントを含むB液とを組み合わせた土質安定用薬液にお
いて、A液にブレーン値が共に3000cm2 /g以上である
石膏と石灰とを重量比(石膏/石灰)が85/15〜20/80
の範囲で、一方、B液に無機炭酸塩を、それぞれ配合
し、A液とB液との混合液中においてアルミナセメント
100重量部あたりの石膏と石灰との合計量が30重量部以
上であり、またポルトランドセメント 100重量部あたり
の、アルミナセメントが18重量部以上で、かつ無機炭酸
塩が2〜9重量部の範囲であるように混合して用いる。 【効果】A液およびB液は、凝結遅延剤を添加すること
なく放置されても、調製後3時間未満では硬化せず安定
性が高く、一方、A液とB液との混合液は、液温が低い
場合でも1分以内に硬化し、かつ、形成された硬化体の
圧縮強度の発現が低温下でも良好であって、安定性・瞬
結性・早強性を併せもつ。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、土質安定用薬液および
それを用いた地盤安定化工法に関する。
それを用いた地盤安定化工法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミナセメントを除く水硬性セメント
と水との混練物を主材液 (以下A液という) とし、アル
ミナセメントと水との混練物を硬化材液 (以下B液とい
う) として、これらを組み合わせて地盤内に注入すると
A液とB液との混合液 (以下 A-B混合液ともいう) は数
分〜数十分で硬化することが知られている。
と水との混練物を主材液 (以下A液という) とし、アル
ミナセメントと水との混練物を硬化材液 (以下B液とい
う) として、これらを組み合わせて地盤内に注入すると
A液とB液との混合液 (以下 A-B混合液ともいう) は数
分〜数十分で硬化することが知られている。
【0003】特開昭50-16717号公報には、可溶性アルミ
と無機硫酸塩との混合物を、セメント急硬剤としてセメ
ントと混合する急硬性セメントの施工方法が開示され、
そして、可溶性アルミとしては、結晶質および(また
は)無定形質のカルシウムアルミネートとこれにハロゲ
ン元素が固溶したカルシウムハロアルミネートであり、
特に好ましい鉱物は12CaO・7Al2 O3 またはこれにハ
ロゲン元素が固溶した無定形物であることが、また、無
機硫酸塩としては、無水,半水,二水のセッコウなどが
使用でき、好ましくは無水セッコウであることが、記載
されている。また、アルミナセメントとセッコウの混合
物を添加したセメントが、急硬性セメントとして既に知
られていることが記載されている。
と無機硫酸塩との混合物を、セメント急硬剤としてセメ
ントと混合する急硬性セメントの施工方法が開示され、
そして、可溶性アルミとしては、結晶質および(また
は)無定形質のカルシウムアルミネートとこれにハロゲ
ン元素が固溶したカルシウムハロアルミネートであり、
特に好ましい鉱物は12CaO・7Al2 O3 またはこれにハ
ロゲン元素が固溶した無定形物であることが、また、無
機硫酸塩としては、無水,半水,二水のセッコウなどが
使用でき、好ましくは無水セッコウであることが、記載
されている。また、アルミナセメントとセッコウの混合
物を添加したセメントが、急硬性セメントとして既に知
られていることが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記特開昭50-16717号
公報にも記載されているように、一般に急硬性セメント
は、短時間内に強度を発現する性質を有している反面、
凝結時間が短いので取り扱い中に凝結硬化してしまい施
工に支障をきたすという問題点がある。その対策として
一般に、その凝結硬化を遅らせるために、急硬性セメン
トにグルコン酸、クエン酸等の有機カルボン酸やその塩
などの凝結遅延剤を添加することが実施工の場面では必
要不可欠である。ところが、凝結遅延剤を添加した場合
でも、その効果は添加した凝結遅延剤の種類や量により
変化し、更に温度や混練時間などの実施工における種々
の付帯条件の影響を受ける。
公報にも記載されているように、一般に急硬性セメント
は、短時間内に強度を発現する性質を有している反面、
凝結時間が短いので取り扱い中に凝結硬化してしまい施
工に支障をきたすという問題点がある。その対策として
一般に、その凝結硬化を遅らせるために、急硬性セメン
トにグルコン酸、クエン酸等の有機カルボン酸やその塩
などの凝結遅延剤を添加することが実施工の場面では必
要不可欠である。ところが、凝結遅延剤を添加した場合
でも、その効果は添加した凝結遅延剤の種類や量により
変化し、更に温度や混練時間などの実施工における種々
の付帯条件の影響を受ける。
【0005】前記のA液に対して、水硬性セメントに対
するセメント急硬剤としてのアルミナセメントとセッコ
ウとの混合物または前記特開昭50-16717号公報に開示さ
れた可溶性アルミと無機硫酸塩との混合物と、水との混
練物を硬化材液 (B液) として、これらを組み合わせて
地盤内に注入する地盤安定化工法においても、前記した
と同様の問題点がある。
するセメント急硬剤としてのアルミナセメントとセッコ
ウとの混合物または前記特開昭50-16717号公報に開示さ
れた可溶性アルミと無機硫酸塩との混合物と、水との混
練物を硬化材液 (B液) として、これらを組み合わせて
地盤内に注入する地盤安定化工法においても、前記した
と同様の問題点がある。
【0006】すなわち、可溶性アルミとして前記特開昭
50-16717号公報に開示された、結晶質または無定形質の
カルシウムアルミネートまたはこれにハロゲン元素が固
溶したカルシウムハロアルミネートである、12CaO・7
Al2 O3 ,3CaO・Al2 O3または11CaO・7Al2 O3
・CaF2 を硬化材としてB液を調製した場合には、B液
それ自身が長くとも30分以内には凝結硬化してしまうの
で、実施工の場面では地盤内への注入作業中に、調液槽
内やB液を圧送するための配管やポンプ内で硬化物が生
成し、作業を継続することができなくなる恐れがある。
50-16717号公報に開示された、結晶質または無定形質の
カルシウムアルミネートまたはこれにハロゲン元素が固
溶したカルシウムハロアルミネートである、12CaO・7
Al2 O3 ,3CaO・Al2 O3または11CaO・7Al2 O3
・CaF2 を硬化材としてB液を調製した場合には、B液
それ自身が長くとも30分以内には凝結硬化してしまうの
で、実施工の場面では地盤内への注入作業中に、調液槽
内やB液を圧送するための配管やポンプ内で硬化物が生
成し、作業を継続することができなくなる恐れがある。
【0007】B液の凝結硬化を遅らせて施工上必要なB
液の安定性を確保するには、B液を調製する際に、グル
コン酸、クエン酸などの有機カルボン酸やその塩などの
凝結遅延剤を添加することが必要であり、また凝結遅延
剤を添加しても、その効果は添加した凝結遅延剤の種類
や量により変化し、更に温度や混練時間などの実施工に
おける種々の付帯条件の影響を受け、施工中、地盤内へ
の注入前に不測の凝結硬化が起こってB液を圧送でき
ず、施工できなくなるという問題点がある。また、B液
の硬化を遅延させるための凝結遅延剤は、セメント急硬
材を水と混練してB液を調製する前に、あらかじめB液
用の混練水に溶解させておくことを要し、施工現場での
作業を煩雑なものにするという問題点もある。
液の安定性を確保するには、B液を調製する際に、グル
コン酸、クエン酸などの有機カルボン酸やその塩などの
凝結遅延剤を添加することが必要であり、また凝結遅延
剤を添加しても、その効果は添加した凝結遅延剤の種類
や量により変化し、更に温度や混練時間などの実施工に
おける種々の付帯条件の影響を受け、施工中、地盤内へ
の注入前に不測の凝結硬化が起こってB液を圧送でき
ず、施工できなくなるという問題点がある。また、B液
の硬化を遅延させるための凝結遅延剤は、セメント急硬
材を水と混練してB液を調製する前に、あらかじめB液
用の混練水に溶解させておくことを要し、施工現場での
作業を煩雑なものにするという問題点もある。
【0008】なお、硬化材としてのカルシウムアルミネ
ートとしてCaO・Al2 O3 を用いたB液は、調製する際
の水と硬化材との量比によっては3時間以上硬化せず、
またアルミナセメントを硬化材として用いたB液の硬化
時間は7時間程度であり、いずれも施工上充分なB液の
安定性を確保することはできるが、A液とB液とを混合
して形成された硬化体の圧縮強度が低いといった問題点
があった。このように従来知られている方法では、凝結
遅延剤を添加してもB液の安定性が悪かったり、あるい
はB液の安定性が確保できても形成される硬化体の圧縮
強度の発現が低く地盤安定化工法として実用上難点があ
り改善が望まれていた。
ートとしてCaO・Al2 O3 を用いたB液は、調製する際
の水と硬化材との量比によっては3時間以上硬化せず、
またアルミナセメントを硬化材として用いたB液の硬化
時間は7時間程度であり、いずれも施工上充分なB液の
安定性を確保することはできるが、A液とB液とを混合
して形成された硬化体の圧縮強度が低いといった問題点
があった。このように従来知られている方法では、凝結
遅延剤を添加してもB液の安定性が悪かったり、あるい
はB液の安定性が確保できても形成される硬化体の圧縮
強度の発現が低く地盤安定化工法として実用上難点があ
り改善が望まれていた。
【0009】更に、地下水が流動しているような地盤内
や、護岸堤防と地盤との空隙部などへ薬液を注入し硬化
させて地盤の安定化を図るときのように、注入した薬液
が流水に接触する可能性のある場合には、使用する薬液
としてのA液とB液とに求められる性能は、地盤内への
注入前の段階では、A液およびB液それぞれの安定性
が、一方、A液とB液とを混合して A-B混合液として地
盤内に注入した後には、瞬結性と早強性とが要求され
る。
や、護岸堤防と地盤との空隙部などへ薬液を注入し硬化
させて地盤の安定化を図るときのように、注入した薬液
が流水に接触する可能性のある場合には、使用する薬液
としてのA液とB液とに求められる性能は、地盤内への
注入前の段階では、A液およびB液それぞれの安定性
が、一方、A液とB液とを混合して A-B混合液として地
盤内に注入した後には、瞬結性と早強性とが要求され
る。
【0010】ところが、前記の主材液と硬化材液とを組
み合わせる、従来知られている薬液においては、 A-B混
合液の硬化時間は、常温 (20℃) においても、1分以内
とならず、瞬結性は得られない。特に、薬液の温度が低
くなる冬季においては、1分以内の硬化時間は到底得ら
れない。そのため、このような薬液を流水に接触するよ
うな地盤内に注入しても、薬液が硬化する前に水によっ
て流されてしまい、地盤の安定化を充分に行えない。こ
のように、従来知られている薬液およびこれを用いた地
盤安定化工法は、瞬結性を要求される場面には適用でき
ず、改善が望まれていた。
み合わせる、従来知られている薬液においては、 A-B混
合液の硬化時間は、常温 (20℃) においても、1分以内
とならず、瞬結性は得られない。特に、薬液の温度が低
くなる冬季においては、1分以内の硬化時間は到底得ら
れない。そのため、このような薬液を流水に接触するよ
うな地盤内に注入しても、薬液が硬化する前に水によっ
て流されてしまい、地盤の安定化を充分に行えない。こ
のように、従来知られている薬液およびこれを用いた地
盤安定化工法は、瞬結性を要求される場面には適用でき
ず、改善が望まれていた。
【0011】本発明の目的は、従来知られている土質安
定用薬液とそれを用いた地盤安定化工法における問題点
を改善し、アルミナセメントを除く水硬性セメントと水
との混練物である主材液 (A液) と、アルミナセメント
と水との混練物である硬化材液 (B液) とを別々に調製
しておいて、施工時に両液を混合して地盤に注入する土
質安定用薬液および地盤安定化工法において、凝結遅延
剤を添加することなくA液およびB液それぞれ単独での
安定性を確保して、薬液の地盤注入前に凝結硬化を起こ
して施工できなくなる恐れを解消し、 A-B混合液は1分
以内に硬化する瞬結性と、また、形成される硬化体の圧
縮強度の発現が良好である早強性とを併せもつ、土質安
定用薬液および地盤安定化工法を提供することである。
定用薬液とそれを用いた地盤安定化工法における問題点
を改善し、アルミナセメントを除く水硬性セメントと水
との混練物である主材液 (A液) と、アルミナセメント
と水との混練物である硬化材液 (B液) とを別々に調製
しておいて、施工時に両液を混合して地盤に注入する土
質安定用薬液および地盤安定化工法において、凝結遅延
剤を添加することなくA液およびB液それぞれ単独での
安定性を確保して、薬液の地盤注入前に凝結硬化を起こ
して施工できなくなる恐れを解消し、 A-B混合液は1分
以内に硬化する瞬結性と、また、形成される硬化体の圧
縮強度の発現が良好である早強性とを併せもつ、土質安
定用薬液および地盤安定化工法を提供することである。
【0012】本発明の土質安定用薬液において、その性
能としての、A液およびB液の安定性、 A-B混合液の硬
化時間に関する瞬結性、ならびに形成された硬化体の圧
縮強度に関する早強性は、それぞれ次の規定を満たすこ
とを目的とする。この規定において、A液の標準配合
は、A液 200Lあたり、普通ポルトランドセメント 120
kgを含むものとする。 a) A液およびB液の安定性… A液あるいはB液を調
製後、それぞれが単独で放置されたときに3時間未満で
硬化しないこと (A液およびB液のそれぞれ単独での硬
化時間が、調製後3時間以上であること) 。 b) A-B混合液の瞬結性… 液温5℃ならびに20℃の場
合共、A液とB液とを混合後、1分以内に硬化するこ
と。 c) 硬化体の早強性… A液とB液とを混合して形成さ
れた硬化体の材令1日の一軸圧縮強度値が、硬化体の養
生温度が5℃ならびに20℃の場合共、2kg/cm2以上で
あること。
能としての、A液およびB液の安定性、 A-B混合液の硬
化時間に関する瞬結性、ならびに形成された硬化体の圧
縮強度に関する早強性は、それぞれ次の規定を満たすこ
とを目的とする。この規定において、A液の標準配合
は、A液 200Lあたり、普通ポルトランドセメント 120
kgを含むものとする。 a) A液およびB液の安定性… A液あるいはB液を調
製後、それぞれが単独で放置されたときに3時間未満で
硬化しないこと (A液およびB液のそれぞれ単独での硬
化時間が、調製後3時間以上であること) 。 b) A-B混合液の瞬結性… 液温5℃ならびに20℃の場
合共、A液とB液とを混合後、1分以内に硬化するこ
と。 c) 硬化体の早強性… A液とB液とを混合して形成さ
れた硬化体の材令1日の一軸圧縮強度値が、硬化体の養
生温度が5℃ならびに20℃の場合共、2kg/cm2以上で
あること。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記問題点
を改善し課題を解決すべく鋭意検討し、アルミナセメン
トを除く水硬性セメントと水との混練物をA液とし、ア
ルミナセメントと水との混練物をB液として、これらを
組み合わせて地盤内に注入する土質安定用薬液および地
盤安定化工法において、薬液を調製する際に、A液には
特定範囲のブレーン値を有する石膏と石灰とを、一方、
B液には無機炭酸塩を、それぞれ配合することによっ
て、得られるA液とB液は、凝結遅延剤を添加すること
なく、それぞれ単独では3時間以上硬化しない安定性が
確保されて注入前に硬化物を生成し施工できなくなる恐
れを解消することができ、更に、 A-B混合液中において
は、石膏と石灰との量比、アルミナセメントに対する石
膏と石灰との合計量の量比、アルミナセメントを除く水
硬性セメントに対するアルミナセメントおよび無機炭酸
塩の量比が、それぞれ特定範囲の量比となるよう配合し
たA液とB液とを混合して用いることによって、得られ
た A-B混合液は、液温が5℃ならびに20℃の場合共、1
分以内に硬化し、かつ、形成された硬化体の圧縮強度の
発現が、養生温度5℃ならびに20℃の場合共、良好であ
るという、従来知られている土質安定用薬液および地盤
安定化工法では実現できなかった性能を発揮するという
知見を得て、本発明を完成した。
を改善し課題を解決すべく鋭意検討し、アルミナセメン
トを除く水硬性セメントと水との混練物をA液とし、ア
ルミナセメントと水との混練物をB液として、これらを
組み合わせて地盤内に注入する土質安定用薬液および地
盤安定化工法において、薬液を調製する際に、A液には
特定範囲のブレーン値を有する石膏と石灰とを、一方、
B液には無機炭酸塩を、それぞれ配合することによっ
て、得られるA液とB液は、凝結遅延剤を添加すること
なく、それぞれ単独では3時間以上硬化しない安定性が
確保されて注入前に硬化物を生成し施工できなくなる恐
れを解消することができ、更に、 A-B混合液中において
は、石膏と石灰との量比、アルミナセメントに対する石
膏と石灰との合計量の量比、アルミナセメントを除く水
硬性セメントに対するアルミナセメントおよび無機炭酸
塩の量比が、それぞれ特定範囲の量比となるよう配合し
たA液とB液とを混合して用いることによって、得られ
た A-B混合液は、液温が5℃ならびに20℃の場合共、1
分以内に硬化し、かつ、形成された硬化体の圧縮強度の
発現が、養生温度5℃ならびに20℃の場合共、良好であ
るという、従来知られている土質安定用薬液および地盤
安定化工法では実現できなかった性能を発揮するという
知見を得て、本発明を完成した。
【0014】本発明の第一の発明は、「アルミナセメン
トを除く水硬性セメントを含んでなる主材液と、アルミ
ナセメントを含んでなる硬化材液とを組み合わせて地盤
内に注入する土質安定用薬液であって、主材液にブレー
ン値が共に3000cm2 /g以上である石膏と石灰とを重量
比(石膏/石灰)が85/15〜20/80の範囲で、一方、硬
化材液に無機炭酸塩を、それぞれ配合し、主材液と硬化
材液との混合液中においてアルミナセメント 100重量部
に対して石膏と石灰との合計量が30重量部以上であり、
アルミナセメントを除く水硬性セメント 100重量部に対
して、アルミナセメントが18重量部以上であり、かつ、
無機炭酸塩が2〜9重量部の範囲であるように混合して
用いることを特徴とする土質安定用薬液」を要旨とす
る。
トを除く水硬性セメントを含んでなる主材液と、アルミ
ナセメントを含んでなる硬化材液とを組み合わせて地盤
内に注入する土質安定用薬液であって、主材液にブレー
ン値が共に3000cm2 /g以上である石膏と石灰とを重量
比(石膏/石灰)が85/15〜20/80の範囲で、一方、硬
化材液に無機炭酸塩を、それぞれ配合し、主材液と硬化
材液との混合液中においてアルミナセメント 100重量部
に対して石膏と石灰との合計量が30重量部以上であり、
アルミナセメントを除く水硬性セメント 100重量部に対
して、アルミナセメントが18重量部以上であり、かつ、
無機炭酸塩が2〜9重量部の範囲であるように混合して
用いることを特徴とする土質安定用薬液」を要旨とす
る。
【0015】第二の発明は、「アルミナセメントを除く
水硬性セメントを含んでなる主材液と、アルミナセメン
トを含んでなる硬化材液とを組み合わせて地盤内に注入
する地盤安定化工法において、主材液にブレーン値が共
に3000cm2 /g以上である石膏と石灰とを重量比(石膏
/石灰)が85/15〜20/80の範囲で、一方、硬化材液に
無機炭酸塩を、それぞれ配合し、主材液と硬化材液との
混合液中においてアルミナセメント 100重量部に対して
石膏と石灰との合計量が30重量部以上であり、アルミナ
セメントを除く水硬性セメント 100重量部に対して、ア
ルミナセメントが18重量部以上であり、かつ、無機炭酸
塩が2〜9重量部の範囲であるように混合して地盤内に
注入することを特徴とする地盤安定化工法」を要旨とす
る。
水硬性セメントを含んでなる主材液と、アルミナセメン
トを含んでなる硬化材液とを組み合わせて地盤内に注入
する地盤安定化工法において、主材液にブレーン値が共
に3000cm2 /g以上である石膏と石灰とを重量比(石膏
/石灰)が85/15〜20/80の範囲で、一方、硬化材液に
無機炭酸塩を、それぞれ配合し、主材液と硬化材液との
混合液中においてアルミナセメント 100重量部に対して
石膏と石灰との合計量が30重量部以上であり、アルミナ
セメントを除く水硬性セメント 100重量部に対して、ア
ルミナセメントが18重量部以上であり、かつ、無機炭酸
塩が2〜9重量部の範囲であるように混合して地盤内に
注入することを特徴とする地盤安定化工法」を要旨とす
る。
【0016】本発明の土質安定用薬液で用いられる無機
炭酸塩は、水硬性セメントの硬化を促進する性質を有す
る、アルカリ金属の炭酸塩またはアルカリ土類金属の炭
酸塩の少なくとも一種であり、より具体的には、Li2 CO
3 , Na2 CO3 , K2 CO3 およびMgCO3 からなる群から選
ばれた少なくとも一種であることが好ましい。
炭酸塩は、水硬性セメントの硬化を促進する性質を有す
る、アルカリ金属の炭酸塩またはアルカリ土類金属の炭
酸塩の少なくとも一種であり、より具体的には、Li2 CO
3 , Na2 CO3 , K2 CO3 およびMgCO3 からなる群から選
ばれた少なくとも一種であることが好ましい。
【0017】以下、本発明について説明する。本発明の
土質安定用薬液における主材液(A液)は、水硬性セメ
ント (アルミナセメントを除く) を水と混練したもので
ある。主材として用いることができる水硬性セメントと
しては、普通・早強・超早強・中庸熱・白色など各種の
ポルトランドセメント類、高炉セメント・シリカセメン
ト・フライアッシュセメントなどの混合セメント類など
を挙げることができ、これらのセメントは、一種ないし
二種以上を用いることができる。
土質安定用薬液における主材液(A液)は、水硬性セメ
ント (アルミナセメントを除く) を水と混練したもので
ある。主材として用いることができる水硬性セメントと
しては、普通・早強・超早強・中庸熱・白色など各種の
ポルトランドセメント類、高炉セメント・シリカセメン
ト・フライアッシュセメントなどの混合セメント類など
を挙げることができ、これらのセメントは、一種ないし
二種以上を用いることができる。
【0018】A液における水硬性セメントと水との量比
は、特に制限はないが、A液 200Lあたり通常、水硬性
セメント20〜400 kg、好ましくは40〜300 kg、更に好ま
しくは60〜240 kgの範囲である。A液 200Lあたりの水
硬性セメント量が20kg未満であるときは、薬液を地盤内
に注入して硬化させたときに形成される土砂固結体の圧
縮強度が低く、地盤の安定化が不充分である。一方、A
液 200Lあたりの水硬性セメント量が 400kgを超える場
合は、形成される土砂固結体の圧縮強度は高まるが、A
液の粘度が大幅に増大してポンプによる圧送が困難とな
り、また A-B混合液の地盤内での浸透性が低下し、形成
される土砂固結体の体積が小さくなる。
は、特に制限はないが、A液 200Lあたり通常、水硬性
セメント20〜400 kg、好ましくは40〜300 kg、更に好ま
しくは60〜240 kgの範囲である。A液 200Lあたりの水
硬性セメント量が20kg未満であるときは、薬液を地盤内
に注入して硬化させたときに形成される土砂固結体の圧
縮強度が低く、地盤の安定化が不充分である。一方、A
液 200Lあたりの水硬性セメント量が 400kgを超える場
合は、形成される土砂固結体の圧縮強度は高まるが、A
液の粘度が大幅に増大してポンプによる圧送が困難とな
り、また A-B混合液の地盤内での浸透性が低下し、形成
される土砂固結体の体積が小さくなる。
【0019】本発明の土質安定用薬液におけるA液に
は、水硬性セメントと共に、更に石膏と石灰とを併用す
る。本発明では、A液において水硬性セメントと共に、
石膏と石灰とを併用することが要件の一つである。石膏
と石灰のどちらか一方あるいは両方を、A液に添加する
ことなく、B液に添加したときには、本発明で規定する
A液やB液の安定性や A-B混合液における瞬結性が得ら
れない。
は、水硬性セメントと共に、更に石膏と石灰とを併用す
る。本発明では、A液において水硬性セメントと共に、
石膏と石灰とを併用することが要件の一つである。石膏
と石灰のどちらか一方あるいは両方を、A液に添加する
ことなく、B液に添加したときには、本発明で規定する
A液やB液の安定性や A-B混合液における瞬結性が得ら
れない。
【0020】A液に併用する石膏としては、II型無水石
膏, III 型無水石膏, α半水石膏,β半水石膏, 2水石
膏など、その形態にかかわらず使用することができ、こ
れらは、一種または二種以上を用いることができる。こ
れらの内、II型無水石膏は、形成される硬化体の圧縮強
度の発現上最も好ましい。
膏, III 型無水石膏, α半水石膏,β半水石膏, 2水石
膏など、その形態にかかわらず使用することができ、こ
れらは、一種または二種以上を用いることができる。こ
れらの内、II型無水石膏は、形成される硬化体の圧縮強
度の発現上最も好ましい。
【0021】また、A液に用いる石灰としては、水中で
水酸化カルシウム( Ca(OH)2 ) の形をとるものが用いら
れる。たとえば、消石灰( Ca(OH)2 ) や生石灰( CaO)
などを挙げることができる。これらの内、消石灰が取扱
い性等の点から好ましい。水中で水酸化カルシウム( Ca
(OH)2 ) を生成しない、たとえば、炭酸カルシウム( Ca
CO3 ) 等を用いたときには、本発明が目的とする瞬結性
が得られない。
水酸化カルシウム( Ca(OH)2 ) の形をとるものが用いら
れる。たとえば、消石灰( Ca(OH)2 ) や生石灰( CaO)
などを挙げることができる。これらの内、消石灰が取扱
い性等の点から好ましい。水中で水酸化カルシウム( Ca
(OH)2 ) を生成しない、たとえば、炭酸カルシウム( Ca
CO3 ) 等を用いたときには、本発明が目的とする瞬結性
が得られない。
【0022】A液に用いられる石膏および石灰は、共
に、ブレーン値が3000cm2 /g以上、好ましくは5000〜
8000cm2 /gの範囲であるものを用いる。石膏のブレー
ン値が3000cm2 /g未満であると、薬液を地盤内に注入
して硬化させたときに形成される硬化体の圧縮強度の発
現が悪く、本発明が目的とする早強性が得られない。な
お、ブレーン値が8000cm2 /gを超えるものを用いて
も、それによる効果の向上はなく不経済である。
に、ブレーン値が3000cm2 /g以上、好ましくは5000〜
8000cm2 /gの範囲であるものを用いる。石膏のブレー
ン値が3000cm2 /g未満であると、薬液を地盤内に注入
して硬化させたときに形成される硬化体の圧縮強度の発
現が悪く、本発明が目的とする早強性が得られない。な
お、ブレーン値が8000cm2 /gを超えるものを用いて
も、それによる効果の向上はなく不経済である。
【0023】また、用いられる石灰のブレーン値が3000
cm2 /g未満であると、本発明が目的とする A-B混合液
の瞬結性が得られない。なお、ブレーン値が8000cm2 /
gを超えるものを用いても、それによる効果の向上はな
く不経済である。
cm2 /g未満であると、本発明が目的とする A-B混合液
の瞬結性が得られない。なお、ブレーン値が8000cm2 /
gを超えるものを用いても、それによる効果の向上はな
く不経済である。
【0024】A液に用いる石膏(G) と石灰(L) との重量
比(G/L)の値は、85/15〜20/80の範囲とする。重量比
(G/L)の値が85/15を超えるときには、 A-B混合液の硬
化時間に関して本発明が目的とする瞬結性が得られな
い。一方、重量比(G/L)の値が20/80未満であるときに
は、A液とB液とを混合して形成された硬化体の圧縮強
度に関して本発明が目的とする早強性が得られない。
比(G/L)の値は、85/15〜20/80の範囲とする。重量比
(G/L)の値が85/15を超えるときには、 A-B混合液の硬
化時間に関して本発明が目的とする瞬結性が得られな
い。一方、重量比(G/L)の値が20/80未満であるときに
は、A液とB液とを混合して形成された硬化体の圧縮強
度に関して本発明が目的とする早強性が得られない。
【0025】A液に用いる石膏と石灰との合計量は、A
液とB液とを混合して得られる A-B混合液中における硬
化材としてのアルミナセメント 100重量部あたり、30重
量部以上、好ましくは50〜130 重量部の範囲とする。A-
B混合液中における石膏と石灰との合計量が、アルミナ
セメント 100重量部に対して30重量部未満であるときに
は、本発明が目的とする A-B混合液の瞬結性が得られな
い。なお、 A-B混合液中における石膏と石灰との合計量
が、アルミナセメント 100重量部あたり 130重量部を超
えても、それによる効果の向上はなく不経済である。
液とB液とを混合して得られる A-B混合液中における硬
化材としてのアルミナセメント 100重量部あたり、30重
量部以上、好ましくは50〜130 重量部の範囲とする。A-
B混合液中における石膏と石灰との合計量が、アルミナ
セメント 100重量部に対して30重量部未満であるときに
は、本発明が目的とする A-B混合液の瞬結性が得られな
い。なお、 A-B混合液中における石膏と石灰との合計量
が、アルミナセメント 100重量部あたり 130重量部を超
えても、それによる効果の向上はなく不経済である。
【0026】A液を調製する際の、水硬性セメントと石
膏と石灰の混練の順序には特に制約はない。たとえば、
水硬性セメントと石膏と石灰とを別々に施工現場に搬入
し、所定の量比で配合して水と混練する方法や、水硬性
セメントと石膏と石灰を所定の量比で予め配合したもの
を施工現場に搬入し、これを水と混練する方法など、い
ずれでもよい。後者の方法は、施工現場での作業を簡略
化でき効率的で好ましい。本発明のA液には、その安定
性を拡大するために、必要に応じて通常用いられてい
る、グルコン酸, クエン酸などの有機カルボン酸および
その塩など、各種の凝結遅延剤を添加することもでき
る。
膏と石灰の混練の順序には特に制約はない。たとえば、
水硬性セメントと石膏と石灰とを別々に施工現場に搬入
し、所定の量比で配合して水と混練する方法や、水硬性
セメントと石膏と石灰を所定の量比で予め配合したもの
を施工現場に搬入し、これを水と混練する方法など、い
ずれでもよい。後者の方法は、施工現場での作業を簡略
化でき効率的で好ましい。本発明のA液には、その安定
性を拡大するために、必要に応じて通常用いられてい
る、グルコン酸, クエン酸などの有機カルボン酸および
その塩など、各種の凝結遅延剤を添加することもでき
る。
【0027】本発明の土質安定用薬液における硬化材液
(B液)は、前記の水硬性セメントに対しての硬化材を
水と混練したものである。硬化材として用いるアルミナ
セメントは、JIS-R2511「耐火物用アルミナセメント」
規格に規定されるアルミナセメント1種〜5種、もしく
はこれに相当する品質を有するアルミナセメントであ
る。これらの内、アルミナセメント3種ないし4種もし
くはこれに相当する品質を有するものを用いることが好
ましい。
(B液)は、前記の水硬性セメントに対しての硬化材を
水と混練したものである。硬化材として用いるアルミナ
セメントは、JIS-R2511「耐火物用アルミナセメント」
規格に規定されるアルミナセメント1種〜5種、もしく
はこれに相当する品質を有するアルミナセメントであ
る。これらの内、アルミナセメント3種ないし4種もし
くはこれに相当する品質を有するものを用いることが好
ましい。
【0028】アルミナセメントは、CaO・Al2 O3 , Ca
O・2Al2 O3 などのカルシウムアルミネートを主成分
とし、4CaO・Al2 O3 ・Fe2 O3 などのカルシウムア
ルミノフェライト、2CaO・SiO2 などのカルシウムシ
リケートおよび2CaO・Al2O3 ・SiO2 などのカルシ
ウムアルミノシリケートなどの化合物で構成されるセメ
ントである。前記したように、アルミナセメントは、前
記特開昭50-16717号公報に開示された可溶性アルミとは
異なる挙動を示す。すなわち、結晶質または無定形質の
カルシウムアルミネートまたはこれにハロゲン元素が固
溶したカルシウムハロアルミネートである、12CaO・7
Al2 O3 ,3CaO・Al2 O3 または11CaO・7Al2 O3
・CaF2 を硬化材として水と混練して調製されたB液
は、それ自身が調製後3時間以内に凝結硬化してしま
う。これに対して、アルミナセメントを硬化材として水
と混練して調製されたB液の凝結硬化時間は7時間程度
であり、施工上充分なB液の安定性を確保することがで
きる。
O・2Al2 O3 などのカルシウムアルミネートを主成分
とし、4CaO・Al2 O3 ・Fe2 O3 などのカルシウムア
ルミノフェライト、2CaO・SiO2 などのカルシウムシ
リケートおよび2CaO・Al2O3 ・SiO2 などのカルシ
ウムアルミノシリケートなどの化合物で構成されるセメ
ントである。前記したように、アルミナセメントは、前
記特開昭50-16717号公報に開示された可溶性アルミとは
異なる挙動を示す。すなわち、結晶質または無定形質の
カルシウムアルミネートまたはこれにハロゲン元素が固
溶したカルシウムハロアルミネートである、12CaO・7
Al2 O3 ,3CaO・Al2 O3 または11CaO・7Al2 O3
・CaF2 を硬化材として水と混練して調製されたB液
は、それ自身が調製後3時間以内に凝結硬化してしま
う。これに対して、アルミナセメントを硬化材として水
と混練して調製されたB液の凝結硬化時間は7時間程度
であり、施工上充分なB液の安定性を確保することがで
きる。
【0029】B液におけるアルミナセメントと水との量
比は、特に制限はないが、通常、B液 200Lあたりアル
ミナセメント10〜100 kg、好ましくは20〜90kg、更に好
ましくは30〜80kgの範囲である。B液 200Lあたりのア
ルミナセメント量が10kg未満であるときは、薬液を地盤
内に注入して硬化させたときに形成される土砂固結体の
圧縮強度が低く、地盤の安定化が不充分である。一方、
B液 200Lあたりのアルミナセメント量が 100kgを超え
る場合には、B液の粘度が増大してA液とB液との混合
状態が不良となり、形成される土砂固結体の圧縮強度の
バラツキが大きくなり不均一となる。
比は、特に制限はないが、通常、B液 200Lあたりアル
ミナセメント10〜100 kg、好ましくは20〜90kg、更に好
ましくは30〜80kgの範囲である。B液 200Lあたりのア
ルミナセメント量が10kg未満であるときは、薬液を地盤
内に注入して硬化させたときに形成される土砂固結体の
圧縮強度が低く、地盤の安定化が不充分である。一方、
B液 200Lあたりのアルミナセメント量が 100kgを超え
る場合には、B液の粘度が増大してA液とB液との混合
状態が不良となり、形成される土砂固結体の圧縮強度の
バラツキが大きくなり不均一となる。
【0030】本発明の土質安定用薬液におけるB液に
は、アルミナセメントと共に、更に無機炭酸塩を併用す
る。本発明では、無機炭酸塩をB液に併用することが要
件の一つである。無機炭酸塩をA液に添加したときに
は、A液の安定性が得られず、また、 A-B混合液の硬化
時間に関して本発明で規定する瞬結性が得られない。
は、アルミナセメントと共に、更に無機炭酸塩を併用す
る。本発明では、無機炭酸塩をB液に併用することが要
件の一つである。無機炭酸塩をA液に添加したときに
は、A液の安定性が得られず、また、 A-B混合液の硬化
時間に関して本発明で規定する瞬結性が得られない。
【0031】B液に併用する無機炭酸塩としては、水硬
性セメントに添加したときに水硬性セメントの硬化を促
進する性質を有するものを用いることができる。このよ
うなものとしては、たとえば、Li2 CO3 , Na2 CO3 , K
2 CO3 などのアルカリ金属の炭酸塩やアルカリ土類金属
の炭酸塩であるMgCO3 などを挙げることができ、これら
は一種ないし二種以上を用いることができる。この内、
K2 CO3 は形成される硬化体の圧縮強度の発現上最も好
ましい。
性セメントに添加したときに水硬性セメントの硬化を促
進する性質を有するものを用いることができる。このよ
うなものとしては、たとえば、Li2 CO3 , Na2 CO3 , K
2 CO3 などのアルカリ金属の炭酸塩やアルカリ土類金属
の炭酸塩であるMgCO3 などを挙げることができ、これら
は一種ないし二種以上を用いることができる。この内、
K2 CO3 は形成される硬化体の圧縮強度の発現上最も好
ましい。
【0032】B液に対する無機炭酸塩の添加量は、B液
と前記のA液とを混合して得られるA-B混合液中におけ
る主材としてのアルミナセメントを除く水硬性セメント
100重量部あたり、2〜9重量部の範囲となるようにす
る。A-B混合液中におけるアルミナセメントを除く水硬
性セメント 100重量部に対する無機炭酸塩の量が、2重
量部未満であるとき、または、9重量部を超えるとき
は、本発明で規定する A-B混合液の瞬結性が得られな
い。B液を調製する際に添加する無機炭酸塩は、混練水
に完全に溶解させ、不溶解分を残さないようにすること
が、本発明の効果を発揮させる上で好ましい。
と前記のA液とを混合して得られるA-B混合液中におけ
る主材としてのアルミナセメントを除く水硬性セメント
100重量部あたり、2〜9重量部の範囲となるようにす
る。A-B混合液中におけるアルミナセメントを除く水硬
性セメント 100重量部に対する無機炭酸塩の量が、2重
量部未満であるとき、または、9重量部を超えるとき
は、本発明で規定する A-B混合液の瞬結性が得られな
い。B液を調製する際に添加する無機炭酸塩は、混練水
に完全に溶解させ、不溶解分を残さないようにすること
が、本発明の効果を発揮させる上で好ましい。
【0033】本発明の土質安定用薬液は、A液とB液と
を混合して使用する。A液とB液とは、A液とB液との
混合液中のアルミナセメントを除く水硬性セメント 100
重量部あたり、アルミナセメント量が18重量部以上、好
ましくは20〜40重量部の範囲となる量比で混合して使用
する。A-B混合液中のアルミナセメントを除く水硬性セ
メント 100重量部に対して、アルミナセメント量が18重
量部未満であるときは、A-B 混合液の硬化時間に関して
本発明の目的とする瞬結性が得られない。なお、アルミ
ナセメント量を40重量部を超える量としても、それによ
る効果の向上はなく不経済である。
を混合して使用する。A液とB液とは、A液とB液との
混合液中のアルミナセメントを除く水硬性セメント 100
重量部あたり、アルミナセメント量が18重量部以上、好
ましくは20〜40重量部の範囲となる量比で混合して使用
する。A-B混合液中のアルミナセメントを除く水硬性セ
メント 100重量部に対して、アルミナセメント量が18重
量部未満であるときは、A-B 混合液の硬化時間に関して
本発明の目的とする瞬結性が得られない。なお、アルミ
ナセメント量を40重量部を超える量としても、それによ
る効果の向上はなく不経済である。
【0034】本発明の土質安定用薬液を用いる地盤安定
化工法においては、A液とB液とを前記の各量比の規定
を満たす比率で混合して地盤内に注入する。このような
量比の規定を満たすようにA液とB液とを混合する方法
としては、たとえば、単位容量のA液中の水硬性セメン
トの重量を 100としたときに、A液と等容量のB液中の
アルミナセメントの重量が18以上、無機炭酸塩の重量が
2〜9の範囲となるように配合して調製したB液と、こ
のB液中のアルミナセメントの重量を 100としたとき
に、A液中の石膏(G) と石灰(L) との重量比(G/L)が、
85/15〜20/80の範囲となるように石膏と石灰とを、そ
の合計重量(G+L)が30以上となるように配合して調製し
たA液とをそれぞれ、単位時間当りの送液容量が等しい
ポンプを用いて個別にY字管、撹拌装置、注入管内に設
けられた混合室-管内混合器・管路混合器などに圧送し
て合流させ混合する方法が挙げられる。
化工法においては、A液とB液とを前記の各量比の規定
を満たす比率で混合して地盤内に注入する。このような
量比の規定を満たすようにA液とB液とを混合する方法
としては、たとえば、単位容量のA液中の水硬性セメン
トの重量を 100としたときに、A液と等容量のB液中の
アルミナセメントの重量が18以上、無機炭酸塩の重量が
2〜9の範囲となるように配合して調製したB液と、こ
のB液中のアルミナセメントの重量を 100としたとき
に、A液中の石膏(G) と石灰(L) との重量比(G/L)が、
85/15〜20/80の範囲となるように石膏と石灰とを、そ
の合計重量(G+L)が30以上となるように配合して調製し
たA液とをそれぞれ、単位時間当りの送液容量が等しい
ポンプを用いて個別にY字管、撹拌装置、注入管内に設
けられた混合室-管内混合器・管路混合器などに圧送し
て合流させ混合する方法が挙げられる。
【0035】本発明の地盤安定化工法においては、A液
とB液との混合液を、単管式・多重管式・多管式などの
各種注入管を用いて地盤内に注入し硬化させて地盤を安
定化させる。また、噴射ノズルを有する注入管を用いて
圧力50〜1000kg/cm2 で噴射注入することもできる。
とB液との混合液を、単管式・多重管式・多管式などの
各種注入管を用いて地盤内に注入し硬化させて地盤を安
定化させる。また、噴射ノズルを有する注入管を用いて
圧力50〜1000kg/cm2 で噴射注入することもできる。
【0036】本発明の土質安定用薬液には、必要に応じ
て、減水剤・消泡剤・増粘剤など、通常用いられる各種
のセメント混和剤を添加することができる。これらのセ
メント添加剤は、A液またはB液のいずれか一方もしく
は両方に添加して用いることができる。このような減水
剤としては、リグニンスルホン酸塩またはその誘導体・
オキシ有機酸塩・アルキルアリルスルホン酸塩・ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル・ポリオール複合体・高
級多価アルコールスルホン酸塩・メラミンホルマリン縮
合物スルホン酸塩などを主成分とする各種の減水剤・分
散剤・高性能減水剤・流動化剤を挙げることができる。
て、減水剤・消泡剤・増粘剤など、通常用いられる各種
のセメント混和剤を添加することができる。これらのセ
メント添加剤は、A液またはB液のいずれか一方もしく
は両方に添加して用いることができる。このような減水
剤としては、リグニンスルホン酸塩またはその誘導体・
オキシ有機酸塩・アルキルアリルスルホン酸塩・ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル・ポリオール複合体・高
級多価アルコールスルホン酸塩・メラミンホルマリン縮
合物スルホン酸塩などを主成分とする各種の減水剤・分
散剤・高性能減水剤・流動化剤を挙げることができる。
【0037】また、消泡剤としては、高級アルコール系
・アルキルフェノール系・ジエチレングリコール系・ジ
ブチルフタレート系・非水溶性アルコール系・トリブチ
ルホスフェート系・ポリグリコール系・シリコーン系・
酸化エチレン−酸化プロピレン共重合物系などの各種の
消泡剤を挙げることができる。
・アルキルフェノール系・ジエチレングリコール系・ジ
ブチルフタレート系・非水溶性アルコール系・トリブチ
ルホスフェート系・ポリグリコール系・シリコーン系・
酸化エチレン−酸化プロピレン共重合物系などの各種の
消泡剤を挙げることができる。
【0038】また、増粘剤としては、メチルセルロース
・エチルセルロース・ヒドロキシエチルセルロース・ヒ
ドロキシプロピルセルロース・ヒドロキシエチルメチル
セルロース・ヒドロキシブチルメチルセルロース・ヒド
ロキシエチルエチルセルロース・カルボキシメチルセル
ロースなどのセルロースエーテル系;ポリアクリルアミ
ド・ポリアクリル酸ソーダ・ポリアクリルアミド−ポリ
アクリル酸ソーダ共重合物・ポリアクリルアミド部分加
水分解物などのアクリル系ポリマー;ポリビニルアルコ
ール,ポリエチレンオキサイド,アルギン酸ソーダ,カ
ゼイン,グアガムなどの水溶性ポリマーなど各種の増粘
剤を挙げることができる。
・エチルセルロース・ヒドロキシエチルセルロース・ヒ
ドロキシプロピルセルロース・ヒドロキシエチルメチル
セルロース・ヒドロキシブチルメチルセルロース・ヒド
ロキシエチルエチルセルロース・カルボキシメチルセル
ロースなどのセルロースエーテル系;ポリアクリルアミ
ド・ポリアクリル酸ソーダ・ポリアクリルアミド−ポリ
アクリル酸ソーダ共重合物・ポリアクリルアミド部分加
水分解物などのアクリル系ポリマー;ポリビニルアルコ
ール,ポリエチレンオキサイド,アルギン酸ソーダ,カ
ゼイン,グアガムなどの水溶性ポリマーなど各種の増粘
剤を挙げることができる。
【0039】
【実施例】次に、実施例および比較例によって、本発明
を具体的に説明する。本発明は、これらの実施例に限定
されるものではない。 実施例および比較例 ・A液: 水硬性セメントとしての普通ポルトランドセメ
ント 120kgに、表1に示す量比となるようブレーン値を
調整した各種の石膏および石灰を、また、比較のために
無機塩を、それぞれ配合し、水を加えて混練し、練り上
がりの容量が200 Lとなるように水量を調整して調製し
た。 ・B液: アルミナセメント(JIS-R2511, 3種)を硬化
材とし、表1に示す量比となるよう各種の無機塩を、ま
た比較のために各種の石膏および石灰を、それぞれ配合
し、水を加えて混練し、練り上がりの容量が200 Lとな
るように水量を調整して調製した。 ・試験に使用した材料: 普通ポルトランドセメント…
市販品 石膏… 市販品,( III型無水石膏は, 試薬1級) 石灰… 市販品,(生石灰は, 試薬1級) 無機塩… 試薬1級
を具体的に説明する。本発明は、これらの実施例に限定
されるものではない。 実施例および比較例 ・A液: 水硬性セメントとしての普通ポルトランドセメ
ント 120kgに、表1に示す量比となるようブレーン値を
調整した各種の石膏および石灰を、また、比較のために
無機塩を、それぞれ配合し、水を加えて混練し、練り上
がりの容量が200 Lとなるように水量を調整して調製し
た。 ・B液: アルミナセメント(JIS-R2511, 3種)を硬化
材とし、表1に示す量比となるよう各種の無機塩を、ま
た比較のために各種の石膏および石灰を、それぞれ配合
し、水を加えて混練し、練り上がりの容量が200 Lとな
るように水量を調整して調製した。 ・試験に使用した材料: 普通ポルトランドセメント…
市販品 石膏… 市販品,( III型無水石膏は, 試薬1級) 石灰… 市販品,(生石灰は, 試薬1級) 無機塩… 試薬1級
【0040】上記のようにして調製したA液とB液を用
いて後記の項目の試験を行った。表1-(a)および(b)
に、石膏および石灰の種類・ブレーン値・各配合先の液
種別(A液またはB液)、無機塩の種類・配合先の液種
別、ならびに A-B混合液中における、石膏(G) と石灰
(L) との重量比(G/L) 、アルミナセメント量(AC)に対す
る石膏と石灰との合計量の重量比( (G+L)/AC )、アル
ミナセメントを除く水硬性セメントとしてのポルトラン
ドセメント量(PC)に対する無機塩(S) の重量比(S/PC)
、ポルトランドセメント量に対するアルミナセメント
量の重量比( AC/PC )を示した。
いて後記の項目の試験を行った。表1-(a)および(b)
に、石膏および石灰の種類・ブレーン値・各配合先の液
種別(A液またはB液)、無機塩の種類・配合先の液種
別、ならびに A-B混合液中における、石膏(G) と石灰
(L) との重量比(G/L) 、アルミナセメント量(AC)に対す
る石膏と石灰との合計量の重量比( (G+L)/AC )、アル
ミナセメントを除く水硬性セメントとしてのポルトラン
ドセメント量(PC)に対する無機塩(S) の重量比(S/PC)
、ポルトランドセメント量に対するアルミナセメント
量の重量比( AC/PC )を示した。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】表1に示した、実験条件として設定した A
-B混合液中における各重量比の値の組合せのいくつかと
それに対応する、A液およびB液の配合処方の例を、次
に示す。 《A液 200Lあたりの配合処方》 A- A- A- ・普通ポルトランドセメント(PC) kg, 120 120 120 ・石膏(G) kg, 18 6 36 ・石灰(L) kg, 12 24 24 《B液 200Lあたりの配合処方》 B- B- B- ・アルミナセメント(AC) kg, 30 30 60 ・無機炭酸塩(S) kg, 6 6 6 《対応する配合処方を組み合わせたときの、A-B 混合液中における各重量比》 ・G/L: 60 / 40, 20 / 80, 60 / 40, ・AC 100 部あたりの (G+L): 100 100 100 ・PC 100 部あたりの S: 5 5 5 ・PC 100 部あたりの AC: 25 25 50 なお、実験No. 4〜6, 15〜19および31〜37では、それ
ぞれA液 200Lあたりクエン酸 0.3kgを添加した。
-B混合液中における各重量比の値の組合せのいくつかと
それに対応する、A液およびB液の配合処方の例を、次
に示す。 《A液 200Lあたりの配合処方》 A- A- A- ・普通ポルトランドセメント(PC) kg, 120 120 120 ・石膏(G) kg, 18 6 36 ・石灰(L) kg, 12 24 24 《B液 200Lあたりの配合処方》 B- B- B- ・アルミナセメント(AC) kg, 30 30 60 ・無機炭酸塩(S) kg, 6 6 6 《対応する配合処方を組み合わせたときの、A-B 混合液中における各重量比》 ・G/L: 60 / 40, 20 / 80, 60 / 40, ・AC 100 部あたりの (G+L): 100 100 100 ・PC 100 部あたりの S: 5 5 5 ・PC 100 部あたりの AC: 25 25 50 なお、実験No. 4〜6, 15〜19および31〜37では、それ
ぞれA液 200Lあたりクエン酸 0.3kgを添加した。
【0044】試験項目、試験方法ならびに表示記号と評
価内容は、次のとおりである。 ・A液またはB液の安定性… 液温度20℃で調製したA
液またはB液を、それぞれ単独でビーカー内で静置し、
調製してから硬化物が生成するまでに要した時間を測定
した。 ○…調製後、硬化物が生成するまでに3時間以上要し
た。(A液またはB液単独では、調製後3時間以上硬化
しない。) ×…調製後、3時間未満で硬化物が生成した。
価内容は、次のとおりである。 ・A液またはB液の安定性… 液温度20℃で調製したA
液またはB液を、それぞれ単独でビーカー内で静置し、
調製してから硬化物が生成するまでに要した時間を測定
した。 ○…調製後、硬化物が生成するまでに3時間以上要し
た。(A液またはB液単独では、調製後3時間以上硬化
しない。) ×…調製後、3時間未満で硬化物が生成した。
【0045】・硬化時間… 液温度20℃と5℃のそれぞ
れにおいて、調製したA液とB液の等容量づつをよく混
合して容器内に静置し、混合後容器を傾けても内容物が
動かなくなるまでの所要時間を測定し、硬化時間とし
た。 ○…硬化時間が、1分以内であった。 ×…硬化時間が、1分よりも長かった。
れにおいて、調製したA液とB液の等容量づつをよく混
合して容器内に静置し、混合後容器を傾けても内容物が
動かなくなるまでの所要時間を測定し、硬化時間とし
た。 ○…硬化時間が、1分以内であった。 ×…硬化時間が、1分よりも長かった。
【0046】・硬化体の圧縮強度… 温度20℃と5℃の
それぞれにおいて、調製したA液とB液の等容量の混合
液を円柱型の型枠 (径5cm×高さ10cm) 内に流し込み、
形成された硬化体の材令1日の一軸圧縮強度値を測定し
た。 ○…一軸圧縮強度値が、2kg/cm2 以上であった。 ×…一軸圧縮強度値が、2kg/cm2 未満であった。
それぞれにおいて、調製したA液とB液の等容量の混合
液を円柱型の型枠 (径5cm×高さ10cm) 内に流し込み、
形成された硬化体の材令1日の一軸圧縮強度値を測定し
た。 ○…一軸圧縮強度値が、2kg/cm2 以上であった。 ×…一軸圧縮強度値が、2kg/cm2 未満であった。
【0047】各試験における、A液およびB液の安定
性、 A-B混合液の硬化時間、ならびに形成された硬化体
の圧縮強度値の、それぞれについての評価の結果および
総合評価を、表2-(a)および(b) に示した。 ・総合評価 ○…A液およびB液の安定性、 A-B混合液の硬化時間お
よび形成された硬化体の圧縮強度値のいずれの評価結果
も、○であった。 ×…A液またはB液の安定性、 A-B混合液の硬化時間お
よび形成された硬化体の圧縮強度値のいずれかの評価結
果が、×であった。
性、 A-B混合液の硬化時間、ならびに形成された硬化体
の圧縮強度値の、それぞれについての評価の結果および
総合評価を、表2-(a)および(b) に示した。 ・総合評価 ○…A液およびB液の安定性、 A-B混合液の硬化時間お
よび形成された硬化体の圧縮強度値のいずれの評価結果
も、○であった。 ×…A液またはB液の安定性、 A-B混合液の硬化時間お
よび形成された硬化体の圧縮強度値のいずれかの評価結
果が、×であった。
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】実験No. 1〜2は、石灰ならびに無機炭酸
塩を用いなかった場合で、いずれの場合にも、 A-B混合
液は1分以内で硬化せず、本発明が目的とする瞬結性が
得られなかった。
塩を用いなかった場合で、いずれの場合にも、 A-B混合
液は1分以内で硬化せず、本発明が目的とする瞬結性が
得られなかった。
【0051】実験No. 3〜7は、A液中でアルミナセメ
ントを除く水硬性セメントと共に用いた石膏の種類の影
響を示す。石膏として、II型無水石膏、 III型無水石
膏、α半水石膏、β半水石膏または2水石膏を用いたと
き、いずれの場合にも、A液およびB液の安定性、 A-B
混合液の硬化時間ならびに形成された硬化体の圧縮強度
値は、それぞれ本発明の規定を満たし、本発明が目的と
する安定性・瞬結性・早強性が得られた。
ントを除く水硬性セメントと共に用いた石膏の種類の影
響を示す。石膏として、II型無水石膏、 III型無水石
膏、α半水石膏、β半水石膏または2水石膏を用いたと
き、いずれの場合にも、A液およびB液の安定性、 A-B
混合液の硬化時間ならびに形成された硬化体の圧縮強度
値は、それぞれ本発明の規定を満たし、本発明が目的と
する安定性・瞬結性・早強性が得られた。
【0052】実験No. 3, 8および9は、A液中でアル
ミナセメントを除く水硬性セメントと共に用いた石灰の
種類の影響を示す。石灰として炭酸カルシウムを用いた
場合には、本発明が目的とする瞬結性が得られなかった
(実験No. 9)。
ミナセメントを除く水硬性セメントと共に用いた石灰の
種類の影響を示す。石灰として炭酸カルシウムを用いた
場合には、本発明が目的とする瞬結性が得られなかった
(実験No. 9)。
【0053】実験No. 10〜14は、A液中でアルミナセメ
ントを除く水硬性セメントと共に用いた石膏のブレーン
値の影響を示す。ブレーン値が3000cm2 /g未満では、
本発明が目的とする早強性が得られなかった (実験No.
10) 。
ントを除く水硬性セメントと共に用いた石膏のブレーン
値の影響を示す。ブレーン値が3000cm2 /g未満では、
本発明が目的とする早強性が得られなかった (実験No.
10) 。
【0054】実験No. 15〜19は、A液中でアルミナセメ
ントを除く水硬性セメントと共に用いた石灰のブレーン
値の影響を示す。ブレーン値が3000cm2 /g未満では、
本発明が目的とする瞬結性が得られなかった (実験No.
15) 。
ントを除く水硬性セメントと共に用いた石灰のブレーン
値の影響を示す。ブレーン値が3000cm2 /g未満では、
本発明が目的とする瞬結性が得られなかった (実験No.
15) 。
【0055】実験No. 3および20〜23は、B液中でアル
ミナセメントと共に用いた無機塩の種類の影響を示す。
アルカリ金属の酸性炭酸塩であるKHCO3 ,アルカリ金属
のアルミン酸塩であるNa2 Al2 O4 ,アルカリ土類金属
の塩化物であるCaCl2 などは、いずれも、水硬性セメン
トに対して硬化促進の性能を有する化合物である。しか
し、B液中でアルミナセメントと共に用いる無機塩とし
てこれらを用いた場合には、いずれも本発明が目的とす
る瞬結性が得られず (実験No. 21〜23) 、また、アルカ
リ金属のアルミン酸塩やアルカリ土類金属の塩化物を用
いた場合には、本発明が目的とするB液の安定性が得ら
れず (実験No. 22, 23) 、アルカリ土類金属の塩化物を
用いた場合には、更に本発明が目的とする早強性も得ら
れなかった (実験No. 23) 。
ミナセメントと共に用いた無機塩の種類の影響を示す。
アルカリ金属の酸性炭酸塩であるKHCO3 ,アルカリ金属
のアルミン酸塩であるNa2 Al2 O4 ,アルカリ土類金属
の塩化物であるCaCl2 などは、いずれも、水硬性セメン
トに対して硬化促進の性能を有する化合物である。しか
し、B液中でアルミナセメントと共に用いる無機塩とし
てこれらを用いた場合には、いずれも本発明が目的とす
る瞬結性が得られず (実験No. 21〜23) 、また、アルカ
リ金属のアルミン酸塩やアルカリ土類金属の塩化物を用
いた場合には、本発明が目的とするB液の安定性が得ら
れず (実験No. 22, 23) 、アルカリ土類金属の塩化物を
用いた場合には、更に本発明が目的とする早強性も得ら
れなかった (実験No. 23) 。
【0056】実験No. 24〜30は、 A-B混合液中での、石
膏(G) と石灰(L) との重量比(G/L)の影響を示す。石灰
を用いないか、石灰を用いても本発明で規定する量比範
囲に満たない場合 - 重量比(G/L) の値が85/15よりも大で、石灰が少ない
ときには、本発明が目的とする瞬結性が得られなかった
(実験No. 24, 25) 。一方、石膏を用いないか、用いて
も本発明で規定する量比範囲に満たない場合 - 重量比(G/L) の値が20/80よりも小で、石膏が少ない
ときには、本発明が目的とする早強性が得られなかった
(実験No. 29, 30) 。
膏(G) と石灰(L) との重量比(G/L)の影響を示す。石灰
を用いないか、石灰を用いても本発明で規定する量比範
囲に満たない場合 - 重量比(G/L) の値が85/15よりも大で、石灰が少ない
ときには、本発明が目的とする瞬結性が得られなかった
(実験No. 24, 25) 。一方、石膏を用いないか、用いて
も本発明で規定する量比範囲に満たない場合 - 重量比(G/L) の値が20/80よりも小で、石膏が少ない
ときには、本発明が目的とする早強性が得られなかった
(実験No. 29, 30) 。
【0057】実験No. 31〜33は、石膏や石灰を、A液で
はなくB液に配合したときの影響を示す。石灰のみをA
液に配合し、石膏をA液ではなくB液に配合した場合に
は、本発明が目的とする瞬結性が得られなかった (実験
No. 31) 。一方、石膏のみをA液に配合し、石灰をA液
ではなくB液に配合した場合には、B液の安定性が得ら
れなかった (実験No. 32) 。また、石膏と石灰の両方
を、A液ではなくB液に配合した場合には、B液の安定
性が得られず、更に、本発明が目的とする瞬結性が得ら
れなかった (実験No. 33) 。
はなくB液に配合したときの影響を示す。石灰のみをA
液に配合し、石膏をA液ではなくB液に配合した場合に
は、本発明が目的とする瞬結性が得られなかった (実験
No. 31) 。一方、石膏のみをA液に配合し、石灰をA液
ではなくB液に配合した場合には、B液の安定性が得ら
れなかった (実験No. 32) 。また、石膏と石灰の両方
を、A液ではなくB液に配合した場合には、B液の安定
性が得られず、更に、本発明が目的とする瞬結性が得ら
れなかった (実験No. 33) 。
【0058】実験No. 34〜37は、 A-B混合液中におけ
る、アルミナセメント量(AC)に対する石膏(G) と石灰
(L) との合計量の重量比( (G+L)/AC )の影響を示す。
この量比が本発明で規定する要件を満たさない場合- ア
ルミナセメント量(AC)100重量部あたりの石膏と石灰と
の合計量(G+L)が、30重量部未満であるときには、本発
明が目的とする瞬結性が得られなかった (実験No. 34)
。
る、アルミナセメント量(AC)に対する石膏(G) と石灰
(L) との合計量の重量比( (G+L)/AC )の影響を示す。
この量比が本発明で規定する要件を満たさない場合- ア
ルミナセメント量(AC)100重量部あたりの石膏と石灰と
の合計量(G+L)が、30重量部未満であるときには、本発
明が目的とする瞬結性が得られなかった (実験No. 34)
。
【0059】実験No. 38〜41は、 A-B混合液中におけ
る、アルミナセメントを除く水硬性セメントとしてのポ
ルトランドセメント量(PC)に対する、無機炭酸塩(S) の
重量比(S/PC) の影響を示す。この量比が、本発明で規
定する要件を満たさない場合- アルミナセメントを除く
水硬性セメントとしてのポルトランドセメント量(PC) 1
00重量部あたりの無機炭酸塩の量(S) が、2重量部未満
であるか、または9重量部を超えるときには、本発明が
目的とする瞬結性が得られなかった (実験No. 38, 41)
。
る、アルミナセメントを除く水硬性セメントとしてのポ
ルトランドセメント量(PC)に対する、無機炭酸塩(S) の
重量比(S/PC) の影響を示す。この量比が、本発明で規
定する要件を満たさない場合- アルミナセメントを除く
水硬性セメントとしてのポルトランドセメント量(PC) 1
00重量部あたりの無機炭酸塩の量(S) が、2重量部未満
であるか、または9重量部を超えるときには、本発明が
目的とする瞬結性が得られなかった (実験No. 38, 41)
。
【0060】実験No. 42は、無機炭酸塩を、B液でなく
A液側に配合した場合の影響を示すもので、A液の安定
性が得られず、更に、本発明が目的とする瞬結性が得ら
れなかった。
A液側に配合した場合の影響を示すもので、A液の安定
性が得られず、更に、本発明が目的とする瞬結性が得ら
れなかった。
【0061】実験No. 43〜47は、 A-B混合液中での、ア
ルミナセメントを除く水硬性セメントとしてのポルトラ
ンドセメント量(PC)に対する、アルミナセメントの量(A
C)の重量比( AC/PC )の影響を示す。この量比が、本発
明で規定する要件を満たさない場合- アルミナセメント
を除く水硬性セメントとしてのポルトランドセメント量
(PC) 100重量部あたりの、アルミナセメントの量(AC)
が、18重量部未満であるときには、本発明が目的とする
瞬結性が得られなかった (実験No. 43) 。
ルミナセメントを除く水硬性セメントとしてのポルトラ
ンドセメント量(PC)に対する、アルミナセメントの量(A
C)の重量比( AC/PC )の影響を示す。この量比が、本発
明で規定する要件を満たさない場合- アルミナセメント
を除く水硬性セメントとしてのポルトランドセメント量
(PC) 100重量部あたりの、アルミナセメントの量(AC)
が、18重量部未満であるときには、本発明が目的とする
瞬結性が得られなかった (実験No. 43) 。
【0062】これに対して、本発明の要件を満たした場
合には、A液およびB液共、単独では調製後3時間以上
凝結硬化を起こさない。また、A液とB液との混合液
は、液温が5℃ないし20℃の場合いずれも、混合後1分
以内に硬化し、形成された硬化体(材令1日)の一軸圧
縮強度値は、養生温度5℃ないし20℃の場合共、2kg/
cm2 以上であって、本発明で規定する安定性・瞬結性・
早強性が得られ、本発明の目的を達成することができ
た。(実験No. 3〜8, 11〜14, 16〜20, 26〜28, 35〜3
7, 39, 40, 44〜47).
合には、A液およびB液共、単独では調製後3時間以上
凝結硬化を起こさない。また、A液とB液との混合液
は、液温が5℃ないし20℃の場合いずれも、混合後1分
以内に硬化し、形成された硬化体(材令1日)の一軸圧
縮強度値は、養生温度5℃ないし20℃の場合共、2kg/
cm2 以上であって、本発明で規定する安定性・瞬結性・
早強性が得られ、本発明の目的を達成することができ
た。(実験No. 3〜8, 11〜14, 16〜20, 26〜28, 35〜3
7, 39, 40, 44〜47).
【0063】
【発明の効果】本発明により、水硬性セメントと水の混
練物であるA液と、硬化材と水の混練物であるB液を別
々に調製しておき、施工時に両液を混合して地盤内に注
入する土質安定用薬液および地盤安定化工法において、
凝結遅延剤を添加することなくA液およびB液の充分な
安定性を確保して、薬液の地盤注入前に凝結硬化を起こ
して施工できなくなる恐れを解消し、A液とB液との混
合液は、液温が低い場合でも1分以内に硬化し、かつ、
形成された硬化体の圧縮強度の発現が低温下でも良好で
ある、安定性・瞬結性・早強性を併せもつ土質安定用薬
液とそれを用いる地盤安定化工法を提供することができ
る。これにより、注入した薬液が流水に接触する可能性
のあるような特殊な地盤でも、薬液が硬化前に流水に流
されてしまうことなく、より確実に地盤を安定化させる
ことができる。
練物であるA液と、硬化材と水の混練物であるB液を別
々に調製しておき、施工時に両液を混合して地盤内に注
入する土質安定用薬液および地盤安定化工法において、
凝結遅延剤を添加することなくA液およびB液の充分な
安定性を確保して、薬液の地盤注入前に凝結硬化を起こ
して施工できなくなる恐れを解消し、A液とB液との混
合液は、液温が低い場合でも1分以内に硬化し、かつ、
形成された硬化体の圧縮強度の発現が低温下でも良好で
ある、安定性・瞬結性・早強性を併せもつ土質安定用薬
液とそれを用いる地盤安定化工法を提供することができ
る。これにより、注入した薬液が流水に接触する可能性
のあるような特殊な地盤でも、薬液が硬化前に流水に流
されてしまうことなく、より確実に地盤を安定化させる
ことができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 アルミナセメントを除く水硬性セメント
を含んでなる主材液と、アルミナセメントを含んでなる
硬化材液とを組み合わせて地盤内に注入する土質安定用
薬液であって、主材液にブレーン値が共に3000cm2 /g
以上である石膏と石灰とを重量比(石膏/石灰)が85/
15〜20/80の範囲で、一方、硬化材液に無機炭酸塩を、
それぞれ配合し、主材液と硬化材液との混合液中におい
てアルミナセメント 100重量部に対して石膏と石灰との
合計量が30重量部以上であり、アルミナセメントを除く
水硬性セメント 100重量部に対して、アルミナセメント
が18重量部以上であり、かつ、無機炭酸塩が2〜9重量
部の範囲であるように混合して用いることを特徴とする
土質安定用薬液。 - 【請求項2】 無機炭酸塩が、水硬性セメントの硬化を
促進する性質を有する、アルカリ金属の炭酸塩またはア
ルカリ土類金属の炭酸塩の少なくとも一種である請求項
1記載の土質安定用薬液。 - 【請求項3】 無機炭酸塩が、Li2 CO3 , Na2 CO3 , K
2 CO3 およびMgCO3からなる群から選ばれた少なくとも
一種である請求項1記載の土質安定用薬液。 - 【請求項4】 アルミナセメントを除く水硬性セメント
を含んでなる主材液と、アルミナセメントを含んでなる
硬化材液とを組み合わせて地盤内に注入する地盤安定化
工法において、主材液にブレーン値が共に3000cm2 /g
以上である石膏と石灰とを重量比(石膏/石灰)が85/
15〜20/80の範囲で、一方、硬化材液に無機炭酸塩を、
それぞれ配合し、主材液と硬化材液との混合液中におい
てアルミナセメント 100重量部に対して石膏と石灰との
合計量が30重量部以上であり、アルミナセメントを除く
水硬性セメント 100重量部に対して、アルミナセメント
が18重量部以上であり、かつ、無機炭酸塩が2〜9重量
部の範囲であるように混合して地盤内に注入することを
特徴とする地盤安定化工法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34708893A JP2929353B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 土質安定用薬液およびそれを用いた地盤安定化工法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34708893A JP2929353B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 土質安定用薬液およびそれを用いた地盤安定化工法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07188658A true JPH07188658A (ja) | 1995-07-25 |
JP2929353B2 JP2929353B2 (ja) | 1999-08-03 |
Family
ID=18387833
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34708893A Expired - Fee Related JP2929353B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 土質安定用薬液およびそれを用いた地盤安定化工法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2929353B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008031305A (ja) * | 2006-07-28 | 2008-02-14 | Tokuyama Corp | 土質安定用地盤注入材 |
JP2015229684A (ja) * | 2014-06-03 | 2015-12-21 | 株式会社菱晃 | 硬化材、硬化材液、土質安定用薬液、該薬液の製造方法、及び地盤安定化工法 |
-
1993
- 1993-12-27 JP JP34708893A patent/JP2929353B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008031305A (ja) * | 2006-07-28 | 2008-02-14 | Tokuyama Corp | 土質安定用地盤注入材 |
JP2015229684A (ja) * | 2014-06-03 | 2015-12-21 | 株式会社菱晃 | 硬化材、硬化材液、土質安定用薬液、該薬液の製造方法、及び地盤安定化工法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2929353B2 (ja) | 1999-08-03 |
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