JP3506798B2 - 土質安定用薬液およびそれを用いた地盤安定化工法 - Google Patents
土質安定用薬液およびそれを用いた地盤安定化工法Info
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Description
それを用いた地盤安定化工法に関する。
く) と水との混練物を主材液 (A液ともいう) とし、ア
ルミナセメントと水との混練物を硬化材液 (B液ともい
う) として、これらを組み合わせて地盤内に注入すると
A液とB液との混合液は数分〜数十分で硬化することが
知られている。
と無機硫酸塩との混合物を、セメント急硬剤としてセメ
ントと混合する急硬性セメントの施工方法が開示され、
そして、可溶性アルミとしては、結晶質および(また
は)無定形質のカルシウムアルミネートとこれにハロゲ
ン元素が固溶したカルシウムハロアルミネートであり、
特に好ましい鉱物は12CaO・7Al2 O3 またはこれにハ
ロゲン元素が固溶した無定形物であることが、また、無
機硫酸塩としては、無水,半水,二水のセッコウなどが
使用でき、好ましくは無水セッコウであることが、記載
されている。また、アルミナセメントとセッコウの混合
物を添加したセメントが、急硬性セメントとして既に知
られていることが記載されている。
公報にも記載されているように、一般に急硬性セメント
は、短時間内に強度を発現する性質を有している反面、
凝結時間が短いので取り扱い中に凝結硬化してしまい施
工に支障をきたすという問題点がある。その対策として
一般に、その凝結硬化を遅らせるために、急硬性セメン
トにグルコン酸、クエン酸等の有機カルボン酸やその塩
などの凝結遅延剤を添加することが実施工の場面では必
要不可欠である。ところが、凝結遅延剤を添加した場合
でも、その効果は添加した凝結遅延剤の種類や量により
変化し、更に温度や混練時間などの実施工における種々
の付帯条件の影響を受ける。
するセメント急硬剤としてのアルミナセメントとセッコ
ウとの混合物または前記特開昭50-16717号公報に開示さ
れた可溶性アルミと無機硫酸塩との混合物と、水との混
練物を硬化材液 (B液) として、これらを組み合わせて
地盤内に注入する地盤安定化工法においても、前記した
と同様の問題点がある。
50-16717号公報に開示された、結晶質または無定形質の
カルシウムアルミネートまたはこれにハロゲン元素が固
溶したカルシウムハロアルミネートである、12CaO・7
Al2 O3 ,3CaO・Al2 O3または11CaO・7Al2 O3
・CaF2 を用いてB液を調製した場合には、B液それ自
身が長くとも30分以内には凝結硬化してしまうので、実
施工の場面では地盤内への注入作業中に、調液槽内やB
液を圧送するための配管やポンプ内で硬化物が生成し、
作業を継続することができなくなる恐れがある。
液の安定性を確保するには、B液を調製する際に、グル
コン酸、クエン酸などの有機カルボン酸やその塩などの
凝結遅延剤を添加することが必要であり、また凝結遅延
剤を添加しても、その効果は添加した凝結遅延剤の種類
や量により変化し、更に温度や混練時間などの実施工に
おける種々の付帯条件の影響を受け、施工中、地盤内へ
の注入前に不測の凝結硬化が起こってB液を圧送でき
ず、施工できなくなるという問題点がある。また、B液
の硬化を遅延させるための凝結遅延剤は、セメント急硬
材を水と混練してB液を調製する前に、あらかじめB液
調製用の混練水に溶解させておくことを要し、施工現場
での作業を煩雑なものにするという問題点もある。
・Al2 O3 を用いたB液は、調製する際の水とカルシウ
ムアルミネートとの量比にもよるが、3時間以上硬化せ
ず、また、アルミナセメントを用いたB液はその硬化時
間が7時間程度であり、いずれも施工上充分なB液の安
定性を確保することはできるが、これらのB液A液とを
混合して形成される硬化体は、その圧縮強度が低いとい
う問題点があった。
添加してもB液の安定性が悪かったり、B液の安定性が
確保できてもA液とB液との混合液の地盤内での浸透性
が悪かったり、あるいは、形成される硬化体の圧縮強度
の発現が低いという問題点がある。更に、A液とB液と
を混合した後に発生するブリージングは、形成される硬
化体の上層部に脆弱な部分を生じる原因となるので少な
い程好ましいが、ブリージングを少なくするための方策
は知られていない。このように、従来知られている工法
は、地盤安定化工法として実用上難点があり改善が望ま
れていた。
点を改善し、水硬性セメントと水との混練物であるA液
と、アルミナセメント・II型無水石膏と水との混練物で
あるB液とを別々に調製しておき、施工時に両液を混合
して地盤に注入する土質安定用薬液およびそれを用いた
地盤安定化工法であって、凝結遅延剤を添加することな
くB液の充分な安定性を確保して、薬液の地盤注入前に
凝結硬化を起こして施工できなくなる恐れを解消し、A
液とB液との混合液が、地盤内でよく浸透し、数分〜数
十分で硬化し、かつ、形成される硬化体の圧縮強度の発
現が良好で、更にはブリージングが少なくて形成される
硬化体の上層部に脆弱な部分を生ずることの少ない、土
質安定用薬液および地盤安定化工法を提供することであ
る。
能としての、B液の安定性、A液とB液との混合液のゲ
ルタイム・ブリージング率・浸透性、ならびに形成され
た硬化体の圧縮強度は、それぞれ次の規定を満たすこと
を目的とする。 ・B液の安定性…温度20℃において、調製後、単独で放
置されたときに3時間未満で硬化しないこと (B液単独
での硬化時間が調製後3時間以上であること) 。 ・ゲルタイム…温度20℃において、A液とB液との混合
液が、混合後 5〜30分の範囲内に硬化すること。 ・ブリージング率… 200Lあたり、水硬性セメント 120
kgを含むA液を用いたときに、A液とB液とを混合して
1日経過後の混合液のブリージング率の値が、20%以下
であること。 ・浸透性…円柱型枠 (内径: 5cm) 内に最密に充填した
豊浦標準砂層の表面に、温度20℃において、A液とB液
との混合液50mlを流し込んで自然に浸透させ、形成され
た硬化体における、薬液の硬化分と砂とが混在している
部分の厚み(浸透深さ)が、5mm以上であること。 ・硬化体の圧縮強度… 200Lあたり、水硬性セメント 1
20kgを含むA液を用いたときに、A液とB液とを混合し
て形成された硬化体の材令1日の一軸圧縮強度値が 2.0
kg/cm2 以上であること。
を改善し課題を解決すべく鋭意検討し、水硬性セメント
と水との混練物をA液とし、アルミナセメントと水との
混練物をB液として、これらを混合して地盤内に注入す
る土質安定用薬液およびそれを用いた地盤安定化工法に
おいて、それぞれ特定範囲のブレーン値に調整した水硬
性セメントとアルミナセメントを用い、かつ、B液に特
定範囲のブレーン値に調整したII型無水石膏をアルミナ
セメントに対して特定範囲の量比で配合することによっ
て、得られたB液は、凝結遅延剤を添加することなく、
単独では3時間以上硬化しない安定性が確保されて地盤
内への注入前に硬化物を生成し施工できなくなる恐れが
解消され、更にA液とB液とを混合する際には、混合液
中の水硬性セメント重量に対するアルミナセメントとII
型無水石膏の合計重量が特定範囲の割合となるように混
合することによって、A液とB液との混合液は、地盤内
で良好な浸透性を示し、混合後 5〜30分の範囲内に硬化
し、かつ形成された硬化体の圧縮強度の発現が良好であ
り、また、硬化体の上層部に脆弱な部分を生じる原因と
なるブリージングが少なく、従来知られている土質安定
用薬液および地盤安定化工法では実現できなかった性能
を発揮するという知見を得て、本発明を完成した。
含んでなるA液とアルミナセメントを含んでなるB液と
を組み合わせた地盤内注入用セメント系土質安定用薬液
であって、前記水硬性セメントのブレーン値が5000〜18
000 cm2 /gの範囲であり、アルミナセメントのブレー
ン値が4000cm2 /g以上であって、B液にアルミナセメ
ント1重量部に対してブレーン値が5000cm2 /g以上で
あるII型無水石膏 0.5〜1.5 重量部を配合し、かつ、A
液とB液とを両液の混合液中における水硬性セメント 1
00重量部に対してアルミナセメントとII型無水石膏の合
計量が13〜50重量部の範囲であるように混合して用いる
ことを特徴とする土質安定用薬液。」を要旨とする。
含んでなるA液とアルミナセメントを含んでなるB液と
を組み合わせて地盤内に注入する地盤安定化工法におい
て、前記水硬性セメントのブレーン値が5000〜18000 cm
2 /gの範囲であり、アルミナセメントのブレーン値が
4000cm2 /g以上であって、B液にアルミナセメント1
重量部に対してブレーン値が5000cm2 /g以上であるII
型無水石膏 0.5〜1.5重量部を配合し、かつ、A液とB
液とを両液の混合液中における水硬性セメント100重量
部に対してアルミナセメントとII型無水石膏の合計量が
13〜50重量部の範囲であるように、A液とB液とを調製
し混合して地盤内に注入することを特徴とする地盤安定
化工法。」を要旨とする。
土質安定用薬液 (以下、単に薬液という) におけるA液
は、アルミナセメントを除く水硬性セメントを水と混練
したものである。A液に用いることができる水硬性セメ
ントとしては、普通・早強・超早強・中庸熱・白色など
各種のポルトランドセメント類、高炉セメント・シリカ
セメント・フライアッシュセメントなどの混合セメント
類などを挙げることができ、これらのセメントは、一種
ないし二種以上を用いることができる。
ントは、ブレーン値が5000〜18000cm2 /g、好ましく
は8000〜12000 cm2 /gの範囲であるものを用いる。ブ
レーン値が5000cm2 /g未満であると、薬液を地盤内に
注入したときに地盤内での薬液の浸透性が小さく、本発
明の目的を達成することができない。一方、ブレーン値
が18000 cm2 /gを超えるものを用いたときは、薬液の
ゲルタイムが短くなって、薬液を地盤内に注入したとき
に地盤内で薬液が浸透性を保持する時間が不足し、本発
明の目的を達成することができない。
は、A液 200Lあたり通常、水硬性セメント40〜300 k
g、好ましくは60〜250 kg、更に好ましくは80〜200 kg
の範囲である。A液 200Lあたりの水硬性セメント量が
40kg未満であるときには、薬液を地盤内に注入して硬化
させたときに形成される土砂固結体の圧縮強度が低く、
地盤の安定化が不充分である。一方、A液 200Lあたり
の水硬性セメント量が 300kgを超える場合には、形成さ
れる土砂固結体の圧縮強度は高まるが、A液の粘度が増
大してポンプによる圧送が困難となり、また薬液の地盤
内での浸透性が低下し、形成される土砂固結体の体積が
小さくなる。
・II型無水石膏と水とを混練したものである。B液にお
いてアルミナセメントは、JIS-R2511「耐火物用アルミ
ナセメント」規格に規定されるアルミナセメント1種〜
5種、もしくはこれに相当する品質を有するアルミナセ
メントを用いる。これらの内、アルミナセメント3種な
いし4種、もしくはこれに相当する品質を有するものを
用いることが好ましい。
ントは、ブレーン値が4000cm2 /g以上、好ましくは50
00〜8000cm2 /gの範囲であるものを用いる。ブレーン
値が4000cm2 /g未満であると、薬液を地盤内に注入し
たときに地盤内での薬液の浸透性が小さく、本発明の目
的を達成することができない。一方、ブレーン値が8000
cm2 /gを超えるものを用いても、それによる効果の向
上はなく不経済である。
O・2Al2 O3 などのカルシウムアルミネートを主成分
とし、4CaO・Al2 O3 ・Fe2 O3 などのカルシウムア
ルミノフェライト、2CaO・SiO2 などのカルシウムシ
リケートおよび2CaO・Al2O3 ・SiO2 などのカルシ
ウムアルミノシリケートなどの化合物で構成されるセメ
ントである。
記特開昭50-16717号公報に開示された可溶性アルミとは
異なる挙動を示す。すなわち、結晶質または無定形質の
カルシウムアルミネートまたはこれにハロゲン元素が固
溶したカルシウムハロアルミネートである、12CaO・7
Al2 O3 ,3CaO・Al2 O3 または11CaO・7Al2 O3
・CaF2 を硬化材としてB液を調製したときには、B液
それ自身が調製後3時間以内に凝結硬化してしまう。こ
れに対して、アルミナセメントを用いたB液の凝結硬化
時間は7時間程度であり、施工上充分なB液の安定性を
確保することができる。
セメントと共にII型無水石膏を併用する。B液における
アルミナセメントとII型無水石膏との量比は、アルミナ
セメント1重量部に対して、II型無水石膏 0.5〜1.5 重
量部の範囲とする。アルミナセメント1重量部に対する
II型無水石膏の配合量が、 0.5重量部未満であるとき、
薬液のゲルタイムが短くなり、地盤内に注入された薬液
が浸透性を保持する時間が不足し、本発明の目的を達成
することができない。一方、配合量が 1.5重量部を超え
るときには、薬液を地盤内に注入して硬化させたときに
形成される土砂固結体の圧縮強度が低く、本発明の目的
を達成することができない。
石膏として、II型無水石膏以外の他の形態の石膏、たと
えば、α半水石膏、β半水石膏、2水石膏、 III型無水
石膏などを用いると、いずれも形成される土砂固結体の
圧縮強度が低く、本発明の目的を達成することができな
い。なお、用いられるII型無水石膏中に、II型無水石膏
以外の他の形態の石膏が不純物として混入することは許
容される。
としては、ブレーン値が5000cm2 /g以上、好ましくは
6000〜8000cm2 /gの範囲であるものを用いる。ブレー
ン値が5000cm2 /g未満であると、薬液を地盤内に注入
したときに地盤内での薬液の浸透性が小さく、また薬液
が硬化して形成される土砂固結体の圧縮強度が低く、地
盤の安定化が充分でなく、本発明の目的を達成すること
ができない。一方、ブレーン値が8000cm2 /gを超える
ものを用いても、それによる効果の向上はなく不経済で
ある。
石膏と水の量比は、通常、B液 200Lあたりアルミナセ
メントとII型無水石膏の合計重量が15〜150 kg、好まし
くは15〜120 kg、更に好ましくは15〜90kgの範囲であ
る。B液 200LあたりのアルミナセメントとII型無水石
膏の合計重量が15kg未満であるときは、薬液を地盤内に
注入して硬化させたときに形成される土砂固結体の圧縮
強度が低く、地盤の安定化が不充分で、本発明の目的を
達成することができない。一方、B液 200Lあたりのア
ルミナセメントとII型無水石膏の合計重量が 150kgを超
える場合には、B液の粘度が増大してA液とB液との混
合状態が不良となり、形成される土砂固結体の圧縮強度
のバラツキが大きくなり不均一となる。
II型無水石膏の混練の投入順序には特に制約はない。た
とえば、アルミナセメントとII型無水石膏を別々に施工
現場に搬入し、各々所定量を水と混練する方法や、アル
ミナセメントとII型無水石膏とを所定の量比で予め配合
したものを施工現場に搬入し、これを水と混練する方法
などを挙げることができる。後者の方法は、施工現場で
の作業を簡略化でき効率的で好ましい。
を混合して使用する。A液とB液との量比は、A液とB
液の混合液中の水硬性セメント 100重量部に対して、ア
ルミナセメントとII型無水石膏との合計量が13〜50重量
部、好ましくは13〜40重量部の範囲となるように混合す
る。A液とB液の混合液中の水硬性セメント 100重量部
に対して、アルミナセメントとII型無水石膏との合計量
が13重量部未満であるときには、薬液のゲルタイムが30
分を超えて、地盤内に注入された薬液が硬化する前に目
的の領域から逸脱したり、薬液が硬化して形成される土
砂固結体の圧縮強度が低くて地盤の安定化が不充分とな
り、一方、アルミナセメントとII型無水石膏との合計量
が50重量部を超えると、薬液のゲルタイムが30分を超え
地盤内に注入された薬液が硬化する前に目的の領域から
逸脱して、地盤の安定化が充分でなく、いずれも本発明
の目的とする効果が得られない。
化工法においては、A液とB液とを前記の量比で混合し
て地盤内に注入する。このような量比でA液とB液とを
混合する方法としては、たとえば、単位容量のA液中の
水硬性セメントの重量を 100としたときに、A液と等容
量のB液中のアルミナセメントとII型無水石膏の合計重
量が13〜50重量部の範囲となるように調製したA液とB
液とをそれぞれ、単位時間当りの送液容量が等しいポン
プを用いて個別にY字管、撹拌装置、注入管内に設けら
れた混合室(管内混合器・管路混合器)などに圧送して
合流させ混合する方法が挙げられる。本発明の地盤安定
化工法においては、A液とB液との混合液を、単管式・
多重管式・多管式などの各種注入管を用いて地盤内に注
入し硬化させて地盤を安定化させる。また、噴射ノズル
を有する注入管を用いて圧力50〜1000kg/cm2 で噴射注
入することもできる。
・消泡剤・増粘剤など、通常用いられる各種のセメント
混和剤を添加することができる。これらのセメント添加
剤は、A液またはB液のいずれか一方もしくは両方に添
加して用いることができる。減水剤としては、リグニン
スルホン酸塩またはその誘導体・オキシ有機酸塩・アル
キルアリルスルホン酸塩・ポリオキシエチレンアルキル
エーテル・ポリオール複合体・高級多価アルコールスル
ホン酸塩・メラミンホルマリン縮合物スルホン酸塩など
を主成分とする各種の減水剤・分散剤・高性能減水剤・
流動化剤を挙げることができる。
・アルキルフェノール系・ジエチレングリコール系・ジ
ブチルフタレート系・非水溶性アルコール系・トリブチ
ルホスフェート系・ポリグリコール系・シリコーン系・
酸化エチレン−酸化プロピレン共重合物系などの各種の
消泡剤を挙げることができる。
る間に、薬液中の固形分が沈降することを抑制するため
に、薬液に増粘剤を添加することができる。増粘剤とし
ては、メチルセルロース・エチルセルロース・ヒドロキ
シエチルセルロース・ヒドロキシプロピルセルロース・
ヒドロキシエチルメチルセルロース・ヒドロキシブチル
メチルセルロース・ヒドロキシエチルエチルセルロース
・カルボキシメチルセルロースなどのセルロースエーテ
ル系;ポリアクリルアミド・ポリアクリル酸ソーダ・ポ
リアクリルアミド−ポリアクリル酸ソーダ共重合物・ポ
リアクリルアミド部分加水分解物などのアクリル系ポリ
マー;ポリビニルアルコール,ポリエチレンオキサイ
ド,アルギン酸ソーダ,カゼイン,グアガムなどの水溶
性ポリマーなど各種の増粘剤を挙げることができる。
合した際の混合直後における薬液の粘度は、 500センチ
ポイズ(CP)以下であることが好ましい。粘度が 500CPを
超えた薬液は、地盤内での浸透性が小さいので好ましく
ない。薬液の粘度は、固形分と水との量比や、減水剤な
どの添加率などを適宜に選択することによって、調整す
ることができる。
を具体的に説明する。本発明は、これらの実施例に限定
されるものではない。 実施例および比較例 ・A液: 種々のブレーン値に調整した各種の水硬性セメ
ント (市販品) 120kgに水を加えて混練し、練り上がり
の容量が 200Lとなるように水量を調整して調製した。 ・B液: 種々のブレーン値に調整した、各種のアルミナ
セメント(JIS-R2511)と各種の石膏 (市販品; III型
無水石膏は、試薬1級) とを、それぞれ表1に示す割合
で配合した後に水を加えて混練し、練り上がりの容量が
200Lとなるように水量を調整して調製した。
いて後記の項目の試験を行った。表1に、水硬性セメン
ト(HC)の種類・ブレーン値、アルミナセメント(AC)なら
びにアルミナセメントと併用した石膏(G) のそれぞれの
種類・ブレーン値および配合割合( 重量比: (G)/(AC)
)、B液の配合処方、A液とB液の混合割合- 混合液中
における水硬性セメントに対するアルミナセメントと石
膏の合計量の割合( 重量比: [ (AC)+(G) ] /(HC) )を
示した。
価内容は、次のとおりである。・B液の安定性…温度20
℃で調製したB液をビーカー内で静置し、調製してから
硬化物が生成するまでに要した時間を測定した。 ○…調製後、硬化物が生成するまでに3時間以上要し
た。 (B液単独では、調製後3時間以上硬化しない。) ×…調製後、3時間未満で硬化物が生成した。
液とをよく混合して容器内に静置し、混合後容器を傾け
ても内容物が動かなくなるまでの所要時間を測定し、ゲ
ルタイムとした。 ○…ゲルタイムが、 5〜30分
の範囲内であった。 ×…ゲルタイムが、5分未満または30分を超えた。
00mlをメスシリンダー(容量500ml)に入れて静置し、1
日経過後のブリージングの量(Vml)を測定し、次式に
よりブリージング率(B, %)を求めた。 B=(V
/500)×100 ○…ブリージング率が、20%以下であった。 ×…ブリージング率が、20%よりも大きかった。
との混合液50mlを、円柱型枠 (内径:5cm) 内に最密充
填した豊浦標準砂層の表面に流し込んで自然に浸透さ
せ、形成された硬化体について薬液の硬化分と砂とが混
在している部分の厚みを測定し、浸透深さとした。 ○…浸透深さが、5mm以上であった。 ×…浸透深さが、5mm未満であった。
を円柱型の型枠 (径5cm×高さ10cm)内に流し込み、形
成された硬化体の材令1日の一軸圧縮強度値を測定し
た。 ○…圧縮強度値が、2.0 kg/cm2 以上であった。 ×…圧縮強度値が、2.0 kg/cm2 未満であった。
液の混合液のゲルタイム・ブリージング率・浸透性、な
らびに形成された硬化体の圧縮強度値の、それぞれにつ
いての評価の結果および総合評価を、表1に示した。・
総合評価 ○…B液の安定性、A液とB液の混合液のゲルタイム・
ブリージング率・浸透性、および硬化体の圧縮強度値の
いずれの評価結果も、○であった。 ×…B液の安定性、A液とB液の混合液のゲルタイム・
ブリージング率・浸透性、および硬化体の圧縮強度値の
いずれかの評価結果が、×であった。
メントのブレーン値の影響を示す。水硬性セメントのブ
レーン値が5000cm2 /g未満では、薬液の浸透深さが小
さく (比較例1) 、一方、ブレーン値が18000 cm2 /g
を超えるものを用いたときには、薬液のゲルタイムが短
くて浸透深さが小さく (比較例2) 、いずれも本発明の
目的が達成されなかった。
ントのブレーン値の影響を示す。アルミナセメントのブ
レーン値が4000cm2 /g未満では、薬液の浸透深さが小
さく、本発明の目的が達成されなかった (比較例3) 。
ミナセメントと共に用いた石膏の種類の影響を示す。石
膏として、II型無水石膏以外の他の形態の石膏- α半水
石膏、β半水石膏、2水石膏または III型無水石膏を用
いたときには、本発明が目的とする硬化体の圧縮強度値
が得られなかった (比較例4〜7) 。
ミナセメントと共に用いたII型無水石膏のブレーン値の
影響を示す。II型無水石膏のブレーン値が5000cm2 /g
未満であるときには、薬液の浸透深さならびに硬化体の
圧縮強度値が共に小さく、本発明の目的が達成されなか
った(比較例8) 。
おけるアルミナセメント(AC)とII型無水石膏(G) の配合
比( 重量比: (G)/(AC) )の影響を示す。アルミナセメ
ント1重量部に対して配合した石膏の重量比が、 0.5重
量部未満であるときには、本発明が目的とする薬液のゲ
ルタイム・浸透性、ならびに硬化体の圧縮強度値が得ら
れず (比較例9〜10) 、一方、 1.5重量部を超えたとき
には硬化体の圧縮強度値が小さく (比較例11) 、いずれ
も本発明の目的が達成されなかった。
液との混合割合- 混合液中における水硬性物質の重量比
- 混合液中における水硬性セメント(HC)に対するアルミ
ナセメント(AC)と石膏(G) の合計量の割合( 重量比: [
(AC)+(G) ] /(HC) )- の影響を示す。水硬性セメント
100重量部に対して、アルミナセメントとII型無水石膏
の合計量が13重量部未満であるときには、薬液のゲルタ
イムが短く、ブリージング率が大きく、硬化体の圧縮強
度値が小さく (比較例12) 、一方、50重量部を超えたと
きには薬液のゲルタイムが短く (比較例13) 、いずれも
本発明の目的が達成されなかった。
には、いずれも、B液は凝結遅延剤を添加することなく
調製後3時間以上凝結硬化を起こさず、A液とB液の混
合液は、混合後 5〜30分の範囲内に硬化し、浸透深さが
5mm以上であって、混合して1日経過後のブリージング
率の値が20%以下であり、形成された硬化体(材令1
日)の一軸圧縮強度値は 2.0kg/cm2 以上で、本発明の
目的を達成することができた (実施例 1〜14) 。
混練物であるA液と、アルミナセメント・II型無水石膏
と水との混練物であるB液とを別々に調製しておき、施
工時に両液を混合して地盤内に注入する土質安定用薬液
およびそれを用いた地盤安定化工法において、凝結遅延
剤を添加することなく、B液の充分な安定性 (単独では
3時間以上硬化しない) を確保して、薬液の地盤注入前
に凝結硬化を起こして施工できなくなる恐れを解消し、
A液とB液の混合液は、地盤内で良好な浸透性を示し、
混合後 5〜30分の範囲内に硬化し、かつ、形成された硬
化体の圧縮強度の発現が良好であり、更には、硬化体の
上層部に脆弱な部分を生じる原因となるブリージングが
少ない、土質安定用薬液および地盤安定化工法を提供す
ることができ、より確実に地盤を安定化させることがで
きる。本発明の土質安定用薬液は、凝結遅延剤を必要と
せず、基本的な構成材料はすべて無機物質であるので、
地盤内に注入されたときに、有機物を必須成分とする薬
液と比較して水質を汚染する程度が低い。
Claims (2)
- 【請求項1】アルミナセメントを除く水硬性セメントを
含んでなるA液とアルミナセメントを含んでなるB液と
を組み合わせた地盤内注入用セメント系土質安定用薬液
であって、前記アルミナセメントを除く水硬性セメント
のブレーン値が5000〜18000 cm2 /gの範囲であり、ア
ルミナセメントのブレーン値が4000cm2 /g以上であっ
て、B液にアルミナセメント1重量部に対してブレーン
値が5000cm2 /g以上であるII型無水石膏 0.5〜1.5重
量部を配合し、かつ、A液とB液とを両液の混合液中に
おけるアルミナセメントを除く水硬性セメント100重量
部に対してアルミナセメントとII型無水石膏の合計量が
13〜50重量部の範囲であるように混合して用いることを
特徴とする土質安定用薬液。 - 【請求項2】アルミナセメントを除く水硬性セメントを
含んでなるA液とアルミナセメントを含んでなるB液と
を組み合わせて地盤内に注入する地盤安定化工法におい
て、前記アルミナセメントを除く水硬性セメントのブレ
ーン値が5000〜18000 cm2 /gの範囲であり、アルミナ
セメントのブレーン値が4000cm2 /g以上であって、B
液にアルミナセメント1重量部に対してブレーン値が50
00cm2 /g以上であるII型無水石膏 0.5〜1.5 重量部を
配合し、かつ、A液とB液とを両液の混合液中における
アルミナセメントを除く水硬性セメント 100重量部に対
してアルミナセメントとII型無水石膏の合計量が13〜50
重量部の範囲であるように、A液とB液とを調製し混合
して地盤内に注入することを特徴とする地盤安定化工
法。
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JP6350195A JP3506798B2 (ja) | 1995-02-28 | 1995-02-28 | 土質安定用薬液およびそれを用いた地盤安定化工法 |
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- 1995-02-28 JP JP6350195A patent/JP3506798B2/ja not_active Expired - Fee Related
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