JPH0718099A - 粘着性に優れたプリプレグおよびその製造方法 - Google Patents
粘着性に優れたプリプレグおよびその製造方法Info
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- JPH0718099A JPH0718099A JP16352993A JP16352993A JPH0718099A JP H0718099 A JPH0718099 A JP H0718099A JP 16352993 A JP16352993 A JP 16352993A JP 16352993 A JP16352993 A JP 16352993A JP H0718099 A JPH0718099 A JP H0718099A
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- resin
- prepreg
- resin composition
- epoxy resin
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Abstract
(57)【要約】
【構成】シート状強化材と2種の樹脂組成物A,Bから
なるプリプレグであって、主としてシート状強化材中に
含浸される樹脂組成物Aの粘度を、主として表層部に配
置される樹脂組成物Bの粘度より低くした粘着性に優れ
たプリプレグ。前記樹脂組成物Aからなる層と樹脂組成
物Bからなる層を積層してなる複合フィルムの、樹脂組
成物Aからなる層をシート状強化材の少なくとも一方の
面に向けて張り合わせた後に、加熱および/または加圧
することを特徴とする粘着性に優れたプリプレグの製造
方法。 【効果】プリプレグ表面に所望の粘着性を付与でき、ハ
ンドリング性が著しく改善でき、粘着性の経時変化がわ
ずかである。
なるプリプレグであって、主としてシート状強化材中に
含浸される樹脂組成物Aの粘度を、主として表層部に配
置される樹脂組成物Bの粘度より低くした粘着性に優れ
たプリプレグ。前記樹脂組成物Aからなる層と樹脂組成
物Bからなる層を積層してなる複合フィルムの、樹脂組
成物Aからなる層をシート状強化材の少なくとも一方の
面に向けて張り合わせた後に、加熱および/または加圧
することを特徴とする粘着性に優れたプリプレグの製造
方法。 【効果】プリプレグ表面に所望の粘着性を付与でき、ハ
ンドリング性が著しく改善でき、粘着性の経時変化がわ
ずかである。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粘着性に優れたプリプ
レグおよびその製造方法に関するものである。
レグおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】強化繊維とマトリックス樹脂とからなる
プリプレグより得られる繊維強化複合材料は、先端複合
材料として航空・宇宙やスポーツ用途を中心に広く活用
されている。
プリプレグより得られる繊維強化複合材料は、先端複合
材料として航空・宇宙やスポーツ用途を中心に広く活用
されている。
【0003】このような繊維強化複合材料は、積層工程
において中間基材であるプリプレグを複数枚積み重ねた
後に、成形工程でマトリックス樹脂を加熱硬化させるこ
とによって作製することが出来る。
において中間基材であるプリプレグを複数枚積み重ねた
後に、成形工程でマトリックス樹脂を加熱硬化させるこ
とによって作製することが出来る。
【0004】この際、ボイドのない緻密な成形体を得る
には、プリプレグが適度の粘着性を有し、良好なハンド
リング性を有していることが必要である。
には、プリプレグが適度の粘着性を有し、良好なハンド
リング性を有していることが必要である。
【0005】繊維強化複合材料を作製するために用いら
れるプリプレグは、ガラス繊維、炭素繊維、あるいは有
機繊維の少なくとも一種類の強化繊維に、エポキシ樹脂
に代表される熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂として含
浸することによって得ることが出来る。
れるプリプレグは、ガラス繊維、炭素繊維、あるいは有
機繊維の少なくとも一種類の強化繊維に、エポキシ樹脂
に代表される熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂として含
浸することによって得ることが出来る。
【0006】このとき、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹
脂をマトリックスとする場合には、一般に熱硬化性樹脂
が本来優れた粘着性を有しているために、プリプレグに
粘着性を付与することが出来る。
脂をマトリックスとする場合には、一般に熱硬化性樹脂
が本来優れた粘着性を有しているために、プリプレグに
粘着性を付与することが出来る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、マトリックス
樹脂として熱可塑性樹脂を単独で用いる場合やエポキシ
樹脂に熱可塑性樹脂を配合する場合には、マトリックス
樹脂の粘着性が大幅に減少してしまうために、得られた
プリプレグの粘着性も著しく損われてしまう。
樹脂として熱可塑性樹脂を単独で用いる場合やエポキシ
樹脂に熱可塑性樹脂を配合する場合には、マトリックス
樹脂の粘着性が大幅に減少してしまうために、得られた
プリプレグの粘着性も著しく損われてしまう。
【0008】そこで、プリプレグの粘着性を上げるため
に、マトリックス樹脂中に粘着剤をブレンドすることに
よってマトリックス樹脂自身の粘着性を改善する方法も
考えられる。
に、マトリックス樹脂中に粘着剤をブレンドすることに
よってマトリックス樹脂自身の粘着性を改善する方法も
考えられる。
【0009】しかし、この方法によれば、所望の粘着性
を得るにはマトリックス樹脂中に多量の粘着剤をブレン
ドすることが必要になり、複合材料とした時に機械物性
の著しい低下を招くことが予想される。
を得るにはマトリックス樹脂中に多量の粘着剤をブレン
ドすることが必要になり、複合材料とした時に機械物性
の著しい低下を招くことが予想される。
【0010】また、複合材料をより軽量化するために、
プリプレグ中の繊維含有率を大きくすることがしばしば
要求されるが、この場合には、たとえマトリックス樹脂
の粘着性が優れていてもプリプレグ中のマトリックス樹
脂含有量が低下するために、プリプレグの粘着性が損わ
れる傾向となり、改善が望まれていた。
プリプレグ中の繊維含有率を大きくすることがしばしば
要求されるが、この場合には、たとえマトリックス樹脂
の粘着性が優れていてもプリプレグ中のマトリックス樹
脂含有量が低下するために、プリプレグの粘着性が損わ
れる傾向となり、改善が望まれていた。
【0011】しかも、用いる強化繊維に撚りが掛かって
いる場合には、強化繊維に解撚方向に復元力が働くため
に、マトリックス樹脂を強化繊維に含浸した後に、経時
的にマトリックス樹脂がプリプレグの内部に潜り込むと
いう現象が見られる。そのために、プリプレグの表面部
分のマトリクス樹脂量が減少する結果、マトリックス樹
脂の粘着性が優れていてもプリプレグの粘着性が低下し
てしまうことになる。更に、航空機の軽量化の観点から
使用されるハニカムサンドイッチパネル構造に使用され
るプリプレグには、成形板中にポロシティ(空隙)が発
生しないことという要求がある。ハニカムコアの六角形
状空洞の上下部分のプリプレグには成形中に圧力が掛か
らず、結果としてプリプレグ積層層間あるいは層内に本
来ポロシティが発生しやすい。積層層間のポロシティを
少なくするためには、プリプレグ表面部分の樹脂が成形
中に充分保持されていることが必要であり、このこと
は、プリプレグの表面粘着性が優れていることに他なら
ない。また、積層層内のポロシティを少なくするために
は、プリプレグの含浸性を良好なものとすることが重要
であることは言うまでも無いことである。
いる場合には、強化繊維に解撚方向に復元力が働くため
に、マトリックス樹脂を強化繊維に含浸した後に、経時
的にマトリックス樹脂がプリプレグの内部に潜り込むと
いう現象が見られる。そのために、プリプレグの表面部
分のマトリクス樹脂量が減少する結果、マトリックス樹
脂の粘着性が優れていてもプリプレグの粘着性が低下し
てしまうことになる。更に、航空機の軽量化の観点から
使用されるハニカムサンドイッチパネル構造に使用され
るプリプレグには、成形板中にポロシティ(空隙)が発
生しないことという要求がある。ハニカムコアの六角形
状空洞の上下部分のプリプレグには成形中に圧力が掛か
らず、結果としてプリプレグ積層層間あるいは層内に本
来ポロシティが発生しやすい。積層層間のポロシティを
少なくするためには、プリプレグ表面部分の樹脂が成形
中に充分保持されていることが必要であり、このこと
は、プリプレグの表面粘着性が優れていることに他なら
ない。また、積層層内のポロシティを少なくするために
は、プリプレグの含浸性を良好なものとすることが重要
であることは言うまでも無いことである。
【0012】米国特許第4,329,387号公報に
は、プリプレグの少なくとも片方の面に粘着性樹脂を貼
付することによって得られるタック性の優れたプリプレ
グに関する記載がある。しかし、この方法では、2段階
にわけてプリプレグ化を行なうことになるために、余分
な熱履歴をプリプレグに与えることになり、得られたプ
リプレグのドレープ性が損われたり、繊維の配列が乱れ
たりしやすいという欠点が発生しやすい。
は、プリプレグの少なくとも片方の面に粘着性樹脂を貼
付することによって得られるタック性の優れたプリプレ
グに関する記載がある。しかし、この方法では、2段階
にわけてプリプレグ化を行なうことになるために、余分
な熱履歴をプリプレグに与えることになり、得られたプ
リプレグのドレープ性が損われたり、繊維の配列が乱れ
たりしやすいという欠点が発生しやすい。
【0013】そこで、本発明は、上記欠点がなく、マト
リックス樹脂の種類、強化繊維の繊維含有率、強化繊維
の撚りの有無に拘らず、優れた粘着性を有し、かつ強化
繊維の乱れが無く、ドレープ性の良好なプリプレグを提
供することを課題とする。
リックス樹脂の種類、強化繊維の繊維含有率、強化繊維
の撚りの有無に拘らず、優れた粘着性を有し、かつ強化
繊維の乱れが無く、ドレープ性の良好なプリプレグを提
供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の粘着性に優れた
プリプレグは、上記課題を解決するために、次の構成を
有する。すなわち、シート状強化材と2種の樹脂組成物
A,Bからなるプリプレグであって、主としてシート状
強化材中に含浸される樹脂組成物Aは、エポキシ樹脂お
よび硬化剤を主成分とし、室温から1.5℃/分の昇温
速度で測定した時の最低粘度が0.5〜150ポアズで
あり、主として表層部に配置される樹脂組成物Bは、エ
ポキシ樹脂を主成分とし、室温から1.5℃/分の昇温
速度で測定した時の最低粘度が200〜30,000ポ
アズであることを特徴とする粘着性に優れたプリプレグ
である。
プリプレグは、上記課題を解決するために、次の構成を
有する。すなわち、シート状強化材と2種の樹脂組成物
A,Bからなるプリプレグであって、主としてシート状
強化材中に含浸される樹脂組成物Aは、エポキシ樹脂お
よび硬化剤を主成分とし、室温から1.5℃/分の昇温
速度で測定した時の最低粘度が0.5〜150ポアズで
あり、主として表層部に配置される樹脂組成物Bは、エ
ポキシ樹脂を主成分とし、室温から1.5℃/分の昇温
速度で測定した時の最低粘度が200〜30,000ポ
アズであることを特徴とする粘着性に優れたプリプレグ
である。
【0015】また、本発明の粘着性に優れたプリプレグ
の製造方法は、上記課題を解決するために、次の構成を
有する。すなわち、エポキシ樹脂および硬化剤を主成分
とし、室温から1.5℃/分の昇温速度で測定した時の
最低粘度が0.5〜150ポアズである樹脂組成物Aか
らなる層と、エポキシ樹脂を主成分とし、室温から1.
5℃/分の昇温速度で測定した時の最低粘度が200〜
30,000ポアズである樹脂組成物Bからなる層を積
層してなる複合フィルムの、樹脂組成物Aからなる層を
シート状強化材の少なくとも一方の面に向けて張り合わ
せた後に、加圧することを特徴とする粘着性に優れたプ
リプレグの製造方法である。
の製造方法は、上記課題を解決するために、次の構成を
有する。すなわち、エポキシ樹脂および硬化剤を主成分
とし、室温から1.5℃/分の昇温速度で測定した時の
最低粘度が0.5〜150ポアズである樹脂組成物Aか
らなる層と、エポキシ樹脂を主成分とし、室温から1.
5℃/分の昇温速度で測定した時の最低粘度が200〜
30,000ポアズである樹脂組成物Bからなる層を積
層してなる複合フィルムの、樹脂組成物Aからなる層を
シート状強化材の少なくとも一方の面に向けて張り合わ
せた後に、加圧することを特徴とする粘着性に優れたプ
リプレグの製造方法である。
【0016】以下、本発明について詳細に説明する。
【0017】本発明の構成要素の1つであるシート状強
化材の素材である強化繊維は、一般に高性能強化繊維と
して用いられる耐熱性及び引っ張り強度の良好な繊維で
ある。たとえば、その強化繊維には、炭素繊維、黒鉛繊
維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボ
ロン繊維が挙げられる。これらの強化繊維は、長繊維、
短繊維の何れあってもかまわない。また、これらの繊維
を一種以上混合して用いてもかまわない。更に、強化繊
維は一定の幅を有するシート状である限りその形状や配
列を限定されず、たとえば、単一方向引揃えシート、ラ
ンダム方向シート、マット、織物、組み紐などの形態で
あっても使用可能である。
化材の素材である強化繊維は、一般に高性能強化繊維と
して用いられる耐熱性及び引っ張り強度の良好な繊維で
ある。たとえば、その強化繊維には、炭素繊維、黒鉛繊
維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボ
ロン繊維が挙げられる。これらの強化繊維は、長繊維、
短繊維の何れあってもかまわない。また、これらの繊維
を一種以上混合して用いてもかまわない。更に、強化繊
維は一定の幅を有するシート状である限りその形状や配
列を限定されず、たとえば、単一方向引揃えシート、ラ
ンダム方向シート、マット、織物、組み紐などの形態で
あっても使用可能である。
【0018】本発明の構成要素の1つである樹脂組成物
Aには、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂が挙げられる
が、これらを混合して用いてもかまわない。樹脂組成物
Aとして本発明において用いうる熱硬化性樹脂は、熱ま
たは光や電子線などの外部からのエネルギーにより硬化
して、少なくとも部分的に3次元硬化物を形成する樹脂
であれば特に限定されない。好ましい熱硬化性樹脂とし
ては、エポキシ樹脂やビニルエステル樹脂が挙げられ、
一般に硬化剤や硬化触媒と組み合わせて用いられる。本
発明に適したエポキシ樹脂としては、特に、アミン類、
フェノール類、炭素炭素二重結合を有する化合物を前駆
体とするエポキシ樹脂が好ましい。
Aには、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂が挙げられる
が、これらを混合して用いてもかまわない。樹脂組成物
Aとして本発明において用いうる熱硬化性樹脂は、熱ま
たは光や電子線などの外部からのエネルギーにより硬化
して、少なくとも部分的に3次元硬化物を形成する樹脂
であれば特に限定されない。好ましい熱硬化性樹脂とし
ては、エポキシ樹脂やビニルエステル樹脂が挙げられ、
一般に硬化剤や硬化触媒と組み合わせて用いられる。本
発明に適したエポキシ樹脂としては、特に、アミン類、
フェノール類、炭素炭素二重結合を有する化合物を前駆
体とするエポキシ樹脂が好ましい。
【0019】具体的には、アミン類を前駆体とするエポ
キシ樹脂として、テトラグリシジルジアミノジフェニル
メタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリ
グリシジル−m−アミノフェノール、トリグリシジルア
ミノクレゾールの各種異性体が挙げられる。
キシ樹脂として、テトラグリシジルジアミノジフェニル
メタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリ
グリシジル−m−アミノフェノール、トリグリシジルア
ミノクレゾールの各種異性体が挙げられる。
【0020】フェノール類を前駆体とするエポキシ樹脂
として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノ
ールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹
脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール
ノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ
樹脂が挙げられる。
として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノ
ールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹
脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール
ノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ
樹脂が挙げられる。
【0021】炭素炭素二重結合を有する化合物を前駆体
とするエポキシ樹脂としては、脂環式エポキシ樹脂等が
挙げられる。
とするエポキシ樹脂としては、脂環式エポキシ樹脂等が
挙げられる。
【0022】ビニルエステル樹脂としては、エピビス
型、ノボラック型、ウレタン含有型、カルボキシ基含有
型などが好ましく用いられる。また、これらのエポキシ
樹脂やビニルエステル樹脂は、単独で用いてもよいし、
適宜配合して用いてもよい。
型、ノボラック型、ウレタン含有型、カルボキシ基含有
型などが好ましく用いられる。また、これらのエポキシ
樹脂やビニルエステル樹脂は、単独で用いてもよいし、
適宜配合して用いてもよい。
【0023】エポキシ樹脂は、エポキシ硬化剤と組み合
わせて、好ましく用いられる。エポキシ硬化剤は、エポ
キシ基と反応し得る活性基を有する化合物であれば、こ
れを用いることが出来る。具体的には、4,4’−ジア
ミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニ
ルスルホン、ジシアンジアミド、三沸化ホウ素錯体、ポ
リフェノ−ル化合物などを使用することが出来る。航空
宇宙などの先端的用途には、芳香族ジアミン、例えば、
4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジ
アミノジフェニルスルホンまたは、これらの混合物が、
また、スポーツ・レジャー用途には、ジシアンジアミド
が、それぞれ好ましく用いられる。また、これらの硬化
剤に、イミダゾール類や尿素化合物などを硬化促進剤と
して併用することも出来る。
わせて、好ましく用いられる。エポキシ硬化剤は、エポ
キシ基と反応し得る活性基を有する化合物であれば、こ
れを用いることが出来る。具体的には、4,4’−ジア
ミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニ
ルスルホン、ジシアンジアミド、三沸化ホウ素錯体、ポ
リフェノ−ル化合物などを使用することが出来る。航空
宇宙などの先端的用途には、芳香族ジアミン、例えば、
4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジ
アミノジフェニルスルホンまたは、これらの混合物が、
また、スポーツ・レジャー用途には、ジシアンジアミド
が、それぞれ好ましく用いられる。また、これらの硬化
剤に、イミダゾール類や尿素化合物などを硬化促進剤と
して併用することも出来る。
【0024】ビニルエステル樹脂は、単独でも硬化し得
るが、好ましくは、ベンゾイルパーオキサイド、メチル
エチルケトンパーオキサイドなどの有機過酸化物を触媒
として用いる。
るが、好ましくは、ベンゾイルパーオキサイド、メチル
エチルケトンパーオキサイドなどの有機過酸化物を触媒
として用いる。
【0025】樹脂組成物Aとして本発明において用いう
る熱硬化性樹脂として、更に、マレイミド樹脂、アセチ
レン末端を有する樹脂、ナジック酸末端を有する樹脂、
シアン酸エステル末端を有する樹脂、ビニル末端を有す
る樹脂、アリル末端を有する樹脂が好ましく用いられ
る。これらは、適宜、エポキシ樹脂や、他の樹脂と混合
してもよい。また、反応性希釈剤を用いたり、熱可塑性
樹脂やエラストマーなどの改質剤を混合して用いてもか
まわない。
る熱硬化性樹脂として、更に、マレイミド樹脂、アセチ
レン末端を有する樹脂、ナジック酸末端を有する樹脂、
シアン酸エステル末端を有する樹脂、ビニル末端を有す
る樹脂、アリル末端を有する樹脂が好ましく用いられ
る。これらは、適宜、エポキシ樹脂や、他の樹脂と混合
してもよい。また、反応性希釈剤を用いたり、熱可塑性
樹脂やエラストマーなどの改質剤を混合して用いてもか
まわない。
【0026】マレイミド樹脂は、末端にマレイミド基を
平均2個以上含む化合物である。このマレイミド樹脂
は、単独で用いることも出来るが、ジアリルビスフェノ
ールAなどの反応性希釈剤と組み合わせて用いることに
よって、プリプレグに好適な樹脂とすることが出来る。
シアン酸エステル末端を有する樹脂は、ビスフェノール
Aに代表される多価フェノールのシアン酸エステル化合
物が好適である。シアン酸エステル樹脂は、特に、ビス
マレイミド樹脂と組み合わせることにより、プリプレグ
に適した樹脂とすることが出来る。
平均2個以上含む化合物である。このマレイミド樹脂
は、単独で用いることも出来るが、ジアリルビスフェノ
ールAなどの反応性希釈剤と組み合わせて用いることに
よって、プリプレグに好適な樹脂とすることが出来る。
シアン酸エステル末端を有する樹脂は、ビスフェノール
Aに代表される多価フェノールのシアン酸エステル化合
物が好適である。シアン酸エステル樹脂は、特に、ビス
マレイミド樹脂と組み合わせることにより、プリプレグ
に適した樹脂とすることが出来る。
【0027】樹脂組成物Aとしては、上記の熱硬化性樹
脂の他に、熱可塑性樹脂を用いることも出来る。好適な
熱可塑性樹脂としては、主鎖に、炭素炭素結合、アミド
結合、イミド結合、エステル結合、エーテル結合、カー
ボネート結合、ウレタン結合、尿素結合、チオエーテル
結合、スルフォン結合、イミダゾール結合、カルボニル
結合から選ばれる結合を有する熱可塑性樹脂である。
脂の他に、熱可塑性樹脂を用いることも出来る。好適な
熱可塑性樹脂としては、主鎖に、炭素炭素結合、アミド
結合、イミド結合、エステル結合、エーテル結合、カー
ボネート結合、ウレタン結合、尿素結合、チオエーテル
結合、スルフォン結合、イミダゾール結合、カルボニル
結合から選ばれる結合を有する熱可塑性樹脂である。
【0028】本発明において樹脂組成物Aは、室温から
1.5℃/分の昇温速度で測定した時の最低粘度を、
0.5〜150ポアズ、好ましくは3〜100ポアズと
するものである。最低粘度が0.5ポアズより低いと、
成形時に樹脂流れが大きくなりすぎて所定の樹脂含量を
有する複合材料が得られなくなってしまう。一方、最低
粘度が150ポアズより高いと、強化繊維への含浸性が
悪くなってしまう。
1.5℃/分の昇温速度で測定した時の最低粘度を、
0.5〜150ポアズ、好ましくは3〜100ポアズと
するものである。最低粘度が0.5ポアズより低いと、
成形時に樹脂流れが大きくなりすぎて所定の樹脂含量を
有する複合材料が得られなくなってしまう。一方、最低
粘度が150ポアズより高いと、強化繊維への含浸性が
悪くなってしまう。
【0029】本発明において樹脂組成物Bは、室温から
1.5℃/分の昇温速度で測定した時の最低粘度が20
0〜30,000ポアズとするものである。最低粘度が
200ポアズより低いと樹脂組成物Bの流動性が大きく
てシート状強化材中に潜り込みやすく、プリプレグ粘着
性の経時変化が大きくなる。一方、最低粘度が30,0
00ポアズを越えると粘着性が低下する。
1.5℃/分の昇温速度で測定した時の最低粘度が20
0〜30,000ポアズとするものである。最低粘度が
200ポアズより低いと樹脂組成物Bの流動性が大きく
てシート状強化材中に潜り込みやすく、プリプレグ粘着
性の経時変化が大きくなる。一方、最低粘度が30,0
00ポアズを越えると粘着性が低下する。
【0030】本発明に用いる樹脂組成物Bはプリプレグ
に粘着性を付与するためのものであり、それには、粘着
剤として一般的なジエン系の粘着剤を使用することが出
来るが、耐熱性向上の面からは、アクリル系やシリコー
ン系の粘着剤の好ましく用いられる。また、シリコーン
系の粘着剤は、撥水性を有しているので、この粘着剤を
配合した場合には、複合材料の吸水率が低下することか
らも好適である。
に粘着性を付与するためのものであり、それには、粘着
剤として一般的なジエン系の粘着剤を使用することが出
来るが、耐熱性向上の面からは、アクリル系やシリコー
ン系の粘着剤の好ましく用いられる。また、シリコーン
系の粘着剤は、撥水性を有しているので、この粘着剤を
配合した場合には、複合材料の吸水率が低下することか
らも好適である。
【0031】ジエン系の粘着剤としては、NBR、カル
ボキシル変性NBR、ポリイソプレン、SBR、カルボ
キシル変性SBR、SIS、SBS、SEBS、ブチル
ゴム、ポリイソブチレンなどが挙げられる。エポキシ樹
脂との相溶性の点からは、NBRやカルボキシル変性N
BRが好ましく、これらの市販品としては、BFグッド
リッチケミカル社製のハイカーCTBN1300×8、
CTBN1300×13、CTBN1300×15、日
本ゼオン(株)製のニッポール1072を挙げることが
出来る。
ボキシル変性NBR、ポリイソプレン、SBR、カルボ
キシル変性SBR、SIS、SBS、SEBS、ブチル
ゴム、ポリイソブチレンなどが挙げられる。エポキシ樹
脂との相溶性の点からは、NBRやカルボキシル変性N
BRが好ましく、これらの市販品としては、BFグッド
リッチケミカル社製のハイカーCTBN1300×8、
CTBN1300×13、CTBN1300×15、日
本ゼオン(株)製のニッポール1072を挙げることが
出来る。
【0032】アクリル系の粘着剤としては、アクリル酸
やメタクリル酸のアルキルエステルのポリマーが用いら
れる。ポリマーに粘着性を発現させるためには、長鎖ア
ルキルエステルが適している。このアルキル基の炭素数
としては、2から10が好適である。ガラス転移温度を
容易に−50℃以下として充分な粘着性を発現できるか
らである。
やメタクリル酸のアルキルエステルのポリマーが用いら
れる。ポリマーに粘着性を発現させるためには、長鎖ア
ルキルエステルが適している。このアルキル基の炭素数
としては、2から10が好適である。ガラス転移温度を
容易に−50℃以下として充分な粘着性を発現できるか
らである。
【0033】もちろん、本発明の目的を達成する限りに
おいてアルキル基の炭素数が上記したモノマにこれ以外
のアクリルモノマを適宜共重合することは、全く差し支
えない。
おいてアルキル基の炭素数が上記したモノマにこれ以外
のアクリルモノマを適宜共重合することは、全く差し支
えない。
【0034】これらのアクリル系粘着剤は、その粘着性
能を向上させるために、カルボキシル基、水酸基、グリ
シジル基、アミノ基などで変性することが出来る。
能を向上させるために、カルボキシル基、水酸基、グリ
シジル基、アミノ基などで変性することが出来る。
【0035】シリコーン系の粘着剤としては、たとえ
ば、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)から発売さ
れている“SH4280”などの製品を、プリプレグに
塗布した後に加熱処理することによって粘着性を得るこ
とが出来る。
ば、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)から発売さ
れている“SH4280”などの製品を、プリプレグに
塗布した後に加熱処理することによって粘着性を得るこ
とが出来る。
【0036】これらの樹脂組成物Bとしては上記した粘
着剤を単独で用いてもよいが、複合材料の力学物性や耐
熱性の低下を抑制するため、熱硬化性樹脂、さらには硬
化剤と硬化触媒を組合わせた熱硬化性樹脂を配合して用
いることが好ましい。
着剤を単独で用いてもよいが、複合材料の力学物性や耐
熱性の低下を抑制するため、熱硬化性樹脂、さらには硬
化剤と硬化触媒を組合わせた熱硬化性樹脂を配合して用
いることが好ましい。
【0037】プリプレグの粘着性、粘着剤の塗工性、プ
リプレグから作製される複合材料の力学物性保持の観点
から、50重量%以上の熱硬化性樹脂、好ましくは70
〜90重量%の熱硬化性樹脂を粘着剤と配合して用いる
ことが好ましい。
リプレグから作製される複合材料の力学物性保持の観点
から、50重量%以上の熱硬化性樹脂、好ましくは70
〜90重量%の熱硬化性樹脂を粘着剤と配合して用いる
ことが好ましい。
【0038】熱硬化性樹脂としては、樹脂組成物Aに用
いた樹脂と同種の樹脂を用いることが複合材料とした時
の力学物性保持の観点から好ましく、前記したエポキシ
樹脂、ビニルエステル樹脂が用いられる。
いた樹脂と同種の樹脂を用いることが複合材料とした時
の力学物性保持の観点から好ましく、前記したエポキシ
樹脂、ビニルエステル樹脂が用いられる。
【0039】本発明のプリプレグの製造方法には、エポ
キシ樹脂および硬化剤を主成分とし、室温から1.5℃
/分の昇温速度で測定した時の最低粘度が0.5〜15
0ポアズである樹脂組成物Aからなる層と、エポキシ樹
脂を主成分とし、室温から1.5℃/分の昇温速度で測
定した時の最低粘度が200〜30,000ポアズであ
る樹脂組成物Bからなる層を積層してなる複合フィルム
を用いるものである。かかる複合フィルムを用いなけれ
ば樹脂を一工程で含浸することはできない。
キシ樹脂および硬化剤を主成分とし、室温から1.5℃
/分の昇温速度で測定した時の最低粘度が0.5〜15
0ポアズである樹脂組成物Aからなる層と、エポキシ樹
脂を主成分とし、室温から1.5℃/分の昇温速度で測
定した時の最低粘度が200〜30,000ポアズであ
る樹脂組成物Bからなる層を積層してなる複合フィルム
を用いるものである。かかる複合フィルムを用いなけれ
ば樹脂を一工程で含浸することはできない。
【0040】本発明においては、上記複合フィルムの樹
脂組成物Aからなる層をシート状強化材の少なくとも一
方の面に向けて張り合わせた後に、加熱および/または
加圧するものである。このような手段をとらなければ目
的とする構造のプリプレグとすることは困難である。
脂組成物Aからなる層をシート状強化材の少なくとも一
方の面に向けて張り合わせた後に、加熱および/または
加圧するものである。このような手段をとらなければ目
的とする構造のプリプレグとすることは困難である。
【0041】本発明のプリプレグにおいて、プリプレグ
に充分な粘着性を付与する一方、複合材料の層間剪断強
度などの力学物性が低下するのを防ぐ観点から、樹脂組
成物Bの目付は0.5〜30g/m2 、さらには1.0
〜15g/m2 の範囲とするのが好ましい。このような
目付とするには、まず樹脂組成物Bを離型紙または離型
フィルム上に計量しつつ塗布し、この上からさらに樹脂
組成物Aを塗布して複合フィルムとすればよい。
に充分な粘着性を付与する一方、複合材料の層間剪断強
度などの力学物性が低下するのを防ぐ観点から、樹脂組
成物Bの目付は0.5〜30g/m2 、さらには1.0
〜15g/m2 の範囲とするのが好ましい。このような
目付とするには、まず樹脂組成物Bを離型紙または離型
フィルム上に計量しつつ塗布し、この上からさらに樹脂
組成物Aを塗布して複合フィルムとすればよい。
【0042】樹脂組成物Aの目付をwa g/m2 とすれ
ば、この好ましい目付範囲は、シート状強化材の目付を
wf g/m2 、樹脂組成物Bの目付をwb g/m2 およ
びプリプレグ中の樹脂含有量をWr (%)としたときに
次式により求められる値を目安にすればよい。
ば、この好ましい目付範囲は、シート状強化材の目付を
wf g/m2 、樹脂組成物Bの目付をwb g/m2 およ
びプリプレグ中の樹脂含有量をWr (%)としたときに
次式により求められる値を目安にすればよい。
【0043】wa ={100 ×wb −Wr (wb +
wf )}/(Wr −100 ) 通常、Wr の値は30〜50%さらには35〜45%の
範囲が好ましい。
wf )}/(Wr −100 ) 通常、Wr の値は30〜50%さらには35〜45%の
範囲が好ましい。
【0044】本発明において用いる複合フィルムは、前
記したように、まず離型紙や離型フィルムなどの基材に
樹脂組成物Bを塗布した後に、樹脂組成物Aを塗布する
ことによって製造することが出来る。樹脂組成物を基材
上に設ける方法としては、樹脂を溶剤に溶解した後に基
材に塗布する溶剤法、ポリマーエマルジョンを塗布する
エマルジョン法、樹脂を加熱、溶融し、溶融液をプリプ
レグに塗布するホットメルト法などが挙げられる。粘着
性樹脂組成物の場合には、用いる粘着剤の粘度が高いの
で、粘着剤を溶剤に溶かして粘度を下げた状態で使用す
る溶剤法が好ましい。
記したように、まず離型紙や離型フィルムなどの基材に
樹脂組成物Bを塗布した後に、樹脂組成物Aを塗布する
ことによって製造することが出来る。樹脂組成物を基材
上に設ける方法としては、樹脂を溶剤に溶解した後に基
材に塗布する溶剤法、ポリマーエマルジョンを塗布する
エマルジョン法、樹脂を加熱、溶融し、溶融液をプリプ
レグに塗布するホットメルト法などが挙げられる。粘着
性樹脂組成物の場合には、用いる粘着剤の粘度が高いの
で、粘着剤を溶剤に溶かして粘度を下げた状態で使用す
る溶剤法が好ましい。
【0045】一方、樹脂組成物Aの場合には、樹脂粘度
が低いので、溶剤を揮発させる必要の無いホットメルト
法が好ましい。
が低いので、溶剤を揮発させる必要の無いホットメルト
法が好ましい。
【0046】本発明の粘着性に優れたプリプレグは、シ
ート状強化材、具体的には、強化繊維織物または一方向
に引き揃えられた強化繊維束などを、上記した複合フィ
ルムで挟み込み、ロールを必要に応じて加熱し、加圧し
て含浸する方法によって製造することが出来る。
ート状強化材、具体的には、強化繊維織物または一方向
に引き揃えられた強化繊維束などを、上記した複合フィ
ルムで挟み込み、ロールを必要に応じて加熱し、加圧し
て含浸する方法によって製造することが出来る。
【0047】通常、プリプレグの表面に粘着剤を塗布す
ることによって、プリプレグの粘着性を向上させるため
には、強化繊維中にマトリックス樹脂とを加熱含浸させ
た後に、更に粘着剤を塗布することが必要となる。従っ
て、プリプレグに加わる熱履歴が大きくなり、得られた
プリプレグのドレープ性が損われたり、繊維の配列が乱
れたりしやすいという欠点が発生しやすい。
ることによって、プリプレグの粘着性を向上させるため
には、強化繊維中にマトリックス樹脂とを加熱含浸させ
た後に、更に粘着剤を塗布することが必要となる。従っ
て、プリプレグに加わる熱履歴が大きくなり、得られた
プリプレグのドレープ性が損われたり、繊維の配列が乱
れたりしやすいという欠点が発生しやすい。
【0048】一方、本発明の方法によれば、粘着性を有
する樹脂組成物Bと樹脂組成物Aとが予め層状に塗布さ
れた複合フィルムを用いて、一度に強化繊維と組合わせ
ることが出来るので、プリプレグに加わる熱履歴が小さ
くなり、上記した欠点が発生しにくくなる。
する樹脂組成物Bと樹脂組成物Aとが予め層状に塗布さ
れた複合フィルムを用いて、一度に強化繊維と組合わせ
ることが出来るので、プリプレグに加わる熱履歴が小さ
くなり、上記した欠点が発生しにくくなる。
【0049】本発明の方法を使用してプリプレグを製造
する場合には、マトリックス樹脂である樹脂組成物Aが
強化繊維に充分含浸し、しかも粘着性樹脂である樹脂組
成物Bがプリプレグ表面に局在化していることが必要で
ある。もし、樹脂組成物Aが、樹脂組成物Bと共にプリ
プレグ表面に局在化してしまうと、プリプレグの含浸性
が悪くなり、このプリプレグを使用して得られる複合材
料中にボイド等の欠点が発生して、複合材料の力学物性
が低下してしまう。逆に、樹脂組成物Bが、樹脂組成物
Aと共に強化繊維中に入り込んでしまうと、プリプレグ
に充分な粘着性を付与することが出来なくなってしま
う。
する場合には、マトリックス樹脂である樹脂組成物Aが
強化繊維に充分含浸し、しかも粘着性樹脂である樹脂組
成物Bがプリプレグ表面に局在化していることが必要で
ある。もし、樹脂組成物Aが、樹脂組成物Bと共にプリ
プレグ表面に局在化してしまうと、プリプレグの含浸性
が悪くなり、このプリプレグを使用して得られる複合材
料中にボイド等の欠点が発生して、複合材料の力学物性
が低下してしまう。逆に、樹脂組成物Bが、樹脂組成物
Aと共に強化繊維中に入り込んでしまうと、プリプレグ
に充分な粘着性を付与することが出来なくなってしま
う。
【0050】この様な欠点を回避して、プリプレグの含
浸性と粘着性の両方を満足させるためには、複合フィル
ムを構成する2種の樹脂組成物の粘度に何ら配慮しなけ
れば、強化繊維とからプリプレグを製造する際に使用す
る含浸ロールの圧力を最適化することが必要となる。し
かし、既に述べた樹脂層A中の樹脂と樹脂層B中の樹脂
の粘度を特定範囲とし、粘度差を大きくすることによっ
て通常用いられる加圧範囲においても容易に本発明の目
的を達成できるものである。
浸性と粘着性の両方を満足させるためには、複合フィル
ムを構成する2種の樹脂組成物の粘度に何ら配慮しなけ
れば、強化繊維とからプリプレグを製造する際に使用す
る含浸ロールの圧力を最適化することが必要となる。し
かし、既に述べた樹脂層A中の樹脂と樹脂層B中の樹脂
の粘度を特定範囲とし、粘度差を大きくすることによっ
て通常用いられる加圧範囲においても容易に本発明の目
的を達成できるものである。
【0051】
(実施例1) [複合フィルムの製造]ニトリルゴム“Nipol10
72”(日本ゼオン(株)製)30重量部、エポキシ樹
脂“Ep828”(油化シェルエポキシ(株)製)70
重量部に硬化剤ジシアンジアミド“DICY”、硬化助
剤3、4−ジクロロフェニル−1、1−ジメチルウレア
“DCMU”を添加した濃度10重量%のメチルエチル
ケトン溶液を離型紙上にバーコーターNo.22(江藤
器械(株)製)を用いて塗布し、50℃で10分間熱風
乾燥機で乾燥を行ない、粘着性樹脂フィルム[樹脂層
B]とした。この時の樹脂目付は、10g/m2 であっ
た。
72”(日本ゼオン(株)製)30重量部、エポキシ樹
脂“Ep828”(油化シェルエポキシ(株)製)70
重量部に硬化剤ジシアンジアミド“DICY”、硬化助
剤3、4−ジクロロフェニル−1、1−ジメチルウレア
“DCMU”を添加した濃度10重量%のメチルエチル
ケトン溶液を離型紙上にバーコーターNo.22(江藤
器械(株)製)を用いて塗布し、50℃で10分間熱風
乾燥機で乾燥を行ない、粘着性樹脂フィルム[樹脂層
B]とした。この時の樹脂目付は、10g/m2 であっ
た。
【0052】更に、下記組成のエポキシ樹脂組成物[樹
脂層A]をニーダー中で調製した後、80℃に短時間に
加熱し、上記の粘着性樹脂フィルム上にリバースコータ
ーを用いてコーティングし、複合樹脂フィルムとした。
得られた複合樹脂の目付は、65g/m2 であった。
脂層A]をニーダー中で調製した後、80℃に短時間に
加熱し、上記の粘着性樹脂フィルム上にリバースコータ
ーを用いてコーティングし、複合樹脂フィルムとした。
得られた複合樹脂の目付は、65g/m2 であった。
【0053】 <エポキシ樹脂> ELM434(テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン) 40重量部 EPC830(ビスフェノールF型エポキシ) 20重量部 EPC152(臭素化ビスフェノールA型エポキシ) 63重量部 EP828 (ビスフェノールA型エポキシ) 127重量部 <硬化剤> 4,4'-DDS(4,4'- ジアミノジフェニルスルホン) 80重量部 <固形ゴム> NIPOL1072 (カルボキシル基末端アクリロニトリルブタジエンゴム) 25重量部(7.0重量%) レオメトリックス社製RDA−II型装置を用いて、以下
の条件で樹脂の粘度測定を行なったところ、樹脂層Bお
よび樹脂層Aの最低粘度は、それぞれ5,000ポアズ
と90ポアズであった。
の条件で樹脂の粘度測定を行なったところ、樹脂層Bお
よび樹脂層Aの最低粘度は、それぞれ5,000ポアズ
と90ポアズであった。
【0054】(粘度測定条件) 操作モード:ダイナミックモード 振動数3.14ラジアン/秒 昇温速度 :1.5℃/分 プレート構成:平行板(半径25mm) ギャップ0.83mm [織物プリプレグの製造]この複合樹脂フィルムをプリ
プレグマシンにセットし、炭素繊維織物“CO7373
Z(東レ(株)製)”の両面から樹脂含浸を行なった。
この時の含浸温度は100℃、含浸圧力は4kgf/cm2 で
あり、樹脂含有率40%のタック、ドレープ性に優れた
織物プリプレグが得られた。
プレグマシンにセットし、炭素繊維織物“CO7373
Z(東レ(株)製)”の両面から樹脂含浸を行なった。
この時の含浸温度は100℃、含浸圧力は4kgf/cm2 で
あり、樹脂含有率40%のタック、ドレープ性に優れた
織物プリプレグが得られた。
【0055】このプリプレグを25℃、相対湿度50%
の雰囲気中に一定時間放置した後に、プリプレグをアル
ミ板に両面テープを用いて張り付け、剥離強度の測定を
行なったところ、粘着剤層[樹脂層B]の塗布を行なわ
なかったプリプレグと比較して、一定時間後の剥離強度
が大きく改善されていた。結果を表1に示す。
の雰囲気中に一定時間放置した後に、プリプレグをアル
ミ板に両面テープを用いて張り付け、剥離強度の測定を
行なったところ、粘着剤層[樹脂層B]の塗布を行なわ
なかったプリプレグと比較して、一定時間後の剥離強度
が大きく改善されていた。結果を表1に示す。
【0056】
【表1】 次に、シリコーン系離型剤を塗布したアルミニウム板上
に、上記織物プリプレグを1枚置き、その上に織り糸の
方向が、先に置いたプリプレグの織物の織り糸に対して
±45゜になるように更に織物プリプレグを置き、次い
で、その上にセル孔の大きさが1/8インチ(約3.2
mm)で、厚みが1/2インチ(約12.7mm)のア
ラミドハニカム体(アラミド紙に耐熱性フェノール樹脂
を含浸してなる材料からなるハニカム体)を置き、更に
その上に2枚の上記プリプレグを、織り糸の方向が、ア
ラミドハニカム体の厚み中心に対して最初に置いた2枚
のプリプレグの織物と鏡面対称になるように置き、全体
をフッ素樹脂フィルムでパックした。
に、上記織物プリプレグを1枚置き、その上に織り糸の
方向が、先に置いたプリプレグの織物の織り糸に対して
±45゜になるように更に織物プリプレグを置き、次い
で、その上にセル孔の大きさが1/8インチ(約3.2
mm)で、厚みが1/2インチ(約12.7mm)のア
ラミドハニカム体(アラミド紙に耐熱性フェノール樹脂
を含浸してなる材料からなるハニカム体)を置き、更に
その上に2枚の上記プリプレグを、織り糸の方向が、ア
ラミドハニカム体の厚み中心に対して最初に置いた2枚
のプリプレグの織物と鏡面対称になるように置き、全体
をフッ素樹脂フィルムでパックした。
【0057】上記パック体をオートクレーブに入れ、パ
ック体内を減圧しながら、3kgf/cm2 の加圧下に、1.
5℃/分の速度で180℃に加熱し、その温度に2時間
保持し、織物プリプレグのエポキシ樹脂を硬化させてス
キンを形成すると共に、そのスキンとハニカム体とを接
着した。
ック体内を減圧しながら、3kgf/cm2 の加圧下に、1.
5℃/分の速度で180℃に加熱し、その温度に2時間
保持し、織物プリプレグのエポキシ樹脂を硬化させてス
キンを形成すると共に、そのスキンとハニカム体とを接
着した。
【0058】この様にして得られたハニカムサンドイッ
チパネルについて、そのスキン層横断面を顕微鏡観察し
たところ、ポロシティ(空隙部)は全く見られなかっ
た。
チパネルについて、そのスキン層横断面を顕微鏡観察し
たところ、ポロシティ(空隙部)は全く見られなかっ
た。
【0059】(比較例1)実施例1と同様の組成のエポ
キシ樹脂組成物をニーダー中で調製した後、80℃に短
時間に加熱し、離型紙上にリバースコーターを用いてコ
ーティングし、樹脂フィルムとした。得られた複合樹脂
の目付は、65g/m2 であった。
キシ樹脂組成物をニーダー中で調製した後、80℃に短
時間に加熱し、離型紙上にリバースコーターを用いてコ
ーティングし、樹脂フィルムとした。得られた複合樹脂
の目付は、65g/m2 であった。
【0060】この樹脂フィルムを使用して、実施例1と
同様の条件でプリプレグを作製した。粘着性樹脂層を有
する複合樹脂フィルムを使用した実施例1の系と比較す
ると、プリプレグ表面の剥離強度は極端に劣っていた。
結果を表1に併せて示す。
同様の条件でプリプレグを作製した。粘着性樹脂層を有
する複合樹脂フィルムを使用した実施例1の系と比較す
ると、プリプレグ表面の剥離強度は極端に劣っていた。
結果を表1に併せて示す。
【0061】また、実施例1と同様にして作製したハニ
カムサンドイッチパネルについて、そのスキン層横断面
を顕微鏡観察したところ、極めて多数のポロシティ(空
隙部)が観察された。
カムサンドイッチパネルについて、そのスキン層横断面
を顕微鏡観察したところ、極めて多数のポロシティ(空
隙部)が観察された。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、プリプレグ表面に所望
の粘着性を付与できるので、プリプレグのハンドリング
性が著しく改善でき、得られたプリプレグの粘着性は時
間を経ても変化しにくい。しかも、マトリックス樹脂の
種類、強化繊維の繊維含有率、強化繊維の撚りの有無に
拘らず、優れた粘着性を有し、かつ強化繊維の乱れが無
く、ドレープ性の良好なプリプレグを提供することが出
来る。
の粘着性を付与できるので、プリプレグのハンドリング
性が著しく改善でき、得られたプリプレグの粘着性は時
間を経ても変化しにくい。しかも、マトリックス樹脂の
種類、強化繊維の繊維含有率、強化繊維の撚りの有無に
拘らず、優れた粘着性を有し、かつ強化繊維の乱れが無
く、ドレープ性の良好なプリプレグを提供することが出
来る。
Claims (4)
- 【請求項1】シート状強化材と2種の樹脂組成物A,B
からなるプリプレグであって、主としてシート状強化材
中に含浸される樹脂組成物Aは、エポキシ樹脂および硬
化剤を主成分とし、室温から1.5℃/分の昇温速度で
測定した時の最低粘度が0.5〜150ポアズであり、
主として表層部に配置される樹脂組成物Bは、エポキシ
樹脂を主成分とし、室温から1.5℃/分の昇温速度で
測定した時の最低粘度が200〜30,000ポアズで
あることを特徴とする粘着性に優れたプリプレグ。 - 【請求項2】樹脂組成物Bがエポキシ樹脂、固形ニトリ
ルゴムおよび硬化剤からなることを特徴とする請求項1
記載の粘着性に優れたプリプレグ。 - 【請求項3】樹脂組成物Bの目付が0.5〜30g/m
2 である請求項1または請求項2に記載の粘着性の優れ
たプリプレグ。 - 【請求項4】エポキシ樹脂および硬化剤を主成分とし、
室温から1.5℃/分の昇温速度で測定した時の最低粘
度が0.5〜150ポアズである樹脂組成物Aからなる
層と、エポキシ樹脂を主成分とし、室温から1.5℃/
分の昇温速度で測定した時の最低粘度が200〜30,
000ポアズである樹脂組成物Bからなる層を積層して
なる複合フィルムの、樹脂組成物Aからなる層をシート
状強化材の少なくとも一方の面に向けて張り合わせた後
に、加圧することを特徴とする粘着性に優れたプリプレ
グの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16352993A JPH0718099A (ja) | 1993-07-01 | 1993-07-01 | 粘着性に優れたプリプレグおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16352993A JPH0718099A (ja) | 1993-07-01 | 1993-07-01 | 粘着性に優れたプリプレグおよびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0718099A true JPH0718099A (ja) | 1995-01-20 |
Family
ID=15775610
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16352993A Pending JPH0718099A (ja) | 1993-07-01 | 1993-07-01 | 粘着性に優れたプリプレグおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0718099A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1072634A1 (en) * | 1999-07-28 | 2001-01-31 | Hexcel Corporation | Reactive resin sheet materials |
JP2008137445A (ja) * | 2006-11-30 | 2008-06-19 | Shin Meiwa Ind Co Ltd | 航空機の前縁構造及びそれの製造方法 |
-
1993
- 1993-07-01 JP JP16352993A patent/JPH0718099A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1072634A1 (en) * | 1999-07-28 | 2001-01-31 | Hexcel Corporation | Reactive resin sheet materials |
JP2008137445A (ja) * | 2006-11-30 | 2008-06-19 | Shin Meiwa Ind Co Ltd | 航空機の前縁構造及びそれの製造方法 |
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