JPH07180681A - スクロール流体機械 - Google Patents

スクロール流体機械

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Publication number
JPH07180681A
JPH07180681A JP32776893A JP32776893A JPH07180681A JP H07180681 A JPH07180681 A JP H07180681A JP 32776893 A JP32776893 A JP 32776893A JP 32776893 A JP32776893 A JP 32776893A JP H07180681 A JPH07180681 A JP H07180681A
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JP
Japan
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scroll
weight
fluid machine
synthetic resin
polyether nitrile
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Application number
JP32776893A
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English (en)
Inventor
Muneaki Mukuda
宗明 椋田
Tetsuo Mitani
徹男 三谷
Fumiaki Baba
文明 馬場
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
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Publication of JPH07180681A publication Critical patent/JPH07180681A/ja
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04CROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
    • F04C18/00Rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids
    • F04C18/02Rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids of arcuate-engagement type, i.e. with circular translatory movement of co-operating members, each member having the same number of teeth or tooth-equivalents
    • F04C18/0207Rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids of arcuate-engagement type, i.e. with circular translatory movement of co-operating members, each member having the same number of teeth or tooth-equivalents both members having co-operating elements in spiral form
    • F04C18/0246Details concerning the involute wraps or their base, e.g. geometry

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Applications Or Details Of Rotary Compressors (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Rotary Pumps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 樹脂化して、軽量で生産性も良く、耐熱性、
耐摩耗性に優れた摺動騒音の小さいスクロール部材を
得、高性能で低騒音のスクロール流体機械を得る。 【構成】 可動スクロールの渦巻歯部分15をポリエー
テルニトリル樹脂を20〜80重量%、繊維強化材を2
0〜60重量%含む合成樹脂、またはポリエーテルニト
リル樹脂を20〜80重量%、繊維強化材を10〜60
重量%、無機充填材を10〜50重量%含む合成樹脂で
形成し、底板16を鋳鉄で形成する。渦巻歯の断面を台
形形状とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スクロール型圧縮機ま
たはスクロール型真空ポンプ等、スクロール流体機械に
関し、特にそのスクロール部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図10は、従来のスクロール流体機械の
一例を示す断面構成図である。図において、1は圧縮機
の駆動部及び圧縮装置を取り囲むシェルで、内部には軸
受けハウジング2が上記シェル1に固定されている。3
は上記軸受けハウジング2に固定された固定スクロール
であり、4は可動スクロールで、その背面に偏心ブッシ
ュ5、軸受け6よりなる被駆動部をもち、クランク軸7
を介して電動機8により駆動される。また可動スクロー
ル4の背面には、自転を防止するためオルダムリング9
をもち、オルダムリング9の一方は可動スクロール4
に、他方は軸受けハウジング2に固定され、可動スクロ
ール4が揺動運動を行うようになっている。さらにこの
可動スクロール4に支持するため、スラスト軸受け10
が設置されている。固定スクロール3と可動スクロール
4の歯の先端には、軸方向の隙間をシールするために、
チップシール11が設けられている。ここで、吸入ガス
はシェル側面吸入管12より吸入され電動機8を冷却し
た後、軸受けハウジング2とシェル1の隙間を上昇し
て、固定スクロール3の側面に設けられた吸入口から吸
入される。吸入されたガスは、可動スクロール4が固定
スクロール3に対し揺動運動することにより圧縮されな
がら中心部に移動し、固定スクロール3の中心部の吐出
口を通って吐出管13へ至る。
【0003】一般に、スクロール流体機械の圧縮効率
を、幾何学的な理論から決定される圧縮効率に近づける
ためには、高強度かつ高弾性の材料を使用し、ミクロン
レベルの精度で渦巻形状のスクロール部材を加工するこ
とが必須である。
【0004】従来のスクロール型流体機械においては、
固定スクロール及び可動スクロール部材に、耐摩耗性と
疲労強度に優れた鉄又はアルミニウム系の金属が使わ
れ、精密機械加工によってミクロンオーダの高精度で仕
上げられていた。このような高精度な機械加工は多くの
工数と加工時間が必要なため、スクロール流体機械の製
造において生産性を阻害する障害となっていた。
【0005】また、従来のスクロール流体機械のスクロ
ール部材は、耐摩耗性、耐熱性、耐溶剤性を有するエン
ジニアプラスチックを用いて射出成形により作られたも
のがある。しかしながらプラスチックを用いたもので
も、例えば、ポリフェニレンサルファイド(特公昭63
−301258号公報)は、常温常圧下での機械強度、
摺動特性は良好であるものの高温(150℃以上)油、
高圧(20atm 以上)冷媒中(例えばフロンガス)で長
時間動作させると、樹脂組成物から低分子成分の溶出、
機械強度の低下が認められた。また、ポリエーテルエー
テルケトン(特開昭63−85278号公報)は、機械
強度、摺動特性は良好であるものの、スクロール側面が
滑りあうときに発生する摺動音やスクロール自身の振動
により発生する打撃音により騒音が比較的大きいという
問題があった。さらに、このポリエーテルエーテルケト
ンをはじめとする200℃以上の耐熱性を有するエンジ
ニアリングプラスチックをスクロール部材に適用する
際、溶融時の粘度が高く流動性が悪いため、高精度の賦
型が困難で、炭素繊維やガラス繊維等を配合した組成物
の場合、表面平滑性が得られにくいなどの問題があっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のスクロール流体
機械の金属製スクロール部材は高精度な機械加工を要
し、多くの工数と加工時間が必要で生産性が悪いという
問題点があった。また、プラスチック製の場合は、樹脂
組成物から低分子成分が溶出する、機械強度が低下す
る、あるいは騒音が大きい、また、流動性が悪く、高精
度の賦型が困難である等の問題点があった。
【0007】本発明の目的は、上記従来技術のスクロー
ル流体機械が有している課題を解決することにあり、軽
量で生産性も良く、耐熱性、耐冷媒性、耐摩耗性に優
れ、しかも摺動騒音が極めて小さく、射出成形による高
精度な賦型が可能なプラスチックでスクロール部材を形
成し、高性能で低騒音のスクロール流体機械を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係るスクロール
流体機械は、板体の一面に渦巻状の歯を立設してなる一
対のスクロール部材を互いにかみ合わせ相対運動させる
ことにより気体を圧縮するもので、上記スクロール部材
の少なくともいずれか一方を、ポリエーテルニトリル樹
脂を20〜80重量%、繊維強化材を20〜60重量%
含む合成樹脂で形成したものである。
【0009】また、スクロール部材の少なくともいずれ
か一方を、ポリエーテルニトリル樹脂を20〜80重量
%、繊維強化材を10〜60重量%、及び無機充填材を
10〜50重量%含む合成樹脂で形成したものである。
【0010】上記合成樹脂にフッ素樹脂及び二硫化モリ
ブデンの少なくともいずれかを1〜10重量%含有させ
た。
【0011】スクロール部材の歯を立設する台板部を金
属で形成した。
【0012】さらに、スクロール部材の少なくともいず
れか一方を、その本体は金属で、摺動面をポリエーテル
ニトリル樹脂を80%以上含む合成樹脂で被覆して形成
するようにしたものである。
【0013】さらにまた、スクロール部材の渦巻状の歯
は歯厚が根元ほど厚くなる縦断面が台形形状とした。
【0014】そして、他方のスクロール部材を金属で形
成した。
【0015】
【作用】本発明においては、スクロール部材にポリエー
テルニトリル樹脂を成分とする合成樹脂を用い、繊維強
化材を複合化しているので、強度、耐熱性、摩耗、耐冷
媒性に対する信頼性が向上し、しかも摺動騒音が極めて
小さくなる。また、軽量化できるので振動を低減でき
る。また射出成形による高精度な賦型が可能で、高精度
な機械加工なしでスクロール部材の形成が可能であるた
め、生産性がよくなる。従って高性能で低騒音運転が可
能なスクロール流体機械が得られる。
【0016】また、無機充填材を加えているので、形状
精度が向上する。
【0017】フッ素樹脂または二硫化モリブデンを加え
ているので摺動特性が向上する。
【0018】スクロール部材の歯を立設する台板部を金
属で形成したので、スクロール部材の強度が向上し、揺
動方向と直交する方向のぶれが減少し、摺動特性が向上
し、機械の性能、信頼性が向上する。
【0019】さらに、スクロール部材本体を金属で形成
し、その摺動面をポリエーテルニトリル樹脂を80%以
上含む合成樹脂で被覆するようにしたので、耐熱性、摩
耗、耐冷媒性に対する信頼性が向上する。また摺動騒音
が極めて小さいため低騒音運転が可能となる。しかも金
属製と同等の強度を有し、ぶれが少なく摺動特性が向上
する。射出成形による高精度な賦型が可能で、金属製の
本体は粗加工でも使用できるので生産性が良い。
【0020】さらにまた、スクロール部材の渦巻状の歯
を歯厚が根元ほど厚くなる縦断面が台形形状としたの
で、歯の強度が向上するとともに、樹脂の弾性変形によ
り歯側面の密閉性が向上する。機械の性能、信頼製が向
上する。また樹脂の場合は金属と異なり、自身が変形し
て密着するので寸法裕度が大きい。
【0021】そして、他方のスクロール部材を金属で形
成し、合成樹脂と金属との異種素材の組み合わせにする
ことにより、摺動特性が向上し、機械の性能、信頼性が
向上する。
【0022】
【実施例】本発明はスクロール流体機械の渦巻状の歯を
立設してなるスクロール部材の少なくとも一方を、ポリ
エーテルニトリル樹脂に繊維強化材を含ませた合成樹脂
で形成するものである。而して、強度、耐熱性、摩耗、
耐冷媒性に対する信頼性が向上でき、摺動騒音が極めて
小さく低騒音運転が可能となる。また、射出成形による
高精度な賦型が可能で、高精度な機械加工なしでスクロ
ール部材を形成でき、生産性がよくなる。本発明に係わ
る合成樹脂の組成例を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】ポリエーテルニトリル樹脂として出光マテ
リアル(株)製ポリエーテルニトリル樹脂(商標名PEN
ID300)を使用し、表1に示すように繊維強化材
および無機充填材等を表示の割合で配合し、本発明の実
施例の合成樹脂の強度測定用試験片、熱変形温度測定用
試験片及び摩耗試験用試験片を作成し、曲げ弾性率、曲
げ強度、熱変形温度、線膨張率、動摩擦係数、限界PV
値、損失係数を測定した。それぞれ、ポリエーテルニト
リル樹脂組成物に繊維強化材あるいは無機充填剤を乾式
混合し、連続押出機により溶融混練し、得られた樹脂組
成物のペレットを射出成形機を用いて、シリンダー温度
350℃、金型温度200℃の条件で射出成形て作成し
た。表2に示す組成の比較例についても、同様の射出成
形条件で試験片を作成し、特性を測定した。各特性の測
定結果を表3(実施例)、表4(比較例)に示す。
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】また、図1の特性図に炭素繊維配合重量%
と曲げ弾性率の関係、図2の特性図に炭素繊維配合重量
%と強度の関係を示す。ポリエーテルニトリル樹脂と炭
素繊維の配合比を変えて測定した試験結果である。図3
の特性図にマイカ配合重量%と曲げ強度の関係、図4の
特性図にマイカ配合重量%と渦巻体成形品の形状精度の
関係を示す。炭素繊維を30重量%とし、ポリエーテル
ニトリル樹脂とマイカの配合比を変えて測定した試験結
果である。図5の特性図にポリテトラフルオルエチレン
配合重量%と摩擦係数の関係、図6の特性図にポリテト
ラフルオルエチレン配合重量%と曲げ強度の関係を示
す。炭素繊維を30重量%、マイカ20重量%とし、ポ
リエーテルニトリル樹脂とポリテトラフルオルエチレン
の配合比を変えて測定した試験結果である。
【0029】繊維強化材を全く配合しないポリエーテル
ニトリル樹脂単独のものでは弾性率が低すぎて渦巻体
(スクロール部材)への適用は困難だが、繊維強化材の
配合に比例して弾性率が向上する。例えば炭素繊維が2
0重量%では 曲げ弾性率が2,200kg/mm2 を示し、渦巻
体への適用が可能となる。ただし、配合量増大にともな
い弾性率が高くなるものの、60重量%付近から強度の
低下が現れる。80重量%以上では強度が低すぎ動作時
破壊が起こる。ガラス繊維についても同じ配合重量%に
おいて同様の傾向を示した。ポリエーテルニトリル樹脂
組成物に含まれる繊維強化材は20〜60重量%が望ま
しい。繊維強化材としては炭素繊維、ガラス繊維、及び
アラミド繊維等が、単独あるいは2種以上で用いられ
る。
【0030】また、繊維強化材に加え、無機充填材を配
合することにより成形収縮率を低く抑えられ且つ熱膨張
の異方性が小さくなるため、成形品の精度向上が容易に
なる。例えばマイカを10重量%を配合すると渦巻形状
精度が10μmの成形品が得られ、配合量増加とともに
さらに精度向上が可能となる。ただし50重量%以上配
合してもそれ以上の精度向上が得られないだけでなく、
強度低下が現れ、適用が困難となる。他の無機充填材に
おいても、同じ配合重量%において同様の傾向を示し
た。従って無機充填材の添加量は10〜50重量%が適
当である。無機充填材としてはマイカ、チッ化ケイ素、
酸化亜鉛、アルミナ、及びシリカ等が、単独あるいは2
種以上で用いられる。なお、無機充填材を添加した場合
は繊維強化材は10重量%から効果を発揮する。
【0031】さらに、例えばポリテトラフルオルエチレ
ン、ポリクロルトリフルオルエチレン等のフッ素樹脂、
あるいは二硫化モリブデンを1〜10重量%添加するこ
とにより、摺動特性が改善できる。10重量%以上添加
してもそれ以上の改善が望めないだけでなく、強度の低
下を引き起こした。
【0032】実施例1.図7は本発明の一実施例のスク
ロール圧縮機の主要部分、スクロール部材の構造を示す
模式断面図である。図において、14は鋳鉄製の鋳物を
機械加工により仕上げた固定スクロール、15はポリエ
ーテルニトリル樹脂を成分とする合成樹脂、表1に示す
組成の実施例で形成された可動スクロール、その渦巻歯
部分で、16は台板部、鋳鉄で形成された軸受け部をも
つ底板で上記可動スクロールの渦巻歯部分15と一体に
構成されている。スクロール外径が80mm、スクロール
歯の高さが20mmである。固定スクロール及び可動スク
ロールの歯の厚さは3.5mmである。熱膨張によるスク
ロール歯先端と、対向するスクロールの底面との接触を
防ぐため、可動スクロールの歯先端と固定スクロール底
面とのクリアランスを70μm、固定スクロール歯先端
と可動スクロール底面とのクリアランスを30μmとし
た。
【0033】可動スクロールに用いた合成樹脂に、ポリ
エーテルニトリル樹脂として出光マテリアル(株)製ポリ
エーテルニトリル樹脂(商標名PEN ID300)を
使用し、繊維強化材および無機充填材を表1に示す表示
の割合で配合した。それぞれ、ポリエーテルニトリル樹
脂組成物に繊維強化材あるいは無機充填剤を乾式混合
し、連続押出機により溶融混練し、得られた樹脂組成物
のペレットを射出成形機を用いて、シリンダー温度35
0℃、金型温度200℃の条件で射出成形し、スクロー
ル部材を得た。実施例の合成樹脂は成形性も良好で表面
も平滑であった。機械加工なしでスクロール部材の形成
ができ、生産性が向上した。
【0034】上記構成のスクロール圧縮機を、吸入口で
のフロンガスの圧力を4.5〜4.6kg/cm2、温度を15
〜16℃に保ち、可動スクロールを30〜120Hzの
周波数で揺動運動させたところ、突出口でのフロンガス
の圧力が20〜21kg/cm2、温度が95〜96℃に達
し、安定動作した。
【0035】実施例及び比較例の樹脂組成物で成形し
た、実施例1の構造の可動スクロールを用いたスクロー
ル圧縮機を冷凍サイクルカロリーメータに搭載し、冷凍
効率の成績係数(COP)を測定し、同時にそのとき発
生した騒音をオクターブ分析器を用いて測定した。その
結果を表5(実施例)、表6(比較例)に示す。
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】実施例1a〜9cのうち、繊維強化材また
は無機充填材の配合量が最も多い各cと実施例10の合
成樹脂では、測定中に破損したり冷房効率が低かった
が、その他の実施例では冷凍効率は良好で、成績係数
2.7以上を示し、安定した動作が行われた。また、摩
耗係数が小さく、損失係数が大きいことから摺動騒音に
対する消音効果に優れ、従来の鋳鉄製のスクロール部材
の場合に比べ、5〜6dbの騒音低下が得られた。この
ような傾向は、比較例で示した他の熱可塑性樹脂に比べ
顕著であり、ポリエーテルニトリル樹脂特有の傾向であ
る。
【0039】運転後、実施例に示したすべてのポリエー
テルニトリル樹脂組成物において、低分子成分の溶出は
みられなかった。合成樹脂の組成はポリエーテルニトリ
ル樹脂が20〜80重量%、繊維強化材が20〜50重
量%、あるいはポリエーテルニトリル樹脂が20〜80
重量%、繊維強化材が10〜50重量%、及び無機充填
材が10〜50重量%のものが望ましい。これにフッ素
樹脂及び二硫化モリブデンの少なくともいずれかを1〜
10重量%含ませたものでもよい。
【0040】また、この実施例では固定スクロール14
を鋳鉄、可動スクロール15を合成樹脂で形成し、異種
素材の組み合わせにしているので、摺動特性を向上で
き、機械の性能、信頼性を向上できた。さらに、合成樹
脂で形成した可動スクロールの底板16を鋳鉄で形成し
たので、可動スクロールの強度が向上し、揺動方向と直
交する方向のぶれが減少し、摺動特性が向上し、機械の
性能、信頼性が向上した。
【0041】実施例2.図8は本発明の他の実施例のス
クロール圧縮機の主要部分を示す模式断面図であり、こ
の実施例ではスクロール部材、固定スクロール14、可
動スクロール15の形状を改良し、渦巻状の歯を歯厚が
根元ほど厚くなる縦断面が台形形状としている。ここで
はスクロール部材の歯の根元を4.2mm、先端を3.0
mmの台形形状とした。この渦巻状の歯から対向する渦巻
状の歯へ押しつけ力を加えると、樹脂の弾性変形により
歯側面の密閉性(シール性)が向上する。また台形形状
にすることは、歯そのものの補強効果もある。
【0042】実施例及び比較例の樹脂組成物で図8に示
す形状の可動スクロール成形し、実施例1と同様にして
冷凍効率と騒音を測定した。その結果を表7(実施
例)、表8(比較例)に示す。
【0043】
【表7】
【0044】
【表8】
【0045】この実施例のように断面が台形形状の渦巻
歯にすることにより、実施例1a〜9cのうちの繊維強
化材または無機充填材の配合量が最も多い各cと実施例
10の合成樹脂を用いた場合にも、冷凍効率測定中に破
損することもなく、成績係数2.7 以上の安定した動作
を達成した。
【0046】上述したように、この実施例においては上
記実施例の効果に加え、以下に示す効果を奏する。台形
形状の渦巻歯にしたので、歯の強度が向上し、歯を形成
する合成樹脂の強度が少々低くとも充分に適用でき、優
れた効果を奏す。また、樹脂の弾性変形により歯側面の
密閉性が向上し、性能、信頼性が向上する。また樹脂は
金属と異なり、自身が変形して密着するので寸法裕度が
大きく、生産性が向上する。合成樹脂の組成はポリエー
テルニトリル樹脂が20〜80重量%、繊維強化材が2
0〜60重量%、あるいはポリエーテルニトリル樹脂が
20〜80重量%、繊維強化材が10〜60重量%、及
び無機充填材が10〜50重量のものが望ましく、これ
にフッ素樹脂及び二硫化モリブデンの少なくともいずれ
かを1〜10重量%含ませたものでもよい。
【0047】実施例3.図10は本発明のさらに他の実
施例のスクロール部材を示す模式断面図で、ポリエーテ
ルニトリル樹脂の良好な流動性を利用してスクロール部
材の形状をさらに改良した可動スクロールの断面を示し
たものである。18は鋳鉄からなる可動スクロール本体
で、最も精度が要求される摺動面17をポリエーテルニ
トリル樹脂組成物で約1mmの厚さで被覆したものであ
る。成形前にベースとなる鋳鉄製可動スクロール本体を
成形金型内に設置しておき、この金型に樹脂を射出する
ことにより一体成形して作成する。
【0048】実施例1と同様にして冷凍効率と騒音を測
定した結果を表9に示す。この形状の可動スクロールで
はポリエーテルニトリル樹脂の配合重量が80%以上の
合成樹脂でも適用が可能となり、実施例10で示したポ
リエーテルニトリル樹脂90重量%、炭素繊維10重量
%の組成物を用いても、成績係数 2.8を達成した。
【0049】
【表9】
【0050】摺動面17だけが合成樹脂で、スクロール
本体18は鋳鉄なので強度が高い。また、射出成形によ
る高精度な賦型が可能なのでスクロール本体18は粗加
工でも使用でき、生産性が向上する。強度が高く、耐熱
性も良く、低騒音化できる。なお、ポリエーテルニトリ
ル樹脂の配合重量が80%以下になると流動性が悪くな
り薄膜成形できないので、80%以上含有するものが適
当である。上記実施例と同様、繊維強化材、無機充填
材、フッ素樹脂等を含有させたものに限らず、ポリエー
テルニトリル樹脂だけでも良く、同様の効果を奏する。
【0051】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されている様な効果を奏する。
【0052】スクロール流体機械のスクロール部材の少
なくともいずれか一方を、ポリエーテルニトリル樹脂を
20〜80重量%、繊維強化材を20〜60重量%含む
合成樹脂で形成したので、強度、耐熱性、摩耗、耐冷媒
性に対する信頼性が向上し、しかも摺動騒音を低減で
き、軽量化により振動を低減できる。また、射出成形に
よる高精度な賦型が可能で生産性が向上する。高性能で
低騒音のスクロール流体機械が得られる。
【0053】また、スクロール部材の少なくともいずれ
か一方を、ポリエーテルニトリル樹脂を20〜80重量
%、繊維強化材を10〜60重量%、及び無機充填材を
10〜50重量%含む合成樹脂で形成したので、形状精
度が向上する。
【0054】上記合成樹脂にフッ素樹脂及び二硫化モリ
ブデンの少なくともいずれかを1〜10重量%含有させ
たので、摺動特性が向上する。
【0055】スクロール部材の渦巻状の歯を立設する台
板部を金属で形成したので、スクロール部材の強度が向
上し、ぶれが減少し、摺動特性が向上する。ひいては機
械の性能、信頼性が向上する。
【0056】さらに、スクロール部材の少なくともいず
れか一方を、その本体は金属で、摺動面をポリエーテル
ニトリル樹脂を80%以上含む合成樹脂で被覆して形成
するようにしたので、耐熱性、摩耗、耐冷媒性に対する
信頼性が向上し、しかも金属製と同等の強度を有し、ぶ
れが少なくなり、摺動特性が向上する。また射出成形に
よる高精度な賦型が可能で、金属製の本体は粗加工でも
使用できるので、生産性が良い。機械の性能が向上し、
低騒音運転が可能となる。
【0057】さらにまた、スクロール部材の渦巻状の歯
を歯厚が根元ほど厚くなる縦断面が台形形状としたの
で、歯の強度が向上するとともに、樹脂の弾性変形によ
り歯側面の密閉性が向上する。樹脂は自身が変形して密
着するので寸法裕度が大きい。
【0058】そして、他方のスクロール部材を金属で形
成し、合成樹脂と金属との異種素材の組み合わせにする
ことにより、摺動特性が向上し、機械の性能、信頼性が
向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる炭素繊維配合重量%と曲げ弾性
率の関係を示す特性図である。
【図2】本発明に係わる炭素繊維配合重量%と強度の関
係を示す特性図である。
【図3】本発明に係わるマイカ配合重量%と曲げ強度の
関係を示す特性図である。
【図4】本発明に係わるマイカ配合重量%と渦巻体成形
品の形状精度の関係を示す特性図である。
【図5】本発明に係わるポリテトラフルオルエチレン配
合重量%と摩擦係数の関係を示す特性図である。
【図6】本発明に係わるポリテトラフルオルエチレン配
合重量%と曲げ強度の関係を示す特性図である。
【図7】本発明の一実施例のスクロール圧縮機の主要部
分、スクロール部材の構造を示す模式断面図である。
【図8】本発明の他の実施例のスクロール圧縮機の主要
部分、スクロール部材の構造を示す模式断面図である。
【図9】本発明のさらに他の実施例のスクロール部材の
構造を示す模式断面図である。
【図10】従来例のスクロール流体機械を示す断面構成
図である。
【符号の説明】
14 固定スクロール 15 可動スクロールの渦巻歯部分 16 可動スクロールの底板 17 摺動面 18 可動スクロール本体

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板体の一面に渦巻状の歯を立設してなる
    一対のスクロール部材を互いにかみ合わせ相対運動させ
    ることにより気体を圧縮するスクロール流体機械におい
    て、上記スクロール部材の少なくともいずれか一方を、
    ポリエーテルニトリル樹脂を20〜80重量%、繊維強
    化材を20〜60重量%含む合成樹脂で形成したこと特
    徴とするスクロール流体機械。
  2. 【請求項2】 板体の一面に渦巻状の歯を立設してなる
    一対のスクロール部材を互いにかみ合わせ相対運動させ
    ることにより気体を圧縮するスクロール流体機械におい
    て、上記スクロール部材の少なくともいずれか一方を、
    ポリエーテルニトリル樹脂を20〜80重量%、繊維強
    化材を10〜60重量%、及び無機充填材を10〜50
    重量%含む合成樹脂で形成したこと特徴とするスクロー
    ル流体機械。
  3. 【請求項3】 合成樹脂はフッ素樹脂及び二硫化モリブ
    デンの少なくともいずれかを1〜10重量%含有してい
    ることを特徴とする請求項第1項または第2項記載のス
    クロール流体機械。
  4. 【請求項4】 スクロール部材の歯を立設する台板部は
    金属で形成されていることを特徴とする請求項第1項な
    いし第3項のいずれかに記載のスクロール流体機械。
  5. 【請求項5】 板体の一面に渦巻状の歯を立設してなる
    一対のスクロール部材を互いにかみ合わせ相対運動させ
    ることにより気体を圧縮するスクロール流体機械におい
    て、上記スクロール部材の少なくともいずれか一方を、
    その本体は金属で、摺動面をポリエーテルニトリル樹脂
    を80%以上含む合成樹脂で被覆して形成するようにし
    たこと特徴とするスクロール流体機械。
  6. 【請求項6】 スクロール部材の渦巻状の歯は歯厚が根
    元ほど厚くなる縦断面が台形形状をしていることを特徴
    とする請求項第1項ないし第5項のいずれかに記載のス
    クロール流体機械。
  7. 【請求項7】 他方のスクロール部材を金属で形成した
    ことを特徴とする請求項第1項ないし第6項のいずれか
    に記載のスクロール流体機械。
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