JP2023084053A - 軸シール - Google Patents

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健 安田
Takeshi Yasuda
佳大 ▲高▼橋
Yoshihiro Takahashi
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Abstract

【課題】シール性に優れ、低トルク特性を有する軸シールを提供する。【解決手段】軸シール1は、回転軸の外周面に密着して密封流体を封止する環状の軸シールであって、回転軸と軸シール1を装着するハウジングとの隙間が、軸シール1によって高圧側と低圧側に区画され、高圧側に延伸して回転軸と摺動するシールリップ部2を備え、シールリップ部2は、回転軸と摺動する内周面2aの接触部近傍に凹溝5を有し、凹溝5は、軸シール1の軸方向に延びるように形成され、シールリップ部2の全長を100%としたとき、シールリップ部2の先端2bから5%~30%の位置を起点とし他端側に向けて形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、回転軸の軸シールに関し、特に、車載エアコンのスクロール式圧縮機における回転軸の軸シールに関する。
圧縮機には冷媒や冷凍機油の漏れを防止するシール部材が用いられている。例えば、固定スクロールと、該固定スクロールに対して旋回運動する可動スクロールとを組み合わせた圧縮機構部を備えるスクロール式圧縮機では、圧縮機構部を駆動する回転軸に軸シールが装着されている。
上記スクロール式圧縮機は、例えば車両に搭載され、車載エアコン用電動コンプレッサとして用いられ、小型化、高効率化が求められている。このような軸シールには、シール性に加えて、低トルク化が求められている。
例えば、特許文献1の軸シールを図7に示す。図7に示すように、軸シール31は、回転軸Sの外周面に密着して油を含有する密封流体を封止する環状の軸シールである。この軸シール31は、軸方向の断面視が略U字状であり、軸方向一方側に延伸して回転軸Sと摺動するシールリップ部32と、シールリップ部32よりも外径側に設けられた外リップ部33とを備えている。特許文献1では、軸シールとして、ポリエステル系エラストマーを主成分とする熱可塑性エラストマー組成物の成形体を使用し、その曲げ弾性率を所定の範囲とすることで、シール性に優れるとともに、回転トルクを低減できるとしている。
特開2021-092279号公報
近年、省エネルギー化の進展に伴い、シール性に優れ、さらに回転トルクが低減できる軸シールが要求されている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、シール性に優れ、低トルク特性を有する軸シールを提供することを目的とする。
本発明の軸シールは、回転軸の外周面に密着して密封流体を封止する環状の軸シールであって、上記回転軸と上記軸シールを装着するハウジングとの隙間が、上記軸シールによって高圧側と低圧側に区画され、上記軸シールは、高圧側に延伸して上記回転軸と摺動するシールリップ部を備え、上記シールリップ部は、上記回転軸と摺動する内周面の接触部近傍に凹溝を有することを特徴とする。なお、接触部近傍とは、内周面の回転軸と接触する領域のうち、シールリップ部の先端を含まない領域である。
上記凹溝は、上記軸シールの軸方向に延びるように形成され、上記シールリップ部の全長を100%としたとき、上記シールリップ部の先端から5%~30%の位置を起点とし他端側に向けて形成されていることを特徴とする。
上記凹溝は、上記軸シールの周方向に離間して複数形成され、上記凹溝の幅は、上記シールリップ部の内径周長の1%~15%であり、かつ、周方向で隣り合う上記凹溝の間隔は、上記シールリップ部の内径周長の1%~15%であることを特徴とする。
上記凹溝の幅は、周方向で隣り合う上記凹溝の間隔よりも大きいことを特徴とする。
上記凹溝は、上記軸シールの周方向に延びるように形成され、上記シールリップ部の全長を100%としたとき、上記シールリップ部の先端から5%の位置~30%の位置までの範囲に形成されることを特徴とする。
上記凹溝の最大深さは、上記シールリップ部の厚みの10%~30%であることを特徴とする。
上記軸シールは、軸方向の断面視が略U字状であり、上記シールリップ部よりも外径側に設けられた外リップ部とを有することを特徴とする。
上記軸シールは、車載エアコンのスクロール式圧縮機における回転軸に用いられる軸シールであることを特徴とする。
本発明の軸シールは、高圧側に延伸して回転軸と摺動するシールリップ部を備え、シールリップ部は、回転軸と摺動する内周面の接触部近傍(先端を除く)に凹溝を有するので、回転軸に対するシールリップ部の先端の密着性を維持しながら、シールリップ部の接触面積を減少でき、従来(図7参照)のように凹溝が形成されていない軸シールよりも低トルク化を図ることができる。さらに、凹溝にオイルなどの潤滑剤が保持されるため、当該凹溝は潤滑溝としても機能し、低トルク化に寄与する。これにより、シール性に優れ、低トルク特性を有する軸シールになる。
凹溝は、軸シールの軸方向に延びるように形成され、シールリップ部の全長を100%としたとき、シールリップ部の先端から5%~30%の位置を起点とし他端側に向けて形成されているので、少なくともシールリップ部の先端から上記全長に対して5%の範囲には溝が形成されず、シールリップ部がある程度幅をもって全周接触されることから、シール性を良好に維持できる。
凹溝は、軸シールの周方向に離間して複数形成され、凹溝の幅は、シールリップ部の内径周長の1%~15%であり、かつ、周方向で隣り合う凹溝の間隔は、シールリップ部の内径周長の1%~15%であるので、低トルク化を好適に図りつつ、回転軸を安定して支持しやすい。なお、凹溝の間隔とは、隣り合う凹溝と凹溝の間の凸面の長さである。
凹溝の最大深さは、シールリップ部の厚みの10%~30%であるので、シールリップ部の強度を維持しつつ、シールリップ部が弾性変形した場合であっても、凹溝を非接触部にすることができ、低トルク化を図りやすい。
本発明の軸シールの一例を示す平面図および断面図である。 図1の軸シールを回転軸に装着した状態の側面図などである。 凹溝の溝形状の例を示す図である。 本発明の軸シールの他の例を回転軸に装着した状態の図である。 スクロール式圧縮機の圧縮機構部を示す模式断面図である。 回転トルクの測定試験の概略図である。 従来の軸シールの構成を示す図である。
本発明の軸シールについて、図1に基づいて説明する。図1(a)は軸シールをシールリップ部側から見た平面図であり、図1(b)はそのA-A線断面図である。なお、本発明において、軸シールの中心軸Oに平行な方向を「軸方向」、中心軸Oに直交する方向を「径方向」、中心軸Oを中心とする軸周りの方向を「周方向」という。
図1に示すように、軸シール1は、軸方向の断面視が略U字状の環状部材であり、軸方向一方側に延伸したシール内径側のシールリップ部2と、シールリップ部2よりもシール外径側に設けられた外リップ部3とを有する。シールリップ部2と外リップ部3はそれぞれ基端部4から延伸しており、シールリップ部2と外リップ部3は相互に先端が離れる方向へ傾斜して形成されている。
後述するように、軸シール1の内孔に回転軸が挿通され、シールリップ部2がその回転軸と摺動する。シールリップ部2の内周面2aが回転軸の外周面との摺動面となり、この内周面2aの接触部近傍に、径方向外側に凹んだ凹溝5が形成されている。上述したように、この接触部近傍とは、内周面2aが回転軸と接触する領域のうち、シールリップ部2の先端2bを含まない領域である。例えば、シールリップ部2の全長を100%としたとき、シールリップ部の先端2bから5%の位置~50%の位置までの領域である。少なくとも接触部近傍にかかるように凹溝が形成されていればよい。
図1(b)では、シールリップ部2の先端2bには凹溝5が形成されていない。この場合、回転軸に対してシールリップ部2の先端が全周接触する。シールリップ部2は、高圧側の圧力によって回転軸に密着するように押し付けられ、軸シールの先端2bに近いほど密着力が高くなる。そのため、図1(b)に示すように、先端2bを含むある程度の領域を全周接触させることで、接触領域に凹溝5を形成しながらも、回転軸に対する密着性を良好に維持しやすくなる。
図1において、凹溝5は、軸シール1の軸方向に延びるように複数形成されている。この凹溝5は、シールリップ部2の全長を100%としたとき、シールリップ部2の先端2bから5%~30%の位置(好ましくは5%~20%の位置)を起点とし他端側に向けて形成されている。また、この凹溝5は、先端2b側には開口しない一方で、他端側に開口するように形成されている。この場合、凹溝5は基端部4の内周面にも形成されている。なお、シールリップ部2の全長は、軸シール1の底面4aの隅部(シールリップ部2側)からシールリップ部2の先端2bの外径側の頂点までの直線の長さをいう。
また、図1では凹溝5は他端側に開口しているが、例えば、凹溝を他端側に開口しないように形成してもよい。この場合、当該凹溝は、軸シールの軸方向両側に開口しない溝となる。
続いて、図2(a)には、図1の軸シールを回転軸に装着した状態の側面図を示し、図2(b)はそのB-B線断面図(回転軸に垂直な方向に切断した断面図)を示す。図2(a)に示すように、使用時において、軸シール1の内孔に回転軸Sが挿通され、軸シール1は、ハウジングなどの取付部に装着される。
図2(b)に示すように、凹溝5は軸シール1の周方向で離間して複数形成されている。図2(b)において、隣り合う凹溝5同士の間の内周面2aは摺動面の一部を構成し、凹溝5は回転軸Sの外周面との非接触部となっている。凹溝5のそれぞれの幅(周方向長さ)は、シールリップ部の内径周長の1%~15%であることが好ましく、5%~15%であることがより好ましい。なお、凹溝5の幅は、内周面に対する開口幅である。また、周方向で隣り合う凹溝5の間隔(溝間隔)は、シールリップ部2の内径周長の1%~15%であることが好ましく、5%~15%であることがより好ましい。また、低トルク化の観点から、凹溝5の幅は溝間隔よりも大きいことが好ましい。なお、凹溝5の間隔(溝間隔)とは、隣り合う凹溝と凹溝の間の凸面の長さである。
なお、シールリップ部の内径周長は、軸シールの内径寸法(シールリップ部の先端間の距離)に基づいて算出される。軸シールの内径寸法は、例えば10mm~50mm程度である。
凹溝の幅は、軸方向に向けて一定でもよく(図1(b)参照)、軸方向に向けて変化させてもよい。例えば、他端側(基端部側)に向けて、凹溝の幅が段階的または連続的に狭くなるように凹溝を形成してもよい。この場合、溝間隔は、他端側(基端部側)に向けて、段階的または連続的に広くなる。
図2において、摺動特性が安定することから、凹溝5は全て同サイズとし、略等間隔で離間して複数(図2では6個)設けることが好ましい。
図2の凹溝5の形状について、図3(a)を用いて更に説明する。図3(a)はシールリップ部の断面図であり、凹溝5の断面形状を示している。凹溝5は、円弧状の底面5aと、その底面5aから直立した側壁5b、5bで形成されている。底面5aは、シールリップ部2の内周面2aおよび外周面2cの円弧と同心円の円弧で形成されている。
凹溝5の最大深さd(径方向の長さ)は、シールリップ部の厚みTの10%~30%であることが好ましく、20%~30%であることがより好ましい。これにより、シールリップ部の強度を維持しつつ、シールリップ部が変形した場合であっても、回転軸に対して凹溝5が接触しにくくなる。凹溝5の最大深さdは、底面5aの最深部から凹溝が形成されていないと仮定した場合の内周面(図3の点線)に降ろした垂線の長さである。なお、シールリップ部2の厚みTは、0.3mm~1.5mmである。
凹溝5の断面形状は、略矩形状(図3(a))に限定されず、例えば、略台形状の凹溝6(図3(b))や、底面が一対の平面7a、7aで形成された略三角形状の凹溝7(図3(c))、円弧状の凹溝8(図3(d))、略台形状の凹溝9(図3(e))などを採用できる。凹溝5~8は、各凹溝の周方向中央線に対して対称形状になっている。一方、凹溝9は、その周方向中央線に対して非対称形状になっている。これら凹溝5~9の幅や最大深さは、適宜設定でき、上述した数値範囲とすることが好ましい。
また、図3(b)~(e)の凹溝は、回転軸の回転方向Xにくさび形状が形成されているため、凹溝に保持された潤滑剤が絞り込まれることで動圧効果が発生し、回転トルクをより低下させることができる。くさび形状として、具体的には、回転軸の回転方向の下流側に向かって溝深さが浅くなる傾斜平面や傾斜曲面が形成されている。なお、凹溝の周方向角部には、C面取りあるいはR面取りを施してもよい。面取りを付けることで動圧効果も期待できる。
次に、本発明の軸シールの他の例について図4に基づいて説明する。図4は、軸シールを圧縮機に適用した例を示し、軸シールを回転軸に装着した状態の軸方向断面図を示している。図4において、ハウジング16には、回転軸Sが挿通される挿入孔16aが設けられており、挿入孔16aの周囲に環状溝17が設けられている。軸シール11は、この環状溝17に装着され、回転軸Sが回転することで、シールリップ部12が回転軸Sに摺動する。
図4において、軸シール11は、シールリップ部12と外リップ部13とがそれぞれ高圧側Hに延伸するように環状溝17に装着されている。この場合、各リップ部が延伸する側が高圧側Hに相当し、基端部14の背面側が低圧側Lに相当する。装着した状態では、軸シール11の外リップ部13が環状溝17の側壁17aに接触し、シールリップ部12が回転軸Sの外周面に接触する。また、基端部14の背面が環状溝17の底壁17bに密着する。一方、外リップ部13と側壁17aとの間、およびシールリップ部12と回転軸Sとの間にはそれぞれ空間が形成されており、基端部14は回転軸Sに接触していない。
軸シール11において、シールリップ部12は、内周面12aの接触部近傍(先端12bを除く)に凹溝15を有している。この凹溝15は、周方向に延びるように、内周面12aの全周にわたって形成されている。凹溝15は、シールリップ部12の全長を100%としたとき、上記シールリップ部の先端12bから、5%の位置~30%の位置まで(好ましくは5%の位置~20%の位置まで)の範囲に形成されることが好ましい。凹溝15の軸方向断面における形状は特に限定されず、矩形溝、三角溝、円弧溝などを採用できる。
なお、図4では、凹溝15を1本形成したが、軸方向に離間して複数本形成してもよい。また、凹溝15についても、その最大深さ(径方向の長さ)は、シールリップ部12の厚みTの10%~30%であることが好ましく、20%~30%であることがより好ましい。なお、シールリップ部12の厚みTは、0.3mm~1.5mmである。
軸シール11は、シールリップ部12が回転軸Sの外周面に密着することで、高圧側Hの流体が低圧側Lへ漏れ出すことを防いでいる。流体は、冷媒、油、冷媒と油の混合物などが挙げられる。
上記図1~図4には、軸方向の断面視が略U字状の軸シールを示したが、本発明の軸シールはこれに限らない。例えば、シールリップ部とリップを有さない固定部からなる形状としてもよい。
また、図4の圧縮機において、ハウジング16の高圧側Hには圧縮機構部が設けられる。圧縮機構部の形態は、回転軸の回転によって流体の圧縮が行われる機構であればよく、スクロール式や斜板式などを採用できる。例えば、スクロール式の場合、圧縮機構部は、固定スクロールと、該固定スクロールに対して旋回運動する可動スクロールとを組み合わせて構成される。
図5には、スクロール式の圧縮機構部の一部断面図を示す。図5に示すように、圧縮機構部18は、基板20aとその表面に直立する固定側スクロール翼20bを有する固定ロータ20と、基板21aとその表面に直立する可動側スクロール翼21bを有する可動ロータ21とを備えている。固定ロータ20と可動ロータ21が相互に偏心状態にかみ合わされて、それらの間に圧縮室19が形成されている。可動ロータ21は、上述の回転軸に直接的または間接的に接続されており、可動ロータ21が固定ロータ20の軸線の周りで公転することにより、圧縮室19が渦巻形状の中心側に移動して流体の圧縮が行なわれる。圧縮された圧縮流体は、可動ロータ21の中心部の吐出口22を通って吐出管から吐出され、冷凍サイクルに流出する。そして、冷凍サイクルの流体(冷媒ガスなど)が吸入口(図示省略)を介して圧縮室19へ導入される。
本発明の軸シールは、樹脂組成物または熱可塑性エラストマー組成物からなる。樹脂組成物において、主成分となる樹脂(ベース樹脂)は限定されるものではなく、ポリアミド(PA)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)樹脂、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)樹脂、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)樹脂、ポリビニリデンフルオライド樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂などを用いることができる。
また、熱可塑性エラストマー組成物において、主成分となるエラストマーは限定されるものではなく、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーなどを用いることができる。耐熱性、耐薬品性の点から、ポリエステル系エラストマーが特に好ましい。ポリエステル系エラストマーは、ハードセグメントとソフトセグメントを含み、ハードセグメントにポリエステル単位、ソフトセグメントにポリエーテル単位またはポリエステル単位が用いられる。ポリエステル系エラストマーは、ポリエステル-ポリエーテル型またはポリエステル-ポリエステル型のマルチブロック共重合体である。
上記の樹脂組成物および熱可塑性エラストマー組成物には、摩擦摩耗特性を向上させる目的で、PTFE樹脂、グラファイト、二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤を配合することができる。
固体潤滑剤の配合量は、樹脂組成物または熱可塑性エラストマー組成物100体積%に対して、1体積%~40体積%が好ましく、1体積%~20体積%がより好ましい。40体積%を超えると、樹脂組成物または熱可塑性エラストマー組成物の伸び特性が低下するおそれがあり、軸シールを回転軸に組み込む際に割れが発生するおそれがある。
なお、本発明の効果を阻害しない程度に、樹脂組成物または熱可塑性エラストマー組成物に、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などの繊維状補強材、球状シリカなどの球状充填材、マイカなどの鱗状補強材、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムなどの摺動補強材、チタン酸カリウムウィスカなどの微小繊維補強材を用いてもよい。カーボンブラック、酸化鉄などの着色剤も配合できる。これらは単独で配合することも、組み合せて配合することもできる。
本発明の軸シールは、車載エアコンのスクロール式圧縮機に用いることができる。スクロール式圧縮機は、エンジン動力を利用したベルト駆動、エンジン動力を利用しないモータ駆動のどちらであってもよい。また、本発明の軸シールは、圧縮機に限らず用いることができる。
本発明の軸シールは、例えば、一般的な熱可塑性樹脂用の射出成形機を用い、射出成形によって成形される。上記樹脂組成物または上記熱可塑性エラストマー組成物を構成する各材料を、必要に応じて、ヘンシェルミキサー、アキシャルミキサー、ボールミキサー、リボンブレンダーなどにて混合した後、二軸混練押出し機などの溶融押出し機にて溶融混練し、成形用ペレットを得ることができる。なお、充填材の投入は、二軸押出し機などで溶融混練する際にサイドフィードを採用してもよい。この成形用ペレットを用いて射出成形により軸シールを成形する。
実施例1~2、比較例1~2
熱可塑性エラストマー組成物を二軸混練押出し機で作製し、ペレット化した。得られたペレットを用いて射出成形により、実施例1~2として、図1および図2に示す形状の軸シール(内径寸法20mm)を得た。具体的には、凹溝として、軸方向に延びるように凹溝を6個形成した。凹溝の各寸法を表1に示す。なお、溝幅および溝間隔は、円弧の長さとして計測した。
また、比較例1~2として、図7に示す形状(溝なし)の軸シール(内径寸法20mm)を得た。
<回転トルク試験>
図6に示す回転トルク試験機を用いて、下記の条件でオイル中で回転トルク試験を実施して、回転トルクおよびオイルリーク量を測定した。
<試験条件>
回転軸 :材質S45C
回転数 :3000min-1、8000min-1
油圧 :0.3MPa、0.8MPa
油温 :40℃
冷凍機油:ポリアルキレングリコール油
試験時間:60分
図6に示すように、試験機23のハウジングは、外周側ハウジング26と内周側ハウジング27とを組み付けて構成される。これらハウジングの合わせ面において、内周側ハウジング27の外周溝にはOリング28が配置されており、合わせ面から冷凍機油が漏れることを防止している。軸シール24は回転軸25に密着しており、回転軸25の回転によって回転軸25の外周面と摺接する。冷凍機油を圧送して、ハウジング内空間に供給した。冷凍機油は、図6に示すように、流入路26bから流入し、ハウジング内空間を経て、流出路26cから流出する。オイルリーク量は、回転軸25と挿通孔26aとの間から漏れ出た冷凍機油の量に基づいており、試験開始後50~60分間の平均値(n=2)を示している。また、回転トルクは、試験開始後50~60分間の平均値(n=2)を示している。結果を表1に示す。
Figure 2023084053000002
表1に示すように、回転数が3000min-1、8000min-1のいずれの場合も、実施例は、比較例(従来品)と比較して、オイルリーク性を保持しつつも、回転トルクの向上が認められた。具体的には、実施例は、比較例に比べて、回転トルクが5%~10%程度小さくなった。
本発明の軸シールは、シール性に優れるとともに、回転トルクを一層低減できるので、回転軸の外周面に摺接しながら密封流体を封止する軸シールとして広く使用できる。特に、車載エアコンのスクロール式冷媒圧縮機の圧縮機構部を回転させる回転軸の軸シールに適している。
1 軸シール
2 シールリップ部
3 外リップ部
4 基端部
5 凹溝
6 凹溝
7 凹溝
8 凹溝
9 凹溝
11 軸シール
12 シールリップ部
13 外リップ部
14 基端部
15 凹溝
16 ハウジング
17 環状溝
18 圧縮機構部
19 圧縮室
20 固定ロータ
21 可動ロータ
22 吐出口
23 試験機
24 軸シール
25 回転軸
26 外周側ハウジング
27 内周側ハウジング
28 Oリング
S 回転軸

Claims (8)

  1. 回転軸の外周面に密着して密封流体を封止する環状の軸シールであって、
    前記回転軸と前記軸シールを装着するハウジングとの隙間が、前記軸シールによって高圧側と低圧側に区画され、前記軸シールは、高圧側に延伸して前記回転軸と摺動するシールリップ部を備え、
    前記シールリップ部は、前記回転軸と摺動する内周面の接触部近傍に凹溝を有することを特徴とする軸シール。
  2. 前記凹溝は、前記軸シールの軸方向に延びるように形成され、前記シールリップ部の全長を100%としたとき、前記シールリップ部の先端から5%~30%の位置を起点とし他端側に向けて形成されていることを特徴とする請求項1記載の軸シール。
  3. 前記凹溝は、前記軸シールの周方向に離間して複数形成され、前記凹溝の幅は、前記シールリップ部の内径周長の1%~15%であり、かつ、周方向で隣り合う前記凹溝の間隔は、前記シールリップ部の内径周長の1%~15%であることを特徴とする請求項2記載の軸シール。
  4. 前記凹溝の幅は、周方向で隣り合う前記凹溝の間隔よりも大きいことを特徴とする請求項3記載の軸シール。
  5. 前記凹溝は、前記軸シールの周方向に延びるように形成され、前記シールリップ部の全長を100%としたとき、前記シールリップ部の先端から5%の位置~30%の位置までの範囲に形成されることを特徴とする請求項1記載の軸シール。
  6. 前記凹溝の最大深さは、前記シールリップ部の厚みの10%~30%であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項記載の軸シール。
  7. 前記軸シールは、軸方向の断面視が略U字状であり、前記シールリップ部よりも外径側に設けられた外リップ部とを有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項記載の軸シール。
  8. 前記軸シールは、車載エアコンのスクロール式圧縮機における回転軸に用いられる軸シールであることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項記載の軸シール。
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