JP2023147122A - 軸シール - Google Patents

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Shinya Oda
健 安田
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【課題】装置を小型化できるとともに、回転トルクを低減できる軸シールを提供する。【解決手段】軸シール1は、回転軸6の外周面に密着して密封流体を封止する環状の軸シールであって、回転軸6と軸シール1を装着するハウジング7との隙間が、軸シール1によって高圧側と低圧側に区画され、軸シール1は、高圧側に延伸して回転軸6と摺動するシールリップ部2を備え、シールリップ部2のリップ長さL2が1.0mm以上2.0mm未満で、リップ厚さt2が0.3mm以上0.7mm以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、回転軸の軸シールに関し、特に、車載エアコン用スクロール式圧縮機の回転軸の軸シールに関する。
近年、自動車の電動化が進む中で、各種装置の省エネルギー性が要求されている。例えば、車載エアコン(カーエアコン)の電気消費量の低減が強く求められている。これを実現するためには、装置の小型化、回転トルクの低減による高効率化が必要であり、部品の細部にわたる対策が必須である。
車載エアコンの圧縮機には、冷媒や冷凍機油の漏れを防止するシール部材が用いられている。例えば、固定スクロールと、該固定スクロールに対して旋回運動する可動スクロールとを組み合わせた圧縮機構部を備えるスクロール式圧縮機では、圧縮機構部を駆動する回転軸に軸シールが装着されている。
特許文献1には、車載エアコンのスクロール式圧縮機に用いられる軸シールが開示されている。特許文献1に記載の軸シールは、軸方向の断面視が略U字状であり、高圧側に延伸して回転軸と摺動するシールリップ部と、該シールリップ部よりも外径側に設けられた外リップ部とを備える。この軸シールは、回転軸の外周面に対するシールリップ部の傾斜角度が5°~20°であり、軸シールの軸方向の断面視においてシールリップ部の長さが2.0mm~6.5mmであることが開示されている。この軸シールは、回転軸に対する緊迫力を適度に発揮させることができ、回転トルクを低減できるとともに、シール性に優れる。
国際公開第2021/117601号
特許文献1に記載の軸シールは、シールリップ部の長さが上記所定の範囲の場合に回転トルクを低減できるとしている。しかし一方で、シールリップ部の長さが短くなるとシールリップ部がたわみにくく緊迫力が高くなり、回転トルクが大きくなるおそれが指摘されており、装置の小型化において課題となりうる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、装置を小型化できるとともに、回転トルクを低減できる軸シールを提供することを目的とする。
本発明の軸シールは、回転軸の外周面に密着する環状の軸シールであって、上記軸シールは、上記回転軸と摺動するシールリップ部を備え、上記シールリップ部のリップ長さが1.0mm以上2.0mm未満で、リップ厚さが0.3mm以上0.7mm以下であることを特徴とする。
上記回転軸を組み込む前の上記軸シールの内径寸法をd、上記回転軸の外径寸法をDとすると、上記軸シールと上記回転軸との締め代(D-d)が0.1mm~0.8mmであることを特徴とする。
上記締め代(D-d)が0.2mm~0.6mmであることを特徴とする。
上記軸シールは、軸方向の断面視が略U字状であり、上記シールリップ部よりも外径側に設けられた外リップ部を有し、上記シールリップ部のリップ厚さが上記外リップ部のリップ厚さよりも薄いことを特徴とする。
上記軸シールは、熱可塑性エラストマー組成物の成形体であり、ASTM D790による曲げ弾性率が200MPa~2400MPaであることを特徴とする。
上記軸シールは、上記回転軸の外周面に密着して密封流体を封止する軸シールであって、上記回転軸と上記軸シールを装着するハウジングとの隙間が、上記軸シールによって高圧側と低圧側に区画され、上記シールリップ部は、上記高圧側に延伸して上記回転軸と摺動することを特徴とする。
上記回転軸の外径寸法がφ15mm~φ30mmであることを特徴とする。
上記軸シールは、車載エアコン用スクロール式圧縮機における回転軸に用いられる軸シールであることを特徴とする。
本発明の軸シールは、シールリップ部のリップ長さが1.0mm以上2.0mm未満で、リップ厚さが0.3mm以上0.7mm以下であるので、装置を小型化できるとともに、シールリップ部の回転軸に対する緊迫力を適度に低減させ、回転トルクを低減できる。
軸シールと回転軸との締め代(D-d)が0.1mm~0.8mmであるので、シール性を損なうことなく、回転トルクをより低減できる。特に、締め代(D-d)が0.2mm~0.6mmであるので、シール性を維持しながら、回転トルクの低減を一層図りやすい。
軸シールは、熱可塑性エラストマー組成物の成形体であり、ASTM D790による曲げ弾性率が200MPa~2400MPaであるので、摩耗しにくくシール性に優れるとともに、適度な緊迫力が発揮され低トルク化に一層寄与する。
本発明の軸シールの一例を回転軸に装着した状態の図である。 図1の軸シールの装着前の状態の拡大断面図である。 スクロール式圧縮機の圧縮機構部を示す模式断面図である。 回転トルクの測定試験の概略図である。
本発明の軸シールを適用した圧縮機について図1に基づいて説明する。図1は、軸シールを回転軸に装着した状態の軸方向断面図を示している。本発明の軸シールは、比較的小径の回転軸に装着されることを想定している。図1に示すように、軸シール1は、軸方向の断面視が略U字状の環状部材であり、軸方向一方側に延伸したシール内径側のシールリップ部2と、シールリップ部2よりもシール外径側に設けられた外リップ部3とを有する。シールリップ部2と外リップ部3はそれぞれ基端部4から延伸している。シールリップ部2と外リップ部3と基端部4によって、凹溝5が形成される。ハウジング7には、回転軸6が挿通される挿入孔7aが設けられており、挿入孔7aの周囲に環状溝8が設けられている。軸シール1は、この環状溝8に装着され、回転軸6が軸Oを中心に回転することで、シールリップ部2が回転軸6に摺動する。
図1において、軸シール1は、シールリップ部2と外リップ部3とがそれぞれ高圧側Hに延伸するように環状溝8に装着されている。この場合、凹溝5側が高圧側Hに相当し、基端部4の背面4a側が低圧側Lに相当する。装着した状態では、軸シール1の外リップ部3の先端部付近が環状溝8の側壁に回転不能に接触し、シールリップ部2の先端部付近が回転軸6の外周面に回転不能に接触する。また、基端部4の背面4aが環状溝8の底壁に密着する。一方、外リップ部3と側壁との間、およびシールリップ部2と回転軸6との間にはそれぞれ空間が形成される。
本発明者らは、軸シール1について、軸シール1の軸方向の断面視におけるシールリップ部2のリップ長さLおよびリップ厚さtを最適化することで、装置の小型化を可能としながら、シール性および低トルク化の両立が図れることを見出した。具体的には、軸シール1は、シールリップ部2のリップ長さLが1.0mm以上2.0mm未満で、かつ、リップ厚さtが0.3mm以上0.7mm以下であることを特徴としている。
軸シール1が装着される回転軸6の外径寸法Dは、特に限定されないが、装置の小型化の観点から、φ15mm~φ30mmであることが好ましく、φ16mm~φ26mmであることが好ましく、φ17mm~φ22mmであることがより好ましい。
リップ長さLを2.0mm未満とすることで、軸シール1の組み込むための空間を抑えることができ、装置の小型化に一層繋がる。リップ長さLは、1.2mm以上2.0mm未満であることが好ましく、1.3mm以上1.9mm未満であることがより好まく、1.4mm以上1.8mm未満であることがさらに好ましい。
一方、リップ長さLが2.0mm未満であると、シールリップ部2がたわみにくく緊迫力が高くなり、回転トルクが大きくなるおそれがあるところ、本発明では、リップ厚さtを0.3mm以上0.7mm以下とすることで、シールリップ部2の緊迫力を適度に低下させ、回転トルクを低減させている。リップ厚さtは、0.4mm~0.7mmであることが好ましく、0.5mm~0.7mmであることがより好ましい。
軸シール1の各寸法について図2を参照して説明する。図2は、ハウジングに装着される前の状態(自由状態)の軸シールを示す。軸シール1において、シールリップ部2と外リップ部3は相互に先端部2a、3aが離れる方向へ傾斜して形成されている。本発明において、軸シール1の内径寸法dは、軸シール1の最小内径寸法をいう。内径寸法dは、図2では対向するシールリップ部2の先端部2a間の距離を示す。なお、図2では、軸シール1の内周面は、背面4aから先端部2aにかけて連続的に縮径するように形成され、軸シール1の外周面は、背面4aから先端部3aにかけて連続的に拡径するように形成される。
シールリップ部2は、その外周面において所定のリップ長さLを有している。リップ長さLは、図2に示すように、軸シール1の底面4bの隅部(シールリップ部2側)からシールリップ部2の先端部2aの外径側の頂点までの直線の長さである。また、図2において、背面4aおよび底面4bは、軸シール1の軸心と直交する面と略平行な平坦面で形成されている。これにより、環状溝の底壁に密着しやすくなる。なお、底面4bを傾斜面としてもよく、例えば、シールリップ部2に向けて基端部4の厚さtが小さくなるようにしてもよい。また、底面4bの隅部を曲面とした略円弧状としてもよい。
また、外リップ部3は、その内周面において所定のリップ長さLを有している。リップ長さLは、図2に示すように、軸シール1の底面4bの隅部(外リップ部3側)から外リップ部3の先端部3aの内径側の頂点までの直線の長さである。リップ長さLは、例えば1.5mm~2.5mmである。
ここで、外リップ部3のリップ長さLは、シールリップ部2のリップ長さLと同じでもよいが、受圧面積が大きくなることからシールリップ部2のリップ長さLよりも長いことが好ましい。リップ長さLのリップ長さLに対する比(L/L)は例えば0.50~0.90であり、0.60~0.80が好ましい。
また、シールリップ部2のリップ厚さtは、外リップ部3のリップ厚さtよりも薄いことが好ましい。この場合、リップ厚さtは、例えば0.8mm~1.5mmである。さらに、リップ厚さtと、リップ厚さtと、基端部4の厚さtとの関係で言えば、t≧t>tであることが好ましい。
図1に戻り、軸シール1は、シールリップ部2が回転軸6の外周面に密着することで、高圧側Hの流体が低圧側Lへ漏れ出すことを防いでいる。流体は、冷媒、油、冷媒と油の混合物などが挙げられる。流体圧は、例えば0.3MPa~1.0MPaであり、0.5MPa~1MPaであってもよい。比較的高圧である0.5MPa~1MPaであっても、本発明の軸シールによれば、回転トルクを低く抑えることができる。
ここで、軸シールのシール性を確保するため、装着前の軸シール1の内径寸法d(図2参照)を、回転軸6の外径寸法Dよりも小さくする必要がある。すなわち、軸シール1を回転軸6に組み込む際に、軸シール1が締め代を持っている必要がある。
外径寸法Dと内径寸法dの差である軸シール1と回転軸6との締め代(D-d)は特に限定されないが、例えば0.1mm~1.0mm程度であり、0.1mm~0.8mmであることが好ましい。締め代(D-d)を上記範囲に設定することで、シール性を損なうことなく、回転トルクを低減しやすくなる。なお、締め代(D-d)は0.2mm~0.7mmであることがさらに好ましく、0.2mm~0.5mmとしてもよく、また0.5mm~0.7mmとしてもよい。
また、(D-d)/Dの関係が0.003~0.05を満たすことが好ましく、0.004~0.05であることがより好ましく、0.005~0.05であることがさらに好ましい。締め代(D-d)を回転軸の外径寸法Dで除した(D-d)/Dが上記範囲にあることにより、シール性を損なうことなく、回転トルクを低減しやすくなる。
また、回転トルクの低減を図るため、図1に示すように、シールリップ部2と回転軸6との間には空間が形成されることが好ましい。この場合、装着状態において基端部4は回転軸6に接触していない。
なお、本発明の軸シールは、図2の形態に限らない。
また、図1および図2には、軸方向の断面視が略U字状の軸シールを示したが、本発明の軸シールはこれに限らない。例えば、軸シールに、シールリップ部と外リップ部以外のリップ部(例えば、回転軸と摺動するダストリップなど)を設けてもよく、また、軸シールが外リップ部を有さない形状(例えば、シールリップ部2と、外リップ部3の無い固定部とからなる形状)としてもよい。
図1の圧縮機において、ハウジング7の高圧側Hには圧縮機構部が設けられる。圧縮機構部の形態は、回転軸6の回転によって流体の圧縮が行われる機構であればよく、スクロール式や斜板式などを採用できる。例えば、スクロール式の場合、圧縮機構部は、固定スクロールと、該固定スクロールに対して旋回運動する可動スクロールとを組み合わせて構成される。
図3には、スクロール式の圧縮機構部の一部断面図を示す。図3に示すように、圧縮機構部9は、基板11aとその表面に直立する固定側スクロール翼11bを有する固定ロータ11と、基板12aとその表面に直立する可動側スクロール翼12bを有する可動ロータ12とを備えている。固定ロータ11と可動ロータ12が相互に偏心状態にかみ合わされて、それらの間に圧縮室10が形成されている。可動ロータ12は、上述の回転軸に直接的または間接的に接続されており、可動ロータ12が固定ロータ11の軸線の周りで公転することにより、圧縮室10が渦巻形状の中心側に移動して流体の圧縮が行なわれる。圧縮された圧縮流体は、可動ロータ12の中心部の吐出口13を通って吐出管から吐出され、冷凍サイクルに流出する。そして、冷凍サイクルの流体(冷媒ガスなど)が吸入口(図示省略)を介して圧縮室10へ導入される。
本発明の軸シールは、熱可塑性エラストマー組成物または樹脂組成物からなる。例えば、軸シールは熱可塑性エラストマー組成物の成形体である。この場合、ASTM D790に準拠して測定される曲げ弾性率が200MPa~2400MPaであることが好ましい。曲げ弾性率が200MPa以上の場合、摩耗しにくくシール性が低下しにくい。また、曲げ弾性率が2400MPa以下の場合、軸シールの回転軸に対する緊迫力が低くなりやすく、回転トルクを低減しやすい。曲げ弾性率は、好ましくは200MPa~1800MPaであり、より好ましくは400MPa~800MPaである。
熱可塑性エラストマー組成物において、主成分となるエラストマーは限定されるものではなく、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーなどを用いることができる。耐熱性、耐薬品性の点から、ポリエステル系エラストマーが特に好ましい。ポリエステル系エラストマーは、ハードセグメントとソフトセグメントを含み、ハードセグメントにポリエステル単位、ソフトセグメントにポリエーテル単位またはポリエステル単位が用いられる。ポリエステル系エラストマーは、ポリエステル-ポリエーテル型またはポリエステル-ポリエステル型のマルチブロック共重合体である。
軸シールが樹脂組成物の成形体である場合において、主成分となる樹脂(ベース樹脂)は限定されるものではなく、ポリアミド(PA)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)樹脂、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)樹脂、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)樹脂、ビニリデンフルオライド樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂などを用いることができる。
上記樹脂の中でも、耐熱性や、耐薬品性、柔軟性に優れ、かつ、射出成形可能な樹脂である、PA樹脂、PFA樹脂、FEP樹脂、ETFE樹脂、ビニリデンフルオライド樹脂を用いることが好ましい。これらの樹脂は、耐薬品性、耐油性に優れるため、例えば、冷媒や冷凍機油が混在する流体存在下で使用される圧縮機の回転軸の軸シールに好適である。
上記の熱可塑性エラストマー組成物および樹脂組成物には、摩擦摩耗特性を向上させる目的で、PTFE樹脂、グラファイト、二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤を配合することができる。
固体潤滑剤の配合量は、熱可塑性エラストマー組成物または樹脂組成物100体積%に対して、1体積%~40体積%が好ましく、1体積%~20体積%がより好ましく、10体積%~20体積%がさらに好ましい。40体積%を超えると、樹脂組成物または熱可塑性エラストマー組成物の伸び特性が低下するおそれがあり、軸シールを回転軸に組み込む際に割れが発生するおそれがある。
なお、本発明の効果を阻害しない程度に、熱可塑性エラストマー組成物または樹脂組成物に、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などの繊維状補強材、球状シリカなどの球状充填材、マイカなどの鱗状補強材、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムなどの摺動補強材、チタン酸カリウムウィスカなどの微小繊維補強材を用いてもよい。カーボンブラック、酸化鉄などの着色剤も配合できる。これらは単独で配合することも、組み合せて配合することもできる。
本発明の軸シールは、車載エアコン用スクロール式圧縮機における回転軸(主軸)に用いることができる。スクロール式圧縮機は、エンジン動力を利用したベルト駆動、エンジン動力を利用しないモータ駆動のどちらであってもよい。また、本発明の軸シールは、圧縮機に限らず用いることができる。
本発明の軸シールは、例えば一般的な熱可塑性樹脂用の射出成形機を用い、射出成形によって成形される。上記熱可塑性エラストマー組成物または上記樹脂組成物を構成する各材料を、必要に応じて、ヘンシェルミキサー、ボールミキサー、リボンブレンダーなどにて混合した後、二軸混練押出し機などの溶融押出し機にて溶融混練し、成形用ペレットを得ることができる。なお、充填材の投入は、二軸押出し機などで溶融混練する際にサイドフィードを採用してもよい。この成形用ペレットを用いて射出成形により軸シールを成形する。
実施例1~4、比較例1~4
実施例1~4および比較例1~4では、リップ厚さ、締め代、および材質を変化させて軸シールの性能試験を実施した。まず、熱可塑性エラストマー組成物を二軸混練押出し機にてペレット化した。得られたペレットを用いて射出成形により、図2に示す形状の軸シールを成形した。比較例1、3はそのまま回転トルク試験に用い、実施例1~4はリップ厚さを表1記載の寸法に機械加工した。また、比較例2、4として、比較例1、3と同形状、同寸法で、PTFE製の軸シールを作製した。実施例1、2および比較例1、2は、外径寸法D=20.0mmの回転軸を用い、実施例3、4および比較例3、4は、外径寸法D=19.6mmの回転軸を用いることで、締め代を変化させた。なお、実施例1などに用いた熱可塑性エラストマー組成物は、曲げ弾性率を測定するため、曲げ試験用の成形体も作製した。各サンプルの詳細を表1に示す。
Figure 2023147122000002
<曲げ試験>
上記熱可塑性エラストマー組成物の成形体について、ASTM D790に準拠して曲げ試験を実施し、曲げ弾性率を測定した。その結果、上記熱可塑性エラストマー組成物の成形体の曲げ弾性率は500MPaであった。
<回転トルク試験>
性能試験1
外径寸法D=20.0mmの回転軸に内径寸法d=19.4mmの実施例1、2および比較例1、2の軸シールを装着し、軸シールと回転軸との締め代(D-d)を直径で0.6mmに合わせた状態で回転トルク試験を行い、リップ厚さおよび材質について検討した。
図4に示す回転トルク試験機を用いて、下記の条件で回転トルク試験を実施して、オイルリーク量および回転トルクを測定した。
<試験条件>
回転軸 :材質S45C
回転数 :3000rpm、7000rpm
油圧 :0.3MPa、0.5MPa、1.0MPa
油温 :100℃
冷凍機油:ポリアルキレングリコール油
試験時間:5分
図4に示すように、試験機14のハウジングは、外周側ハウジング17と内周側ハウジング18とを組み付けて構成される。これらハウジングの合わせ面において、内周側ハウジング18の外周溝にはOリング19が配置されており、合わせ面から冷凍機油が漏れることを防止している。軸シール15は回転軸16に密着しており、回転軸16の回転によって回転軸16の外周面と摺接する。冷凍機油を圧送して、ハウジング内空間に供給した。冷凍機油は、図4に示すように、流入路17bから流入し、ハウジング内空間を経て、流出路17cから流出する。オイルリーク量は、回転軸16と挿通孔17aとの間から漏れ出た冷凍機油の量に基づいており、試験開始後5分間の平均値を示している。また、回転トルクは、試験開始後5分間の平均値を示している。結果を表2に示す。
Figure 2023147122000003
表2に示すように、実施例、比較例のいずれも、回転軸との締め代が0.6mmであることで、回転軸との密着性が高く、オイルリーク量は1ml/min以下であり、非常に少なかった。一方、熱可塑性エラストマー製の軸シール間での回転トルクの結果を比較すると、リップ厚さtが0.3mm~0.7mmの場合(実施例1~2)、回転トルクが0.03N・m~0.08N・mであったのに対して、リップ厚さtが1.0mmの場合(比較例1)、回転トルクが0.06N・m~0.12N・mであり、実施例1~2は比較的低トルクであった。
熱可塑性エラストマー製の軸シールよりも摺動しやすいPTFE製の軸シールでリップ厚さtが1.0mmの場合(比較例2)と比較しても、実施例1~2は全体的に低トルクであった。このように、シールリップ部のリップ厚さtが0.3mm~0.7mmである実施例1~2は、リップ厚さtが1.0mmの比較例1~2よりも低トルクの傾向を示した。
また、実施例1と実施例2を比較すると、リップ厚さtがより小さい実施例1の方が、より低トルクとなる結果であった。なお、実施例1および実施例2において、油圧が高くなるほど回転トルクが上昇する傾向であった。
性能試験2
外径寸法D=19.6mmの回転軸に内径寸法d=19.4mmの実施例3、4および比較例3、4の軸シールを装着し、軸シールと回転軸との締め代(D-d)を直径で0.2mmに合わせた状態で回転トルク試験を行い、リップ厚さおよび材質について検討した。締め代以外は性能試験1と同じ試験機、同条件で試験を行った。
Figure 2023147122000004
表3に示すように、性能試験2は性能試験1の場合よりも締め代が小さく、回転軸との密着性が低下すると考えられるにも関わらず、実施例3、4は、性能試験1と同様に、オイルリーク量は1ml/min以下であった。これに対し、比較例3は、性能試験1に比べて、オイルリーク量が大幅に増加した。このオイルリーク量は、油圧が低くなるほど増加する傾向であった。なお、比較例4のオイルリーク量は1ml/min以下であった。
表3より、比較例3、4よりもシールリップ部が薄い実施例3、4は、オイルリーク量が少なく、回転トルクが低下する傾向が認められた。比較例3のオイルリーク量が性能試験1の場合よりも大幅に増大したのは、比較例3のシールリップ部が実施例3、4のシールリップ部よりも厚いため、シールリップ部の剛性が大きくなり、締め代の比較的小さい条件下で回転軸への密着性が低下したためと考えられる。
実施例3と実施例4を比較すると、性能試験1と同様に、リップ厚さtがより小さい実施例3の方が、より低トルクとなる結果であった。
また、実施例1~4について、締め代が0.2mmの場合(性能試験2)と0.6mmの場合(性能試験1)を比較すると、締め代が小さい方が、より低トルクとなる結果であった。
上記のように、本発明では、比較的小径(例えば、外径寸法15mm~30mm)の回転軸に装着される軸シールについて、軸シールのシールリップ部のリップ長さおよびリップ厚さ(更には締め代など)を最適化することで、装置の小型化を可能としながら、シール性および低トルク化の両立を図っている。
本発明の軸シールは、装置を小型化できるとともに、回転トルクを低減できるので、回転軸の外周面に摺接しながら密封流体を封止する軸シールとして広く使用できる。特に、車載エアコン用スクロール式圧縮機の圧縮機構部を回転させる回転軸の軸シールに適している。
1 軸シール
2 シールリップ部
3 外リップ部
4 基端部
5 凹溝
6 回転軸
7 ハウジング
8 環状溝
9 圧縮機構部
10 圧縮室
11 固定ロータ
12 可動ロータ
13 吐出口
14 試験機
15 軸シール
16 回転軸
17 外周側ハウジング
18 内周側ハウジング
19 Oリング

Claims (8)

  1. 回転軸の外周面に密着する環状の軸シールであって、
    前記軸シールは、前記回転軸と摺動するシールリップ部を備え、前記シールリップ部のリップ長さが1.0mm以上2.0mm未満で、リップ厚さが0.3mm以上0.7mm以下であることを特徴とする軸シール。
  2. 前記回転軸を組み込む前の前記軸シールの内径寸法をd、前記回転軸の外径寸法をDとすると、前記軸シールと前記回転軸との締め代(D-d)が0.1mm~0.8mmであることを特徴とする請求項1記載の軸シール。
  3. 前記締め代(D-d)が0.2mm~0.6mmであることを特徴とする請求項2記載の軸シール。
  4. 前記軸シールは、軸方向の断面視が略U字状であり、前記シールリップ部よりも外径側に設けられた外リップ部を有し、前記シールリップ部のリップ厚さが前記外リップ部のリップ厚さよりも薄いことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の軸シール。
  5. 前記軸シールは、熱可塑性エラストマー組成物の成形体であり、ASTM D790による曲げ弾性率が200MPa~2400MPaであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項記載の軸シール。
  6. 前記軸シールは、前記回転軸の外周面に密着して密封流体を封止する軸シールであって、
    前記回転軸と前記軸シールを装着するハウジングとの隙間が、前記軸シールによって高圧側と低圧側に区画され、前記シールリップ部は、前記高圧側に延伸して前記回転軸と摺動することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項記載の軸シール。
  7. 前記回転軸の外径寸法がφ15mm~φ30mmであることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項記載の軸シール。
  8. 前記軸シールは、車載エアコン用スクロール式圧縮機における回転軸に用いられる軸シールであることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項記載の軸シール。
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