JPH0717826B2 - 耐衝撃性ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

耐衝撃性ポリエステル樹脂組成物

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JPH0717826B2
JPH0717826B2 JP62080455A JP8045587A JPH0717826B2 JP H0717826 B2 JPH0717826 B2 JP H0717826B2 JP 62080455 A JP62080455 A JP 62080455A JP 8045587 A JP8045587 A JP 8045587A JP H0717826 B2 JPH0717826 B2 JP H0717826B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は成形性が良好で,かつ耐衝撃強度および耐熱性
の優れた成形品を与えるポリエステル樹脂組成物に関す
るものである。さらに詳しくは結晶化速度が大きく,射
出成形時において約120℃以下の金型温度でも優れた離
型性を示し,かつ優れた耐衝撃強度と高い熱変形温度を
有する成形品を提供する耐衝撃性ポリエステル樹脂組成
物に関するものである。
(従来の技術) ポリエチレンテレフタレートは機械的性質,電気的性
質,耐熱性,耐薬品性等に優れ,繊維,フィルムとして
多くの工業製品に使用されている。このように繊維,フ
ィルムとして使用される場合には,通常延伸処理された
ものが使用されているが,例えば射出成形品としてプラ
スチック用途に使用しようとする場合には,上記のよう
な延伸処理がなされていないため,成形上および物性上
種々の問題点の発生することが知られている。すなわち
低温における結晶化速度が小さいために,通常他のプラ
スチックを射出成形する際に用いられる金型温度約120
℃以下では結晶化速度が不十分であるために,得られた
成形品はその表面と内部に結晶化度の差が生じ,そのた
め機械的性質,寸法安定性,形状安定性が不均一とな
り,実用に耐えるような成形品を得ることは極めて困難
である。
従来このような問題点を解決する方法として,高温金型
を使用する方法や結晶核剤や結晶化促進剤を添加する方
法,低温結晶性の優れたエチレンテレフタレート系共重
合体をブレンドする方法等が多数提案され,かなりの効
果のあることが認められている。このように十分に結晶
化させたポリエチレンテレフタレートないし組成物,特
にガラス繊維等の繊維状強化材を配合したものは優れた
機械的性質と高い熱変形温度を示し,エンジニアリング
プラスチックとしての地位を確立し今日に到っている。
しかしながらポリエチレンテレフタレート系組成物ない
しガラス繊維等を配合した強化ポリエチレンテレフタレ
ート系組成物の欠点として耐衝撃強度が低い,すなわち
靭性に劣るという問題点があり,その改良が強く望まれ
ているのが現状である。
そして上記問題点を解決する方法,すなわち耐衝撃強度
を向上させる方法として種々の提案がなされている。例
えば特開昭51−144452号公報,特開昭52−32045号公
報,特開昭58−17148号公報,特公昭58−17151号公報,U
SP4,284,540号公報,USP4,461,871号公報においてはポリ
エステルにグリシジル基を有する共重合体,例えばエチ
レン/酢酸ビニル/グリシジル(メタ)クリレート共重
合体を配合すると耐衝撃強度の向上することが提案され
ている。しかしながらグリシジル(メタ)アクリレート
を共重合したオレフィン系ポリマー,すなわちエポキシ
基を有するポリオレフィンをポリエチレンテレフタレー
ト(以下PETと略称する)に配合すると,耐衝撃強度が
向上する反面,成形時の金型よりの離型性が極度に悪く
なり,低温金型,例えば金型温度120℃以下では表面光
沢が悪いという問題点がある。さらに大きな問題点とし
ては,エポキシ基を有するポリオレフィンをPETに配合
して,押出機等で加熱混練してペレットを製造する際
に,一部ゲル状物が生成し,場合によってはゲル体の多
量発生により操業できないという問題点がある。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明の目的は以上のような従来技術の問題点を踏ま
え,操業安定性にすぐれ,成形品光沢および離型性が良
好でかつ衝撃強度にもすぐれるポリエチレンテレフタレ
ート樹脂組成物を得ることにある。
(問題点を解決するための手段) 上記のような種々の問題点を解決すべく鋭意研究した結
果,PETに対し特定の他の構成成分を配合せしめることに
より,かかる問題点がことごとく解決せられることを見
い出し本発明に到達したものである。
すなわち本発明はポリエチレンテレフタレート40〜97重
量部と分子量約500〜20,000のポリアルキレングリコー
ルないしその誘導体のうちの少なくとも一種を2〜25重
量%共重合したエチレンテレフタレート系ポリエステル
3〜60重量部とからなるポリエステル100重量部に対し
て,(イ)平均粒径50μ以下の無機系結晶核剤,カルボ
キシル基の金属塩を有する有機化合物,カルボキシル基
の金属塩を有する高分子化合物のうちの少なくとも一種
を0.05〜10重量部,(ロ)エチレンと一種以上のα,β
−不飽和ジカルボン酸無水物と必要によってはさらに
α,β−不飽和カルボン酸エステルを共重合して得られ
るエチレン系共重合体において,α,β−不飽和ジカル
ボン酸無水物の共重合比が0.01〜20モル%であるものを
3〜30重量部,(ハ)α−オレフィン80〜99重量%,グ
リシジルメタクリレートもしくはグリシジルアクリレー
ト1〜20重量%および酢酸ビニル0〜19重量%からなる
共重合体1〜20重量部,(ニ)エステル系可塑剤0.3〜1
0重量部,(ホ)繊維状強化材0〜150重量部配合してな
る耐衝撃性ポリエステル樹脂組成物に関するものであ
る。
本発明において用いられるPETとは,テレフタル酸ない
しそのエステル誘導体とエチレングリコールから溶融重
合したもの,ないしはそれを固相重合して得られるもの
で,その分子量を特に限定するものではない。また必要
に応じて他の共重合成分を含んでも良い。
またPETと共に使用する共重合PETとしては,ポリアルキ
レングリコールないしその誘導体を共重合したものが有
効であり,その分子量が約500より小さいと低温領域で
の耐衝撃強度を向上させる効果が小さい。逆に分子量が
約20,000より大きくなると共重合PETの製造そのものが
難しくなるので好ましくない。そして共重合割合に関し
ては2重量%より少ない場合には低温領域での耐衝撃強
度を向上させる効果および結晶化促進効果が小さくなる
ので望ましくない。逆に共重合割合が25重量%を越える
と樹脂組成物としての耐熱性が低下するので好ましくな
い。したがってポリアルキレングリコールないしその誘
導体の共重合割合は2〜25重量%で,望ましくは10〜20
重量%である。
そしてPETと共重合PETの割合に関しては,共重合PETの
種類によって変わるが一般に共重合PETの配合量が全ポ
リエステル成分中3重量部より少ないと,低温領域での
耐衝撃強度を向上させる効果および結晶化促進効果が小
さく,60重量部を越えると熱的性質が低下するので好ま
しくない。したがってポリアルキレングリコールないし
その誘導体を共重合したエチレンテレフタレート系ポリ
エステルの配合量は全ポリエステル中,3〜60重量部,好
ましくは10〜50重量部である。
なおポリアルキレングリコールの具体例としてはポリエ
チレングリコール,ポリプロピレングリコール,ポリテ
トラメチレングリコールを挙げることができ,ポリアル
キレングリコールの誘導体としては,ビスフェノールA
等のビスフェノール化合物のフェノール性水酸基にエチ
レンオキシド,プロピレンオキシド,ブチレンオキシド
等を開環付加させて得られるポリエーテル化合物等を挙
げることができる。
本発明の(イ)成分として使用される無機化合物は,そ
の粒径によって結晶核剤としての効果が異なり平均粒径
が約50μを超えるとその効果が小さくなるので,通例は
平均粒径50μ以下の無機化合物が有用である。
そして本発明において使用される平均粒径50μ以下の無
機化合物の具体例としては,たとえばカーボンブラッ
ク,シリカ,炭酸カルシウム,合成ケイ酸およびケイ酸
塩,ハロサイトクレー,カオリン,塩基性炭酸マグネシ
ウム,マイカ,タルク,石英粉,ケイ藻土,ドロマイト
粉,酸化チタン,酸化亜鉛,酸化アンチモン,硫酸バリ
ウム,硫酸カルシウム,アルミナ,ケイ酸カルシウム等
を挙げることができ,これらの無機化合物の一種または
それ以上を使用することができるが,なかでもマイカ,
カオリン,タルク,シリカが本発明において有用であ
る。
また本発明において使用されるカルボキシル基の金属塩
を有する有機化合物としては,カルボキシル基の金属塩
を有する化合物であればどのようなものでも使用するこ
とができるが,通常は炭素数が約7〜30の高級脂肪酸,
芳香族酸の金属塩が使用され,たとえばヘプタン酸,ペ
ラルゴン酸,ラウリン酸,ミリスチン酸,パルミチン
酸,ステアリン酸,ベヘニン酸,セロチン酸,モンタン
酸,メリシン酸等の高級脂肪酸の金属塩,安息香酸,テ
レフタル酸,テレフタル酸モノメチルエステル,イソフ
タル酸,イソフタル酸のモノメチルエステル等の芳香族
酸の金属塩を具体例として挙げることができる。
またカルボキシル基の金属塩を有する高分子化合物とし
てはポリマーの末端ないし側鎖にカルボキシル基の金属
塩を有するポリマーであれば,特に制限されるものでは
ないが,たとえばポリエチレンの酸化によって得られる
カルボキシル基含有ポリエチレン,ポリプロピレンの酸
化によって得られるカルボキシル基含有ポリプロピレ
ン,エチレン,プロピレン,ブテン−1等のオレフィン
類と(メタ)アクリル酸の共重合体,オレフィン類と無
水マレイン酸の共重合体,スチレンと(メタ)アクリル
酸の共重合体,スチレンと無水マレイン酸の共重合体等
の金属塩を具体例として挙げることができ,通常はオレ
フィンと(メタ)アクリル酸ないしスチレンと(メタ)
アクリル酸の共重合体の金属塩が使用される。そしてカ
ルボキシル基と塩を形成する金属としては,通常はアル
カリ土類金属,アルカリ金属等が使用されるが,結晶核
剤としての効果はアルカリ金属が優れ,なかでもナトリ
ウム,カリウムが有用である。
本発明において(ロ)成分である酸無水物含有エチレン
系共重合体の共重合成分であるα,β−不飽和ジカルボ
ン酸無水物は次式 (式中R9,R10は水素,アルキル基またはハロゲン基を示
す) で表される化合物であり,その例としては無水マレイン
酸,メチル無水マレイン酸,クロロ無水マレイン酸,等
がある。
本発明において用いられる酸無水物含有エチレン系共重
合体の共重合成分として必要に応じて用いられるα,β
−不飽和カルボン酸エステルの具体例としては,メタク
リル酸メチル,メタクリル酸エチル,メタクリル酸ブチ
ル,メタクリル酸2−エチルヘキシル,メタクリル酸2
−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸エステル,アクリ
ル酸エチル,アクリル酸ブチル,アクリル酸2−エチル
ヘキシル,アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアクリ
ル酸エステル等またはそれらの混合物がある。またエチ
レン,α,β−不飽和カルボン酸エステルおよびα,β
−不飽和ジカルボン酸無水物と共重合しうる単量体とし
ては,スチレン,α−メチルスチレン,ビニルトルエン
等のスチレン系化合物,アクリロニトリル,メタクリロ
ニトリル等のα,β−不飽和ニトリル,アクリル酸,メ
タクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸,酢酸ビニ
ル,ビニルエーテル等があり,これらも必要に応じて共
重合することができる。
本発明において用いられる酸無水物含有エチレン系共重
合体におけるα,β−不飽和ジカルボン酸無水物の共重
合比は0.01〜20モル%,好ましくは0.1〜10モル%であ
る。かかる酸無水物含有エチレン系共重合体を製造する
方法としては,いわゆる公知のラジカル共重合法が用い
られるほか,エチレンあるいはエチレン系共重合物にラ
ジカル発生剤を存在させ,上記基を有する不飽和単量体
の一種以上を溶剤ないしは分散媒の存在下または非存在
下でラジカルグラフト反応させる方法を挙げることがで
きる。中でも溶融状態でグラフトさせる場合,押出機,
ニーダー,パンパリミキサー等の溶融混練機を用いるこ
とにより,簡略化された処法で極めて短時間で目的とす
るものを得ることができる。
本発明において(ハ)成分として使用するα−オレフィ
ン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体またはα
−オレフィン−グリシジル(メタ)アクリレート−酢酸
ビニル共重合体におけるグリシジル(メタ)アクリレー
トの含有量は1〜20重量%好ましくは1〜10重量%であ
り,1重量%以下の場合には前記の変性ポリオレフィンま
たは変性オレフィン系エラストマーとの併用において,
耐衝撃性の改善に充分な効果がなく,20重量%以上の場
合,本発明の樹脂組成物の製造時にゲル化などの副反応
が生じるので好ましくない。これらの共重合体における
α−オレフィン成分はエチレン,プロピレン,ブテン−
1などである。三元共重合体における酢酸ビニル成分は
0.1〜19重量%含有することができる。酢酸ビニル含有
量が19重量%を越える場合には得られる樹脂組成物の熱
安定性が低下するので好ましくない。(ニ)成分として
用いられるエステル系可塑剤としては種々のものを使用
することができるが,なかでも下記一般式(I)(I
I),(III)で示される化合物が特に有用である。
R1:アルキレン基 R2,R3:アルキル基,ベンジル基,芳香族置換ベンジル基
から選ばれる基で,R2,R3は同一ないし異なる基である。
m,n:1以上の整数 X:直接結合,アルキレン基,アルキリデン基−SO2−,
−S−,−O−または R4,R5:アルキル基,ベンジル基,フェニル基ないしその
誘導体から選ばれる基でR4,R5は同一ないし異なる基で
ある。
R6,R7:アルキル基またはハロゲンからなる置換基を表す m,n:1以上の整数 p,q:0〜4の整数 (但し,CH2rの水素原子の一部または全部がアル
キル基,フェニル基またはベンジル基で置換されていて
もよいものとする。) R8:フェニル基,ベンジル基ないしこれらの誘導体から
選ばれる基である。
R9:水素,アルキル基ないしR8で定義された基からなる
基である。
r:4以上の整数である。
そして一般式(I)で示されるエステル系可塑剤におい
てR1はアルキレン基を示すが,通常は炭素数1〜20の直
鎖状ないし分子対称性を有する分枝状のアルキレン基を
使用するのが望ましい。R2,R3としてはメチル,エチ
ル,プロピル,ブチル,ペンチル,ヘキシル,ヘプチ
ル,オクチル,ベンジル等を具体例として挙げることが
できる。m,nに関してはm,nが大きくなる程結晶化促進剤
としての効果が大きくなる傾向にはあるが,逆にPETと
の相溶性が低下したり耐熱性が低下してくるので,通常
はm,nは1〜約20,好ましくは1〜約10である。
一般式(II)においては,Xとしては通常はメチレン,エ
チレン,プロピレン等のアルキレン基,イソプロピリデ
ン基などのアルキリデン基ないし−O−が有用でR4,R5
としては通常は炭素数5以上のアルキル基,ベンジル
基,フェニル基が有効で,m,nは1〜約10のものが望まし
い。
一般式(III)においてはR8としてはフェニル基,ベン
ジル基ないしこれらの誘導体から選ばれる基が,R9とし
ては水素,アルキル基ないしR8で定義された基が有用で
ある。rは3以下であると加熱時揮散しやすく結晶化促
進剤としての効果が小さいのでrは4以上が有効で,例
えばアジピン酸,アゼライン酸,デカン−1,10−ジカル
ボン酸,オクタデカン−1,18−ジカルボン酸のジベンジ
ルエステルが有用である。
本発明において用いられる繊維状強化材としては,たと
えばガラス繊維,炭素繊維,芳香族ポリアミド繊維,炭
化ケイ素繊維,チタン酸繊維等を具体例として挙げるこ
とができるが,通常はガラス繊維がよく使用される。ま
た各種繊維の直径および長さについては特に制限される
ものではないが,繊維長が長すぎるとポリエステルや他
の配合剤,すなわち(イ)成分ないし(ロ)成分と均一
に混合・分散させることが難しく,逆に繊維長が短かす
ぎると強化材としての効果が不十分となるため,通常は
0.1〜10mmの繊維長のものが使用され,特に繊維状強化
材がガラス繊維である場合には繊維長としては0.1〜7mm
が好ましく,さらには0.3〜4mmが望ましい。また繊維状
強化材は,ポリエステルとの界面接着力を向上させて補
強効果を上げる目的で必要に応じて種々の化合物で処理
したものを使用することができるが,繊維状強化材とし
てガラス繊維を使用する際には,種々の表面処理剤,た
とえばビニルトリエトキシシラン,γ−メタクリロキシ
プロピルメトキシシラン,β−(3,4−エポキシシクロ
ヘキシル)−エチルトリメトキシシラン,γ−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン,γ−アミノプロピル
トリエトキシシラン,γ−クロロプロピルメトキシシラ
ン,γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシ
ラン系処理剤,メタクリレートクロミッククロリド等の
クロム系処理剤で処理したものが使用される。
本発明の各成分の配合量に関しては,(イ)成分,すな
わち無機系結晶核剤とカルボキシル基の金属塩の配合量
に関してはポリエステル100重量部に対して0.05重量部
より少ないと結晶核剤としての効果がなく,逆に10重量
部より多く配合しても結晶核剤としての効果は10重量部
以下に比して良くなるわけではなく,逆に耐衝撃強度の
低下を誘起することがあるので好ましくない。
したがって(イ)成分の配合量としては0.05〜10重量
部,好ましくは0.5〜5重量部である。(ロ)成分すな
わちα,β−不飽和ジカルボン酸無水物を含むエチレン
系共重合の配合量はポリエステル100重量部に対して3
重量部より少ないと,(ハ)成分との併用効果による耐
衝撃強度の向上が小さく,逆に30重量部より多く配合す
ると組成物としての熱的性質が低下するので好ましくな
い。したがって(ハ)成分の配合量は3〜30重量部,好
ましくは5〜25重量部,さらに好ましくは5〜20重量部
である。(ハ)成分,すなわちグリシジル(メタ)アク
リレート共重合ポリオレフィンの配合量に関しては,1重
量部より少ないと耐衝撃強度の向上効果が小さく,30重
量部より多く配合しても耐衝撃強度は配合量と共に大き
くなるわけではなく,飽和値を示しかえって加熱混練時
ゲル化を促進するので好ましくない。
したがって(ハ)成分の配合量は1〜30重量部,好まし
くは3〜20重量部,さらに好ましくは3〜10重量部であ
る。そして(ロ)成分と(ハ)成分の配合比率は10:1な
いし1:10,好ましくは10:1ないし1:2,特に好ましくは5:1
ないし1:1の範囲が目的とする耐衝撃強度向上に対して
有効である。(ニ)成分すなわちエステル系可塑剤の配
合量に関しては,0.3重量部より少ないと結晶化促進効果
および離型性改良効果が小さく,10重量部より多く配合
すると耐熱性が低下するので好ましくない。したがって
(ハ)成分の配合量は0.3〜10重量部,好ましくは1〜
7重量部である。さらに本発明において必要に応じて配
合される繊維状強化材の配合量に関しては,150重量部を
越えると樹脂中に均一に分散,混合させることが困難で
あるので150重量部以下,通常は100重量部以下配合され
る。
さらに本発明の組成物には必要に応じて耐衝撃強度を著
しく低下させることのない範囲で,酸化防止剤,紫外線
吸収剤,着色剤,充填剤等の各種無機系ないし有機系化
合物を配合することができる。そして本発明の組成物の
製造方法は特に限定されるものではなく,種々の形態,
たとえば各種成形品,シート,繊維状物,管状物等の形
態に成形し使用することができる。
(実施例) 次に実施例と比較例を挙げて本発明を具体的に説明す
る。
なお実施例と比較例中に示した「部」は「重量部」を示
す。
実施例1〜5,比較例1〜3 固有粘度(フェノール/テトラクロルエタン=6/4中,
濃度0.5%,温度20℃で測定)0.68のPET,各種ポリアル
キレングリコールを共重合したエチレンテレフタレート
系共重合体(共重合PET),結晶核剤,可塑剤,エチレ
ン系共重合体,グリシジルメタアクリレート共重合ポリ
オレフィン(GM共重合体)を表1に示したように所定量
混合し,この混合物を同方向回転二軸押出機を用いて,
シリンダー温度260℃,スクリュー回転数200rpmの条件
で混練で押出し,ペレットを作成した。ペレット製造時
において実施例1〜5および比較例1,2は良好な操業安
定性を示したのに対し,比較例3ではゲル状物の発生が
認められた。
ペレット減圧乾燥した後シリンダー温度260℃,金型温
度105℃,冷却時間20秒で1/2インチ×1/2インチ×2.5イ
ンチの試験片を成形し,ASTM D−638に準じて室温および
−20℃でのノッチ付アイゾット衝撃強度を測定し,さら
に表面光沢を評価した。そして離型性は金型温度105℃
で縦10cm×横7cm×深さ4cm(壁厚1.5mm)の箱状成形品
を成形した際に,離型可能となる最低冷却時間より評価
した。最低冷却時間が短い程離型性は良好である。結果
をまとめて表1に示す。
参考例1 エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸共重合体(住化
CDF社製,ボンダインAX8040) 参考例2 エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸共重合体(住化
CDF社製,ボンダインHX8140) 参考例3 エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸共重合体(住化
CDF社製,ボンダインTX8030) 参考例4 エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸共重合体(住化
CDF社製,ボンダインLX4110) 参考例5 エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸共重合体(住化
CDF社製,ボンダインFX8000) A:分子量約2000のポリテトラメチレングリコール20重量
%共重合PET B:分子量約1000のポリエチレングリコール10重量%共重
合PET C:分子量約4000のポリテトラメチレングリコール15重量
%共重合PET c:アゼライン酸のジベンジルエステル d:アジピン酸のジベンジルエステル X:エチレン(92重量%)−グリシジルメタクリレート
(8重量%)共重合体 Y:エチレン(91重量%)−グリシジルメタクリレート
(7重量%)−酢酸ビニル(2重量%)共重合体 サーリン1555:エチレン−アクリル酸共重合体ナトリウ
ム塩(デュポン社製) 実施例6,比較例4 実施例1で示した組成に,さらにガラス繊維(旭ファイ
バーグラス(株),3mm長チョップドストランド,品番N
o.429)が全組成物中30重量%になるように配合して,
二軸押出機で混練してペレットを作成した(実施例
6)。同様に比較として比較例1で示した組成からなる
ガラス繊維30重量%含有ペレットを作成し(比較例
4),シリンダー温度240−260−260℃,金型温度105
℃,冷却時間10秒で各種試験片を成形し,ASTMに準じて
ノッチ付アイゾット衝撃強度(試験片厚さ:1/2インチ)
と18.56Kg/cm2荷重下における熱変形温度(試験片厚さ:
1/8インチ)を測定した。
さらに前記した方法に従って金型温度90℃における箱成
形時の最低冷却時間より離型性を評価した。
(発明の効果) 核剤,エステル系可塑剤,共重合PETを配合しない組成
では,低温金型(90℃)での結晶化速度が小さいために
結晶化不十分で,そのため熱変形温度が上昇せず,離型
性も悪いのに対して本発明の組成では優れた耐衝撃強
度,熱変形温度,離型性を有していることがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C08L 67/02 23:26 23:08 63:08) (56)参考文献 特開 昭61−207458(JP,A) 特開 昭61−163958(JP,A)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエチレンテレフタレート40〜97重量部
    と分子量約500〜20,000のポリアルキレングリコールな
    いしその誘導体のうちの少なくとも一種を2〜25重量%
    共重合したエチレンテレフタレート系ポリエステル3〜
    60重量部とからなるポリエステル100重量部に対して,
    (イ)平均粒径50μ以下の無機系結晶核剤,カルボキシ
    ル基の金属塩を有する有機化合物,カルボキシル基の金
    属塩を有する高分子化合物のうちの少なくとも一種を0.
    05〜10重量部,(ロ)エチレンと一種以上のα,β−不
    飽和ジカルボン酸無水物と必要によってはさらにα,β
    −不飽和カルボン酸エステルを共重合して得られるエチ
    レン系共重合体において,α,β−不飽和ジカルボン酸
    無水物の共重合比が0.01〜20モル%であるものを3〜30
    重量部,(ハ)α−オレフィン80〜99重量%,グリシジ
    ルメタクリレートもしくはグリシジルアクリレート1〜
    20重量%および酢酸ビニル0〜19重量%からなる共重合
    体1〜20重量部,(ニ)エステル系可塑剤0.3〜10重量
    部,(ホ)繊維状強化材0〜150重量部を配合してなる
    耐衝撃性ポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】ポリアルキレングリコールがポリエチレン
    グリコール,ポリプロピレングリコール,ポリテトラメ
    チレングリコールから選ばれるグリコールであり,ポリ
    アルキレングリコール誘導体がビスフェノールA等のビ
    スフェノール化合物のフェノール性水酸基にエチレンオ
    キシド,プロピレンオキシド,ブチレンオキシドのうち
    の少なくとも一種を付加させて得られるポリエーテル化
    合物から選ばれるグリコールであることを特徴とする特
    許請求の範囲第1項記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】エステル系可塑剤が下記一般式(I),
    (II),(III)のうちの少なくとも一種のエステル化
    合物である特許請求の範囲第1項記載のポリエステル樹
    脂組成物。 R1:アルキレン基 R2,R3:アルキル基,ベンジル基,芳香族置換ベンジル基
    から選ばれる基で,R2,R3は同一ないし異なる基である。 m,n:1以上の整数 X:直接結合,アルキレン基,アルキリデン基−SO2−,
    −S−,−O−または R4,R5:アルキル基,ベンジル基,フェニル基ないしその
    誘導体から選ばれる基で,R4,R5は同一ないし異なる基で
    ある。 R6,R7:アルキル基またはハロゲンからなる置換基を表
    す。 m,n:1以上の整数 p,q:0〜4の整数 (但し,(CH2)rの水素原子の一部または全部がアル
    キル基,フェニル基またはベンジル基で置換されていて
    もよいとする。) R8:フェニル基,ベンジル基ないしこれらの誘導体から
    選ばれる基である。 R9:水素,アルキル基ないしR8で定義された基からなる
    基である。 r:4以上の整数である。
  4. 【請求項4】平均粒径50μ以下の無機化合物として,タ
    ルク,マイカ,カオリン,シリカの群から選ばれる無機
    物の一種以上を使用することを特徴とする特許請求の範
    囲第1項記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】有機化合物及び高分子化合物のカルボキシ
    ル基の金属塩がナトリウム塩ないしカリウム塩である特
    許請求の範囲第1項記載のポリエステル樹脂組成物。
  6. 【請求項6】カルボキシル基の金属塩を有する化合物
    が,炭素数が7〜30からなる化合物である特許請求の範
    囲第1項記載のポリエステル樹脂組成物。
  7. 【請求項7】カルボキシル基を有する高分子化合物がオ
    レフィンと(メタ)アクリル酸の共重合体ないしスチレ
    ンと(メタ)アクリル酸の共重合体である特許請求の範
    囲第1項記載のポリエステル樹脂組成物。
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