JPH07177960A - 誘導加熱式炊飯器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 防磁材を用いることなく保護枠外に磁界が漏
れることがない構成とし、消費者に非常に安価で安全な
誘導加熱式炊飯器を提供する。 【構成】 誘導加熱コイル６から発生する高周波磁界に
より、保護枠２に収納された内鍋１０を加熱するものに
おいて、保護枠２をアルミニウム製の有底筒状に構成
し、その底部の内側に誘導加熱コイル６を含む加熱ユニ
ット３を配し、高いシールド性能を有する防磁材として
機能し保護枠２底面および側面より磁界が漏れることが
ないものとする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は電磁誘導加熱方式によっ
て内鍋内のご飯を炊飯するもので、誘導加熱コイルより
生じる高周波磁界を外部に漏らさぬようシールドする誘
導加熱式炊飯器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来この種の誘導加熱式炊飯器は誘導加
熱コイルより生じる高周波磁界が漏れると本体近傍に置
かれた磁性材料からなる品物（鍋、スプーン等）が誘導
加熱で発熱してしまう問題や、付近に置かれたラジオ等
に雑音が入る等の問題があった。この問題を解決するた
めの発明として、例えば特開平１−３０２６８０号公報
が知られている。この発明は本体内に着脱自在に収納す
る内鍋と、本体内の内鍋の収納部を誘導加熱で発熱しな
い樹脂等の非金属材料を用いた保護枠底部により構成
し、この保護枠底部に誘導加熱コイルを配設し、この誘
導加熱コイルの外周外側に環状のアルミニウム板製の防
磁材を併設し、防磁材により誘導加熱コイルから生じる
高周波磁界を吸収し、外部に漏らさぬシールド効果を得
ている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】かかる従来の誘導加熱
式炊飯器の構成では防磁材は誘導加熱コイルの側面にの
み設けられており、側面の広範囲を覆えず十分なシール
ド効果を得にくい。十分な効果を得ようとすると、側面
部の上から下迄幅広とした防磁材を設ける必要があり、
コスト高となってしまうという問題があった。

【０００４】さらにこの構成では誘導加熱コイルの下方
向の磁界の漏れに対して全く効果がなく、前記従来の発
明の実施例の記載の如くフェライトを設置することで、
誘導結合を高めるとともに下方外部への磁界の漏れを防
止する必要があった。しかるに、フェライトは棒状の物
を複数個放射状に配しているため、フェライト間から微
少に漏れる磁界があり、本体内部に設けたインバータ回
路装置や制御部に作用し、正規信号以外のノイズが生じ
てしまい、誤動作の原因となる。

【０００５】例えば特開平１−２７２０８３号公報等で
も問題としているが、内鍋の温度検出回路にノイズが生
じ誤った温度信号を制御部に与え、誤動作の原因となる
例が見られる。本従来例では誘導加熱を断続的にし、誘
導加熱停止時のみ温度検出することにより、ノイズによ
る誤動作を防止しているが、本来強い加熱量を必要とす
る工程においても誘導加熱を一時停止しなければなら
ず、また、常時温度情報を得られないため、温度情報を
元とした細かな火加減制御が出来なかった。

【０００６】また、誘導加熱コイルから生じる磁界は側
面方向にも漏れるため、従来は帯状の防磁材を配してこ
れを吸収していた。本来側面に置かれた品物が誘導加熱
しないようにする目的では、防磁材の幅は側面の１／５
〜１／３を覆う程度で十分であるが、ラジオ等に与える
雑音を最小にするには不十分であった。これを最小とす
るには防磁材を幅広に設定する必要があり、構成上設置
が難しく、また高価になる問題があった。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するためになされたものであり、インバータ回路装置に
接続された誘導加熱コイルから発生する高周波磁界によ
り、本体内壁を構成する保護枠に収納された内鍋を加熱
する誘導加熱式炊飯器において、保護枠をアルミニウム
製で有底筒状に形成し、この保護枠の底部内側に誘導加
熱コイルを含む加熱ユニットを配した構成とした。

【０００８】

【作用】前記本発明の構成によれば、アルミニウム製で
有底筒状の保護枠自体がシールド効果を有しており、防
磁材を設けなくても保護枠は底部の内側に配した誘導加
熱コイルを含む加熱ユニットの側面および底面を完全に
防磁し、また、加熱ユニットの上面は加熱対象の内鍋が
あるので防磁する必要がない。

【０００９】

【実施例】以下本発明の一実施例を図面を用いて詳細に
説明する。図１は本発明の一実施例を施した誘導加熱式
炊飯器の断面図である。

【００１０】図１にて構成を説明すると、本体１にはそ
の内壁を形成するアルミニウム製で有底筒状に成形され
た保護枠２が取付けられており、保護枠２底部の内側に
は加熱ユニット３が取付けられている。この加熱ユニッ
ト３は上側の誘導加熱しない樹脂製のトッププレート４
と下側の樹脂製のコイルベース５とで誘導加熱コイル６
を挾持して一体に構成されている。コイルベース５の裏
面には棒状のフェライト７が複数個固定されている。

【００１１】本体１内部の保護枠２の下部には樹脂製の
キバンケース８が設けられており、このキバンケース８
には誘導加熱コイル６と電気的に接続されたインバータ
回路装置９が固定されている。保護枠２内に内鍋１０が
収容されている。本体１内部にはインバータ回路装置９
と接続された制御部１１が設けられており、制御部１１
には温度センサー１２も接続されている。温度センサー
１２は加熱ユニット３中央の穴部より突出するように設
けられ、上方に付勢され内鍋１０底部に当接し、内鍋１
０底部と熱的に略同一温度となる。本体１にはふた１３
が取付けられ、本体１、保護枠２及び内鍋１０を覆って
いる。

【００１２】次に一般的な炊飯を行う場合の作用を説明
する。使用者が内鍋１０内に洗った米と適量の水を入
れ、保護枠２に収納し、ふた１３を閉じる。この状態で
は内鍋１０は上端部が本体１の上端部と当接して支えら
れ、内鍋１０と保護枠２及び加熱ユニット３のトッププ
レート４とは当接しない。但し、温度センサー１２と内
鍋１０は当接している。

【００１３】次に使用者が制御部１１の炊飯スイッチ
（図示せず）を操作すると、炊飯動作が開始される。制
御部１１によりインバータ回路装置９が動作し、商用電
源を高周波に変換し誘導加熱コイル６へ通電を開始す
る。電磁誘導加熱の原理により発生した高周波磁界で内
鍋１０内にうず電流が発生し、内鍋１０が有する電気抵
抗によってジュール熱に変換され発熱し、内鍋１０内部
の米と水を加熱する。

【００１４】温度センサー１２により内鍋１０の加熱状
況を検出し、いわゆる「初めチョロチョロ中パッパ…」
の火加減をすべく、制御部１１がインバータ回路９を制
御する。やがて、温度センサー１２の温度が所定の温度
になると、炊飯を終了してむらし工程に移行する。

【００１５】上記一連の炊飯工程の誘導加熱動作におい
て、誘導加熱コイル６から生じた磁界で誘導加熱を行う
のは内鍋１０のある上側に生じた磁界である。従来例で
は下方へ生じた磁界は磁束の通りやすいフェライト７を
通過するので、誘導結合を高めるとともに、フェライト
７より下方に磁界が漏れないように設置されている。と
ころが完全に磁界の漏れを防止するにはフェライト７を
密に多数配置する必要があり、それでもフェライト７の
間から下方に微少ながら磁界が漏れる。微少なため例え
ば本誘導加熱式炊飯器を設置した台等が誘導加熱するこ
とはないが、インバータ回路９や制御部１１に作用し、
回路に正規信号以外のノイズが生じてしまう問題があっ
た。

【００１６】上記一実施例の構成では、保護枠２がアル
ミニウム製の有底筒状に構成されており、その底部の内
側に加熱ユニット３を配したので、フェライト７から下
方に漏れた磁界は保護枠２側面に到達する。保護枠２は
アルミニウムで構成されているため到達した磁界により
渦電流が生じるが、アルミニウムは電気抵抗が小さいた
めジュール熱として発熱が少ない。保護枠２の底面は誘
導加熱コイル６、温度センサー１２の取り出し用の小さ
な穴以外は開口なく覆われており、また側面は上方から
下方まで本体側面の２／３〜３／４を覆うように構成さ
れているので、防磁材として機能し、保護枠２底面およ
び側面より磁界が漏れることがない。

【００１７】これにより、本体近傍の品物、設置台等の
誘導加熱を防止するのはもちろん、インバータ回路９や
制御部１１にノイズが生じて誤動作することを防止出
来、また外部近傍に設置したラジオ等に雑音を与えてし
まう問題も防止出来る。さらに、以上の高いシールド性
能は保護枠２をアルミニウム製の有底筒状に構成し、そ
の底部の内側に加熱ユニット３を配することで得ている
ので、別途に防磁材を必要とせず、安価に構成出来、消
費者に安価な誘導加熱式炊飯器を提供出来る。

【００１８】

【発明の効果】以上により本発明では、保護枠をアルミ
ニウム製の有底筒状に構成し、その底部の内側に加熱ユ
ニットを配したので、保護枠は高いシールド性能を有す
る防磁材として機能し、保護枠底面および側面より磁界
が漏れることがなく、本体近傍の品物、設置台等の誘導
加熱を防止するとともに、インバータ回路や制御部にノ
イズが生じて誤動作することを防止出来、また外部近傍
に設置したラジオ等に雑音を与えてしまう問題も防止出
来るとともに、別途に防磁材を必要とせず安価に構成出
来、消費者に安価で安全な誘導加熱式炊飯器を提供出来
る効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を施した誘導加熱式炊飯器の
断面図である。

【符号の説明】

２ 保護枠 ３ 加熱ユニット ６ 誘導加熱コイル １０ 内鍋

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 インバータ回路装置に接続された誘導加
   熱コイル（６）から発生する高周波磁界により、本体内
   壁を構成する保護枠（２）に収納された内鍋（１０）を
   加熱する誘導加熱式炊飯器において、前記保護枠（２）
   をアルミニウム製で有底筒状に形成し、この保護枠
   （２）の底部内側に前記誘導加熱コイル（６）を含む加
   熱ユニット（３）を配した構成としたことを特徴とする
   誘導加熱式炊飯器。