JPH07176933A - アンテナ指向装置 - Google Patents

アンテナ指向装置

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JPH07176933A
JPH07176933A JP32261593A JP32261593A JPH07176933A JP H07176933 A JPH07176933 A JP H07176933A JP 32261593 A JP32261593 A JP 32261593A JP 32261593 A JP32261593 A JP 32261593A JP H07176933 A JPH07176933 A JP H07176933A
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JP
Japan
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angle
antenna
rewind
azimuth
elevation
Prior art date
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Pending
Application number
JP32261593A
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English (en)
Inventor
Takao Murakoshi
尊雄 村越
Takeshi Hojo
武 北條
Yoshinori Kamiya
吉範 神谷
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Tokimec Inc
Original Assignee
Tokimec Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 船体の動揺中にリワインド動作をした場合で
も、リワインド動作後に迅速にアンテナを衛星に対して
良好に指向させることができるアンテナ指向装置を提供
することを目的とする。 【構成】 アンテナ指向装置において、船体面の動揺角
η、ξを演算する動揺角演算部94とリワインド動作中
の船体面の動揺角を推定演算する動揺角推定部118と
リワインド動作を開始すべきか否かを判断して命令信号
を発信するリワインド制御器117とリワインド制御ル
ープのゲインを調節するゲイン調整器113、114と
リワインドモードに切り換えるリワインド切替器11
1、112とを有するように構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は海事衛星通信等に使用し
て好適なアンテナを衛星方向へ指向させるためのアンテ
ナ指向装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図7は従来のアンテナ指向装置の例を示
す。このアンテナ指向装置は基本的には方位−仰角系と
称され、基台3と斯かる基台3に装着された方位ジンバ
ル40と方位ジンバル40の上端部のU字形部材に装着
された取り付け金具41と斯かる取り付け金具41に取
り付けられたアンテナ14とを有する。
【0003】基台3はブリッジ部3−1を有してよく、
斯かるブリッジ部3−1には上方に突出する円筒部11
が装着されており、斯かる円筒部11の内部には1対の
軸受21−1、21−2が取り付けられている。この軸
受21−1、21−2の内輪には方位軸20が嵌合され
ており、方位軸20の上端部にはアーム13を介して方
位ジンバル40が装着されている。
【0004】斯くして方位軸20が軸受21−1、21
−2によって支持された状態にて、方位ジンバル40は
方位軸20を通る軸線周りに回転することができる。方
位ジンバル40は下側の支持軸部40−1と上側のU字
形部40−2とを有し、支持軸部40−1の中心軸線即
ち方位軸線Z−Zは図示のように方位軸20を通る軸線
より偏倚して配置されている。尚、支持軸部40−1は
方位軸20を通る軸線に整合するように構成してもよ
い。
【0005】方位ジンバル40のU字形部40−2に
は、より小さいU字形の取り付け金具41が配置されて
おり、斯かる取り付け金具41はその2つの脚部41−
1、41−2の各々に仰角軸30−1、30−2を有す
る。方位ジンバル40のU字形部40−2の2つの脚部
の各々には適当な軸受が装着されており、斯かる軸受に
よって仰角軸30−1、30−2は回転可能に支持され
ている。
【0006】仰角軸30−1、30−2の中心軸線は仰
角軸線Y−Yを構成しており、こうして、取り付け金具
41は方位ジンバル40のU字形部40−2の2つの脚
部の間にて仰角軸線Y−Y周りに回転可能に支持されて
いる。仰角軸線Y−Yは方位軸線Z−Zに対して直角に
配置されている。
【0007】方位軸線Z−Zはアンテナ指向装置の取り
付け面、例えば船体面に垂直であり、従って、仰角軸線
Y−Yは船体面に対して常に平行に配置されている。
【0008】U字形の取り付け金具41の脚部41−
1、41−2にはアンテナ14が装着されており、従っ
てアンテナ14は取り付け金具41と共に仰角軸線Y−
Y周りを回転することができる。アンテナ14は中心軸
線X−Xを有しており、斯かる中心軸線は仰角軸線Y−
Yに対して垂直である。
【0009】取り付け金具41には、仰角ジャイロ44
及び方位ジャイロ45が装着され、仰角ジャイロ44に
よって仰角軸線Y−Y周りを回転するアンテナ14の回
転角速度が検出され、方位ジャイロ45によって仰角軸
線Y−Y及びアンテナ14の中心軸線X−Xの双方に直
交する軸線周りのアンテナ14の回転角速度が検出され
る。仰角ジャイロ44と方位ジャイロ45は、例えば機
械式ジャイロ、光学式ジャイロ等の積分型ジャイロの
他、振動ジャイロ、レートジャイロ、光ファイバジャイ
ロ等の角速度検出型ジャイロであってよい。
【0010】取り付け金具41には更に、第1の加速度
計46と第2の加速度計47と第3の加速度計48とが
装着されている。第1の加速度計46によって仰角軸線
Y−Y周りのアンテナ14の中心軸線X−Xの傾斜角度
が検出され、第2の加速度計47によって水平面に対す
る仰角軸線Y−Yの傾斜角度xが検出される。
【0011】第2の加速度計47をその入力軸線が仰角
軸線Y−Yに平行となるように、取り付け金具41に装
着すれば、その出力はsinxに比例する。尚、第2の
加速度計47は、その入力軸線が仰角軸線Y−Yに平行
となるように、方位ジンバル40に装着してもよい。
【0012】第3の加速度計48は第1の加速度計46
及び第2の加速度計47の双方に直交するように装着さ
れる、即ち、第1の加速度計46の入力軸線及び第2の
加速度計47の入力軸線の双方に直交する入力軸線を有
するように取り付けられる。こうして、第3の加速度計
48はアンテナ14の中心軸線X−X及び仰角軸線Y−
Yの双方に直交する軸線の水平面に対する傾斜角度を検
出する。
【0013】取り付け金具41の一方の脚部には仰角軸
線Y−Yと同軸的に仰角歯車32が装着されている。斯
かる仰角歯車32にはピニオン35が噛み合わされてお
り、斯かるピニオン35は方位ジンバル40のU字形部
40−2の一方の脚部に装着された仰角サーボモータ3
3の回転軸に取り付けられている。
【0014】方位ジンバル40のU字形部40−2の一
方の脚部には仰角発信器34が装着されており、斯かる
仰角発信器34によってアンテナ14の仰角軸線Y−Y
周りの回転角度θが検出されそれを指示する信号が出力
される。
【0015】一方、方位軸20の下端部には方位歯車2
2が取り付けられ、基台3のブリッジ部3−1上には方
位サーボモータ23と方位発信器24が取り付けられ、
方位サーボモータ23及び方位発信器24の回転軸にそ
れぞれ取り付けられたピニオン(図示なし)が方位歯車
22に噛み合わされるように構成されている。
【0016】図示のように、アンテナ指向装置を制御す
るために仰角制御ループと方位角制御ループが設けられ
ている。尚、アンテナ14の中心軸線X−Xが水平面と
なす角をアンテナの仰角θA とし、アンテナ14の中心
軸線X−Xが水平面上で子午線Nとなす角をアンテナの
方位角φA とする。
【0017】仰角制御ループはアンテナの仰角θA が衛
星高度角θS に一致するようにアンテナ14を仰角軸線
Y−Y周りに回転させるよう構成されており、速い制御
ループ、即ち、仰角安定化ループと遅い制御ループ、即
ち、仰角拘束ループとを含む。速い制御ループ、即ち、
仰角安定化ループにおいて、仰角ジャイロ44の出力は
仰角制御積分器54、リワインド切替器112及び増幅
器55を介して仰角サーボモータ33にフィードバック
される。それによって船体が揺動しても慣性空間に対す
るアンテナ14の仰角軸線Y−Y周りの角速度は常にゼ
ロに保持される。
【0018】遅い制御ループ、即ち、仰角拘束ループに
おいて、第1の加速度計46、第2の加速度計47及び
第3の加速度計48からなる直交3軸の加速度計の出力
信号はアンテナ仰角演算部81に供給される。アンテナ
仰角演算部81は3つの加速度計46、47、48の出
力信号g1 、g2 、g3 を入力し、アンテナ14の仰角
θA 、即ち、水平面に対するアンテナ14の中心軸線X
−Xの傾斜角θA を演算する。斯かる演算は次の数1の
式に基づいて実行される。
【0019】
【数1】 tanθA =−g1 /(g2 sinε+g3 cosε) 但し、tanε=g2 /g3
【0020】数1の式より明らかなように、斯かる演算
はアンテナ14の仰角θA の正接よりアークタンジェン
ト演算を行い、それによってアンテナ14の仰角θA
値及びその象限を求めることを含む。尚、アンテナ仰角
演算部81の機能と構成の詳細については、本願出願人
と同一の出願人によって出願された特願平4−3487
45号を参照されたい。
【0021】アンテナ仰角演算部81より出力されたア
ンテナ14の仰角θA を指示する信号は、例えば手動設
定された衛星高度角θS を指示する信号によって減ぜら
れ、更に、減衰器56を経由して仰角制御積分器54及
び増幅器55に入力される。このループは、アンテナ1
4の仰角θA を衛星高度角θS に一致させるための適当
な時定数を有する。尚、減衰器56に仰角ジャイロ44
のドリフト変動を補償させるために積分特性を具備させ
ることも可能である。
【0022】方位角制御ループはアンテナ14の方位角
φA が衛星方位角φS に一致するように方位ジンバル4
0の方位を制御するように構成されており、速い制御ル
ープ、即ち、方位角安定化ループと遅い制御ループ、即
ち、方位角拘束ループとを含む。速い制御ループ、即
ち、方位角安定化ループにおいて、方位ジャイロ45の
出力信号は、secθ演算部76、方位角制御積分器5
8、リワインド切替器111及び増幅器59を介して方
位サーボモータ23にフィードバックされ、それによっ
てアンテナ14は、アンテナ14の中心軸線X−X及び
仰角軸線Y−Yの両者に直交する軸線周りの船体の回転
運動に対して、安定化されることができる。
【0023】遅い制御ループ、即ち、方位角拘束ループ
において、方位発信器24より方位ジンバル40の回転
角(アンテナの回転角)φを指示する回転角信号が出力
され、斯かる回転角信号は加算器61に供給される。加
算器61では、斯かる回転角φと例えば磁気コンパス又
はジャイロコンパスより供給された船首方位角φC と傾
斜補正演算部93より供給された傾斜補正値ΔφA とが
加算され、その和より衛星方位角φS が減算される。加
算器61の出力信号は、更に、減衰器60を経由して方
位角制御積分器58に入力される。アンテナの回転角φ
と船首方位角φ C と傾斜補正値ΔφA との和が衛星方位
角φS に等しくなるとき、アンテナ14の方位は静止す
る。
【0024】斯かる傾斜補正演算部93は仰角発信器3
4より出力された仰角軸線Y−Y周りのアンテナ14の
回転角θを指示する信号と第2の加速度計47より出力
された水平面に対する仰角軸線Y−Yの傾斜角xの正弦
値sinxを指示する信号と第3の加速度計48より出
力されたアンテナの中心軸線X−X及び仰角軸線Y−Y
の双方に直交する軸線の水平面に対する傾斜角度θP
正弦値sinθP を指示する信号とを入力して、傾斜補
正値ΔφA を演算する。
【0025】斯かる傾斜補正値ΔφA は次の数2の式に
よって求められる。
【0026】
【数2】 tanΔφA =sinθ・sinx/sinθP
【0027】尚、斯かる傾斜補正演算部93の構成と動
作の詳細については、本願出願人と同一の出願人によっ
て出願された特願平5─2581号を参照されたい。
【0028】この方位角制御ループは、アンテナ14の
方位角φA を衛星方位角φS に一致させるための適当な
時定数を有する。尚、減衰器60に方位ジャイロ45の
ドリフト変動を補償させるために積分特性を具備させる
ことも可能である。即ち、減衰器56、60の出力は積
分型ジャイロトルカの出力に相当する。
【0029】こうして、仰角制御ループと方位角制御ル
ープとによってアンテナ14はその中心軸線X−Xが衛
星方向に指向するように構成されている。
【0030】アンテナ指向装置にはケーブルが接続され
ており、斯かるケーブルはアンテナ14に接続された同
軸ケーブル70と他の機器に接続された導線とを含む。
同軸ケーブル70によってアンテナ14に送信信号が供
給され、またアンテナ14より受信信号が得られる。ケ
ーブルはアンテナ14より取り付け金具41を経由し、
方位ジンバル40のU字形部40−2、支持軸部40−
1、アーム13、方位軸21に沿って延在し、基台3に
至る。
【0031】斯かるケーブルは柔軟性ある材料よりなり
且つアンテナ14から基台3に至る経路より僅かに長い
寸法を有する。従って、アンテナ14が仰角軸線Y−Y
周りに回転し更に方位軸線Z−Z周りに回転しても、ケ
ーブルの捩じれ又は巻き付きによってアンテナ14の回
転運動が妨害されることはない。
【0032】しかしながら、船体が旋回したりヨーイン
グしてアンテナ14が方位軸線Z−Z周りに大きな角度
にて回転すると、ケーブルの捩じれ又は巻き付きによっ
てアンテナ14の回転運動が妨害されることがある。斯
かる場合のため、ケーブルの捩じれ又は巻き付きを防止
するためのリワインド機構が設けられている。
【0033】リワインド制御には2πリワインド法とπ
リワインド法とがある。2πリワインド法は、例えば、
アンテナ14の方位が所定の基準方位より±270°以
上偏倚したとき、アンテナ14(方位ジンバル40)を
方位軸線Z−Z周りに反対方向に巻き戻し角度360°
にて回転させるように構成されている。πリワインド法
はアンテナ14(方位ジンバル40)を方位軸線Z−Z
周りに反対方向に巻き戻し角度180°にて回転させる
ように構成されている。
【0034】2πリワインド法の場合には、巻き戻し後
にアンテナ14の中心軸線X−Xは再び衛星方向を指向
するが、πリワインド法の場合には、巻き戻しによって
アンテナ14の中心軸線X−Xは衛星方向より偏倚する
こととなるから、アンテナ14は更に、仰角軸線Y−Y
周りに所定の巻き戻し回転角度にて回転される。
【0035】例えば、アンテナ14の仰角θ(アンテナ
14の中心軸線X−Xが船体面となす角)が70°のと
きに、巻き戻し回転角180°にてアンテナ14(方位
ジンバル40)を方位軸線Z−Z周りに巻き戻した場
合、アンテナ14の仰角θは110°となる。従って、
アンテナ14の仰角θが70°となるように、アンテナ
14は仰角軸線Y−Y周りに巻き戻し回転角40°(=
110°−70°)にて巻き戻される。
【0036】図7に示すように、リワインド機構は方位
角安定化ループの第1のリワインド切替器111、増幅
器59及び方位サーボモータ23と仰角安定化ループの
第2のリワインド切替器112、増幅器55及び仰角サ
ーボモータ33とによって構成されており、オープンル
ープによってなされる。
【0037】方位角安定化ループにおいて、リワインド
信号ω(φ)が第1のリワインド切替器111に供給さ
れると、リワインド切替器111からは方位角制御積分
器58の出力信号の代わりにリワインド信号ω(φ)が
増幅器59に供給され、更に方位サーボモータ23供給
される。
【0038】同様に、仰角安定化ループにおいて、リワ
インド信号ω(θ)が第2のリワインド切替器112に
供給されると、リワインド切替器112からは仰角制御
積分器54の出力信号の代わりにリワインド信号ω
(θ)が増幅器55に供給され、更に仰角サーボモータ
33に供給される。
【0039】アンテナ14は方位サーボモータ23によ
って方位軸線Z−Z周りに所定の巻き戻し角度にて回転
され、仰角サーボモータ33によって仰角軸線Y−Y周
りに所定の巻き戻し角度にて回転される。斯かる巻き戻
しは所定の巻き戻し速度によってなされる。
【0040】こうして、リワインド機構によってアンテ
ナ14は強制的に巻き戻し回転され、ケーブルの捩じれ
又は巻き付きが回避される。
【0041】
【発明が解決しようとする課題】従来のアンテナ指向装
置において、船体が静止している時にリワインド動作を
行うと、リワインド動作の後にアンテナ14の中心軸線
X−Xは正しく衛星方向を指向しているから、直ちに、
アンテナによる通信作業を開始することができる。しか
しながら、船体が動揺している時にリワインド動作を行
うと、アンテナ14の中心軸線X−Xは衛星方向より偏
倚する欠点があった。
【0042】更に、従来のアンテナ指向装置において、
一般に、リワインド動作中にも指向誤差が生ずる。斯か
るリワインド動作中の指向誤差はアンテナ14の中心軸
線X−Xが天頂方向を向いている場合以外は、必ず生ず
る。リワインド動作中にアンテナ14の中心軸線X−X
は円錐を描く。斯かる円錐はリワインド動作中の指向誤
差(アンテナ14の中心軸線X−Xが衛星方向より偏倚
した角)を表している。斯かる指向誤差は、アンテナ1
4の仰角θが小さい程大きい。
【0043】従来のリワインド制御は、アンテナ14の
方位が所定の設定角即ちリワインド端に達したときに、
リワインド動作を開始するように構成されていた。従っ
て、アンテナ14の方位がリワインド端に達したときに
アンテナ14の仰角θが小さいとリワインド動作中の指
向誤差が大きくなる欠点があった。
【0044】本発明は、斯かる点に鑑み、船体が航行中
に動揺し又は旋回したときに、リワインド動作をした場
合に、アンテナ14を衛星に対して良好に指向すること
ができるアンテナ指向装置を提供することを目的とす
る。
【0045】本発明は、更に、リワインド動作中の指向
誤差を最小化することができるリワインド装置を有する
アンテナ指向装置を提供することを目的とする。
【0046】
【課題を解決するための手段】本発明によれは、例えば
図1に示すように、中心軸線X−Xを有し支持部材41
に支持されたアンテナ14と、アンテナ14及び支持部
材41を中心軸線X−Xに直交する仰角軸線Y−Y周り
に回転可能に支持する方位ジンバル40と、方位ジンバ
ル40を仰角軸線Y−Yに直交する方位軸線Z−Z周り
に回転可能に支持する基台3と、仰角軸線Y−Yに平行
な入力軸線を有し支持部材41に固定された第1のジャ
イロ44と、中心軸線X−Xと仰角軸線Y−Yの両者に
直交する入力軸線を有し支持部材41に固定された第2
のジャイロ45と、水平面に対する中心軸線X−Xの傾
斜角を指示する信号を出力する第1の加速度計46と、
水平面に対する仰角軸線Y−Yの傾斜角を指示する信号
を出力する第2の加速度計47と、アンテナの中心軸線
X−Xと仰角軸線Y−Yの両者に直交する入力軸線を有
する第3の加速度計48と、方位ジンバル40の方位軸
線Z−Z周りの回転角を指示する信号を出力する方位発
信器24と、方位ジンバル40に対する仰角軸線Y−Y
周りのアンテナ14の回転角θを指示する信号を出力す
る仰角発信器34と、第2の加速度計47の出力信号と
第3の加速度計48の出力信号と仰角発信器34の出力
信号とを入力して傾斜補正値ΔφA を演算する傾斜補正
演算部93と、を有し、加速度計46、47、48の出
力信号から衛星の高度角に対応した値を減じた信号を第
1のジャイロ44の実質的なトルカにフィードバックし
方位発信器24の出力信号と船首方位角及び衛星方位角
に対応した信号と傾斜補正演算部93より出力された傾
斜補正値ΔφA を指示する信号とを加算器61にて演算
しその出力信号を第2のジャイロ45の実質的なトルカ
にフィードバックしてアンテナの中心軸線X−Xを衛星
に指向させるように構成されたアンテナ指向装置におい
て、アンテナ14の方位が所定位置になったとき上記ア
ンテナ14を上記方位軸線周りに巻き戻し回転させるた
めの方位系制御ループと上記アンテナ14を上記仰角軸
線周りに巻き戻し回転させるための仰角制御系ループと
を有し上記アンテナ14のケーブルの巻き付きを防止す
るためのリワインド装置と、傾斜補正演算部93より供
給された傾斜補正値ΔφA と衛星高度角θS と仰角発信
器34より供給された仰角軸線Y−Y周りのアンテナ1
4の回転角θとよりアンテナ指向装置の取り付け面の動
揺角η、ξを演算する動揺角演算部94と、動揺角演算
部94より供給された動揺角η、ξと第1のジャイロ及
び第2のジャイロ44、45の出力信号とを入力してリ
ワインド動作中の動揺角ηR 、ξRを推定する動揺角推
定部118と、を具え、リワインド装置の方位系制御ル
ープは、動揺角推定部118より供給された推定動揺角
信号ηR 、ξR を入力して方位軸線Z−Z周りの巻き戻
し回転角φR と仰角軸線Y−Y周りの巻き戻し回転角θ
R とを演算して出力するリワインド制御器117と、リ
ワインド制御器117より供給された方位軸線Z−Z周
りの巻き戻し回転角φR と方位発信器24の出力信号と
を比較する第1のリワインド加算器115と、第1のリ
ワインド加算器115の出力信号を入力して制御ループ
のゲインを調節する第1のゲイン調整器113と、第1
のゲイン調整器113の出力信号と第2のジャイロ45
の実質的なトルカの出力信号とを入力しリワインド動作
中には第1のゲイン調整器113の出力信号を出力しリ
ワインド動作中以外は第2のジャイロ45の実質的なト
ルカの出力信号を出力する第1のリワインド切替器11
1とを有し、リワインド装置の仰角系制御ループは、リ
ワインド制御器117より供給された仰角軸線Y−Y周
りの巻き戻し回転角と仰角発信器34の出力信号とを比
較する第2のリワインド加算器116と、第2のリワイ
ンド加算器116の出力信号を入力して制御ループのゲ
インを調節する第2のゲイン調整器114と、第2のゲ
イン調整器114の出力信号と第1のジャイロ44の実
質的なトルカの出力信号とを入力しリワインド動作中に
は第2のゲイン調整器114の出力信号を出力しリワイ
ンド動作中以外は第1のジャイロ44の実質的なトルカ
の出力信号を出力する第2のリワインド切替器112と
を有するように構成されている。
【0047】本発明によれば、アンテナ指向装置におい
て、動揺角演算部94は次式によってアンテナ指向装置
の取り付け面の動揺角η、ξを演算する。 η=tan-1(sinΔφA /tanθ) θS −ξ=tan-1(tanΔφA /sinη) 但し、η、ξ:取り付け面の動揺角 ΔφA :傾斜補正値 θ:仰角発信器の出力信号 θS :衛星高度角
【0048】本発明によれば、アンテナ指向装置におい
て、リワインド制御器は方位発信器24及び仰角発信器
34の出力を入力し、アンテナの中心軸線X−Xが方位
軸線Y−Yと略一致した時に且つアンテナの方位角φが
所定のリワインド設定角に近づいている時にリワインド
動作を開始するべく命令信号を出力するように構成され
ている。
【0049】本発明によれば、アンテナ指向装置におい
て、動揺角推定部118は動揺角演算部94より供給さ
れた動揺角η、ξと第1のジャイロ44及び第2のジャ
イロ45の出力信号より演算した動揺角速度とを用いて
リワインド動作中の動揺角を推定する。
【0050】
【作用】本発明によれば、動揺角推定部118において
リワインド動作中の船体の動揺角が推定され、リワイン
ド制御器117においてリワインド動作を開始すべきか
否かが判定され、リワインド動作を開始すべきであると
判断するとリワインド制御器117は命令信号を生成し
てそれをリワインド切替器111、112に供給しそれ
によって制御ループはリワインドモードに切替えられ
る。
【0051】本発明によれば、リワインド動作中のリワ
インド制御ループのゲインを調整するゲイン調整器11
3、114が設けられ、それによって、アンテナ14の
方位軸線Z−Z周りの回転角速度と仰角軸線Y−Y周り
の回転角速度との間の関係を調節し、それによってリワ
インド動作中の指向誤差は最小化される。
【0052】本発明によれば、アンテナ14の方位角が
リワインド端に達した時ばかりでなく、アンテナ14の
方位角がリワインド端に達していない時であっても、ア
ンテナ14の仰角θが90°近くでありアンテナ14の
方位角がリワインド端に近づきつつある場合には、リワ
インド制御器117はリワインド動作を開始すべきであ
ると判断する。
【0053】
【実施例】以下に図1〜図6を参照して本発明の実施例
について説明する。尚図1〜図6において図7の対応す
る部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明は省
略する。
【0054】図1は本発明のアンテナ指向装置の1例を
示しており、アンテナ指向装置は基台3と斯かる基台3
に装着された方位ジンバル40と方位ジンバル40の上
端部のU字形部材に装着された取り付け金具41と斯か
る取り付け金具41に取り付けられたアンテナ14とを
有する。
【0055】アンテナ14は中心軸線X−Xを有してお
り、アンテナ14と斯かるアンテナ14に装着された取
り付け金具41とからなる組立体は中心軸線X−Xに直
交する仰角軸線Y−Yの周りに回転可能に支持されてい
る。方位ジンバル40は仰角軸線Y−Yと直交する方位
軸線Z−Z周りに回転可能に基台3に支持されている。
こうして、2軸に回転可能な支持機構が構成され、斯か
る支持機構はアンテナ14の中心軸線X−Xが衛星を指
向するように制御される。
【0056】取り付け金具41には、仰角ジャイロ44
及び方位ジャイロ45と第1の加速度計46、第2の加
速度計47及び第3の加速度計48が装着されている。
【0057】仰角ジャイロ44によって仰角軸線Y−Y
周りを回転するアンテナ14の回転角速度が検出され、
方位ジャイロ45によって仰角軸線Y−Y及びアンテナ
14の中心軸線X−Xの双方に直交する軸線周りのアン
テナ14の回転角速度が検出され、第1の加速度計46
によって水平面に対するアンテナ14の中心軸線X−X
の傾斜角度が検出され、第2の加速度計47によって水
平面に対する仰角軸線Y−Yの傾斜角度が検出される。
【0058】第3の加速度計48は第1の加速度計46
の入力軸線及び第2の加速度計47の入力軸線の双方に
直交する入力軸線を有するように取り付けられる。従っ
て、第3の加速度計48はアンテナ14の中心軸線X−
X及び仰角軸線Y−Yの双方に直交する軸線の水平面に
対する傾斜角度を検出する。
【0059】仰角ジャイロ44と方位ジャイロ45は例
えば振動ジャイロ、レートジャイロ等の角速度検出型ジ
ャイロであってよい。
【0060】本例のアンテナ指向装置は、仰角制御ルー
プと方位角制御ループとを有し、仰角制御ループはアン
テナの仰角θA が衛星高度角θS に一致するようにアン
テナ14を仰角軸線Y−Y周りに回転させるよう構成さ
れており、方位角制御ループはアンテナの方位角φA
衛星の方位角φS に一致するようにアンテナ14を方位
軸線Z−Z周りに回転させるよう構成されている。尚、
図7の従来例と同様な部分についてはその詳細な説明を
省略する。
【0061】本例によると、従来の制御ループと比較し
て、新たに動揺角演算部94及び動揺角推定部118が
設けられ、更に、方位角制御系のリワインド制御ループ
と仰角制御系のリワインド制御ループとが設けられてい
る。
【0062】方位角系のリワインド制御ループは第1の
リワインド切替器111に供給するリワインド命令信号
を生成するためのループであり、リワインド動作を開始
するべきか否かを判定しリワインド制御角φR 、θR
演算するリワインド制御器117とリワインド制御器1
17の方位角出力φR と方位発信器24の出力φとの偏
差を演算する加算器115とリワインド動作中のサーボ
特性を調節するゲイン調整器113とを有する。リワイ
ンド制御器117よりリワインド命令信号が供給される
と、リワインド切替器111は方位角制御積分器58の
出力信号の代わりに斯かるリワインド命令信号を増幅器
59に供給する。
【0063】仰角系のリワインド制御ループは第2のリ
ワインド切替器112に供給するリワインド命令信号を
生成するためのループであり、リワインド制御器117
とリワインド制御器117の仰角出力θR と仰角発信器
34の出力θとの偏差を演算する加算器116とリワイ
ンド動作中のサーボ特性を調節するゲイン調整器112
とを有する。リワインド制御器117によって仰角軸線
Y−Y周りの巻き戻しの必要性が判定されると、仰角軸
線Y−Y周りのリワインド命令信号が生成され、リワイ
ンド切替器112は仰角制御積分器54の出力信号の代
わりに斯かるリワインド命令信号を増幅器55に供給す
る。
【0064】動揺角演算部94は傾斜補正演算部93よ
り出力された傾斜補正値ΔφA を指示する信号と仰角発
信器34より出力された仰角軸線Y−Y周りのアンテナ
14の回転角度θを指示する信号と衛星高度角θS を指
示する信号とを入力し、船体面の動揺角η、ξ即ちアン
テナ指向装置が取り付けられた船体の取り付け面の動揺
角η、ξを演算する。
【0065】動揺角推定部118は、動揺角演算部94
によって演算された動揺角η、ξを初期値としてリワイ
ンド動作中の推定動揺角ηR 、ξR を演算する。
【0066】図2を参照して本例の動揺角演算部94の
機能と動作を説明する。図2は、半径1の単位球面を考
え、斯かる単位球面とアンテナ14の中心軸線X−X
(図2にて線分OX)、仰角軸線Y−Y(図2にて線分
OY、OY’)、方位軸線Z−Z(図2にて線分OZ、
OZ’)、及びアンテナ14の中心軸線X−Xと仰角軸
線Y−Yの双方に直交する軸線(図2にて線分OP、O
P’)、の関係を示す図である。方位軸線Z−Zは船体
面(アンテナ指向装置の取り付け面に平行な面)に常に
垂直であり、仰角軸線Y−Yは船体面に常に平行であ
る。
【0067】船体が第1の回転軸線周りに回転角度(動
揺角)ξだけ回転し、更に第2の回転軸線周りに回転角
度(動揺角)ηだけ回転した場合を考える。斯かる船体
の回転運動によって、例えば図示のように、船体面が水
平面に対して仰角軸線Y−Y(OY)周りに回転角度ξ
だけ回転し、更に船体の首尾線OE周りに回転角度ηだ
け回転した仮定する。このとき、仰角軸線Y−Yは第1
の回転軸線に平行であり、船体の首尾線OEは第2の回
転軸線に平行である。
【0068】斯かる船体面の運動によって、方位軸線Z
−Zは線OZから線OZ’に移動し、仰角軸線Y−Yは
線OYから線ODに移動する。アンテナ14の中心軸線
X−Xも移動するが、制御ループによってアンテナ14
の中心軸線X−Xは衛星方向を指向するように制御され
る。即ち、アンテナ14の中心軸線X−Xは線OXから
偏倚した位置に移動し再び線OXまで移動する。
【0069】斯かる制御によって、仰角軸線Y−Yは方
位軸線OZ’周りに回転角ΔφA だけ回転し線ODから
線OY’に移動する。尚、∠XOY=∠XOY’=90
°である。結局、仰角軸線Y−Yは線OYから線ODを
経由して線OY’に移動したことになり、同時に、アン
テナ14の中心軸線X−Xと仰角軸線Y−Yの双方に直
交する線OPは、線OP’に移動する。∠POP’=∠
Y’OY及び弧PP’=弧Y’Yである。
【0070】線OX、線OY及び線OPは互いに直交す
る長さ1の線であり、三角形XYPは1辺がπ/2の等
辺球面三角形となる。線OX、線OY’及び線OP’も
互いに直交する長さ1の線であり、三角形XY’P’は
1辺がπ/2の等辺球面三角形となる。
【0071】単位球面上にて点Xと点P及び点P’を直
線で結ぶ。弧XPは点Aにて水平面と直交し、更に点P
にて面OY’P’と直交する。弧XP’は点Cにて船体
面(取り付け面)と直交し、更に点P’にて面OY’
P’と直交する。点P’から水平面に下ろした垂線の足
をA’とし、点Y’から水平面に下ろした垂線の足を
B’とする。
【0072】ここで、∠XOA=θ0 =弧XA、∠PO
A=θP0=弧PA、∠BOD=η=弧BD、∠XOC=
θ=弧XC、∠P’OA’=θP =弧P’A’、∠Y’
OB’=x=弧Y’B’である。
【0073】第1の加速度計46は線OXに沿って装着
され、第2の加速度計47は線OYに沿って装着され、
第3の加速度計48は線OPに沿って装着されている。
船体面が水平面と同一であるとき、仰角発信器34によ
って船体面に対するアンテナ14の中心軸線X−Xの傾
斜角∠XOA=θ0 が出力され、第1の加速度計46に
よってsin∠XOA=sinθ0 が検出され、第2の
加速度計47によってsin∠YOB=sin0=0が
検出され、第3の加速度計48によってsin∠POA
=sinθP0が検出される。
【0074】上述のように、船体面が水平面に対して仰
角軸線Y−Y(OY)周りに回転角度ξだけ回転し、更
に船体の首尾線OE周りに回転角度ηだけ回転すると、
仰角発信器34によって船体面に対するアンテナ14の
中心軸線X−Xの傾斜角∠XOC=θが出力され、第1
の加速度計46によってsin∠XOA=sinθ0
検出され、第2の加速度計47によってsin∠Y’O
B’=sinxが検出され、第3の加速度計48によっ
てsin∠P’OA’=sinθP が検出される。第1
の加速度計46によって検出される値sin∠XOA=
sinθ0 が変化しないのは、衛星の高度角θS (=θ
A とする。)は船体面の運動に無関係だからである。
【0075】次に、傾斜補正値ΔφA と動揺角η、ξと
の間の関係を求める。傾斜補正値ΔφA =弧EC=弧D
Y’である。尚、傾斜補正値ΔφA は、上述のように、
数2の式によって求められる。球面三角法の定理を適用
すれば、次の数3の式が求められる。
【0076】
【数3】sinΔφA =tanη・tanθ cosη=sinθ/sin(θS −ξ) cosΔφA ・cosθ=cos(θS −ξ)
【0077】ここでη、ξは動揺角、ΔφA は傾斜補正
値、θは方位ジンバル40に対する仰角軸線Y−Y周り
のアンテナの回転角である。この数3の式より動揺角
η、ξを求めると、次の数4の式が得られる。
【0078】
【数4】η=tan-1(sinΔφA /tanθ) θS −ξ=tan-1(tanΔφA /sinη)
【0079】本例によれば動揺角演算部94において数
4の式の演算が実行され、それによって動揺角η、ξが
求められる。斯かる動揺角η、ξを指示する信号は動揺
角演算部94より動揺角推定部118に供給される。
【0080】傾斜補正値ΔφA は傾斜補正演算部93の
出力値として得られることができるが、好ましくは次の
ようにして求められる。方位角拘束ループは加算器61
の出力がゼロとなるように方位ジンバル40の方位を制
御するように構成されており、従って、加算器61の出
力がゼロであるときは次の数5の式が成立する。
【0081】
【数5】ΔφA =φS −φC −φ
【0082】ここに、φS は衛星方位角、φC は船首方
位角、φは方位発信器24によって出力される方位ジン
バル40の回転角である。数5の式の右辺の各項は、動
揺加速度の影響を直接受けない値として、又は、動揺加
速度の影響が少ない値として求められることができる。
従って、傾斜補正値ΔφA は、傾斜補正演算部93の出
力値を使用する代わりに、数5の式を使用して求めても
よい。
【0083】次に図3を参照して本例の動揺角推定部1
18の構成と機能を説明する。動揺角推定部118はリ
ワインド動作中の動揺角ξR 、ηR を推定して演算す
る。
【0084】斯かる推定動揺角ξR 、ηR は、例えば、
周期Δt毎に演算されるものとする。この場合、推定動
揺角ξR 、ηR は斯かる周期Δtのパルスの計数値N
(N≧0)を変数とする関数と考えることができる。従
って、これは、例えば、時間Δtの関数として1次近似
して次のように表される。
【0085】
【数6】 ξR (N+1)=ξR (N)+ξR ’(N)・Δt ηR (N+1)=ηR (N)+ηR ’(N)・Δt
【0086】N:周期Δtのパルスの計数値(N≧0) ξR (N)、ηR (N):計数値がNの時に演算された
動揺角 ξR (N+1)、ηR (N+1):計数値がN+1の時
に演算された動揺角 ξR ’(N)、ηR ’(N):計数値がNの時に演算さ
れた動揺角速度
【0087】実際のリワインド動作に要する時間は1秒
程度であるが、その間に船体の動揺角は変化するから、
動揺角速度ξR ’(N)、ηR ’(N)がゼロとなるこ
とは稀である。動揺角速度ξR ’(N)、ηR ’(N)
(但し、N≧1)は次の式によって求められる。
【0088】
【数7】ξR ’(N)=(ωY −θ1 )cosΔφA
(ωZ −φ1 cosθ)sinΔφA ηR ’(N)=(ωY −θ1 )sinΔφA +(ωZ
φ1 cosθ)cosΔφA
【0089】ここに、ωY 、ωZ はそれぞれ仰角ジャイ
ロ44より出力されるアンテナ14の仰角軸線Y−Y周
りの角速度及び方位ジャイロ45より出力される方位軸
線Z−Z周りの角速度である。ΔφA は傾斜補正値であ
り数5の式によって求められる。φ1 、θ1 はそれぞれ
方位発信器24より出力されたアンテナ14の方位軸線
Z−Z周りの回転角φの時間についての1次微分及び仰
角発信器34より出力されたアンテナ14の仰角軸線Y
−Y周りの回転角θの時間についての1次微分である。
即ち、φ1 =(dφ/dt)、θ1 =(dθ/dt)で
ある。
【0090】リワインド動作によって仰角サーボモータ
33が作動されると仰角ジャイロ44は斯かるリワイン
ド動作によるアンテナ14の仰角軸線Y−Y周りの回転
角速度を検出する。従って、仰角ジャイロ44の出力ω
Y は船体の動揺による角速度とリワインド動作による角
速度の両者を含む。数7の式の右辺の第1項の係数(ω
Y −θ1 )は仰角ジャイロ44より出力された角速度ω
Y よりリワインド動作に起因する角速度を除去したこと
を表している。
【0091】同様に、リワインド動作によって方位角サ
ーボモータ23が作動されると方位ジャイロ45は斯か
るリワインド動作によるアンテナ14の方位軸線Z−Z
周りの回転角速度を検出する。従って、方位ジャイロ4
5の出力ωZ は船体の動揺による角速度とリワインド動
作による角速度の両者を含む。数7の式の右辺の第2項
の係数(ωZ −φ1 cosθ)は方位ジャイロ45より
出力された角速度ωZよりリワインド動作に起因する角
速度を除去したことを表している。
【0092】N=0はリワインド動作の開始時を表す。
動揺角の初期値ξR (0)、ηR (0)及び動揺角速度
の初期値ξR ’(0)、ηR ’(0)は、初期条件によ
って求められる。斯かる初期値は動揺角演算部94より
供給される値を用いる。
【0093】こうして本例によれば、仰角ジャイロ44
及び方位ジャイロ45の出力ωY 、ωZ と仰角発信器3
4及び方位発信器24の出力φ、θより数7の式によっ
て動揺角速度ξR ’(N)、ηR ’(N)(但し、N≧
1)を演算し、数6の式によって動揺角ξR 、ηR を演
算する。斯かる動揺角ξR 、ηR は周期Δt毎に演算さ
れる。
【0094】本例の動揺角推定部118は図3に示すよ
うに、動揺角速度ξR ’(N)、η R ’(N)(但し、
N≧1)を演算するための加算器118−1、118−
2、118−4、118−5と係数器118−3とを有
する。仰角ジャイロ44及び方位ジャイロ45の出力ω
Y 、ωZ は入力端子118a、118bを経由してそれ
ぞれ加算器118−1、118−2に供給され、そこで
数7の式の右辺の第1項の係数(ωY −θ1 )及び第2
項の係数(ωZ −φ1 cosθ)がぞれぞれ演算され
る。
【0095】次に係数器118−3では数7の式の右辺
の第1項及び第2項がそれぞれ演算される。次に加算器
118−4、118−5では数7の式の右辺がそれぞれ
演算される。こうして、加算器118−4、118−5
からは、動揺角速度ξR ’(N)、ηR ’(N)(但
し、N≧1)が出力される。
【0096】動揺角推定部118は更に切替器118−
6、118−7と積分器118−8、118−9とを有
する。加算器118−4、118−5の出力はそれぞれ
切替器118−6、118−7を経由して積分器118
−8、118−9に供給される。斯かる積分器118−
8、118−9にて数6の式が演算されて推定動揺角ξ
R 、ηR が求められる。斯かる推定動揺角ξR 、ηR
出力端子118A、118Bを経由してリワインド制御
器117に供給される。
【0097】次に切替器118−6、118−7の機能
を説明する。上述の演算過程はアンテナ14の仰角θが
90°(アンテナ14の中心軸線X−Xが船体面に対し
て垂直)付近の場合になされる。アンテナ14の仰角θ
が90°付近の場合には、仰角ジャイロ44及び方位ジ
ャイロ45の入力軸線は船体面に略平行となり、仰角ジ
ャイロ44及び方位ジャイロ45によって船体の動揺角
速度の正確な値が検出され、数7の式によって正確な動
揺角速度ξR ’(N)、ηR ’(N)が求められる。
【0098】しかしながら、アンテナ14の仰角θが9
0°より離れている場合には、数7の式によって求めた
動揺角速度ξR ’(N)、ηR ’(N)の代わりに初期
値ξ R ’(0)、ηR ’(0)が使用される。斯かる場
合、この初期値ξR ’(0)、ηR ’(0)が積分器1
18−8、118−9に供給される。積分器118−
8、118−9はこの初期値ξR ’(0)、ηR
(0)を使用して数6の式を演算する。
【0099】次に図4を参照して、リワインド制御器1
17の機能を説明する。図4はリワインド制御器117
の動作の流れを示す流れ図である。本例のリワインド制
御器117はリワインド動作をすべきか否かを判定しリ
ワインド角を演算しリワインド命令信号を生成する。
【0100】本例によるとリワインド動作をすべきであ
る判定するのは次の場合である。 (1)アンテナ14の方位角が所定の方位(リワインド
端)に達したとき。 (2)アンテナ14の方位角がリワインド端に達してい
ないが、アンテナ14はリワインド端に近づく方向に回
転しており、方位発信器24の出力角φが所定の値以上
であり、しかも仰角発信器34の出力角θが90°付近
のとき。
【0101】従来のリワインド制御では、(1)の場合
にのみリワインド動作をおこなっていたが、本例では
(1)の場合以外に(2)の場合にもリワインド動作を
おこなう。
【0102】ステップ117−1〜117−9(ステッ
プ117−6以外)は従来のリワインド制御に使用され
るループであり、(1)の場合に相当するステップであ
る。ステップ117−10〜117−11及びステップ
117−6は本例のリワインド制御に付加されたループ
であり、(2)の場合に相当するステップである。
【0103】先ず(1)の場合に相当するステップにつ
いて説明する。ステップ117−1にてアンテナ14の
方位角がリワインド端に達したと判定されると、ステッ
プ117−2にてリワインド角φR 、θR を演算する。
斯かるリワインド角φR 、θ R の演算は、入力端子11
7a、117bより入力された動揺角ξR 、ηR を使用
し、上述の数6の式及び数7の式によってなされる。こ
うして求められたリワインド角φR 、θR 命令信号は出
力端子117c、117dを経由して加算器115、1
16に供給される。
【0104】リワインド動作が開始されると、ステップ
117−3にてリワインド時間が計数される。ステップ
117−4にてリワインド時間が所定の規定時間に達し
た否かが判定される。リワインド時間が所定の規定時間
に達していないことが判定されると、ステップ117−
5にてリワインド切替器111、112にリワインドモ
ード信号が供給され、リワインド切替器111、112
が切り換えられる。
【0105】この規定時間は、リワインド角φR 、θR
と方位サーボモータ23及び仰角サーボモータ33によ
って得られる最大回転角速度φMAX ’、θMAX ’との比
φR/φMAX ’、θR /θMAX ’の関数として設定され
る。この規定時間はより短いほうが好ましい。
【0106】リワインド時間が所定の規定時間に達して
いないことが判定されると、同時にステップ117−6
にてゲイン調整器112、114にゲイン調整信号が供
給される。ゲイン調整器112、114の機能について
は後に詳説する。
【0107】ステップ117−4にてリワインド時間が
規定時間に達したと判定されると、リワインド動作が終
了し、ステップ117−7にてリワインド時間の計数が
リセットされる。こうして、ステップ117−8にてリ
ワインド切替器111、112は切り換えられ、ステッ
プ117−9にてアンテナ指向装置は通常の制御モード
にて作動される。
【0108】次に(2)の場合に相当するステップにつ
いて説明する。ステップ117−1にてアンテナ14の
方位角がリワインド端に達していないと判定されると、
ステップ117−10にて仰角発信器34の出力角θが
90°付近でしかも、方位発信器24の出力角φが所定
の値φ0 以上になっているか否かが判定される。この条
件は、例えば、次の数8の式によって表される。
【0109】
【数8】|θ−π/2|≦ΔθR |φ|≧φ0
【0110】この2つの式を満たすときには、ステップ
117−11にてアンテナ14の方位角がリワインド端
に近づく方向に回転しているか否かが判定される。アン
テナ14の方位角がリワインド端に近づく方向に回転し
ている場合には、ステップ117−2にてリワインド動
作が開始される。即ち、アンテナ14の方位角がリワイ
ンド端に達していない場合でもリワインド動作がなされ
る。
【0111】ステップ117−11にてアンテナ14の
方位角がリワインド端より離れる方向に回転していると
判定された場合には、ステップ117−8にてリワイン
ド切替器111、112がオフに切り換えられ、ステッ
プ117−9にて通常の制御ループが作動される。ステ
ップ117−10にて数8の式の条件が満たされていな
い場合も同様にステップ117−8を経由して通常の制
御ループが作動される。
【0112】再び図1を参照すると、リワインド制御器
117より出力されたリワインド角φR 、θR 信号は出
力端子117c、117dを経由して加算器115、1
16に供給される。加算器115では、リワインド方位
角φR が方位発信器24より出力された方位角φと比較
され、その偏差はゲイン調整器113に供給される。加
算器116では、リワインド仰角θR が仰角発信器34
より出力された方位角θと比較され、その偏差はゲイン
調整器114に供給される。
【0113】ゲイン調整器113、114はリワインド
制御ループの周波数特性を変化させるように構成されて
いる。後に詳細に説明するように、ゲインを適当に変化
させることによって、リワインド制御中に、アンテナ1
4の中心軸線X−Xの衛星方向に対する指向誤差が最小
化される。
【0114】リワインド制御ループのゲインは方位サー
ボモータ23によって得られる方位ジンバル40の回転
角速度の最大値によって決まる。従って、本例では、方
位系のゲイン調整器113のゲインは一定とし、仰角系
のゲイン調整器114のゲインを変化させるように構成
されている。
【0115】ゲイン調整器113、114の出力はそれ
ぞれリワインド切替器111、112に供給される。
【0116】次に図5を参照して本例のリワインド動作
中のアンテナ14の実際の運動状態を説明する。図5A
はリワインド動作中のアンテナ14の中心軸線X−X
(図5Aにて線OX)の軌跡を示し、図5Bはリワイン
ド動作中のアンテナ14の方位角φ(方位発信器24の
出力)の変化を示し、図5Cはリワインド動作中のアン
テナ14の仰角θ(仰角発信器34の出力)の変化を示
し、図5Dはリワインド動作中に衛星方向に対するアン
テナ14の中心軸線X−Xの偏倚、即ち指向誤差の変化
を示す。
【0117】リワインド制御には、アンテナ14(方位
ジンバル40)を方位軸線Z−Z周りに360°巻き戻
す2πリワインド法と180°巻き戻すπリワインド法
とがある。図5A〜図5Dにおいて、実線は2πリワイ
ンド法の結果を表し、破線はπリワインド法の結果を表
す。
【0118】図5Aにおいて、中心をOとする半径1の
単位球面を考える。図示のようにアンテナ指向装置の取
り付け面に平行な面を船体面と称する。船体が動揺して
いないときには斯かる船体面は水平面となる。
【0119】アンテナ14の仰角軸線Y−Y上にて単位
球面と交差する点をYとする。アンテナ14の仰角軸線
Y−Yは船体面に常に平行だから線OYは船体面上にあ
る。線OYが赤道と交わる単位球面上の点をaとし、更
に、赤道上に沿って中心角(経度)90°毎に順に点
b、c、dをとる。アンテナ14の方位軸線Z−Zは船
体面に常に垂直である。
【0120】線OYが線Odに沿って配置されている場
合にアンテナ14は基準方位にあり、線OYが線Oaに
配置されている場合にアンテナ14はリワインド端にあ
るものとする。線Oaは線Odに対して例えば270°
偏倚した位置にある。従って、図5Aに示す状態では、
アンテナ14の仰角軸線Y−Yはリワインド端に達し、
リワインド動作が開始される状態にある。
【0121】アンテナ14の中心軸線X−Xが単位球面
と交差する点をXとし、その単位球面上の点をAとす
る。アンテナ14の中心軸線X−Xは仰角軸線Y−Yに
常に垂直だから、斯かる線OXは線OYに垂直である。
アンテナ14の仰角をθA (=80°)とすると、線O
Xは船体面に対して角度θA =80°だけ傾斜してい
る。アンテナ14の中心軸線X−Xが衛星方向を指向し
ているとすれば、衛星高度角はθS =80°ある。
【0122】2πリワインド法の場合、アンテナ14は
方位軸線Z−Z周りに360°回転する。このとき、ア
ンテナ14の仰角軸線Y−Y上の点Yは赤道に沿って点
aから点b、点c、点dを経て点aに戻る。即ち、線O
Yは線Oaから線Ob、線Oc、線Odを経て線Oaに
戻る。
【0123】アンテナ14の中心軸線X−X上の点Xは
点Aから点B、点C、点Dを経て点Aに戻る、即ち、点
Xは単位球面上にて円を描く。線OXは線OAから線O
B、線OC、線ODを経て線OAに戻る、即ち、線OX
は円錐を描く。
【0124】πリワインド法の場合、アンテナ14は方
位軸線Z−Z周りに180°回転する。それによって、
アンテナ14の仰角軸線Y−Y上の点Yは赤道に沿って
点aから点bを経て点cに移動する。即ち、線OYは線
Oaから線Obを経て線Ocに移動する。
【0125】このとき、アンテナ14が仰角軸線Y−Y
周りに回転しないなら2πリワインド法の場合と同様
に、アンテナ14の中心軸線X−X上の点Xは点Aから
点Bを経て点Cに移動をするが、πリワインド法では同
時にアンテナ14は仰角軸線Y−Y周りに回転するか
ら、アンテナ14の中心軸線X−X上の点Xは点Aから
点B’を経て点Aに戻る。即ち、点Xは単位球面上にて
より小さな閉曲線(例えば円、楕円)を描く。線OXは
線OAから線OB’を経て線OAに戻る、即ち、線OX
はより小さな円錐を描く。
【0126】リワインド動作中のアンテナ14の方位角
φ(アンテナ14の方位が船体の基準方位となす角)及
び仰角θ(アンテナ14の中心軸線X−Xが船体面とな
す角)は図5B及び図5Cに示されている。図5Bに示
すように、リワインド動作によってアンテナ14の方位
角φは減少し、2πリワインドモードでは線OYが線O
d上に来たときに方位角φ=0となる。πリワインドモ
ードでは線OYが線Oc上に来たときに停止する。
【0127】図5Cに示すように、2πリワインドモー
ドではリワインド動作中にアンテナ14は仰角軸線Y−
Y周りに巻き戻しされない。リワインド動作によってア
ンテナ14の方位は元の位置に戻るから、リワインド開
始時と終了後ではアンテナ14の仰角θは変化しない。
したがって、仰角軸線Y−Y周りの巻き戻しは必要な
い。
【0128】しかしながら、πリワインドモードではア
ンテナ14は仰角軸線Y−Y周りに巻き戻しする必要が
ある。リワインド動作によってアンテナ14の方位は元
の位置に戻らないから、リワインド開始時と終了後では
アンテナ14の仰角θは変化している。例えば、リワイ
ンド開始時のアンテナ14の仰角θ0 =80°の場合、
リワインド終了後にはアンテナ14の仰角はθ=100
°となっている。従って、Δθ=100°−80°=2
0°だけ、アンテナ14は仰角軸線Y−Y周りに巻き戻
しする必要がある。
【0129】図5Dはリワインド動作中のアンテナ14
の中心軸線X−Xの衛星に対する指向誤差を示す。斯か
る指向誤差は図5Aにて線OXが線OAとなす角として
求められる。従って、点Xの描く円又は閉曲線の半径が
小さいほうが指向誤差は小さい。2πリワインド法とπ
リワインド法の両者も、アンテナ14の仰角θ0 が90
°近くになると指向誤差が小さくなることがわかる。
【0130】図5Dに示すように、2πリワインドモー
ドではリワインド動作中にアンテナ14は仰角軸線Y−
Y周りに巻き戻しされないから、指向誤差は大きい。π
リワインドモードではリワインド動作中にアンテナ14
は仰角軸線Y−Y周りに巻き戻しされるから、指向誤差
は小さい。
【0131】2πリワインド法では指向誤差が最大とな
るのは、線OYが線Ocの上に来た時(方位角φ=90
°)であり、斯かる指向誤差の最大値Ω1 は次のように
表される。
【0132】
【数9】Ω1 =2×(90°−θ0
【0133】ここで、πリワインド法における指向誤差
の発生機構と斯かる指向誤差の最小化について考察す
る。上述のように、πリワインド法ではリワインド動作
は、アンテナ14の方位軸線Z−Z周りの巻き戻し(即
ち方位シンバル40の方位軸線Z−Z周りの回転)とア
ンテナの仰角軸線Y−Y周りの巻き戻しを含む。アンテ
ナ14の仰角軸線Y−Y周りの巻き戻しは、方位軸線Z
−Z周りの巻き戻しと別個になされてよいが、好ましく
は、関連してなされる。アンテナ14の仰角軸線Y−Y
周りの巻き戻しを、方位軸線Y−Y周りに巻き戻しに関
連させることによって、指向誤差が最小化される。
【0134】指向誤差を最小化するには、図5Aに示す
ように、アンテナ14の仰角軸線Y−Y周りの巻き戻し
は方位軸線Z−Z周りに巻き戻し中に即ちリワインド動
作中になされる。即ち、アンテナ14の仰角軸線Y−Y
周りの巻き戻しは、リワインド動作開始と同時に開始さ
れリワインド動作終了と同時に終了するようになされ
る。
【0135】図5Aより明らかに、リワインド端でのア
ンテナ14の仰角をθ0 とすると、πリワインド法では
指向誤差を90°−θ0 より小さくすることはできな
い。即ち、指向誤差の最小値は次の式によって表され
る。
【0136】
【数10】Ω2 =90°−θ0
【0137】例えば、方位サーボモータ23の最大回転
角速度を180°/s、仰角サーボモータ33の最大回
転角速度を100°/sとし、方位角がφ=270°且
つ仰角がθ=80°のときにπリワインド法によってリ
ワインド制御した場合を考える。
【0138】上述の例では、アンテナ14は方位軸線Z
─Z周りに180°回転する間に仰角軸線Y─Y周りに
20°回転するように制御される。方位サーボモータ2
3によってアンテナ14を方位軸線Z─Z周りに180
°回転させるには1.0秒必要であるが、アンテナ14
を仰角軸線Y─Y周りに20°回転させるには0.2秒
でよい。仰角軸線Y─Y周りのリワインド時間は方位軸
線Z─Z周りのリワインド時間の1/5である。
【0139】従って、仰角軸線Y─Y周りのリワインド
動作を方位軸線Z─Z周りのリワインド動作に同期させ
るためには、リワインド動作中にリワインド制御ループ
のゲインを調節すればよい。
【0140】ゲイン調整器113、114は、πリワイ
ンド法において指向誤差が最小になるように、リワイン
ド制御ループのゲインを調節するように構成されてい
る。指向誤差を最小にするには、アンテナ14の方位軸
線Z−Z周りの巻き戻し回転角速度に対して、アンテナ
14の仰角軸線Y−Y周りの巻き戻し回転角速度を調節
することによって達成される。
【0141】次に2πリワインド法及びπリワインド法
のリワインド制御において、指向誤差を最小化する方法
について説明する。数9の式及び数10の式より明らか
なように、指向誤差を最小化するためには、リワインド
動作を開始する時の仰角の値が90°に近いほどよい。
【0142】従来のリワインド制御ではアンテナ14の
方位がリワインド端に達したときにリワインド動作を開
始していたから、リワインド端におけるアンテナ14の
仰角θ0 が90°に近いほど指向誤差は小さくなる。し
かしながら、リワインド端におけるアンテナ14の仰角
θ0 が90°より離れると数9の式及び数10の式によ
って表される指向誤差が生ずる。
【0143】従って、指向誤差を最小化するためには、
アンテナ14の方位がリワインド端に達していない場合
でも、アンテナ14の仰角θが90°近くなったときに
積極的にリワインド動作をすればよい。
【0144】本例によると、図4のステップ117−1
0に示すように、アンテナ14の仰角θが90°近くの
場合であって且つアンテナ14の方位角θがリワインド
端に近づいている場合には、リワインド端に達する前に
リワインド動作がなされる。しかしながら、アンテナ1
4の仰角θが小さいときは、数9及び数10の式に示す
ように、リワインド動作によって指向誤差が大きくなる
から、斯かるリワインド動作は実行されない。
【0145】図6は本発明によるπリワインド法による
指向誤差の結果を示す。この例では、衛星方位がφS
0°、衛星高度角がθS =80°のとき、船体が正弦波
のピッチ及びロール運動をしている場合を想定してい
る。図6Aは船体の動揺角の変化を示し、図6Bは方位
角φ及び仰角θの変化を示し、図6Cは指向誤差Ωの値
の変化を示す。これらの図にて、従来の例の結果は実線
(I)で示し本例の結果は破線(II)で示し、重複す
る部分は実線(I)のみで示した。
【0146】図6Aに示すように、ロールの振幅を±3
0°、周期を8秒とし、ピッチの振幅を±15°、周期
を6秒とする。図6Bの下側のグラフに示すように、従
来例ではリワインド端φ=φ3 にてリワインド動作が開
始し方位角φ=φ4 にて終了する。一方、本例ではリワ
インド端に達する前の方位角φ=φ1 にてリワインド動
作が開始し、方位角φ=φ5 にて終了する。
【0147】図6Bの上側のグラフにて示すように、本
例にてリワインド動作が開始する時のアンテナ14の仰
角θ=θ1 は90°に近い。従って、図6Cに示すよう
に、指向誤差Ωは小さい。しかしながら、従来例ではア
ンテナ14の仰角θ=θ3 が90°より離れた時にリワ
インド動作が開始するから、指向誤差は大きい。
【0148】この例に示すように、本例のπリワインド
法によるとアンテナ14の方位がリワインド端に達する
前にリワインド動作が開始するから、指向誤差を最小化
することができる。
【0149】以上本発明の実施例について詳細に説明し
てきたが、本発明は上述の実施例に限ることなく本発明
の要旨を逸脱することなく他の種々の構成が採り得るこ
とは当業者にとって容易に理解されよう。
【0150】
【発明の効果】本発明によれば、リワインド動作中は動
揺角推定部118にて船体の推定動揺角ξR 、ηR が演
算され、斯かる推定動揺角ξR 、ηR はリワインド制御
器117に供給され、リワインド制御器117によって
リワインド動作中の設定方位角φR 及び設定仰角θR
演算されるように構成されており、リワインド動作中に
船体が動揺してもリワインド終了時に迅速にアンテナ1
4を衛星方向に指向させることができる利点がある。
【0151】本発明によれば、アンテナ14の仰角θが
90°近くの場合には、アンテナ14の方位角φがリワ
インド端に達していない場合でも、リワインド動作を実
施するから、リワインド動作に起因する指向誤差を最小
化することができる利点がある。
【0152】本発明によれば、方位サーボモータ23及
び仰角サーボモータ33の回転角速度を調節するための
ゲイン調整器113、114が設けられており、それに
よってπリワインド法において方位軸線Z−Z周りの巻
き戻しと仰角軸線Y−Y周りの巻き戻しが同期されるか
ら、リワインド動作中の指向誤差を最小化することがで
きる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアンテナ指向装置の例を示す図であ
る。
【図2】単位球面上におけるアンテナ指向装置の動作を
説明する説明図である。
【図3】動揺角推定部の構成を示す図である。
【図4】リワインド制御器の機能を説明する説明図であ
る。
【図5】本発明のアンテナ指向装置のリワインド機構の
動作を説明する図である。
【図6】本発明のアンテナ指向装置のリワインド機構の
性能を示す図である。
【図7】従来のアンテナ指向装置の例を示す図である。
【符号の説明】
3 基台 3−1 ブリッジ部 11 円筒部 13 アーム 14 アンテナ 20 方位軸 21−1、21−2 軸受 22 方位歯車 23 方位サーボモータ 24 方位発信器 30−1、30−2 仰角軸 32 仰角歯車 33 仰角サーボモータ 34 仰角発信器 35 ピニオン 40 方位ジンバル 40−1 支持軸部 40−2 U字形部 41 取り付け金具 41−1、41−2 脚部 44 仰角ジャイロ 45 方位ジャイロ 46 第1の加速度計 47 第2の加速度計 48 第3の加速度計 54 (仰角制御)積分器 55 増幅器 56 減衰器 58 (方位角制御)積分器 59 増幅器 60 減衰器 61 加算器 70 ケーブル 76 secθ演算部 81 アンテナ仰角演算部 93 傾斜補正演算部 94 動揺角演算部 111、112 リワインド切替器 113、114 ゲイン調整器 115、116 加算器 117 リワインド制御器 118 動揺角推定部 X−X アンテナ中心軸線 Y−Y 仰角軸線 Z−Z 方位軸線

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心軸線を有し支持部材に支持されたア
    ンテナと、該アンテナ及び上記支持部材を上記中心軸線
    に直交する仰角軸線周りに回転可能に支持する方位ジン
    バルと、該方位ジンバルを上記仰角軸線に直交する方位
    軸線周りに回転可能に支持する基台と、上記仰角軸線に
    平行な入力軸線を有し上記支持部材に固定された第1の
    ジャイロと、上記中心軸線と仰角軸線の両者に直交する
    入力軸線を有し上記支持部材に固定された第2のジャイ
    ロと、水平面に対する上記中心軸線の傾斜角を指示する
    信号を出力する第1の加速度計と、水平面に対する上記
    仰角軸線の傾斜角を指示する信号を出力する第2の加速
    度計と、上記アンテナの中心軸線と仰角軸線の両者に直
    交する入力軸線を有する第3の加速度計と、上記方位ジ
    ンバルの上記方位軸線周りの回転角を指示する信号を出
    力する方位発信器と、上記方位ジンバルに対する上記仰
    角軸線周りの上記アンテナの回転角を指示する信号を出
    力する仰角発信器と、上記第2の加速度計の出力信号と
    上記第3の加速度計の出力信号と上記仰角発信器の出力
    信号とを入力して傾斜補正値を演算する傾斜補正演算部
    と、を有し、上記加速度計の出力信号から衛星の高度角
    に対応した値を減じた信号を第1のジャイロの実質的な
    トルカにフィードバックし、上記方位発信器の出力信号
    と船首方位角及び衛星方位角に対応した信号と上記傾斜
    補正演算部より出力された傾斜補正値ΔφA を指示する
    信号とを加算器にて演算しその出力信号を第2のジャイ
    ロの実質的なトルカにフィードバックして上記アンテナ
    の中心軸線を上記衛星に指向させるように構成されたア
    ンテナ指向装置において、 上記アンテナの方位が所定位置になったとき上記アンテ
    ナを上記方位軸線周りに巻き戻し回転させるための方位
    系制御ループと上記アンテナを上記仰角軸線周りに巻き
    戻し回転させるための仰角制御系ループとを有し上記ア
    ンテナのケーブルの巻き付きを防止するためのリワイン
    ド装置と、 上記傾斜補正演算部より供給された傾斜補正値と衛星高
    度角と上記仰角発信器より供給された上記仰角軸線周り
    の上記アンテナの回転角とよりアンテナ指向装置の取り
    付け面の動揺角を演算する動揺角演算部と、 該動揺角演算部より供給された動揺角と上記第1のジャ
    イロ及び第2のジャイロの出力信号とを入力してリワイ
    ンド動作中の動揺角を推定する動揺角推定部と、を具
    え、 上記リワインド装置の方位系制御ループは、上記動揺角
    推定部より供給された推定動揺角信号を入力して上記方
    位軸線周りの巻き戻し回転角と上記仰角軸線周りの巻き
    戻し回転角とを演算して出力するリワインド制御器と、
    該リワインド制御器より供給された上記方位軸線周りの
    巻き戻し回転角と上記方位発信器の出力信号とを比較す
    る第1のリワインド加算器と、該第1のリワインド加算
    器の出力信号を入力して制御ループのゲインを調節する
    第1のゲイン調整器と、該第1のゲイン調整器の出力信
    号と上記第2のジャイロの実質的なトルカの出力信号と
    を入力しリワインド動作中には上記第1のゲイン調整器
    の出力信号を出力しリワインド動作中以外は上記第2の
    ジャイロの実質的なトルカの出力信号を出力する第1の
    リワインド切替器とを有し、 上記リワインド装置の仰角系制御ループは、上記リワイ
    ンド制御器より供給された上記仰角軸線周りの巻き戻し
    回転角と上記仰角発信器の出力信号とを比較する第2の
    リワインド加算器と、該第2のリワインド加算器の出力
    信号を入力して制御ループのゲインを調節する第2のゲ
    イン調整器と、該第2のゲイン調整器の出力信号と上記
    第1のジャイロの実質的なトルカの出力信号とを入力し
    リワインド動作中には上記第2のゲイン調整器の出力信
    号を出力しリワインド動作中以外は上記第1のジャイロ
    の実質的なトルカの出力信号を出力する第2のリワイン
    ド切替器とを有するように構成したことを特徴とするア
    ンテナ指向装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のアンテナ指向装置におい
    て、上記動揺角演算部は次式によってアンテナ指向装置
    の取り付け面の動揺角を演算することを特徴とするアン
    テナ指向装置。 η=tan-1(sinΔφA /tanθ) θS −ξ=tan-1(tanΔφA /sinη) 但し、η、ξ:取り付け面の動揺角 ΔφA :傾斜補正値 θ:仰角発信器の出力信号 θS :衛星高度角
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のアンテナ指向装置
    において、上記リワインド制御器は上記方位発信器及び
    上記仰角発信器の出力を入力し、上記アンテナの中心軸
    線が上記方位軸線と略一致した時に且つ上記アンテナの
    方位角が所定のリワインド設定角に近づいている時にリ
    ワインド動作を開始するべく命令信号を出力するように
    構成されていることを特徴とするアンテナ指向装置。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載のアンテナ指向
    装置において、 上記動揺角推定部は動揺角演算部より供給された動揺角
    と上記第1のジャイロ及び第2のジャイロの出力信号よ
    り演算した動揺角速度とを用いてリワインド動作中の動
    揺角を推定することを特徴とするアンテナ指向装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100968033B1 (ko) * 2003-01-30 2010-07-07 주식회사 케이티 위성 안테나 시스템의 자세 제어를 위한 경사각 보정 장치
KR20180016605A (ko) * 2015-06-23 2018-02-14 트라네 앤드 트라네 아/에스 회전 가능한 안테나를 구비한 차량/선박/항공기

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