JPH07249918A - アンテナ指向装置 - Google Patents

アンテナ指向装置

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Publication number
JPH07249918A
JPH07249918A JP3723994A JP3723994A JPH07249918A JP H07249918 A JPH07249918 A JP H07249918A JP 3723994 A JP3723994 A JP 3723994A JP 3723994 A JP3723994 A JP 3723994A JP H07249918 A JPH07249918 A JP H07249918A
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JP
Japan
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axis
antenna
elevation
azimuth
angle
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Ceased
Application number
JP3723994A
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English (en)
Inventor
Takao Murakoshi
尊雄 村越
Takeshi Hojo
武 北條
Tsurashi Yamamoto
貫志 山本
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Tokimec Inc
Original Assignee
Tokimec Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アンテナを正確に且つ迅速に衛星方向に指向
させることができるアンテナ指向装置を提供することを
目的とする。 【構成】 仰角制御ループ及び方位角制御ループに重畳
してステップトラック制御が設けられ、斯かるステップ
トラック制御は仰角制御ループ及び方位角制御ループに
よる制御を補正するために又は補完するために機能す
る。ジャイロドリフト演算部84は、仰角軸制御ループ
に供給するYジャイロより出力された回転角速度信号を
補正する仰角系のドリフト補正信号と方位軸制御ループ
に供給するZジャイロより出力された回転角速度信号を
補正する方位軸系のドリフト補正信号とを生成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は海事衛星通信等に使用し
て好適なアンテナを衛星方向へ指向させるためのアンテ
ナ指向装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図5は従来のアンテナ指向装置の例を示
し、本願出願人と同一の出願人によって平成5年1月9
日に出願された特願平5−2581号(T920024
5)に開示されたものである。
【0003】このアンテナ指向装置は基本的に方位−仰
角系と称され、アンテナ14と斯かるアンテナ14を2
つの軸線周りに回転可能に支持する支持装置とを有す
る。斯かる支持装置はアンテナ14の中心軸線XA −X
A に直交する仰角軸線Y−Yと斯かる仰角軸線Y−Yに
直交する方位軸線Z−Zとを有する。方位軸線Z−Zは
航行体の取り付け面(船体面)に垂直であり、仰角軸線
Y−Yは航行体の取り付け面(船体面)に平行である。
【0004】支持装置は基台3と斯かる基台3のブリッ
ジ部3−1に装着された方位ジンバル41と方位ジンバ
ル41の上端部のU字形部材41−2に装着された取り
付け金具31とを有し、斯かる取り付け金具31にアン
テナ14が取り付けられている。
【0005】基台3はブリッジ部3−1を有してよく、
斯かるブリッジ部3−1には上方に突出する円筒部11
が装着されており、斯かる円筒部11の内部には1対の
軸受40A、40Bが取り付けられている。この軸受4
0A、40Bの内輪には方位軸40が嵌合されており、
方位軸40の上端部にはアーム13を介して方位ジンバ
ル41が装着されている。
【0006】斯くして方位軸40が軸受40A、40B
によって支持された状態にて、方位ジンバル41は方位
軸40を通る軸線周りに回転することができる。方位ジ
ンバル41は下側の支持軸部41−1と上側のU字形部
41−2とを有し、支持軸部41−1の中心軸線は方位
軸40の中心軸線より偏倚している。支持軸部41−1
の中心軸線は方位軸線Z−Zを構成している。
【0007】方位ジンバル41のU字形部41−2に
は、より小さいU字形の取り付け金具31が配置されて
おり、斯かる取り付け金具31はその2つの脚部31−
1、31−2の各々に仰角軸30−1、30−2を有す
る。方位ジンバル41のU字形部41−2の2つの脚部
の各々には適当な軸受が装着されており、斯かる軸受に
よって仰角軸30−1、30−2は回転可能に支持され
ている。
【0008】仰角軸30−1、30−2の中心軸線は仰
角軸線Y−Yを構成しており、こうして、取り付け金具
31は方位ジンバル41のU字形部41−2の2つの脚
部の間にて仰角軸線Y−Y周りに回転可能に支持されて
いる。
【0009】U字形の取り付け金具31の脚部31−
1、31−2にはアンテナ14が装着されており、従っ
てアンテナ14は取り付け金具31と共に仰角軸線Y−
Y周りに回転することができる。
【0010】取り付け金具31の一方の脚部には仰角軸
線Y−Yと同軸的に仰角歯車32が装着されている。斯
かる仰角歯車32にはピニオン33−1が噛み合わされ
ており、斯かるピニオン33−1は方位ジンバル41の
U字形部41−2の一方の脚部に装着された仰角サーボ
モータ33の回転軸に取り付けられている。
【0011】方位ジンバル41のU字形部41−2の一
方の脚部には仰角発信器34が装着されており、斯かる
仰角発信器34によってアンテナ14の仰角軸線Y−Y
周りの回転角度θが検出されそれを指示する信号が出力
される。
【0012】一方、方位軸40の下端部には方位歯車4
2が取り付けられ、基台3のブリッジ部3−1上には方
位サーボモータ43と方位発信器44が取り付けられ、
方位サーボモータ43及び方位発信器44の回転軸にそ
れぞれ取り付けられたピニオン(図示なし)が方位歯車
42に噛み合わされるように構成されている。
【0013】取り付け金具31には、仰角ジャイロ57
と方位ジャイロ58とが装着されている。仰角ジャイロ
57によって仰角軸線Y−Y周りを回転するアンテナ1
4の回転角速度が検出され、方位ジャイロ58によって
仰角軸線Y−Y及びアンテナ14の中心軸線XA −XA
の双方に直交する軸線周りのアンテナ14の回転角速度
が検出される。
【0014】仰角ジャイロ57と方位ジャイロ58は、
例えば機械式ジャイロ、光学式ジャイロ等の積分型ジャ
イロの他、振動ジャイロ、レートジャイロ、光ファイバ
ジャイロ等の角速度検出型ジャイロであってよい。
【0015】取り付け金具31には、更に、第1の加速
度計66、第2の加速度計67及び第3の加速度計68
が装着されている。第1の加速度計66によって仰角軸
線Y−Y周りのアンテナ14の中心軸線XA −XA の傾
斜角度が検出され、第2の加速度計67によってアンテ
ナ14の中心軸線XA −XA 周りの傾斜角度が検出され
る。
【0016】第3の加速度計68は第1の加速度計66
及び第2の加速度計67の双方に直交するように装着さ
れる、即ち、第1の加速度計66の入力軸線及び第2の
加速度計67の入力軸線の双方に直交する入力軸線を有
するように取り付けられる。こうして、第3の加速度計
68はアンテナ14の中心軸線XA −XA 及び仰角軸線
Y−Yの双方に直交する軸線の水平面に対する傾斜角度
を検出する。
【0017】図示のように、アンテナ14を制御するた
めに仰角軸制御ループと方位軸制御ループが設けられて
いる。尚、アンテナ14の中心軸線XA −XA が水平面
となす角をアンテナの仰角θA とし、アンテナ14の中
心軸線XA −XA が水平面上で子午線Nとなす角をアン
テナの方位角φA とする。
【0018】方位軸制御ループはアンテナ14の方位角
φA が衛星方位角φS に一致するように方位ジンバル4
1(アンテナ14)の方位を制御するように構成されて
おり、速い制御ループ、即ち、方位角安定化ループと遅
い制御ループ、即ち、方位角拘束ループとを含む。
【0019】速い制御ループ、即ち、方位角安定化ルー
プは方位ジャイロ58と積分器47と増幅器46と方位
サーボモータ43とを含み、それによってアンテナ14
は、アンテナ14の中心軸線XA −XA 及び仰角軸線Y
−Yの両者に直交する軸線周りの船体の回転運動に対し
て、安定化されることができる。
【0020】遅い制御ループ、即ち、方位角拘束ループ
は方位発信器44と加算器49と減衰器48と積分器4
7と増幅器46と方位サーボモータ43とを含む。加算
器49は船首方位角φC と方位発信器44より出力され
たアンテナ14の回転角φと傾斜補正演算部80より出
力された傾斜補正値ΔφA との和より衛星方位角φS
減算しその偏差角を出力する。加算器49より出力され
る偏差角がゼロとなるとき、即ち、アンテナの回転角φ
と船首方位角φC と傾斜補正値ΔφA との和が衛星方位
角φS に等しくなるとき、アンテナ14の方位は静止す
る。
【0021】仰角軸制御ループはアンテナの仰角θA
衛星高度角θS に一致するようにアンテナ14を仰角軸
線Y−Y周りに回転させるよう構成されており、速い制
御ループ、即ち、仰角安定化ループと遅い制御ループ、
即ち、仰角拘束ループとを含む。速い制御ループ、即
ち、仰角安定化ループにおいて、仰角ジャイロ57の出
力は積分器37及び増幅器36を介して仰角サーボモー
タ33にフィードバックされる。それによって船体が揺
動しても慣性空間に対するアンテナ14の仰角軸線Y−
Y周りの角速度は常にゼロに保持される。
【0022】遅い制御ループ、即ち、仰角拘束ループは
アンテナ仰角演算部81と加算器39と減衰器38と積
分器37と増幅器36と仰角サーボモータ33とを含
む。アンテナ仰角演算部81によって求められたアンテ
ナ14の仰角θA は、加算器39にて例えば手動設定さ
れた衛星高度角θS を指示する信号によって減ぜられ、
その偏差角が出力される。
【0023】加算器39より出力された偏差角信号がゼ
ロになるとき、即ち、アンテナの仰角θA が衛星高度角
θS に等しくなるとき、アンテナ14の仰角軸線Y−Y
周りの回転運動は静止する。
【0024】このループは、アンテナ14の仰角θA
衛星高度角θS に一致させるための適当な時定数を有す
る。尚、減衰器38に仰角ジャイロ57のドリフト変動
を補償させるために積分特性を具備させることも可能で
ある。
【0025】こうして、仰角軸制御ループと方位軸制御
ループとによってアンテナ14はその中心軸線XA −X
A が衛星方向に指向するように構成されている。
【0026】アンテナ仰角演算部81は第1の、第2の
及び第3の加速度計66、67、68からなる互いに直
交する3軸の加速度計の出力信号を入力し、アンテナ1
4の仰角θA 、即ち、水平面に対するアンテナ14の中
心軸線XA −XA の傾斜角を演算する。斯かる演算はア
ンテナ14の仰角θA の正接よりアークタンジェント演
算を行い、それによってアンテナ14の仰角θA の値及
びその象限を求めることを含む。
【0027】図6を参照してアンテナ仰角演算部81及
び傾斜補正演算部93の機能と動作を説明する。尚、ア
ンテナ仰角演算部81の詳細は本願出願人と同一の出願
人によって平成4年12月28日に出願された特願平4
−348745号(T9200241)を参照された
い。また、傾斜補正演算部93の詳細は本願出願人と同
一の出願人によって平成5年1月9日に出願された特願
平5−2581号(T9200245)を参照された
い。
【0028】図6は半径1の単位球面を考え、斯かる単
位球面とアンテナ14の中心軸線X−X(図6にて線分
OX)、仰角軸線Y−Y(図6にて線分OY、O
Y’)、方位軸線Z−Z(図6にて線分OZ、O
Z’)、及びアンテナ14の中心軸線X−Xと仰角軸線
Y−Yの双方に直交する軸線(図6にて線分OP、O
P’)、の関係を示す図である。方位軸線Z−Zは船体
面(アンテナ14の取り付け面)に常に垂直である。
【0029】船体面が水平面に対して仰角軸線Y−Y
(OY)周りに回転角度ξだけ回転し、更に他の軸線例
えば船体の首尾線OE周りに回転角度ηだけ回転したも
のとする。方位軸線Z−Zは線OZから線OZ’に移動
し、仰角軸線Y−Yは線OYから線ODに移動する。
【0030】斯かる船体面の運動によって、アンテナ1
4の中心軸線X−Xも移動するが、制御ループによって
アンテナ14の中心軸線X−Xは衛星方向を指向するよ
うに制御される。即ち、アンテナ14の中心軸線X−X
は線OXから偏倚した位置に移動し再び線OXまで移動
する。
【0031】斯かる制御によって、仰角軸線Y−Yは方
位軸線OZ’周りに回転角ΔφA だけ回転し線ODから
線OY’に移動する。尚、∠XOY’=90°である。
また、アンテナ14の中心軸線X−Xと仰角軸線Y−Y
の双方に直交する線OPは、線OP’に移動する。結
局、線OYは線ODを経由して線OY’に移動したこと
になり、∠POP’=∠Y’OY及び弧PP’=弧Y’
Yである。
【0032】線OX、線OY及び線OPは互いに直交す
る長さ1の線であり、三角形XYPは1辺がπ/2の等
辺球面三角形となる。線OX、線OY’及び線OP’も
互いに直交する長さ1の線であり、三角形XY’P’は
1辺がπ/2の等辺球面三角形となる。単位球面上にて
点Xと点P及び点P’を直線で結ぶ。弧XPは点Aにて
水平面と直交し、更に点Pにて面OY’P’と直交す
る。弧XP’は点Cにて船体面(取り付け面)と直交
し、更に点P’にて面OY’P’と直交する。点P’か
ら水平面に下ろした垂線の足をA’とし、点Y’から水
平面に下ろした垂線の足をB’とする。
【0033】ここで、∠XOA=θ0 =弧XA、∠PO
A=θP0=弧PA、∠BOD=η=弧BD、∠XOC=
θ=弧XC、∠P’OA’=θP =弧P’A’、∠Y’
OB’=x=弧Y’B’である。
【0034】第1の加速度計66は線OXに沿って装着
され、第2の加速度計67は線OYに沿って装着され、
第3の加速度計68は線OPに沿って装着されている。
船体面が水平面と同一であるとき、第1の加速度計66
によってsin∠XOA=sinθ0 が検出され第2の
加速度計67によってsin∠YOB=sin0=0が
検出され、第3の加速度計68によってsin∠POA
=sinθP0が検出される。仰角発信器34によって船
体面に対するアンテナ14の中心軸線X−Xの傾斜角∠
XOA=θ0 が出力される。
【0035】また、∠XOP=90°だから∠POA=
∠XOA−∠XOP=θ0 −90°である。従って、第
3の加速度計48によってsin∠POA=sin(θ
0 −90°)=−cosθ0 が検出される。ここで水平
面に対して衛星の高度角θS方向に正の角度をとり、そ
れと反対方向に負の角度をとった。
【0036】第1の加速度計66によって検出される値
sinθ0 と第3の加速度計68によって検出される値
sin(θ0 −90°)=−cosθ0 との関係は次の
式によって表される。
【0037】
【数1】tanθ0 =sinθ0 /cosθ0 =−sinθ0 /sin(θ0 −90°) =−sinθ0 /sin∠POA
【0038】船体面が水平面に対して仰角軸線Y−Y
(OY)周りに回転角度ξだけ回転し、更に船体の首尾
線OE周りに回転角度ηだけ回転すると、仰角発信器3
4によって船体面に対するアンテナ14の中心軸線X−
Xの傾斜角∠XOC=θが出力され、第2の加速度計4
7によってsin∠Y’OB’=sinxが検出され、
第3の加速度計48によってsin∠P’OA’=si
nθP が検出される。
【0039】尚、衛星の高度角θS (=θA とする。)
は船体面の運動に無関係だから、第1の加速度計46に
よって検出される値sin∠XOA=sinθ0 は変化
しない。従って、sin∠XOA=sinθ0 =sin
θA である。
【0040】先ず、アンテナ仰角演算部81によってア
ンテナの仰角θA を求める方法を説明する。
【0041】線OPと線OP’のなす角をεとする。即
ち、∠POP’=∠Y’OY=εとする。但し、
【0042】
【数2】 tanε=sin∠Y’OB’/sin∠P’OA’
【0043】である。△A’YP’と△B’YY’に球
面三角法の正弦定理を適用すれば、
【0044】
【数3】 sin∠AYP=sin∠Y’OB’/sinε =sin∠P’OA’/cosε =sin∠POA
【0045】となる。従って、次の2つの式が求められ
る。
【0046】
【数4】 sin∠Y’OB’=sin∠POA・sinε sin∠P’OA’=sin∠POA・cosε
【0047】ここで次のように置き換える。
【0048】
【数5】g1 =g0 sinθA2 =g0 sin∠Y’OB’ g3 =g0 sin∠P’OA’
【0049】即ち、重力加速度をg0 とし、第1の加速
度計66の出力信号をg1 とし、第2の加速度計67の
出力信号をg2 とし、第3の加速度計68の出力信号を
3とする。これらを数4の式に代入し、それぞれsi
nε、cosεを乗じて、sin∠POAについて解け
ば、次の式が求められる。
【0050】
【数6】sin∠POA=(g2 /g0 )sinε+
(g3 /g0 )cosε
【0051】これを数1の式の分母に代入し、数5の式
の第1式を数1の式の分子に代入すると、次の数7の式
が求められる。
【0052】
【数7】 tanθA =−g1 /(g2 sinε+g3 cosε) tanε=g2 /g3
【0053】こうして、本例では数7の式によってアン
テナ14の仰角θA のタンジェントの値が求められ、そ
の値のアークタンジェントの値を求めることによってア
ンテナ14の仰角θA が得られる。数7の第1の式の右
辺は正負の値をとるから、仰角θA の象限を第4象限ま
で判定することができる。
【0054】次に、傾斜補正演算部93によって傾斜補
正値ΔφA を求める方法を説明する。ΔφA =弧EC=
弧DY’である。球面三角法の定理を適用すれば、次の
数8の式が求められる。
【0055】
【数8】sinΔφA =tanη・tanθ sinx=sinη・cosθS /cosθ sin2 x+sin2 θP =cos2 θS
【0056】この数8の式の第1式及び第2式よりηを
消去してΔφA を求めると、次の数9の式が得られる。
【0057】
【数9】tanΔφA =sinθ・sinx/√(si
2 θS −sin2 x)
【0058】この式の右辺を数8の式の第3式を使用し
て変形すると、次の数10の式が得られる。
【0059】
【数10】 tanΔφA =sinθ・sinx/sinθP
【0060】この数10の式が本例の傾斜補正式とな
る。上述のように、船体面に対するアンテナ14の中心
軸線X−Xの傾斜角θは仰角発信器34より得られ、水
平面に対する仰角軸線Y−Yの傾斜角xの正弦値sin
xは第2の加速度計47より得られ、アンテナ14の中
心軸線X−X及び仰角軸線Y−Yの双方に直交する軸線
の水平面に対する傾斜角度θP は第3の加速度計48よ
り得られる。
【0061】こうして、本例では数10の式によって傾
斜補正値ΔφA のタンジェントの値が求められ、その値
のアークタンジェントの値を求めることによってアンテ
ナ14の回転角φの傾斜補正値ΔφA が得られる。
【0062】数10の式の右辺の分母が0となるのは、
θP =0となる場合、即ち、アンテナ14の中心軸線X
−Xが天頂を向くときである。従って、本例では、傾斜
補正演算部93における傾斜補正値ΔφA の演算にて、
アンテナ14の中心軸線X−Xが天頂を向くとき以外に
演算不能となる場合はない。尚、斯かる場合には数10
の式のアークタンジェント演算時にΔφA =±90°と
おけばよい。
【0063】また、数10の式の右辺の各項は正負の値
をとり、従って、数10の式の左辺の値はそれに応じて
正負の値をとるから、傾斜補正値ΔφA が±90°を越
えてもその象限判別が可能である。
【0064】
【発明が解決しようとする課題】従来のアンテナ指向装
置では、2つの制御ループにジャイロ57、58が使用
されており、従って、ジャイロのドリフトに起因する誤
差が生ずる欠点があった。
【0065】また、従来のアンテナ指向装置では、2つ
の制御ループにおいて、手動等によって設定される衛星
高度角θS 及び衛星方位角φS が使用されており、従っ
て、実際の(静止)衛星の位置が変化すると、それによ
って誤差が発生する欠点があった。
【0066】一方、アンテナ14を衛星方向に指向させ
るために、上述のような仰角軸及び方位軸制御ループを
使用する代わりにステップトラック方式の制御が知られ
ている。ステップトラック方式の制御は、アンテナ14
を回転軸線周りに周期的に回転させながらアンテナ14
が受信する電波強度を測定し、斯かる電波強度が増加す
る方向にアンテナ14を回転させるように構成されてい
る。
【0067】ステップトラック方式の制御はアンテナ1
4が受信する電波強度を入力信号とする制御であるた
め、ジャイロのドリフトに起因する誤差や実際の(静
止)衛星の位置の変化に起因した誤差が発生しない利点
がある。しかしながら、航行体がトンネル内や建物の近
くを航行して電波の受信が途切れた場合には動作しない
欠点がある。
【0068】本発明は、斯かる点に鑑み、アンテナ14
を正確に且つ迅速に衛星方向に指向させることができる
アンテナ指向装置を提供することを目的とする。
【0069】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、例えば
図1に示すように、中心軸線XA −XA を有するアンテ
ナ14と、該アンテナの中心軸線に直交する仰角軸線Y
−Yと該仰角軸線に直交する方位軸線Z−Zとの2つの
軸線を有し上記アンテナ14を上記2つの軸線周りに回
転可能に支持する支持装置と、上記仰角軸線Y−Yと上
記方位軸線Z−Zの両者に直交する入力軸線を有するX
ジャイロ56と、上記仰角軸線Y−Yに平行な入力軸線
を有するYジャイロ57と、上記方位軸線Z−Zに平行
な入力軸線を有するZジャイロ58と、水平面に対する
上記仰角軸線Y−Yの傾斜角を検出するY加速度計67
と、水平面に対する上記仰角軸線Y−Yと上記方位軸線
Z−Zの両者に直交する水平軸線X−Xの傾斜角を検出
するX加速度計66と、航行体に対する上記仰角軸線Y
−Y周りの上記アンテナの回転角を指示する信号を出力
する仰角発信器34と、航行体に対する上記方位軸線Z
−Z周りの上記アンテナの回転角を指示する信号を出力
する方位発信器44と、上記アンテナを上記仰角軸線Y
−Y周りに回転制御する仰角軸制御ループと上記アンテ
ナを上記方位軸線Z−Z周りに回転制御する方位軸制御
ループと上記仰角軸制御ループ及び上記方位軸制御ルー
プにステップトラック方式の制御を重畳するステップト
ラック制御ループとを含む制御装置と、を有し、該制御
装置によって上記アンテナの中心軸線を衛星方向に指向
させるように構成されたアンテナ指向装置において、上
記Xジャイロ56より出力された上記水平軸線X−X周
りの上記アンテナの回転角速度と上記Y加速度計より出
力された水平面に対する上記仰角軸線Y−Yの傾斜角と
より、水平面に対する上記仰角軸線Y−Yの傾斜角ηを
演算するη演算器92と、上記Yジャイロ57より出力
された上記仰角軸線Y−Y周りの上記アンテナの回転角
速度と上記X加速度計66より出力された水平面に対す
る上記水平軸線X−Xの傾斜角とより、水平面に対する
上記水平軸線X−Xの傾斜角ξを演算するξ演算器91
と、上記η演算器92より出力された傾斜角η信号と上
記ξ演算器91より出力された傾斜角ξ信号と上記仰角
発信器34の出力信号とを入力して方位発信器44の出
力を補正するための傾斜補正値を演算する傾斜補正値演
算部93と、上記アンテナ14をステップトラック方式
の制御によって衛星方向に指向させるためのステップト
ラック信号を生成するジャイロドリフト演算部84と、
を有し、上記ステップトラック信号は上記仰角軸制御ル
ープに供給する上記Yジャイロより出力された回転角速
度信号を補正する仰角系のドリフト補正信号と上記方位
軸制御ループに供給する上記Zジャイロより出力された
回転角速度信号を補正する方位軸系のドリフト補正信号
とを有するように構成されている。
【0070】本発明によれば、例えば図1及び図3に示
すように、アンテナ指向装置において、上記ジャイロド
リフト演算部84は上記ドリフト補正信号ΔωZ 、Δω
Y を保持するためのホールド器84−6、84−7を有
し、電波強度信号ES が遮断されたときに上記ホールド
器84−6、84−7に記憶されたドリフト補正信号Δ
ωZ 、ΔωY を出力するように構成されている。
【0071】本発明によれば、例えば図1及び図3に示
すように、アンテナ指向装置において、上記仰角発信器
34より出力された航行体に対する上記仰角軸線Y−Y
周りの上記アンテナの回転角θを指示する信号と上記ξ
演算器の出力信号ξとを入力してアンテナの仰角θA
演算するためのアンテナ仰角演算部81と、を設け、該
アンテナ仰角演算部81によって求めたアンテナの仰角
信号θA を上記仰角軸制御ループに供給するように構成
されている。
【0072】
【作用】本発明によれば、仰角制御ループ及び方位角制
御ループに重畳してステップトラック制御が設けられて
おり、斯かるステップトラック制御は仰角制御ループ及
び方位角制御ループによる制御を補正するために又は補
完するために機能するよりに構成されている。
【0073】2つの制御ループが正常に機能し、それに
よってアンテナ14が衛星方向に正確に指向している場
合には、ステップトラック制御は作動しない。従って、
ステップトラック制御が作動するのは、2つの制御ルー
プによって生成された指向誤差を補正するためである。
ステップトラック信号は、2つの制御ループによって生
成された指向誤差を表している。
【0074】一方、ステップトラック制御は航行体がト
ンネル内や建物近くを航行して電波が途切れた時には作
動しない。斯かる場合には、2つの制御ループによって
生成された指向誤差を補正するために推定値が使用され
る。斯かる推定値はホールド器より出力される。
【0075】本発明によれば、傾斜補正演算部93はη
演算部92より出力された傾斜角ηとξ演算器91より
出力された傾斜角ξと仰角発信器34より出力された仰
角信号θとを用いて、傾斜補正値ΔφA を演算する。
【0076】本発明によれば、アンテナ仰角演算部81
は仰角発信器34より出力された航行体に対する仰角軸
線Y−Y周りのアンテナの回転角θを指示する信号とξ
演算器の出力信号ξとを入力してアンテナの仰角θA
演算する。
【0077】
【実施例】以下に図1〜図4を参照して本発明の実施例
について説明する。図1は本発明のアンテナ指向装置の
1例を示す。このアンテナ指向装置はアンテナ14と斯
かるアンテナ14を2つの軸線周りに回転可能に支持す
る支持装置とを有する。支持装置はアンテナ14の中心
軸線に直交する仰角軸線Y−Yと斯かる仰角軸線Y−Y
に直交する方位軸線Z−Zとを有する。方位軸線Z−Z
は航行体の取り付け面(船体面)に常に垂直であり、仰
角軸線Y−Yは航行体の取り付け面(船体面)に常に平
行である。
【0078】アンテナ14は仰角軸線Y−Yと方位軸線
Z−Zの2つの軸線周りに回転することができる。
【0079】支持装置は基台3と斯かる基台3のブリッ
ジ部3−1の上面に装着された方位軸40とを有し、斯
かる方位軸40は航行体の取り付け面(船体面)に垂直
に配置されている。方位軸40の上端部には方位ジンバ
ル41が装着されており、下端部には方位歯車42が装
着されている。基台3のブリッジ部3−1の上面には方
位サーボモータ43が配置されており、斯かる方位サー
ボモータ43の回転軸に装着されたピニオン(図示な
し)は方位歯車42に噛み合うように構成されている。
【0080】方位ジンバル41は2つの支持部材41
A、41Bを有し、斯かる支持部材41A、41Bの間
に取り付け部材31が回転可能に装着されている。取り
付け部材31は仰角軸30を有し、斯かる仰角軸30に
は仰角歯車32が装着されている。一方の支持部材41
Aには仰角サーボモータ33が装着されており、斯かる
仰角サーボモータ33の回転軸に装着されたピニオン
(図示なし)は仰角歯車32に噛み合うように構成され
ている。
【0081】仰角軸30の中心軸線は仰角軸線Y−Yを
構成し、方位軸40の中心軸線は方位軸線Z−Zを構成
する。
【0082】アンテナ14は取り付け部材31に装着さ
れている。仰角サーボモータ33が作動されると仰角サ
ーボモータ33の回転軸に装着されたピニオン(図示な
し)及び仰角歯車32を介して取り付け部材31が方位
ジンバル41に対して仰角軸線Y−Y周りに回転する。
それによってアンテナ14も方位ジンバル41に対して
仰角軸線Y−Y周りに回転する。
【0083】方位サーボモータ43が作動されると方位
サーボモータ43の回転軸に装着されたピニオン(図示
なし)及び方位歯車42を介して方位軸40及び方位ジ
ンバル41が航行体の取り付け面(船体面)に対して方
位軸線Z−Z周りに回転する。それによってアンテナ1
4は航行体の取り付け面(船体面)に対して方位軸線Z
−Z周りに回転する。
【0084】他方の支持部材41Bには仰角発信器34
が装着されており、斯かる仰角発信器34の回転軸はピ
ニオン(図示なし)を介して又は直接的に仰角軸30に
接続されている。斯かる仰角発信器34によって航行体
の取り付け面(船体面)に対するアンテナ14の仰角軸
線Y−Y周りの回転角度θが検出されそれを指示する信
号が出力される。
【0085】一方、基台3のブリッジ部3−1の上面に
は方位発信器44が装着されており、斯かる方位発信器
44の回転軸に取り付けられたピニオン(図示なし)は
方位歯車42に噛み合うように構成されている。斯かる
方位発信器44によって航行体の取り付け面(船体面)
に対するアンテナ14(方位ジンバル41)の方位軸線
Z−Z周りの回転角度φが検出されそれを指示する信号
が出力される。
【0086】方位ジンバル41には、X、Y及びZジャ
イロ56、57、58とX及びY加速度計66、67が
装着されている。図示のように、3つのジャイロは互い
に直交する3軸方向の入力軸線(矢印で示す)を有し、
2つ加速度計66、67は互いに直交する2軸方向の入
力軸線(矢印で示す)を有する。
【0087】Xジャイロ56は仰角軸線Y−Yと方位軸
線Z−Zとの両者に直交する入力軸線を有する、即ち、
仰角軸線Y−Yと方位軸線Z−Zとの両者に直交する水
平軸線周りのアンテナ14の回転角速度を検出する。Y
ジャイロ57は仰角軸線Y−Yに平行な入力軸線を有す
る、即ち、仰角軸線Y−Y周りのアンテナ14の回転角
速度を検出する。Zジャイロ58は方位軸線Z−Zに平
行な入力軸線を有する、即ち、方位軸線Z−Z周りのア
ンテナ14の回転角速度を検出する。
【0088】X、Y及びZジャイロ56、57、58
は、例えば機械式ジャイロ、光学式ジャイロ等の積分型
ジャイロの他、振動ジャイロ、レートジャイロ、光ファ
イバジャイロ等の角速度検出型ジャイロであってよい。
【0089】Y加速度計67によって水平面に対する仰
角軸線Y−Yの傾斜角度が検出され、X加速度計66に
よって水平面に対する仰角軸線Y−Y及び方位軸線Z−
Zの両者に直交する水平軸線X−Xの傾斜角度が検出さ
れる。
【0090】本例のアンテナ指向装置は、図示のよう
に、仰角サーボモータ33に命令信号を供給するための
仰角軸制御ループと方位サーボモータ43に命令信号を
供給するための方位軸制御ループとを有する。
【0091】尚、アンテナ14の中心軸線XA −XA
水平面となす角をアンテナの仰角θ A とし、アンテナ1
4の中心軸線XA −XA が水平面上で子午線Nとなす角
をアンテナの方位角φA とする。また、図中、アンテナ
仰角演算部81、傾斜補正値演算部93、座標変換器8
3、ジャイロドリフト演算部84、η演算部92及びξ
演算部91の機能と構成については後に説明する。
【0092】仰角軸制御ループはアンテナの仰角θA
衛星高度角θS に一致するようにアンテナ14を仰角軸
線Y−Y周りに回転させるよう構成されており、速い制
御ループ、即ち、仰角安定化ループと遅い制御ループ、
即ち、仰角拘束ループとを含む。
【0093】速い制御ループ、即ち、仰角安定化ループ
はYジャイロ57と加算器72と積分器37と増幅器3
6と仰角サーボモータ33とを含む。加算器72は、Y
ジャイロ57より出力された角速度信号ωYG=ωY とジ
ャイロドリフト演算部84より出力されたドリフト補正
値信号ΔωY とを加算し、それによって得られた補正角
速度信号を出力する。尚、加算器72には更にジャイロ
ドリフト演算部84より出力された仰角系のステップト
ラック信号ΔSY が供給されるが、これについては後に
説明する。
【0094】加算器72の出力は積分器37及び増幅器
36を介して仰角サーボモータ33にフィードバックさ
れる。それによって船体が揺動しても、慣性空間に対す
るアンテナ14の仰角軸線Y−Y周りの角速度は常にゼ
ロに保持される。即ち、アンテナ14は、仰角軸線Y−
Y周りの船体の回転運動に対して安定化される。。
【0095】遅い制御ループ、即ち、仰角拘束ループは
アンテナ仰角演算部81と加算器39と減衰器38と積
分器37と増幅器36と仰角サーボモータ33とを含
む。アンテナ仰角演算部81によって求められたアンテ
ナ14の仰角θA は、加算器39にて例えば手動設定さ
れた衛星高度角θS を指示する信号によって減ぜられ、
その偏差角が出力される。
【0096】加算器39の出力は減衰器38、積分器3
7及び増幅器36を介して仰角サーボモータ33にフィ
ードバックされる。加算器39より出力される偏差角信
号がゼロになるとき、即ち、アンテナの仰角θA が衛星
高度角θS に等しくなるとき、アンテナ14の仰角軸線
Y−Y周りの回転運動は静止する。
【0097】このループは、アンテナ14の仰角θA
衛星高度角θS に一致させるための適当な時定数を有す
る。尚、減衰器38に仰角ジャイロ57のドリフト変動
を補償させるために積分特性を具備させることも可能で
ある。
【0098】方位軸制御ループはアンテナ14の方位角
φA が衛星方位角φS に一致するように方位ジンバル4
1(アンテナ14)の方位を制御するように構成されて
おり、速い制御ループ、即ち、方位角安定化ループと遅
い制御ループ、即ち、方位角拘束ループとを含む。
【0099】速い制御ループ、即ち、方位角安定化ルー
プは座標変換器83と加算器73とsecθ演算器45
と積分器47と増幅器46と方位サーボモータ43とを
含む。
【0100】加算器73は、座標変換器83より出力さ
れた角速度信号ωZ とジャイロドリフト演算部84より
出力されたドリフト補正値信号ΔωZ とを加算し、それ
によって得られた補正方位角速度信号を出力する。尚、
加算器73には更に、方位軸系のステップトラック信号
ΔSZ が供給されるが、これについては後に説明する。
【0101】加算器73の出力はsecθ演算器45と
積分器47と増幅器46を経由して方位サーボモータ4
3にフィードバックされる。それによって船体が揺動し
ても、慣性空間に対するアンテナ14の仰角軸線Y−Y
周りの角速度は常にゼロに保持される。即ち、アンテナ
14は方位軸線Z−Z周りの船体の回転運動に対して、
安定化されることができる。
【0102】遅い制御ループ、即ち、方位角拘束ループ
は方位発信器44と傾斜補正演算部93と加算器49と
減衰器48と積分器47と増幅器46と方位サーボモー
タ43とを含む。加算器49は船首方位角φC と方位発
信器44より出力されたアンテナ14の回転角φと傾斜
補正演算部93より出力された傾斜補正値ΔφA との和
より衛星方位角φS を減算しその偏差角を出力する。
【0103】加算器49より出力される偏差角がゼロと
なるとき、即ち、アンテナの回転角φと船首方位角φC
と傾斜補正演算部93の出力ΔφA との和が衛星方位角
φSに等しくなるとき、アンテナ14の方位は静止す
る。
【0104】こうして、仰角軸制御ループと方位軸制御
ループとによってアンテナ14はその中心軸線XA −X
A が衛星方向に指向するように構成されている。
【0105】本例によると、更に、ステップトラック方
式の制御が設けられている。斯かるステップトラック方
式の制御については後に説明する。こうして、仰角制御
ループと方位軸制御ループとの2軸制御とステップトラ
ック方式の制御とによってアンテナ14はその中心軸線
A −XA が衛星方向を指向するように構成されてい
る。
【0106】図2を参照して本例の座標変換器83の動
作を説明する。ここで、方位ジンバル座標を定める。方
位ジンバル座標は、方位ジンバル41に固定された座標
系であり、仰角軸線Y−Yと方位軸線Z−Zの両者に直
交する水平方向の水平軸線X−XをX軸、仰角軸線をY
軸、方位軸線Z−ZをZ軸とする。方位ジンバル座標
は、航行体の取り付け面(船体面)に固定された航行体
座標に対して、Z軸(方位軸線Z−Z)周りに回転す
る。
【0107】3つのジャイロ56、57、58は方位ジ
ンバル41に直接取り付けられており、その出力信号
は、方位ジンバル座標の3軸(X−X、Y−Y、Z−
Z)周りの回転角速度信号である。座標変換器83はジ
ャイロによって得られた方位ジンバル座標系の角速度信
号ωXG、ωYG、ωZGを入力してそれを方位軸制御ループ
に供給される命令角速度信号ωZ に変換するように構成
されている。
【0108】図示のように、方位ジンバル座標系で表し
たジャイロの出力信号を方位軸制御ループに供給される
命令角速度信号ωZ で表すと次の式が成り立つ。
【0109】
【数11】ωZ =ωZGcosθ−ωXGsinθ
【0110】ここに、ωXG、ωZGはジャイロ56、58
によって得られた角速度、ωZ は変換された角速度、θ
は仰角軸線Y−Y周りのアンテナ14の回転角度であ
る。
【0111】本例の座標変換器83は数11の式の演算
をするように構成されており、加算器と係数器とを有す
る。
【0112】次に図3を参照して本例のジャイロドリフ
ト演算部84の機能と構成を説明する。ジャイロドリフ
ト演算部84はステップトラック方式によってアンテナ
14を衛星方向に指向させるためのステップトラック制
御機能とジャイロのドリフトに起因する誤差を補正する
ためのジャイロドリフト補正機能とを有する。
【0113】先ず、ステップトラック制御機能について
説明する。ステップトラック制御は、アンテナ14を所
定の回転軸線周りに周期的に移動させながら、アンテナ
14が受信する電波強度ES を測定し、電波強度ES
増加する方向にアンテナ14を回転させ、それによって
アンテナ14の中心軸線XA −XA を衛星方向に指向さ
せるように構成されている。ステップトラック制御はジ
ャイロ等を使用しないから構成が簡単であるが、電波の
受信が途切れた場合には作動しない欠点がある。
【0114】ステップトラック制御は、仰角制御ループ
及び方位軸制御ループの少なくとも1つの制御ループと
組み合わせて使用する。本例では仰角制御ループ及び方
位軸制御ループにステップトラック制御が組み込まれて
いる。
【0115】本例のステップトラック制御によると、先
ず、アンテナ14を仰角軸線Y−Y及び方位軸線Z−Z
周りに所定の角度振幅±δθ、±δφにて周期的に回転
させ、電波強度ES が増加する回転方向を求める。次
に、アンテナ14を仰角軸線Y−Y及び方位軸線Z−Z
周りに電波強度ES が増加する回転方向に所定の回転角
にて回転させる。この2つのステップを繰り返して電波
強度ES が最大となる仰角θ及び方位角φを求める。
【0116】ステップトラック制御器84−1は電波強
度ES を指示する信号と発振器より出力された周期信号
とを入力してステップトラック信号を生成する。尚、こ
の発振器はステップトラック制御器に内蔵されたもので
あってよい。ステップトラック信号はアンテナ14を仰
角軸線Y−Y及び方位軸線Z−Z周りに所定の角度振幅
±δθ、±δφにて周期的に回転させるための周期信号
とアンテナ14を仰角軸線Y−Y及び方位軸線Z−Z周
りに電波強度ES が増加する方向に回転させるための回
転角信号ΔSY 、ΔSZ とを含む。
【0117】上述のように、ステップトラック方位角信
号ΔSZ は方位軸制御ループの加算器73に供給され、
座標変換器83の出力信号ωZ に加算される。従って、
加算器73からsecθ演算器45に供給される信号
は、座標変換器83の出力信号ωZ にステップトラック
回転角信号ΔSZ が加算されたものである。
【0118】ステップトラック仰角信号ΔSY は仰角軸
制御ループの加算器72に供給され、Yジャイロ57の
出力信号ωYGに加算される。従って、加算器72から積
分器37に供給される信号は、Yジャイロ57の出力信
号ωYGにステップトラック回転角信号ΔSY が加算され
たものである。
【0119】こうして本例のステップトラック制御によ
ると、ステップトラック信号ΔSY、ΔSZ によって、
アンテナ14(方位ジンバル41)は方位軸線Z−Z周
り及び仰角軸線Y−Y周りに回転し、電波強度ES が最
大となったとき、ステップトラック制御によるアンテナ
14の回転移動は停止する。
【0120】次に、ジャイロドリフト補正機能について
説明する。上述のように、本例のアンテナ指向装置に
は、2つの制御ループによる2軸制御に対して、更に、
ステップトラック方式の制御が重畳されて設けられてい
る。ステップトラック方式の制御は2つの制御ループを
補完するために、又は、2つの制御ループによって発生
する誤差を補正するために設けられている。
【0121】2つの制御ループによる2軸制御によって
アンテナ14が正確に衛星方向を指向している場合に
は、ステップトラック方式の制御は作動しない。従っ
て、ステップトラック制御器によって生成される回転角
信号ΔSY 、ΔSZ は2つの制御ループによって生成さ
れた指向誤差を表している。
【0122】斯かる指向誤差には、各ジャイロのドリフ
トに起因した誤差と衛星がその位置を変化させ設定され
た衛星高度角θS 及び衛星方位角φS に対して偏倚した
ことに起因する誤差が含まれる。ジャイロドリフト補正
機能はジャイロのドリフトに起因した誤差を補正するた
めに設けられている。
【0123】本例のジャイロドリフト補正機能は、仰角
軸制御ループ及び方位軸制御ループにおけるジャイロの
ドリフトに起因する誤差を補正する。本例のジャイロド
リフト補正機能によると、ジャイロのドリフトに起因す
る誤差を補正するために、ステップトラック制御器によ
って生成された回転角信号ΔSY 、ΔSZ が使用され
る。斯かる回転角信号ΔSY 、ΔSZ よりジャイロドリ
フト補正信号ΔωY 、ΔωZ が生成され、それによって
仰角軸制御ループのYジャイロ57及び方位軸制御ルー
プのZジャイロ58のドリフトが補正される。
【0124】図示のようにステップトラック制御器84
−1によって生成された回転角信号ΔSZ 、ΔSY は、
積分器84−2、84−3を経由して平滑回路84−
4、85−5によって平滑化され、ジャイロドリフト補
正信号ΔωZ 、ΔωY が生成される。
【0125】ジャイロドリフト補正信号ΔωZ 、ΔωY
はホールド器84−6、84−7を経由して出力され
る。ホールド器84−6、84−7はステップトラック
制御器84−1より供給されたホールド信号Hを入力す
ると、平滑回路84−4、84−5より供給されたジャ
イロドリフト補正信号ΔωZ 、ΔωY を保持し、それを
出力する。
【0126】航行体がトンネル内や建造物の近くを航行
して、電波が途切れて電波強度信号ES が得られないと
きは回転角信号ΔSZ 、ΔSY が生成されない。斯かる
場合、ジャイロドリフト補正信号ΔωZ 、ΔωY が得ら
れないから、その間、ドリフトに起因する誤差が増加す
ることとなる。本例によれば、斯かる場合、ホールド器
84−6、84−7に保持されているジャイロドリフト
補正信号ΔωZ 、Δω Y が推定値として出力される。ホ
ールド信号Hは例えば電波強度ES が一定の値以下にな
ったときに発生するように構成されてよい。
【0127】方位系のジャイロドリフト補正信号ΔωZ
は方位軸制御ループの加算器73に供給され、それによ
って座標変換器83の出力信号が補正される。従って、
加算器73からsecθ演算器45に供給される信号
は、座標変換器83の出力信号ωZ にジャイロドリフト
補正信号ΔωZ が加算されたものである。
【0128】仰角系のジャイロドリフト補正信号ΔωY
は仰角軸制御ループの加算器72に供給され、それによ
ってYジャイロ57の出力信号が補正される。従って、
加算器72から積分器37に供給される信号は、Yジャ
イロ57の出力信号ωY にジャイロドリフト補正信号Δ
ωY が加算されたものである。
【0129】次に図4を参照して、ξ演算部91及びη
演算部92の機能と構成について説明する。ξ演算部9
1及びη演算部92は、航行体が揺動して、航行体の取
り付け面(船体面)が水平面に対して仰角軸線Y−Y周
りに回転角度ξだけ回転し、更に水平面に対して水平軸
線X−X周りに回転角度ηだけ回転したとき、斯かる回
転角度ξ、ηを演算する。
【0130】ξ演算部91は積分器91−1と減衰器9
1−2と第1及び第2の比較器91−3、91−4とア
ークサイン演算器91−5とを有する。入力端子91a
を経由して、Yジャイロより出力された仰角軸線Y−Y
周りの航行体の回転角速度ω YGが入力され、第1の比較
器91−3を経由して積分器91−1に供給される。そ
こで積分されて、水平面に対する仰角軸線Y−Y周りの
航行体の回転角度ξが演算される。
【0131】航行体が水平軸線X−X周りに動揺してい
るときは、Yジャイロの出力ωYGはドリフトに起因する
誤差を含むこととなる。入力端子91bを経由してX加
速度計より出力された水平軸線X−Xの水平面に対する
傾斜角度の正弦値sinX1が入力され、アークサイン
演算器91−5、第2の比較器91−4及び減衰器91
−2を経由して第1の比較器91−3に供給される。こ
うして、ξ演算部91より出力される航行体の回転角度
ξはジャイロのドリフトに起因する誤差が除去されてい
る。η演算部92の機能と構成はξ演算部91の機能及
び構成と同様である。
【0132】次に傾斜補正演算部93の動作を説明す
る。本例の傾斜補正演算部93はξ演算部91及びη演
算部92より供給された、航行体の回転角度信号ξ、η
と仰角発信器34の出力信号θとを入力して傾斜補正値
ΔφA を演算する。傾斜補正値ΔφA は、船体が動揺し
又は傾斜したとき方位発信器44が出力する方位角φが
誤差を生ずることに鑑み、斯かる方位角φの誤差を修正
するために使用される。尚、斯かる誤差の発生する機構
の詳細は上述の本願出願人と同一の出願人によって平成
4年9月22日に出願された特願平4−262181号
(T9200124)及び平成5年1月11日に出願さ
れた特願平5−2581号(T9200245)を参照
されたい。
【0133】傾斜補正演算部93は次の式によって傾斜
補正値ΔφA を演算する。
【0134】
【数12】tanΔφA =tanη・cosξ・sin
θ/cos(θ+ξ)
【0135】次にアンテナ仰角演算部81の動作を説明
する。本例のアンテナ仰角演算部81はξ演算部91よ
り供給された航行体の回転角度信号ξと仰角発信器34
より供給されたアンテナ14の仰角軸線Y−Y周りの回
転角度信号θとを入力してアンテナ14の仰角θA を演
算する。アンテナ仰角演算部81は次の式によってアン
テナ14の仰角θA を演算するように構成されている。
【0136】
【数13】θA =θ+ξ
【0137】以上本発明の実施例について詳細に説明し
てきたが、本発明は上述の実施例に限ることなく本発明
の要旨を逸脱することなく他の種々の構成が採り得るこ
とは当業者にとって容易に理解されよう。
【0138】
【発明の効果】本発明によれば、2軸制御ループに重畳
してステップトラック方式の制御システムが設けられて
おり、ステップトラック制御は2軸制御ループにより生
成された指向誤差を修正し又は2軸制御ループを補完す
るから、アンテナ14を常に衛星方向に指向させること
ができる利点がある。
【0139】本発明によれば、2軸制御ループに重畳し
てステップトラック方式の制御システムが設けられたア
ンテナ指向装置において、ジャイロドリフト演算部84
が設けられており、斯かるジャイロドリフト演算部84
はステップトラック制御を使用してジャイロのドリフト
に起因する誤差を補正するから、アンテナ14を正確に
衛星方向に指向させることができる利点がある。
【0140】本発明によれば、ジャイロドリフト演算部
84はステップトラック制御を使用して得られたジャイ
ロドリフト補正値をホールドするホールド器84−6、
84−7を有しており、ホールド器84−6、84−7
によってホールドされたジャイロドリフト補正値は、航
行体がトンネル内も建物近くを航行するとき電波が途切
れてステップトラック制御が不能となる場合に、推定値
として出力されるから、ジャイロドリフトに起因するア
ンテナの指向誤差が発生することはない利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアンテナ指向装置の例を示す図であ
る。
【図2】座標変換器の動作を説明する説明図である。
【図3】ジャイロドリフト演算器の構成を示す図であ
る。
【図4】ξ演算部及びη演算部の構成例を示す図であ
る。
【図5】従来のアンテナ指向装置の例を示す図である。
【図6】アンテナ仰角演算部の動作を説明する説明図で
ある。
【符号の説明】
3 基台 3−1 ブリッジ部 11 円筒部 13 アーム 14 アンテナ 20 水平軸 21 水平ジンバル 22 水平歯車 23 水平サーボモータ 23−1 ピニオン 26 増幅器 27 積分器 28 減衰器 29 加算器 30、30−1、30−2 仰角軸 31 取り付け金具、取り付け部材 31−1、31−2 支持部材 32 仰角歯車 33 仰角サーボモータ 33−1 ピニオン 34 仰角発信器 36 増幅器 37 積分器 38 減衰器 39 加算器 40 方位軸 40A、40B 軸受け 41 方位ジンバル 41−1 支持軸部 41−2 U字形部 41A、41B 支持部材 42 方位歯車 43 方位サーボモータ 44 方位発信器 45 secθ 46 増幅器 47 積分器 48 減衰器 49 加算器 56 Xジャイロ 57 Yジャイロ 58 Zジャイロ 66 X加速度計 67 Y加速度計 68 Z加速度計 72、73 加算器 80 傾斜補正演算部 81 アンテナ仰角演算部 82 仰角軸線傾斜演算部 83 座標変換器 84 ジャイロドリフト演算部 91 ξ演算部 92 η演算部 93 傾斜補正演算部 X−X 水平軸線 Y−Y 仰角軸線 Z−Z 方位軸線 XA −XA アンテナ中心軸線 ZA −ZA アンテナ中心軸線と仰角軸線の双方に直交
する軸線

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心軸線を有するアンテナと、該アンテ
    ナの中心軸線に直交する仰角軸線と該仰角軸線に直交す
    る方位軸線との2つの軸線を有し上記アンテナを上記2
    つの軸線周りに回転可能に支持する支持装置と、上記仰
    角軸線と上記方位軸線の両者に直交する入力軸線を有す
    るXジャイロと、上記仰角軸線に平行な入力軸線を有す
    るYジャイロと、上記方位軸線に平行な入力軸線を有す
    るZジャイロと、水平面に対する上記仰角軸線の傾斜角
    を検出するY加速度計と、水平面に対する上記仰角軸線
    と上記方位軸線の両者に直交する水平軸線の傾斜角を検
    出するX加速度計と、航行体に対する上記仰角軸線周り
    の上記アンテナの回転角を指示する信号を出力する仰角
    発信器と、航行体に対する上記方位軸線周りの上記アン
    テナの回転角を指示する信号を出力する方位発信器と、
    上記アンテナを上記仰角軸線周りに回転制御する仰角軸
    制御ループと上記アンテナを上記方位軸線周りに回転制
    御する方位軸制御ループと上記仰角軸制御ループ及び上
    記方位軸制御ループにステップトラック方式の制御を重
    畳するステップトラック制御ループとを含む制御装置
    と、を有し、該制御装置によって上記アンテナの中心軸
    線を衛星方向に指向させるように構成されたアンテナ指
    向装置において、 上記Xジャイロより出力された上記水平軸線周りの上記
    アンテナの回転角速度と上記Y加速度計より出力された
    水平面に対する上記仰角軸線の傾斜角とより、水平面に
    対する上記仰角軸線の傾斜角ηを演算するη演算器と、 上記Yジャイロより出力された上記仰角軸線周りの上記
    アンテナの回転角速度と上記X加速度計より出力された
    水平面に対する上記水平軸線の傾斜角とより、水平面に
    対する上記水平軸線の傾斜角ξを演算するξ演算器と、 上記η演算器より出力された傾斜角η信号と上記ξ演算
    器より出力された傾斜角ξ信号と上記仰角発信器の出力
    信号とを入力して上記方位発信器の出力を補正するため
    の傾斜補正値を演算する傾斜補正値演算部と、 上記アンテナをステップトラック方式の制御によって衛
    星方向に指向させるためのステップトラック信号と上記
    Yジャイロ及びZジャイロの出力信号を補正するための
    ドリフト補正信号とを生成するジャイロドリフト演算部
    と、 を有し、上記ドリフト補正信号は上記ステップトラック
    信号を使用して生成されることを特徴とするアンテナ指
    向装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のアンテナ指向装置におい
    て、 上記ジャイロドリフト演算部は上記ドリフト補正信号を
    保持するためのホールド器を有し、電波強度信号が遮断
    されたときに上記ホールド器に記憶されたドリフト補正
    信号を出力するように構成されていることを特徴とする
    アンテナ指向装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のアンテナ指向装置
    において、上記仰角発信器より出力された航行体に対す
    る上記仰角軸線周りの上記アンテナの回転角を指示する
    信号と上記ξ演算器の出力信号とを入力してアンテナの
    仰角を演算するためのアンテナ仰角演算部を設け、該ア
    ンテナ仰角演算部によって求めたアンテナの仰角信号を
    上記仰角軸制御ループに供給するように構成されている
    ことを特徴とするアンテナ指向装置。
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